JP3270183B2 - バルーンカテーテル用バルーンおよびバルーンを備えたカテーテル - Google Patents

バルーンカテーテル用バルーンおよびバルーンを備えたカテーテル

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JP3270183B2
JP3270183B2 JP07233093A JP7233093A JP3270183B2 JP 3270183 B2 JP3270183 B2 JP 3270183B2 JP 07233093 A JP07233093 A JP 07233093A JP 7233093 A JP7233093 A JP 7233093A JP 3270183 B2 JP3270183 B2 JP 3270183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バルーンカテーテルに
用いられる新規なバルーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、先端部にバルーン(拡張体)を備
えるバルーンカテーテルは、血管を初めとする種々の体
腔へ適応され、医療分野においてその有用性が増してき
ている。
【0003】このようなバルーンカテーテルのうち、血
管拡張用カテーテルは、冠状動脈のような血管の狭窄部
を拡張する経皮経管的冠血管形成術(PTCA)あるい
は末梢血管の狭窄部を拡張する経皮経管的冠血管形成術
(PTA)に適用されるものである。このPTCAにお
いては、例えば、セルジンガー法により大腿動脈を確保
し、ここよりガーディングカテーテル先端を目的とする
冠状動脈の入口まで挿入し、これを通し血管拡張用カテ
ーテルのバルーンを狭窄部に位置させ、その後、血管拡
張用カテーテルに形成されたルーメンを介してバルーン
内に拡張用の流体を送り込んでバルーンを拡張させ、狭
窄部を拡張させるものである。
【0004】このような血管拡張用カテーテルにおいて
は、ガーディングカテーテル内を通過しやすく、蛇行し
た血管に沿って目的病変部まで円滑に進めることができ
る追従性(トラッカビリィティ)を有することが要求さ
れ、また、バルーンは、十分な強度と柔軟性を有し、か
つ寸法安定性に優れ、過度に狭窄部を拡張することがな
いような物であることが好ましい。
【0005】ところで、バルーンカテーテルのバルーン
に関する従来技術としては、代表的に米国特許第409
3484号、同第4154244号、同第425477
4号、同第4906244号、同第510812号およ
び国際出願PCT/JP88/00202が挙げられ
る。
【0006】これらに記載されたバルーンの構成材料と
しては、エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合
体を低分子量のポリスチレンと混合し随時ポリプロピレ
ンを加えたもの、エチレンおよびブチレンの代わりにブ
タジエンまたはイソプレンを使用した同様な組成物、ポ
リ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル共重合体、
熱可塑性ゴム、シリコーン、ポリカーボネート共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、二軸配向されたナ
イロン12、二軸配向されたポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンおよび架橋型エチレン−酢酸ビニル共
重合体等がある。
【0007】特に、血管拡張用カテーテルにおけるバル
ーンの構成材料としては、ポリ塩化ビニル(以下、PV
Cとも略記する)、ポリエチレン(以下、PEとも略記
する)、二軸配向ナイロン12(以下、N12とも略記
する)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(以下、
PETとも略記する)等が用いられている。
【0008】このうち、PE、PVC、N12のような
脂肪族高分子材料は、柔軟性に富み、カテーテルの追従
性は良好であるが、強度が低いため寸法安定性が劣ると
いう欠点がある。
【0009】一方、PETは、高強度で寸法安定性に優
れるが、二軸配向結晶化しているため高弾性率となり、
耐衝撃性、耐磨耗性が劣ること、柔軟性に乏しく、カテ
ーテルの追従性が悪い等の欠点がある。
【0010】さらに、PETは、コーティング性、接着
性、ヒートシール性が劣り、そのため、バルーンカテー
テル製造時の作業性および二次加工性が悪いという欠点
もある。これと関連して、本来抗血栓性が悪いPET製
バルーンを、特に血液適合性に優れたバルーンに仕上げ
るために種々の修飾を施すことは困難であった。
【0011】また、医療器具は直接人体に使用されるも
のであるので安全上滅菌消毒されていなければならない
が、従来技術のPE、PVC、N12、PETを用いた
カテーテルバルーンは耐熱性や耐放射線性が劣るため、
高圧蒸気(オートクレーブ)滅菌やγ線滅菌が行えず、
エチレンオキサイドガス(以下、EOGとも略記する)
による滅菌が行われてきた。EOGの製品への残留は溶
血現象をもたらすので、たとえば、EOG除去に一週間
