JP3281321B2 - 地中埋設物探知装置及び地中埋設物探知方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電波を使用して地
中に埋設されている物体を探知する地中埋設物探知装置
及び地中埋設物探知方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の地中埋設物探知装置及び地中埋設
物探知方法は、例えば、特開平７−１２９５４に開示さ
れているように、走行車両に複数個の地中走査機を、当
該走行車両の走行方向と直交する水平方向直線上に並べ
て設け、複数のトラック上の探知を同時に行うようにし
ており、また高度測定部を用いて地面走査機と地面との
距離を測定して、無変調電波の地表面からの不要反射波
による受信レベル変化分を可及的に除去した受信レベル
補正データを得るようにしている。

【０００３】上記従来技術による埋設物の存在を表示す
る方法を図２及び図４を用いて説明する。

【０００４】図２は地中埋設物の探知を行おうとする地
域の地中埋設物の埋設状況を示し、２１は走査正面断面
を示し、２２は走査側面断面を示し、２３は走査平面を
示し、２１Ａ，２２Ａ及び２３Ａは中程度の深さに埋設
された比較的に大きい埋設物（以下、本埋設物を“埋設
物Ａ”という）の走査正面断面２１、走査側面断面２２
及び走査平面２３への投影を示し、２１Ｂ，２２Ｂ及び
２３Ｂは浅い深さに埋設された比較的に小さい埋設物
（以下、本埋設物を“埋設物Ｂ”という）の走査正面断
面２１、走査側面断面２２及び走査平面２３への投影を
示し、２１Ｃ，２２Ｃ及び２３Ｃは深いところに埋設さ
れた比較的に大きい埋設物（以下、本埋設物を“埋設物
Ｃ”という）の走査正面断面２１、走査側面断面２２及
び走査平面２３への投影を示す。

【０００５】図４は図２に示す地域を従来の地中埋設物
探知装置で探知を行った場合の探知結果の表示を示した
もので、４１は走査断面を示し、４２は走査平面を示
し、４１Ａ及び４２Ａは図２に示す２２Ａ及び２３Ａの
夫々に対応する埋設物Ａの走査断面４１及び走査平面４
２への投影を示し、４１Ｂ及び４２Ｂは図２に示す２２
Ｂ及び２３Ｂの夫々に対応する埋設物Ｂの走査断面４１
及び走査平面４２への投影を示し、４１Ｃ及び４２Ｃは
図２に示す２２Ｃ及び２３Ｃの夫々に対応する埋設物Ｃ
の走査断面４１及び走査平面４２への投影を示し、その
埋設物の大きさや、地中の浅いところにある小さい埋設
物と、地中の深いところにある大きい埋設物との比較が
判然としない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このように上記従来技
術によれば、走行車両に複数個の地面走査機を、当該走
行車両の走行方向と直交する水平方向直線上に並べて設
け、複数のトラック上の探知を同時に行うようになって
おり、使用する電波の波長によって空中線の大きさが決
まるため、複数の空中線はある間隔を置いて配置しなけ
ればならないので、複数の空中線から放射される電波は
地表面において、強く放射される部分と弱く放射される
部分とができて、弱く放射される部分では埋設物が小さ
い場合は見落とすと言う問題があり、また車両の走行中
の振動に伴う地面走査機保持機構の振動により電波の反
射波のレベル変動を大きくし、結果として雑音成分が大
きくなり、高度測定部による受信レベル補正が充分に出
来ないという問題があり、更に、埋設物の存在を表示す
る方法が、埋設物を地中の深さ方向（断面方向）に表示
するか、平面的に表示するかのみであるため、埋設物の
平面上の位置と地中の深さ方向との相互関係を立体的に
見ることができず、また電波が地中で減衰するため地中
深く埋設された大きな物体と地中浅く埋設された小さな
物体のサイズが同じように表示されるため大きさを区別
することが困難であるという問題がある。

