JP3284876B2 - 温熱環境計測方法 - Google Patents

温熱環境計測方法

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JP3284876B2
JP3284876B2 JP09719496A JP9719496A JP3284876B2 JP 3284876 B2 JP3284876 B2 JP 3284876B2 JP 09719496 A JP09719496 A JP 09719496A JP 9719496 A JP9719496 A JP 9719496A JP 3284876 B2 JP3284876 B2 JP 3284876B2
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thermal
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逸平 郡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内の温熱環境を
評価する際に、個人差の影響を排除し、客観的な評価を
行なうことができる温熱環境計測方法に関し、特に、車
両用エアコン等のエアコンの自動制御のために用いて好
適の温熱環境計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人の温感は、気温,湿度,風速,輻射等
様々な要素が複雑に影響を及ぼし合っていると考えられ
る。従来、例えば自動車の車室内の温熱評価は、温感定
量化手法が確立されていなかったため、フィーリング試
験を中心に行なっていた。近年、個人差の影響を排除し
た客観的な評価を行なうため、車室内温熱環境の定量評
価法の研究が盛んに行なわれており、「サーマルマネキ
ン−SET* 法」(以下、サーマルマネキン法と呼
ぶ。)もその1つである。
【0003】このサーマルマネキン法は、人体熱平衡シ
ュミレーションを行なって、気温,対流,輻射,発汗の
影響を考慮した温熱快適性評価指標SET* (以下、温
熱快適性評価指標を、単にSET* ともいう)を求める
ものであり、このSET* を算出するのに、人体熱平衡
シュミレーションに与える人体〜環境間の伝熱特性を得
るべくサーマルマネキンを用いた実験を行なう必要があ
る。
【0004】このようなサーマルマネキンを用いた実験
について、図11に基づいて説明する。図11(a)は
このような実験に使用される装置を示す模式図であり、
図11(b)はサーマルマネキンの断面を模式的に示す
図である。図11(a),(b)中、101はサーマル
マネキンを示しており、このようなサーマルマネキン1
01は、一般に、アルミ製の中空構造になっており、制
御装置102によって、その内部温度が一定になるよう
に構成されている。つまり、サーマルマネキン101に
は、ヒータ103が内蔵されており、このヒータ103
の発熱量を制御装置102により制御することによっ
て、サーマルマネキン101の内部温度が一定に調整さ
れるようになっている。
【0005】なお、サーマルマネキン101の内部温度
はサーミスタ温度センサ(図示せず)によって、ヒータ
103の発熱量は積算電力計(図示せず)によって、そ
れぞれ計測できるようになっている。このような装置を
用いて行なわれるサーマルマネキン101を用いた実験
では、サーマルマネキン101の表面に熱電対が取り付
けられ、サーマルマネキン101の表面温度Tskを計
測できるようになっている。また、放熱量Qはヒータの
発熱量によって計測できるようになっている。
【0006】ところで、サーマルマネキン101の熱平
衡は、次式(30),(31)により表すことができる。
なお、式(30)は着衣無の場合をであり、式(31)
は着衣有の場合である。 Q=h・(Tsk−To) ・・・(30) Q=Fcl・h・(Tsk−To) ・・・(31) ここで、Qは放熱量を、Fclは着衣熱透過効率を、h
は複合熱伝達率を、Tskはサーマルマネキン101の
表面温度を、Toは作用温度をそれぞれ示している。
【0007】サーマルマネキン法では、このような式
(30),(31)を用いて、以下のようにして、Fc
l,h,Toを求めるようにしている。まず、裸体のサ
ーマルマネキン101を用いて、サーマルマネキン10
1の内部温度の設定を変えて、2つの内部設定温度下に
おける放熱量Q、サーマルマネキン101の表面温度T
skを計測し、それぞれの内部設定温度下における計測
値を式(30)に代入して2つの式を求め、これらの式
を連立させて複合熱伝達率h,作用温度Toを求めるよ
うにしている。
【0008】次に、サーマルマネキン101に衣服を着
せた状態で、放熱量Q、サーマルマネキン101の表面
温度Tskを計測し、式(30)によって求められた複
合熱伝達率h,作用温度Toを用いて、式(31)より
着衣熱透過効率Fclを求めるようにしている。なお、
サーマルマネキン法では、計測時間が長いため、対象環
境下における試験(本試験)の試験効率を向上させるた
め予備試験において複合熱伝達率h,着衣熱透過効率F
clの計測を行なうようにしている。これは、複合熱伝
達率h,着衣熱透過効率Fclは、温熱快適性の評価を
行なう対象環境下でなくても(即ち、対象とする温度条
件でなくても)、気流条件が一致していれば計測するこ
とができるためである。
【0009】サーマルマネキン法では、上述のようにし
て、作用温度To,熱伝達率h,着衣熱透過率Fclを