を要し、安全性および生産性の面から問題となってい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであって、寸法安定性を犠牲にす
ることなく柔軟性を改善したしなやかなバルーンカテー
テルに用いられるバルーンを提供すること、さらには、
血管拡張用カテーテルとして弾性率の制御により血管内
面の損傷を防止した該カテーテル用のバルーンを提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。
【0014】(1)ポリ−p−フェニレンスルフィド
単独重合体またはパラフェニレンスルフィド成分を主成
分とする共重合体を成形して得られるバルーンカテーテ
ル用のバルーン。
【0015】(2)前記ポリ−p−フェニレンスルフィ
ドの単独重合体またはパラフェニレンスルフィド成分を
主成分とする共重合体とオレフィンとを多層押出成形し
て得られるバルーンカテーテル用のバルーン。
【0016】 (3) ポリ−p−フェニレンスルフィドまたはパラフ
ェニレンスルフィド成分とメタフェニレンスルフィド成
分とを含むランダム共重合体を成形して得られる上記
(1)に記載のバルーンカテーテル用のバルーン。 (4) 前記ポリ−p−フェニレンスルフィドまたはパ
ラフェニレンスルフィド成分とメタフェニレンスルフィ
ド成分とを含むランダム共重合体とオレフィンとを多層
押出成形して得られる上記(3)に記載のバルーンカテ
ーテル用のバルーン。
【0017】()前記ポリ−p−フェニレンスルフィ
が、高分子量のポリ−p−フェニレンスルフィドであ
る(1)〜(4)のいずれかに記載のバルーンカテーテ
ル用のバルーン。
【0018】()計算弾性率が70〜200kg/m
2である(1)〜()のいずれかに記載のバルーン
カテーテル用のバルーン。
【0019】()破壊圧力が10kg/cm2以上で
ある(1)〜()のいずれかに記載のバルーンカテー
テル用のバルーン。
【0020】 (ポリ−p−フェニレンスルフィドの単独重合体も
しくはパラフェニレンスルフィド成分を主成分とする共
重合体の成形は、二軸延伸配向により行われる(1)〜
)のいずれかに記載のバルーンカテーテル用のバル
ーン。 ()(1)〜()のいずれかに記載のバルーンを備
えたカテーテル。
【0021】
【作用】前記PETは、高強度、高弾性率で寸法安定性
に優れるが、柔軟性が乏しく、また、吸水性があるため
乾燥不十分であると成形時に低分子量化を起こし強度低
下や延伸性が悪くなるなどバルーン成型が困難である。
一方、前記PE、PVC、N12のような脂肪族系ポリ
マーは、柔軟性があり、血管拡張用カテーテルの追従性
は良好であるが、強度が低く寸法安定性が劣り、また、
温度変化や含水による強度低下や寸法変化も生じ易い。
【0022】これに対し、本発明のバルーンカテーテル
に用いられるバルーン(以下、単にバルーンともいう)
は、該構成材料として、寸法安定性に優れるポリアリー
レンスルフィドまたはポリアリーレンスルフィドに柔軟
成分を共重合したり柔軟成分をブレンドして、変性させ
ポリマーアロイ化したポリフェニレンスルフィドを用い
ることにより、寸法安定性に優れかつ柔軟でしなやかな
バルーンが得られる。
【0023】このようなしなやかで寸法安定性に優れる
バルーンは、カテーテルの血管への導入等に際し、血管
内面へ与えるショックが少なく、血管内面の損傷を防止
することができる。
【0024】また、弾性率の抑制により、可撓性に富ん
だバルーンとなり、小さく折り畳むことも可能となる。
PETのような材料は、弾性率が高く硬いので、バルー
ンを折り畳むとかどばりを生じ、小さく折り畳みにくく
なる。
【0025】一方、本発明のバルーンは、その柔軟性、
可撓性により、折り畳んだときのかどばりが生じにく
く、小さく折り畳むことが可能となる。
【0026】また、本発明のバルーンは、目的病変部へ
のカテーテルの追従性に優れている。すなわち、カテー
テルの追従性は、バルーンを小さく折り畳めること以外
に、折り畳んだバルーン(シェル)に可撓性があること
も重要な要素である。上記PET製バルーンは、シェル
の屈曲性が悪く、カテーテルの追従性が不良であること
が臨床で指摘されているが、本発明のバルーンは、シェ
ルの柔軟性、可撓性も十分にあることから、カテーテル
の追従性が良好である。
【0027】また、本発明のバルーンは、その構成材料
の特性から、PETより耐熱性に優れるので、プラズマ
処理(コロナ処理)を行っても変形しない。従って、プ
ラズマ処理による改質により、接着性を上げることも必
要によっては自由である。特に、接着強度がPETより
改善されているため、使用時、保存時等にバルーンの剥
離を生じることがない。さらに、他の樹脂や薬剤との接
着性が優れることから、樹脂コーティングや薬剤の塗布
等の表面処理も可能であり、その持続性にも優れる。
【0028】このため、たとえば、バルーン外表面に抗
血栓性材料や抗血栓剤をコーティングすることも容易に
可能となり、長時間、優れた血液適合性を維持すること
ができる。また、その他の目的、たとえば、粘性のある
血流中での移動を円滑に行うため、または、移動の際に
血管内面の損傷を防止するための表面処理を行うことも
できる。
【0029】また、本発明のバルーンは、バルーンの構
成材料の特性から、耐熱性に優れ、吸水率が非常に小さ
いので高圧蒸気滅菌が可能である。従来のPET等の材
料は耐熱性が低く吸水性があるので、一般的な高圧蒸気
