JP3269923B2 - 4輪駆動車両の変速アーム操作構造 - Google Patents

4輪駆動車両の変速アーム操作構造

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JP3269923B2
JP3269923B2 JP24905794A JP24905794A JP3269923B2 JP 3269923 B2 JP3269923 B2 JP 3269923B2 JP 24905794 A JP24905794 A JP 24905794A JP 24905794 A JP24905794 A JP 24905794A JP 3269923 B2 JP3269923 B2 JP 3269923B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体前部に搭載したエ
ンジンによって前輪及び後輪を駆動する4輪駆動車両に
関し、特にそのトランスミッションに設けた変速操作ア
ームを車室内に設けたセレクトレバーで操作する変速ア
ーム操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】フロントディファレンシャルギヤからリ
ヤディファレンシャルギヤに駆動力を伝達するトランス
ファーを有する4輪駆動車両として、特開昭61−92
335号公報に記載されたものが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、トランスミ
ッションの油圧制御装置に設けたマニュアルバルブを車
室内に設けたセレクトレバーの操作に応じて作動させる
べく、マニュアルバルブに連なる変速アームとセレクト
レバーとがプッシュプルケーブル等の伝達部材によって
接続される。このとき、前記4輪駆動車両では伝達部材
がトランスファーケースの下面を通るため、伝達部材と
トランスファーケースとの干渉を避けようとすると、伝
達部材の位置が下がって地上高を充分に確保できなくな
る問題がある。このような問題を回避すべく、トランス
ファーケースの下面を迂回するように伝達部材を配置す
ると、複雑なリンク機構が必要となって部品点数が増加
する問題がある。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、伝達部材とトランスファーケースとの干渉を簡単な
構造で回避することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明は、車体前部に搭載した
エンジンにトランスミッションを介してフロントディフ
ァレンシャルギヤを接続するとともに、フロントディフ
ァレンシャルギヤをトランスファー及びプロペラシャフ
トを介してリヤディファレンシャルギヤに接続し、車室
内に設けたセレクトレバーの操作をトランスミッション
に設けた変速アームに伝達する伝達部材を、トランスフ
ァーのトランスファーケースの下部を通して車体前後方
向に配置してなる4輪駆動車両の変速アーム操作構造で
あって、フロントディファレンシャルギヤのディファレ
ンシャルケースに設けたトランスファードライブギヤに
噛合するトランスファードリブンギヤを有するトランス
ファー入力軸を、トランスファーケースに第1ベアリン
グ及び第2ベアリングを介して車体左右方向に支持し、
第1、第2ベアリング間においてトランスファーケース
の下面に、該下面をトランスファー入力軸に近接する位
置まで上向きに凹ませて凹部を形成し、この凹部に前記
伝達部材を配置し、トランスファーケースの内部に車体
前後方向に支持されるトランスファー出力軸はその前端
に、トランスファー入力軸に固定される第1トランスフ
ァーベベルギヤと噛合する第2トランスファーベベルギ
ヤを備え、この第2トランスファーベベルギヤとトラン
スファードリブンギヤとの間に第1、第2ベアリングが
あることを特徴とする。
【0006】また請求項2に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、トランスファーケースに突設した支
持部に前記凹部を形成し、支持部を嵌合させるべくフロ
ントディファレンシャルギヤのケーシングに形成した支
持孔に前記凹部に対応する切欠きを形成したことを特徴
とする。
【0007】
【作用】請求項1の構成によれば、トランスファー出力
軸前端の第2トランスファーベベルギヤとトランスファ
