JP3271732B2 - ケーブル線路の電気測定方法及び測定装置 - Google Patents

ケーブル線路の電気測定方法及び測定装置

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JP3271732B2 JP21803294A JP21803294A JP3271732B2 JP 3271732 B2 JP3271732 B2 JP 3271732B2 JP 21803294 A JP21803294 A JP 21803294A JP 21803294 A JP21803294 A JP 21803294A JP 3271732 B2 JP3271732 B2 JP 3271732B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーブル線路の絶縁特
性等の診断を行うために、その充電電流や誘電正接を測
定するケーブル線路の電気測定方法及び測定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電力送電等に使用されるケーブル線路
は、その機能を維持するため高い信頼性を要求される。
従って、随時あるいは定期的にその電気特性が診断され
る。この方法には、送電を停止して直流漏れ電流や誘電
正接を測定する方法がある。しかしながら、電力需要の
増大や高い信頼性の要求に応えるため、ケーブル線路の
送電を停止して検査を行うことが難しくなっている。そ
こで、ケーブル線路が活線のままで電気測定を行う方法
が開発されている。活線状態でのケーブル線路の絶縁特
性測定には、ケーブルの導体から絶縁体を介して遮蔽層
を通じ大地に流れ込む充電電流を検出する。このような
充電電流はケーブル絶縁体や接続部の電気特性を解析す
る重要なファクターとなる。
【0003】図2に、一般のケーブル線路の電気測定方
法説明図を示す。(a)は、送電等に使用されるCVケ
ーブルの端末斜視図である。図のように、ケーブルは導
体2の外周を絶縁体3で被覆し、更にその外側に遮蔽層
4を設けて構成される。このような導体2と遮蔽層4と
の間に高電圧を印加すると、ケーブルは通常、コンデン
サのように動作する。即ち、(b)に示すように、ケー
ブルに高圧電源5を接続すると、ケーブルはコンデンサ
Cとして動作し、このコンデンサCは高圧電源5によっ
て充電される。コンデンサCの絶縁特性が劣化すると、
この充電電流に部分放電信号等が混入する。
【0004】(c)は、上記のようなケーブル線路の充
電電流を測定するためのシース回路図である。図に示す
ように、ケーブルの遮蔽層4は接続箱6により順に長手
方向に直列接続されている。そして、終端部にはケーブ
ルヘッド9が配置されている。また、接続箱6は接地線
7によって接地される。この接地線7に変流器8を装着
して充電電流を測定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来のケーブル線路の電気測定方法には次のような解
決すべき課題があった。一般に、電力ケーブル線路は図
2の(d)に示すように、複数の接続箱6により直列に
電気接続され、これらの接続箱6はそれぞれ接地線7を
介して接地されている。即ち、ケーブル線路は、通常複
数の箇所で接地線7を用いて接地されている。ここで、
図2(c)のようにしてケーブル線路の充電電流を測定
する場合には、測定用の変流器8を装着する1本の接地
線7に全ての充電電流を流す必要がある。このために、
充電電流測定前に1本の接地線を残し、他の接地線を大
地から切り離せば充電電流の測定は理論的には可能であ
るが、このような作業は煩雑であり、しかも非接地の遮
蔽層の電位が上昇し危険なため、実用的ではない。
【0006】従って、多点接地ケーブル線路の充電電流
をそのままの状態で測定する要求が生じた。この要求に
応えるために、各接地線にそれぞれ変流器を装着し、そ
の変流器の出力を加算して充電電流の総和を求めること
が考えられる。
【0007】ところが、複数の接地線に変流器を取り付
けて充電電流を検出し、その検出信号を加算すると、1
箇所を残し、全ての接地線を取り外して充電電流を測定
した結果と比較して誤差が生じる場合がある。これは、
充電電流の総和を求める場合に、電流の位相も考慮して
加算しなければならないにも関わらず、各地点における
充電電流の測定タイミングが正確に一致しないためと考
えられる。また、ケーブル線路の電気特性として重要な
