JP3281143B2 - 吸着材料及びその製造方法 - Google Patents

吸着材料及びその製造方法

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JP3281143B2 JP25380193A JP25380193A JP3281143B2 JP 3281143 B2 JP3281143 B2 JP 3281143B2 JP 25380193 A JP25380193 A JP 25380193A JP 25380193 A JP25380193 A JP 25380193A JP 3281143 B2 JP3281143 B2 JP 3281143B2
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  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,溶剤の回収,自動車か
らの蒸発燃料の散逸防止,悪臭及び有害ガスの除去,或
いは処理水の浄化等に用いられる吸着材料及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来技術】活性炭は,代表的な吸着材料であり,例え
ば溶剤回収,悪臭及び有害ガスの除去,又は処理水の浄
化の際に用いられる。その一例として,活性炭を用いた
大気蒸散防止装置(キャニスター)が挙げられる。キャ
ニスターに用いられる活性炭は,主に粒状活性炭であ
り,キャニスター内に設けられた吸着剤容器内に充填さ
れる。キャニスターは,例えば,自動車に取り付けられ
た場合,上記吸収剤容器内に蒸発燃料を導入することに
より,活性炭に蒸発燃料を吸着させる。
【0003】また,活性炭は,例えば,磁気記録材の塗
布工程において,エレクトロニクスや化学工業で用いら
れる各種溶剤(ベンゼン,トルエン,ヘキサンメチルエ
チルケトン等)の溶剤回収装置にも用いられている。こ
の溶剤回収装置は,活性炭が収納されて,溶剤の導入を
行う容器と,吸着した溶剤を脱着させ,凝集し回収する
凝集器とから成る。ここで用いられる活性炭は,粒状あ
るいはハニカム状フィルタ−として用いられる。
【0004】また,活性炭は,非常に低濃度の多種類の
悪臭,有害ガス成分に対して,優れた吸着性を示す。し
かし,アンモニア,ホルマリン,硫化メチルなど低沸点
悪臭成分に対しては吸着性能は小さい。これらのガス成
分に対しては,活性炭に反応性物質や触媒成分を添着担
持せしめ,化学的吸着力を付与することにより選択的に
吸着させることができる。
【0005】また,活性炭は,上下水道あるいは工業用
水,排水の処理剤としても用いられる。活性炭は,凝集
沈澱,砂濾過,オゾン処理を施した処理水を接触させる
ことにより,水中の沈澱物,砂,オゾンを吸着する。こ
こで用いる活性炭の多くは,粉状あるいは粒状の形態を
している。
【0006】
【解決しようとする課題】ところで,上記の粉状又は粒
状の活性炭の他に,最近では繊維状活性炭や粉末炭を紙
や不織布に分散成形し,用途に適した形態に加工して使
用する場合が多い。しかし,上記用途においては,いず
れの場合でも活性炭を長期間使用していると,被吸着物
質が活性炭に付着して,吸着性能が劣化するという問題
点があった。
【0007】従来,このような活性炭の性能劣化に対し
ては,活性炭を溶剤により洗浄せしめ,被吸着物質を脱
離させて活性炭を再生する方法,及び活性炭を加熱し被
吸着物質を焼成して活性炭を再生する方法等が行われて
きた。しかし,いずれの方法も,プロセスが煩雑であっ
て,コストもかかり,完全には再生できないという問題
があった。
【0008】また,吸着剤として,シリカゲルやゼオラ
イト等の無機質多孔体の細孔内に炭素を析出させたもの
がある。しかし,ゼオライトの細孔は,直径1.3nm
未満と小さすぎ,細孔内が炭素で埋まり,被吸着物質の
入り込む空間を確保することができない。また,シリカ