ードリブンギヤとの間にあってトランスファー入力軸を
支持する第1、第2ベアリング間においてトランスフ
ァーケース下面には、その下面をトランスファー入力軸
に近接する位置まで上向きに凹ませて凹部を形成し、こ
凹部に伝達部材を配置したので、複雑なリンク機構を
用いずに伝達部材を高い位置に配置して地上高を充分に
確保することができる。
【0008】請求項2の構成によれば、支持孔に支持部
を嵌合させることによりフロントディファレンシャルギ
ヤのケーシングとトランスファーケースとを精密に結合
しながら、フロントディファレンシャルギヤのケーシン
グに形成した切欠きを通してトランスファーケースの凹
部を露出させ、その凹部内に伝達部材を配置することが
できる。また、4輪駆動車両からトランスファー、プロ
ペラシャフト及びリヤディファレンシャルギヤを取り外
して2輪駆動車両を構成する場合、4輪駆動車両と2輪
駆動車両とで伝達部材の取り回しが同一になり、製造コ
ストの削減を図ることができる。
【0009】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。
【0010】図1〜図8は本発明の一実施例を示すもの
で、図1は4輪駆動車両の動力伝達系の概略図、図2は
伝動装置のスケルトン図、図3は伝動装置の一部破断平
面図、図4は図3の要部拡大図、図5は図4の5方向矢
視図、図6は図4の6−6線断面図、図7は図6の7−
7線断面図、図8は図6の8方向矢視図である。
【0011】図1に示すように、エンジンEはクランク
シャフト1が車体左右方向を向くように横置きに搭載さ
れる。エンジンEの駆動力を左右の前輪WFL,WFR及び
左右の後輪WRL,WRRに伝達する伝動装置は、クランク
シャフト1に接続されたトルクコンバータ2と、トルク
コンバータ2に接続されたトランスミッション3と、ト
ランスミッション3に接続されたフロントディファレン
シャルギヤ4と、フロントディファレンシャルギヤ4に
接続されたトランスファー5と、トランスファー5に接
続されたリヤディファレンシャルギヤ6とから構成され
る。
【0012】フロントディファレンシャルギヤ4は、前
部左車軸7L 及び前部右車軸7R を介して左右の前輪W
FL,WFRに接続される。トランスファー5にプロペラシ
ャフト8を介して接続されたリヤディファレンシャルギ
ヤ6は、後部左車軸9L 及び後部右車軸9R を介して左
右の後輪WRL,WRRに接続される。
【0013】図3から明らかなように、エンジンEのク
ランクケース11の右側面に、トルクコンバータケース
12、ミッションケース13及びミッションケースカバ
ー14が順次結合されるとともに、トルクコンバータケ
ース12の後部左側面にトランスファーケース15が結
合される。トランスファーケース15は前部カバー16
及び側部カバー17を備えており、前部カバー16はト
ランスファーケース15の前面の開口部を覆うととも
に、側部カバー17はトランスファーケース15の左側
面の開口部を覆う。
【0014】次に、図2及び図3を参照してトランスミ
ッション3の構造を説明する。
【0015】ミッションケース13の内部に収納された
トランスミッション3は、相互に平行に配置されて車体
左右方向に延びるメインシャフトMS、セカンダリシャ
フトSS及びカウンタシャフトCSを備える。
【0016】メインシャフトMSには、メインドライブ
ギヤ21が固設されるとともに、3速クラッチC3 によ
りメインシャフトMSに結合可能なメイン3速ギヤ22
と、一体に形成されて4速−リバースクラッチC4Rによ
りメインシャフトMSに結合可能なメイン4速ギヤ23
及びメインリバースギヤ24とが回転自在に支持され
る。
【0017】セカンダリシャフトSSには、セカンダリ
ドリブンギヤ25が固設されるとともに、1速クラッチ
1 によりセカンダリシャフトSSに結合可能なセカン
ダリ1速ギヤ26と、2速クラッチC2 によりセカンダ
リシャフトSSに結合可能なセカンダリ2速ギヤ27と
が回転自在に支持される。
【0018】カウンタシャフトCSには、カウンタ2速
ギヤ28とカウンタ3速ギヤ29とファイナルドライブ
ギヤ30とが固設されるとともに、カウンタアイドルギ
ヤ31とカウンタ4速ギヤ32とカウンタリバースギヤ
33とが回転自在に支持され、更に1速ホールドクラッ
チCLHを介してカウンタシャフトCSに結合可能なカウ