ものに誘電正接の測定があるが、この場合にも充電電流
を高い精度で測定しておくことが要求される。
【0008】本発明は以上の点に着目してなされたもの
で、多点接地ケーブル線路の充電電流や誘電正接を高い
精度で測定するためのケーブル線路の電気測定方法及び
電気測定装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、遮蔽層
が2点以上で接地されたケーブル線路において、その導
体と遮蔽層との間に高電圧を印加したときの充電電流を
測定する場合に、前記各接地点にその地点における充電
電流を測定する子局をそれぞれ配置する一方、任意の場
所に親局を配置して、前記親局から各子局へ測定指令信
号を送信し、前記各子局は測定指令信号の受信と同期し
て前記充電電流を測定し測定結果を親局に送信するとと
もに、前記測定指令信号の受信と同期して確認信号を生
成し、この確認信号と、測定指令信号受信から確認信号
送信までの応答遅れ情報とを前記親局に送信し、前記親
局は、前記各子局へ測定指令信号を送信してから前記確
認信号をその子局から受信するまでの時間を前記応答遅
れ情報により補正して各子局の充電電流測定タイミング
を求め、各子局から受信した測定結果を前記測定タイミ
ングに従って位相合わせして、前記ケーブルの充電電流
の総和を求めることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の装置は、遮蔽層に接続され
た複数の接地線にそれぞれ配置され、接地線に流れるケ
ーブルの充電電流を測定する子局と、前記各子局の測定
した充電電流を位相合わせしてその総和を求める親局と
を有し、前記子局は、前記親局から測定指令信号を受信
したとき前記充電電流を測定する測定部と、前記測定指
令信号の受信に応答して確認信号を生成する確認信号生
成部と、前記測定指令信号の受信から確認信号の送信ま
での時間を計測して応答遅れ情報を生成する応答遅れ計
測部と、前記測定部の出力する測定結果と前記確認信号
及び前記応答遅れ情報とを前記親局に送信する送信部と
を備え、前記親局は、前記各子局へ測定指令信号を送信
してから前記確認信号をその子局から受信するまでの時
間を演算し、その結果を前記応答遅れ情報により補正し
て各子局の充電電流測定タイミングを求め、各子局から
受信した測定結果を前記測定タイミングに従って位相合
わせして、前記ケーブルの充電電流の総和を求める演算
部を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】複数の子局は、それぞれ接地線に流れる充電電
流を測定する。各子局は測定指令信号の受信と同期して
充電電流を測定し、測定結果を応答信号とともに親局に
送信する。この応答信号には各子局の充電電流測定タイ
ミングを求めるための応答遅れ情報を含める。親局は子
局から受信した応答信号中に含まれる情報を元に、各子
局が同一のタイミングで同時に充電電流を測定した場合
に得られるであろう測定結果を演算処理によって求め
る。このようにして、測定結果を正確に位相合わせして
ケーブルの充電電流の総和を求める。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図の実施例を用いて詳細に説
明する。図1は、本発明の方法を実施したケーブル線路
のシース回路実施例概略図である。図において、ケーブ
ルの遮蔽層4は接続箱6により直列に接続されており、
その両端はケーブルヘッド9により立上げられ終端して
いる。ここで、このケーブル線路の遮蔽層は、図に示す
ように、ケーブルヘッド9の近傍と各接続箱6におい
て、接地線7を介して接地されている。また、これらの
接地線7には変流器8が装着され、子局11−1〜11
−4において、それぞれ各接地線7に流れる充電電流を
測定する構成となっている。また、各子局11−1〜1
1−4で測定した充電電流の総和を求め、ケーブル線路
全体の充電電流を得る演算処理等を実行するために、親
局12が設けられている。この例では、子局11−1〜
11−4に親局12から測定指令信号15を送信し、そ
の逆に子局11−1〜11−4より応答信号16−1〜
16−4が親局12にそれぞれ送信されるように信号線
が接続されている。
【0013】また、この他に、ケーブルヘッド9から引
き出されたケーブルの導体に接続されたリード線17
は、一対の分圧コンデンサ18を介して接地され、その