【０００７】上記従来の技術による地中埋設物探知装置
及び地中埋設物探知方法の問題点を解決するために、本
発明では、地表面を走査する電波を一様に照射するのと
同一の効果を得られるようにして、地中の小さな埋設物
の探知を可能とすることを第１の目的とする。また地面
走査機の走査時の振動に伴う電波の反射波のレベル変動
を無くして、高度センサによる受信レベル補正を正確に
行うことを第２の目的とする。また埋設物の平面上の位
置と地中の深さ方向の位置との相互関係を立体的に見る
ことができるようにして、埋設物の位置及び大きさの確
認を容易ならしめることを第３の目的とする。更に、電
波が地中で減衰するのを補正して地中深く埋設された大
きな埋設物と地中浅く埋設された小さな埋設物を、夫々
の大きさを正確に表示することによってその識別を容易
にすることを第４の目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記第１乃至第４の目的
を達成するために、請求項１では、連続波の高周波信号
を発生させる連続波高周波信号発生部と、該連続波高周
波信号発生部から連続波の高周波信号が供給されること
により地面に向けて該連続波の高周波信号を放射し、且
その反射波を受信する第１の空中線と、該第１の空中線
が受信した反射波を受信してその受信レベル信号を出力
する第１の受信部と、該第１の受信部の受信レベル信号
出力を受信して信号処理する第１の信号処理部と、パル
ス波の高周波信号を発生させるパルス波高周波信号発生
部と、該パルス波高周波信号発生部からパルス波の高周
波信号が供給されることにより地面に向けて該パルス波
の高周波信号を放射し、且その反射波を受信する第２の
空中線と、該第２の空中線が受信した反射波を受信して
その受信レベル信号を出力する第２の受信部と、該第２
の受信部の受信レベル信号出力を受信して信号処理する
第２の信号処理部と、送信パルス信号を発生させる送信
パルス信号発生部と、該送信パルス信号発生部から送信
パルス信号が供給されることにより地面に向けて超音波
パルス信号を放射し、且その反射波を受信して受信パル
ス信号を出力する高度センサと、該高度センサの受信パ
ルス信号出力を受信して信号処理する第３の信号処理部
と、水平位置を検出するための水平位置センサと、該水
平位置センサの水平位置信号出力を受信して信号処理す
る第４の信号処理部と、上記第１の信号処理部、第２の
信号処理部、第３の信号処理部及び第４の信号処理部の
夫々に同期信号を供給する同期信号発生部と、上記第１
の信号処理部、第２の信号処理部、第３の信号処理部及
び第４の信号処理部のモード設定を行うためのモード設
定部と、上記第１の信号処理部、第２の信号処理部、第
３の信号処理部及び第４の信号処理部からの出力データ
を受信して、これ等のデータを融合させるデータ融合部
と、該データ融合部からの出力を受信して表示する表示
部とから成る移動可能な地中埋設物探知装置であること
を特徴としている。

【０００９】また請求項２では、特に上記第２の目的を
達成するために、請求項１に加えて、第１の空中線、第
２の空中線及び高度センサとで走査部を構成し、走査部
以外を本体部とし、該走査部を本体部に対して前後及び
左右に移動可能とし、本体部を静止させた状態におい
て、上記走査部を前後及び左右に移動させて地中埋設物
の探知を行うようにした地中埋設物探知装置であること
を特徴としている。

【００１０】また請求項３では、上記第３の目的を達成
するために、請求項１または請求項２に記載の地中埋設
物探知装置を用いて、該地中埋設物探知装置のデータ融
合部において、第１の信号処理部からのデータと、第２
の信号処理部からのデータとを第３の信号処理部からの
データを用いて、地表面からの不要反射波による受信レ
ベル変化分を可及的に除去して夫々の受信レベル補正デ
ータを得、さらに該得られた夫々の受信レベル補正デー
タをもとにして、第４の信号処理部からのデータを用い
て、同一地点に対する２個の受信レベル補正データを検
出して統合し、上記同一地点に対する１個の受信レベル
補正データとし、該１個の受信レベル補正データと走査
平面上の対応する位置データとを組合せて、地中埋設物
の水平位置と走査断面とを対応して表示可能なデータと
し、また第３の信号処理部からのデータ及び第４の信号
処理部からのデータを用いて走査平面の凹凸データを
得、該得られた凹凸データと走査平面上の位置を組合せ
て走査平面の凹凸を表示可能なデータとして、上記地中
埋設物の水平位置と走査断面とを対応して表示可能なデ
ータと併せてデータ融合部から表示部に出力して、表示
部に表示するようにした地中埋設物探知方法であること
を特徴としている。

