JP3279454B2 - 放電加工装置 - Google Patents

放電加工装置

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JP3279454B2
JP3279454B2 JP07396595A JP7396595A JP3279454B2 JP 3279454 B2 JP3279454 B2 JP 3279454B2 JP 07396595 A JP07396595 A JP 07396595A JP 7396595 A JP7396595 A JP 7396595A JP 3279454 B2 JP3279454 B2 JP 3279454B2
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,加工槽内における加
工液中に設けられた電極と被加工物との間に放電を発生
させることにより,被加工物に対してを加工処理を実行
する放電加工装置に関し,特に,非接触で電極と被加工
物との間の極間距離を演算し,適正な極間距離を得るこ
とができる放電加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は,従来における一般的な放電加工
装置の概略構成を示す説明図であり,図において,10
1は電極,102は被加工物である。該電極101と被
加工物102は,加工槽104に満たされた加工液10
5の中に浸され,電極101は送り装置103が駆動す
ることにより上下方向に移動できるように構成されてい
る。一般的に,電極101は,銅やグラファイト等の電
気抵抗の低い導体により構成され,また,被加工物10
2は,鉄やアルミ等の金属が多く用いられる。また,電
極101は所望する形状を得るために3次元形状の型を
しており,その形状をもって放電することにより被加工
物102に対して所望の型彫りが実行される。
【0003】また,この放電加工装置において,電極1
01と被加工物102との間の距離,すなわち,極間距
離の測定をするために,まず,比較的抵抗値の高い抵抗
106と,直流電源107との直列体を電極101と被
加工物102との間に接続し,この電極101と被加工
物102との間の電圧を比較器108により基準電圧1
09と比較する。この比較器108からの出力110に
基づいて電極101の移動による被加工物102との接
触を検出できるように構成されている。次に,電極10
1と被加工物102との間の距離を検知する動作として
は,放電加工処理の開始前に,サーボ装置等により精密
に位置を制御できる送り装置103を用いて電極101
を被加工物102に対してゆっくりと接近させ,接触し
た位置を距離がゼロであるとする。その後,送り装置1
03の送り量により電極101と被加工物102との間
の距離を検知するものである。
【0004】また,従来における他の放電加工装置とし
て,例えば,特開平2−36018号公報に開示されて
いる「放電加工装置の電極間距離の制御装置」がある。
図9は,この従来例における極間距離の違いによる極間
電圧波形の相違と,それに起因する平均電圧の相違とを
示した説明図である。図において,適当な極間距離の場
合における極間電圧波形aの平均電圧はa’であり,ま
た,拡大ぎみの極間距離の場合における極間電圧波形b
の平均電圧はb’である。拡大ぎみの極間距離(極間距
離が広くなり放電が発生しにくくなった状態)では平均
電圧b’が適当な極間距離の場合における極間電圧波形
aの平均電圧a’に比べて高くなっている(a’<
b’)。
【0005】極間距離の制御と維持は,放電加工処理に
おいて基本的,かつ,重要なものであるが,放電中にお
いて極間距離を測定することは容易ではないため,上記
のように,極間距離と等価とみなすことのできる他の状
態量を検出することにより極間距離を予測し,放電の持
続に最適な極間距離に対して,その大小を比較して極間
距離の制御を実行するものである。
【0006】上記のように,図9に示した従来技術にあ
っては,極間の電圧波形より得られる極間電圧の平均値
を極間距離と等価とみなすことのできる他の状態量とし
て用いている。この方法は従来より行われている一般的
な方法であって,平均電圧サーボ方式といわれ,極間電
圧の平均値が極間距離に比例するといわれていることを
利用しているものである。したがって,平均電圧が目標
とする指令値に対して高いときには放電が発生し易いよ
うに極間距離を縮小し,指令値に対して低いときには放
電を抑制するように極間距離を拡大する制御を実行する
ことにより,良好な放電状態を維持しようとするもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,図8に
示した従来における放電加工装置にあっては,第1に,
上述のように構成されているため,加工中に非接触状態
にて極間距離を測定することができない,第2に,接触
により電極と被加工物との間の電圧が下がり,比較器か
らの出力が出てから送り装置の送り動作を停止させるた
め,僅かながら停止までに時間がかかることにより,電
極と被加工物が接触する場合があり,その結果,接触に
より僅かながら電極および被加工物に傷が付く恐れがあ
る,第3に,その損傷を抑制するために,送り装置の速
度を非常に遅くさせることも考えられるが,そのような
制御を実行すると接触するまでの時間が長くなるため,
作業効率が悪くなる。さらに,加工速度が早くならず,
電極の消耗が大きくなる,
【0008】第4に,電極または被加工物の接触部分に
不動態の状態の絶縁物(被加工物の加工面または電極の
加工面にできる一種の絶縁被膜のことで,酸化物である
ことが多い)があると,比較器から信号が出力されなく
なるため,送り装置を止めることができず,電極または
被加工物に大きな損傷を与えてしまう,第5に,放電加
工が始まると被加工物は放電作用により加工されていく
ため,接触した位置を距離がゼロと基準にすることは,