滅菌の条件である水蒸気中で121℃、1.1kg/c
2 、20分の滅菌処理後、バルーンの変形や強度低下
等を起こす。このような過酷な滅菌条件においても繰り
返しの滅菌操作に本発明のバルーンは変化および強度低
下することがない。また、本発明のバルーンは、構成材
料の特性から耐放射線性にも優れるのでγ線滅菌も可能
である。
【0030】このため溶血現象を引き起こしかねないエ
チレンオキサイドガス滅菌以外の高圧蒸気滅菌やγ線滅
菌も可能であり、血液に直接接触する血管拡張用カテー
テルのバルーンとして利用する際に好ましいものであ
る。
【0031】前記PE、PVC、N12のような脂肪族
系ポリマーは、柔軟性はあるが、計算弾性率が低く、破
裂圧力が低い。また、上記PET製バルーンは、破裂圧
力は高いが、いったん破裂すると粉々に砕け、飛散した
バルーンの破片を回収することは困難である。これに対
し、本発明のバルーンは、バルーン拡張のため10気圧
程度の圧力をかけたとしても、破裂することはなく、万
一、生体内で破裂した場合でも線状に裂けるような破裂
を起こすので、回収不能となるようなことはなく、安全
である。
【0032】本発明のバルーンカテーテルに用いられる
バルーンは、該構成材料として、寸法安定性に優れるポ
リアリーレンスルフィドを用いるか、または、このポリ
アリーレンスルフィドを一構成成分、特に主構成成分と
し、これに柔軟性(弾性)を付与する樹脂をブレンドし
たり、柔軟成分を共重合化して、変性させたポリアリー
レンスルフィド系ポリマーアロイを用いる。そして、そ
の組成比により、バルーンの計算弾性率を70〜200
kg/mm2 の範囲に調整して、所望の物性を得る。
【0033】本発明において、ポリアリーレンスルフィ
ドとは、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略
記)を代表とする含硫黄系芳香族ポリマーであり、PP
S以外にポリチオエーテルケトン、ポリチオエーテルチ
オエーテルケトン、ポリチオエーテルケトンケトン、ポ
リエーテルチオエーテル、ポリチオエーテルスルホン、
ポリビフェニレンスルフィド、ポリナフタレンスルフィ
ドなどであるが、芳香族化合物を繰り返し単位に持ち結
合基に硫黄を有することを特徴とするポリマーである。
これらのうちでも、特に、ポリフェニレンスルフィドが
好ましい。
【0034】このようなポリアリーレンスルフィドの重
合度は、50〜5000程度、特に100〜3000程
度が好ましく、平均分子量は5000〜50万程度、特
に1万〜30万程度が好ましい。結晶化度は、0〜6
0、特に5〜40が好ましい。
【0035】本発明では、このようなポリアリーレンス
ルフィドを単独で用いる他、このポリアリーレンスルフ
ィドを主構成成分とし、これに柔軟性(弾性)をバルー
ンに付与する樹脂をブレンドしたり、柔軟成分を共重合
化してポリマーアロイ化したポリアリーレンスルフィド
系アロイを用いる。なお、前記ポリマーアロイとは、ポ
リマーブレンド、グラフト共重合、ブロック共重合(ミ
クロ相分離構造)およびランダム共重合を含む概念であ
る。また、ポリマーアロイ化するに際しては、必要に応
じ、アロイ化剤、相溶化剤あるいは安定化剤等を使用し
てもよい。
【0036】ポリマーブレンドによるポリアリーレンス
ルフィドの改質としては、たとえば、変性ポリオレフィ
ン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレ
ンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド
等の各種熱可塑性樹脂等が挙げられ、これらのうち1種
または2種以上を用いることができる。また、ポリアリ
ーレンスルフィド同士のブレンドも用いることができ
る。これらのうち、入手しやすさや加工性が良好である
等の理由から、PPS系ポリマーブレンドが好ましい。
さらに、柔軟性の改善および接着性の改善という意味か
ら高分子量のリニア型PPSとポリスチレンのポリマー
ブレンドが特に好ましい。
【0037】このような柔軟性を付与する樹脂の配合量
は、50重量%以下、特に0〜40重量%とするのが好
ましい。50重量%を越えると、バルーンの弾性率およ
び強度が低くなりすぎ、十分な寸法安定性が得られなく
なることがある。
【0038】共重合によるポリアリーレンスルフィドの
改質としては、たとえば、ポリアリーレンスルフィド同
士のランダム共重合またはブロック共重合による結晶性
の低下やエラストマー成分のブロック共重合等が挙げら
れるが、重合体の入手しやすさや加工性の良さから、メ
タ成分の組成をランダム共重合またはブロック共重合し
たPPSが好ましく、メタ成分の組成は50%未満であ
ることが望ましい。特に、メタ成分の含有量は0〜30
重量%とするのが好ましい。PPSの結晶性を低下させ
弾性率を低く抑え、しかも寸法安定性を維持するために
は、結晶性が残っていることが望ましい。メタ成分の含
有量が50重量%を越えると、ランダム共重合では非晶
性となり、二軸延伸によるバルーンの成形が難しくな
る。
【0039】本発明のバルーンは、たとえば、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンのような樹脂材料で構成されるバ