計測し、これらの計測値を用いて、温熱快適性評価指標
SET* を求めるようにしている。次に、このようにし
て行なわれるサーマルマネキン法の計測時間について以
下の表1に基づいて説明する。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示すように、サーマルマネキン法で
は、温熱快適性の評価試験を行なう前に、サーマルマネ
キン101の内部温度を一定制御する際の制御定数を決
めるためのソーク時間として、約60分程度必要であ
る。なお、このソーク時間はサーマルマネキン101を
温めるという意味も含むものである。次に、熱伝達率
h,着衣熱透過率Fclを求めるために予備試験を行な
うが、この予備試験の計測回数は、1条件につき3回と
している。これは、上述したように、着衣無の状態で2
回、着衣有の状態で1回行なう必要があるためである。
ここで、条件とは気流条件が一致している条件を示して
いる。
【0012】また、1回毎の計測時間は約30分として
いる。これは、発熱量の計測を積算電力計を用いて行な
っているためである。また、計測間隔は約30分として
いる。これは、サーマルマネキンによる実験では内部設
定温度の変更及び衣服の装着を行なう必要があり、内部
温度が安定するまでに30分程度かかるからである。つ
まり、マネキンの熱容量が大きいため、定常状態に達す
るまでに30分程度の時間がかかるからである。
【0013】したがって、予備試験にかかる時間は合計
150分程度である。次に、対象環境下において作用温
度Toを求めるために本試験を行なうようにしている
が、この本試験の計測回数は、1条件につき1回として
おり、1回毎の計測時間は30分としている。なお、計
測回数が1回であるため、計測間隔はない。
【0014】したがって、本試験にかかる時間は合計3
0分程度である。このように行なわれるサーマルマネキ
ン法では、1条件の計測時間として少なくとも240分
程度の時間がかかることになる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、温熱快適性
の評価は、この結果を利用してエアコンディショナの開
発,改良等が行なわれるため、多種多様の環境設定条件
下における温熱快適性の評価を行なう必要がある。つま
り、人の温感は、気温,湿度,風速,輻射等様々な要素
が複雑に影響を及ぼし合っているため、温熱快適性の評
価試験も温度,湿度,風速,日射量等をいろいろな設定
に変化させて行なう必要がある。
【0016】しかし、1つの環境条件下における温熱快
適性の評価試験に多くの時間がかかることになると、最
低限必要な環境条件下における試験を行なうのに多くの
時間が必要になるため、1条件につき約240分という
多大な時間がかかる従来のサーマルマネキン法におい
て、計測時間の短縮が望まれている。また、サーマルマ
ネキン法は、人の温感を精度良く定量化できるものであ
るが、サーマルマネキン101を用いた実験において予
備試験が必要になるなど、やや煩雑な面もあり、計測法
の簡素化も望まれている。
【0017】さらに、サーマルマネキン101の製造に
技術を要し、制御装置も大がかりなものとなってしまう
ため、コストがかかるという課題もある。本発明は、こ
のような課題に鑑み創案されたもので、十分な計測精度
を確保しながら、温熱環境計測にかかる計測時間の短縮
や計測法の簡素化を図り、温熱快適性の評価を効率的に
行なうことができるようにした、温熱環境計測方法を提
供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の温熱
環境計測方法は、内蔵のヒータにより加熱可能で且つ内
部温度と表面温度とを計測可能に構成された複数の温感
センサをマネキンの所定部位に埋設し、上記マネキンの
上記所定部位における温熱環境を計測する温熱環境計測
方法であって、非加熱状態における表面温度と内部温度
とを上記各温感センサ毎に計測する非加熱時環境計測工
程と、加熱状態における表面温度と内部温度とを上記各
温感センサ毎に計測する加熱時環境計測工程と、上記各
温感センサ毎に計測した非加熱状態における表面温度及
び内部温度と加熱状態における表面温度及び内部温度と
に基づき各温感センサ毎の熱伝達率を演算するセンサ熱
伝達率演算工程と、上記各温感センサ毎に計測した非加
熱状態における表面温度及び内部温度と加熱状態におけ
る表面温度及び内部温度とに基づき各温感センサ毎の作
用温度を演算するセンサ作用温度演算工程と、上記マネ
キンの上記所定部位における熱伝達率を上記各温感セン
サ毎の熱伝達率に基づき演算する所定部位熱伝達率演算
工程と、上記マネキンの上記所定部位における作用温度
を上記各温感センサ毎の作用温度に基づき演算する所定
部位作用温度演算工程と、を有することを特徴としてい
る。そして、本発明によれば、複数のヒータ付き温感セ
ンサを使用するので、熱平衡に達する時間が短くなり、
計測時間を大幅に短縮できるし、複数の温感センサ毎に
求めた熱伝達率及び使用温度に基づき、所定部位の熱伝
達率及び作用温度を求めるので、計測精度も十分に確保
できる。
【0019】好ましい態様としては、上記温感センサは
断熱材製のケースに収納されるように構成するのが良
く、このようにすれば、熱容量が小さくなり、熱平衡に
達する時間が短くなるため、計測時間の短縮に大きく寄
与する。 また、上記各温感センサ毎の熱伝達率hijは、
加熱状態における表面温度Tsfij及び内部温度Tin
ij、非加熱状態における表面温度Tsf′ij及び内部温