電極と被加工物との間における極間距離としては何ら意
味が無いものになってしまう,という問題点があった。
【0009】さらに,上記問題点を具体的に図面を用い
て説明する。図10(a)において,71は放電加工処
理の結果発生する加工粉である。この加工粉71は加工
処理と並行して行われる電極101の上下運動により電
極101と被加工物102との間から排出されるが,一
部は電極101と被加工物102との間に残る場合があ
る。また,この加工粉71の大きさは10〜50μm程
度である。上記従来における接触通電式の極間距離をゼ
ロに更正する方式では,この加工粉71を含めてその極
間距離を測定していため,実際には,加工粉71が挟ま
れる分,極間距離の正確な値を把握することは困難であ
った。
【0010】また,図10(b)において,72は放電
加工処理の結果,被加工物102の加工面上にできる突
起である。放電加工処理の状態が良好でないとき,例え
ば,短絡やアークが発生した場合にできるものである。
また,溶融した上記加工粉71が付着してできることも
ある。この突起72があると,上記従来における接触通
電式の極間距離をゼロに更正する方式では,電極101
の加工面が,被加工物102の加工面に接触する前に,
この突起72に当たってしまい,極間距離として,この
突起72を含めた高さを測定してしまうため,実際に
は,極間距離の正確な値を把握することは困難であっ
た。
【0011】また,図9に示した特開平2−36018
号公報の「放電加工装置の電極間距離の制御装置」にあ
っては,第1に,上記状態量として極間の電圧波形より
得られる極間電圧の平均値を利用するため,加工中にお
いて良好な放電状態であるか否かを検知することはでき
るが,そのときの極間距離がどのくらいの数値になるか
を検知することはできない。したがって,極間距離は経
験的な相対値として定めなければなず,また,加工して
いないときには,もちろん平均電圧はゼロか無意味な電
圧となる,
【0012】第2に,加工していないときは極間距離の
状態量を得られないため,極間距離を制御することがで
きない。したがって,大きめの極間距離から放電を開始
し,その平均電圧が良好な放電状態と見られる電圧にな
るまで微速度で送って加工処理を実行しているため,放
電開始から良好な放電状態になるまでの時間が,実際に
良好な放電状態で加工された時間に比べてかなり長い時
間を占める。このことは,換言すると,加工速度が遅く
なるということであり,また,良好でない放電状態で加
工することによって,電極の消耗が大きくなったり,被
加工物の加工面の面粗さが粗悪になったりする,という
問題点があった。
【0013】この発明に係る放電加工装置は,上記に鑑
みてなされたものであって,加工処理中であって放電を
発生していないときに非接触で電極と被加工物との間に
おける極間距離を正確に測定し,適正な極間距離で加工
を開始することにより放電加工処理の加工効率,加工性
能を向上させることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するために,この発明に係る放電加工装置にあって
は,加工液中に設けられた電極と被加工物との極間に放
電を発生させることにより前記被加工物に対する加工処
理を行う放電加工装置において,前記電極および(また
は)被加工物を移動させることにより前記電極と前記被
加工物との極間距離を変化させる移動手段と,前記移動
手段による移動に基づいて複数位置における前記電極と
被加工物との極間のそれぞれの静電容量を測定する静電
容量測定手段と,前記複数位置における前記電極および
(または)被加工物のそれぞれの移動距離を測定する移
動距離測定手段と,前記静電容量測定手段により測定し
た静電容量,および,前記移動距離測定手段により測定
した移動距離に基づいて前記電極と被加工物との極間距
離を演算する極間距離演算手段と,前記極間距離演算手
段により演算された極間距離に基づいて前記電極と被加
工物との極間距離を制御する位置制御手段とを具備する
ものである。
【0015】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,前記静電容量測定手段は,第1の地点における前
記電極と被加工物との極間の静電容量,および,前記第
1の地点とは異なる第2の地点における前記電極と被加
工物との極間の静電容量を測定し,前記移動距離測定手
段は,前記第1の地点から第2の地点までの前記電極お
よび(または)被加工物の移動距離を測定するものであ
る。
【0016】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,前記静電容量測定手段は,第1の地点における前
記電極と被加工物との極間の静電容量,前記第1の地点
とは異なる第2の地点における前記電極と被加工物との
極間の静電容量,および,前記第1の地点および第2の
地点とは異なる第3の地点における前記電極と被加工物
との極間の静電容量を測定し,前記移動距離測定手段
は,前記第1の地点から第2の地点までの前記電極およ
び(または)被加工物の移動距離,および,前記第2の
地点から第3の地点までの前記電極および(または)被
加工物の移動距離を測定するものである。
【0017】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては、前記位置制御手段は、放電処理のために前記電極
と被加工物との間を最適な加工処理が実行できる極間距
離に位置制御し,放電処理終了時のジャンプ動作により
被加工物から前記電極が離れるときに段階的に静電容量
を測定するものである。
【0018】
【作用】この発明に係る放電加工装置は,電極および
(または)被加工物を移動させることにより電極と被加
工物との極間距離を変化させ,該移動に基づいた複数位
置における電極と被加工物との極間のそれぞれの静電容
量を測定し,かつ,複数位置における電極および(また