ゲルの細孔径は,ばらつきが大きく,所望の大きさを有
する細孔が得られず,優れた吸着性能を発揮することが
できない。本発明はかかる従来の問題点に鑑み,優れた
吸着性能を有し,かつ長期間使用することができる吸着
材料及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】本発明は,隣合うシリケートシート
同士が部分的に結合されて,多数の細孔を有するシリカ
多孔体よりなる吸着材料において,上記細孔内に炭素が
配置されたことを特徴とする吸着材料にある。
【0010】上記シリカ多孔体は,多数の細孔を有して
いる。該細孔の直径は,1〜6nmであることが好まし
い。1nm未満の場合には,比較的大きい被吸着物質,
例えばトルエン等が細孔内に吸着したとき,細孔内を閉
塞したまま脱離しないおそれがある。一方,6nmを越
える場合には,実用上の有効性が得られない。
【0011】上記シリカ多孔体は,珪素四面体SiO4
からなるシリケートシートが折れ曲がり,部分的に上下
のシリケートシートと結合した構造であり,全体として
三次元構造体となっている。また,シリケートシート間
には,上記多数の細孔を有している(図2,図3)。シ
リカ多孔体の骨格は,珪素四面体SiO4 である(図
4)。
【0012】シリカ多孔体の細孔内には炭素が配置され
ている。望ましくは,細孔内表面を炭素膜が被覆してい
る形態が良い。該炭素膜で覆われた吸着孔は,吸着材料
を高い比表面積に維持することができる。例えば,比表
面積が800〜1200m2 /gのシリカ多孔体を用い
た吸着材料は,600〜1000m2 /gの比表面積を
有している。また,活性炭のように吸着孔表面を疎水的
表面とすることができるため,有機溶剤等の被吸着物質
に対する吸着性能が向上する。
【0013】上記炭素が配設された吸着孔の直径は,炭
素が配設されていないシリカ多孔体の細孔の直径よりも
少し小さい。例えば,シリカ多孔体の細孔の直径が3n
mの場合,炭素の膜の厚さをグラファイトの単層の厚
さ,即ち0.3nmとすると,直径2.4nmの吸着孔
を有する吸着材料が得られる。シリカ多孔体の細孔は,
直径1nm〜6nmのメソポアがほとんどであり,1n
m未満の細孔は全く存在しない(図6参照)。
【0014】上記吸着材料における上記炭素の含有率
は,3〜70wt%であることが好ましい。3wt%未
満の場合には,細孔表面を疎水的表面とすることが困難
であり,有機溶剤(ベンゼン,トルエン等)等の被吸着
物質に対する吸着性能が劣化するおそれがある。一方,
70wt%を越える場合には,細孔が上記炭素により埋
められ,直径1nm以下の吸着孔が形成され,吸着性能
が劣化するおそれがある。
【0015】次に,上記吸着材料を製造するに当たって
は,例えば,複数のシリケートシートの層間に,燃焼に
より分解し得る有機物を導入するとともに,隣合うシリ
ケートシート同士を部分的に結合させて,多数の細孔を
有するシリカ多孔体と有機物との複合体を得た後,該複
合体を焼成して,上記有機物を不完全に燃焼させること
を特徴とする吸着材料の製造方法がある。
【0016】上記シリケートシートの層間への上記有機
物の導入は,例えば,イオン交換反応により,該シリケ
ートシートの層間に存在するナトリウムイオン等の金属
イオンを除去し,その代わりに有機物を導入することに
より行われる(図5(a),(b)参照)。有機物は金
属イオンよりも嵩高のため,シリケートシートの層間を
拡幅し,該シリケートシートの形状を湾曲させる。
【0017】また,上記有機物導入の際には,該有機物
が導入された部分を除く,隣合うシリケートシート中の
シラノール(Si−OH)同士が,脱水縮合されシロキ
サン結合(Si−O−Si)が形成される。これによ
り,隣合うシリケートシート同士が,部分的にシロキサ
ン結合により結合され,三次元的ハニカム状の層間架橋
構造を形成する。
【0018】上記シリケートシートとしては,珪素四面