接続点は電圧測定用子局13に引き込まれている。この
電圧測定用子局13によってケーブル線路への印加電圧
を測定し、これが親局12に送り込まれる構成となって
いる。なお、上記応答信号16−1〜16−4は、いず
れも子局11−1〜11−4がそれぞれ測定結果を親局
12に送信する際に併せて送信する確認信号と、測定指
令信号15を受信してから確認信号を送信するまでの時
間を示す応答遅れ情報とを含む。これらの信号の内容に
ついては、後で詳細に説明する。
【0014】図3には、子局の具体例ブロック図を示
す。上記の子局は、例えばこの図に示すようなブロック
構成とされる。即ち、子局11−1には、受信部20、
測定部21、確認信号生成部22、応答遅れ計測部23
及び送信部24が設けられている。受信部20は親局か
ら測定指令信号15を受信し、これを確認信号生成部2
2や応答遅れ計測部23等に送信するインタフェース回
路から構成される。なお、親局から測定指令信号15を
受信するための信号線が専用線から成る場合には、この
受信部20は、例えばフリップフロップのような簡単な
メモリ素子で構成すればよい。
【0015】測定部21は、変流器8によって接地線7
に流れる充電電流を測定し、そのゼロクロス点からの位
相や最大値を検出する部分である。この測定部21に
は、このために時間計測部21Aや最大値検出部21B
が設けられる。これらはいずれも信号電流の測定値をサ
ンプリングし、その値とサンプリング時間等を元に、後
で説明するような演算処理を実行するディジタル処理回
路から構成される。
【0016】確認信号生成部22は、測定指令信号15
を受信したとき起動され、測定部21が得た測定結果を
送信する際に、送信部24にパルス状の確認信号を送出
する信号生成回路から構成される。従って、確認信号生
成部22は測定指令信号15をトリガとして確認信号を
生成するためのパルス生成回路から構成される。具体的
には、測定指令信号のパルスを測定部21の測定動作に
合わせて一定時間遅延して送信部24に出力する回路か
ら構成される。応答遅れ計測部23は、受信部20で測
定指令信号15を受信したときから、確認信号生成部2
2により確認信号が生成されて送信部24から親局へ向
けて送信されるまでの時間を計測する時計回路から構成
される。
【0017】送信部24は測定部21の出力する測定結
果を受け入れて、確認信号生成部22の出力する確認信
号と合成して親局に対し応答信号16−1として送信す
る回路から構成される。これは、測定結果を格納するバ
ッファメモリや、応答遅れ計測部23から受け入れた応
答遅れ情報と測定部21から受け入れた測定結果とを例
えばシリアルな一定形式のデータに変換し親局に送信す
る信号処理回路等を含む。なお、この信号形態は例えば
スタートビットとストップビットとの間に一定の形式で
シリアルデータを挿入した一般的な形式を採用すればよ
い。
【0018】図4に、親局の具体例ブロック図を示す。
親局は、この図に示すように、例えば充電電流演算部3
1と、指令送信部32と、応答受信部33と、記録部3
4と、電圧信号処理部35と、誘電正接測定部36から
構成される。指令送信部32は測定開始の際に、各子局
に対し測定指令信号15に相当するパルスを送出するパ
ルス生成回路から構成される。充電電流演算部31は、
後で説明する要領で各子局から送信された充電電流の測
定結果に基づき充電電流の総和を求める演算処理回路か
ら構成される。この充電電流演算部31は、例えばマイ
クロコンピュータ等により構成する。
【0019】応答受信部33は複数の子局からそれぞれ
応答信号16−1〜16−4を受け入れて、その中に含
まれる情報を抽出するインタフェース回路から構成され
る。なお、各応答信号は、例えばこの図に示すようにそ
れぞれ別々の信号線を介して応答受信部33に入力す
る。これは指令送信部32が各子局に対し同時に測定指
令信号15を送信し、各子局がそれぞれ前後して応答信
号16−1〜16−4を親局に向けて送信すると、これ
らが互いに干渉し合うおそれがあるからである。なお、
信号処理上、応答受信部33において各信号の区別を必
要とする場合、応答信号16−1〜16−4中に子局の
識別番号等を含めるようにしても差し支えない。
【0020】記録部34は、充電電流演算部31が演算
処理した充電電流の総和や誘電正接測定部36の出力す
る誘電正接等を記録し表示する部分である。これは、例
えばプリンタや、データを記憶する磁気ディスク装置等