は)被加工物のそれぞれの移動距離を測定し,その後,
測定した静電容量,および,測定した移動距離に基づい
て電極と被加工物との極間距離を演算し,該演算された
極間距離に基づいて電極と被加工物との極間距離を制御
するので,加工処理中であって放電を発生していないと
きに非接触で電極と被加工物との間における極間距離を
測定することができ,適正な極間距離で加工を開始する
ことができる。
【0019】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,第1の地点における電極と被加工物との極間の静
電容量,および,第1の地点とは異なる第2の地点にお
ける電極と被加工物との極間の静電容量を測定し,ま
た,第1の地点から第2の地点までの電極および(また
は)被加工物の移動距離を測定するので,加工処理中で
あって放電を発生していないときに非接触で電極と被加
工物との間における極間距離を測定することができる。
【0020】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,第1の地点における電極と被加工物との極間の静
電容量,第1の地点とは異なる第2の地点における電極
と被加工物との極間の静電容量,および,第1の地点お
よび第2の地点とは異なる第3の地点における電極と被
加工物との極間の静電容量を測定し,また,第1の地点
から第2の地点までの電極および(または)被加工物の
移動距離,および,第2の地点から第3の地点までの電
極および(または)被加工物の移動距離を測定するの
で,より正確に,加工処理中であって放電を発生してい
ないときに非接触で電極と被加工物との間における極間
距離を測定することができる。
【0021】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,放電処理のために前記電極と被加工物との間を最
適な加工処理が実行できる極間距離に位置制御し,放電
処理終了時のジャンプ動作により被加工物から前記電極
が離れるときに段階的に静電容量を測定するので,常に
最適な加工状態を得ることができる。
【0022】
【実施例】
〔実施例1〕 (実施例1の構成)以下,この発明に係る放電加工装置
の実施例を図について説明する。図1は,実施例1に係
る放電加工装置の概略構成を示すブロック図であり,図
において,1は電極,2は電極1により放電加工処理を
実行する被加工物,3は電極1と被加工物2との間にお
ける極間距離10を制御するために電極1の位置を上下
方向に移動させる送り装置,4は送り装置3を制御する
ことにより電極1と被加工物2との距離を正確に制御す
る位置制御部,5は位置制御部4に対して位置指令値を
出力する極間距離指令部,6は電極1と被加工物2との
間における極間電圧を状態量として検出し,該電圧デー
タを位置制御部4に対して出力する極間電圧測定部,7
は電極1と被加工物2との間に加工電力を供給する加工
電源,8は電極1と被加工物2との間における静電容量
を測定する静電容量測定部,9は位置制御部4からの信
号と静電容量測定部8からの信号により極間距離を演算
する極間距離演算部,11〜13はそれぞれの相対位置
データ(h1 〜h3 )を記憶するメモリ,14〜16は
相対位置データにおける静電容量(CM1〜CM3)を記憶
するメモリ,17は極間距離演算部9において各種情報
に基づいて極間距離を演算処理する演算部である。
【0023】(実施例1の基本動作)以上の構成におい
て,その動作について説明する。加工電源7から加工電
力が供給されているとき,電極1と被加工物2との間に
おける電圧値を極間電圧測定部6により状態量として検
出し,該検出された電圧データを位置制御部4へ出力す
る。位置制御部4は極間電圧測定部6から入力された電
圧データに基づいて極間距離指令部5から出力される指
令値と一致するように,送り装置3を駆動制御して電極
1の位置制御を実行するものである。また,静電容量測
定部8は,電極1と被加工物2との間における静電容量
を測定し,該測定された静電容量を極間距離演算部9に
対して出力する。
【0024】また,加工電源7から加工電力が供給され
ていないとき,極間距離指令部5から送出される指令値
に基づいて位置制御部4は送り装置3を駆動制御するこ
とにより電極1の位置制御を実行し,さらに,極間静電
容量を静電容量測定部8により測定し,極間距離演算部
9にその静電容量の測定結果を出力する。また,位置制
御部4は,電極1が移動するごとに,その移動した電極
1の現在位置データを極間距離演算部9に対して出力す
る。極間距離演算部9は,電極1に関する複数の位置デ
ータとその電極1の位置におけるそれぞれの静電容量を
記憶し,後述する演算方法を用いて極間距離10を演算
し,該演算結果を位置制御部4に出力する。位置制御部
4は,演算された極間距離データに基づいて極間距離指
令部5の指令値と一致するように電極1を移動させるこ
とにより,極間距離10を調整する。その後,加工電源
7から加工電力の供給を受けて,再び,被加工物2に対
して放電加工処理を実行するものである。
【0025】なお,送り装置3,極間距離指令部5,加
工電源7,静電容量測定部8,極間距離演算部9,極間
電圧測定部6のそれぞれの動作は,図示していない全体
を統括するコンピュータあるいは数値制御装置等により
管理されている。
【0026】(静電容量測定部の構成および動作)次
に,静電容量測定部の構成について説明する。図2は,
静電容量測定部8の一例を示す回路図であり,図におい
て,電極1と被加工物2との間における静電容量C
M1は,式(1)に示すように,極間における静電容量C
g ,極間の浮遊容量Cs1,および,ケーブル等の浮遊容
量Cs2の和により求めることができる。すなわち, CM1=Cg +Cs1+Cs2 …(1) により求めるものである。
【0027】上記式(1)を用いて,この電極1と被加
工物2との間における静電容量CM1を測定するために,