体層の層間にナトリウムイオンを含んだ結晶性層状珪酸
ナトリウム,例えばカネマイトNaHSiO5 ・3H2
O,ジ珪酸ナトリウムNa2 Si4 5 ,マカタイトN
2 Si4 5 ・5H2 O,アイラアイトNa2 Si8
17・xH2 O,マガディアイトNa2 Si1423・x
2 O,ケニヤアイトNa2 Si2041・xH2 O等の
結晶性層状珪酸塩が代表的であるが,これらに限定され
ない。
【0019】上記結晶性層状珪酸塩のうち,特にカネマ
イトのように,層状結晶が単一の珪素四面体層から成る
ものは単位重量当たりの表面積が大きいので,これを用
いて製造したシリカ多孔体も比表面積が大きくなる。カ
ネマイトを用いて製造されるシリカ多孔体の場合,単一
層構造が保持されたままで,上下のシリケートシートが
部分的に接合し,非接合部には有機物に基づく細孔が残
されて,全体として蜂の巣状の断面を呈する多孔構造を
とる。
【0020】上記有機物は,不完全燃焼により炭素を生
成するものであれば,どのようなものでもよいが,以下
のものが望ましい。これは,アルキルトリメチルアンモ
ニウム,ジメチルジアルキルアンモニウム,アルキルア
ンモニウム,及びベンジルトリメチルアンモニウムのグ
ループから選ばれた1又は2種以上の炭素化合物であ
る。上記複合体中における上記有機物の含有率は,30
〜70wt%であることが好ましい。30wt%未満の
場合には,細孔の形成が不十分となり,細孔容積及び比
表面積が小さくなるおそれがある。一方,70wt%を
越える場合には,コストが高くなることがある。
【0021】次に,上記複合体を,例えば,200〜7
00℃で焼成することにより,シリケートシートの層間
に導入された有機物が不完全に燃焼する。これにより,
大部分の有機物は熱分解して脱離するが,一部分の有機
物は炭素としてシリケートシートの層間に残存し,細孔
表面を覆うように配置される(図5(c)参照)。その
ため,得られた吸着材料は,シリカ多孔体の細孔直径よ
りもやや小さい吸着孔を有している。なお,焼成時間
は,焼成温度によって異なるが,例えば300℃の場合
には10分〜10時間が望ましく,更に30分〜2時間
が最適である。
【0022】上記有機物の不完全燃焼は,燃焼温度を制
御することにより,実現することができる。この複合体
の燃焼は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。不活性
雰囲気は,例えば,窒素ガスを用いて設定することがで
きる。また,上記有機物の不完全燃焼は,上記複合体を
不活性雰囲気中で,200〜700℃の条件下に配置し
て行うことが好ましい。
【0023】上記有機物の不完全燃焼を行う前に,上記
複合体を酸化雰囲気中において上記不完全燃焼よりも低
温,例えば,150℃〜400℃で熱処理を行うことが
好ましい。これにより,層間にある有機物の分子量が増
え,その後の熱処理により炭素の被覆量を増やすことが
できる。なお,この熱処理の時間も熱処理温度によって
異なるが,例えば250℃の場合には10分間〜10時
間が好ましく,更に30分〜2時間が最適である。上記
有機物の不完全燃焼は,上記複合体を成形型内に入れた
状態で行うことが好ましい。これにより,焼成後に成型
する必要がない。更に,上記複合体を焼成した後に成型
した場合よりも,強度の強いシリカ多孔体が得られる。
【0024】また,細孔表面に平坦な炭素膜を形成する
方法としては,通常の方法,即ち,燃焼し得る有機物を
層間に導入すると共に,三次元骨格を形成させ,その
後,有機物を不完全燃焼させる方法がある。
【0025】また,本発明の吸着材料を製造する別の方
法として,隣合うシリケートシート同士が部分的に結合
されて,多数の細孔を有するシリカ多孔体の細孔内に燃
焼により分解し得る有機物を導入した後,これらを焼成
して,上記有機物を不完全燃焼させることを特徴とする
吸着材料の製造方法がある。すなわち,すでに多数の
を有するシリカ多孔体の細孔内に有機物を導入し,そ
