JP3273691B2 - ノイズフィルタテープおよびノイズフィルタテープ作製法およびノイズフィルタテープ作製装置 - Google Patents

ノイズフィルタテープおよびノイズフィルタテープ作製法およびノイズフィルタテープ作製装置

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JP3273691B2 JP05510094A JP5510094A JP3273691B2 JP 3273691 B2 JP3273691 B2 JP 3273691B2 JP 05510094 A JP05510094 A JP 05510094A JP 5510094 A JP5510094 A JP 5510094A JP 3273691 B2 JP3273691 B2 JP 3273691B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズフィルタテープ
およびノイズフィルタテープ作製法およびノイズフィル
タテープ作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速デジタル機器の普及に伴い、
これら機器から発生する不要電磁波が他の機器に妨害を
与える現象(電磁環境問題,EMC問題)が新しい公害
としてとりあげられてきた。例えばデジタル通信装置の
ケーブルに重畳するコモンモードノイズ電流が原因で発
生する30〜1000MHzの不要電磁波は、テレビ等
に対する妨害波となることが問題視されている。
【0003】上記コモンモードノイズ電流を抑えるノイ
ズフィルタとして、従来は図12に示すフェライトコア
17が使用されてきた。サイズは例えばd=10mm,
t=4mm,l=30mmである。これを図13に示す
ようにケーブル18に装荷して用いる。ノイズフィルタ
としてはインピーダンスおよび抵抗が大きいことが要求
され、30〜1000MHzで数十から100Ωが必要
となる。フェライトコアにおけるインピーダンス(Z=
R+j・X)の周波数依存性を図14に示す。ここでZ
はインピーダンス、Rは抵抗、Xはリアクタンス、jは
(−1)1/2 である。30〜1000MHzでZおよび
Rは数十から200Ωとなり、上記の条件を満たしてい
るが、フェライトコアは他の部品に比べ体積、重量がか
なり大きく、またこれを装荷した場合、ケーブルのフレ
クシビリティも損なわれる。また、数百MHz以上にな
るとインピーダンスが低下するため、数百MHz以上の
ノイズに対しては有効ではない。このように従来のノイ
ズフィルタは部品サイズが大型、ケーブルのフレクシビ
リティを損なう、数百MHz以上のノイズに対して有効
でないという欠点があった。
【0004】図15は従来、磁気記録媒体用のメタル磁
気テープを作製するために用いられた薄膜作製装置であ
る。原料源19、送り用ボビン20、巻取用ボビン2
1、案内軸22、円筒状キャン23から構成される。非
磁性絶縁体テープ基板24を送り用ボビン20から巻取
用ボビン21へ、案内軸22と円筒状キャン23に沿っ
て走らせ、真空中で非磁性絶縁体テープ基板24上に磁
性膜を堆積させる。磁気記録媒体としては、特に磁性膜
の膜面内に一軸磁気異方性を持たせる必要がないため、
磁性膜の堆積時には、磁性膜の膜面内方向に外部磁界を
印加させなかった。また、それゆえこの薄膜作製装置
は、磁性膜の堆積時に磁性膜の膜面内方向に外部磁界を
印加させる機構も有していなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点を
改善するために提案されたもので、その目的は、従来の
ノイズフィルタにおいて、部品が大型、ケーブルのフレ
クシビリティが損なわれる、数百MHz以上のノイズに
対して有効でないという点を解決した、小型、フレクシ
ブル、高周波動作のテープ状ノイズフィルタおよびその
作製法およびその作製装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明のノイズフィルタテープは、膜面内に一軸磁
気異方性を有する合金系磁性膜と、前記合金系磁性膜の
