JP3284263B2 - マイクロ波加熱装置 - Google Patents
マイクロ波加熱装置Info
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Description
されるマイクロ波加熱装置、特に被加熱食材に対する加
熱むらを低減させるために該被加熱食材に霧化水を噴霧
する機能を備えたマイクロ波加熱装置に関するものであ
る。
にマイクロ波を照射して加熱調理を行う場合、従来よ
り、被加熱食材が均等に加熱されない、いわゆる加熱ム
ラが殆どの加熱調理形態において発生することが知られ
ているが、このマイクロ波加熱を行う際に発生する加熱
ムラには、大要、次の3種類の要因が考えられる。すな
わち、(1) 電子レンジは、マグネトロンで生成されたマ
イクロ波を導波管を経由して加熱室内に放出することに
より、該加熱室内に収容された被加熱食材にマイクロ波
を照射するように構成されているが、加熱室は一般に直
方体状に形成されており、また、被加熱食材は該加熱室
内の中心に置かれるものであるため、加熱室の片隅に偏
した位置に設置された導波管から被加熱食材に対してマ
イクロ波を均等に照射することは困難であること、ま
た、(2) 被加熱食材は、極めて多彩な形態のものが存在
しており、そのなかで特に長細い食材、背の高い食材、
一部が窪んだ食材等のように、マイクロ波を均等に照射
することが困難な形状の食材があること、さらに、(3)
大半の被加熱食材において、該食材固有の誘電体損失係
数が部分的に異なっていること、が考えられる。
り、電子レンジ庫内壁、すなわち加熱室の壁面形状を工
夫することにより、基本的には、該加熱室の中心に置か
れた被加熱食材に均等にマイクロ波が照射されるような
設計が施されてはいるものの、直方体状の内壁を備えた
電子レンジでは、食材から見て全方向とも完全に均等な
照射を得ることは困難である。
い突起状を呈する食材の場合、その尖った形状に起因す
るところにより、マイクロ波はそれをアンテナとして集
中することが多く、食材のその他の部分に比ベ過加熱状
態になりやすい。また、前述のように加熱室の中心域に
食材を置いた場合を想定して、該食材にマイクロ波が極
力均等に照射されるように設計されているので、背が高
いものや長細く内壁まで達するような形状の食材では、
加熱室の床面中心付近に位置した食材部分と同等にマイ
クロ波を照射することは困難である。
電体損失係数は常温の水が最大であるが、食材の種類に
よって大きく異なっている。したがって、牛や豚の肉塊
を例にとると、赤身部分と脂肪部分が顕著に分離してい
る場合、誘電体損失係数は両方の部分で大きく相違して
おり、このため同等にマイクロ波が照射されても加熱温
度に差が生じてくる。また、弁当のように単一容器に多
種類の食材が混在している場合、それぞれの食材に同量
のマイクロ波が照射されたとしても、調理完了時の仕上
がり温度が異なってくる。
次のような種々の対策が施されてきた。すなわち、 加熱室内壁面に若干の凹凸面を有する形状に形成
し、マイクロ波の反射方向を微妙に調整するもの、 導波管のマイクロ波出口にスタラー板と呼ばれる回
転円盤を設置し、回転に伴いマイクロ波の照射方向を徐
々に変化させていくもの、 加熱室の天板または側壁上部に、スタブと呼ばれる
突起を部分的に形成し、マイクロ波の照射方向を非加熱
食材が載置される加熱室内の領域に意図的に歪めるも
の、 また、前記スタブを直線移動あるいは回転移動する
可動式に構成することによりマイクロ波照射方向を徐々
に変化させるもの、 導波管のマイクロ波出口開口部を特殊な形状に形成
することにより、マイクロ波出口でマイクロ波の放射方
向を変えるもの、 加熱室の底面に非加熱食材載置用のターンテーブル
を設け、マイクロ波照射に均一性がなくても、ターンテ
ーブルが回転することにより食材自体を回転させて加熱
むら防止を図るもの、 ターンテーブルを回転のみでなく、上下方向にも運
動するものとして、非加熱食材に3次元的な運動を与え
るもの、 マイクロ波の照射強度を時間の経過とともに変化さ
せたり、あるいは照射休止期間を設ける等の照射形態と
し、照射強度の弱い時間帯や休止時間帯を利用して、非
加熱食材内における熱伝導によって、加熱が強く及んだ
部位と弱かった部位との温度差を緩和していくもの、 等の諸種の対策を講じることにより、マイクロ波照射時
に生じる加熱むらの低減化を図っていた。
食材の加熱むらの発生を低減する上記〜の構成では
以下に述べるような問題点があり、実際に任意の食材を
マイクロ波照射によって加熱した場合、食材の加熱状況
に応じて対処することができるまでには至っていないの
が現状である。
策は、加熱むら抑制のための機械的構成を付加するもの
であり、被加熱食材が加熱室中央に置かれ、しかも該食
材のいずれの部分も誘電体損失係数が均一で、そのうえ
ドーム状の理想的な形状を呈しているというように、非
加熱食材に要請される諸条件が理想的に整っている場合
は、加熱むらを最大限に抑制することが可能である。し
かし、実際には非加熱食材は言うまでもなく、その形状
も多種多様であり、誘電体損失係数が部分的に大きく異
なる場合もあるため、必ずしも加熱むらに対して満足な
提言策とは言えないものであった。
は、非加熱食材に運動を付与したり、マイクロ波に強弱
をつけるものであるため、任意の非加熱食材が対象であ
る場合にも、〜の対策と比較して、加熱むらの低減
効果がより優れていると言える。しかし、近年の高能力
な電子レンジにおいては、旧来のものと比べて調理時間
が著しく短縮されているため、ターンテーブルの回転数
が未だ充分とは言えない加熱開始から僅かの時間のうち
に加熱調理が完了してしまう。このため、マイクロ波の
照射むらが非加熱食材の加熱に与える影響が大きく、食
材内において熱伝導によって熱量が均等に分散しきれな
いうちに調理が終了すると言う不都合が生じる虞れが大
きい。
