JP3269550B2 - 発振回路及び発振方法 - Google Patents

発振回路及び発振方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発振回路及び発振
方法に関し、特に、携帯電話、ディジタルカメラのよう
に消費電力・ノイズの低減が望まれる機器の発振回路及
び発振方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器には、クロック動作のため水晶
発振子を用いた発振回路が広く用いられている。特に、
携帯電話、ディジタルカメラ等の携帯電子機器は、電池
の長寿命化のため消費電力の低減を図ることが必要であ
る。また、電源電圧の低下によってノイズに敏感となっ
てきたため、ノイズの低減を図ることも必要である。そ
のため、発振回路についても消費電力低減やノイズ低減
を図ることが効果的である。
【0003】発振回路の消費電力の低減を図った技術
が、特開平10−308632号公報に開示されてい
る。これは、発振開始から発振安定までは水晶発振子に
十分に充放電を行う必要があるが、発振安定後は水晶振
動子に充電されたエネルギーを完全に放電しなくとも発
振状態を維持できるという水晶発振子の特性を利用して
いる。発振開始から発振安定までは反転増幅器をフル・
スイングさせて水晶振動子を十分に充放電し、発振安定
後は反転増幅器の駆動電圧範囲を規制して、フル・スイ
ングさせず充放電電流を抑制し、消費電力の低減を図っ
ている。この結果、水晶発振子の振動波形を正弦波に近
づけることができるため、ノイズも低減できる。
【0004】特開平10−308632号公報の図4を
転記した図10に示されるように、その公知技術は、制
御回路200を用いて信号反転増幅器14を構成するN
MOSFET18の閾値電圧Vthnを3段階以上にわ
たり切換制御可能とした技術である。制御回路200に
は、順方向に直列に接続された2個のダイオード21
4,212を含む整流素子回路202と、ダイオード2
14,212の直列接続回路に対するバイパス回路20
4−1と、一方のダイオード212に対するバイパス回
路204−2とを含み、各バイパス回路204−1,2
は、それぞれ制御用NMOSFET216,210を用
いてオンオフ制御される。具体的には、信号反転増幅器
14を構成するNMOSFET18は、そのバックゲー
トが定電圧Vregの供給ライン102に接続され、そ
のソースが整流素子回路202のアノード側端部と、バ
イパス回路204−1の一端側に接続されている。整流
素子回路202のカソード側、および各バイパス回路2
04−1,2の他端側は、ライン102に接続されてい
る。スイッチング素子として機能するトランジスタ21
6,210の各ゲートには、選択信号SEL20,SE
L10がそれぞれ印加されている。このような回路によ
り、制御用NMOSFET216,210のオンオフ制
御を所定の組合せとして行うことにより、NMOSFE
T18のソース電位、すなわち、バックゲート電位を3
段以上にわたって切換制御することができ、発振回路1
0の最適な駆動を実現している。
【0005】この従来技術では、信号増幅反転器14を
構成するNMOSFET18の閾値電圧を、発振開始時
は低く、発振安定後に高くすることによって、発振回路
の安定発振及び低消費電力化を図っている。つまり、発
振安定後NMOSFET18のバックゲート電圧を上昇
させ、オフ・リーク電流を減少させることによって、ソ
ース・ドレイン間電流を低減し、水晶振動子からの放電
量を抑制している。しかも、発振安定後に印加すべきバ
ックゲート電圧を何段階か用意し、ICの製造バラツキ
に応じて最適値を選択することによって、個々のICに
ついて安定発振及び低消費電力化を図っている。
【0006】既述の公報の図5を転記した図11に示さ
れるように、信号反転増幅器14のショート電流Is
は、FET16,18の共通ゲートと共通ドレインをシ
ョートさせた状態で、信号反転増幅器14に設置電位V
ddと、定電位Vregの電位差をもつ電圧を印加した
ときに流れるVdd−Vreg間の電流を測定すること
により求められ得る。
