JP3278426B2 - 金属材料の防食構造 - Google Patents

金属材料の防食構造

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JP3278426B2 JP2000069867A JP2000069867A JP3278426B2 JP 3278426 B2 JP3278426 B2 JP 3278426B2 JP 2000069867 A JP2000069867 A JP 2000069867A JP 2000069867 A JP2000069867 A JP 2000069867A JP 3278426 B2 JP3278426 B2 JP 3278426B2
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昭 藤嶋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材等の金属材料
の防食構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属は非常に優れた構造材料であるが、
錆による劣化という短所をもつ。最近、チタン酸化物膜
を利用した光カソード防食が新技術として提案された。
特開平6−10153号公報においては、ステンレス鋼
材の表面に、チタン金属重量に換算して1mg/m2
上のチタン酸化物を含有する被膜を形成している。そし
て、鋼材表面(つまり被膜表面)へと光を照射すると、
ステンレス鋼材がカソードとして働き、チタン酸化物被
膜がアノードとして働き、ステンレス鋼材の浸漬電位が
300mVだけ卑側へとシフトする。これによってステ
ンレス鋼材をカソード防食できると記載されている。
【0003】また、特開平11−71684号公報にお
いては、前述のチタン酸化物被膜を形成したステンレス
鋼材において、光源の乏しい状態では腐食が進行すると
記載されている。そして、この問題点を解決するため
に、チタン酸化物を含有する表面被膜とステンレス鋼材
との中間に中間膜を設け、中間膜は、鉄、バナジウム、
銅を含有するチタン酸化物被膜とした。これによって、
鉄、バナジウム、銅の価数は、光照射時には低くなり
(還元され)、光遮断時には高くなる(酸化される)。
従って、光遮断時には鉄、銅、バナジウムから電子が発
生し、この電子がステンレス鋼材に注入され、防食効果
が持続するものと主張されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者はこうした防
食方法を具体的に検討する過程で、次の問題点を発見し
た。即ち、実際の製品においては、図1に示すように、
金属材料2の表面に、熱分解法やスパッタリング法によ
って酸化チタン被膜1を形成する必要がある。ここでス
パッタリング法は大規模な装置を必要とし、コストが高
い。熱分解法では、チタンアルコキシドなどのゾルを金
属材料上に塗布し、この塗膜を熱処理することでチタン
アルコキシドなどを分解させ、酸化チタン被膜2を生成
させる。しかし、この際には通常一度の塗布で必要な厚
さの被膜を形成することは困難であるので、厚さを稼ぐ
ために数回塗布する必要がある。しかし、このような塗
布方法および熱分解方法によって厚さが均一な酸化チタ
ン被膜を形成することが困難であるし、被膜の性質も場
所ごとにバラツキが生じやすい。また金属材料の表面状
態も種々変化することがあり、その上の被膜の厚さや性
質、更には被膜と金属材料との界面における密着性に影
響する。これらの実際の製造上の予見困難な多数の要因
から、チタン酸化物被膜から金属材料への電子供給能に
はバラツキが発生する。
【0005】また、実際の製品においては、金属材料の
表面積が非常に大きく、金属材料の設置場所によって
は、金属材料のかなり大きな部分には、ほとんどあるい
はまったく光が当たらないことがある。これらの要因に
よって、金属材料上のチタン酸化物被膜から金属材料へ
の電子注入能にバラツキが発生し、金属材料の防食が場
所によっては低下することがある。
【0006】本発明の課題は、チタン酸化物被膜を用い
て金属材料を光カソード防食するのに際して、場所によ
る防食作用のバラツキを防止することである。また、本
発明の課題は、金属材料に光が直接当たらないような現
場や、金属材料上に犠牲防食被膜が設けられているよう
な場合においても、金属材料を効果的に光カソード防食
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、チタン酸化