から構成される。なお、ここにディスプレイ等を設ける
ようにしてもよい。電圧信号処理部35は、後で説明す
る誘電正接測定のために図1に示した電圧測定用子局1
3から印加電圧に相当する信号を受け入れる部分であ
る。この信号は誘電正接測定部36に送られ、充電電流
の総和と印加電圧との位相差から誘電正接が求められ
る。その結果が記録部34に向け出力される構成となっ
ている。
【0021】図5に、信号送受信タイミングチャートを
示す。本発明においては、親局から測定指令信号を送信
し、各子局が測定指令信号の受信に同期して充電電流を
測定すると、その測定タイミングをとらえて親局側で位
相調整をするために子局から確認信号を受信する構成と
なっている。下の例ではこれらの信号パルスの立ち上が
りエッジを基準に演算処理を行う。即ち、この図の
(a)に示すように、親局が時刻t1に測定指令信号を
送信すると、この信号は第1子局11−1に対し、その
図の(b)に示すように時間T1後の時刻t2に受信さ
れる。第1子局11−1はこの測定指令信号を受信する
と確認信号を生成し、測定結果とともに時刻t3に親局
に向けて送信する。このように第1子局11−1が測定
指令信号を受信してから確認信号を送信するまでの応答
遅れ時間をT2とする。また、確認信号が第1子局11
−1によって時刻t3に送信されると、親局には時刻t
4に受信される。この場合の信号伝搬時間をT3とす
る。
【0022】このような時間T1,T2,T3が各子局
における充電電流測定の測定タイミング演算処理に必要
なデータとなる。このうち、時間T2に相当するデータ
を本発明において応答遅れ情報と呼んでいる。これが、
図3に示す応答遅れ計測部23によって計測される。
【0023】図6に、充電電流の説明図を示す。このグ
ラフは各子局において測定される充電電流の波形を示し
たもので、縦軸に充電電流のレベルをI[A]、横軸に
時間をT[秒]という単位で表した。ここで、第1子局
11−1は測定指令信号を受信した図5に示す時刻t2
にそれぞれ充電電流を測定するものとする。即ち、図6
に示すように、時刻t2に充電電流を測定し、更にその
充電電流の最大値を測定する。ここで、図3に示した測
定部21の時間計測部21Aは、測定タイミングt2か
ら充電電流のゼロクロス点が存在する時刻t5までの時
間(図では位相T5と表現した)を計測する。この位相
T5は、充電電流の総和を求める際の位相調整に必要と
なる。従って、充電電流の最大値とこの位相T5とを測
定結果に含め、測定部21は送信部24にその測定結果
を送る。第2子局11−2は測定指令信号を時刻t1か
ら時間T1*後の時刻t2*に受信する。そして、第1
子局とほぼ同程度の時間T2*の遅れの後、時刻t3*
に確認信号を送信し、時間T3*の後の時刻t4*に親
局に受信される。
【0024】図5に示すように、子局が複数ある場合、
それぞれ測定指令信号が受信されるタイミングは相違し
てくる。これは、各子局11−1,11−2がそれぞれ
親局12から異なる位置に配置され、測定指令信号の伝
搬遅延時間がまちまちになるからである。本発明におい
ては、この測定タイミングのずれを後で述べる演算処理
によって補正するようにしている。
【0025】ところで、複数の子局が同時に充電電流を
測定し、その結果を親局に送れるようにすれば、このよ
うな問題は生じない。この目的のため、各子局にそれぞ
れ正確な時計を設け、同時刻に充電電流を測定すること
が考えらる。ところが、実用的な精度の時計を使用した
としても、測定タイミングは完全に一致せず、その誤差
は本発明のような充電電流の測定に対し無視できない値
となる。そこで、本発明では各子局に対し親局の生成し
た測定指令信号を送信し、親局が各子局の測定タイミン
グを正確に制御するようにしている。本発明では、この
とき測定指令信号の伝搬遅延時間も考慮し、各子局にお
ける実際の測定時間を正確に換算して補正している。
【0026】ここで、上記のような信号送受信のタイミ
ングを正確に測定する必要性を更に具体的に説明する。
例えば、300mの長さのケーブル線路の遮蔽層が両端
の2点で接地され、その接地線にそれぞれ充電電流を測
定するための子局を設けたとする。この場合、例えば親
局が一方の子局の近くに存在し、同時に測定指令信号を
送信すると、信号の伝送速度が200×106 m/秒と
した場合に、親局から遠く離れたもう一方の子局は約
1.5×10-6秒だけ測定指令信号を遅れて受信するこ