【0007】このように、NMOSFET18のバック
ゲート電圧を例えば0V,Vf,2Vfと変化させ、そ
のときの反転増幅器14のショート電流Isを測定し、
最適なショート電流Isが得られるバックゲート電圧を
選択するようにしている。反転増幅器14のショート電
流Isは、水晶振動子12の安定な発振を継続するため
に必要な放電量を最低限確保しなければならない。よっ
て、この電流値を確保しつつ、しかも、IC製造上のバ
ラツキによってFETの閾値電圧が生じたとしても最適
なバックゲート電圧を選択することができるように多段
階に切替制御することによって、低消費電力化が図られ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来技
術では、如何に最適なバックゲート電圧を選択したとし
ても、消費電力に無駄が生じる。なぜなら、ICの素子
のバラツキに応じた最適なバックゲート電圧を選ぶこと
はできても、水晶発振子を外付けした状態での最適なバ
ックゲート電圧を選ぶことができないからであり、もう
少し踏み込んで述べれば、ICをプリント基板に実装し
水晶発振子を外付けした状態での最適なバックゲート電
圧を選ぶことは更にできないからである。その理由は、
最適なバックゲート電圧を決定する基準を反転増幅器1
4のショート電流Isとしているところにある。このシ
ョート電流Is、ICをプリント基板や水晶発振子に接
続するしないに係わらず、そのICに固有の値となる。
ところが、プリント基板の配線や水晶発振子にも特性バ
ラツキがある。上述の従来技術では、これらのIC以外
の部分の特性バラツキを検出できない。よって、IC以
外の部分の特性バラツキを十分にカバーできる駆動能力
が得られるように最適なバックゲート電圧を選ばねばな
らない。故に、IC以外の部分の特性バラツキが大きけ
れば大きいほど、そのバラツキをカバーするために駆動
能力を大きくしておかなければならないので、無駄が生
じるのである。
【0009】本発明の目的は、水晶発振子が接続された
状態で反転増幅器の駆動能力を最適化することにより消
費電力とノイズを低減することができる発振回路及び発
振方法を提供することにある。本発明の他の目的は、水
晶発振子とともにICが接続されそれらがプリント基板
に実装された状態で反転増幅器の駆動能力を最適化する
ことにより消費電力とノイズを低減することができる発
振回路及び発振方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】その課題を解決するため
の手段が、下記のように表現される。その表現中の請求
項対応の技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号
等が添記されている。その番号、記号等は、請求項対応
の技術的事項と実施の複数・形態のうちの少なくとも1
つの形態の技術的事項との一致・対応関係を明白にして
いるが、その請求項対応の技術的事項が実施の形態の技
術的事項に限定されることを示すためのものではない。
【0011】本発明による発振回路は、反転増幅器
(1)と水晶振動子(7)とが接続され、水晶振動子
(7)の素子特性に応じた反転増幅器(1)の適正な駆
動能力レベルを検出するとともに、その検出結果に基づ
いて反転増幅器(1)の駆動能力を決定する駆動能力選
択回路(2)を含むことを特徴としている。水晶振動子
(7)が組込まれた状態で反転増幅器(1)の駆動能力
を検出して決定するので、より最適切な駆動能力で発振
回路を安定的に動作させ、より適正にノイズと消費電力
を低減する。
【0012】反転増幅器(1)と駆動能力選択回路
(2)とがICのような半導体装置(5)に形成されて
いることが更に好ましい。半導体装置(5)を組込んだ
状態で更に適正にその駆動能力を最適化することができ
る。
【0013】反転増幅器(1)は、駆動トランジスタ
(TR3,4)と、その駆動能力を多段階に決定するた
めのスイッチ群(TR1,2)とを備え、駆動能力選択
回路(2)からの選択信号によってスイッチ群(TR
1,2)をオン・オフすることにより、駆動能力を可変
とすることを特徴としている。駆動能力のレベルはダウ