静電容量測定部8は,直流を阻止するためのコンデンサ
21と,交流正弦波を発信する発信器22と,比較的小
さな抵抗値を有する抵抗23とを直列に電極1と被加工
物2との間に接続している。この発信器22が発信する
信号としては,例えば,10V,1KHzまたは10K
Hz等の信号である。また,静電容量CM1を通過する電
流を抵抗23により検出する。上記コンデンサ21は,
加工処理中の直流電圧を阻止するものであり,また,コ
ンデンサ21には比較的大きな容量のコンデンサを用い
るため,静電容量CM1の測定には影響しない。
【0028】また,抵抗23により検出した電圧は,増
幅器24により増幅された後,絶対値増幅器25により
整流され,直流電圧に変換される。このように,抵抗2
3により検出された電圧は直流電圧に変換され,該変換
された電圧値を静電容量CM1の測定結果として極間距離
演算部9に対して出力する。極間距離演算部9は,その
静電容量CM1の測定結果に基づいて極間距離を演算す
る。上記絶対値増幅器25は,例えば,同期検波やダイ
オード整流方式等を用いて,増幅器24により増幅され
た上記検出電圧の整流を行う。
【0029】次に,発信器22に負荷される電圧をV
OSC とし,発信器22の周波数をfとし,抵抗23の抵
抗値をRとし,抵抗23に発生する電圧をVR とすると
静電容量CM1は式(2)により求めることができる。す
なわち, CM1=VR /(2πf・VOSC ・R) …(2) となる。上記式(2)により,静電容量CM1の測定感度
を上げるためには,発信器22の発信電圧VOSC の電圧
値を上げるか,あるいは,発信器22の周波数fを上げ
ればよい。また,抵抗23の抵抗値を大きくしてもよ
い。
【0030】このように静電容量測定部8を用いれば,
数pFから数μFまで広い範囲における静電容量CM1
測定をすることができる。また,静電容量CM1の測定結
果であるアナログ値をデジタル値に変換することによ
り,マイクロコンピュータ等により演算する際,その静
電容量CM1の測定結果を利用することができる。
【0031】(極間距離を求める手順)次に,実施例1
に係る放電加工装置により電極1と被加工物2との極間
距離10を求める手順について説明する。図3は,極間
距離10を求める手順を示す説明図であり,図3(a)
は,電極1が移動する前の状態を示しており,電極1と
被加工物2との間における極間距離10がd1 であるこ
とを示している。このときの電極1と被加工物2との間
における静電容量がCM1であり,浮遊容量がCSであ
る。また,送り装置3の駆動による電極1の移動位置を
1 とし,電極1の被加工物2に対する面の面積をSと
する。
【0032】図3(b)は,電極1が移動した後の状態
を示しており,電極1と被加工物2との間における極間
距離10がd2 であることを示している。このときの電
極1と被加工物2との間における静電容量はCM2であ
る。このとき,送り装置3の駆動による電極1の移動位
置がh2 であるとする。また,電極1の被加工物2に対
する面の面積を図3(a)と同様にSとする。浮遊容量
S は電極1の移動位置h1 とh2 との変化量が小さけ
れば,ほぼ同一とみなすことができる。したがって,図
3(b)における浮遊容量もCS とする。
【0033】ここで,一般に,電極1の面積Sと,静電
容量Cと,加工液の比誘電率εrとから,極間距離10
をdとすると,dは式(3)により求めることができ
る。すなわち, d=ε0 εr S/C …(3) 真空中の誘電率:ε0 =8.854×10-12 (F/
m) により求めることができる。
【0034】上記式(3)において,極間距離dを求め
るには,パラメータにおいて,加工液の比誘電率εrは
あらかじめ分かっていなければならず,また,複雑形状
の電極であっても面積Sが明確になっていなければなら
ない。さらに,静電容量Cは浮遊容量を含まない極間の
静電容量でなければならない。そのため,実際の加工処
理中に頻繁に極間距離を求める場合には,上記式(3)
を用いて測定することが非常に困難となる。
【0035】そこで,極間距離dを求めるために下記の
手順を用いる。まず,送り装置3の駆動による電極1の
移動位置がh1 からh2 へ移動したときの移動量Δh1
を求める。その電極1の移動量Δh1 は,移動位置h2
とh1 との差,すなわち,Δh1 =h2 −h1 である。
すなわち, Δh1 =h2 −h1 =d2 −d1 …(4) である。上記式(4)に示すように,この移動量Δh1
は,極間距離dの変化量d2 −d1 と同一である。
【0036】次に,電極1の移動位置h1 のときの極間
静電容量C1 ,および,電極1の移動位置h2 のときの
極間静電容量C2 は,次の2つの式(5),(6)によ
り求めることができる。すなわち, C1 =ε0 εr S/d1 …(5) C2 =ε0 εr S/d2 …(6) である。
【0037】上記式(4),式(5)および式(6)を
用いて,図3(a)の場合の極間静電容量C1 と,電極
1の移動位置h1 とから,および,図3(b)の場合の
極間静電容量C2 と,電極1の移動位置h2 とから極間
距離d1 を求めることができる。すなわち,上記式
(4),式(5)および式(6)の連立方程式により,
ε0,εr,Sおよびd2 を消去すると,極間距離d1
は式(7)に示すようになる。
【0038】
【数1】
【0039】上記式(7)から,電極1の移動量Δh1
と,電極1の移動前の静電容量C1と,電極1の移動後
の静電容量C2 が判明すれば,電極1の移動前の極間距
離d 1 を算出することができる。したがって,この上記
式(7)にあっては,被加工物2と電極1の対抗する部
分の面積Sや,加工液の誘電率εrを知ることなしに,
かつ,電極1と被加工物2が非接触状態にあっても,極
間距離d1 を求めることができる。また,電極1の面積
Sが大きくて浮遊容量CS が無視できるような電極1に