ルーンカテーテルに対し、所定の加熱手段により融着さ
れるか、またはエポキシ樹脂、シアノアクリレート系接
着剤のような接着剤(溶剤)を用いて接着されるが、上
記バルーンの構成材料の性質上、耐熱性に優れるので、
コロナ処理を行ってもバルーンが変形しない。したがっ
て、バルーンカテーテルとの接着性(密着性)を良くす
ることが可能であり、特に、接着強度を高めることがで
きる。したがって、構造上有利であり、使用時、保存時
にバルーンの剥離を生じることがなく安全である。
【0040】本発明のバルーンは、上記ポリアリーレン
スルフィドまたはこれを主成分とするポリアリーレンス
ルフィド系ポリマーアロイを成形、好ましくは二軸延伸
配向して得られる。
【0041】その1例を挙げると、まず、上記ポリアリ
ーレンスルフィドまたはこれを主成分とするポリアリー
レンスルフィド系アロイによるチューブ(管状体)を作
成し、このチューブをチューブ軸方向にたとえば引っ張
りまたは引く抜きにより延伸する。なお、この延伸は、
たとえば45〜150℃の加熱下で行うのが好ましい。
【0042】この場合、延伸後のチューブの長さは、延
伸前の1.5〜5倍程度とするのが好ましい。
【0043】次に、チューブの長手方向中央部付近に、
バルーンの拡張状態の形状の凹部(キャビティー)を有
する金型を被嵌し、たとえば45〜150℃で加熱しつ
つ、チューブ内を加圧して、加熱部分のチューブを半径
方向に膨脹させる。この場合、膨脹後のチューブ半径
は、膨脹前の2〜8倍程度とするのが好ましい。このよ
うにして得られるバルーンは、その厚みが5〜50μ
m、好ましくは5〜30μmである。
【0044】上記加熱−加圧状態で一定時間(たとえば
1秒〜5分)経過後、チューブ内の加圧状態を保持した
まま、常温付近まで冷却する。これにより、チューブは
半径方向への延伸がなされ、所望のバルーン形状に成形
される。なお、バルーンの歪み除去のために、加熱−冷
却は、複数回繰り返し行ってもよい。
【0045】常温付近まで冷却した後、チューブ内の加
圧状態を解除し、金型を除去し、チューブの不要部分を
切断除去して本発明のバルーンを得る。
【0046】また、本発明のバルーンは、上記ポリアリ
ーレンスルフィドおよび/またはこれを主成分とするポ
リアリーレンスルフィド系ポリマーアロイとオレフィン
との多層押出成形によりチューブ(管状体)を作成し、
このチューブを上記と同様に二軸延伸してバルーンを得
る。
【0047】ここで用いられる上記オレフィンとして
は、医療用途に用いられてきたポリオレフィンであれ
ば、ほとんど使用することができ、例えば、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、変性ポリエチレンまた
は変性ポリプロピレンなどの変性ポリオレフィン、オレ
フィン系エラストマーなどを用いることが望ましい。
【0048】さらに上記ポリアリーレンスルフィドおよ
び/またはこれを主成分とするポリアリーレンスルフィ
ド系ポリマーアロイとオレフィンとの多層押出成形によ
り作成されるチューブ(管状体)を二軸延伸して得られ
るバルーンは、2成分不均一物であるので厳密にPAS
層および/またはPAS系ポリマーアロイ層とオレフィ
ン層との区別はできない。図3に本発明に用いられるバ
ルーンカテーテル用のバルーンの一実施態様として、P
AS、PAS系ポリマーアロイ(PAS/オレフィンの
1:1(重量比)ブレンド)およびオレフィンの多層押
出成形により作成されるチューブを二軸延伸して得られ
るバルーンの断面概略拡大図を示す。図3より、バルー
ン21の断面構造は、内層のPAS層22、中間層のP
ASとオレフィンのブレンド層23および外層のオレフ
ィン層24よりなる3層構造であるが、それぞれPAS
層22とブレンド層23、およびブレンド層23とオレ
フィン層24の境界は明確ではなく、各層ごとに剥がし
て分離することはできない程度に一体化している。また
図3に示す構成における各層の好ましい厚みは、PAS
層22で5〜7μm、ブレンド層23で1〜2μm、オ
レフィン層24で5〜7μmで、全体のバルーン21の
厚みを11〜16μmの範囲とすることが望ましいもの
である。
【0049】以上のようにして成形された本発明のバル
ーンは、その計算弾性率が70〜200kg/mm2
ある。
【0050】計算弾性率が70kg/mm2 未満である
と、バルーンの強度が低くなり、寸法安定性が劣り、2
00kg/mm2 を越えると、柔軟性に乏しくなり、カ
テーテルの追従性が悪くなり、また、かどばりを生じ易
く、そのためにガイドカテーテルとの摩擦でバルーンが
傷付き易くなる。
【0051】ここでいう計算弾性率Eは、下記数式1に
示される膜の計算引張強度Sc(膜方程式の半径方向の
引張強度)から求められる。実際には、バルーンの水中
における引張強度および弾性率を計算により求める。
【0052】
【数1】
【0053】計算弾性率Eは、上記強度(応力)Scに
対する歪み(バルーンの膨脹率)をプロットし、フック
の法則が成り立つ直線部の傾きで定義される。すなわ
ち、バルーンの初期弾性率であり、下記数式2で示され
る。
【0054】
【数2】
【0055】なお、本発明におけるバルーンの膜厚は特
に限定されるものでないが、5〜30μm程度が好まし
い。
【0056】従来の強度および寸法安定性に優れるPE
