JP3282478B2 - 金属基材へのめっき方法 - Google Patents

金属基材へのめっき方法

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JP3282478B2
JP3282478B2 JP01024296A JP1024296A JP3282478B2 JP 3282478 B2 JP3282478 B2 JP 3282478B2 JP 01024296 A JP01024296 A JP 01024296A JP 1024296 A JP1024296 A JP 1024296A JP 3282478 B2 JP3282478 B2 JP 3282478B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属基材へのめっ
き方法に関し、特に、表面が酸化されやすい基材へのめ
っき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄や、アルミニウム基材にめ
っきの施された製品が種々製造されている。当該製品と
しては、例えば自動車用バンパー、バックミラー、反射
板、電気・電子部品、精密機械用部品、航空機の構成部
品、エンジン用ピストン、ブスバー、電線等が挙げられ
る。
【0003】ところが、金属基材のめっきを施す場合、
密着性を確保するためその表面に形成された酸化膜や汚
れを除去するための前処理工程が必要であった。特に、
アルミニウム基材には、通常の金属素材に比べて、自然
に形成された強固な酸化皮膜が存在し、そのまま通常の
めっきを施したのでは、密着性のよいめっきは得られな
い。そのため、めっきに際して適当な前処理を必要とし
ているが、一旦酸化皮膜を除去したとしても、次工程へ
移行中にもアルミニウム基材の表面は再酸化されやす
い。
【0004】かかる事情から、従来では、例えば亜鉛置
換法なる技術が採用されていた。すなわち、まず脱脂工
程において、アルミニウム基材の表面が脱脂される(溶
剤脱脂+アルカリ脱脂)。次いで、水酸化ナトリウムを
主成分としたエッチング溶液により、アルミニウム基材
の表面がエッチングされる。エッチングされたアルミニ
ウム基材は種々の不純物を含んでいるため、表面に銅、
マグネシウム等のスマットが生成される。これらのスマ
ットは除去しておかないと充分な密着性が得られないた
め、硝酸、ふっ化水素酸、硫酸等により酸処理が行われ
る。
【0005】上記酸処理を工程を経たアルミニウム基材
は、亜鉛置換(又は亜鉛合金置換)工程へと供される。
この置換工程においては、水酸化ナトリウムと酸化亜鉛
とを基本成分とする亜鉛置換液中で、アルミニウム基材
が処理される。すると、アルミニウム表面の薄い酸化皮
膜が除去され、新しく露出した活性な表面に亜鉛が置換
析出する。そして、この亜鉛皮膜を硝酸で剥離し、もう
一度亜鉛置換処理を繰り返すと、一層均一な表面が得ら
れる。さらに、その後、通常の電気めっき工程を経るこ
とにより、アルミニウム基材の表面には亜鉛皮膜を介し
ためっき層が形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、既述したとおり、金属基材の表面にめっき
を施すためには、その表面の活性化のための前処理が必
要であった。特に、アルミニウム基材の表面に充分な剥
離強度を有するめっき層を形成するためには、非常に多
くの工程(10工程以上)を必要としていた。このた
め、めっき作業が著しく煩雑なものとなり、めっきのた
めの設備も非常に大型なものとなっていた。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、工程数を減らして、め
っき作業及び設備の簡素化を図るとともに、密着性に優
れる金属基材へのめっき方法を提供することにある。を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、金属基材に金属めっき
を施す方法であって、金属めっき液中に不溶性粒子を分
散させた複合めっき液を、ノズル開口部から吹き付けて
前記金属基材の表面に流速をもたせて接触させることに
より、前記金属基材の表面に存在する酸化皮膜を不溶性
粒子によって削るとともに、前記金属めっき液で電気的
に接続された前記ノズル及び金属基材間に電圧をかける
ことにより前記金属基材の表面にめっき層を形成するよ
うにしたことをその要旨としている。
