JP3285463B2 - ロータリーキルンにおける廃プラスチックの燃焼方法 - Google Patents
ロータリーキルンにおける廃プラスチックの燃焼方法Info
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Description
使用されてない廃プラスチックを燃料して、生石灰・焼
ドロマイト或いはポルトランドセメント等を製造するロ
ータリーキルン、更には都市ゴミの焼却炉であるロータ
リーキルンに吹き込み燃焼する方法に関する。
であるが、廃プラスチックの燃焼性が他の燃料、例えば
微粉炭に比較して劣るため主に投棄されていた。然し、
環境問題、或いは資源の有効活用の見地から徐々に廃プ
ラスチックの再利用が図られてきた。
あることに着目し、廃プラスチックを利用したセメント
クリンカーの製造方法は特開昭46−15037号公報
において開示されている。この公報においては廃プラス
チックをセメントクリンカーを製造するロータリーキル
ン内に添加することによって安価にセメントクリンカを
製造できるとしているが、どのような方法において廃プ
ラスチックをロータリーキルンの中に添加するかについ
ては具体的な技術は何ら開示されていない。
はロータリーキルンの中に繊維強化プラスチックを添加
して処理する方法が開示されている。しかし、この方法
においては繊維強化プラスチックを90μm以下の粒子
に破砕して添加しており、経済的とは言えない。。
いては都市廃棄物を利用するポルトランドセメントの製
造方法が開示されている。この方法においては、都市廃
棄物を予め流動床燃焼装置において、予備的に燃焼させ
都市廃棄物を処理する方法を提案している。
灰或いは焼ドロマイトが所謂ロータリーキルンを用いて
製造されていることは良く知られている。ロータリーキ
ルンは装入物に対して燃焼ガスの通過する空間が比較的
大きいため、種々の燃料を燃焼するために好都合であ
る。
ロータリーキルンのー設備の概要を示した。以下、ロー
タリーキルンにおける生石灰或いは焼ドロマイトの製造
方法の概要を説明する。石灰石・ドロマイトの原石を収
容する原石サイロ1から原石を予熱するためのグレート
プレヒーター2に供給され、予めロータリーキルンから
の排ガスによって予熱し、その後、ロータリーキルン6
に装入される。
内張りされた円筒状の加熱炉であって、一定の速度で軸
の回りに回転している。図において左側の裝入口から装
入された石灰石は回転した炉内を通過し、右側の出口方
向へ移動する。尚、ロータリーキルンは図に示すとお
り、原料の裝入口は出口方向に対して3/100〜4/
100上向きに傾斜しており、装入された石灰石・ドロ
マイトは焼成されながら炉内を回転しつつ、生石灰或い
は焼ドロマイトに変化して出口方向に移動する。
を供給する微粉炭供給装置8が備えられており、微粉炭
はノズルを介して炉内に吹き込まれ、空気により燃焼し
て、炉内を1000℃以上の高温に保持する。この微粉
炭の燃焼により発生した熱により石灰石・ドロマイトは
焼成されて生石灰或いは焼ドロマイトに変化する。
生石灰或いは焼ドロマイトを冷却するためのグレートク
ラーを通過することにより熱交換を行い、一方では高温
の生石灰或いは焼ドロマイトを冷却し、他方では高温と
なった空気は出口側から上記ロータリーキルンの中に吹
き込まれ、前記微粉炭を燃焼するための空気の供給源と
なる。
00℃前後であり、特に微粉炭が燃焼する際に生ずる火
炎のある部分は部分的には1500℃以上となり、石灰
石・ドロマイトの分解反応に伴って温度が低下し、石灰
石・ドロマイトの裝入口側、即ちガスの排出口側におい
ては1000℃程度まで温度が低下する。
のグレートプレヒーターに上乗せされた石灰石・ドロマ
イトを予熱し、ここでその熱の一部を放出した後、廃熱
ボイラ3を通り、更に集塵機4を通り、更に湿式集塵機
5を通過した後、外部に排出される。
るロータリーキルン設備の概要である。従来、ロータリ
ーキルンでは燃料として主に微粉炭を利用し、一部に重
油を利用していることもある。しかしながら、これらの
燃料は何れもコスト高であり、生石灰或いは焼ドロマイ
トをより安価に製造することが求められている。
g,重油は約10000kcal/kg程度の発熱量を
有する。一方、廃プラスチックは約10000kcal
/kg程度の熱量があり、微粉炭等と共に貴重な熱源と
なりうる可能性がある。
状で得られ、前述の通り燃焼が容易でないため、従来投
棄されているのが現状であった。ここで廃プラスチック