T製バルーンの計算弾性率は200〜250kg/mm
2 程度あり、硬いバルーンであった。本発明では、ポリ
アリーレンスルフィドまたはこれを主成分とするポリア
リーレンスルフィド系アロイを用いることにより、計算
弾性率を70〜200kg/mm2 とし、これにより寸
法安定性に優れ、かつ、柔軟でしなやかなバルーンを得
ることが可能となる。
【0057】なお、PET製バルーンにおいても、延伸
倍率を低下させれば、弾性率を制御させることは可能で
あるが、その場合、計算弾性率を求める耐圧試験におい
て、プロットされた応力−歪み曲線に降伏点が観測され
るようになり、寸法安定性および強度が降伏点を境に著
しく低下する。降伏点を越える加圧はバルーンの拡張後
はもはや元の形状、大きさに復帰することはできず、バ
ルーンの回収が困難となる。したがって、実際に使用で
きるバルーンの拡張圧力は大幅に制限される。
【0058】これに対し、本発明のバルーンは、寸法安
定性および強度を十分に維持しつつ、柔軟でしなやかな
バルーンが得られ、そのため、該バルーンを血管拡張用
カテーテルに用いる場合、該カテーテルを血管内に挿入
する際等に、血管内面の損傷を防止することができる。
【0059】また、本発明のバルーンは、構成材料の持
つ特質から、ガラス転移温度が高く、さらに、結晶性で
あり耐熱性に優れること、吸水率が非常に小さく、耐薬
品性に優れ不活性であることなどから、たとえば、高圧
水蒸気による滅菌やγ線による滅菌が可能であり、エチ
レンオキサイドガスによる滅菌をしなくてもすみ、血液
に直接ふれる血管拡張用カテーテルに用いるバルーンと
して、エチレンオキサイドガス残留による溶血現象の心
配がなく好ましい。さらには、エチレンオキサイドガス
除去のため長時間を要する工程が省略でき有利である。
【0060】また、本発明のバルーンの破裂圧力は、1
0kg/cm2 以上であるのが好ましく、13〜20k
g/cm2 であるのがより好ましい。通常の使用におい
て、バルーンを拡張させるための圧力は7〜8気圧程度
であるが、バルーンの破裂圧力が10kg/cm2 以上
であればこの範囲はもとより、さらに高い圧力をかけた
場合でも、バルーンの破裂圧力を防止することができ
る。また、高い加圧を必要とするタイトリジッドステノ
シスへの応用も可能となる。
【0061】以上、述べたように本発明に用いられるバ
ルーンカテーテルに用いられるバルーンは、血管拡張用
カテーテルに用いるバルーンだけに限定されるものでな
く、種々の体腔の中への挿入を含む多くの医療的用途に
用いられるバルーンカテーテルに用いられるバルーンと
して有用なものである。
【0062】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0063】実施例1 ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記)とし
て、超高分子量のリニア型ポリ−p−フェニレンスルフ
ィド(以下、PPSと略記)を用いた。該PPSとして
は東レピーピーエス株式会社(旧東レ・フィリップスペ
トローリアム株式会社)製のグレードE0780,MF
R=7[g/10min](316℃),融点280℃
を用いた。このPPSを内径0.5mm、外径0.85
mmのチューブ状に押し出して成形した。このチューブ
を105℃の雰囲気中でチューブ軸方向に2.5倍に延
伸した後、テーパー部および内径3mmの円筒形キャビ
ティーを有する金属製円筒管に挿入した。
【0064】前記円筒管を105℃に昇温後チューブ両
端から、窒素ガスにて、チューブ内に12kg/cm2
の圧力をかけ、15秒間加圧し、ついで、加圧を保持し
たまま1分間かけて冷却した。
【0065】この後、加圧を保持したままで、再び筒管
を125℃に昇温し、20秒間のヒートセットを行い、
その後、1分30秒間かけて室温まで冷却した。
【0066】圧力を緩め、二軸延伸配向されたバルーン
を円筒管から取りだし、不要部分を切断除去して本発明
のバルーンを得た。このバルーンの拡張部の外径は3m
m、膜厚は14.3μmであった。
【0067】実施例2 PPSとして、東レピーピーエス株式会社(旧東レ・フ
ィリップスペトローリアム株式会社)製のグレードM2
088,MFR=94[g/10min](316
℃),融点280℃を用いた。このPPSを内径0.5
mm、外径0.90mmのチューブ状方向し出して成形
した。このチューブを105℃の雰囲気中でチューブ軸
方向に3倍に延伸した後、テーパー部および内径3mm
の円筒形キャビティーを有する金属製円筒管に挿入し
た。以下、実施例1と同様にして、拡張部の外径3m
m、膜厚15.0μmのバルーンを得た。
【0068】実施例3 PAS系アロイとして、呉羽化学工業株式会社製のPP
S系ポリマーブレンドのグレードT−300を用いて、
実施例2と同様にして、拡張部の外径3mm、膜厚1
4.5μmのバルーンを得た。
【0069】実施例4 PAS系アロイとして、10%メタ変性したPPS(以
下、M10PPSと略記)をつぎの方法で合成した。す
なわち、オトクレーブをかき混ぜながら硫化ナトリウム
63.6g(0.5モル)、N−メチル−2−ピロリド
ン123.3gおよび酢酸リチウム二水和物51.0g
(0.5モル)を仕込んだ。2時間5分の加熱によって
反応混合物を製造し、かつ脱水した。脱水では水27.