ンタ1速ギヤ34が回転自在に支持される。メインリバ
ースギヤ24とカウンタリバースギヤ33とに、リバー
スアイドルギヤ35が噛合する。カウンタ1速ギヤ34
は一方向クラッチCOWを介してカウンタ3速ギヤ29に
結合可能であり、またカウンタ4速ギヤ32及びカウン
タリバースギヤ33はセレクタ36を介してカウンタシ
ャフトCSに選択的に結合可能である。
【0019】メインドライブギヤ21はカウンタアイド
ルギヤ31に噛合し、カウンタアイドルギヤ31はセカ
ンダリドリブンギヤ25に噛合しており、エンジンEの
クランクシャフト1の回転はトルクコンバータ2、メイ
ンシャフトMS、メインドライブギヤ21、カウンタア
イドルギヤ31及びセカンダリドリブンギヤ25を介し
てセカンダリシャフトSSに伝達される。
【0020】従って、セカンダリシャフトSSに回転自
在に支持したセカンダリ1速ギヤ26を1速クラッチC
1 でセカンダリシャフトSSに結合すると、セカンダリ
シャフトSSの回転が1速クラッチC1 、セカンダリ1
速ギヤ26、一方向クラッチCOW及びカウンタ3速ギヤ
29を介してカウンタシャフトCSに伝達され、1速変
速段が確立する。尚、1速クラッチC1 は2速〜4速変
速段の確立時にも係合状態に保持されるが、2速〜4速
変速段の確立時には一方向クラッチCOWがスリップす
る。
【0021】セカンダリシャフトSSに回転自在に支持
したセカンダリ2速ギヤ27を2速クラッチC2 でセカ
ンダリシャフトSSに結合すると、セカンダリシャフト
SSの回転が2速クラッチC2 、セカンダリ2速ギヤ2
7及びカウンタ2速ギヤ28にを介してカウンタシャフ
トCSに伝達され、2速変速段が確立する。
【0022】メインシャフトMSに回転自在に支持した
メイン3速ギヤ22を3速クラッチC3 でメインシャフ
トMSに結合すると、メインシャフトMSの回転が3速
クラッチC3 、メイン3速ギヤ22及びカウンタ3速ギ
ヤ29を介してカウンタシャフトCSに伝達され、3速
変速段が確立する。
【0023】カウンタシャフトCSに相対回転自在に支
持したカウンタ4速ギヤ32をセレクタ36でカウンタ
シャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMSに
回転自在に支持したメイン4速ギヤ23を4速−リバー
スクラッチC4RでメインシャフトMSに結合すると、メ
インシャフトMSの回転が4速−リバースクラッチ
4R、メイン4速ギヤ23、カウンタ4速ギヤ32及び
セレクタ36を介してカウンタシャフトCSに伝達さ
れ、4速変速段が確立する。
【0024】カウンタシャフトCSに回転自在に支持し
たカウンタリバースギヤ33をセレクタ36でカウンタ
シャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMSに
相対回転自在に支持したメインリバースギヤ24を4速
−リバースクラッチC4RでメインシャフトMSに結合す
ると、メインシャフトMSの回転が4速−リバースクラ
ッチC4R、メインリバースギヤ24、リバースアイドル
ギヤ35、カウンタリバースギヤ33及びセレクタ36
を介してカウンタシャフトCSに伝達され、後進変速段
が確立する。
【0025】1速クラッチC1 を係合させた状態で1速
ホールドクラッチCLHを係合させると、1速ホールド変
速段が確立する。強力なエンジンブレーキが必要なとき
に1速ホールド変速段を確立すれば、一方向クラッチC
OWがスリップしても、1速ホールドクラッチCLHを介し
て後輪WRL,WRRのトルクをエンジンEに逆伝達するこ
とができる。
【0026】次に、図2〜図4を併せて参照しながらフ
ロントディファレンシャルギヤ4の構造を説明する。
【0027】トルクコンバータケース12及びミッショ
ンケース13の後部に収納されるフロントディファレン
シャルギヤ4は、トルクコンバータケース12に設けた
テーパローラベアリング41及びミッションケース13
に設けたテーパローラベアリング42により回転自在に
支持されたディファレンシャルケース43を備える。デ
ィファレンシャルケース43の外周には、カウンタシャ
フトCSに設けたファイナルドライブギヤ30に噛合す
るファイナルドリブンギヤ44と、トランスファー5に
動力を伝達するトランスファードライブギヤ45とが、
複数本のボルト46…によって共締めされる。