熱形態や、加熱室の構成に工夫を加えるものとは異な
り、非加熱食材に霧化した水を付着させることにより加
熱むらを緩和するようにしたものが、例えば特開昭62
−206789号公報の「高周波加熱装置」や、実開平
1−9802号公報の「マイクロ波加熱調理器」に開示
されている。
を備えたものでは、電子レンジ庫外で生成された霧化水
を、加熱室に設けられたファンで生起した気流に乗せて
加熱室内に吹き出すことにより、食材全体に霧化水を付
着させるようになっている。この構成によると、非加熱
食材を加湿することができ、また、食材の部分過加熱を
抑制するという利点がある。
おり、食材中の個々の部位において誘電体損失係数が種
々異なっているような混在食材の場合、食材のいずれの
部分に対しても変化なく一本調子でマイクロ波を照射す
ると、少なからず加熱むらが発生することになる。ま
た、このような条件での加熱むらは、実際にある程度の
加熱を行わないと全く予想がつかない、つまり調理して
みなければ加熱むらの状態が判らないという問題点もあ
る。
る手段について、特願平8−017385号の「調質装
置付き調理装置及び調質方法」において、シリカゲルな
どの吸着材で吸着された水分をヒータ加熱により水分再
生し、加熱室に放出するという技術的手段を開示してい
る。しかしながら、この手段により、加熱室の湿度環境
を任意に制御することが可能ではあるが、これにより食
材Fの加熱むらが低減できるものではない。
問題点を解決するためになされたもので、被加熱食材が
収容される加熱室と、加熱室内に前記被加熱食材加熱用
のマイクロ波を導入するマイクロ波発生手段と、マイク
ロ波発生手段による前記加熱室内へのマイクロ波導入時
に前記被加熱食材の一部領域に向けて霧化水を噴霧する
スポット噴霧手段とを具備する構成としており、マイク
ロ波加熱中に、誘電体損失係数が最大とされる霧化水を
被加熱食品の一部に吹き付けることにより、吹き付けら
れた部位のマイクロ波吸収の効率を高め、加熱むらを能
動的に補正するものである。
した実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図
1は本実施形態に係る電子レンジの基本的構成の概要を
示している。この図に示す電子レンジは、図示省略した
レンジ本体外殻内に設けられた直方体状の加熱室1の底
板1a上の中心部にターンテーブル2が配備されてい
る。また、図示省略した加熱室1の天井板にはマイクロ
波発生手段の導波管開口部3が臨んでいる。マイクロ波
発生手段は、加熱室1外に配備されたマグネトロンと導
波管(ともに図示せず)とを具備するもので、マグネト
ロンで生成されたマイクロ波が導波管を経て前記開口部
3から加熱室1内に導かれる。
中、粗い破線aで示すように、加熱室1の側壁1bやタ
ーンテーブル2、被加熱食材Fで反射を繰り返し、この
反射成分と導波管開口部3から放射されるマイクロ波と
が重畳してできた定在波により、ターンテーブル2上の
食材Fが加熱される。
のノズル4a(図7参照)が臨む噴霧口5が設けられてい
る。なお、この噴霧口5は、加熱室1の側壁1b以外に
も天井板に設置してもよく、その設置部位は側壁1bま
たは天井板の任意の1箇所乃至複数箇所であり、スポッ
ト噴霧器4の噴霧方向を決定するノズル4aは被加熱食
材Fの一部の領域を狙う角度でもって取り付けられる。
Wは噴霧口5から被加熱食材Fの一部領域に向けて噴射
される霧化水噴霧経路を指している。
Fの一部領域は、予め設定された加熱むらが起こりやす
い領域を指しているが、例えばターンテーブル2を備え
ていないことにより加熱むらが潜在的に生じる電子レン
ジにおいては、被加熱食材Fから見て加熱むらが起こり
やすい面に霧化水が正しく吹き付けられるようにノズル
4aが設置されることになる。また、本実施形態のよう
にターンテーブル2を備えたものであっても、食材Fの
一部領域はターンテーブル2のないものに準じる。
るアルカリイオン水が貯留された水タンク6と給水管7
を介して連通連結されており、マイクロコンピュータか
らなる中央制御部8から送られる指令信号pによって動
作制御される。すなわち、図示省略したスタートボタン
をONすると、中央制御部8からマイクロ波発生手段を
動作させる信号qが送られ、加熱室1内にマイクロ波が
導入される。これと同時に、中央制御部8からスポット
噴霧器4に指令信号pが送られ、ノズル4aから被加熱
食材Fの一部領域に向けて霧化水が噴霧される。また、
水タンク6内の残り水量等の情報rは中央制御部8で監
視されている。
めの非接触温度センサであって、加熱室1内に所定角度
で臨む受光部9aと、検知信号増幅回路や検知温度補正
回路等を備えた検知信号処理回路9bとにより構成され
ている。なお、受光部9aは一般にフレネルレンズが用
いられ、このレンズにより検知範囲を所定の面角に限定
している。Aは受光部9aが検知する被加熱食材F上の
視野であり、Bは視野Aに含まれる被加熱食材Fの表面
―部から放射される赤外熱線を指している。また、sは
温度センサ9で検知し、中央制御部8に送られる被加熱
食材Fの表面温度信号である。さらに、tはターンテー
ブル2の回転に対する中央制御部8からの駆動制御信号
及び回転位置検出信号である。
の部分加熱を原理的に示している。本実施形態では、ま
ず、図2(A)に示すように、被加熱食材Fの内容に応じ
て必要な加熱時間のうち、半分の時間を費やして、まず
マイクロ波加熱により、ある程度の食材Fの加熱を行
う。次に、図2(B)に示すように、必然的に生じてしま
う加熱むら、つまり全体の加熱度合、加熱むらにより比
較的他の部分より低温の部分を温度センサ9により検出
する。
のために他の部分より加熱不足の部分に対して、部分的
に霧化水をスポット噴霧し、この後、図2(D)に示すよ
うに、マイクロ波により必要な加熱時間の残り半分の加
熱を行う。この際、スポット噴霧器4による噴霧処理を
施した霧化水が付着している食材部分は、特に誘電体損