8gを含有する留出液31mlを生じた。反応混合物が
温度205℃になっている時に1,4−ジクロルベンゼ
ン74.95gを仕込み、かつ4.9ないし7.0kg
/cm2 ゲージ圧(75ないし100psi)の範囲内
の圧力で245℃に3時間保った後、反応器を冷却して
室温にし、暗灰色の生成物を得た。生成物を水1リット
ルで8回洗浄し、かつ、80℃における真空炉中におい
て乾燥して合成して得た。
【0070】こうして得られたランダム共重合PPSは
パラフェニレンスルフィド成分を90%、メタフェニレ
ンスルフィド成分を10%含み、融点は253℃、MF
R=15[g/10min](280℃)であった。
【0071】上記、M10PPSを用いて、実施例2と
同様にして、拡張部の外径3mm、膜厚15.3μmの
バルーンを得た。
【0072】実施例5 PASとして、PPSを用いた。該PPSとしては東レ
ピーピーエス株式会社(旧東レ・フィリップスペトロー
リアム株式会社)製のグレードE1880,MFR=7
0[g/10min,316℃],融点280℃を用い
た。
【0073】また、ポリオレフンとして、変性ポリオレ
フィン(以下、MPPと略記)を用いた。該MPPとし
ては、三菱油化株式会社から高接着性ポリオレフィン樹
脂として市販されているモデイックのうちポリプロピレ
ンベースのグレードP−310Hを用いた。
【0074】次に、3台の押出機を用い元チューブを通
常の方法で押出成形した。押出成形は、内層用にPPS
ペレットを用い、中間層用にPPS/MPP=1:1
(重量比)のハンドブレンドペレット、外層用にMPP
ペレットを用いた。得られた元チューブは、内径0.4
8mm、外径0.91mmであった。該元チューブの断
面を調べたが、PPS層とMPP層の境界は明確ではな
く、PPS層とMPP層を剥して分離することはできな
かった。
【0075】上記元チューブを105℃の雰囲気温度で
チューブ軸方向に3倍に延伸した後、テーパー部および
内径2.5mmの円筒形キャビティーを有する金属製円
筒管に挿入した。
【0076】前記円筒管を105℃に昇温後チューブ両
端から、窒素ガスにてチューブ内に12kg/cm2
圧力をかけ、15秒間加圧し、ついで加圧を保持したま
ま1分30秒間かけて冷却した。冷却時の温度は25℃
であった。
【0077】この後、加圧を保持したままで、再び筒管
を150℃に昇温し、温度が150℃に到達直後、1分
50秒間かけて室温まで冷却した。
【0078】圧力を緩め、延伸、熱固定されたバルーン
を円筒管より取りだし、不要部分を切断除去して本発明
のバルーンを得た。このバルーンの1kg/cm2 加圧
時の拡張部の外径は2.29mm、膜厚は16.3μm
であった。また、このバルーンのPPS層とMPP層は
区別することはできず、また剥離することもできなかっ
た。
【0079】比較例1 市販のPET製バルーン(拡張部の外径3mm、膜厚1
0μm)を用意した。
【0080】比較例2 市販のナイロン12製バルーン(拡張部の外径3mm、
膜厚8μm)を用意した。
【0081】実験 図1は、市販の三重管型血管拡張用カテーテルにバルー
ン取り付けて実験を行った際の構成を示す概略図であ
る。また図2は、図1の血管拡張用カテーテルにバルー
ンを取り付けた先端側の構成を示す断面拡大図である。
【0082】図1に示すように、三重管型血管拡張用カ
テーテル1の該チューブ2の先端の外周部に上記実施例
1〜5、比較例1〜2で得られた各バルーン3を熱融着
によって取り付けた。続いて該カテーテル1に取り付け
られた三方アダプター4のインジェクションポート5に
接続されている圧力計付きインジエクター6より蒸留水
を注入しバルーン3内を蒸留水で満した。この場合図2
に示すように三重管型血管拡張用カテーテルチューブ2
は、先端の開放された第1流路Aを形成する内管7、該
内管7を囲繞して該内管7との間に第2流路Bを形成す
る中管8、および該中管8を囲繞して該中管8との間に
第3流路Cを形成する外管9から構成されており、該三
重管型カテーテルチューブ2の外周に該カテーテルチュ
ーブ2と同軸的な筒状部分を有してバルーン3が必ず第
2流路Bおよび第3流路Cのそれぞれの開口部を内包
し、第2流路Bおよび第3流路Cに連通する閉鎖空間D
を形成するように、バルーン3の一方の端部10を外管
9の側孔11よりも基端側において外管9の外周に熱融
着により固着され、バルーン3の他方の端部12を中管
8の側孔13よりも先端側において内管7の外周に熱融
着により固着され取付けられている(なお、実際に血管
拡張用カテーテルとして使用する場合、第1流路Aは血
液流路およびガイドワイヤー13(図1に示す)の通路
として、第2流路Bは残留空気排出流路として、また第