片面あるいは両面に接合した非磁性絶縁体とで構成さ
れ、前記合金系磁性膜および前記非磁性絶縁体がテープ
状を成し、前記合金系磁性膜の容易軸が前記テープの幅
方向と平行に付与されていることを特徴とする合金系磁
性膜と、前記合金系磁性膜の片面あるいは両面に接合し
た非磁性絶縁体とで構成され、テープ状を成すことを特
徴とする。本発明のノイズフィルタテープは、膜面内に
一軸磁気異方性を有する合金系磁性膜と、前記合金系磁
性膜の片面あるいは両面に接合した非磁性絶縁体とで構
成され、前記合金系磁性膜および前記非磁性絶縁体がテ
ープ状を成し、前記合金系磁性膜の容易軸が前記テープ
の幅方向から傾いた方向に付与されていることを特徴と
する。さらに、合金系磁性膜が、1層の合金系磁性層で
あるか、あるいは合金系磁性層と非磁性絶縁層とを交互
に複数層積層させた多層膜であることを特徴とする。さ
らに、合金系磁性層の厚さが、表皮深さの10分の1か
ら10倍の厚さであり、非磁性絶縁層の厚さが、前記合
金系磁性層間の電気的絶縁を保ち得る厚さ以上であるこ
とを特徴とする。また、本発明のノイズフィルタテープ
作製法は、非磁性絶縁体テープ基板が巻かれた送り用ボ
ビンと、ノイズフィルタテープを巻き取る巻取用ボビン
と、1個以上の案内軸と、磁界を発生する1個以上の円
筒状キャンと、1個以上の原料源を有し、前記送り用ボ
ビンから前記巻取用ボビンへ、前記案内軸と前記円筒状
キャンに沿って前記非磁性絶縁体テープ基板を走らせ、
真空中で前記非磁性絶縁体テープ基板上に、合金系磁性
膜を堆積させて、ノイズフィルタテープを作製するノイ
ズフィルタテープ作製法において、前記円筒状キャンの
軸と平行に配置された磁石によって、前記合金系磁性膜
の膜面内方向に外部磁界を印加しながら、前記合金系磁
性膜を堆積することを特徴とする。また、本発明のノイ
ズフィルタテープ作製装置は、非磁性絶縁体テープ基板
が巻かれた送り用ボビンと、ノイズフィルタテープを巻
き取る巻取用ボビンと、1個以上の案内軸と、磁界を発
生する1個以上の円筒状キャンと、1個以上の原料源を
有し、前記送り用ボビンから前記巻取用ボビンへ、前記
案内軸と前記円筒状キャンに沿って前記非磁性絶縁体テ
ープ基板を走らせ、真空中で前記非磁性絶縁体テープ基
板上に、合金系磁性膜を堆積させて、ノイズフィルタテ
ープを作製するノイズフィルタテープ作製装置におい
て、前記合金系磁性膜の堆積時に、前記円筒状キャンの
軸と平行に配置された磁石によって、前記合金系磁性膜
の膜面内方向に外部磁界を印加させる機構を有すること
を特徴とする。従来のノイズフィルタおよびノイズフィ
ルタ作製法およびノイズフィルタ作製装置とは、材料構
成、部品構成および方法、装置が異なる。
【0007】
【作用】本発明のノイズフィルタテープによれば、合金
系磁性膜の渦電流損失によるノイズ吸収効果を効率よく
利用することができるため、テープ状と小型であるにも
かかわらず、大きなノイズ抑制効果を実現できる。さら
に、ノイズフィルタがテープ状を成すため、ケーブルの
フレクシビリティを損なわない。さらに、数百MHz以
上でも大きなインピーダンスを有するため、数百MHz
以上のノイズに対しても、有効である。本発明によれ
ば、合金系磁性膜(層)の厚さを表皮深さの10分の1
から10倍の厚さに設定することにより、大きな渦電流
損失を発生させることができるため、テープ状と小型で
あるにもかかわらず、渦電流損失に起因する大きなノイ
ズ吸収効果を実現できる。また、本発明のノイズフィル
タテープ作製法およびノイズフィルタテープ作製装置に
よれば、ヒステリシスが小さく高周波応答に優れた一軸
磁気異方性の困難軸を有した合金系磁性膜を作製するこ
とができるため、上記のような小型、フレクシブル、高
周波動作のノイズフィルタテープを実現できる。
【0008】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図1
は本発明のノイズフィルタテープの実施例を示す図であ
って、1はノイズフィルタテープ、2は合金系磁性膜、
3は非磁性絶縁体であって、非磁性絶縁体3は合金系磁
性膜2の両面に接合している。非磁性絶縁体3は合金系