失係数が大きくなるため、マイクロ波が強く作用する。
これにより、霧化水を施した部分は、施さなかった部分
より速く温度上昇するので、加熱むらを効果的に低減さ
せることができる。
調理時の概略の処理の流れを示している。まず、加熱調
理を開始した後、食材Fによる所定の加熱時間の半分で
マイクロ波加熱を行う(ステップ#1、#2)。次に、温
度センサ9で食材Fの表面温度をターンテーブル2の1
周分のメモリ保存しながら検知する(ステップ#3)。さ
らに、食材Fに加熱むらが生じているかどうか所定の基
準で判断し、加熱不足部分をターンテーブル2の次の周
回から探す(ステップ#4、#5)。
に入ったら、ターンテーブル2の回転を低速または停止
し、噴霧処理が正確に行いやすくする(ステップ#6、
#7)。次いで、霧化水を噴霧する量だけ食材Fの表面
温度と同等に加熱し、食材Fの加熱不足部分に噴霧する
(ステップ#8)。最後に、ターンテーブル2の回転を通
常速度に戻し、食材F表面温度と霧化水噴霧量から、マ
イクロ波加熱時間の残り半分を適正時間に補正して、残
り時間のマイクロ波加熱を行う(ステップ#9、ステッ
プ#10)。なお、図3中、ステップ#9のTTはター
ンテーブル2を省略して表示したものである。
サ9等の各部の構成、機能及び動作をより具体的に説明
する。
と、マイクロ波による加熱中に、霧化水が被加熱食材F
の一部領域に吹き付けられる。すなわち、―般に電子レ
ンジは、1箇所乃至2箇所の点から加熱室1にマイクロ
波が放射されるが、直方体状に形成された加熱室1の内
壁を反射面として、室内中央に載置され種々の形態の被
加熱食材Fを加熱するのであるが、食材全域にわたって
均等な加熱を施すことは非常に困難であり、したがって
加熱むらは多かれ少なかれ発生する。食材Fの熱容量が
大きい場合、当然、加熱時間が長くなるが、加熱時間が
長いほど加熱むらによる温度差は拡大する。
霧化水噴霧処理を施すことにより、その温度差が小さく
なるようにしている。この場合、水は一般的な被加熱食
材Fよりもマイクロ波における誘電体損失係数が大きい
とされているが、この水(霧化水)を、加熱途上において
生じた加熱むらによって加熱度合が遅れている食材部分
に吹き付けることで、吹き付け後は吹き付けた部分がマ
イクロ波をより吸収しやすいため、加熱むらを能動的に
補正することができるものである。
る手段としては、図4(A)に示すように、水タンク6か
ら供給された水を蒸気発生器4bで加熱して蒸気を生成
し、ノズル4aに供給するものがある。この構成は、蒸
気発生器4bによって高温蒸気が得られるが、高温蒸気
はマイクロ波に対する誘電体損失係数が低くなることが
知られており、ノズル4aから被加熱食材Fの一部領域
に霧化水を吹き付けて加熱むらを微妙に補正する場合に
有効である。
に貯蔵された水を浅いトレイ(図示せず)に導き、振動
アクチュエータ4cにより超音波で水面を叩くことによ
り飛散させて、霧化水とするものがある。この場合、低
温水を微細化して飛散させるため、マイクロ波に対する
誘電体損失係数が高い状態を維持して食材Fに噴霧する
ことができる。したがって、加熱むらを効率良く補正す
る場合に有効である。
供給源4dから供給された圧縮気体によって水を飛散さ
せるものがある。圧縮気体供給源4dとしては、成分に
よっては気体を圧縮して液化状態として貯蔵するボンベ
等の圧力容器や、圧縮済み気体が封入されたボンベを別
途用意し、事前に該ボンベを組み込むようにしたもの、
あるいは電動ポンプ等で周辺の空気を採取して圧縮空気
を生成する手段等を用いることができる。
とともに、ノズル4aの直前で、水タンク6の水と合流
する水路を形成し、圧縮気体の放出に伴う圧力によって
霧化用水を吸い上げ、加熱室1に共に放出して霧化水と
することができる。
示した三者中、最も勢いの良い噴霧形態であり、加熱む
らによる部分加熱のポイントを小さく限定したい場合に
は有効である。また、ターンテーブル2を併用したり、
高能力マイクロ波加熱を行う場合には、所定の水分の噴
霧処理を極短時間で行わなければならないが、その場合
にも有効な手段となる。
量と比較して極めて微量であるため、主たる食材加熱に
は影響を及ぼさないが、加熱水とすることなく霧化する
と、食材Fは霧化水により即座に熱を奪われ、その部分
だけより冷ましてしまうという逆作用が生じることにな
る。
なる温度の霧化水を噴霧すると、低温時と高温時のそれ
ぞれの場合に、次のような不具合が懸念される。すなわ
ち、霧化水が低温の場合、霧化水によって本来加熱むら
で加熱不足の部分が更に低温となってしまう。逆に、高
温の場合、霧化水温度の影響で食材Fが調理完了目標温
度に早期に達してしまい、加熱完了時には食材Fは加熱
不足となる。これでは、霧化水がそのまま残って水っぽ
い仕上がりとなり、味や色を損なうこともありうる。そ
こで、食材Fの温度と霧化水の温度を近似させることに
より、上記のような懸念を解消することができる。
は、霧化水に要する水量(数cc程度)を加熱するには過大
である。このため別の手段によって霧化水の加熱量を制
御して適温にする必要がある。この霧化水の加熱は、霧
化する前の段階で行うが、上記したように、その温度
は、被加熱食材Fの加熱むらで加熱不足が生じた部分の
表面温度に近似させ、冷まさせず、且つ余計な加熱をし
ないようにすることが望ましい。
ように、水タンク6とスポット噴霧器4間の給水管7の
周囲に配されたヒータ10によって構成し、水タンク6
内の水をヒータ10によって加熱することにより蒸気化
して霧化水を生成することができる。このように霧化水
の温度をヒータ10によって適度に加熱することによ
り、霧化水を食材Fに噴霧することによって食材Fが冷
めてしまうことを防止することができる。
10を用いた単純な加熱方式に代えて、スポット噴霧器
4までの給水管7の一部を加熱室1に露出させ、食材F
を加熱するためのマイクロ波の照射の一部が、この露出