おいても上記式(7)が利用できる。
【0040】(実施例1の効果)実施例1によれば,電
極1と被加工物2との間における静電容量測定部9と,
電極1または被加工物2の相対位置の測定手段(位置制
御部4,極間距離指令部5,極間電圧測定部6)とを備
え,電極1の第1の位置(電極1の移動前の位置)での
電極1と被加工物2との間における静電容量C1 と,電
極1の第2の位置(電極1の移動後の位置)での電極1
と被加工物2との間における静電容量C1,および,上
記第1の位置と上記第2の位置間の電極1の移動距離Δ
1 を測定し,上記静電容量C1 とC2 ,および,上記
移動距離Δh1 とから,上記電極1と被加工物2との間
における極間距離10を演算(極間距離演算部9)によ
り求め,電極1と被加工物2との間における極間距離1
0の位置決めを状態量によらずに希望の値に正確に制御
することにより,良好な加工が行える極間距離に合わせ
てから放電電力を加えて加工処理を開始することができ
る。
【0041】〔実施例2〕 (極間距離を求める手順)次に,実施例2について説明
する。図4は,実施例2に係る放電加工装置の極間距離
10を求める他の手順を示す説明図である。図4(a)
は,電極1が移動する前の状態を示しており,電極1と
被加工物2との間における極間距離10がd1 であるこ
とを示している。このときの電極1と被加工物2との間
における静電容量がCM1であり,浮遊容量がCS であ
る。また,送り装置3の駆動による電極1の移動位置を
1 とし,電極1の被加工物2に対する面の面積をSと
する。
【0042】図4(b)は,電極1が移動した後の状態
を示しており,電極1と被加工物2との間における極間
距離10がd2 であることを示している。このときの電
極1と被加工物2との間における静電容量がCM2であ
る。このとき,送り装置3の駆動による電極1の移動位
置がh2 であるとする。また,電極1の被加工物2に対
する面の面積を図4(a)と同様にSとする。
【0043】図4(c)は,電極1がさらに移動した後
の状態を示しており,電極1と被加工物2との間におけ
る極間距離10がd3 であることを示している。このと
きの電極1と被加工物2との間における静電容量がCM3
である。このとき,送り装置3の駆動による電極1の移
動位置がh3 であるとする。また,電極1の被加工物2
に対する面の面積を図4(a)および(b)と同様にS
とする。
【0044】ここで,浮遊容量CS は,電極1の移動位
置h1 ,h2 ,h3 の変化が小さければ,その浮遊容量
S の変化もほとんどなく,ほぼ同一とみなすことがで
きる。しかしながら,その浮遊容量CS そのものを無視
することはできない。したがって,極間静電容量C1
るいはC2 は,静電容量CM1あるいはCM2から,それぞ
れ浮遊容量CS を差し引かなければ正確な静電容量とは
ならない。実施例1の上記式(7)の極間静電容量C1
あるいはC2 を,測定した静電容量CM1,CM2と浮遊容
量CS で表せば,(8)式のようになる。
【0045】
【数2】
【0046】上記式(8)より,極間静電容量C1 は式
(9)に示すように,測定した静電容量CM1から浮遊容
量CS を差し引いた値である。すなわち, C1 =CM1−CS …(9) となる。
【0047】また,上記式(9)と同様に,極間静電容
量C2 は,式(10)に示すように,測定した静電容量
M2から浮遊容量CS を差し引いた値である。すなわ
ち, C2 =CM2−CS …(10) となる。
【0048】さらに,上記式(5)および式(6)よ
り,極間静電容量C1 ,C2 と極間距離d1 ,d2 との
関係は式(11)のようになる。すなわち, C1 /C2 =d2 /d1 …(11) となる。
【0049】ここで,上述のように,電極1の移動量,
すなわち,極間距離10の変化量は,△h1 =h2 −h
1 であるから,移動前の電極1の移動位置h1 および移
動後の電極1の移動位置h2 は,式(12)により表す
ことができる。すなわち, h2 =h1 +△h1 またはh1 =h2 −△h1 …(12) h2 >h1 ,CM1>CM2 となる。
【0050】上記式(9)から式(12)より,浮遊容
量CS を表せば,式(13)のようになる。すなわち, CS =CM2−(CM1−CM2)・d1 /△h1 …(13) となり,あるいは,浮遊容量CS は式(14)のように
なる。すなわち, CS =CM1−(CM1−CM2)・d2 /△h1 …(14) となる。
【0051】このように,極間距離d1 またはd2 のい
ずれかが判れば,上記式(13)または上記式(14)
を上記式(8)に代入することにより,正確な極間距離
10を得ることができる。しかしながら,この方法で
は,極間距離d1 またはd2 のいずれかが判っている必
要があり,極間距離d1 またはd2 を放電加工処理中に
得ることは実質的には困難である。
【0052】そこで,計算式から,極間距離d1 ,d2
のパラメータを消去をするために,電極1の移動を2回
行って,移動量Δh1 とΔh2 を求める。また,電極1
の2回の移動により得られる静電容量CM1,CM2,CM3
により,浮遊容量CS ,1回目の移動距離d2 ,およ
び,2回目の移動距離d3 のそれぞれのパラメータの消
去を実行する。上記式(8)を用いて,極間距離d1
2 およびd3 は,それぞれ式(15),(16),
(17)のように表すことができる。
【0053】
【数3】
【0054】
【数4】
【0055】
【数5】
【0056】上記式(15)にあっては,極間距離d1
を表しており,上記式(16)にあっては,極間距離d
2 を表しており,また,上記式(17)にあっては,極
間距離d3 を表している。
【0057】また,移動量△h1 は式(18)により表
される。すなわち, △h1 =h2 −h1 =d2 −d1 …(18) である。また,移動量△h2 も,上記式(18)におけ