磁性膜2の片面のみに接合していても、同様の効果を得
ることができる。
【0009】図2は本発明のノイズフィルタテープ1の
ケーブル5への実装例を示す図である。(a)ではノイ
ズフィルタテープ1をケーブル5の長さ方向に螺旋状に
巻回し、一方(b)ではノイズフィルタテープ1をケー
ブル5上、同位置に重ね巻回し、装荷する。(a),
(b)どちらも同様の効果を得ることができる。なおこ
の際、通常の接着用テープ同様、非磁性絶縁体3の合金
系磁性膜2と接合していない面に、接着剤4が付いてい
ても同様の効果を得ることができ、接着剤4が付いてい
ると、ケーブル5への実装上、より便利がよい。接着剤
としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹
脂、アクリル酸樹脂、合成ゴムが用いられる。ノイズフ
ィルタは一般に、ケーブルの信号源側の根元(信号源装
置のコネクタ近傍)に装荷するのが効果的である。従っ
て、ノイズフィルタテープの装荷位置としては、ケーブ
ルのできるだけ信号源側の根元付近とすることが好まし
い。また、図2(b)において、ノイズ吸収効果はテー
プ間の間隔に依らないが、上記の意味で、なるべくケー
ブルの信号源側の根元に間隔を密にして装荷することが
効果的である。
【0010】合金系磁性膜2は、例えばテープの幅方向
を容易軸とする膜面内(磁性体の薄膜内で膜面に平行な
方向)一軸磁気異方性を有している。図3に膜面内一軸
磁気異方性を有する場合(a)と、有さない場合(b)
の合金系磁性膜の磁化曲線を示す。実線と破線はそれぞ
れ直交する2方向に対する磁化曲線である。(a)の場
合には困難軸方向が実線、容易軸方向が破線に対応す
る。ここでは合金系磁性膜として、NiFeを用いた。
(a)ではヒステリシスの小さな優れた軟磁気特性が得
られているが、(b)では大きなヒステリシスが現わ
れ、この場合大きな比透磁率は得られない。ノイズフィ
ルタのインピーダンスは合金系磁性膜の比透磁率と比例
関係にある。従って、大きな比透磁率が得られる点で、
合金系磁性膜に膜面内一軸磁気異方性を持たせることが
効果的とわかる。なお、周波数が数MHz以上の高周波
磁界に対しては、困難軸方向の磁化過程のみが応答す
る。従って、高周波のノイズに対応できる点でも、
(a)のように合金系磁性膜に膜面内一軸磁気異方性を
持たすことが効果的といえる。高周波磁界に応答するの
は、困難軸方向の磁化過程のみである。図3(b)は異
方性がないため、実線,破線とも高周波磁界に対して
(従って、ノイズフィルタとしては)有効でない。図3
(a)の破線は容易軸方向であるため、有効でない。有
効なのは図3(a)の実線のみとなる。この際、ケーブ
ル5から発生するノイズの磁界成分はケーブル5の円周
方向となるため、合金系磁性膜の容易軸はケーブル5の
円周方向と直交する方向に付与されていることが効果的
である。例えば図2(a)では、容易軸方向はノイズフ
ィルタテープの幅方向から少し傾いた方向に、一方、図
2(b)では、ノイズフィルタテープの幅方向と平行に
付与されていることが(困難軸方向の磁化過程を利用す
ることができるため)効果的である。
【0011】図4は合金系磁性膜2の断面の詳細を示す
図であって、6は合金系磁性層、7は非磁性絶縁層であ
る。合金系磁性膜2は、1層の合金系磁性層6である
か、あるいは合金系磁性層6と非磁性絶縁層7とを交互
に複数層積層した多層膜である。非磁性絶縁層の厚さの
下限は、後述するように、合金系磁性層間の電気的絶縁
を保つため50nmであり、上限はフレクシビリティの
関係上10mm以下が実用上好ましい。
【0012】図5に合金系磁性層厚tm と比透磁率μr
(=μr ′−j・μr ″)の関係を示す。比透磁率は困
難軸方向での値である。合金系磁性層としてはNiFe
およびCoZrNbを使用した。ノイズフィルタのRは
μr ″と比例関係にあるため、大きなノイズ抑制効果を
得るためには、μr ″が大きいことが望ましい。図5で
μr ′,μr ″は静的比透磁率μr ′(0)で、またt
m は表皮深さδで規格化した。δは合金系磁性層の電気
抵抗ρm ,μr ′(0),周波数f,真空の透磁率μ0