した給水系の一部にも及ぶように構成するようにしても
よい。この露出部分には液相の水が供給されるため、マ
イクロ波が安定して照射するように、最も強く照射され
る部分に淀みを形成し、連続水流とならないようにする
ことが望ましい。但し、水タンク6からスポット噴霧器
4までの給水管7の一部を加熱室1に露出する構成では
比較的効率が低下することになる。
して、図6に示すように、水タンク6内の水を必要量だ
け供給されるトレイ11を加熱室1の壁面1aまたは1
bに沿って設け、このトレイ11の一部にマイクロ波が
照射されるように加熱室壁面に開口部1cを設けた構成
とし、水タンク6から必要水量をトレイ11に抽出し、
開口部1cから水面に及んだマイクロ波によってトレイ
11中の水を加熱して蒸気化するものが挙げられる。こ
の場合、食材加熱用のマイクロ波照射を利用するもので
あるから、霧化水を予備加熱する手段としては比較的安
価で構成できるという利点もある。
熱しようとする1〜2回分をスポット噴霧器4に供給す
る程度の少量の水を収容できるものとし、食材加熱を開
始してから加熱途上で加熱むらが発生し、そのむらを抑
制するために霧化水噴霧処理を行うまでの間に、トレイ
11で予備加熱を行うことになる。
は、食材Fを加熱するための加熱量に比べ非常に微量で
あるため、目的の適温に調整して加熱するには多段階で
マイクロ波がトレイに照射される量を調整できる機構が
必要になる。この調整機構は、マイクロ波に照射される
トレイ11のマイクロ波照射面の形状を一部可変とし
て、マイクロ波の照射度合を適宜変更できるようにする
もので、その照射面の形状可変手段としては、複数のス
リットを有する2枚の板を相対的に摺動させてスリット
開口面積を可変するものが挙げられる。
cの開閉機構を配備したものとすることができる。この
開口部開閉機構は、開口部1cを複数のスリット状窓か
らなるものとし、そのスリット幅とほぼ同じ幅の複数の
遮蔽板12を開口部1cに沿って摺動自在に配設するこ
とにより、スリット幅を可変としたものである。このよ
うにすると、加熱度合をより精度良く微調整することが
できる。
が100%の加熱能力で予備加熱をすると、微量のため
即座に沸騰してしまうこともあり得るため、全開の状態
でもマイクロ波の1波長より十分に狭くし、例えば全開
で4分の1波長とし、全閉までに複数段階で調整するこ
とで適温の霧化水予備水を作ることができる。
いて、上記した霧化水温度を食材Fの表面温度と同等に
することを目的として配備されるもので、食材表面温度
を非接触で検知するものである。すなわち、マイクロ波
による被加熱食材Fの加熱途上での、加熱度合や、いず
れの部分に加熱むらが発生しているかを、温度センサ9
によって食材表面温度を検知することにより、加熱むら
による比較的低温の部分を検知し、霧化水噴霧処理を行
うのである。
型サーミスタ温度センサが挙げられる。このボロメータ
型サーミスタ温度センサは、2つ以上のサーミスタによ
り構成されており、その一方(検知側)は黒色サーミス
タであって、凹面鏡やフレネルレンズ等により輻射赤外
熱線を効率良く吸収する。輻射赤外熱線の受光に影響が
無い他方(補正側)は銀色サーミスタまたは銀色塗料を
塗布した遮蔽板等の構造物であって、被検知物から幅射
する赤外線を直接受光できない構造となっており、周囲
温度の測定または周囲温度の変動補正を目的とする。両
者は直接的または薄いプリント基板を介した間接的に接
触させている。
度で占めており、赤外線受光で変化する量は非常に微妙
である。つまり、検知側と補正側とをそれぞれ別々の位
置に設置すると、異なった周囲温度を検知し、検知結果
は全く信頼性のないものになってしまう。そこで両者の
相対位置関係は可及的に近接させることが望ましい。ま
た、気流を遮断するなど、周囲の温度変化が起きにくい
構造を取ることが望まれる。
れば、瞬時の被検知物の温度変化にも対応できるが、受
光量が減り、電気的ノイズや微妙な周囲環境変化などの
外乱に影響されやすくなる。このようにボロメータ型サ
ーミスタ温度センサは設置等に可成りな技術的課題が存
在するが、最も安価に構成できる利点がある。
モパイルが挙げられる。すなわち、マイクロ波加熱を行
う際、1つの導波管から多方向に分散するマイクロ波
を、1つの食材Fに対して回りから包みこむように集中
させるには、加熱室1の内壁に適正に反射させる必要が
生じる。しかし、マイクロ波は同心円状の発散するもの
であるのに対して、加熱室1の内壁は直方体状の壁面で
構成されているため、加熱室中央付近に前述の定在波を
集中させることには無理があり、加熱むらは免れない。
そこで必要となるのが、現在の加熱進行状況と、加熱む
ら発生部位の情報である。この情報収拾手段として、非
接触で絶対表面温度を把握できるサーモパイルが好適で
ある。サーモパイルは高価ではあるが、応答速度が速く
ターンテーブル2上で回転する食材Fの状況把握には非
常に適している。
パ型焦電センサが挙げられる。焦電センサは、受光する
赤外熱線輻射量の変化に対して反応するもので、単独に
設置しただけでは食材Fの絶対表面温度は検知できな
い。そのため、焦電センサの手前に表面温度が把握可能
な遮蔽板を配置し、この遮蔽板で焦電センサを定期的に
遮蔽し、遮蔽時と開放時の検知量の差で食材Fの表面温
度を非接触で検出する。この定期的遮蔽機構をチョッパ
と呼称している。前述のサーモパイルよりは検知精度は
落ちるものの比較的安価であることが利点である。
を、スポット噴霧器4の照準と可及的に等しくする、つ
まり温度センサ9の的となる光軸は、スポット噴霧器4
の的と近似した位置にすることにより、温度センサ9が
検知した状況に応じて、スポット噴霧器4から発射する
霧化水の温度、噴霧量を正確に制御することができる。
具体的には、温度センサ9が検知した部分が加熱補正を
必要とする部分であれば、同―部分に霧化水噴霧処理を
施すことができる。
センサ9で被加熱食材Fの加熱状況を把握するが、その