る△h1 と同様に式(19)により表される。すなわ
ち, △h2 =h3 −h2 =d3 −d2 …(19) である。
【0058】上記式(15)および式(16)を上記式
(18)にそれぞれ代入すると,浮遊容量CS は,式
(20)により求めることができる。
【0059】
【数6】
【0060】上記式(20)を上記式(15)に代入す
ると,極間距離d1 は式(21)により求めることがで
きる。
【0061】
【数7】
【0062】上記式(21)において,極間距離d1
求めるには,電極1を2回移動した結果得られる3つの
位置h1 ,h2 ,h3 の電極1のそれぞれの位置におけ
る静電容量CM1,CM2,CM3と,上記3つの位置のそれ
ぞれの差分Δh1 (=h 2 −h1 )とΔh2 (=h3
2 )を用いて計算することにより,その極間距離d1
を求めることができる。
【0063】また,特別な場合として移動量Δh2 とΔ
1 を同一にした場合,すなわち,Δh2 =Δh1 の場
合には,上記式(21)は式(22)のようにより簡単
にすることができる。
【0064】
【数8】
【0065】ここで,実際に放電加工装置に取り付けた
電極1と被加工物2との極間距離10を以下の条件〜
のもとで求めてみると,式(23)となる。 φ50の電極を放電加工装置の油の中での測定 移動量Δh2 =30μm,Δh1 =10μm 静電容量測定値CM1=835pF,CM2=679p
F,CM3=439pF
【0066】
【数9】
【0067】すなわち,送り装置の位置がh1 のときの
極間距離d1 は38μmという結果であった。従って,
この結果からも,送り装置3の現在位置を更正すれば任
意の極間距離10に合わせることができる。
【0068】(実施例2の効果)実施例2によれば,送
り装置3の駆動制御による電極1の移動量と,そのとき
の静電容量を3回測定することにより,電極1と被加工
物2とが非接触な状態にあっても,演算により電極1と
被加工物2との極間距離10を求めることができ,か
つ,従来の方法のように,電極1と被加工物2とを接触
させることにより極間距離のゼロ位置の更正をする必要
がない。また,被加工物2と電極1の対抗する面積S
や,加工液の誘電率εrに関係なく,極間距離10を求
めることができる。
【0069】〔実施例3〕次に,実施例3について説明
する。図5は,実施例3に係る極間距離10を制御する
放電加工装置の動作を示す説明図であり,図面の左方向
から右方向へ向かって時間の経過を示している。まず,
1aの位置にある電極1を,1bの位置まで下降させ,
被加工物2の加工処理を開始する。51は上下に移動す
る電極1における加工面の位置の推移を示す折線グラフ
であり,52は被加工物2における加工面の深さが放電
加工処理により変化する,その加工面の深さの位置の推
移を示す折線グラフである。また,53は電極1に印加
される加工電力のON/OFFを示している。
【0070】加工時間T1 において,加工電力をON
し,電極1に対して所定の加工電力を印加する。これに
より,被加工物2には放電加工処理が実行されるため,
被加工物2の加工面は徐々にその深さが大きくなってい
くものである。図1に示した放電加工装置の位置制御部
4は,極間電圧測定部6によって検出される極間電圧に
基づいて,極間距離指令部5からの指令値に一致するよ
うに,送り装置3の駆動を制御し,電極1の上下の移動
位置を決定する。したがって,位置制御部4は,極間電
圧測定部6から送出される状態量としての電圧データに
より,送り装置3の駆動制御を行うため,極間距離10
は極間距離指令部5からの極間距離に関する指令値とは
かならずしも一致しない。
【0071】加工時間T1 から加工時間T2 において加
工電力をOFFするまでの加工時間において,電極1が
1bの位置から1cの位置まで移動することにより,被
加工物2に対して加工処理を実行したことを示してい
る。このときの1cの位置にある電極1と被加工物2の
加工面56との間における極間距離10は,電極1の加
工面の位置の推移を示す折線グラフ51と被加工物2の
加工面の位置の推移を示す折線グラフ52との差分であ
るd1 である。ただし,極間距離d1 は加工処理途中の
状態量により制御して算出した距離であるから正確な値
であるか否かはわからなくなっている。
【0072】上記加工時間T1 のとき,電極1の加工面
の位置はh1 であるとする。この電極1の加工面の位置
がh1 のときの電極1と被加工物2との間における静電
容量CM1を静電容量測定部8により測定し,極間距離演
算部9に出力する。次に,送り装置3を駆動させて電極
1を移動させ,電極1の加工面がh2 の位置においても
同様に静電容量CM2を静電容量測定部8により測定し,
極間距離演算部9に出力する。次に,また,送り装置3
を駆動させて電極1を移動させ,電極1の加工面がh3
の位置においても同様に静電容量CM3を静電容量測定部
8により測定し,極間距離演算部9に出力する。上記そ
れぞれの位置における静電容量の測定が終了した後,被
加工物2から放電加工粉等を排除するために,電極1の
加工面を,一端,その排除作業に必要な高さh4 の位置
まで上昇させる。
【0073】次に,得られた静電容量CM1,CM2,CM3
を極間距離演算部9内のメモリ11,12,13にそれ
ぞれ記憶する。またそれぞれの電極1の加工面の位置h
1 ,h2 ,h3 も位置制御部4より極間距離演算部25
内におけるメモリ14,15,16にそれぞれ記憶され
る。演算器17は記憶した各静電容量と位置データによ
り,上記式(21)に基づいて演算を実行して極間距離
1 を求め,その極間距離d1 のデータを位置制御部2
0に対して出力する。
【0074】極間距離d1 が分かれば,h1 の位置が極
間距離d1 であるから,極間距離指令部5から出力され
る極間距離dg に対し,加工時間T3 において加工処理
が再開できるように,電極1の加工面の位置を,被加工