を用いて、 δ=〔2ρm /(2πf・μr ′(0)・μ0 )〕1/2 (1) で表される。NiFeの場合、μr ′(0)=300
0,ρm =20μΩcm、またCoZrNbの場合、μ
r ′(0)=3000,ρm =120μΩcmである。
図5に示すように、μr ″はtm /δが0.1から10
の範囲でμr ″の最大値の100分の1以上の値を持
つ、tm がδの10分の1未満となった場合、およびt
m がδの10倍を超過した場合、本発明のノイズフィル
タテープによって、従来部品(フェライトコア)よりも
大きなノイズ吸収効果を実現することができなくなるた
め、実用上好ましくない。このことからtm をδの10
分の1から10倍の厚さに設定することが効果的である
ことがわかる。
【0013】非磁性絶縁層が薄いと、電気的絶縁破壊が
生じ、図5のような特性が得られない。図6に合金系磁
性層としてNiFeを、非磁性絶縁層としてSiO2
用い、SiO2 層厚を変化させた場合の比透磁率の周波
数特性を示す。比透磁率は困難軸方向での値である。N
iFe層厚はこの周波数帯域におけるNiFeの表皮深
さ0.16〜1.6μmより十分薄い50nm(0.0
5μm)に設定した。SiO2 層厚が5nmでは電気的
絶縁不良により30MHz付近からμr ′の減少、
μr ″の増大が起きる。一方、SiO2 層厚が50nm
ではNiFeの強磁性共鳴周波数650MHzまで
μr ′一定となり、電気的絶縁はほぼ保たれ、さらにS
iO2 層厚100nmでは絶縁効果はいっそう確実とな
る。以上、非磁性絶縁層としてSiO2 を使用した場
合、合金系磁性層間の電気的絶縁を保つには非磁性絶縁
層厚を50nm以上とすることが効果的であることがわ
かる。図3で示したように、大きな比透磁率、すなわち
大きなノイズ抑制効果を実現し、また高周波のノイズに
対応するためには、合金系磁性膜2の膜面内(磁性体の
薄膜内で膜面に平行な方向)に一軸磁気異方性を持たす
ことが効果的である。
【0014】合金系磁性膜2に膜面内一軸磁気異方性を
付与する方法としては、合金系磁性膜の堆積時に合金系
磁性膜の膜面内方向に外部磁界を印加させる方法が挙げ
られる。この方法で作製したNiFe膜の磁化曲線を図
3(a)に示した。図3(a)では外部磁界方向を容易
軸とする明確な膜面内一軸磁気異方性が付与しているの
がわかる。
【0015】図7に合金系磁性膜の堆積時に、合金系磁
性膜の膜面内方向に外部磁界を印加する機構を有した薄
膜作製装置の概要を示す。図7は、送り用ボビン8、巻
取用ボビン9、1個以上の案内軸10、円筒状キャン1
1、原料源12から成り、送り用ボビン8から巻取用ボ
ビン9へ、案内軸10、円筒状キャン11に沿って、非
磁性絶縁体テープ基板13を走らせ、真空中で非磁性絶
縁体テープ基板13上に合金系磁性膜を堆積させる。図
中、一点鎖線で囲った部分に外部磁界印加機構を配して
いる。図4のような多層膜を作製する場合には、原料源
12は1個であるより、複数個であることが、生産性が
向上する点で効果的である。
【0016】図8は外部磁界印加機構部の詳細を示す図
であって、16は外部磁界の方向、14は永久磁石、1
5は電磁石である。(a)では外部磁界発生源として円
筒状キャン11内部に設置された1個以上の永久磁石1
4をキャンの軸と平行に配置する。(b)では円筒状キ
ャン11を両側から挟むように設置された永久磁石14
を、(c)では円筒状キャン11内部に設置された電磁
石15を、(d)では円筒状キャン11を挟むように設
置された電磁石15をそれぞれ利用する。16は磁界の
方向を示すもので、磁界の極性の向きはいずれでもよ
い。上記以外の膜面内一軸磁気異方性付与法として、合
金系磁性膜を外部磁界なしで作製した後、基板温度を堆
積時以上に設定し、図8のように合金系磁性膜の膜面内
方向に外部磁界を印加する方法が挙げられる。また、そ
の他の膜面内一軸磁気異方性付与法として、斜め堆積法
が挙げられる。これは図11に示すように、合金系磁性
膜を基板25上に斜め方向26から堆積させることによ
り、合金系磁性膜の結晶粒径を薄片状とし、形状磁気異
方性により、膜面内一軸磁気異方性を付与する方法であ