度Tin′ijに関する次式 hij=aij・[(Tinij−Tin′ij)−(Tsfij−Tsf′ij )] /(Tsfij−Tsf′ij) に基づき演算されるとともに、上記各温感センサ毎の作
用温度Toijは、加熱状態における表面温度Tsfij及
び内部温度Tinij、非加熱状態における表面温度Ts
f′ij及び内部温度Tin′ijに関する次式 Toij=(Tsfij・Tin′ij−Tsf′ij・Tinij) /[(Tsfij−Tsf′ij)−(Tinij−Tin′ij )] に基づき演算されるように構成するのが好ましい。この
ようにすれば、各センサ毎の熱伝達率及び作用温度を簡
便に演算できる。
【0020】また、上記所定部位における熱伝達率hi
は、各センサ毎の熱伝達率hij、重み係数αijに関する
次式 hi =Σαijhij に基づき演算されるとともに、上記所定部位における作
用温度Toi は、各温感センサ毎の作用温度Toij、重
み係数βijに関する次式 Toi =ΣβijToij に基づき演算されるように構成するのが好ましい。この
ようにすれば、所定部位における熱伝達率及び作用温度
を簡便に演算できる。
【0021】さらに、上記所定部位における熱伝達率に
基づき着衣の熱透過効率を演算する熱透過効率演算工程
を備えるように構成するのが好ましい。このようにすれ
ば、着衣の熱透過効率を演算により求めることができる
ので、計測効率が向上する。 また、上記着衣の熱透過効
率Fcli は、対流熱伝達率hci 、輻射熱伝達率hr
i 、対流熱伝達率hci に対する熱透過効率Fclci
、輻射熱伝達率hri に対する熱透過効率Fclri
に関して、 γi =(Fclri −Fclci )・hri =const., δi =Fclci =const.により得られる値γi
,δi 及び上記熱伝達率hi から次式 Fcli =γi /hi +δi に基づき演算されるように構成するのが好ましい。この
ようにすれば、所定部位における着衣の熱透過効率を簡
便に演算できる。
【0022】
【発明の実施形態】以下、図面により、本発明の一実施
形態について説明すると、図1〜図9は本発明の一実施
形態にかかる温熱環境計測方法を説明するためのもので
ある。本温熱環境計測方法(温感マネキン法)では、発
熱機能を有し、熱容量の小さい、小型の温感センサを利
用したマネキン(以下、温感マネキンと呼ぶ)を使用す
るとともに、着衣効果のモデル化によって、サーマルマ
ネキン法よりも簡便に車室内の温熱快適性を評価できる
ようにしている。そこで、本方法については、温熱快適
性の評価方法とも称することができる。
【0023】まず、本温熱環境計測方法において使用す
る装置について説明すると、図2は本温熱環境計測方法
において使用する温感マネキン1,温感センサ2,その
他の計測装置を示す模式図である。1は温感マネキンで
あり、この温感マネキン1は、発熱機能を持たないマネ
キン(人体模型)であり、ここでは、この温感マネキン
1を11部位に分割し(マネキンを仮想的に分割すれば
良く、実際に分割する必要はない)、各部位表面に6〜
8個の温感センサ2を埋め込まれたものであり、対象環
境下の伝熱特性のうち複合熱伝達率hij及び環境の作用
温度Toijの計測に用いるものである。ここで、対象環
境とは、温感マネキン1による温熱快適性の評価試験を
行なう環境を示している。なお、添字i は温感マネキン
1の部位番号を示しており、添字j は温感マネキン1の
部位毎のセンサ番号を示している。
【0024】なお、この例では、温感センサ2は全身に
合計82個埋め込まれている。また、計測時の温感マネ
キン1は常に裸体にしている。これは、サーマルマネキ
ン法で実測する着衣熱透過効率Fclijは、後述する複
合熱伝達率hijより推算で求めるようにしているからで
ある。2は温感センサであり、図3(a)は温感マネキ
ン1に埋め込まれている温感センサ2を示す斜視図であ
り、図3(b)はその側断面図である。なお、図3
(a),(b)では、受感面5を分かり易くするため模様
を付している。
【0025】この温感センサ2は、内蔵のヒータ3によ
り加熱できるようになっており、且つ、内部温度と表面
温度とを計測できるように構成されている。つまり、こ
の温感センサ2は、内部にヒータ(抵抗体)を用いた発
熱機構3を設け、その周りを断熱のため発砲スチロール
のケース(断熱材製のケース)4で囲ったものである。
また、ヒータ3にはその表面を覆うように、受感面5が
設けられており、この受感面5は熱が伝わりやすい物質
から構成されている。また、7はヒータ線であり、ヒー
タ供給電源(図示せず)に接続されている。
【0026】さらに、6は熱電対であり、この熱電対6
の検出点6aは、図3(b)に示すように、ヒータ3,
ケース4,受感面5の表面にそれぞれ取り付けられてい
る。この熱電対6によって、受感面温度Tsfij,ヒー
タの内部温度Tinij,ケース外面温度Tbijを計測で
きるようになっている。再び図2を参照するが、8はデ
ータロガーであり、温感センサ2からの温度出力が接続
されている。また、9は計測,解析用のパソコンであ
る。
【0027】このような装置を用いて行なわれる本実施
形態の温熱環境測定方法(即ち、温熱快適性の評価法)
について、その評価手順は、次の通りである。図1に示
すように、まず、温感マネキン1を用いた実験によって
温感センサ2の受感面温度(表面温度)Tsfij及び内
部温度Tinijを計測し、この計測結果を用いて人体〜