【００１１】また請求項４では、上記第４の目的を達成
するために、請求項１または請求項２に記載の地中埋設
物探知装置を用いて、該地中埋設物探知装置の第１の信
号処理部及び第２の信号処理部において、予め、地中の
誘電率及び導電率と、第１の信号処理部及び第２の信号
処理部に有する増幅器に与えるべき増幅度との相関関係
をデータとして与えておき、地中埋設物の探知を行おう
とする場所の地中の誘電率及び導電率を第１の信号処理
部及び第２の信号処理部に与えることにより、上記地中
の誘電率及び導電率と、増幅器に与えるべき増幅度との
相関関係のデータを用いて、第１の信号処理部及び第２
の信号処理部に有する増幅器の増幅度を自動設定し、上
記第１の受信部及び第２の受信部からの受信レベル信号
出力を上記増幅器で増幅することにより地中の電波の減
衰分を補正して、地表からの深さによる影響を除去する
ようにした地中埋設物探知方法であることを特徴として
いる。

【００１２】また、請求項５では、上記第３及び第４の
目的を達成するために、請求項１または請求項２に記載
の地中埋設物探知装置を用いて、該地中埋設物探知装置
のデータ融合部において、第１の信号処理部からのデー
タと、第２の信号処理部からのデータとを第３の信号処
理部からのデータを用いて、地表面からの不要反射波に
よる受信レベル変化分を可及的に除去して夫々の受信レ
ベル補正データを得、さらに該得られた夫々の受信レベ
ル補正データをもとにして、第４の信号処理部からのデ
ータを用いて、同一地点に対する２個の受信レベル補正
データを検出して統合し、上記同一地点に対する１個の
受信レベル補正データとし、該１個の受信レベル補正デ
ータと走査平面上の対応する位置データとを組合せて、
地中埋設物の水平位置と走査断面とを対応して表示可能
なデータとし、また第３の信号処理部からのデータ及び
第４の信号処理部からのデータを用いて走査平面の凹凸
データを得、該得られた凹凸データと走査平面上の位置
を組合せて走査平面の凹凸を表示可能なデータとして、
上記地中埋設物の水平位置と走査断面とを対応して表示
可能なデータと併せてデータ融合部から表示部に出力し
て、表示部に表示するようにし、また上記地中埋設物探
知装置の第１の信号処理部及び第２の信号処理部におい
て、予め、地中の誘電率及び導電率と、第１の信号処理
部及び第２の信号処理部に有する増幅器に与えるべき増
幅度との相関関係をデータとして与えておき、地中埋設
物の探知を行おうとする場所の地中の誘電率及び導電率
を第１の信号処理部及び第２の信号処理部に与えること
により、上記地中の誘電率及び導電率と、増幅器に与え
るべき増幅度との相関関係のデータを用いて、第１の信
号処理部及び第２の信号処理部に有する増幅器の増幅度
を自動設定し、上記第１の受信部及び第２の受信部から
の受信レベル信号出力を上記増幅器で増幅することによ
り地中の電波の減衰分を補正して、地表からの深さによ
る影響を除去するようにした地中埋設物探知方法である
ことを特徴としている。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図１は本発明の実施の
形態を示す地中埋設物探知装置のブロック図、図２は地
中埋設物の埋設状況を示す概念図、図３は図２に示す地
中埋設物を探知した場合における本発明の実施の形態を
示す地中埋設物探知装置の表示状況を示す説明図、図４
は図２に示す地中埋設物を探知した場合における従来の
地中埋設物探知装置の表示状況を示す説明図である。