る。これらいずれの方法によっても、同様の効果を得る
ことができる。
【0017】原料源12としては、イオンビームスパッ
タ源、RFスパッタ源、マグネトロンスパッタ源、蒸着
源などが挙げられ、いずれも同様の効果を得ることがで
きる。合金系磁性膜2および合金系磁性層6としては、
Fe,Co,Niをベースとした磁性材料を、また非磁
性絶縁体3および非磁性絶縁層7および非磁性絶縁体テ
ープ基板13としては、SiO2 ,AlN,Al
2 3 ,BN,TiN,SiC,ポリエチレンナフタレ
ート(PEN),ポリエチレンテレフタレート(PE
T),ポリイミド,カプトン,フォトレジストが使用で
き、いずれも同様の効果を得ることができる。合金系磁
性材料としては、NiFe,CoZrNb以外に次のも
のが用いられる。NiFeMo,NiFeCu,NiF
eCr,NiFeNb,NiFeTi,NiFeSi,
FeSi,FeC,FeN,CoFe,FeSiAl,
FeB,FeBSi,CoBSi,FeCoBSi,F
eCoNiBSi,CoXa(Xa:Y,Zr,Hf,
Ti,Nb,Mo,W,Re,Ni,Fe,Mn),C
oXbXc(Xb:Y,Zr,Hf,Ti,Nb,M
o,W,Re,Ni,Fe,Mn、Xc:Y,Zr,H
f,Ti,Nb,Mo,W,Re,Ni,Fe,Mn)
など。
【0018】具体的実施例を以下に示す。図4において
合金系磁性層6にCoZrNbを、非磁性絶縁層7にS
iO2 を、非磁性絶縁体テープ基板13に6μm厚のP
ETを、原料源にはイオンビームスパッタ源を使用し
た。スパッタ条件は、動作真空度Ar1×10-4Tor
r,加速電圧1kV,基板温度は室温〜160℃とし
た。外部磁界は図8(a)の方法で印加した。堆積時の
CoZrNbの膜面内一軸磁気異方性磁界は20Oeで
あったため、回転磁界中熱処理、すなわち、電気炉の中
で、合金系磁性体の膜面に平行に外部磁界を印加し、電
磁波吸収シートを合金系磁性体の膜面に垂直な方向を軸
に回転させ、合金系磁性体の一軸磁気異方性の方向と外
部磁界の方向が、時間の経過と共に変化するように設置
して行う熱処理法により、3Oeまで小さくした。ま
た、この熱処理は窒素ガス雰囲気中で行い、熱処理温度
は350°C、熱処理時間は1時間、外部磁界の大きさ
は100Oe、回転速度は4rpmとした。膜面内一軸
磁気異方性の容易軸はノイズフィルタテープの幅方向で
ある。μr ′(0)は3000,ρm は120μΩcm
であった。CoZrNb層厚はδ/10から10δを満
たす2.0μmに、SiO2 層厚は電気的絶縁を保ち得
る0.1μmに設定し、PET上に4周期堆積させた。
図9に本ノイズフィルタテープを図2(a)のようにケ
ーブルに実装した場合の、インピーダンスの周波数依存
性を示す。直径10mmのケーブルに、幅10mmのノ
イズフィルタテープを1m螺旋状に装荷した。図9では
図14に示す従来ノイズフィルタと同程度のZ,R値で
ある数十〜300Ωが得られている。本ノイズフィルタ
と従来フィルタの体積を比較すると、本ノイズフィルタ
では〜1/102 の部品の小型化が達成しており、また
テープ状であるため、ケーブルのフレクシビリティも損
なわれていない。さらに図から明らかなように、数百M
Hz以上においても大きなインピーダンスを有するた
め、数百MHz以上のノイズに対しても、有効であるこ
とがわかる。
【0019】次に合金系磁性層6にNiFeを、非磁性
絶縁層7にSiO2 を、非磁性絶縁体テープ基板13に
6μm厚のPENを、原料源に蒸着源を使用した実施例
を示す。基板温度は室温〜160℃とした。外部磁界は
図8(b)の方法で印加した。膜面内一軸磁気異方性磁
界は3Oeで、その容易軸はノイズフィルタテープの幅
方向である。μr ′(0)は3000,ρm は20μΩ
cmであった。NiFe層厚はδ/10から10δを満
たす1.5μmに、SiO2 層厚は電気的絶縁を保ち得
る0.1μmに設定し、PEN上に4周期堆積させた。
図10に本ノイズフィルタテープを図2(b)のように
ケーブルに実装した場合の、インピーダンスの周波数依
存性を示す。直径10mmのケーブルの3箇所に、幅1
0mmのノイズフィルタテープを10重に重ね巻きして