の後これらを焼成するものである。
【0026】上記シリカ多孔体の細孔内に有機物を導入
する方法としては,例えば,以下の方法がある。 (1)上記有機物の水溶液または有機溶媒溶液をシリカ
多孔体中に含浸させることによりシリカ多孔体の細孔内
に該溶液を吸着させる。その後,濾過または溶媒の蒸発
によりシリカ多孔体の細孔内に有機物のみを残存させ
る。 (2)上記有機物単体とシリカ多孔体とを混合すること
によりシリカ多孔体の細孔内に有機物を吸着させる。そ
の後,吸着されなかった余分な有機物を除去する。
【0027】また,シリカ多孔体の細孔内に導入する有
機物は,不完全燃焼により炭素を生成するものであれば
どのようなものでもよいが,以下のものが望ましい。こ
れは,例えば,アルキルトリメチルアンモニウム,ジメ
チルジアルキルアンモニウム,アルキルアンモニウム,
ベンジルトリメチルアンモニウム,又はフルフリルアル
コールのグループから選ばれた1又は2種以上の炭素化
合物である。また,本方法では,シリカ多孔体の調製,
有機物の導入量,有機物を導入した後の焼成,焼成前の
熱処理等については,前記方法と同様な条件で行うこと
ができる。
【0028】
【作用及び効果】本発明の吸着材料において,シリカ多
孔体の細孔内に炭素が配設されて形成された吸着孔の内
部には,比較的大きい分子量を有するトルエン,ベンゼ
ン,ヘキサン等の被吸着物質が容易に入り込むことがで
きる。また,吸着孔の表面には,疎水的性質を有する炭
素が配設している。そのため,吸着孔内に入った被吸着
物質,例えば,ベンゼン,トルエン等は,上記炭素と分
子間力により吸着される。
【0029】また,シリカ多孔体は多数の細孔を有し,
比表面積が大きい。そのため,該細孔内に配設した炭素
は,高い比表面積を有し,被吸着物質と接触する機会が
多い。従って,本発明の吸着材料は優れた吸着性能を発
揮することができる。
【0030】また,上記吸着孔は,その直径が1nm以
上のメソポアであり,1nm未満のミクロポアは全く存
在しない。そのため,吸着孔内に比較的大きな分子の被
吸着物質,例えば,トルエン分子等が吸着した場合で
も,該被吸着物質は一定時間をおいて徐々に吸着孔から
離脱する。それ故,吸着孔が被吸着物質に閉塞されるこ
とがない。従って,本発明の吸着材料は,長期間にわた
って優れた吸着性能を発揮することができる。
【0031】また,本発明の製造方法においては,複数
のシリケートシートを部分的に結合させることにより得
られたシリカ多孔体と有機物とからなる複合体,または
シリカ多孔体の細孔内に有機物を導入したものを焼成し
ている。これにより,有機物が不完全に燃焼し,部分的
に残存する。残存した有機物は,炭素としてシリカ多孔
体の細孔内の表面に付着する。これにより,基材となる
シリカ多孔体の細孔内に,炭素を配設した吸着孔を多数
個有する吸着材料が得られる。それ故,上記製造方法に
よれば,上記のごとく,優れた吸着材料を製造すること
ができる。
【0032】本発明の吸着材料は,溶剤の回収,自動車
からの蒸発燃料の散逸防止,悪臭及び有害ガスの除去,
或いは処理水の浄化等に用いることができる。本発明に
よれば,優れた吸着性能を有し,かつ長期間使用するこ
とができる吸着材料及びその製造方法を提供することが
できる。
【0033】
【実施例】
実施例1 本発明にかかる吸着材料について,図1〜図5を用いて
説明する。本例の吸着材料10は,図1に示すごとく,
多数の吸着孔12を有する。該吸着孔12は,シリカ多
孔体9の細孔92表面に炭素膜1が被覆することにより
形成される。上記シリカ多孔体9は,図2,図3に示す
ごとく,多数の細孔92を有し,基本的に板状のシリケ
ートシート91が重なったハニカム状の構造を有してい
る。シリカ多孔体9の骨格は,図4に示すごとく,珪素
四面体SiO4 である。
【0034】シリケートシート91は,細く湾曲してお
り,上側のシリケートシート91と下側のシリケートシ