物被膜の主面に密着するように導電性被膜を設け、チタ
ン酸化物被膜に対して光が照射されたときにチタン酸化
物被膜内で生成する電子を導電性被膜にいったん集電し
た後に、金属材料へと注入することによって、金属材料
の電位をその酸化電位よりも低くすることを想到した。
【0008】つまり、チタン酸化物被膜1内で発生した
電子を直接に金属材料2へと注入するのではなく、図2
に示すように、チタン酸化物被膜1に接触するように導
電性被膜3を設け、被膜1内で生成した電子をいったん
導電性被膜3に集電する。導電性被膜3内では、全面に
わたって同電位に保持されている。そして、導電性被膜
3から金属材料2へと電子を注入することにした。これ
によって、前述した被膜1の厚さや性質の不均一性、ま
た被膜1に対する光照射の度合いの変化などの影響をな
くすることができる。その上、チタン酸化物被膜を金属
材料上に直接に形成した場合には、金属材料からチタン
酸化物被膜への金属成分の拡散という問題点が生ずる
が、間に導電性被膜を形成することによってこうした問
題を回避できることが分かった。特に金属材料2の表面
積が大きい実際の施工現場において、本発明は特に有効
である。
【0009】金属材料は限定はされないが、特にステン
レス鋼、炭素鋼、金属メッキ鋼が好ましい。メッキの材
質は、亜鉛、亜鉛−鉄、亜鉛−アルミニウム、アルミニ
ウム、クロムなどを例示できる。
【0010】導電性被膜のシート抵抗は100Ω/□以
下が好ましい。導電性被膜の材質は、導電性酸化物半導
体[酸化インジウム、酸化錫、ITO(錫ドープ酸化イ
ンジウム]が好ましく、また、導電性高分子材料[ポリ
アセチレン、ポリ(1,6−へプタジイン) 、ポリ(パ
ラフェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ
アニリン、ポリ(フェニレン−ビニレン) 、ポリ(ピリ
ジノピリジン) 、ポリアセンなど]、金属微粒子分散塗
料が好ましい。この金属微粒子としては、銀、銅、鉄、
アルミニウム、亜鉛の各粒子が好ましい。導電性被膜の
コーティング方法は、例えばディップコート、スプレー
コート、スピンコート、刷毛塗りがある。また、導電性
被膜をスパッタリング法、溶射法によって形成できる。
【0011】チタン酸化物被膜は、次の方法によって成
膜できる。 (1)チタンアルコキシド、ビス(2,4−ペンタンジ
オナト)チタンオキシドエタノール溶液(アセチルアセ
トンチタンオキシドエタノール溶液)などの有機チタン
化合物のゾルを、金属材料上に塗布し、熱分解させる。 (2)酸化チタン微粒子分散ゾルやスラリーを金属材料
上に塗布し、加熱することで焼き付ける。この塗布方法
としては、ディップコート、スプレーコート、スピンコ
ート、刷毛塗りなどがある。 (3)溶射法、スパッタリング法などによって金属材料
上に被膜を形成する。
【0012】特に、図2−図4に示すように、導電性被
膜を金属材料上に設けることによって、金属材料の全面
にほぼ均一に電子を注入することができる。
【0013】本発明においては、図3に示すように、金
属材料2と導電性被膜3との間に、防食塗膜4と、防食
塗膜4を貫通する通電部5とを設けることができる。こ
うした防食塗膜4は、金属材料、例えば鋼材の防食用に
通常用いられているが、絶縁性であるので、光カソード
防食は適用できない。ところが、本発明によれば、防食
塗膜4内に通電部5を設けるだけでなく、この通電部5
を導電性被膜3を介してチタン酸化物被膜1に接続して
いる点が重要である。なぜなら、この構造によれば、チ
タン酸化物被膜1に対して光が照射されたときに被膜1
内で生成する電子を導電性被膜3および通電部5を介し
て金属材料2へと注入することができ、これによって防
食塗膜の防食作用と酸化チタン被膜の光カソード防食作
用との両方を同時に享受できるからである。
【0014】しかも、通電部5とチタン酸化物被膜1と
の間に導電性被膜3を介在させる点が重要である。かり
にチタン酸化物被膜1を通電部5に直接接触させると、
被膜1のうち通電部5と接触している部分の近傍で発生
した電子しか通電部5内へと流れない。これは酸化チタ
ン被膜1が基本的に絶縁性であり、このため被膜内部で
の横方向の電気抵抗が大きいからである。この一方、酸
化チタン被膜1から厚さ方向へは、被膜1が薄いことか
ら電子が流れやすい。そこで、被膜1の直下に導電性被
膜3を形成することで、被膜1内で発生した電子を、少
ない電気抵抗で導電性被膜3へと集電し、この集電した
電子を無駄なく通電部5を通して金属材料2へと注入で