【００１４】図１において、１は連続波の高周波信号を
発生させる連続波高周波信号発生部、２は連続波高周波
信号発生部１から供給される連続波の高周波信号を地面
に向けて放射し、且その反射波を受信する第１の空中
線、３は第１の空中線２の受信した反射波を受信してそ
の受信レベル信号を出力する第１の受信部、４は第１の
受信部３の出力を受信して信号処理する第１の信号処理
部、５はパルス波の高周波信号を発生させるパルス波高
周波信号発生部、６はパルス波高周波信号発生部５から
供給されるパルス波の高周波信号を地面に向けて放射
し、且その反射波を受信する第２の空中線、７は第２の
空中線６の受信した反射波を受信してその受信レベル信
号を出力する第２の受信部、８は第２の受信部７の出力
を受信して信号処理する第２の信号処理部、９は送信パ
ルス信号を発生させる送信パルス信号発生部、１０は送
信パルス信号発生部９から供給される送信パルス信号を
超音波パルス信号として地面に向けて放射し、且その反
射波を受信して受信パルス信号を出力する高度センサ、
１１は高度センサ１０が出力する受信パルス信号を受信
して信号処理する第３の信号処理部、１２は水平位置を
検出するための水平位置センサ、１３は水平位置センサ
１２が出力する水平位置信号を受信して信号処理する第
４の信号処理部、１４は第１の信号処理部４乃至第４の
信号処理部１３の演算処理の時間基準となる同期信号を
第１の信号処理部４乃至第４の信号処理部１３へ供給す
る同期信号発生部、１５は第１の信号処理部４乃至第４
の信号処理部１３からの出力データを受信して、これ等
のデータを融合させるデータ融合部、１６はデータ融合
部１５からの出力を受信して表示する表示部、１７は地
中埋設物探知装置の操作モードを校正モードと探知モー
ドに設定するモード設定部、１８は第１の空中線２、第
２の空中線６及び高度センサ１０とで構成された走査部
で、該走査部１８は、地中埋設物探知装置から走査部１
８を除いた本体部を静止した状態で、走査部のみを前後
左右に移動可能である。

【００１５】本発明の地中埋設物探知装置は、地中埋設
物の探知を行う地域に到達した後、地中埋設物探知装置
は静止して上記走査部１８で地面を走査し、走査の結
果、埋設物を発見すればその処理を行い、埋設物が無い
ことが確認されれば地中埋設物探知装置を走査が終った
地域だけ移動させて、再び走査部１８により走査を行う
ようにして順次地中埋設物の探知を行うようにしたもの
で、図１乃至図４によりその動作を説明する。

【００１６】地中埋設物の探知に先立って、モード設定
部１７を校正モードに設定し、予め、図に示していない
操作部から、地中の誘電率及び導電率と、第１の信号処
理部及び第２の信号処理部に有する図に示していない増
幅器に与えるべき増幅器との相関関係をデータとして第
１の信号処理部及び第２の信号処理部の図に示してない
メモリに与えておき、上記操作部から地中埋設物の探知
を行おうとする地域の地中の誘電率及び導電率を第１の
信号処理部及び第２の信号処理部に与えることにより、
上記メモリに記録された地中の誘電率及び導電率と増幅
器に与えるべき増幅度との相関関係のデータを用いて、
第１の信号処理部及び第２の信号処理部に有する増幅器
の増幅度が自動設定される。

【００１７】地中埋設物の探知を行う場合は、地中埋設
物探知装置のモード設定部１７を探知モードに設定し、
上記のように地中埋設物探知装置の本体部を静止させ、
走査部１８のみを前後左右に動かし当該地域を走査す
る。その動作を以下に説明する。