【0009】ここで、金属めっき液としては、各種金属
イオンを含有するめっき液であればいかなるものでもよ
く、例えばニッケルめっき液、銅めっき液、亜鉛めっき
液、錫っき液及びこれらの組合せ等が挙げられる。
【0010】さらに、金属めっき液に分散される不溶性
粒子としては、例えばアルミナ、ジルコニア、シリカ、
チタニア、セリア等の酸化物及びこれらの2種以上の組
合せからなる複合酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭
化物、窒化珪素、窒化硼素等の窒化物、フッ素樹脂粉
末、ポリアミド粉末、ポリエチレン粉末等の有機高分子
粉末等が挙げられる。しかし、不溶性粒子を構成する素
材としては、これらものに限定されるものではなく、金
属めっき液に不溶であり、分散されうるものであり、か
つ、金属基材の表面に存在する酸化皮膜を削ることの可
能な所定の硬度を有するものあればいかなるものも採用
しうる。
【0011】併せて、不溶性粒子の粒径の範囲について
も何ら限定されるものではないが、0.1μm〜100
0μm程度のものが好適に使用されうる。加えて、金属
めっき液中に分散される不溶性粒子の濃度(分散量)も
適宜選定されうるが、1g/l〜1000g/l程度が
好ましく、より好ましくは10〜500g/lである。
【0012】また、本発明においては、複合めっき液を
流速をもたせて基材表面に接触せしめる必要がある。但
し、このときの流速は、当初においては少なくとも金属
基材の表面に存在する酸化皮膜が不溶性粒子によって削
られるのに充分な速度を有している必要がある。このよ
うに、複合めっき液を流速をもたせて接触させることに
より、まず、金属基材の表面に存在する酸化皮膜が、複
合めっき液中の不溶性粒子によって削られる。また、こ
れとともに、ノズルから吹き付けられている金属めっき
液(複合めっき液)によってノズル及び金属基材間が、
電気的に接続されることとなり、両者間に電圧がかけら
れることにより金属基材の表面に金属めっき液中の金属
イオン成分が金属となって析出し、めっき層が形成され
る。
【0013】このため、複合めっき液を流速をもたせて
基材表面に接触せしめるという工程のみで、表面が酸化
されやすい金属基材に、剥離されにくい強固なめっき層
を形成することが可能となる。
【0014】また、請求項2に記載の発明では、金属基
材に金属めっきを施す方法であって、金属めっき液中に
不溶性粒子を分散させた複合めっき液を、ノズル開口部
から吹き付けて前記金属基材の表面に流速をもたせて接
触させることにより、前記金属基材の表面に存在する酸
化皮膜を不溶性粒子によって削るとともに、その後、前
記流速を弱めつつ前記金属めっき液で電気的に接続され
た前記ノズル及び金属基材間に電圧をかけることにより
前記金属基材の表面に前記不溶性粒子が共析分散された
めっき層を形成するようにしたことをその要旨としてい
る。
【0015】本発明によれば、請求項1に記載の発明の
作用に加えて、金属基材の表面に存在する酸化皮膜が不
溶性粒子によって削られた後、複合めっき液は、そのの
流速が弱められつつ金属基材の表面に接触する。そし
て、複合めっき液の不溶性粒子は析出する金属中、すな
わち、めっき層中に残存することとなれる。そのため、
金属基材の表面には、不溶性粒子が共析分散されためっ
き層が形成されることとなる。このように、不溶性粒子
が共析分散されためっき層により、めっき層自身が非常
に強固なものとなり、耐摩擦性の向上が図られうる。
【0016】さらに、請求項3に記載の発明では、請求
項1又は2に記載の金属基材へのめっき方法であって、
金属基材の表面に存在する酸化皮膜を不溶性粒子によっ
て削る際の前記複合めっき液の流速を、4m/s以上と
し、かつ、前記金属基材が変形しない速度としたことを
その要旨としている。
【0017】上記発明によれば、金属基材の表面に存在
する酸化皮膜を不溶性粒子によって削る際の前記複合め
っき液の流速が、4m/s以上となっているため、より
確実に酸化皮膜が削られることとなり、請求項1、2に
記載の発明の作用を確実ならしめることが可能となる。
なお、前記流速は、6m/s以上であることがより望ま
しく、さらに望ましくは10m/s以上であり、一層望
ましくは12m/s以上である。但し、上記流速は、金
属基材が変形しない程度のものである必要がある。
【0018】併せて、請求項4に記載の発明では、請求
項2に記載の金属基材へのめっき方法であって、前記金