として、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニール等の廃棄物が現在多量に発生して
いる。従って、これらを熱源として利用し、他方ではこ
の安価なプラスチックを利用し、生石灰・焼ドロマイト
或いはポルトランドセメント等を安価に製造することが
求められている。
述の通り鉄鋼業或いはその他の化学工業において重要な
生石灰・焼ドロマイト或いはポルトランドセメントをよ
りを安価に製造するため、従来単に投棄処理等をなされ
ていた廃プラスチックを燃料としてロータリーキルンに
吹き込み、効率よく燃焼させる方法を目的とする。
として利用する際の問題点は、重油、微粉炭等の燃料と
異なり、燃焼する前に熱分解させる必要があり、そのた
め簡単に燃焼させることは困難であるという問題点があ
る。
に燃焼し、その燃焼熱を利用するためには短い炉内滞留
時間(通常炉内におけるガス滞留時間は約10秒以内と
されている)内で完全に燃焼し、発生した熱を有効に利
用しなければならないという問題がある。従って、廃プ
ラスチック粒子を短い炉内滞留時間において十分に燃焼
させ、その燃焼熱を利用するためには、廃プラスチック
粒子の適切な粒度を選択する必要がある。
クをどのように装入するかという裝入方法の問題があ
る。更には廃プラスチックをより完全に燃焼するために
ロータリーキルンの如何なる位置に装入し、効率よく燃
焼させるかという問題がある。
徴とするロータリーキルンにおける廃プラスチックの燃
焼方法を提供する。 (a)廃プラスチック粒子を細束流とする工程と、
(b)前記廃プラスチック粒子の細束流を主燃料の吹き
込み位置の上側から前記ロータリーキルン内に燃料とし
て吹き込み、燃焼させる工程。
キルン内に細束流として吹き込んだ廃プラスチック粒子
の着地範囲が、主燃料の火炎の1/10〜2/3の範囲
にあるように吹き込むことを特徴とする請求項1記載の
ロータリーキルンにおける廃プラスチッの燃焼方法を提
供する。
ック粒子の着地範囲が、時計方向に回転するロータリー
キルンの断面の第4象限内にあることを特徴とする請求
項1または2に記載されたロータリーキルンにおける廃
プラスチックの燃焼方法を提供する。
キルン内に細束流として吹き込んだ廃プラスチック粒子
が主燃料の火炎に接触又は火炎を横切るように吹き込む
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された
ロータリーキルンにおける廃プラスチックの燃焼方法を
提供する。
ック粒子が粒径20mm以下のポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン又はこれらの2種以上の混合物で
あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載さ
れたロータリーキルンにおける廃プラスチックの燃焼方
法を提供する。
ック粒子が粒径10mm以下のポリ塩化ビニールである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された
ロータリーキルンにおける廃プラスチックの燃焼方法を
提供する。
キルン内において短時間に燃焼させる基本的な条件を定
めることが必要となる。そこで以下のような予備実験を
行った。直径5〜20mmの廃プラスチック粒子を採取
し、1000℃に保持した時、ガス化して燃焼するまで
の時間を調査した。小型の実験炉において廃プラスチッ
ク粒子を酸素濃度の種々異なる雰囲気において完全燃焼
迄の時間を調査した。
ン、ポリスチレン等の粒子は直径20mm以内であれば
1000℃において炉内の雰囲気の酸素濃度が5vol
%以上である時は5秒以内にガス化し完全に燃焼するこ
とが確認された。しかし、ポリ塩化ビニールは分解反応
が遅く直径10mm以内の粒子であれば1000℃にお
いて炉内の雰囲気の酸素濃度が5vol%以上である時
は5秒以内にガス化し完全に燃焼することが確認され
た。
タリーキルン内におけるガスの滞留時間は前述の通り1
0秒以内、通常7秒〜8秒であるから、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン等の粒子は直径20mm
以内であれば、ポリ塩化ビニールの粒子は直径10mm
以下であればそれぞれロータリーキルン内において、十
分にガス化し、且つ燃焼することを確認した。
うに上記廃プラスチックを燃焼させるかついて調査をお