ンカウンタを用いて設定することができる。
【0014】駆動能力選択回路(2)は、検出期間中の
駆動能力レベルを設定する第1のカウンタ(21)と、
発振再開後の駆動能力レベルを設定する第2のカウンタ
(23)とを有している。遅延回路(13)が更に付加
され、この出力がある一定値になったとき発振再開す
る。遅延回路(13)は、RC並列回路あるいは複数の
インバータの組合せにより形成され得る。
【0015】本発明による発振方法は、反転増幅器
(1)と水晶振動子(7)とを接続した後、反転増幅器
(1)の駆動能力を徐々に変化させることによって適正
な駆動能力レベルを検出し、反転増幅器(1)の駆動能
力をその検出結果に基づいて決定することを特徴として
いる。反転増幅器(1)は、駆動トランジスタと、その
駆動能力を多段階に決定するためのスイッチ群とを備
え、駆動能力選択回路(2)からの選択信号によってそ
のスイッチをオン・オフすることにより駆動能力を可変
としている。
【0016】駆動能力選択回路(2)は、反転増幅器
(1)の駆動能力を十分大きいレベルから徐々に小さく
して発振停止レベルを検出する。反転増幅器(1)の適
正な駆動能力レベルを検出した後、それよりも大きな駆
動能力レベルにて発振を再開し、その後適正な駆動能力
レベルに変更して発振を継続する。その適正な駆動能力
レベルを検出する期間中に発振が停止する。
【0017】
【発明の実施の形態】図に一致対応して、本発明による
発振回路の実施の形態は、反転増幅器が駆動能力選択回
路とともに設けられている。図1に示されるように、そ
の反転増幅器1とその駆動能力選択回路2の間に、バッ
ファ回路3が介設されている。バッファ回路3は、クロ
ック信号CLKを出力し、図示されない内部回路に供給
される。抵抗4が、反転増幅器1に並列に接続されてい
る。反転増幅器1と抵抗4とバッファ回路3は、1つの
IC5の中に形成されている。
【0018】IC5には、外部端子41を介して、発振
子回路6が接続されている。発振子回路6は、水晶発振
子7と2つのコンデンサ8,9を備えている。2つのコ
ンデンサ8,9のそれぞれの一方側の極は、共通電位1
1に接続されている。IC5と発振子回路6は別々に製
造され、異なるメーカで製造され得る。水晶発振子7と
2つのコンデンサ8,9と抵抗4と反転増幅器1とから
なる回路は、一定の振動数で発振することになる。な
お、発振子は水晶発振子に限られず、セラミック発振子
のような固体発振子が用いられ得る。
【0019】初期化信号12が入力される駆動能力選択
回路2は、初期的に数Nが設定される。RC遅延回路1
3が、駆動能力選択回路2に接続している。初期化信号
RESET12は、RC遅延回路13にも入力される。
RC遅延回路13は、これに初期化信号12が入力され
た後に遅延動作が開始し、ある遅延時間の後にトリガ信
号14を出力する。トリガ信号14は、駆動能力選択回
路2に入力される。
【0020】図2は、反転増幅器1の基本形を示してい
る。反転増幅器1は、選択信号Aがスイッチング信号と
して入力される3極増幅器としてのトランジスタTR1
と、反転選択信号A*がスイッチング信号として入力さ
れる3極増幅器であるトランジスタTR2とを備えてい
る。トランジスタTR1とトランジスタTR2は、一定
電圧端子間で直列に接続されている。トランジスタTR
1は、Pチャンネルスイッチであり、トランジスタTR
2はNチャンネルスイッチである。
【0021】トランジスタTR1とトランジスタTR2
との間に、駆動トランジスタ回路15が直列に介設され
ている。駆動トランジスタ回路15では、TR3とTR
4が対接合している。TR3はPチャンネルトランジス
タであり、TR4はNチャンネルトランジスタである。
TR3とTR4のそれぞれのゲートに共通に接続する共
通入力点16に入力信号が印加され、TR3とTR4の
共通出力点17から、出力信号が出力される。
【0022】図3は、駆動トランジスタ回路15が具体
化された詳細を示している。駆動トランジスタ回路15
は、複数の対接合トランジスタを組み合わせて選択する
ことができる回路として実現されている。共通入力点1