【0028】而して、トランスミッション3のカウンタ
シャフトCSの回転は、ファイナルドライブギヤ30及
びファイナルドリブンギヤ44を介してディファレンシ
ャルケース43に伝達され、ディファレンシャルケース
43の回転は左右の前輪WFL,WFRの負荷に応じて前部
左車軸7L 及び前部右車軸7R に伝達される。
【0029】前部左車軸7L に連なる前部左出力軸47
L と、前部右車軸7R に連なる前部右出力軸47R とが
ディファレンシャルケース43に相対回転自在に嵌合
し、両出力軸47L ,47R の対向端にそれぞれディフ
ァレンシャルサイドギヤ48,48がスプライン結合さ
れる。前記両出力軸47L ,47R と直交するようにデ
ィファレンシャルケース43の内部にスプリングピン4
9で固定されたピニオンシャフト50に、前記両ディフ
ァレンシャルサイドギヤ48,48にそれぞれ噛合する
一対のディファレンシャルピニオンギヤ51,51が支
持される。
【0030】次に、図2〜図5を併せて参照しながらト
ランスファー5の構造を説明する。
【0031】トルクコンバータケース12の後部にはト
ランスファーケース15を支持する支持孔121 が左右
方向に形成されており、この支持孔121 にトランスフ
ァーケース15の右側面に突設した支持部151 が印籠
嵌合して4本のボルト52…で固定される。トランスフ
ァーケース15の前面に形成された開口部152 を覆う
前部カバー16は4本のボルト53…で固定されるとと
もに、トランスファーケース15の左側面に形成された
開口部153 を覆う側部カバー17は5本のボルト54
…で固定される。
【0032】トランスファーケース15の内部に車体左
右方向に支持されるトランスファー入力軸55は、その
右端に前記トランスファードライブギヤ45に噛合する
トランスファードリブンギヤ56を一体に備えるととも
に、その左端に第1トランスファーベベルギヤ57がナ
ット58で固定される。トランスファー入力軸55は、
そのトランスファードリブンギヤ56の左側においてト
ランスファーケース15の支持部151 に設けたローラ
ベアリング59に支持されるとともに、その中間部にお
いてトランスファーケース15の支持部151 に設けた
テーパローラベアリング60に支持され、且つその左端
部において第1トランスファーベベルギヤ57と側部カ
バー17との間に設けたテーパローラベアリング61に
支持される。
【0033】トランスファー入力軸55は、2個のテー
パローラベアリング60,61によって軸方向に位置決
めされる。即ち、トランスファー入力軸55の左向きの
スラスト力は、トランスファー入力軸55の段部551
からテーパローラベアリング60、ディスタンスカラー
62、シム63、第1トランスファーベベルギヤ57、
テーパローラベアリング61及びシム64を介して側部
カバー17の段部17 1 に受止される。またトランスフ
ァー入力軸55の右向きのスラスト力は、ナット58、
ワッシャ65、第1トランスファーベベルギヤ57、シ
ム63、ディスタンスカラー62及びテーパローラベア
リング60を介してトランスファーケース15の段部1
4 に受止される。このとき、一対のテーパローラベア
リング60,61のセット荷重はシム63及びシム64
の厚さによって調節される。
【0034】トランスファーケース15の内部に車体前
後方向に支持されるトランスファー出力軸66は、その
前端に前記第1トランスファーベベルギヤ57に噛合す
る第2トランスファーベベルギヤ67を一体に備えると
ともに、その後端にカップリング68がスプライン嵌合
してナット69で固定される。トランスファー出力軸6
6は、その前部においてトランスファーケース15に設
けたテーパローラベアリング70に支持されるととも
に、その後部においてトランスファーケース15に設け
たテーパローラベアリング71に支持される。
【0035】トランスファー出力軸66の後向きのスラ
スト力は、第2トランスファーベベルギヤ67からシム
72及びテーパローラベアリング70を介してトランス
ファーケース15の段部155 に受止され、前向きのス
ラスト力は、ナット69からワッシャ73、カップリン
グ68及びテーパローラベアリング71を介してトラン
スファーケース15の段部156 に受止される。一対の
テーパローラベアリング70,71のセット荷重はナッ
ト69の締付量を調節することにより行われる。第1ト