3流路Cは造影剤等の充填流路として作用する。また、
三重管型カテーテルチューブ2の基端は、先の図1に示
す三方アダプター4が取り付けら、該三方アダプター4
の有する3つのポートは、それぞれ三重管型カテーテル
チューブ2の構成する3つの流路と連通しており、三方
アダプター4のガイドワイヤーポート14は第1流路A
と、ベントポート15は第2流路Bと、またインジェク
ションポート5は第3流路Cとそれぞれ連通してい
る)。したがって、インジェクションポート5に接続さ
れている圧力計付きインジエクター6より蒸留水を注入
することで三重管型カテーテルチューブ2の第3流路C
を通じてバルーン3内に蒸留水を注入し、他方の第2流
路Bの三方アダプター4のベントポート15の栓子(図
示せず)を閉じた状態として、バルーン3の閉鎖空間D
に対し1分間に1kg/cm2 の割合で徐々に加圧する
ことにより、バルーンの閉鎖空間Dへの圧力と各バルー
ンの直径の変形量を記録する破裂試験を行った。
【0083】この破裂試験により、バルーンの破裂圧力
および最大膨脹率を求めるとともに、試験で得られたデ
ータおよびバルーンの肉厚および初期直径に基づき、前
記数式1および数式2の式から、計算引張強度および計
算弾性率を求めた。その結果を下記表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】表1に示すように、本発明の実施例1〜5
で得られたバルーンでは、いずれも、計算弾性率が70
〜200kg/mm2 の範囲であり、破裂圧力も10k
g/cm2 以上と高く、十分な寸法安定性および柔軟性
を有していることが確認された。
【0086】さらに本発明の実施例5で得られたバルー
ンは、ポリオレフィンの柔軟な触感をあたえ、バルーン
は非常に柔軟であるにもかかわらず、優れた耐圧、寸法
安定性を有していた。
【0087】これに対し、比較例1で得られたバルーン
では、計算弾性率が232kg/mm2 と高く、種々の
PET製バルーンのサンプルを測定した結果では計算弾
性率は200〜250kg/mm2 の範囲であった。こ
のように高い弾性率をもつためPET製バルーンは柔軟
性に乏しくなる。
【0088】そこで、弾性率を低下させるため、延伸倍
率を下げたサンプルを作成した。すなわち、PET製の
チューブを用い、延伸温度85℃で、チューブ軸方向の
延伸倍率を2.67倍とした以外は実施例1と同様にし
て、拡張部の外径3mm、15.5μmのバルーンを得
た。
【0089】このバルーンを前記と同様の破裂試験に供
した結果、計算引張強度は16.8kg/mm2 、計算
弾性率は130kg/mm2 であった。また、このとき
の破裂圧力は18.2kg/cm2 、最大膨脹率は2
2.5%であった。
【0090】しかしながら、応力−歪み曲線において降
伏点が顕著に現れ、これを圧力とバルーンの直径の相関
(バルーンのコンプライアンス)で見ると、ある圧力
(10kg/cm2 )を境に急激にバルーンの寸法変化
が起こっていた。すなわち、降伏点以後、バルーンに塑
性変形が起き急激にバルーンが膨脹した。実際、このバ
ルーンは、減圧後、元のサイズに復帰しなかった。
【0091】このように、延伸倍率等の調整で単に弾性
率を下げても、降伏点が現れることから望ましいバルー
ンとは言えないし、実際に使用しうる圧力は降伏点より
低い圧力とならざるを得ない。また、生体内でこのよう
な塑性変形を起こしたバルーンは回収時元のシェルサイ
ズに復帰しないばかりか、フラップ状につぶれ易くなっ
てガイドカテーテルの通過が困難となり回収しにくくな
るため好ましくない。
【0092】また、比較例2で得られたバルーンでは、
計算弾性率は43.9kg/mm2と低く、破裂圧力も
9.0kg/cm2 と低いものになっている。通常の使
用においても、バルーンを拡張させるための圧力は7〜
8気圧程度であるが、術者によっては、10気圧以上の
加圧を行う例もあり、したがって、破裂圧力は10kg
/cm2 未満では、強度的に不足である。
【0093】なお、バルーンの破裂時の形状は、本発明
の実施例1〜5で得られたバルーンでは、バルーン軸方
向に裂け目が生じた状態であり、バルーンを容易に回収
できたが、弾性率の高いPET製バルーンの中には、破
片が飛ぶものもあり、飛散したバルーンの破片の回収が
困難なものもあった。
【0094】生体内でこのような回収不能な破裂が生じ
た場合、冠状動脈や末梢血管を詰まらせる原因となり非
常に危険である。本発明のバルーンは、線状に裂けるよ
うな破裂を起こすので、万一、生体内で破裂した場合で
も、回収不能となるようなことはない。
【0095】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のバルーンカ