きる。光カソード防食においてこのような機能分離型の
構造は類例がない。
【0015】この実施形態において特に好ましくは、図
4に示すように、導電性被膜3と防食塗膜4との間に絶
縁性フィルム7および接着層6が介在しており、絶縁性
フィルム7と防食塗膜4とが接着層6によって接着され
ており、フィルム7および接着層6を通電部5が貫通し
ている。この絶縁性フィルム7、接着層6、導電性被膜
3およびチタン酸化物被膜1の積層体は、防食塗膜付き
の金属材料上へと自由に貼付できる点で有利である。な
ぜなら、金属製の既設構造物に対して後で施工できるか
らである。
【0016】絶縁性フィルム7の材質は限定されない
が、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、ポリアクリルニトリル等のプラスチックからなって
いてよい。
【0017】通電部5は、導電線であってよく、あるい
は塗膜であってよい。この塗膜の材質は、前述した導電
性被膜3の材質と同様のものであってよい。また導電線
の材質は、例えば銀、銅、鉄、アルミニウム、亜鉛があ
る。金属線は、裸線でも被覆線でもよい。
【0018】防食塗膜の材質は特に限定されないが、特
に犠牲防食塗膜が好ましく、こうした防食塗膜の材質と
しては、公知のものをすべて利用できるが、以下のもの
が好ましい。油性塗料(油性ペイント):ニトロセルロ
ースラッカー(クリヤラッカー、ラッカーエナメル、ハ
イソリッドラッカー、ホットラッカー、特殊ラッカ
ー):合成樹脂塗料(フタル酸樹脂塗料、アミノアルキ
ド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、ポリ
ウレタン樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、,ア
クリル樹脂塗料、塩化ゴム樹脂塗料、水性塗料、珪素樹
脂塗料、フッ素樹脂塗料):特殊性能塗料(粉体塗料、
電着塗料、ビニルゾル塗料、非水ディスパージョン塗
料、紫外線硬化塗料、電子線硬化塗料):特殊外観塗料
(メタリック塗料、多彩模様塗料)。
【0019】特に好適な実施形態においては、チタン酸
化物被膜がアモルファス酸化チタンからなる。こうした
被膜は、光照射時に特に卑な酸化電位を示し、高い防食
作用を安定して示す。こうした被膜を製造するには、チ
タンアルコキシドなどの有機チタン化合物のゾルを、金
属材料上に塗布し、好ましくは230−250℃で熱分
解させる。
【0020】このような作用効果は、アモルファス酸化
チタンの特性から得られるものであろうが、これと共
に、被膜を金属材料表面に形成する際に、金属材料から
被膜中へと金属成分が拡散し、被膜の結晶性あるいは組
成を変化させている可能性が高い。アモルファス酸化チ
タンからなる被膜の場合には、生成温度域が結晶性酸化
チタンに比べて低いので、このような金属材料からの成
分の拡散が生じず、このため酸化電位が低く、かつ安定
する。
【0021】好適例では、防食構造が、導電性被膜を支
持する金属材料とは別体の支持部材と、導電性被膜と金
属材料とを電気的に接続する電線とを備えており、チタ
ン酸化物被膜内で生成する電子を導電性被膜および電線
を介して金属材料へと注入する。これによって、下地金
属材料からの拡散による被膜の光電位の変動による影響
を消去できる。即ち、チタン酸化物被膜を金属材料表面
に形成する際に、金属材料から被膜中へと金属成分が拡
散し、被膜の結晶性あるいは組成を変化させる。こうし
た結晶性や組成の変化は微妙なものであるが、防食作用
に変動を与える程度には重要である。
【0022】なお、特開平11−71684号公報にお
いては、前述のチタン酸化物被膜を形成したステンレス
鋼材において、更に光源の乏しい状態での腐食の進行を
防止しようとしているが、その解決策は、チタン酸化物
被膜と鋼材との間に、光遮断時に電子を発生する金属元
素を含有する絶縁性被膜を設けることであった。この開
示は、防食すべき対象である金属材料から離れた位置に
被膜を設けて光カソード防食を行うという発想からは遠
ざかる方向の開示である。
【0023】なお、本方法は、光カソード防食を改良し
たものであって、従来のいわゆる「外部電源方式」と
は、外部電源を要しない点で根本的に異なる。外部電源
方式は極めて高コストであるし、保守点検を要するの
で、広く実用されることは難しい。
【0024】支持部材は、金属板などの金属バルク体で
あってよい。また、本発明の支持部材は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリルニト
リル等のプラスチックからなるフィルムであってよい。
この場合には、フィルムを別体の適当な構造体上に貼り
つけることによって、本発明の防食装置を容易に施工で
きるし、フィルムの張り替えも容易である。防食の対象
である金属材料上に直接チタン酸化物被膜を形成する場
合は、現場施工は難しいし、被膜の張り替えも難しい。
【0025】支持部材の表面にも、他の防食塗膜、特に
絶縁性の犠牲防食塗膜を形成することができる。こうし
た防食被膜の材質としては、公知のものをすべて利用で
き、前述のものが好ましい。
【0026】図5は、この実施形態に係る防食構造を示
す。支持部材12上に絶縁性の防食塗膜4を介して導電
性被膜3およびチタン酸化物被膜1が形成されている。
光カソード防食の対象である金属材料9は、支持部材1
2とは別体であり、電線8によって導電性被膜3と接続
されている。
【0027】また、図6に示すように、支持部材12と
導電性被膜3との間を電線10によって結線することが
できる。この場合には、導電性被膜で集電された電子の
一部が、電線10を介して支持部材12側へも注入され
る。
【0028】既設構造物を支持部材12として使用した
場合に、これらの構造は特に有用である。なぜなら、既
設構造物12とその上の絶縁性防食塗膜4とは、本発明
の施工前から存在している。本発明では、そうした既存
の防食塗料上に更に導電性塗料およびチタン酸化物被膜
用塗料を塗布し、各被膜3、1を形成することによっ
て、既設構造物とは別体の金属材料を更に光カソード防
食し、かつ場合によっては下地である既設構造物も更に
光カソード防食できる。
【0029】本発明の一形態においては、金属材料が地
中に埋設された構造物であり、支持部材および各被膜が
地上に設けられている。図7はこの一例である。地上に
支柱13によって支持板12Aが支持されており、支持
板12Aの上面に複数枚のチタン酸化物被膜1および図
示しない導電性被膜が形成されている。各被膜1は互い
に電気的に接続されており、かつ電線8を通して地盤1
5中の構造物、例えば地中管9Aに対して接続されてい
る。地中構造物9Aは光が当たらないので、これまでは
チタン酸化物を利用した光カソード防食は不可能であ
り、複雑な外部電源装置が必要であった。
【0030】図8の例では、既設構造物であるガスタン
ク12Bの表面に、少なくとも前述の絶縁性防食塗膜、
導電性被膜およびチタン酸化物被膜1が形成されてい
る。そして、ガスタンクの下にある地中構造物である地
中管9Bに対して電線8を接続する。
【0031】図9の例では、ガードレール19の本体9
Cの表面は、白色の防食塗料によって被覆されている。
本発明では、これに加えて、本体9C上に支柱16を介
して支持部材12Cを設置し、支持部材12Cの表面に
チタン酸化物被膜1を貼りつける。そして被膜1を電線
8を通してガードレール本体9Cへと電気的に接続し、
白色塗料の下のガードレール本体を光カソード防食す
る。
【0032】本発明の好適な実施形態においては、金属
材料が照明装置の構成材料であり、照明装置が発光した
ときに、この光がチタン酸化物を含む被膜に照射される
ようにする。本実施形態においては、照明装置それ自体
からの光を、照明装置に取り付けられた被膜において利
用するので、照明装置が発光している限りは、照明装置
本体を構成する金属材料を光カソード防食できる。
【0033】この実施形態において特に好ましくは、照
明装置が太陽光の強度低下に応じて発光する照明装置で
あり、例えば街灯である。例えば図10においては、街
灯20の金属材料製の本体21、22の先端の傘12D
を支持部材として利用し、傘12Dの表面に、防食塗
膜、導電性被膜およびチタン酸化物被膜1を貼りつけ
る。そして被膜1から電線8を延ばし、本体21、22
に接続する。こうした実施形態では、更に次の作用効果
がある。即ち、街灯は、通常太陽光を感知し、太陽光が
照射している間は発光しない。従って、太陽光が照射し
ている間は、太陽光を利用して街灯本体を光カソード防
食できる。一方、太陽光の強度が一定値以下にまで低下
すると、太陽光は利用できなくなるが、このときには街
灯が発光し、被膜1に光エネルギーを供給する。しか
も、こうした作用効果は、既存の街灯をまったく改変す
ることなしに、街灯に本発明の防食装置を単に取り付け
ることだけによって得られるのである。
【0034】なお、例えば図9、図10において、チタ
ン酸化物膜1および導電性被膜を前述のようにフィルム