物2との極間距離がdg になるように合わせる。この極
間距離dg は放電加工を開始するのに最適な距離にあら
かじめ設定されているから,加工電力53をT3 でON
すると,すぐに最適の放電加工処理が開始される。その
後,放電加工処理を開始することにより,電極1の加工
面は再び徐々に深くなっていく。電極1は図1に示した
極間電圧測定部6により検出される極間電圧を状態量と
して極間距離指令部5からの指令値に合わせて送り装置
3を制御する。加工時間T 4 で加工電力をOFFにし,
前回と同様に電極の加工面を位置h′1 ,h′2 ,h′
3 の順に移動させ,それぞれの位置において,静電容量
を測定し,極間距離d′1 を演算することにより極間距
離d′g に位置を決め繰り返し加工処理を実行するもの
である。
【0075】(実施例3の効果)実施例3によれば,電
極1または被加工物2との距離を繰り返し変化させ,加
工液中で被加工物2を3次元形状の電極1で加工する放
電加工装置において,電極1と被加工物の2間の距離
を,良好な加工が行える極間距離に合わせてから放電電
力を加えて加工を開始し,放電電力を停止してから,距
離を離れる方向に移動するように極間距離10を制御し
たので,常に最適の加工状態が得られる。したがって,
不適当な極間距離で加工することから生じるが加工面の
面粗さの劣化や,加工割れ等が生じにくい,加工性能が
高い放電加工装置を得ることができる。
【0076】(上記各実施例のその他の効果)上記各実
施例におけるその他の効果について具体的に説明する。
図6は,放電加工装置による3次元形状の電極1により
被加工物2を加工する各ステップにおける状態を示した
ものであり,図6(a)は加工処理する前の状態であ
る。図6(b)は少し加工した状態であり,電極1と被
加工物2との間における加工面積は,図6(a)に示し
た加工処理前とは,大きく相違している。また,図6
(c)は,さらに加工処理が進行した状態を示し,電極
1の側面に相当する部分61の面積も加工面の面積とし
て含まれることになり,これは浮遊容量となる。このよ
うに加工面積と浮遊容量に大きな変化が生じる放電加工
処理において,上記実施例にあっては,加工液の誘電率
や電極の浮遊容量,電極の大きさ,加工処理が進行する
につれて変化する加工面積を考慮することなく,極間距
離10を効率よく制御することができる。
【0077】また,本実施例による極間距離10を制御
する放電加工装置は,電極1と被加工物2との間におけ
る静電容量を測定して極間距離を演算するため,加工粉
71(図10(a)参照)の面積は加工面の面積に比べ
て僅かなので,加工粉71が被加工物2の加工面上に残
っていても,電極1と被加工物2との間における静電容
量をほぼ正確に測定することができる。したがって,電
極1と被加工物2との間における距離を,良好な加工が
行える極間距離10に合わせてから放電電力を加えて加
工を開始し,放電電力を停止してから前記相対距離を離
れる方向に移動するように極間距離10を制御するの
で,常に最適の加工状態を得ることができる。
【0078】また,本実施例による極間距離10を制御
する放電加工装置は,電極1と被加工物2との間におけ
る静電容量を測定して極間距離を演算するので,突起7
2(図10(b)参照)の面積は加工面の面積に比べて
僅かなので,突起72が被加工物2の加工面上に残って
いても,電極1と被加工物2との間における静電容量を
ほぼ正確に測定することができる。したがって,従っ
て,上記加工粉71の場合と同様に,優れた加工性能の
放電加工装置を得ることができる。
【0079】図7(a)は,複雑形状を有する電極1を
使用して行った放電加工処理を示し,また,図7(b)
は,大きな面積を有する電極1を使用して行った放電加
工処理を示す。いずれも加工が進むにつれて,被加工物
2の加工面の面積Sが変化し,さらに,それに伴い,浮
遊容量CS も変化する。本実施例による極間距離10を
制御する放電加工装置にあっては,加工面積Sや浮遊容
量CS には関係なく極間距離10を測定でき,さらに,
電極の面積が大きいほど,また測定する極間距離10が
小さいほど静電容量が大きくなり正確に測定できるの
で,電極1が,図7(b)に示すような,大きな電極か
ら小さな電極まで,また,複雑な3次元形状の電極であ
っても,荒加工から微細な放電加工まで広範囲に使用で
き,優れた加工性能を得ることができる。
【0080】(実施例の応用例)また,上記各実施例で
は,極間距離10を可変にするために,電極1のみを送
り装置3により移動させ,被加工物2は固定としたが,
電極1を固定し,被加工物2を移動させてもよく,ま
た,電極1および被加工物2の両方を移動させるように
構成してもよい。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように,この発明に係る放
電加工装置にあっては,電極および(または)被加工物
を移動させることにより電極と被加工物との極間距離を
変化させ,該移動に基づいた複数位置における電極と被
加工物との極間のそれぞれの静電容量を測定し,かつ,
複数位置における電極および(または)被加工物のそれ
ぞれの移動距離し,その後,測定した静電容量,およ
び,測定した移動距離に基づいて電極と被加工物との極
間距離を演算し,該演算された極間距離に基づいて電極
と被加工物との極間距離を制御するため,加工処理中で
あって放電を発生していないときに非接触で電極と被加
工物との間における極間距離を測定でき,適正な極間距
離で加工を開始することにより放電加工処理の加工効
率,加工性能を向上させることができる。
【0082】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,第1の地点における電極と被加工物との極間の静
電容量,および,第1の地点とは異なる第2の地点にお
ける電極と被加工物との極間の静電容量を測定し,ま
た,第1の地点から第2の地点までの電極および(また