【００１８】連続波高周波信号発生部１は常時連続波の
高周波信号を出力しており、この高周波信号は第１の空
中線２に供給され、第１の空中線２から地面に向けて連
続波の高周波信号電波が放射される。第１の空中線２か
ら放射された連続波の高周波信号電波は地表面及び比較
的浅い地中にある埋設物で反射し、その反射波は第１の
空中線２に入射し、第１の空中線２に高周波信号が誘起
生成されて、該高周波信号は第１の受信部３に入力さ
れ、第１の受信部３は受信した高周波信号の受信レベル
に比例した受信レベル信号を出力し、第１の信号処理部
４は該受信レベル信号を受信して、上記したようにその
有する増幅器の増幅度を、受信レベル信号の地中におけ
る減衰分を補正するように設定してあるので、地中埋設
物によって生ずる反射波の受信レベル信号の地中におけ
る減衰分を補正して地中埋設物の埋設深さによる影響を
可能な限り除去し、第１の信号処理部４の有するアナロ
グ・ディジタル変換機能により当該受信レベル信号をデ
ィジタルデータに変換してデータ融合部１５に出力す
る。

【００１９】パルス波高周波信号発生部５はパルス波の
高周波信号を出力しており、この高周波信号は第２の空
中線６に供給され、第２の空中線６から地面に向けてパ
ルス波の高周波信号電波が放射される。第２の空中線６
から放射されたパルス波の高周波信号電波は地表面及び
比較的深い地中にある埋設物にも到達して反射し、これ
によって生ずる反射波は第２の空中線６に入射し、第２
の空中線６にパルス信号が誘起生成されて、該パルス信
号は第２の受信部７に入力され、第２の受信部７は受信
したパルス信号の受信レベルに比例した受信レベル信号
を出力し、第２の信号処理部８は該受信レベル信号を受
信して、上記したようにその有する増幅器の増幅度を、
地中埋設物によって生ずる反射波の受信レベル信号の地
中における減衰分を補正するように設定してあるので、
受信レベル信号の地中における減衰分を補正して埋設物
の埋設深さによる影響を可能な限り除去し、第２の信号
処理部８の有するアナログ・ディジタル変換機能により
当該受信レベル信号をディジタルデータに変換してデー
タ融合部１５に出力する。また送信パルス信号発生部９
は一定周期でパルス信号を出力しており、このパルス信
号は高度センサ１０に供給され、高度センサ１０から地
面に向けて超音波パルス信号が放射される。高度センサ
１０から放射された超音波パルス信号は、地面に達する
と地表面で反射し、その反射波は高度センサ１０に入射
することによって高度センサ１０に超音波パルス信号を
誘起生成し、高度センサ１０は該誘起生成した超音波パ
ルス信号から高度データを作成して、該高度データを第
３の信号処理部１１に出力する。水平位置センサ１２は
走査部１８を駆動する図示していない駆動部からの信号
により前後左右の移動距離を検出してこれを水平位置デ
ータとして第４の信号処理部１３に出力する。

【００２０】データ融合部１５では、第１の信号処理部
４から送出される、地中における減衰分を補正した比較
的浅い地中の受信レベル信号データと、第２の信号処理
部８から送出される、地中における減衰分を補正した比
較的深い地中迄の受信レベル信号データとを、第３の信
号処理部１１から送出される高度データを用いて夫々の
受信レベル信号データから地表面からの不要反射波によ
る受信レベル変化分を除去して、夫々の受信レベル信号
データの補正データ（以下、第１の信号処理部４から出
力した受信レベル信号データに対し地表面からの不要反
射波による受信レベル変化分を除去する補正を行った補
正データを“探知データ（Ａ）”、第２の信号処理部８
から出力した受信レベル信号データに対し地表面からの
不要反射波による受信レベル変化分を除去する補正を行
った補正データを“探知データ（Ｂ）”という）を得
て、更に探知データ（Ａ）は第１の空中線２から得たデ
ータであり、探知データ（Ｂ）は第２の空中線６から得
たデータで、何れのデータも夫々の信号処理部において
同期信号発生部１４から供給される同一の同期信号を基
準として処理されており、第１の空中線２と第２の空中
線６の走査部１８における取付位置関係と、走査部１８
の走査速度とから同一地点の同一の地中埋設物に対する
探知データ（Ａ）と探知データ（Ｂ）とを一致させるよ
うに処理を行い（以下、探知データ（Ａ）と探知データ
（Ｂ）とを一致させるように処理を行ったデータを“統
合探知データ”という）、統合探知データを得、第３の
信号処理部１１から送出される高度データ及び第４の信
号処理部１３から送出される水平位置データを上記統合
探知データに付加してこれを表示部１６に送出する。