属基材の表面に存在する酸化皮膜を削るための不溶性粒
子の粒径を、前記めっき層中に共析分散される不溶性粒
子の粒径よりも大きくしたことをその要旨としている。
【0019】上記の発明によれば、金属基材の表面に存
在する酸化皮膜を削るための不溶性粒子の粒径が、めっ
き層中に共析分散される不溶性粒子の粒径よりも大き
い。このため、大きい粒径の不溶性粒子が衝突する運動
エネルギーは比較的大きいものとなり、金属基材の表面
に存在する酸化皮膜が容易に削られうる。また、小さい
粒径の不溶性粒子は、めっき層中に共析分散されやすい
ものとなる。
【0020】加えて、請求項5に記載の発明では、請求
項2又は4に記載の金属基材へのめっき方法であって、
前記複合めっき液の流速を、時間が経過するほど徐々に
遅くなるようにしたことをその要旨としている。
【0021】上記の発明によれば、複合めっき液の流速
が、時間が経過するほど徐々に遅くなるため、金属マト
リックス中への不溶性粒子の共析量が厚さ方向に制御さ
れることとなる。すなわち、外層側ほど不溶性粒子の共
析量が多く、内層側ほど共析量の少ない複合めっき皮膜
が得られる。そのため、内層側においては基材との密着
力の向上が図られうるとともに、外層側での耐摩擦性の
向上が図られうる。
【0022】また、請求項6に記載の発明では、請求項
1〜5に記載の金属基材へのめっき方法において、前記
金属基材はアルミニウムにより構成されていることをそ
の要旨としている。
【0023】上記の発明によれば、金属基材はアルミニ
ウムにより構成されているが故に、その表面には酸化皮
膜が形成されやすい。従って、上記の各作用がよりこう
かてきに発揮させられることとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
の形態を図1〜3に基づいて説明する。図2は本実施の
形態において基材1表面に形成された複合めっき層2を
示す模式的な断面図である。同図に示すように、アルミ
ニウム製の基材1の表面には複合めっき層2が形成され
ている。当該めっき層2は、ニッケルよりなる金属マト
リックス3及び同マトリックス3中に共析分散されてな
る炭化珪素(SiC)製の不溶性粒子4を備えている。
複合めっき層2は、例えば厚さ「50μm」程度に形成
されている。また、不溶性粒子4としては、その平均粒
径が約「1.7μm」のものが存在している(但し、め
っき工程中においては、平均粒径が約「1.7μm」の
ものと、「500μm」のものとが混合して使用され
る)。
【0025】さらに、本実施の形態では、不溶性粒子4
の共析量が厚さ方向に制御されている。より詳しく説明
すると、金属マトリックス3中において、外層側ほど不
溶性粒子4の共析量は多くなっており(例えば体積率約
「30%」)、基材1表面近傍、すなわち、内層側にお
ける不溶性粒子4の共析量はほぼ「0」となっている。
【0026】次に、上記のようにアルミニウム製の基材
1上に複合めっき層2を形成するためのめっき装置につ
いて説明する。図1に示すように、本実施の形態のめっ
き装置は、内部に攪拌機11及びヒータ12を有してな
るタンク13を備えている。そして、このタンク13内
には、後述する組成よりなる複合めっき溶液が貯留され
ている。また、このタンク13の上方には、基材1を載
置するための載置台14が配設されている。さらに、載
置台14の上方には、ジェットノズル15が配設されて
いる。また、ジェットノズル15には電源16の陽極が
接続され、載置台14には電源16の負極が接続されて
いる。
【0027】さらに、本実施の形態では、前記タンク1
3とジェットノズル15とを連結する連通路17が設け
られており、この連通路17の途中にはポンプ18が設
けられている。そして、このポンプ18が駆動されるこ
とにより、タンク13内にて加温され、均一に攪拌され
た複合めっき液が、連通路17を通ってジェットノズル
15の方へと導かれる。さらに、そのジェットノズル1
5からは、噴流(シャワー)状の複合めっき液が、載置
台14に載置された基材1表面に当たるようになってい
る。なお、前記載置台14及びジェットノズル15は、
箱状のジェットセル19内に収容されており、噴出され
た複合めっき液が外部に飛散しないようになっている。
【0028】併せて、前記ポンプ18下流における連通
路17の途中には、メインバルブ21が設けられてお
り、このバルブ21の開度を調整することにより、ジェ