とになる。従って、測定指令信号の受信と同時に充電電
流を測定しても、他の子局と測定タイミングがずれる。
従って、各子局での充電電流の測定値を単に加算して
も、全充電電流を求めることはできない。
【0027】これに対し、ケーブル線路の誘電正接測定
等を行う場合に必要な測定精度は0.01%が要求され
る。これは位相角度に直せば約0.0057゜となる。信号周
波数が50Hzとした場合、誘電正接算出に必要な電圧
信号と電流信号の測定誤差は1/50×0.0057/360
=0.3×10-6秒以内でなければならない。従って、
上記のような測定指令信号の送受信に要する時間遅れも
無視することができない。そこで、次のような各データ
を元に、親局は各子局の充電電流測定タイミングの位相
調整を行う。
【0028】図7に、親局による演算動作説明図を示
す。まず、親局は演算処理のために測定指令信号送信時
刻t1を保持する。更に、子局から送信された確認信号
受信時刻t4を保持する。親局から見た子局の応答時間
は、即ち(t4−t1)となる。一方、子局が測定指令
信号を受信し、確認信号を送信するまでの時間遅れに相
当する応答遅れ情報T2が取り込まれる。ここで、測定
指令信号送信時刻t1からの測定タイミングのずれ時間
をT4とすれば、これは上記応答時間から応答遅れ情報
分を差し引いた信号の往復時間を2で割った値となる。
即ち、時刻t1からこの時間T4だけ遅れて各子局が充
電電流を測定したことになる。従って、このような測定
タイミングのずれを補正して、基準時刻を測定指令信号
送信時刻t1とした場合に、その基準時刻における測定
値を得るようにすれば、全ての子局の充電電流の位相を
合わせることができる。これを以下の計算により行う。
【0029】即ち、図6に示した測定タイミングとゼロ
クロス点との位相は時間T5で表される。また、充電電
流の一般式はその最大値をImとすると、ImSin ωt
で表される。従って、第1子局11−1における基準時
刻での充電電流値Isは次の式で表される。 Is=ImSin ω[t−(T5+T4)] 同様に、第2子局11−2で測定された基準時刻での充
電電流Is*は次の式で表される。 Is*=ImSin ω[t−(T5*+T4*)] 各子局について上記のような演算処理を行い、基準時刻
での充電電流値Is,Is*,…を求め、その総和を演
算処理すれば、同一のタイミングで測定されたケーブル
線路全体の充電電流値が得られる。これによって、正確
な充電電流測定が可能となる。また、多点接地による誘
導ノイズも相殺される。
【0030】次に、誘電正接測定のための説明を行う。
図8に、誘電正接測定部のブロック図を示す。誘電正接
を測定する場合には、図4に示す誘電正接測定部36は
この図に示すような具体的ブロック構成とされる。この
誘電正接測定部36には、図4に示す充電電流演算部3
1から充電電流42が入力し、電圧信号処理部35から
印加電圧41が入力する。これが位相差演算部43に入
力すると、両者の位相差が演算処理され、更に電流成分
演算部44において電流成分を演算し、誘電正接演算部
45によってその除算結果から誘電正接が得られる。
【0031】この図9は、図8に示す誘電正接測定部の
演算処理の内容を具体的に説明したもので、横軸に有効
電圧あるいは有効電流を示し、縦軸に無効電流を示すベ
クトルを図示している。即ち、充電電流ベクトルとその
無効電流成分Icを挟む角度をδとすると、tanδは
充電電流の絶対値で有効電流成分Irを除算したものと
なる。図8に示す位相差演算部43は印加電圧41と充
電電流42の位相差θを求め、更に上記のような角度δ
を求める。電流成分演算部44は充電電流42を有効成
分と無効成分に分解し、そのうちの有効成分の値を求め
る。そして、誘電正接演算部45は充電電流の絶対値で
有効電流を除算する。このようにして誘電正接が求めら
れる。図4に示す実施例では、このような演算処理を行
う誘電正接測定部36を親局12に設けている。
【0032】ところで、図1に示した親局12は、電圧
測定用子局13の近くに設ければ、電圧測定用子局13
による電圧測定タイミングは、親局による充電電流の測
定指令信号送信時刻とほぼ同一と見なしてよい。具体的
には、親局12と電圧測定用子局13が30m程度の間
の距離にあれば全く問題にならない。しかしながら、電
圧測定用子局13が親局12から十分に離れた位置に存
在する場合には、充電電流を測定するための子局11−
1〜11−4と同様に、測定指令信号を送信し、その時