車室内環境間の複合熱伝達率(hi ) 、車室内の作用温
度(Toi ) を算出し、着衣熱透過効率(Fcli )を
推定する。次に、これらの値を基に人体熱シュミレーシ
ョンを行ない皮膚温度(Tski )と皮膚濡れ率(We
ti )を算出する。更に、得られた各値から温熱快適性
評価指標(以下、SET * i という)を算出する。尚、
Taは車室内温度、RHは相対温度を表す。
【0028】また、各温感センサ2に固有の特性値(a
ij,bij)、マネキンの伝熱特性値(αij,βij,γi
j,δij)は、予め1度だけ検定しておくようにしてい
る。なお、マネキンの伝熱特性値(αij,βij,γij,
δij)は、サーマルマネキン101を用いて求めるよう
にしている。すなわち、図1に示すように、ステップS
1では、温感センサ2に備えられているヒータ3を非加
熱とし、このような非加熱状態において、各温感センサ
2毎に受感面温度(表面温度)Tsfij及び内部温度T
inijを計測する(非加熱時環境計測工程)。
【0029】ステップS2では、温感センサ2に備えら
れているヒータ3を加熱し、このような加熱状態におい
て、各温感センサ2毎の受感面温度(表面温度)Tsf
ij及び内部温度Tinijを計測する(加熱時環境計測工
程)。ステップS3では、ステップS1及びステップS
2において計測された各温感センサ2毎の受感面温度
(表面温度)Tsfij及び内部温度Tinijに基づき、
各温感センサ2毎の複合熱伝達率hijを演算する(セン
サ熱伝達率演算工程)とともに、ステップS1及びステ
ップS2において計測された各温感センサ2毎の受感面
温度(表面温度)Tsfij及び内部温度Tinijに基づ
き、各温感センサ2毎の作用温度Toijを演算する(セ
ンサ作用温度演算工程)。
【0030】つまり、複合熱伝達率hij,作用温度To
ijの演算(温感マネキンによる伝熱特性の計測)は、以
下に示すようにして行なうようにしている。ここでは、
受感面5から外部への放熱量を求めるため、図4に示す
ように、温感センサ2を受感面5への伝熱とケース4へ
の伝熱を考慮した一次元伝熱モデルで近似することにし
ている。1aはマネキンのボディを、3はヒータを、4
はケースを、5は受感面をそれぞれ示している。なお、
図4では、図3(a),(b)と対応するように受感面5
に模様を付している。
【0031】温感センサ2内部の熱平衡が次式(1)で
与えられる。なお、Qinijはヒータの発熱量を、Ti
nijは内部温度を、Tsfijは受感面温度を、Tbijは
ケース外面温度をそれぞれ示している。また、aij,b
ijは、幾つかの異なる環境下でセンサ毎にヒータの発熱
量Qinij,内部温度Tinij,受感面温度Tsfij,
ケース外面温度Tbijを計測した結果を回帰して求めら
れた温感センサ2内部の熱貫流率を示している。熱貫流
率aij,bijの検定方法については後述する。
【0032】 Qinij=aij・(Tinij−Tsfij)+bij・(Tinij−Tbij) ・・・(1) また、受感面での熱平衡は、受感面5から外気への熱伝
達と受感面5から温感センサ2内部への熱伝導とを考
え、次式(2)で与えられる。 hij・(Tsfij−Toij)+aij・(Tsfij−Tinij)=0 ・・・(2) これより、複合熱伝達率hij及び作用温度Toijを求め
るため、同一の環境でヒータ3を作動させずに計測する
と、定常状態での熱平衡は式(2)と同様に次式(3)
のようになる。
【0033】 hij・(Tsf′ij−Toij)+aij・(Tsf′ij−Tin′ij)=0 ・・・(3) ここで、熱貫流率aijは予め求めた値を用い、ヒータ3
の加熱状態における受感面温度Tsfij,内部温度Ti
nij及びヒータ3の非加熱状態における受感面温度Ts
f′ij,内部温度Tin′ijを計測する。式(2)と式
(3)とは、複合熱伝達率hij及び作用温度Toijを未
知数とした連立方程式となり、その解は次式(4),
(5)で与えられる。
【0034】 hij=aij・[(Tinij−Tin′ij)−(Tsfij−Tsf′ij )] /(Tsfij−Tsf′ij) ・・・(4) Toij=(Tsfij・Tin′ij−Tsf′ij・Tinij) /[(Tsfij−Tsf’ij)−(Tinij−Tin’ij )] ・・・(5) ここで、温感センサの熱貫流率aij、bijの検定につい
て説明する。なお、図5に示すように、特性値検定試験
は気温、湿度が任意に制御でき、対流、輻射条件を変更
できる環境試験室で行なうようにしている。この環境試
験室は、温度は10〜40度の範囲で、湿度は30〜9
0%の範囲でそれぞれ制御できるようになっており、ま
た、日射能力は700kcal/(h/m2 )、送風機
能力は0〜5m/sになっている。
【0035】熱貫流率aij、bijの検定は、日射無しで
気温と対流の条件を変更し、受感面温度Tsfij,内部
温度Tinij,ケース外面温度Tbij及びヒータの発熱
量Qinijを計測し、この計測値を式(1)に代入し、
回帰によりaij,bijを求める。つまり、図6に示すよ
うに、次式 X=(Tinij−Tsfij)/(Tinij−Tbij), Y=Qinij/(Tinij−Tbij) を用いてX,Yの値を求め、Xの値を横軸に、Yの値を
縦軸にとり各点を結ぶと直線Cになる。この直線Cは式
Y=aij・X+bijで表すことができ、これによってa
ij,bijを求めるようにしている。なお、環境条件が変
化してもaij,bijは定数として扱えることを示してい