6と共通出力点17との間に、3対の駆動トランジスタ
15−1,2,3が互いに並列に設けられている。3対
の駆動トランジスタ15−1,2,3にそれぞれに対応
して、トランジスタTR1−1,2,3とトランジスタ
TR2−1,2,3が既述の通りに接続されている。
【0023】3つのPチャンネルトランジスタTR3−
1,2,3と3つのNチャンネルトランジスタTR4−
1,2,3とからなるそれぞれの駆動トランジスタ15
−1,2,3の駆動能力の比は、例えば増幅率gmの比
は、ある比(例えば、8:4:2)に設定されている。
直列に接続されている3つの出力点17−1,2,3か
らそれぞれに出力される3つの出力は、これらの電圧又
は電流が加算されて共通出力点17から出力される。
【0024】選択信号A−1,2,3、及び、反転選択
信号A*−1,2,3が、トランジスタTR1−1,
2,3、及び、トランジスタTR2−1,2,3のそれ
ぞれのゲートに印加される。図4は、トランジスタTR
1−1,2,3に印加される選択信号A−1,2,3の
態様を示している。”1”はそれぞれのトランジスタを
ONにする信号を表し、”0”はそれぞれのトランジス
タをOFFにする信号を表す。図4の表の第1欄の”1
11”は、トランジスタTR1−1,2,3の全てをO
Nにすることを示している。その第8欄の”000”
は、トランジスタTR1−1,2,3の全てをOFFに
することを示している。
【0025】図1に示される発振回路がONになれば、
暫時後に、そのRC回路が水晶発振子7の固有振動数に
対応する振動数で定常的に発振する。この発振により、
バッファ回路3がクロック信号CLKを出力し、そのク
ロック信号CLKは駆動能力選択回路2に入力される。
駆動能力選択回路2は、次のステップスにより動作す
る。
【0026】最初の選択信号のレベル値は、”111”
である。この場合、駆動トランジスタ15−1,2,3
の駆動能力(gm)比は、8+4+2(=14)であ
り、図5に示されるように、最大レベルにある。適正な
タイミングで、駆動能力選択回路2はカウントダウンす
る。カウントダウンの初期値は、”111”である。駆
動能力選択回路2からは反転増幅器1に対して駆動能力
選択信号19が出力される。
【0027】駆動能力選択信号19の入力により、選択
信号はレベル値が”110”になる。このレベル値で
は、駆動トランジスタ15−1,2がONであり、駆動
トランジスタ15−3はOFFである。反転増幅器1の
能力比は、8+4+0(=12)になる。この能力で発
振回路が停止しない場合には、更にカウントダウンされ
る。選択信号のレベル値”011”による駆動トランジ
スタ15の全能力は、0+4+2(=6)である。この
能力では発振は停止してしまう。
【0028】故に、カウントダウンも停止し、選択信号
のレベル値は”011”のままとなる。従って、発振が
安定に継続できる最低レベル値は、”100”となる。
発振停止により、バッファ回路3の動作が停止し、駆動
能力選択回路2のカウントダウンが停止するため、レベ
ル値”011”が残る。図5に示されるように、RC遅
延回路13は、出力信号14を駆動選択回路2の中の停
止検出回路29(後述)に出力する。停止検出回路29
は、その出力値がある一定値になった時tbに、トリガ
信号を出力し、これによって、発振停止検出期間の終了
及び発振再開を行う。駆動能力選択回路2には、最後の
カウント値であるレベル値”011”が保存されてお
り、発振が安定に継続できる最低レベル値は、”10
0”であることが検出される。
【0029】このような駆動能力検出は、外付の発振子
回路6が反転増幅器1に影響する状況で行われている。
即ち、IC5の特性バラツキだけではなく、プリント基
板の配線バラツキや水晶発振子7の特性バラツキをも加
味した状態で検出される。実用上は、検出した最低レベ
ル値にマージンを加えたレベル値で動作させることが好
ましい。マージンなし、即ち、後述のMARGIN信号
の値を1とすれば、レベル値”100”が選択されて、
その”100”が、それぞれに駆動トランジスタ15−
1,2,3のそれぞれのゲートに印加される。この時の
駆動能力の比は、8+0+0(=8)である。このよう