【００２１】上記データ融合部１５から送出される高度
データ及び水平位置データを付加した統合探知データを
用いた表示部１６における表示方法を図２及び図３を用
いて説明する。

【００２２】図３は図２に示す地域を本発明の地中埋設
物探知装置で探知を行った場合の表示部１６の表示状況
を示し、データ融合部１５から送出される高度データ、
水平位置データおよび統合探知データを用いて表示した
もので、３１は走査正面断面を示し、３２は走査側面断
面を示し、３３は走査平面を示し、３１Ａ，３２Ａ及び
３３Ａは図２に示す２１Ａ，２２Ａ及び２３Ａの夫々に
対応する埋設物Ａ、同様にして３１Ｂ，３２Ｂ及び３３
Ｂは２１Ｂ，２２Ｂ及び２３Ｂに対応する埋設物Ｂ、３
１Ｃ，３２Ｃ及び３３Ｃは２１Ｃ，２２Ｃ及び２３Ｃに
対応する埋設物Ｃの夫々の走査正面断面３１、走査側面
断面３２及び走査平面３３への投影の概要を示してお
り、夫々の埋設物の大きさがその埋設されている深さの
影響を受けず大きさがほぼ正確に表示部１６によって表
示され、またその埋設位置を正面断面、側面断面及び平
面上の位置が相関的・立体的に表示されており、更に高
度データ及び水平位置データを用いて埋設物の探査を行
った地面の平面上の凹凸が表示される。

【００２３】

【発明の効果】上記のように本発明は、地中埋設物探知
装置の本体部を静止して走査部のみを駆動して走査する
ことにより、地表面を走査する電波を一様に照射するの
と同一の効果を得られるようにして、また走査する際の
振動に伴う電波の反射レベルの変動を無くして高度デー
タによる受信レベル補正を正確に行うことが可能であ
る。また埋設物の平面上の位置と地中の深さ方向との相
互関係を立体的に見ることが出来るような表示とし、走
査した地面の凹凸を同時に表示することにより、小さい
埋設物を見落とすことを防ぎ、かつ埋設物の位置の確認
を容易ならしめることができる。また電波が地中で減衰
するのを補償して地中深く埋設された埋設物もその大き
さに比例した大きさで表示し、地表浅く埋設された小さ
な埋設物との識別を容易ならしめることができるという
効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す地中埋設物探知装置
のブロック図。

【図２】地中埋設物の埋設状況を示す概念図。

【図３】図２に示す地中埋設物を探知した場合における
本発明の実施の形態を示す地中埋設物探知装置の表示状
況を示す説明図。

【図４】図２に示す地中埋設物を探知した場合における
従来の地中埋設物探知装置の表示状況を示す説明図。

【符号の説明】

１ 連続波高周波信号発生部 ２ 第１の空中線 ３ 第１の受信部 ４ 第１の信号処理部 ５ パルス波高周波信号発生部 ６ 第２の空中線 ７ 第２の受信部 ８ 第２の信号処理部 ９ 送信パルス信号発生部 １０ 高度センサ １１ 第３の信号処理部 １２ 水平位置センサ １３ 第４の信号処理部 １４ 同期信号発生部 １５ データ融合部 １６ 表示部 １７ モード設定部 １８ 走査部 ２１ 走査正面断面 ２１Ａ 埋設物Ａの走査正面断面への投影 ２１Ｂ 埋設物Ｂの走査正面断面への投影 ２１Ｃ 埋設物Ｃの走査正面断面への投影 ２２ 走査側面断面 ２２Ａ 埋設物Ａの走査側面断面への投影 ２２Ｂ 埋設物Ｂの走査側面断面への投影 ２２Ｃ 埋設物Ｃの走査側面断面への投影 ２３ 走査平面 ２３Ａ 埋設物Ａの走査平面への投影 ２３Ｂ 埋設物Ｂの走査平面への投影 ２３Ｃ 埋設物Ｃの走査平面への投影 ３１ 走査正面断面 ３１Ａ 埋設物Ａの走査正面断面への投影 ３１Ｂ 埋設物Ｂの走査正面断面への投影 ３１Ｃ 埋設物Ｃの走査正面断面への投影 ３２ 走査側面断面 ３２Ａ 埋設物Ａの走査側面断面への投影 ３２Ｂ 埋設物Ｂの走査側面断面への投影 ３２Ｃ 埋設物Ｃの走査側面断面への投影 ３３ 走査平面 ３３Ａ 埋設物Ａの走査平面への投影 ３３Ｂ 埋設物Ｂの走査平面への投影 ３３Ｃ 埋設物Ｃの走査平面への投影 ４１ 走査断面 ４１Ａ 埋設物Ａの走査断面への投影 ４１Ｂ 埋設物Ｂの走査断面への投影 ４１Ｃ 埋設物Ｃの走査断面への投影 ４２ 走査平面 ４２Ａ 埋設物Ａの走査平面への投影 ４２Ｂ 埋設物Ｂの走査平面への投影 ４２Ｃ 埋設物Ｃの走査平面への投影