装荷した。図10では図14に示す従来ノイズフィルタ
と同程度のZ,R値である数十〜300Ωが得られてい
る。本ノイズフィルタと従来フィルタの体積を比較する
と、本ノイズフィルタでは〜1/102 の部品の小型化
が達成しており、またテープ状であるため、ケーブルの
フレクシビリティも損なわれていない。さらに図から明
らかなように、数百MHz以上においても大きなインピ
ーダンスを有するため、数百MHz以上のノイズに対し
ても、有効であることがわかる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のノイズフ
ィルタテープによれば、小型にして大きなノイズ抑制効
果を実現できる。さらに、ノイズフィルタがテープ状を
成すため、ケーブルのフレクシビリティを損なわない。
さらに数百MHz以上のノイズに対しても有効である。
特に、ケーブルから発生するノイズの磁界成分はケーブ
ルの円周方向となるため、合金系磁性膜の容易軸はケー
ブルの円周方向と直交する方向に付与されていることが
効果的である。つまり、容易軸がテープの幅方向と平行
に付与され、また、容易軸がテープの幅方向から傾いた
方向に付与されていると、テープの巻き方に応じたノイ
ズ抑制効果を達成することができる。また、本発明のノ
イズフィルタテープ作製法およびノイズフィルタテープ
作製装置によれば、容易軸がテープの幅方向と平行に付
与され、また、容易軸がテープの幅方向から傾いた方向
に付与された、上記のような小型、フレクシブル、高周
波動作のノイズフィルタテープが作製できる。すなわ
ち、取り扱いが容易であり、ノイズ抑制効果が大きく、
またテープの製造も容易であり、膜面内一軸磁気異方性
の付与も簡単である効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノイズフィルタテープの実施例を示す
図である。
【図2】本発明のノイズフィルタテープのケーブルへの
実装例を示す図で、(a),(b)は夫々異なる例を示
す。
【図3】磁化曲線を示す図で、(a),(b)は異なる
例を示す。
【図4】合金系磁性膜の断面の詳細を示す図である。
【図5】比透磁率の磁性層厚依存性を示す図である。
【図6】非磁性絶縁層厚を変化させた場合の比透磁率の
周波数依存性を示す図である。
【図7】ノイズフィルタテープ作製装置を示す図であ
る。
【図8】外部磁界印加機構の詳細を示す図で、(a)〜
(d)は異なる方法を示す。
【図9】インピーダンスの周波数依存性を示す図であ
る。
【図10】インピーダンスの周波数依存性を示す図であ
る。
【図11】原料粒子の斜め堆積方法を示す。
【図12】従来のノイズフィルタの例を示す図である。
【図13】従来のノイズフィルタのケーブルへの実装例
を示す図である。
【図14】従来のノイズフィルタにおけるインピーダン
スの周波数依存性を示す図である。
【図15】従来のメタル磁気テープ作製装置を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 ノイズフィルタテープ 2 合金系磁性膜 3 非磁性絶縁体 4 接着剤 5 ケーブル 6 合金系磁性層 7 非磁性絶縁層 8 送り用ボビン 9 巻取用ボビン 10 案内軸 11 円筒状キャン 12 原料源 13 非磁性絶縁体テープ基板 14 永久磁石 15 電磁石 16 外部磁界方向 17 フェライトコア 18 ケーブル 19 原料源 20 送り用ボビン 21 巻取用ボビン 22 案内軸 23 円筒状キャン 24 非磁性絶縁体テープ基板 25 基板 26 原料粒子の入射方向
フロントページの続き (72)発明者 森 敏則 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 戸島 知之 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−326262(JP,A) 特開 平4−43509(JP,A) 特開 平5−327265(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 9/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜面内に一軸磁気異方性を有する合金系