る。
【0036】ステップS4では、ステップS3で求めら
れた各温感センサ2毎の複合熱伝達率hijに基づき、温
感マネキン1の所定部位における複合熱伝達率hi を演
算する(所定部位熱伝達率演算工程)とともに、ステッ
プS3で求められた各温感センサ2毎の作用温度Toij
に基づき、温感マネキン1の所定部位における作用温度
Toi を演算する(所定部位作用温度演算工程)。
【0037】具体的には、部位毎に平均した複合熱伝達
率hi 及び作用温度Toi は、式(4),(5)で求め
たhij及びToijを用い、部位内のセンサを次式
(6),(7)のように加重平均して求めるようにしてい
る。尚、Ni は部位i のセンサ数、またαij、βijは実
験より得られた重み係数で、検定方法については後述す
る。
【0038】
【数1】
【0039】・・・(6)
【0040】
【数2】
【0041】・・・(7) 以上に示した通り、温感センサの出力値である受感面温
度Tsfij,Tsf′ij,内部温度Tinij,Tin′
ijから式(4),(6)を用い複合熱伝達率hiを、式
(5),(7)を用い作用温度Toi をそれぞれ求めるよ
うにしているのである。
【0042】ここで、温感センサの重み係数αij、βij
の検定について説明する。なお、図5に示すように、特
性値検定試験は気温、湿度が任意に制御でき、対流、輻
射条件を変更できる環境試験室で行なうようにしてい
る。重み係数αij、βijの検定は、日射,気温,対流の
条件を変更し、受感面温度Tsfij,Tsf′ij,内部
温度Tinij,Tin′ijを計測し、この計測値を式
(4),(5)に代入して複合熱伝達率hijと作用温度T
oijとを求め、同時にサーマルマネキン101を用い
て、値hT i 、ToT i を求めるようにしている。そし
て、計測値を次式(8),(9)に代入し、各温感セン
サj 毎に、温感マネキン1とサーマルマネキン101と
の相関α′ij及びβ′ijを回帰により求めることとして
いる。なお、添字T は混同を避けるために、サーマルマ
ネキン101で計測した値に付記するようにしている。
【0043】 hT i =α′ij・hij ・・・(8) ToT i =β′ij・Toij ・・・(9) つまり、図7(a)に示すように、複合熱伝達率hijを
横軸に、サーマルマネキン101を用いて計測した複合
熱伝達率hT i を縦軸にとり各点を結ぶと直線Dにな
る。この直線Dは上式(8)で表すことができ、これに
よってα′ijを求めるようにしている。また、図7
(b)に示すように、作用温度Toijを横軸に、サーマ
ルマネキン101を用いて計測した作用温度ToT i を
縦軸にとり各点を結ぶと直線Eになる。この直線Eは上
式(9)で表すことができ、これによってβ′ijを求め
るようにしている。
【0044】さらに、α′ij・hijやβ′ij・Toijを
各部位i 内で平均した値も、hT i、ToT i と一致す
るので、温感センサ2の重み係数αij、βijは次式(1
0),(11)より求めるようにしている。 αij=α′ij/Ni ・・・(10) βij=β′ij/Ni ・・・(11) ステップS5では、ステップS4で求められた所定部位
における複合熱伝達率hi に基づき、着衣熱透過効率F
cli を演算する(熱透過効率演算工程)。
【0045】本温熱環境計測方法では、着衣熱透過効率
Fcli は、着衣熱透過効率Fcli は実測しないで、
モデル式により推定するようにしている。つまり、衣服
の着せ方という人的な不確定要素によるバラツキを排除
するため、着衣熱透過効率Fcli を近似式により推定
するようにしている。これは、着衣熱透過効率Fcli
を計測する場合、皮膚〜衣服間の空気層やしわのでき方
等の影響で、同じ環境条件、同じ衣服の場合でも異なる
値を示すことが考えられるからである。
【0046】具体的には、着衣熱透過効率Fcli は、
着衣時と裸体時の複合熱伝達率hiが等価であると見な
してモデル化し、着衣によって生じた熱抵抗の分だけ複
合熱伝達率hi を補正するようにしている。ここで、複
合熱伝達率hi は、対流熱伝達率hci と輻射熱伝達率
hri とから次式(12)のような関係として表すこと
ができる。
【0047】 hi =hci +hri ・・・(12) これを、次式(13)のように対流熱伝達率hci と輻
射熱伝達率hri に対して、異なる熱透過率Fcli ,
Fclri で補正するようにしている。 Fcli ・hi =Fcli ・hci +Fclri ・hri ・・・(13) これは、実際には衣服表面のひだの凹凸による剥離等に
より対流熱伝達率hci が裸体の場合と異なるため、対
流熱伝達率hci と輻射熱伝達率hri との重み付けは
必ずしも同じにならないと考えられるからである。
【0048】さらに、式(12)より、式(13)は次
式(14)のように変形することができる。 Fcli =(Fclri −Fclci )・hri /hi +Fcli ・・・(14) ここで、熱透過率Fcli ,Fclri は衣服の形状や
材質の特性を反映した定数と考えると、輻射熱伝達率h
ri も定数とみなせるため、式(14)は複合熱伝達率
hi を変数と見なし、次式(15)のように表すことが
できる。
【0049】 Fcli =γi /hi +δi ・・・(15) ただし、γi =(Fclri −Fclci )・hri =
const.、δi =Fclci =const.。 本温熱環境計測方法では、予め代表的な衣服を着けたサ