こなった。図1にロータリーキルン内における炉内温度
及び燃焼ガス中の酸素濃度の分布等の計算結果を示し
た。この計算結果は実際の測定結果と一致していること
を確認している。通常ロータリーキルンは長さ約50m
程度であって、例えば生石灰或いは焼ドロマイト製造の
場合は、原料である石灰石・ドロマイトの装入口におい
て炉内ガスの温度は、出口では約600℃、2mの場所
で1000℃、10mの場所で約1500℃以上とな
り、石灰石・ドロマイトの裝入口に向かって徐々に温度
が低下し、約900℃となる。
トは一部予熱されて装入されるため、入口では900℃
程度であり徐々に分解反応を行い裝入口から約10mの
箇所において1000℃を超える温度となり十分に分解
反応を行い生石灰或いは焼ドロマイトに変化し、出口よ
り排出される。
気が供給されるため、21vol%存在するが出口側か
ら炉内へ吹き込まれる燃料、例えば微粉炭が燃焼するた
め徐々に酸素濃度が低下し出口から約15mの付近にお
いては酸素濃度がほぼ2vol%となる。
十分に燃焼させるためには、少くとも酸素濃度がある程
度存在している範囲において廃プラスチックを投入し、
完全に燃焼させることが必要となる。そこで主燃料であ
る微粉炭と共に廃プラスチックを炉内に吹き込む位置、
方法等が廃プラスチックを燃料として利用するために極
めて重要な課題となる。
はロータリーキルン出口付近の縦断面を模式的に示した
ものである。図2(a)においてロータリーキルン6の
出口において主燃料である微粉炭は微粉炭吹き込みノズ
ル14を介して断面がほぼ円形の炉内に吹き込まれ、こ
の際、微粉炭の燃焼により火炎16が形成される。この
長さL1 は例えば炉内の酸素濃度及びガス温度等を考慮
すると約15mである。この点はロータリーキルン内に
おける灰分の付着状況、観察窓からの炉内の目視から確
認した。
0mm又は10mm以下の固体粒子となっているため、
ロータリーキルン内で燃焼させるためには、その出口付
近に位置する廃プラスチック吹き込みノズル18から細
束流とし一定の初速をもって炉内に吹き込まれる。この
際、固体粒子は瞬間的には燃焼しないために、所定の軌
跡180に沿って燃焼しながら一部はロータリーキルン
の底部に落下していく。その着地点をL2 とする。
ためには主燃料の上側において廃プラスチックを細束流
として吹き込むことが前提となる。即ち、前記廃プラス
チック粒子の細束流を主燃料の吹き込み位置の上側から
前記ロータリーキルン内に燃料として吹き込み、燃焼さ
せることが必要である。
に酸素濃度は2vol%程度となっているため、酸素濃
度は5vol%程度とするためには着地点L2 はL1 の
2/3以内としなければならない。また、L2 の最小値
はL1 の約10%が望ましい。あまり出口に近い場所に
廃プラスチック粒子が落下すると温度が低いために未燃
焼のまま排出されるからである。
査を行った。図2(b)は図1(a)のA−A断面にお
ける炉内の状況を示す。同図において炉体は時計方向
(矢印の方向)において回転しているため固体装入物2
0は図において第3象限の位置に偏った状態において存
在している。
れた廃プラスチックを効率よく燃焼させるためには以下
の様な条件が望ましい。より速い燃焼を促進するために
は、吹き込みノズルにより廃プラスチックを細束流と
し、この細束流が主燃料である微粉炭が形成する火炎1
6を接触又は横切るように落下させることが望ましい。
廃プラスチック粒子を火炎により加熱し、速い燃焼を促
進するためである。
ように、例えば時計回りにその火炎を回転させている。
そこで、微粉炭吹き込みノズルの上方に廃プラスチック
吹き込みノズル18を位置せしめると、廃プラスチック
の軌跡は図中点線で示すような軌跡を通り図2(b)に
示すように、炉内の第4象限に落下し着地する。このよ
うに落下させた場合には着地した廃プラスチックの粒子
は固体装入物である生石灰或いはポルトランドセメント
と混合をせず、従って製品が廃プラスチックと混合する
ことはなく、その品質が保持されることになる。
実験した結果、生石灰・焼ドロマイト或いはポルトラン
ドセメント等を製造するために必要な全発熱量の50%
までは廃プラスチックを使用できることができる。これ
以上廃プラスチックを使用すると未燃焼の廃プラスチッ
クが製品に残留し、望ましくないからである。
としてロータリーキルン内に吹き込むための装置につい
て簡単に説明する。図3に廃プラスチック吹き込み装置
の概要を示した。同図において廃プラスチックはホッパ