ランスファーベベルギヤ57及び第2トランスファーベ
ベルギヤ67の歯当たりは、第2トランスファーベベル
ギヤ67とテーパローラベアリング70間に介装したシ
ム72の厚さを変えて第2トランスファーベベルギヤ6
7の位置を前後方向に調節することにより行われる。
【0036】トランスファー5は予めサブアセンブリと
して小組みされ、一括してトルクコンバータケース12
に組み付けられる。トランスファー5の組立は以下の手
順で行われる。先ず前部カバー16及び側部カバー17
を取り外した状態で、トランスファーケース15の前面
の開口部152 からトランスファー出力軸66の標準ダ
ミーを挿入してテーパローラベアリング70に予圧を加
える。この状態で前記開口部152 から測定器具を挿入
して、トランスファー入力軸55の軸心からテーパロー
ラベアリング70のインナレースの前端面までの距離を
測定することにより、第2トランスファーベベルギヤ6
7とテーパローラベアリング70間に介装すべきシム7
2の厚さを設定する。シム72は30ミクロン間隔で厚
さの異なるものが複数種類準備されており、そこから所
定の厚さのものが選択される。
【0037】続いて、トランスファー出力軸66の標準
ダミーを取り外し、実際のトランスファー出力軸66に
前記選択したシム72を装着してトランスファーケース
15に挿入し、その後端にカップリング68をスプライ
ン嵌合してワッシャ73及びナット69で固定すること
により、トランスファー出力軸66の組み付けを完了す
る。
【0038】次に、トランスファーケース15の支持部
151 側からトランスファードリブンギヤ56を一体に
備えたトランスファー入力軸55を挿入してローラベア
リング59及びテーパローラベアリング60に支持する
とともに、トランスファーケース15の左側面の開口部
153 からトランスファー出力軸65にディスタンスカ
ラー62、シム63、第1トランスファーベベルギヤ5
7を装着してワッシャ65及びナット58で固定し、更
にテーパローラベアリング61及びシム64を介して側
部カバー17を装着することにより、トランスファー入
力軸65の組み付けを完了する。
【0039】この状態でトランスファーケース15の前
面の開口部152 が開放しているため、トランスファー
ケース15に特別の窓を形成することなく、前記開口部
15 2 から第1トランスファーベベルギヤ57及び第2
トランスファーベベルギヤ67の歯当たりの確認やバッ
クラッシュの測定を行うことができる。而して、トラン
スファーケース15の前面の開口部152 に前部カバー
16を装着することにより、トランスファー5のサブア
センブリが完成する。
【0040】上述のようにして完成したトランスファー
5は、その支持部151 をトルクコンバータケース12
の支持孔121 に印籠嵌合した状態で、4本のボルト5
2…で固定される。トランスファー5をサブアセンブリ
化することにより、主組立ラインにおける組付工数の削
減が可能となる。
【0041】図4から明らかなように、トランスファー
ケース15に片持ち支持されて右側に延出するトランス
ファー入力軸55の右端に設けたトランスファードリブ
ンギヤ56は、ディファレンシャルケース43の外周に
設けたファイナルドリブンギヤ44の回転面よりも左側
に配置される。従って、ファイナルドリブンギヤ44の
直径を大きくしても、そのファイナルドリブンギヤ44
がトランスファー入力軸55と干渉する虞はなく、ファ
イナルドライブギヤ30及びファイナルドリブンギヤ4
4のギヤ比を任意に設定することができる。また、ファ
イナルドリブンギヤ44との干渉を避けるためにトラン
スファー入力軸55の直径を減少させる必要がないた
め、そのトランスファー入力軸55を支持するベアリン
グの容量を充分に確保することができる。
【0042】次に、図6〜図8に基づいてトランスミッ
ション3の変速アームの操作構造について説明する。
【0043】トルクコンバータケース12の左側面に、
変速軸81を介して変速アーム82が回動自在に枢支さ
れる。変速アーム82はプッシュプルケーブル83を介
して車室内に設けたセレクトレバー94(図6参照)に
接続され、また変速軸81はトルクコンバータケース1
2を貫通してトランスミッション3内部の油圧制御装置
に設けられた図示せぬマニュアルバルブに接続される。
【0044】プッシュプルケーブル83はアウタチュー