ーマルマネキン101を用いて比例定数γi ,δi を求
めておき、式(6)で求めた複合熱伝達率hiを式(1
5)に代入し、着衣熱透過効率Fcli を推定するよう
にしている。
【0050】ここで、着衣効果特性係数γi ,δi の検
定について説明する。図5に示すように、特性値検定試
験は気温,湿度が任意に制御でき、対流,輻射条件を変
更できる環境試験室で行なうようにしている。着衣効果
特性係数γi ,δi の検定は、代表的な衣服を着けたサ
ーマルマネキン101を用い、対流条件を変更して部位
i のhT i とFclT i を計測し、計測値を式(15)
に代入して回帰によりγi 、δi を求めるようにしてい
る。
【0051】つまり、図8に示すように、複合熱伝達率
hi を横軸に、着衣熱透過効率Fcliを縦軸にとり各
点を結ぶと曲線Fになる。この曲線Fは式Fcli =
(γi/hi )+δi として表すことができ、これによ
ってγi ,δi を求めるようにしている。なお、複合熱
伝達率hi の最小値を示すデータは自然対流下で計測さ
れている。実際には、式(15)の関係は実線の範囲で
成立している。
【0052】ステップS6では、車室内の代表位置での
空気温度(車室内温度)Taと相対湿度RHを計測す
る。ここでは、車室内の絶対湿度はほぼ均一であるとみ
なしている。ステップS7では、人体熱平衡シミュレー
ションを行なう。つまり、上述したようにして算出され
た複合熱伝達率hi ,作用温度Toi ,着衣熱透過効率
Fcli を、以下に示すような人体〜環境間の熱平衡方
程式に代入することによって、体表温度Tsk,体表の
濡れ率Wetを算出するようにしている。
【0053】ここで、人体全体の熱平衡は、人体内部の
蓄熱量(S),代謝量(M),対流伝熱量(C),輻射
伝熱量(R),発汗による放熱量(Esw),呼吸によ
る放熱量(Eres)を用い次式(16)で与えられ
る。なお、S=0となる状態が熱的に平衡な状態を表す
ことになる。 S=M−( C+R+Esw+Eres) ・・・(16) 図9は熱平衡モデルを示すものである。ここでは、Ga
ggeのモデルをベースに、人体〜環境間の熱平衡を表
す外部モデル、人体内部の熱輸送を表す内部モデル、人
体の体温調節を表す体温調節モデルに分けて考えるよう
にしている。
【0054】外部モデルは、次のようにモデル化する。
ここで、hcは対流熱伝達率,Paは大気の飽和水蒸気
圧,RHは大気の相対湿度,Fpclは着衣透湿効率,
Plungは肺の飽和水蒸気圧である。 C+R=Fcl・h・(Tsk−To) ・・・(17) Esw=Fpcl・{2.2・hc・(0.06+0.94・Wet) ・(Psk−RH・Pa)} ・・・(18) Eres=M・{0.0023・(Plung−RH・Pa)} ・・・(19) 内部モデルは、体内蓄熱量を体表(Ssk)と体核(S
cr)の2層に分け、各層内の熱移動は熱伝導と血流に
よる伝熱に分けてモデル化している。ここで、Tcrは
体核温度、Kminは体内の熱貫流率、Cblは血流の
比熱、Vblは血流量を表す。
【0055】 S=Ssk+Scr ・・・(20) Ssk=Kmin・(Tcr−Tsk) +Cbl・Vbl・(Tcr−Tsk) −(C+R+Esw) ・・・(21) Scr=M−Eres−〔Kmin・(Tcr−Tsk) +Cbl・Vbl・(Tcr−Tsk)〕 ・・・(22) つまり、式(21)は、体核から体表への移動熱量と体
表から環境への放熱量のバランスを表し、式(22)
は、代謝量と呼吸による放熱量と体核から体表への移動
熱量のバランスを表している。
【0056】体温調節モデルでは、血流量Vbl,発汗
量Gsw,代謝量Mのそれぞれの調節は、DskとDc
rの関数として、以下に示すようにモデル化している。
ここで、Dsk=Tsk−34.1,Dcr=Tsk−
36.6としており、制御目標値との偏差を表してい
る。 Vbl=(6.3+75.0・Dcr)/(1.0−0.5・Dsk) ・・・(23) Gsw=k・250.0・Dcr+100・Dcr・Dsk(k=0or1) ・・・(24) M=Mb+(60.0・Dsk・Dcr)/(0.86・As) ・・・(25) ここで、Mbは基礎代謝量、Asは体表面積を表す。
【0057】尚、濡れ率Wetは発汗量GswとDsk
とを用いて、以下のように与えられる。 Wet={0.7・Gsw・2.0Dsk/3 } /{2.2・hc・(Psk−RH・Pa)} ・・・(26) 上記(16)〜(26)式を解いて体表温度Tsk,濡
れ率Wetを求めることができる。
【0058】ステップS8では、温熱快適性評価指標S
ET* を算出する。つまり、上述のようにして算出され
た体表温度Tsk,濡れ率Wetを、以下の式(2
7),(28)に代入して、SET* を算出するように
している。任意環境下での、皮膚からの放熱量(Q)は
次式(27)で得られる。 Q=C+R+Esw =Fcl・h(Tsk−To) +Fpcl・[2.2・hc・(0.06 +0.94・Wet)(Psk−RH・Pa)] ・・・(27) SET* は、Qを標準環境下(日射無,風速0.1m/
s,湿度50%,着衣率0.6clo)に換算した空気
温度として次式(28)より与えられる。なお、Pse
tは気温SET* 時の飽和水蒸気圧を、Fcls,h
s,Fpcls,hcsはそれぞれ標準環境下のFc
l,h,Fpcl,hcを示している。