の表面に予め形成しておき、このフィルムを粘着剤、接
着剤、マジックテープ(登録商標)等の接合手段によっ
て支持部材12C、12D上に貼りつけることができ、
これは特に施工、補修、交換が容易である。
【0035】
【実施例】(実験1)図2に示すように、ステンレス
(SUS)304鋼2上にスプレーコート法によって酸
化スズ層(導電性被膜)3を形成した。具体的には、ス
テンレス鋼2の試験面を粒径0.5μmのアルミナを用
いて研磨し、鏡面とし、アセトンで洗浄し、空気中で乾
燥した。0.05Mのジ(2,4−ペンタンジオナト)
スズクロライドエタノール溶液300mlをスプレーコ
ートし、成膜した。300℃でこれを焼成し、酸化スズ
膜を形成した。この上に、0.05Mのジ(2,4−ペ
ンタンジオナト)チタンオキシドエタノール溶液300
mlをスプレーコートし、成膜した。300℃でこれを
焼成し、酸化チタン膜を形成し、本発明例1の防食構造
を得た。
【0036】この防食構造について腐食試験を行った。
この防食構造をpH5の3%塩化ナトリウム水溶液中に
投入した。そして、200Wの水銀−キセノン灯を光源
として使用し、波長360nmの紫外線を、10mWc
-2の光強度で照射した。浸漬時間は0−30分間とし
た。ステンレス鋼の水溶液中への溶出量(腐食量)を、
紫外線vis分光機を用いてチオシアン酸塩法によって
測定した。試験面の面積は1cm2 であった。また、ス
テンレス304鋼単独(比較例1)についても腐食量を
測定した。浸漬時間と腐食量との関係を図11に示す。
【0037】(実験2)本発明例2および比較例2の防
食構造を製造した。具体的には、ステンレス鋼2の試験
面を粒径0.5μmのアルミナを用いて研磨し、鏡面と
し、アセトンで洗浄し、空気中で乾燥した。酸化珪素の
コーティング液として、「NDC−100A」(日本曹
達株式会社製)をステンレス鋼上にディップ塗布し、1
10℃で20分間乾燥した。こうして得られた酸化珪素
膜は、絶縁性の防食塗膜である。この防食塗膜とステン
レス鋼との積層体を比較例2とする。
【0038】次いで、図5に示すように、比較例2の積
層体の防食塗膜4上に、導電性被膜3およびチタン酸化
物被膜1を形成し、本発明例2の防食構造を得た。具体
的には、0.05Mのジ(2,4−ペンタンジオナト)
スズクロライドエタノール溶液300mlをスプレーコ
ートし、成膜した。300℃でこれを焼成し、酸化スズ
膜を形成した。この上に、0.05Mのジ(2,4−ペ
ンタンジオナト)チタンオキシドエタノール溶液300
mlをスプレーコートし、成膜した。300℃でこれを
焼成し、酸化チタン膜1を形成した。比較例2および本
発明例2共に、試験面の面積は1cm2 であり、試験面
の被覆率は80%であった。
【0039】本発明例2および比較例2の防食構造につ
いて、実験1と同様にして腐食試験を行った。この結果
を図12に示す。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、チ
タン酸化物被膜を用いて金属材料を光カソード防食する
のに際して、金属材料のあらゆる場所を良好に光カソー
ド防食できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の酸化チタン被膜を用いた光カソード防食
構造を示す斜視図である。
【図2】本発明例の酸化チタン被膜を用いた光カソード
防食構造を示す斜視図である。
【図3】本発明例の酸化チタン被膜を用いた光カソード
防食構造を示す斜視図であり、導電性被膜3と金属材料
2とが通電部5によって接続されている。
【図4】本発明例の酸化チタン被膜を用いた光カソード
防食構造を示す斜視図であり、導電性被膜3、金属材料
2、通電部5、絶縁性フィルム7、接着層6を備えてい
る。
【図5】本発明例の防食構造を模式的に示す断面図であ
る。
【図6】本発明例の防食構造を模式的に示す断面図であ
る。
【図7】地中管9Aの防食構造を模式的に示す断面図で
ある。
【図8】ガスタンク12B上に防食構造を形成し、地中
管9Bを防食している状態を模式的に示す断面図であ
る。
【図9】ガードレール19上に防食構造を形成し、防食
している状態を模式的に示す断面図である。
【図10】街灯20に防食構造を形成し、防食している
状態を模式的に示す断面図である。
【図11】ステンレス鋼の腐食試験結果を示すグラフで
ある。
【図12】ステンレス鋼の腐食試験結果を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 チタン酸化物被膜 2 金属材料 3