ート91とが部分的に結合点93で結合することによ
り,三次元的な骨格を形成している。各シリケートシー
ト91の層間と上記結合点93との間には,細孔92が
形成されている。細孔92は,シリケートシート91が
拡幅することにより,形成されている。上記吸着材料1
0中における炭素の含有率は,50wt%である。
【0035】次に,図5を用いて上記吸着材料の製造方
法について説明する。まず,シリケートシートを作製す
る。即ち,粉末ケイ酸ソーダ(SiO2 /Na2 O=
2.00)65gを電気炉で700℃,6時間焼成し,
50gのNa2 Si2 5 結晶を得た。この結晶を水中
に浸漬し,攪拌した後固形分を濾過して,シリケートシ
ートとしてのカネマイト結晶を得た。図5(a)に示す
ごとく,上記シリケートシート91の間にはナトリウム
イオン5が存在する。
【0036】次に,上記カネマイト50gを,有機物水
溶液1リットルに分散させ,70℃で3時間攪拌した。
上記有機物水溶液には,上記ナトリウムイオンよりも分
子量の大きいヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロ
ライドが溶解している。その濃度は,32g/リットル
である。
【0037】その後,上記水溶液のpHを8.5に調整
し,上記シリケートシートを含む固形分を濾過し,繰り
返し水洗して,上記ナトリウムイオンを除去した。その
後,上記固形分を乾燥して,図5(b)に示すごとく,
有機物3が導入された部分を除く,隣合うシリケートシ
ート91同士が結合点93において結合する。これによ
り,三次元構造体であるシリカ多孔体が形成され,該シ
リカ多孔体と有機物3との複合体90を得た。該複合体
90中における有機物3の含有率は,55wt%であっ
た。
【0038】次に,上記複合体90を,窒素ガスを5リ
ットル/分で流しながら焼成した。焼成条件は,1時間
毎に20℃ずつ昇温して,450℃に至らしめ,次いで
450℃にて3時間の焼成とした。これにより,図5
(c)に示すごとく,多数の細孔92を有するシリカ多
孔体9が得られた。
【0039】また,シリケートシート91の層間に存在
する有機物3が不完全に燃焼する。即ち,大部分の有機
物は熱分解して脱離するが,一部分の有機物は,炭素と
してシリケートシート91の層間に残存する。そして,
細孔92の表面に上記有機物由来の炭素膜1が形成され
る。これにより,上記吸着材料10を得た。
【0040】尚,比較例として,上記シリカ多孔体と有
機物との複合体を,空気中700℃で6時間焼成し,有
機物を完全燃焼させて,シリカ多孔体(図2参照)を得
た。
【0041】実施例2 本例においては,上記実施例1の吸着材料及び上記比較
例のシリカ多孔体について,その液体窒素温度での窒素
吸着等温線を測定した。また,Cranston−In
clay法による解析により,細孔分布を求めた。その
結果を,図6に示した。
【0042】同図より,実施例1の吸着材料は,吸着孔
の直径が2.4nmであり,直径1nm以下のミクロポ
アが存在しなかった。一方,比較例としてのシリカ多孔
体は,細孔直径が3nmであった。また,窒素吸着等温
線からBET法により計算した比表面積は,シリカ多孔
体が1050m2 /gで,本発明の吸着材料は750m
2 /gであった。
【0043】実施例3 本例においては,吸着材料のトルエンによる劣化促進試
験を行った。上記試験に用いた試料は,上記実施例1の
吸着材料,上記比較例のシリカ多孔体,及び活性炭(ク
ラレコール 商標名)である。これらの試料の粒径は,
8─28メッシュに揃えた。
【0044】次に,上記試験方法について説明する。ま
ず,試料にトルエンを一晩吸着させて飽和とした。その
後,窒素ガスにより上記試料からトルエンを離脱させ
た。上記試料の吸着性能は,ブタン破過吸着量で評価し
た。該ブタン破過吸着量は,出口にブタンセンサを付け
た容器に試料100ccを入れ,入口からブタンを含む
ガスを導入し,出口にブタンがでてくるまでのブタンの