なマージンは、上述のレベルに限られず、電子機器の使
用状況等も考慮して適宜決定することができる。
【0030】使用環境や継続使用による経時変化等によ
って、最低発振能力は変動する。発振回路の起動時に既
述の最適化を行って、その都度に能力が決定されること
が好ましいが、電子機器の出荷時にその最低レベル値を
固定することも可能である。
【0031】
【実施例】図6は、駆動能力選択回路2の詳細を示して
いる。バッファ回路3から出力されたCLK信号から分
周してCLOCK信号が発せされ、第1ダウンカウンタ
21と停止検出回路29とアンド回路27に入力され
る。第1ダウンカウンタ21には、初期信号12の入力
時、即ち、発振開始タイミングt0における初期レベル
値がメモリ等から読み込まれ設定される。第1ダウンカ
ウンタ21の出力信号Cは、セレクタ28と第1加算器
22と第2加算器24とに入力される。
【0032】停止検出回路29は、RC遅延回路13の
出力信号14が一定レベルになったことを検出し、停止
検出信号ECLKを出力する。セレクタ28は、停止検
出信号ECLKによって、発進停止レベル検出期間中は
出力信号Cを選択信号19として出力し、発振再開後は
後述の出力信号Kを選択信号19として出力する。
【0033】第2ダウンカウンタ23には、発振再開タ
イミングtbにおけるレベル値が設定される。このレベ
ル値は、発振停止レベル値に対して十分大きなレベル値
とすればよい。この設定方法を次に説明する。発振停止
レベル値に対する差分をSTART信号によって図示し
ない外部から設定し、この差分と第1ダウンカウンタ2
1のレベル値との加算値を第1加算器22にて得て設定
する。このようにすれば、発振停止タイミングtaにお
いて、自動的に発振再開レベル値が設定される。第2ダ
ウンカウンタ23の出力信号Kは、セレクタ28に入力
されるとともに比較器26に入力される。上述の差分を
発振停止レベルに対して小さめに設定すれば、発振再開
時の消費電力及びノイズ低減を図ることができる。また
十分大きく設定すれば、その効果は薄れるものの、発振
安定までの時間を短縮することができる。この差分の設
定は、ユーザが自由に決定できるように電子機器の外部
から入力するようにしてもよいし、予めメモリ等に値を
記憶しておいてもよい。更に、発振再開タイミングtb
のレベル値を発振開始タイミングt0のレベル値と同じ
とすることもできる。この場合は、第1ダウンカウンタ
を再度用いればよく、第2ダウンカウンタとSTART
信号と第1加算器22とアンド回路27とセレクタ28
は不要となり、比較器26に出力信号Kの代わりに出力
信号Cを入力するようにすればよいため、回路構成がシ
ンプルになる。
【0034】第3ダウンカウンタ25には、発振再開後
の安定発進時のレベル値が設定される。このレベル値は
発進停止レベル値に対して必要なマージンを加算したレ
ベル値とすればよい。そこで、このマージンをMARG
IN信号によって、図示しない外部から設定し、マージ
ンと第1ダウンカウンタ21のレベル値との加算値を第
2加算器24にて得て設定する。このようにすれば、発
振停止タイミングtaにおいて、自動的に安定発振レベ
ル値が設定される。このマージンの設定は、ユーザが自
由に決定できるように電子機器の外部から入力するよう
にしてもよいし、予めメモリ等に値を記憶しておいても
よい。第3ダウンカウンタ25の出力信号Lは、比較器
26に入力される。なお、この安定発振レベル値の保持
はダウンカウンタに限られず、レジスタによってもよ
い。
【0035】比較器26は、発振再開後、レベル値が安
定発振レベル値と同じになるまで不一致信号を出力す
る。この不一致信号が出力されている間、アンド回路2
7はダウンクロック信号を出力し、第2ダウンカウンタ
23ではカウントダウンが行われる。
【0036】なお、第1〜第3ダウンカウンタ21,2
3,25のビット数は選択する駆動能力のレベル数に応
じて選択すればよく、この場合は3ビット以上あれば十
分である。この実施の形態では、4ビットとしている。
また、駆動能力のレベル数は8に限られず、より多くと
も少なくともよい。また、上述の実施の形態では十分な