導電性被膜 4 防食塗膜 5 通電部
6 接着層 7絶縁性フィルム
8、10 電線 9、9A、9B、9C、21、
22 支持部材とは別体の金属材料 12、12
A、12B、12C、12D 支持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 修一 栃木県宇都宮市宝木町2丁目880番地 光陽電気工事株式会社内 (72)発明者 柏崎 勝久 栃木県宇都宮市宝木町2丁目880番地 光陽電気工事株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−317178(JP,A) 特開 平6−10153(JP,A) 特開 平10−158860(JP,A) 特開 平11−158665(JP,A) 特開 平7−316850(JP,A) 特開 平9−310417(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 13/00 C23F 15/00 C23C 30/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属材料を光カソード防食する防食構造で
    あって、チタン酸化物被膜と、このチタン酸化物被膜に
    接触するように積層されている導電性被膜とを備えてお
    り、前記チタン酸化物被膜に対して光が照射されたとき
    に前記チタン酸化物被膜内で生成する電子を前記導電性
    被膜によって集電し、この導電性被膜を介して外部電圧
    を印加することなく前記金属材料へと注入することによ
    って、前記金属材料の電位をその酸化電位よりも低くす
    ることを特徴とする、金属材料の防食構造。
  2. 【請求項2】前記導電性被膜が前記金属材料上に設けら
    れていることを特徴とする、請求項1記載の金属材料の
    防食構造。
  3. 【請求項3】前記金属材料と前記導電性被膜との間に、
    防食塗膜と前記防食塗膜を貫通する通電部とを備えてお
    り、この通電部の一端が前記導電性被膜と接続してお
    り、前記通電部の他端が前記金属材料と接続しており、
    前記チタン酸化物被膜に対して光が照射されたときに前
    記チタン酸化物被膜内で生成する電子を前記導電性被膜
    および前記通電部を介して前記金属材料へと注入するこ
    とを特徴とする、請求項2記載の金属材料の防食構造。
  4. 【請求項4】前記導電性被膜と前記防食塗膜との間に絶
    縁性フィルムおよび接着層が介在しており、前記絶縁性
    フィルムと前記防食塗膜とが前記接着層によって接着さ
    れており、前記絶縁性フィルムおよび前記接着層を前記
    通電部が貫通していることを特徴とする、請求項3記載
    の金属材料の防食構造。
  5. 【請求項5】前記防食構造が、前記導電性被膜を支持す
    る前記金属材料とは別体の支持部材と、前記導電性被膜
    と前記金属材料とを電気的に接続する電線とを備えてお
    り、前記チタン酸化物被膜内で生成する電子を導電性被
    膜および前記電線を介して前記金属材料へと注入するこ
    とを特徴とする、請求項1記載の金属材料の防食構造。
  6. 【請求項6】前記支持部材が金属製の既設構造物である
    ことを特徴とする、請求項5記載の金属材料の防食構
    造。
  7. 【請求項7】前記支持部材と前記導電性被膜との間に絶
    縁性の防食塗膜が形成されていることを特徴とする、請
    求項5または6記載の金属材料の防食構造。
  8. 【請求項8】前記支持部材と前記導電性被膜とが他の電
    線によって電気的に接続されており、これによって前記
    支持部材を光カソード防食することを特徴とする、請求
    項7記載の金属材料の防食構造。
  9. 【請求項9】前記金属材料が地中に埋設された構造物で
    あり、前記支持部材、前記導電性被膜および前記チタン
    酸化物被膜が地上に設けられていることを特徴とする、
    請求項5−8のいずれか一つの請求項に記載の金属材料
    の防食構造。
  10. 【請求項10】前記金属材料が照明装置の構成材料であ
    り、前記チタン酸化物被膜に対して前記照明装置の発光
    が照射されることを特徴とする、請求項1−9のいずれ
    か一つの請求項に記載の金属材料の防食構造。
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