ブ84とインナケーブル85とからなり、アウタチュー
ブ84の先端はジョイント86により連結カラー87に
結合される。連結カラー87は大径の本体部871 と小
径の雄ねじ部872 とを一体に備えており、この雄ねじ
部871 に螺合するナット88によってアウタチューブ
84がトルクコンバータケース12に支持される。
【0045】即ち、トルクコンバータケース12の支持
孔121 の下面には車体前後方向に延びる切欠き122
が形成されており、この切欠き122 の後端に臨むよう
に取付ブラケット89が2本のボルト90,90で固定
される。取付ブラケット89は上方に開口するU字状の
切欠き891 を備えており、この切欠き891 に前記連
結カラー87の雄ねじ部872 を嵌合させてナット88
を螺合する。これにより、連結カラー87の本体部87
1 とナット88とによって取付ブラケット89の切欠き
891 の縁部が挟持され、プッシュプルケーブル83の
アウタチューブ84が取付ブラケット89に固定され
る。
【0046】トルクコンバータケース12の支持孔12
1 に嵌合するトランスファーケース15の支持部151
の下面には、前記切欠き122 に対応する上向きの凹部
15 7 が形成される。前記凹部157 は、トランスファ
ー入力軸55を支持するローラベアリング59及びテー
パローラベアリング60間において、支持部151 の下
面をトランスファー入力軸55に近接する位置まで上向
きに凹ませたもので、そこに前記プッシュプルケーブル
83の端部が収納される。
【0047】アウタチューブ84の内部に摺動自在に嵌
合するインナケーブル85の先端はジョイント86及び
連結カラー87の内部を貫通し、前記雄ねじ部872
支持した可撓性のブーツ91の内部でロッド92に連結
される。そしてブーツ91から延出するロッド92の先
端が、前記変速アーム82に継手93を介して接続され
る。
【0048】上述したように、プッシュプルケーブル8
3をトランスファーケース15の下面に形成した凹部1
7 に収納したので、複雑なリンク機構によりセレクト
レバー94と変速アーム82とを接続してトランスファ
ーケース15の下面を迂回しなくとも、プッシュプルケ
ーブル83の位置を高くして最低地上高を充分に確保す
ることができる。また、本実施例の4輪駆動車両からト
ランスファー5、プロペラシャフト8及びリヤディファ
レンシャルギヤ6を取り外して2輪駆動車両を構成する
場合、4輪駆動車両と2輪駆動車両とでプッシュプルケ
ーブル83の取り廻しが同一になり、製造コストの削減
を図ることができる。
【0049】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0050】例えば、伝達部材はプッシュプルケーブル
83に限定されず、ロッドやリンクであっても良い。
【0051】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載された発
明によれば、トランスファーケースにトランスファー入
力軸を、トランスファー出力軸前端の第2トランスファ
ーベベルギヤとトランスファードリブンギヤとの間にあ
第1ベアリング及び第2ベアリングを介して車体左右
方向に支持し、その第1、第2ベアリング間においてト
ランスファーケース下面には、その下面をトランスファ
ー入力軸に近接する位置まで上向きに凹ませて凹部を
成し、この凹部に伝達部材を配置したので、複雑なリン
ク機構を用いて伝達部材とトランスファーケースとの干
渉を防止しなくとも、伝達部材を高い位置に配置して地
上高を充分に確保することができる。
【0052】また請求項2に記載された発明によれば、
トランスファーケースに突設した支持部に凹部を形成
し、支持部を嵌合させるべくフロントディファレンシャ
ルギヤのケーシングに形成した支持孔に前記凹部に対応
する切欠きを形成したので、支持孔と支持部との嵌合に
よってフロントディファレンシャルギヤのケーシングと
トランスファーケースとを精密に結合しながら、フロン
トディファレンシャルギヤのケーシングに形成した切欠
きからトランスファーケースの凹部を露出させ、その凹
部内に伝達部材を配置することができる。また、4輪駆
動車両からトランスファー、プロペラシャフト及びリヤ
ディファレンシャルギヤを取り外して2輪駆動車両を構
成する場合、4輪駆動車両と2輪駆動車両とで伝達部材