吸着量を重量法により測定した。トルエン吸着前後の試
料のブタン破過吸着量を比較することにより,劣化度を
見積もった。その結果を表1に示した。
【0045】その結果,活性炭の劣化率が6.26%で
あったのに対し,本発明の吸着材料は,0.44%と小
さかった。また,本発明の吸着材料のブタン破過吸着量
が4.55g/dLであり,比較例としてのシリカ多孔
体の4.01g/dLより大きく,炭素が細孔内に配置
していることにより,トルエンの吸着性能が向上してい
ることがわかる。
【0046】
【表1】
【0047】実施例4 本例に係る吸着材料の製造方法は,既に多数の細孔を有
するシリカ多孔体の細孔内に有機物を導入し,その後こ
れらを焼成するものである。即ち,まず,多数の細孔を
有するシリカ多孔体10gを110℃で乾燥させた後,
10gのフルフリルアルコールを溶解させたエタノール
100mlに浸漬した。シリカ多孔体を濾別し,乾燥さ
せた後,150℃に加熱し,シリカ多孔体の細孔内に吸
着させたフルフリルアルコールを重合させた。その後,
窒素中,5℃/minで700℃まで昇温して,重合し
たフルフリルアルコールを炭素化した。この様にして,
細孔内に炭素を配置したシリカ多孔体(炭素含有量30
%)を合成した。本例に係るシリカ多孔体においても,
実施例1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の吸着材料の部分拡大断面図。
【図2】図3の部分拡大図。
【図3】実施例1のシリカ多孔体の積層構造を示す説明
図。
【図4】実施例1のシリカ多孔体の骨格構造を示す説明
図。
【図5】実施例1の吸着材料の製造方法を示す説明図。
【図6】実施例2の測定結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1...炭素膜, 10...吸着材料, 12...メソポア, 3...有機物, 9...シリカ多孔体, 90...複合体, 91...シリケートシート, 92...細孔,
フロントページの続き (72)発明者 福嶋 喜章 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 永見 哲夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 大杉 芳雄 静岡県小笠郡大東町千浜7800番地 キャ タラー工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−321510(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/00 - 20/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣合うシリケートシート同士が部分的に
    結合されて,多数の細孔を有するシリカ多孔体よりなる
    吸着材料において,上記細孔内に炭素が配置されたこと
    を特徴とする吸着材料。
  2. 【請求項2】 複数のシリケートシートの層間に,燃焼
    により分解し得る有機物を導入するとともに,隣合うシ
    リケートシート同士を部分的に結合させて,多数の細孔
    を有するシリカ多孔体と有機物との複合体を得た後,該
    複合体を焼成して,上記有機物を不完全に燃焼させるこ
    とを特徴とする吸着材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 隣合うシリケートシート同士が部分的に
    結合されて,多数の細孔を有するシリカ多孔体の細孔内
    燃焼により分解し得る有機物を導入した後,これら
    を焼成して,上記有機物を不完全に燃焼させることを特
    徴とする吸着材料の製造方法。
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