は)被加工物の移動距離を測定するので,加工処理中で
あって放電を発生していないときに非接触で電極と被加
工物との間における極間距離を測定することができ,放
電加工処理の加工効率,加工性能を向上させることがで
きる。
【0083】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,第1の地点における電極と被加工物との極間の静
電容量,第1の地点とは異なる第2の地点における電極
と被加工物との極間の静電容量,および,第1の地点お
よび第2の地点とは異なる第3の地点における電極と被
加工物との極間の静電容量を測定し,また,第1の地点
から第2の地点までの電極および(または)被加工物の
移動距離,および,第2の地点から第3の地点までの電
極および(または)被加工物の移動距離を測定するの
で,より正確に,加工処理中であって放電を発生してい
ないときに非接触で電極と被加工物との間における極間
距離を測定することができ,放電加工処理の加工効率,
加工性能を向上させることができる。
【0084】また,次の発明に係る放電加工装置にあっ
ては,放電処理のために前記電極と被加工物との間を最
適な加工処理が実行できる極間距離に位置制御し,放電
処理終了時のジャンプ動作により被加工物から前記電極
が離れるときに段階的に静電容量を測定するので,常に
最適な加工状態を得ることができ,不適当な極間距離で
加工することから生じる加工面の面粗さの劣化や,加工
割れ等が生じにくく,加工性能を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る放電加工装置の概略構成を示
す説明図である。
【図2】 図1に示した静電容量測定部の構成を示す説
明図である。
【図3】 実施例1に係る放電加工装置の極間距離を求
める手順を示す説明図である。
【図4】 実施例2に係る放電加工装置の極間距離を求
める手順を示す説明図である。
【図5】 実施例3に係る放電加工装置の動作を示すタ
イミングチャートである。
【図6】 実施例に係る放電加工装置によって3次元形
状の電極により被加工物を加工する状態を示す説明図で
ある。
【図7】 実施例に係る複雑形状/大きな面積を有する
電極を使用して放電加工する場合の効果を示す説明図で
ある。
【図8】 従来における放電加工装置の概略構成を示す
説明図である。
【図9】 従来における放電加工装置の極間距離の違い
による極間電圧波形の相違と,それに起因する平均電圧
の相違とを示した説明図である。
【図10】 従来における放電加工装置の問題点を示す
説明図である。
【符号の説明】
1 電極,2 被加工物,3 送り装置,4 位置制御
部,5 極間距離指令部,6 極間電圧測定部,7 加
工電源,8 静電容量測定部,9 極間距離演算部,1
1,12,13 メモリ,14,15,16 メモリ,
17 演算器,21 コンデンサ,22 発信器,23
抵抗,24 増幅器,25 絶対値増幅器

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工液中に設けられた電極と被加工物と
    の極間に放電を発生させることにより前記被加工物に対
    する加工処理を行う放電加工装置において,前記電極お
    よび(または)被加工物を移動させることにより前記電
    極と前記被加工物との極間距離を変化させる移動手段
    と,前記移動手段による移動に基づいて複数位置におけ
    る前記電極と被加工物との極間のそれぞれの静電容量を
    測定する静電容量測定手段と,前記複数位置における前
    記電極および(または)被加工物のそれぞれの移動距離
    を測定する移動距離測定手段と,前記静電容量測定手段
    により測定した静電容量,および,前記移動距離測定手
    段により測定した移動距離に基づいて前記電極と被加工
    物との極間距離を演算する極間距離演算手段と,前記極
    間距離演算手段により演算された極間距離に基づいて前
    記電極と被加工物との極間距離を制御する位置制御手段
    とを具備することを特徴とする放電加工装置。
  2. 【請求項2】 前記静電容量測定手段は,第1の地点に
    おける前記電極と被加工物との極間の静電容量,およ
    び,前記第1の地点とは異なる第2の地点における前記
    電極と被加工物との極間の静電容量を測定し,前記移動
    距離測定手段は,前記第1の地点から第2の地点までの
    前記電極および(または)被加工物の移動距離を測定す
    ることを特徴とする請求項1記載の放電加工装置。
  3. 【請求項3】 前記静電容量測定手段は,第1の地点に
    おける前記電極と被加工物との極間の静電容量,前記第
    1の地点とは異なる第2の地点における前記電極と被加
    工物との極間の静電容量,および,前記第1の地点およ
    び第2の地点とは異なる第3の地点における前記電極と
    被加工物との極間の静電容量を測定し,前記移動距離測
    定手段は,前記第1の地点から第2の地点までの前記電
    極および(または)被加工物の移動距離,および,前記
    第2の地点から第3の地点までの前記電極および(また
    は)被加工物の移動距離を測定することを特徴とする請
    求項1記載の放電加工装置。
  4. 【請求項4】 前記位置制御手段は,放電処理のために
    前記電極と被加工物との間を最適な加工処理が実行でき
    る極間距離に位置制御し,放電処理終了時のジャンプ動
    作により被加工物から前記電極が離れるときに段階的に
    静電容量を測定することを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか一つに記載の放電加工装置。
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