の取り回しが同一になり、製造コストの削減を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4輪駆動車両の動力伝達系の概略図
【図2】伝動装置のスケルトン図
【図3】伝動装置の一部破断平面図
【図4】図3の要部拡大図
【図5】図4の5方向矢視図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図6の7−7線断面図
【図8】図6の8方向矢視図
【符号の説明】
3 トランスミッション 4 フロントディファレンシャルギヤ 5 トランスファー 6 リヤディファレンシャルギヤ 8 プロペラシャフト 12 トルクコンバータケース(ケーシング) 121 支持孔 122 切欠き 15 トランスファーケース 151 支持部 157 凹部 43 ディファレンシャルケース 45 トランスファードライブギヤ 55 トランスファー入力軸 56 トランスファードリブンギヤ 59 ローラベアリング(第1ベアリング) 60 テーパローラベアリング(第2ベアリン
グ) 82 変速アーム 83 プッシュプルケーブル(伝達部材) 94 セレクトレバー E エンジン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−158568(JP,A) 特開 昭57−77230(JP,A) 特開 昭58−85726(JP,A) 特開 昭60−78833(JP,A) 特開 昭61−92335(JP,A) 特開 平3−135839(JP,A) 特開 平3−281436(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/344 B60K 20/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体前部に搭載したエンジン(E)にト
    ランスミッション(3)を介してフロントディファレン
    シャルギヤ(4)を接続するとともに、フロントディフ
    ァレンシャルギヤ(4)をトランスファー(5)及びプ
    ロペラシャフト(8)を介してリヤディファレンシャル
    ギヤ(6)に接続し、車室内に設けたセレクトレバー
    (94)の操作をトランスミッション(3)に設けた変
    速アーム(82)に伝達する伝達部材(83)を、トラ
    ンスファー(5)のトランスファーケース(15)の下
    部を通して車体前後方向に配置してなる4輪駆動車両の
    変速アーム操作構造であって、 フロントディファレンシャルギヤ(4)のディファレン
    シャルケース(43)に設けたトランスファードライブ
    ギヤ(45)に噛合するトランスファードリブンギヤ
    (56)を有するトランスファー入力軸(55)を、ト
    ランスファーケース(15)に第1ベアリング(59)
    及び第2ベアリング(60)を介して車体左右方向に支
    持し、第1、第2ベアリング(59,60)間において
    トランスファーケース(15)の下面に、該下面をトラ
    ンスファー入力軸(55)に近接する位置まで上向きに
    凹ませて凹部(157 )を形成し、この凹部(157
    に前記伝達部材(83)を配置し、トランスファーケー
    ス(15)の内部に車体前後方向に支持されるトランス
    ファー出力軸(66)はその前端に、トランスファー入
    力軸(55)に固定される第1トランスファーベベルギ
    ヤ(57)と噛合する第2トランスファーベベルギヤ
    (67)を備え、この第2トランスファーベベルギヤ
    (67)とトランスファードリブンギヤ(56)との間
    に第1、第2ベアリング(59,60)があることを特
    徴とする、4輪駆動車両の変速アーム操作構造。
  2. 【請求項2】 トランスファーケース(15)に突設し
    た支持部(151 )に前記凹部(157 )を形成し、支
    持部(151 )を嵌合させるべくフロントディファレン
    シャルギヤ(4)のケーシング(12)に形成した支持
    (12 1 に前記凹部(157 )に対応する切欠き
    (122 )を形成したことを特徴とする、請求項1記載
    の4輪駆動車両の変速アーム操作構造。
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