温度センサ9が検知する領域と、スポット噴霧器4の噴
霧領域を可及的に等しくする点について述べると、ター
ンテーブル12の中心から温度センサ9までの距離、あ
るいはスポット噴霧器4のノズル4aまでの距離が同じ
であれば、温度センサ9の受光面角とノズル4aの噴霧
放射面角を同じにすることで、各々の食材表面上の領域
は同等となる。
などから食材Fまでの距離が近くても速くても、温度検
知領域と霧化水噴霧領域はほぼ近似することになる。ま
た、温度センサ9で捉えた表面温度は、所定の面角で区
切られた領域の平均温度となるが、その結果に応じて対
処するスポット噴霧器4の噴霧領域を同等にすること
で、加熱むらで加熱不足と実際に検知した場所だけに対
処できる。
に食材Fを置いて加熱する場合、スポット噴霧器4と、
温度センサ9の的はターンテーブル2の回転軸を中心に
所定角度だけ回転すると近似した位置となる相対位置関
係とする。この所定角度だけターンテーブル2が回転す
るのに要する時間は、温度センサ9で加熱むらによる低
温部分を検知して補正温度差に見合う霧化水噴霧量を算
出して噴霧処理を行うまでの時間となる。
9が食材Fの表面温度を検知して、その食材Fの一部が
スポット噴霧を施す必要があるべきかどうか判断し、表
面温度に応じた霧化水の温度制御を行い、表面温度に応
じた霧化水噴霧量を算出し、その食材Fの一部が噴霧用
ノズルの正面に来るまでのタイミングを調整するまでの
一連の時間に対応するものであって、ターンテーブル2
が回転する角度と等しいか、大きい必要がある。小さけ
れば噴霧処理を行うタイミングが遅れてしまい、温度検
知した場所からずれた場所に噴霧することでさらに加熱
むらを作ってしまうことがある。
ブル2を併用すると、加熱むらの低温部分を検知する温
度センサ9と、部分加熱を目的とするスポット噴霧器4
が構造的に極度に近接させて設置しなくても、ターンテ
ーブル2から同―仰角の加熱室側面1bならターンテー
ブル2の回転で食材Fから見た条件は同等にすることが
できる。
要があるか否かの判断手段については、まずターンテー
ブル2の1周分において温度センサ9により順次食材F
の全表面温度を検知し、中央制御部8のメモリに保存し
ていき、この1周分で採取した表面温度データから、最
高温度点と最低温度点、最低温度を検出した場所を抽出
し、その最高温度と最低温度の差が所定温度以上あれ
ば、後述する手順でスポット噴霧器4による噴霧処理を
行い、未満であれば再度1回転で食材Fの表面温度検出
処理を行う。次の周回で最低温度を検出した場所が、ス
ポット噴霧器4による噴霧処理を行うノズル4aの正面
に回転してくるまで待機し、正面時点で噴霧処理を行
う。
水っぽくなったり、味や鮮度を損なう虞れもある。した
がって、加熱むらが顕著に発生したときだけ、上記処理
を行うことが望ましく、その「顕著」の度合の基準とし
て、最高温度と最低温度が所定の温度差以上発生した場
合とする。これにより噴霧処理が必要最低限行われ、霧
化水が食材Fに付着した分は、その後のマイクロ波加熱
で、食材加熱より優先して霧化水自体の加熱が行われ、
加熱完了時には霧化水が気化し、熱として食材加熱に作
用し、最終的に霧化水が食材Fに付着した状態で残るこ
とはなくなる。
の平均温度との温度差とすることにより、測定外乱によ
る異常最高温度検出での誤処理を減少させることができ
る。すなわち、最高温度を基準に温度差を判定する場
合、もし温度検出処理の最中に一時的に電気的や熱的な
外乱要素が発生し、たまたま最高温度として取得された
データを基準にすると、加熱むらがなくてもスポット噴
霧器4による噴霧処理を施してしまい、余計に加熱むら
を作ってしまうことも起こり得る。そこで、多少の誤検
知の比重を緩和する手段として、平均温度を基準データ
とする。
あっても同様の噴霧処理を行うと、被加熱食材Fの状態
に微妙に対処することが困難である。そこで霧化水の噴
霧量を可変する機能を持ち、基準温度と最低温度の温度
差に応じて、霧化水噴霧量を調整する。温度差が少ない
場合は噴霧量を少なくし、マイクロ波による微妙な後追
い加熱を促す。このように霧化水噴霧量は、その温度差
に応じて可変とすることで、マイクロ波加熱で発生した
加熱むらの度合に応じて微妙な部分加熱処理を行うこと
ができる。
筐体構造に起因して、ある程度どの部分に加熱むらが生
じやすいかば把握できるものもあるが、実際に加熱する
食材Fの誘電体損失係数や形状や重量などのファクター
で加熱むらの生じる場所や度合は異なる。そこで、ある
程度実際にマイクロ波を照射して食材Fを加熱し、実際
に発生した加熱むらに応じてスポット噴霧器4による噴
霧処理を行う。噴霧処理後、さらに食材Fに付着した霧
化水にマイクロ波加熱により集中加熱して加熱むらを抑
制するので、この加熱時間も必要となる。したがって、
噴霧処理前後に均等な加熱時間が要求されるため、全体
の加熱時間の半分の時点でスポット噴霧器4による噴霧
処理を行うのが望ましい。
理は、それを行うべき加熱むらの箇所を、その都度把握
して行うため、噴霧処理を行うまでに加熱むらが把握で
きる程度のマイクロ波加熱をしておく必要がある。
うことができる電子レンジの場合、メニューを選択する
と、被加熱食材Fの種類・量・加熱好み等の事前情報に
基づき適正加熱時間が予め設定されている。そこで、本
実施形態では、被加熱食材Fの加熱状況を温度センサ9
で検知する時期として、暫定値として設定された適正加
熱時間の半分の時間が経過した時点で行い、その時点
で、スポット噴霧器4による噴霧処理を行う。
不足箇所を残り半分の加熱時間で局部加熱し、最終的に
加熱むらの補填を狙う。但し、仮に加熱むらがあって
も、所定の加熱状態より既に加熱度合が進行している場
合は、噴霧処理を行わず、調理完了時での過加熱を防止
する。すなわち、加熱完了時の最終表面温度の目標値を
達成するために、この時点での表面温度を所定温度と比