間遅れを補正しなければならない。この場合には、電圧
測定用子局13を図3に示した充電電流測定用の子局と
ほぼ同様の構成にすることが好ましい。
【0033】また、図10には、本発明の変形例ブロッ
ク図を示す。図1に示した例では、充電電流を測定する
子局とケーブル線路への印加電圧を測定する電圧測定用
子局とをそれぞれ別々に設けた。しかしながら、例えば
この図に示すように、充電電流を測定するためのいくつ
かの子局のうち、1つの子局11−5に、電圧測定部4
6を設けてもよい。こうして、ある子局11−5が印加
電圧を測定し、充電電流の測定結果とともにその測定値
を親局12に送信する構成とすることができる。このよ
うな子局11−5には、例えば図1に示す子局11−1
や子局11−4が選定される。これらの子局はケーブル
ヘッド9の近傍に設けられており、ケーブルヘッド9の
リード線17に電圧測定用の機器を取り付け、そこから
リード線を導き易い場所にあるからである。
【0034】なお、上記のような電圧測定用子局を親局
より離れた位置に設ける場合に、充電電流の測定で行っ
た位相合わせのための演算処理は、図4に示す電圧信号
処理部35において行われることになる。その演算処理
の内容は充電電流の場合と全く同一である。従って、重
複する説明は省略する。
【0035】本発明は以上の実施例に限定されない。上
記実施例では電圧信号を分圧コンデンサを用いて測定す
る例を示したが、これは接地型変圧器や零相コンデンサ
等を用いても差し支えない。また、電流測定のためのカ
レントトランスは、高い精度が要求される場合に2段C
Tを使用するようにしても差し支えない。また、各子局
における応答遅れ時間は各子局が安定に動作すればほぼ
一定になる。従って、予め応答遅れ時間を計測してお
き、その後はこれを記憶部等に記憶し、定数として取り
扱っても差し支えない。しかしながら、電力送電用のケ
ーブル線路近傍は温度変化が著しいため、これによって
計測回路の応答時間にばらつきを生じ易い。このため、
上記の実施例のようにその都度応答遅れを計測すると、
極めて高い精度で充電電流等の測定タイミングを合わせ
ることができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明した本発明のケーブル線路の電
気測定方法及び測定装置によれば、遮蔽層が2点以上で
接地されたケーブル線路において、各接地点にその地点
における充電電流を測定する子局をそれぞれ配置する一
方、任意の場所に親局を配置して、親局から各子局へ測
定指令信号を送信し、その測定指令信号の受信と同期し
て測定された充電電流の測定結果を位相調整して演算処
理するため、高い精度で充電電流の総和を求めることが
できる。また、誘電正接を測定する場合には、電圧信号
を測定するタイミングと充電電流を測定するタイミング
とを正確に一致させることができるため、要求される高
い精度で測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施したケーブル線路概略図で
ある。
【図2】一般のケーブル線路の電気測定方法説明図であ
る。
【図3】子局の具体例ブロック図である。
【図4】親局の具体例ブロック図である。
【図5】信号送受信タイミングチャートである。
【図6】充電電流の説明図である。
【図7】親局による演算動作説明図である。
【図8】誘電正接測定部例ブロック図である。
【図9】誘電正接演算内容説明図である。
【図10】本発明の変形例説明図である。
【符号の説明】
4 遮蔽層 6 接続部 7 接地線 8 変流器 11−1〜11−4 子局 12 親局 13 電圧測定用子局 15 測定指令信号 16−1〜16−4 応答信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宍戸 義彦 宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1 号 東北電力株式会社内 (72)発明者 品川 潤一 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 佐々木 伸洋 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 久保田 泰行 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 永岡 明 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−242158(JP,A) 特開 平4−105075(JP,A) 特開 平5−312890(JP,A) 特開 昭49−111533(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 27/18 G01R 27/26 G01R 31/12 G01R 31/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遮蔽層が2点以上で接地されたケーブル