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平７−12954（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−211145（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−282596（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−90029（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−63587（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−230142（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−77677（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95 G01V 3/12

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続波の高周波信号を発生させる連続波
   高周波信号発生部と、該連続波高周波信号発生部から連
   続波の高周波信号が供給されることにより地面に向けて
   該連続波の高周波信号を放射し、且その反射波を受信す
   る第１の空中線と、該第１の空中線が受信した反射波を
   受信してその受信レベル信号を出力する第１の受信部
   と、該第１の受信部の受信レベル信号出力を受信して信
   号処理する第１の信号処理部と、パルス波の高周波信号
   を発生させるパルス波高周波信号発生部と、該パルス波
   高周波信号発生部からパルス波の高周波信号が供給され
   ることにより地面に向けて該パルス波の高周波信号を放
   射し、且その反射波を受信する第２の空中線と、該第２
   の空中線が受信した反射波を受信してその受信レベル信
   号を出力する第２の受信部と、該第２の受信部の受信レ
   ベル信号出力を受信して信号処理する第２の信号処理部
   と、送信パルス信号を発生させる送信パルス信号発生部
   と、該送信パルス信号発生部から送信パルス信号が供給
   されることにより地面に向けて超音波パルス信号を放射
   し、且その反射波を受信して受信パルス信号を出力する
   高度センサと、該高度センサの受信パルス信号出力を受
   信して信号処理する第３の信号処理部と、水平位置を検
   出するための水平位置センサと、該水平位置センサの水
   平位置信号出力を受信して信号処理する第４の信号処理
   部と、上記第１の信号処理部、第２の信号処理部、第３
   の信号処理部及び第４の信号処理部の夫々に同期信号を
   供給する同期信号発生部と、上記第１の信号処理部、第
   ２の信号処理部、第３の信号処理部及び第４の信号処理
   部のモード設定を行うためのモード設定部と、上記第１
   の信号処理部、第２の信号処理部、第３の信号処理部及
   び第４の信号処理部からの出力データを受信して、該第
   １の信号処理部乃至第４の信号処理部からの出力データ
   を融合させるデータ融合部と、該データ融合部からの出
   力を受信して表示する表示部とから成ることを特徴とす
   る移動可能な地中埋設物探知装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の地中埋設物探知装置に
   おいて、第１の空中線、第２の空中線及び高度センサと
   で走査部を構成し、地中埋設物探知装置の走査部以外を
   本体部とし、該走査部を本体部に対して前後及び左右に
   移動可能とし、上記本体部を静止させた状態において、
   上記走査部を前後及び左右に移動させて地中埋設物の探
   知を行うことを特徴とする地中埋設物探知装置。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２に記載の地中埋
   設物探知装置を用いて、該地中埋設物探知装置のデータ
   融合部において、第１の信号処理部からのデータと、第