ットノズル15からの複合めっき液の噴出量を調整する
ことができるようになっている。また、ポンプ18の上
流側及び下流側を連通するバイパス通路22が設けられ
ており、その途中にはサブバルブ23が設けられてい
る。このバルブ23の開度を調整することにより、ポン
プ18の上流側から還流されるバイパス量が調整され、
上記同様ジェットノズル15からの複合めっき液の噴出
量を調整することができるようになっている。なお、本
実施の形態における上記複合めっき液は、金属めっき液
及び不溶性粒子4(上述のとおり、粒径の大きいものと
小さいものとが混合されている)よりなっている。その
具体的な組成としては、例えば金属めっき液はNiSO
4 (300g/l)、NiCl2 (60g/l)、H3
BO3(40g/l)よりなり、不溶性粒子4の濃度
(分散量)は50g/lである。さらに、めっきの条件
として、複合めっき液の温度はヒータ12により55℃
に、pHは4.5に、電流密度は40×102 A/m2
に、複合めっき液の接触時間は480秒にそれぞれ設定
されている。
【0029】次に、上記のようにして構成されてなるめ
っき装置を用いて、前記複合めっき層2を形成する際の
めっき方法並びに作用及び効果について説明する。ま
ず、載置台14上に基材1を載置する。そして、電源1
6をオン状態としてポンプ18を作動させる。但し、当
初においては、サブバルブ23を全閉状態とし、メイン
バルブ21をほぼ全開状態とする。すると、複合めっき
液は、ポンプ18から連通路17を通ってジェットノズ
ル15から勢いよく噴射され、基材1表面に当たる(こ
のときの複合めっき液の流速は、例えば「12m/s」
とされる)。このように、複合めっき液を比較的速い流
速(「12m/s」)をもたせて基材1の表面に接触さ
せることにより、まず、基材1の表面に存在する酸化皮
膜が、複合めっき液中の不溶性粒子4(主として粒径の
大きいもの)によって削られる。
【0030】また、これとともに、ジェットノズル15
から吹き付けられている金属めっき液(複合めっき液)
によって、同ノズル15及び基材1間が電気的に接続さ
れることとなり、ジェットノズル15がアノードとして
の役割を果たし、基材1がカソードとしての役割を果た
す。このように両者1,15間に電圧がかけられること
により基材1の表面に金属めっき液中の金属イオン成分
(ニッケル)が金属マトリックス3となって析出し、め
っき層2が形成される。
【0031】ここで、当初、複合めっき液の流速が比較
的速いことから、不溶性粒子4は、複合めっき液の勢い
により基材1上に吸着されずに飛ばされ、金属マトリッ
クス3中の不溶性粒子4はほとんど存在しなくなる。そ
のため、基材1の近傍(内層側)においては金属マトリ
ックス3の純度が比較的高いものとなる。
【0032】その後、徐々にメインバルブ21の開度を
小さくするか、又はサブバルブ23の開度を大きくする
ことによって、複合めっき液の噴出量(流速)を徐々に
小さくしてゆく。すると、ジェットノズル15から噴射
される複合めっき液が基材1表面に当たる単位時間あた
りの量は少ないものとなる。このため、次第に堆積形成
されてゆく金属マトリックス3中の不溶性粒子4(特
に、粒径の比較的小さいもの)の量が徐々に多くなり、
外層側においては不溶性粒子4の体積量(共析量)が比
較的多いものとなる。
【0033】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、複合めっき液を、当初は比較的速い流速をもたせて
基材1に接触させるようにした。このため、当該複合め
っき液を流速をもたせて基材1表面に接触せしめるとい
う工程のみで、表面が酸化されやすいアルミニウム基材
1に、剥離されにくい強固なめっき層2を形成すること
が可能となる。従って、従来技術に比べて著しく工程数
を減らすことができ、その結果、めっき作業及び設備の
飛躍的な簡素化を図ることができる。また、これに伴
い、コストの著しい低減をも図ることができる。また、
酸化皮膜を削った上でめっき層2を形成することから、
当該めっき層2の密着性について、従来とさほど劣るこ
とのない優れたものとすることができる。
【0034】次に、上記の効果を確認するべく、以下の
ような実験を行った。すなわち、電流密度を種々変更し
て、得られためっき層2の剥離強度を測定した。但し、
めっき層2形成時の流速は「8m/s」とし、電流密度
は「40×102 A/m2 」、「80×102 A/