較し、達成していれば、ここで噴霧処理を行うと過加熱
の虞れがあることから、この処理を行わず、未達成のと
きだけ噴霧処理を行って部分加熱を促進する。この場
合、中央制御部8に、予め食材Fの種類、容量、重量と
目標温度に対して抽出できるテーブルデータを有する不
揮発性メモリを設け、このテーブルデータにより所定温
度が抽出されるようにする。
で、このまま残り半分の時間、更に加熱すれば最終的に
調理完了時に、加熱不足なのか、過加熱になるのかを、
その時点の表面温度から推測し、残り半分の加熱時間を
微妙に調節する。この推測の手段としては、食材Fの加
熱完了時の目標温度に対して、これまで半分の調理時間
における表面温度上昇勾配がそのまま継続すれば目標温
度を上回るかどうかを目安とする。
イクロ波加熱で、それまでの時間及び温度上昇分から食
材Fの熱容量を暫定的に算出し、そのまま同じ加熱ペー
スで後半のマイクロ波加熱を行えば、最終加熱完了時の
表面温度は何℃になるかを予想算出し、目標値を上回る
ようであれば、噴霧処理は中止する。
噴霧処理を行えば、加熱完了時には場合によっては過加
熱の虞れがあるので、以上のように噴霧処理を行うべき
かどうかの基準を設ける。これにより、多少妥協できる
加熱むらより、後戻りできない過加熱という失敗の危険
性を極力減らすことができる。
ち、加熱以前に把握している情報と、加熱完了時の目標
温度に基づき適正加熱時間を設定して、マイクロ波加熱
を行えば、基本的に食材Fは目標温度に仕上がるはずで
あるが、事前入力情報が実際に加熱しようとする食材F
とマッチングしていないケースが多く見られる。これ
は、―般的に電子レンジでは、被加熱食材Fの種類、形
状、重量等の情報に対する適正加熱時間はメニュー管理
されており、しかも、このメニュー管理によるデータ
が、実際に加熱しようとする食材Fと似ているとしても
同じとは言えないからである。まして、形状はメニュー
で想定しているものとは異なる確率の方が高い。したが
って、メニュー管理方式と言っても所詮目安にしかすぎ
ないと言える。
熱度合及び単位時間当たりの温度上昇率を算出すること
により、実際に加熱している食材Fの条件に可及的に合
致した加熱時間の微調整を行うことで加熱不足や過加熱
を防止することができることになる。
処理を行うことの是非、噴霧量、適正霧化水温度、噴霧
位置等の情報は噴霧処理前の温度センサ9による食材表
面温度検知によるもので、温度センサ9が検知対象とす
る面角領域と、噴霧処理を対象とする食材表面部分領域
とがずれていると、検知結果が噴霧処理にそのまま対応
できない。正確な処理を行うためには食材Fまでの距離
を同等として、検知面角と噴霧放射角を等しくする必要
がある。
れが生じると不都合が生じる。すなわち、温度センサ9
とスポット噴霧器4のノズル4aの相対位置関係が異な
っている場合、温度センサ9により検知した食材Fの表
面温度に応じて、加熱むらの有無と対処必要な場所の検
出を行い、その場所が正確に噴霧用ノズルの正面にター
ンテーブル2回転により来た時、噴霧処理を行わなけれ
ばならない。
回転位置検出手段を設け、検知対象の面が噴霧ノズルの
正面に来たか否かを正確に管理する。この回転位置合わ
せ精度をより高めるために、検知対象の面が噴霧ノズル
の正面付近に近づくと(ターンテーブル2の位置検知最
少分解能の所定数値分だけ増減した範囲に侵入した場
合)、ターンテーブル2の回転速度を低速にするか、ノ
ズルの正面に入った時点でターンテーブル2回転の停止
により、噴霧に要する時間中の回転移動によるずれをな
くすようにする。
ない霧化水が加熱室1に浮遊している状態が一時的にあ
る。すなわち、マイクロ波加熱中に噴霧処理を行うと、
噴霧用ノズルの先には水分が集中していることから、霧
化水が加熱室1に浮遊して食材Fに付着していないこと
があり、食材Fに付着するまでにスポット噴霧器4のノ
ズル4aの先にマイクロ波が集中し、ノズルの先で霧化
水が余計な加熱を受けてしまう。
度センサ9の検知処理を行うと、実際の食材F表面温度
でない浮遊霧化水温度を誤検知することが起こり得る。
そのため、ある程度熱を持った霧化水の集合体の温度を
温度センサ9が誤検知する可能性があるため、霧化水が
浮遊している可能性のある期間、つまりスポット噴霧器
4を行う期間及び処理後1秒間は信頼性が乏しいという
観点から非接触温度検知は行わないようにする。
発生する蒸気で加熱室1が観察しにくくなったり結露す
るという不具合が生じることを防止するため、加熱室1
に対して気流を供給しているが、噴霧処理を行う際、こ
の気流供給により霧化水がノズル4aから直進しない場
合があり得る。このような場合、噴霧すベき部分以外に
ずれて噴霧すると、加熱むらをさらに大きくし高温部分
と低温部分の温度差が増すことになる。
が狙った対象点に正確に噴霧できるように、スポット噴
霧器4期間及び前後1秒間は、加熱室1に供給する気流
の向きを食材Fから遠ざけた加熱室1の壁面に向けるた
めに、気流の向きを可変できるように構成し、気流によ
る霧化水吹き付けの乱れを低減するようにしている。
構成を示している。図7(A)は、霧化水噴霧中の状態を
示しており、加熱室壁面からノズル4aが突出していな
いことを示している。図7(B)は、霧化水噴霧後の状態
を示し、まず噴霧直後では噴霧を終了した時点でノズル
4aの管内に残留する水が、ノズル4a先端に表面張力
作用で残留水滴xとしてぶらさがった状態を示してい
る。図7(C)は、残留水滴xをノズル4a内部からの負
圧mで吸引除去する状態を示している。
を吹き付けた後、ノズル4aの先には図7(B)に示すよ
うな水滴mが残留しやすい。この残留水滴mを放置した
状態でさらにマイクロ波加熱を続行すると、その後のマ
イクロ波加熱により残留水滴m自体が加熱され、ノズル
4aが高熱を帯びることもある。また、次回噴霧処理を
行う際、加熱しすぎた高熱の霧化水を食材Fに吹き付け
ることになり、食材表面温度と同等にすることが困難に