テーテルに用いられるバルーンは、寸法安定性に優れ、
かつ柔軟でしなやかなバルーンが得られる。その結果、
目的病変部へのカテーテルの追従性が向上し、カテーテ
ル挿入時における血管内面の損傷も防止される。
【0096】また、本発明のバルーンは、カテーテルと
の接着性が優れており、構造上有利であり、バルーンの
剥離を生じることもない。
【0097】また、本発明のバルーンは、バルーン外表
面に抗血栓性材料や抗血栓剤をコーティングする等の表
面処理も容易に可能である。
【0098】また、本発明のバルーンは、破裂圧力が高
く、低弾性率のため耐衝撃性も高いので、高い圧力や急
激なバルーン拡張にも耐え得る安全性を有している。
【0099】また、本発明のバルーンは、その構成材料
が本質的に耐熱性、耐薬品性があり、低吸水率であるた
め高圧水蒸気滅菌やγ線滅菌等の滅菌が可能であり、安
全性および作業性の効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において三重管型血管拡張用カ
テーテルにバルーン取り付けて実験を行った際の構成を
示す概略図である。
【図2】図1の血管拡張用カテーテルにバルーンを取り
付けた先端側の構成を示す断面拡大図である。
【図3】本発明に用いられるバルーンカテーテル用のバ
ルーンの一実施態様として、PAS、PAS系ポリマー
アロイ(PAS/オレフィンの1:1(重量比)ブレン
ド)およびオレフィンの多層押出成形により作成される
チューブを二軸延伸して得られるバルーンの断面概略拡
大図である。
【符号の説明】
1…三重管型血管拡張用カテーテル 2…三重管型血管拡張用カテーテルチューブ 3、21…バルーン 4…三方アダプ
ター 5…インジェクションポート 6…圧力計付き
インジエクター 7…内管 8…中管 9…外管 10、12…バル
ーンのの端部 11…外管の側孔 13…中管の側
孔 14…ガイドワイヤーポート 15…ベントポ
ート 22…PAS層 23…ブレンド
層 24…オレフィン層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−95996(JP,A) 特表 平2−501268(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 29/00 - 29/18 A61M 25/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−p−フェニレンスルフィドの単独
    重合体またはパラフェニレンスルフィド成分を主成分と
    する共重合体を成形して得られるバルーンカテーテル用
    のバルーン。
  2. 【請求項2】 前記ポリ−p−フェニレンスルフィド
    単独重合体またはパラフェニレンスルフィド成分を主成
    分とする共重合体とオレフィンとを多層押出成形して得
    られる請求項1に記載のバルーンカテーテル用のバルー
    ン。
  3. 【請求項3】 ポリ−p−フェニレンスルフィドまたは
    パラフェニレンスルフィド成分とメタフェニレンスルフ
    ィド成分とを含むランダム共重合体を成形して得られる
    請求項1に記載のバルーンカテーテル用のバルーン。
  4. 【請求項4】 前記ポリ−p−フェニレンスルフィドま
    たはパラフェニレンスルフィド成分とメタフェニレンス
    ルフィド成分とを含むランダム共重合体とオレフィンと
    を多層押出成形して得られる請求項3に記載のバルーン
    カテーテル用のバルーン。
  5. 【請求項5】 前記ポリ−p−フェニレンスルフィド
    が、高分子量のポリ−p−フェニレンスルフィドである
    請求項1〜4のいずれかに記載のバルーンカテーテル用
    のバルーン。
  6. 【請求項6】 計算弾性率が70〜200kg/mm 2
    である請求項1〜のいずれかに記載のバルーンカテー
    テル用のバルーン。
  7. 【請求項7】 破壊圧力が10kg/cm 2 以上である
    請求項1〜のいずれかに記載のバルーンカテーテル用
    のバルーン。
  8. 【請求項8】 ポリ−p−フェニレンスルフィドの単独
    重合体またはパラフェニレンスルフィド成分を主成分と
    する共重合体の成形は、二軸延伸配向により行われる請
    求項1〜のいずれかに記載のバルーンカテーテル用の
    バルーン。
  9. 【請求項9】 請求項1〜のいすれかに記載のバルー
    ンを備えたカテーテル。
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