102内に装入しておき、ゲート104を通過し、ロー
タリーバルブ106によって所定の量を所定の時間内に
おいて噴射部108に、落下させる。
110から空気によって噴射部108から配管113に
気送される。配管113を通過した廃プラスチックはノ
ズル18を通過して炉内に噴射される。ノズル18は、
その外側のガス冷却管又は水冷管116によって保護さ
れ、また、水冷管116の外側は例えば、耐火材の保護
管118によって保温されている。
ード13が備えられており、このフード13を通過して
予熱された空気が下方からフード内に入り、次いでロー
タリーキルン内へ侵入するよう配慮されているためであ
る。即ち下方から侵入する予熱された空気によってノズ
ル18内の廃プラスチック粒子が管内において溶解する
ことを防止している。
込み装置は一例であって、このような装置に限定される
ものではない。また、廃プラスチックの種類としては前
述の通り、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニール等何れのものでもよい。
大直径20mm迄のものならば使用が可能である。以上
の点からノズルの径としては廃プラスチックの粒子の3
〜4倍程度が望ましい。即ち、廃プラスチックの粒子が
直径10mmであれば吹き込みノズルの内直径は30〜
40mm程度が必要となる。
5mのロータリーキルンにおいて廃プラスチック粒子を
燃料として吹き込み、実験を行った。なお、この装置に
おいては従来、主に微粉炭を主たる燃料とし一部重油も
使用していた。表2に操業試験結果を示した。
石灰を400ton製造し、その他表に示すような燃料
を用いていた。ケース1として廃プラスチックを240
kg/hを吹き込み、ケース2においては、約410k
g/hを吹き込んで少くとも24時間操業を行った。
発熱を考慮し、その分に相当する主燃料を減少させた。
発熱量から計算すると廃プラスチック吹き込み量(混焼
率)はケース1では10%、ケース2では18%であ
る。表において分解率は投入した石灰石の内、生石灰と
なったもののパーセンテージである。この表の結果から
特に装入口の燃焼ガスの濃度については大きく変化がな
く、しかも、また、分解率を考慮しても良好な製品が得
られた。また、装入口の排ガスの成分組成を分析した結
果、通常の操業と同じく、炭化水素の組成は約10vo
l・ppmであった。
り廃プラスチック粒子を適切な方法で、且つロータリー
キルン内の適切な箇所に添加することにより廃プラスチ
ックを十分に燃焼させ、しかも、従来通りの製品が得ら
れる。また、廃プラスチックはコスト上、低価であるた
め生産費の低減に大きく寄与することができた。従って
従来主に投棄されていた廃プラスチックを有効に熱源と
して利用することができる一方、廃棄物の低減にも寄与
することができ、環境上極めて有効な発明であることを
立証することができた。
の分布を示す図である。
廃プラスチック粒子の運動の軌跡を示す図である。
吹き込み装置の概略を示す図である。
の概要を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の工程を備えたことを特徴とする生
石灰・焼ドロマイト製造用ロータリーキルンにおける廃
プラスチックの燃焼方法。 (a) 廃プラスチック粒子を細束流とする工程と、 (b) 前記廃プラスチック粒子の細束流を主燃料の吹
込み位置の上側から前記ロータリーキルン内に、着地範
囲が、主燃料の火炎長さの1/10〜2/3の範囲にあ
るように、燃料として吹き込み、燃焼させる工程。 - 【請求項2】 前記廃プラスチック粒子の着地範囲が、
時計方向に回転するロータリーキルンの断面の第4象限
内にあることを特徴とする請求項1に記載のロータリー
キルンにおける廃プラスチックの燃焼方法。 - 【請求項3】 以下部材を備えたロータリーキルンにお
ける廃プラスチック投入装置。 (a)廃プラスチックが通過するゲートと廃プラスチッ
クを定量切出すためのロータリーバルブを備えたホッパ
ーと、 (b)前記ロータリーバルブから切出された廃プラスチ
ックを配管を通して気送するための噴射部を備えたブロ
ワーと、 (c)前記配管で気送された廃プラスチックを炉内に噴
射するために用いられ、外側がガス冷却管、または耐火
材の保護管で保温された水冷管を備え、廃プラスチック
細束流とし一定の初速をもって炉内に吹き込むためのノ
ズル。
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