【0059】 Q=Fcls・hs(Tsk−SET* ) +Fpcls・[2.2・hcs・(0.06+0.94・Wet)(Psk-0.5・Pset)] ・・・(28) 本温熱環境計測方法では、温感マネキン1の部位毎の伝
熱特性が全身の伝熱特性の平均値であると想定した、W
yonらが提唱したEHT(等価均一温度)と同様の考
えに基づき、温感マネキン1の部位毎の各計測値、算出
値を式(27),(28)に代入し、温感マネキン1の部
位毎のSET* を求めるようにしている。
【0060】このようにして行なわれる本温熱環境計測
方法によれば、サーマルマネキン法によりも簡便に人体
〜環境間の伝熱特性を計測できるという利点がある。つ
まり、サーマルマネキン法において行なわれる予備試験
を行なう必要がなく、対象環境下における本試験のみ行
なえば足りるため、計測法を簡素化することができ、人
体各部位毎の熱伝達率hi 及び作用温度Toi を簡便
に、かつ効率的に求めることができるという利点があ
る。
【0061】また、複数のヒータ付き温感センサ2を使
用するので、温感センサ2の熱容量が小さく、熱平衡に
達する時間が短くなり、計測時間を大幅に短縮できると
いう利点がある。また、複数の温感センサ2毎に求めた
熱伝達率hij及び作用温度Toijに基づき所定部位の熱
伝達率hi 及び作用温度Toi を求めるようにしている
ので、所定部位における熱伝達率hi 及び作用温度To
i を簡便に演算できるとともに、計測精度を十分に確保
することができるという利点がある。
【0062】さらに、温感マネキン1は人体の形状さえ
再現できればいいため、その製造が容易であるという利
点がある。その上、簡易的に着衣効果を求める近似式を
導出したため、所定部位における着衣熱透過効率Fcl
i を簡便に演算でき、計測効率が向上するという利点が
ある。
【0063】また、データ収集装置があれば計測できる
ため、簡素な装置において容易に計測を行なえるという
利点がある。また、本温熱環境計測方法によればSET
* の算出は、以下の〜に示すようにして行なわれ
る。 対象環境にさらされた車室内に温感マネキンをセット
する。
【0064】ヒータ加熱、非加熱でTsfij,Tin
ij,Tsf′ij,Tin′ijを計測する。この時、代表
位置でTa,RHを計測する。 計測値と、式(4)〜(7)を用い、hi ,Toi を
算出する。 hi と式(15)を用いFcli を算出する。 計測値を式(16)〜(26)に代入し、Tski ,
Weti を算出する。
【0065】求めた値を式(27),(28)式に代入
しSET* i を算出する。 このようなにして行なわれる本温熱環境計測方法によれ
ば、のプロセスの完了後、〜のプロセスでSET
* を算出するのに要する時間は1ケースにつき30分程
度であり、サーマルマネキン法に比べ1/5以下の時間
に短縮することができるため、温熱快適性の評価を効率
的に行なうことができるようになる。
【0066】この点について、以下の表2に基づいて説
明する。
【0067】
【表2】
【0068】この表2に示すように、温感マネキン法に
よれば、マネキンの内部温度を一定に制御する必要がな
いため、サーマルマネキン法で必要とされるソーク時間
は不要である。また、計測時間が短く、試験効率を考慮
する必要がないため、予備試験も不要である。また、対
象環境下において、熱伝達率hi ,作用温度Toi ,着
衣熱透過効率Fcli を求めるべく本試験が行なわれ
る。この本試験の計測回数としては、1条件につき2回
としている。これは、上述したように、熱伝達率hij,
作用温度Toijを求めるのに、加熱状態と非加熱状態に
おいて温度の計測を行なう必要があるからである。
【0069】また、計測時間は約5分としている。これ
は、ヒータ発熱量を電力量として求めているからであ
り、データを平均化するためのサンプルを取るためであ
る。また、計測間隔は約15分としている。これは、ヒ
ータ3を加熱して温度が安定するまでに15分程度かか
るからである。したがって、温感マネキン法によれば、
1条件の試験を合計25分程度で行なうことができ、サ
ーマルマネキン法と比べて大幅に試験時間を短縮できる
ことがわかる。また、温感マネキン法では予備試験を行
なう必要がないため、サーマルマネキン法と比べて計測
工数を大幅に減らすことができるということがわかる。
【0070】このようにして算出されたSET* の精度
について検討すると、図10(a)〜(d)は温感マネ
キンを用いて計測したSET* とサーマルマネキンを用
いて計測したSET* とを比較して説明するためのもの
である。図10(a),(b)は主流風速0.0m/s
の場合、即ち、殆ど風がない自然対流条件の場合を、図
10(c),(d)は主流風速3.0m/sの場合、即
ち、空調風が強い強制対流条件の場合をそれぞれ示して
いる。
【0071】また、図10(a)〜(d)中、横軸はS
ET* を示しており、縦軸はマネキンの部位を示してい
る。また、線Aは温感マネキン1の場合を、線Bはサー
マルマネキンの場合をそれぞれ示している。ここでは、
マネキンを頭(Head),胸(Chest),腰(H
ip),二の腕(U.Arm),腕(F.Arm),も
も(Thigh),足(Leg)に分割している。
【0072】なお、試験の環境条件としては、温度24
度,湿度50%,日射無,夏用着衣(半袖作業着)とし
ている。これによると、偏差は±2°C以内であり、自
然対流下においても強制対流下においてもほぼ一致した
結果を示している。SET* と温熱快適性の関係(例え
ば、AHSRAEのデータであるSET* と快適性申告