    線路において、その導体と遮蔽層との間に高電圧を印加
    したときの充電電流を測定する場合に、 前記各接地点にその地点における充電電流を測定する子
    局をそれぞれ配置する一方、任意の場所に親局を配置し
    て、 前記親局から各子局へ測定指令信号を送信し、 前記各子局は測定指令信号の受信と同期して前記充電電
    流を測定し測定結果を親局に送信するとともに、 前記測定指令信号の受信と同期して確認信号を生成し、
    この確認信号と、測定指令信号受信から確認信号送信ま
    での応答遅れ情報とを前記親局に送信し、 前記親局は、前記各子局へ測定指令信号を送信してから
    前記確認信号をその子局から受信するまでの時間を前記
    応答遅れ情報により補正して各子局の充電電流測定タイ
    ミングを求め、 各子局から受信した測定結果を前記測定タイミングに従
    って位相合わせして、前記ケーブルの充電電流の総和を
    求めることを特徴とするケーブル線路の電気測定方法。
  2. 【請求項2】 遮蔽層に接続された複数の接地線にそれ
    ぞれ配置され、接地線に流れるケーブルの充電電流を測
    定する子局と、 前記各子局の測定した充電電流を位相合わせしてその総
    和を求める親局とを有し、 前記子局は、 前記親局から測定指令信号を受信したとき前記充電電流
    を測定する測定部と、 前記測定指令信号の受信に応答して確認信号を生成する
    確認信号生成部と、 前記測定指令信号の受信から確認信号の送信までの時間
    を計測して応答遅れ情報を生成する応答遅れ計測部と、 前記測定部の出力する測定結果と前記確認信号及び前記
    応答遅れ情報とを前記親局に送信する送信部とを備え、 前記親局は、 前記各子局へ測定指令信号を送信してから前記確認信号
    をその子局から受信するまでの時間を演算し、その結果
    を前記応答遅れ情報により補正して各子局の充電電流測
    定タイミングを求め、各子局から受信した測定結果を前
    記測定タイミングに従って位相合わせして、前記ケーブ
    ルの充電電流の総和を求める演算部を備えたことを特徴
    とするケーブル線路の電気測定装置。
  3. 【請求項3】 前記ケーブル線路への印加電圧を測定
    し、充電電流の総和との位相差によりケーブルの誘電正
    接を求めることを特徴とする請求項1記載のケーブル線
    路の電気測定方法。
  4. 【請求項4】 前記ケーブル線路への印加電圧を測定し
    た結果を受け入れる電圧信号処理部と、 演算部の求めた充電電流の総和と前記印加電圧との位相
    差によりケーブルの誘電正接を求める誘電正接測定部と
    を親局に備えたことを特徴とする請求項2記載のケーブ
    ル線路の電気測定装置。
  5. 【請求項5】 ケーブル線路への印加電圧を測定する電
    圧測定用子局を設け、 親局は、他の子局の充電電流測定タイミングを求める方
    法と同一の方法で電圧測定用子局による印加電圧測定タ
    イミングを求め、 所定の基準時における印加電圧と充電電流の位相差によ
    り誘電正接を求めることを特徴とする請求項1記載のケ
    ーブル線路の電気測定方法。
  6. 【請求項6】 ケーブル線路への印加電圧を測定する電
    圧測定部を設け、 親局には、 他の子局の充電電流測定タイミングを求める方法と同一
    の方法で電圧測定用子局による印加電圧測定タイミング
    を求める電圧信号処理部と、 所定の基準時における印加電圧と充電電流の位相差によ
    り誘電正接を求める誘電正接測定部を備えたことを特徴
    とする請求項2記載のケーブル線路の電気測定装置。
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