なる。
直後に、ノズル4aの先に残留した水滴mを図7(C)に
示すようにノズル4aの内側から吸引して、霧化水噴霧
中以外は常にノズル4aの先に水分がない状態を保つよ
うにする。このようにすることにより、残留水滴mがそ
の後のマイクロ波加熱によりその水滴自体が加熱し、ノ
ズル4aが高熱を帯びたり、また次回噴霧処理を行う
際、霧化水が高温すぎて食材表面温度と同等にすること
が困難になることがなくなる。
様として温度センサ9やスポット噴霧器4のノズル4a
などが加熱室壁面に追加設置された場合、底面中央に置
かれた食材Fを目がけて加熱室1に一部突出してしまう
ことがある。また、ノズル4aは、スポット的に放射面
角を鋭角に絞る必要があるため、必然的に細く突出した
形状となる。このため、ノズル4aが加熱室壁面から突
出していると、ノズル4aの先端をアンテナとしてマイ
クロ波の加熱室分布を乱し、マイクロ波が集中して放電
が発生する虞れがあり、この場合、更に加熱むらを増強
してしまうことになる。
イクロ波分布を実現させるために、図7(A)に示すよう
に、ノズル4aを先端が尖った形状に形成するととも
に、加熱室1に理想的なマイクロ波分布を行い得る配置
とすることにより、一般的に施されるスタブの機能を、
ノズル4aに兼用させるようにするとよい。
センサ9については、その形状あるいは配置を工夫する
ことは困難である。そこで、温度センサ9の存在に起因
するマイクロ波分布の乱れを低減するように、ノズル4
aの位置と形状を決定する。しかし、このようにノズル
4aの先端部をスタブとして共用すると、位置条件に強
い制約が生じることとなり、霧化水を食材Fの正確なポ
イントに吹き付けることが困難になる場合もある。
a等の突起物が突出していると、例えばノズル4aが加
熱室1に露出していると、前回の調理における食材Fの
破片や油の飛び散りが、ノズル4aの先に付着してい
て、次に、別の食材Fに前回の汚れとともに噴霧処理を
施してしまうことも有り得ることから、衛生的にも望ま
しくない。
突出させず、ノズル先端は壁面とほぼ面一にする。ま
た、噴霧口5として壁面に小さな孔が空いた構造とする
ことで、マイクロ波加熱した際、ノズル4aの存在がア
ンテナとしてマイクロ波の加熱室1分布を乱し、放電も
招くようなことがなくなる。ところが、スポット噴霧器
4のノズル4aの構造を、先端位置を加熱室壁面とほぼ
面一にすると、食材Fを加熱して生じる油や食材破片の
飛び散りなどで、小孔からなる噴霧口5を塞いだり、孔
径を更に小さくしてしまう事態が生じると、以後、正常
な噴霧処理は困難になる。
小孔からなる噴霧口5に壁面上で開閉可能なシャッター
機構を設け、噴霧処理を行う場合にのみ、シャッター1
3を開放し、通常は閉じておくこととする。これによ
り、食材Fを加熱して生じる油や食材F破片の飛び散り
などで、噴霧口5を塞いだり、孔径を更に小さくしてし
まうことが防止される。
ズル4aの先には水分が集中していることから食材Fに
付着するまでにノズル4aの先の時点でマイクロ波が集
中しノズル4aの先で霧化水が余計な加熱を受けてしま
うため、噴霧処理を行う期間及び前後1秒問は一時的に
マイクロ波照射を停止し、霧化水が食材Fに付着し終わ
ったころでマイクロ波加熱を再開する。もし噴霧処理中
に霧化水が食材Fに付着していない段階で加熱される
と、折角、食材F表面温度を検知して、その温度と同等
の温度に霧化水を適度に温めておいたことが無意味なこ
ととなる。
タンク4中において、電気分解により物理的に電子を過
剰にしてアルカリイオン水を生成し、霧化水生成の工程
に供給することができる。このイオン源を含むアルカリ
イオン水の水質は、純水に比べ導電率が増加してマイク
ロ波での有効な加熱が望めることが、日本電熱協会編の
「エレクトロヒート応用ハンドブック」212ページの周
波数・温度・塩分の影響という項目で確認されている。
き付けた霧化水が効率よくマイクロ波加熱され、加熱む
らによる低温部分の部分加熱を行う効果を狙って、霧化
用水としてアルカリイオン水を使用する。このように、
アルカリイオン水を食材Fに吹き付けることで、繊維質
の食材Fにおいては繊維細胞の膨潤と軟化、脂質の食材
Fにおいては過酸化抑制、食材F中の色素細胞に対して
は色素退化抑制、さらに細菌生存抑制などの効果が期待
できる。
行うと、水量が多いことからスポット噴霧器4が必要な
タイミングに行えない場合もあり、また当分噴霧処理を
行わないのにむやみに水タンク4中の水を全てアルカリ
イオン水にしてしまうと、時間の経過でイオン分子が安
定した元の状態に戻り、処理そのものが無駄になる虞れ
もある。そこで、水を霧化処理する直前の今霧化水とし
て必要な量だけを電気分解処理する工程をとるようにす
る方がより好都合であると言える。
によるときは、マイクロ波発生手段による加熱室内への
マイクロ波導入時に、スポット噴霧手段によって被加熱
食材の一部領域に向けて霧化水を噴霧するように構成し
ているので、マイクロ波加熱中に、誘電体損失係数が最
大とされる霧化水を被加熱食品の一部に吹き付けること
により、吹き付けられた部位のマイクロ波吸収の効率を
高め、加熱むらを能動的に補正することができる。
程度加熱して実際に発生した加熱むらの状況を非接触温
度センサで確認したうえで、水温を被加熱食材の加熱む
らで加熱不足が生じた部分の表面温度に近似させ、冷ま
させず、且つ余計な加熱をしない最適な霧化水噴霧を行
うことができる。
による噴霧領域と、温度センサの検知領域とが等しくな
るように設定しているので、温度センサが検知した状況
に応じて、スポット噴霧手段から発射する霧化水の温
度、噴霧量を正確に制御することができる。したがっ
て、加熱むらで加熱不足であると実際に検知した場所だ
けに対処することができる。
が温度センサに対して、ターンテーブルを中心に温度セ
ンサの動作に要する一連の時間に対応する角度だけ変位
した位置に設置されているので、ターンテーブルを備え