の関係)から、理想的なSET* ±2°C以内であれば
75%以上の人が快適と感じる環境であるため、開発試
験に適用するには十分な精度であると考えられる。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の温熱環境計測方法によれば、計測法を簡素化する
ことができ、熱伝達率及び作用温度を簡便に、かつ効率
的に求めることができるという利点がある。また、複数
のヒータ付き温感センサを使用するので、熱平衡に達す
る時間が短くなり計測時間を大幅に短縮できるという利
点がある。また、複数の温感センサ毎に求めた熱伝達率
及び作用温度に基づき、所定部位の熱伝達率及び作用温
度を求めるようにしているので、計測精度を十分に確保
することができるという利点もある。
【0074】
【0075】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における温熱環境計測方法
の計測、計算手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態における温熱環境計測方法
の計測方法を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態において使用する温感セン
サを示す図であって、(a)はその斜視図であり、
(b)はその側断面図である。
【図4】本発明の一実施形態において使用する温感セン
サの伝熱モデルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における温感マネキン特性
値の検定試験を行なう環境試験室を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態における温感センサの熱貫
流率aij,bijを求めるための図である。
【図7】本発明の一実施形態における温感マネキンとサ
ーマルマネキンとの相関を求めるための図であり、
(a)は相関α′ijを、(b)は相関β′ijを求めるた
めの図である。
【図8】本発明の一実施形態における着衣効果特性係数
γi ,δi を求めるための図である。
【図9】本発明の一実施形態において使用する熱平衡モ
デルを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態における温感マネキンを
用いて計測した温熱快適性評価指標(SET* )とサー
マルマネキンを用いて計測した温熱快適性評価指標(S
ET* )を比較するための図であって、(a),(b)
は主流風速が0.0m/sの場合を、(c),(d)は
主流風速が3.0m/sの場合をそれぞれ示している。
【図11】従来のサーマルマネキン法を説明するための
図であって、(a)はサーマルマネキン法による実験に
使用される装置を示す模式図であり、(b)はサーマル
マネキンの断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 温感マネキン(マネキン) 1a 温感マネキンのボディ 2 温感センサ 3 ヒータ 4 ケース(断熱材製のケース) 5 受感面 6 熱電対 7 ヒータ線 8 データロガー 9 計測,解析用パソコン 10 空調装置 11 日射装置 12 送風機 101 サーマルマネキン 102 制御装置 103 ヒータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−131653(JP,A) 特開 平5−87386(JP,A) 特開 平6−117882(JP,A) 特開 平6−147937(JP,A) 特開 平7−27404(JP,A) 特公 昭60−12569(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01D 21/00 F24F 11/02 103 G01K 17/00 G01W 1/17

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内蔵のヒータにより加熱可能で且つ内部
    温度と表面温度とを計測可能に構成された複数の温感セ
    ンサをマネキンの所定部位に埋設し、上記マネキンの上
    記所定部位における温熱環境を計測する温熱環境計測方
    法であって、 非加熱状態における表面温度と内部温度とを上記各温感
    センサ毎に計測する非加熱時環境計測工程と、 加熱状態における表面温度と内部温度とを上記各温感セ
    ンサ毎に計測する加熱時環境計測工程と、 上記各温感センサ毎に計測した非加熱状態における表面
    温度及び内部温度と加熱状態における表面温度及び内部
    温度とに基づき各温感センサ毎の熱伝達率を演算するセ
    ンサ熱伝達率演算工程と、 上記各温感センサ毎に計測した非加熱状態における表面
    温度及び内部温度と加熱状態における表面温度及び内部
    温度とに基づき各温感センサ毎の作用温度を演算するセ
    ンサ作用温度演算工程と、 上記マネキンの上記所定部位における熱伝達率を上記各
    温感センサ毎の熱伝達率に基づき演算する所定部位熱伝
    達率演算工程と、 上記マネキンの上記所定部位における作用温度を上記各
    温感センサ毎の作用温度に基づき演算する所定部位作用
    温度演算工程と、 を有することを特徴とする、温熱環境計測方法
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