    磁性膜と、前記合金系磁性膜の片面あるいは両面に接合
    した非磁性絶縁体とで構成され、前記合金系磁性膜およ
    び前記非磁性絶縁体がテープ状を成し、前記合金系磁性
    膜の容易軸が前記テープの幅方向と平行に付与されてい
    ことを特徴とするノイズフィルタテープ。
  2. 【請求項2】 膜面内に一軸磁気異方性を有する合金系
    磁性膜と、前記合金系磁性膜の片面あるいは両面に接合
    した非磁性絶縁体とで構成され、前記合金系磁性膜およ
    び前記非磁性絶縁体がテープ状を成し、前記合金系磁性
    膜の容易軸が前記テープの幅方向から傾いた方向に付与
    されていることを特徴とするノイズフィルタテープ。
  3. 【請求項3】 合金系磁性膜が、1層の合金系磁性層で
    あるか、あるいは合金系磁性層と非磁性絶縁層とを交互
    に複数層積層させた多層膜であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のノイズフィルタテープ。
  4. 【請求項4】 合金系磁性層の厚さが、表皮深さδの1
    0分の1から10倍の厚さであり、 ここに、 表皮深さδは、高周波電磁波が、合金系磁性膜(合金系
    磁性層)に侵入し得る表面からの深さであり、合金系磁
    性膜(層)の電気抵抗ρ,周波数f,静的比透磁率μ
    ′(0),真空の透磁率μを用いて、 δ=〔2ρ/(2πf・μ′(0)・μ)〕1/2 で表されるものであることを特徴とする請求項1または
    2に記載のノイズフィルタテープ。
  5. 【請求項5】 合金系磁性膜の材料としてCoZrNb
    またはNiFeが用いられ、また非磁性絶縁層としてS
    iOが用いられていることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のノイズフィルタテープ。
  6. 【請求項6】 非磁性絶縁層の厚さは、合金系磁性層間
    の電気的絶縁を保ちうる厚さ以上であり、かつフレクシ
    ビリティを有するものであることを特徴とする請求項1
    または2に記載のノイズフィルタテープ。
  7. 【請求項7】 非磁性絶縁体テープ基板が巻かれた送り
    用ボビンと、ノイズフィルタテープを巻き取る巻取用ボ
    ビンと、1個以上の案内軸と、磁界を発生する1個以上
    の円筒状キャンと、1個以上の原料源を有し、前記送り
    用ボビンから前記巻取用ボビンへ、前記案内軸と前記円
    筒状キャンに沿って前記非磁性絶縁体テープ基板を走ら
    せ、真空中で前記非磁性絶縁体テープ基板上に、合金系
    磁性膜を堆積させて、ノイズフィルタテープを作製する
    ノイズフィルタテープ作製法において、前記円筒状キャンの軸と平行に配置された磁石によっ
    て、 前記合金系磁性膜の膜面内方向に外部磁界を印加し
    ながら、前記合金系磁性膜を堆積することを特徴とする
    ノイズフィルタテープ作製法。
  8. 【請求項8】 非磁性絶縁体テープ基板が巻かれた送り
    用ボビンと、ノイズフィルタテープを巻き取る巻取用ボ
    ビンと、1個以上の案内軸と、磁界を発生する1個以上
    の円筒状キャンと、1個以上の原料源を有し、前記送り
    用ボビンから前記巻取用ボビンへ、前記案内軸と前記円
    筒状キャンに沿って前記非磁性絶縁体テープ基板を走ら
    せ、真空中で前記非磁性絶縁体テープ基板上に、合金系
    磁性膜を堆積させて、ノイズフィルタテープを作製する
    ノイズフィルタテープ作製装置において、 前記合金系磁性膜の堆積時に、前記円筒状キャンの軸と
    平行に配置された磁石によって、前記合金系磁性膜の膜
    面内方向に外部磁界を印加させる機構を有することを特
    徴とするノイズフィルタテープ作製装置。
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