た電子レンジにも適用することができる。
検知温度データを現在検出している被加熱食材上の一部
領域からターンテーブル1周分毎に順次更新保管するメ
モリと、現在検出している前記被加熱食材の表面温度デ
ータと予め前記メモリ中の温度データを基として算出さ
れた温度データとの差分に基づきスポット噴霧手段の動
作を制御するように構成しているので、加熱むらが顕著
に発生したときだけ、霧化水噴霧処理を行うことがで
き、該噴霧処理を頻繁に行うことによる、食材の味覚を
損なう虞れを回避することができる。
回転位置を検出する回転検出手段と、回転検出手段の検
出データに基づき温度センサにより検出した時点と、霧
化水噴霧処理時とにおける被加熱食材の向きが等しくな
るように霧化水噴霧処理タイミングを調整するように構
成しているので、ターンテーブルの回転方向にずれが生
じた場合にも、食材の検知対象となる面が噴霧ノズルの
正面に来たか否かを正確に管理し、ターンテーブルの回
転速度を調整して噴霧に要する時間中の回転移動による
ずれをなくすことができる。
に、噴霧処理直後にノズル先端に残留した水滴を吸引回
収する水滴回収手段を設けているので、スポット噴霧手
段による霧化水噴霧後に残留する水滴を確実に除去する
ことができ、残留水滴によるノズルへの影響や、次回噴
霧処理における過加熱霧化水の発生を防止することがで
きる。
のノズルを加熱室に臨んで形成された噴霧口から該加熱
室内に突出しない状態で設けているので、マイクロ波加
熱した際、ノズルの存在がアンテナとしてマイクロ波の
加熱室分布を乱す等の不都合を防止することができる。
況に応じて適正の対処場所、適正の対処量を決定するも
ので、加熱ムラヘの対処は従来よりはるかに現実的なも
のとなった。
本構成を示す概略斜視図
フローチャート
段の種々の態様を示すブロック図
大断面図
Claims (8)
- 【請求項1】 被加熱食材が収容される加熱室と、加熱
室内に前記被加熱食材加熱用のマイクロ波を導入するマ
イクロ波発生手段とを備えたマイクロ波加熱装置におい
て、前記被加熱食材のマイクロ波照射における加熱ムラ
を低減するために、マイクロ波発生手段による前記加熱
室内へのマイクロ波導入時に前記被加熱食材の一部領域
に向けて霧化水を噴霧するスポット噴霧手段を設けたこ
とを特徴とするマイクロ波加熱装置。 - 【請求項2】 加熱室内に被加熱食材の部分表面温度を
測定する非接触型の温度センサが設けられており、一
方、スポット噴霧手段は、水を予備加熱する水加熱手段
と、水加熱手段による水加熱温度を前記温度センサで測
定された被加熱食材の部分表面温度と近似させるべく水
温調整する水温制御手段とを備えた霧化水生成手段を具
備している請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。 - 【請求項3】 スポット噴霧手段による噴霧領域と、温
度センサの検知領域とが等しくなるように設定されてい
る請求項2に記載のマイクロ波加熱装置。 - 【請求項4】 マイクロ波発生手段による加熱室内への
マイクロ波導入時に回転駆動する被加熱食材載置用のタ
ーンテーブルが加熱室の底面に設けられており、一方、
スポット噴霧手段が温度センサに対して、前記ターンテ
ーブルを中心に温度センサの動作に要する一連の時間に
対応する角度だけ変位した位置に設置されている請求項
2または3に記載のマイクロ波加熱装置。 - 【請求項5】 被加熱食材の表面検知温度データを現在
検出している被加熱食材の一部領域からターンテーブル
一週分毎に順次更新保管するメモリと、現在検出してい
る前記被加熱食材の表面データと予め前記メモリ中の温
度データを基として算出された温度データとの差分に基
づきスポット噴霧手段の動作を制御する第1噴霧制御手
段とを具備している請求項4に記載のマイクロ波加熱装
置。 - 【請求項6】 ターンテーブルの回転位置を検出する回
転検出手段と、回転検出手段の検出データに基づき温度
センサにより検出した時点と、霧化水噴霧処理時とにお
ける被加熱食材の向きが等しくなるように霧化水噴霧処
理タイミングを調整する第2噴霧制御手段とを具備して
いる請求項4または5に記載のマイクロ波加熱装置。 - 【請求項7】 スポット噴霧手段は、噴霧処理直後にノ
ズル先端に残留した水滴を吸引回収する水滴回収手段を
具備している請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロ
波加熱装置。 - 【請求項8】 スポット噴霧手段は、ノズルが加熱室に
臨んで形成された噴霧口から該加熱室内に突出しない状
態で設けられている請求項1〜7のいずれかに記載のマ
イクロ波加熱装置。
Priority Applications (1)
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JP26602596A JP3284263B2 (ja) | 1996-10-07 | 1996-10-07 | マイクロ波加熱装置 |
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JPH10110955A JPH10110955A (ja) | 1998-04-28 |
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Family
ID=17425348
Family Applications (1)
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JP26602596A Expired - Lifetime JP3284263B2 (ja) | 1996-10-07 | 1996-10-07 | マイクロ波加熱装置 |
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