   ２の信号処理部からのデータとを第３の信号処理部から
   のデータを用いて、地表面からの不要反射波による受信
   レベル変化分を可及的に除去して夫々の受信レベル補正
   データを得、さらに該得られた夫々の受信レベル補正デ
   ータをもとにして、第４の信号処理部からのデータを用
   いて、同一地点に対する２個の受信レベル補正データを
   検出して統合し、上記同一地点に対する１個の受信レベ
   ル補正データとし、該１個の受信レベル補正データと走
   査平面上の対応する位置データとを組合せて、地中埋設
   物の水平位置と走査断面とを対応させて表示可能なデー
   タとし、また第３の信号処理部からのデータ及び第４の
   信号処理部からのデータを用いて走査平面の凹凸データ
   を得、該得られた凹凸データと走査平面上の位置を組合
   せて走査平面の凹凸を表示可能なデータとして、上記地
   中埋設物の水平位置と走査断面とを対応して表示可能な
   データと併せてデータ融合部から表示部に出力して、表
   示部に表示することを特徴とする地中埋設物探知方法。
4. 【請求項４】 請求項１または請求項２に記載の地中埋
   設物探知装置を用いて、該地中埋設物探知装置の第１の
   信号処理部及び第２の信号処理部において、予め、地中
   の誘電率及び導電率と、第１の信号処理部及び第２の信
   号処理部に有する増幅器に与えるべき増幅度との相関関
   係をデータとして与えておき、地中埋設物の探知を行お
   うとする場所の地中の誘電率及び導電率を第１の信号処
   理部及び第２の信号処理部に与えることにより、上記地
   中の誘電率及び導電率と、増幅器に与えるべき増幅度と
   の相関関係のデータを用いて、第１の信号処理部及び第
   ２の信号処理部に有する増幅器の増幅度を自動設定し、
   上記第１の受信部及び第２の受信部からの受信レベル信
   号出力を上記増幅器で増幅することにより地中の電波の
   減衰分を補正して、地表からの深さによる影響を除去す
   ることを特徴とする地中埋設物探知方法。
5. 【請求項５】 請求項１または請求項２に記載の地中埋
   設物探知装置を用いて、該地中埋設物探知装置のデータ
   融合部において、第１の信号処理部からのデータと、第
   ２の信号処理部からのデータとを第３の信号処理部から
   のデータを用いて、地表面からの不要反射波による受信
   レベル変化分を可及的に除去して夫々の受信レベル補正
   データを得、さらに該得られた夫々の受信レベル補正デ
   ータをもとにして、第４の信号処理部からのデータを用
   いて、同一地点に対する２個の受信レベル補正データを
   検出して統合し、上記同一地点に対する１個の受信レベ
   ル補正データとし、該１個の受信レベル補正データと走
   査平面上の対応する位置データとを組合せて、地中埋設
   物の水平位置と走査断面とを対応して表示可能なデータ
   とし、また第３の信号処理部からのデータ及び第４の信
   号処理部からのデータを用いて走査平面の凹凸データを
   得、該得られた凹凸データと走査平面上の位置を組合せ
   て走査平面の凹凸を表示可能なデータとして、上記地中
   埋設物の水平位置と走査断面とを対応して表示可能なデ
   ータと併せてデータ融合部から表示部に出力して、表示
   部に表示するようにし、また上記地中埋設物探知装置の
   第１の信号処理部及び第２の信号処理部において、予
   め、地中の誘電率及び導電率と、第１の信号処理部及び
   第２の信号処理部に有する増幅器に与えるべき増幅度と
   の相関関係をデータとして与えておき、地中埋設物の探
   知を行おうとする場所の地中の誘電率及び導電率を第１
   の信号処理部及び第２の信号処理部に与えることによ
   り、上記地中の誘電率及び導電率と、増幅器に与えるべ
   き増幅度との相関関係のデータを用いて、第１の信号処
   理部及び第２の信号処理部に有する増幅器の増幅度を自
   動設定し、上記第１の受信部及び第２の受信部からの受
   信レベル信号出力を上記増幅器で増幅することにより地
   中の電波の減衰分を補正して、地表からの深さによる影
   響を除去することを特徴とする地中埋設物探知方法。