2 」、「135×102 A/m2 」とし、電気量は
「55C」とした。また、その他の条件は上記と同様と
した。そのときの実験結果を図3に示す。なお、このと
きの剥離試験は、JIS H 8504に従って行っ
た。
【0035】同図に示すように、本実施の形態のめっき
方法を採用することにより、従来技術(亜鉛置換法:3
00kgf/cm2 )に比べてさほど劣らない剥離強度
を得ることができることがわかる。また、同一の流速の
場合には、電流密度が高いほど、高い剥離強度が得られ
ることがわかる。
【0036】さらに、本実施の形態では、複合めっき液
の流速を調整するようにした。このため、金属マトリッ
クス3中への不溶性粒子4の共析量を厚さ方向に制御す
ることができる。特に、本実施の形態では複合めっき液
をジェットノズル15から噴流状態で接触させ、その流
速を、時間が経過するほど徐々に遅くなるように調整す
るようにした。このため、外層側ほど不溶性粒子4の共
析量が多く、内層側ほど共析量の少ない複合めっき層2
を得ることができる。その結果、複合めっき層2の基材
1に対する密着力の向上を図ることができるとともに、
外層側での耐摩擦性の向上を図ることができる。
【0037】次に、上記の効果を確認するべく、以下の
ような実験を行った。すなわち、所定のめっき条件下に
おいて、複合めっき液の流速及び不溶性粒子4の粒径を
種々変更させて複合めっき層2を形成した場合の共析量
の関係を測定した。但し、その他のめっき条件として
は、上記とほぼ同様の条件を採用した。すなわち、金属
めっき液はNiSO4 (300g/l)、NiCl
2 (60g/l)、H3 BO 3 (40g/l)よりな
り、不溶性粒子4の濃度(分散量)は50g/lであ
る。さらに、めっきの条件として、複合めっき液の温度
はヒータ12により55℃に、pHは4.5に、電流密
度は40×102 A/m2 に、複合めっき液の接触時間
は480秒にそれぞれ設定した。そのときの実験結果を
図4に示す。
【0038】同図に示すように、そのときどきの流速に
応じて、共析量が変更されうることがわかる。すなわ
ち、本実験の条件下では、流速がほぼ「0」のときに
は、「20〜30体積%」の共析量が得られるのに対
し、流速が速くなるに従って、共析量は低下してゆく。
そして、流速が「3〜4m/s」程度に至ると、共析量
はほぼ「0」になることがわかる。これらの結果から
も、流速を適宜に調整してやることにより、共析量を容
易に、かつ、効果的に制御できることがわかる。
【0039】また、本実施の形態では、大小の粒径を有
する不溶性粒子4を複合めっき液中に混在させるように
した。このため、大きい粒径の不溶性粒子4が衝突する
運動エネルギーは比較的大きいものとなり、基材1の表
面に存在する酸化皮膜が容易に削られうる。また、小さ
い粒径の不溶性粒子4は、金属マトリックス3中に共析
分散されやすいものとなる。そのため、上記作用効果を
より確実ならしめることができる。
【0040】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、例えば次の如く構成してもよい。 (1)前記実施の形態では、流速を、時間が経過するほ
ど徐々に遅くなるように調整するようにし、外層側ほど
不溶性粒子4の共析量が多く、内層側ほど共析量の少な
い複合めっき皮膜2を得るようにした。しかし、目的に
よっては、不溶性粒子4を共析させないよう、当初の流
速をそのまま保持させるような構成としてもよい。かか
る場合には、めっき層2は、金属マトリックス3のみに
よって構成されることとなる。また、場合によっては、
上記の逆、つまり、時間が経過するほど流速が徐々に速
くなるように調整するようにしてもよい。かかる場合に
は、外層側ほど不溶性粒子4の共析量が少なく、内層側
ほど共析量の多い複合めっき層が得られる。
【0041】(2)前記実施の形態では、複合めっき液
をジェットノズル15から噴出させる構成としたが、例
えば滝状に当てる等、複合めっき液を流速をもたせて当
てるようにする構成であればいかなる方法を採用しても
よい。
【0042】(3)前記実施の形態では、金属マトリッ
クス3として、ニッケル系の金属を採用したが、その他
の金属を採用してもよい。 (4)前記実施の形態では、金属基材としてアルミニウ
ム基材1に適用したが、従来技術で指摘した前処理を要
する金属基材であれば、鉄等いかなる金属基材にも適用
しうる。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のアルミニ
ウム基材へのめっき方法によれば、工程数を減らして、
めっき作業及び設備の簡素化を図るとともに、密着性に
優れためっき層を得ることができるという優れた効果を
奏する。
【0044】特に、請求項2に記載の発明によれば、不
溶性粒子が共析分散されためっき層を1つの工程で得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるめっき装置を示す概略シ
ステム図である。
【図2】一実施の形態の基材及び複合めっき層を示す断
面図である。
【図3】電流密度に対するめっき層剥離強度の関係を示
すグラフである。
【図4】不溶性粒子の粒径及び流速を種々変更させた場
合の共析量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…(アルミニウム)基材、2…(複合)めっき層、3
…金属マトリックス、4…不溶性粒子、15…ノズル。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−14899(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 15/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材(1)に金属めっきを施す方法
    であって、 金属めっき液中に不溶性粒子(4)を分散させた複合め
    っき液を、ノズル(15)開口部から吹き付けて前記金
    属基材(1)の表面に流速をもたせて接触させることに
    より、前記金属基材(1)の表面に存在する酸化皮膜を
    前記不溶性粒子(4)によって削るとともに、前記金属
    めっき液で電気的に接続された前記ノズル(15)及び
    金属基材(1)間に電圧をかけることにより前記金属基
    材(1)の表面にめっき層(2)を形成するようにした
    ことを特徴とする金属基材へのめっき方法。
  2. 【請求項2】 金属基材(1)に金属めっきを施す方法
    であって、 金属めっき液中に不溶性粒子(4)を分散させた複合め
    っき液を、ノズル(15)開口部から吹き付けて前記金
    属基材(1)の表面に流速をもたせて接触させることに
    より、前記金属基材(1)の表面に存在する酸化皮膜を
    不溶性粒子(4)によって削るとともに、その後、前記
    流速を弱めつつ前記金属めっき液で電気的に接続された
    前記ノズル(15)及び金属基材(1)間に電圧をかけ
    ることにより前記金属基材(1)の表面に前記不溶性粒
    子(4)が共析分散されためっき層(2)を形成するよ
    うにしたことを特徴とする金属基材へのめっき方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の金属基材へのめ
    っき方法であって、 前記金属基材(1)の表面に存在する酸化皮膜を前記不
    溶性粒子(4)によって削る際の前記複合めっき液の流
    速を、4m/s以上とし、かつ、前記金属基材(1)が
    変形しない速度としたことを特徴とする金属基材へのめ
    っき方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の金属基材へのめっき方
    法であって、 前記金属基材(1)の表面に存在する酸化皮膜を削るた
    めの前記不溶性粒子(4)の粒径を、前記めっき層
    (2)中に共析分散される不溶性粒子(4)の粒径より
    も大きくしたことを特徴とする金属基材へのめっき方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項2又は4に記載の金属基材へのめ
    っき方法であって、 前記複合めっき液の流速を、時間が経過するほど徐々に
    遅くなるようにしたことを特徴とする金属基材へのめっ
    き方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の金属基材へのめっ
    き方法において、 前記金属基材(1)はアルミニウムにより構成されてい
    ることを特徴とする金属基材へのめっき方法。
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