駆動能力で発振を開始し徐々に駆動能力を決定するよう
にしているが、逆に、発振しないレベルから徐々に駆動
能力を上げ、発振を開始するレベルを検出して、これを
元に安定発振時の駆動能力を決定するようにしてもかま
わない。この場合は、ダウンカウンタの代わりにアップ
カウンタを用いると便利である。
【0037】図7は、4桁2進のダウンカウンタを用い
た場合の動作を示している。出力信号Cの取り得るレベ
ル値は、”0111”〜”0000”である。発振開始
タイミングt0における初期レベル値が、第1ダウンカ
ウンタ21に入力される。START信号の値は2とし
ている。MARGIN信号の値は1としている。第1ダ
ウンカウンタ21の出力信号Cのレベル値LnとSTA
RT信号が第1加算器22に入力される。値2がレベル
値Lnに加算され、加算後の値(Ln+2)が、第2ダ
ウンカウンタ23に入力される。
【0038】レベル値LnとMARGIN信号が、第2
加算器24によって加算され、第2ダウンカウンタ23
に入力される。MARGIN信号の値は1としている。
この値1がレベル値Lnに加算され、その加算後の値
(Ln+1)が、第3ダウンカウンタ25に入力され
る。第2ダウンカウンタ23と第3ダウンカウンタ25
のそれぞれの出力値が、比較器26にて比較され、不一
致の間ハイ・レベルを出力する。アンド回路27は、比
較器26の出力がハイレベルの間、ダウンクロックを出
力する。
【0039】発振回路が動作し続けバッファ回路3がク
ロック信号CLKを出力している間は、同図に示される
ように、第1ダウンカウンタ21、第2ダウンカウンタ
23、第3ダウンカウンタ25は、互いにレベル値が1
ずつずれてカウントダウンしている。出力信号Cのレベ
ル値が”0011”になった時に、発振が停止してい
る。このため、カウントダウンが停止して、第1ダウン
カウンタ21、第2ダウンカウンタ23、第3ダウンカ
ウンタ25は、そのままのカウント数に維持される。
【0040】発振停止後暫時の遅延後に、停止検出回路
29の出力信号ECLKが立ち上がり、発振を再開する
とともに、第2ダウンカウンタ23に保持されたレベル
値”0101”をセレクタ28が選択して出力する。比
較器26の出力がハイレベルのため、アンド回路27か
らダウンクロックが与えられ、第2ダウンカウンタ23
のレベル値はカウントダウンされ、”0100”とな
る。この値は、第3ダウンカウンタ25の値と等しいた
め、比較器26の出力はロー・レベルとなる。この後カ
ウントダウンは行われず、第3ダウンカウンタ25に保
持されたレベル値にて発振が継続される。
【0041】RC遅延回路13は、クロック信号CLK
が完全に停止しているかどうかを検出するためのタイマ
である。クロックが完全に停止していることを検出する
ためには、クロックが停止してから、最低2クロック分
の検出期間が必要である。実用的には、2クロックでは
マージンがないので、余裕を見て3〜4クロック分の期
間を取ることが好ましい。その検出期間中は、発振を再
開してはならない。
【0042】例えば、周波数1Mcycle〜10Mc
ycleの機器に適用する場合には、1Mcycleで
4クロック分=1000nsec・4=4000nse
cが必要である。遅延回路は発振再開のためのタイマと
しても機能する。従って、検出期間相当の時定数を持た
せる必要がある。遅延回路の時定数は、使用される周波
数に合わせて決定すればよく、10Mcycleであれ
ば、400nsecでよい。
【0043】また、遅延回路をICの内部に作り込むの
ではなく、外付とすれば、時定数を変える度にICを作
り替えなくても済むから、ICの品種を少なくすること
ができる。即ち、「1Mcycle〜10Mcycle
のICを使いたい」というユーザーと、「10Mcyc
leしか使わないので速く立ち上がる方がよい」という
ユーザーとに対しては、1Mcycle〜10Mcyc
leのICを1種類のみ用意すればよい。
【0044】図8は、駆動トランジスタ回路15の実施
の他の形態を示している。図3は、複数の駆動トランジ
スタ回路15−1,2,3の出力が加算される回路を示
しているが、図8は、駆動トランジスタを1つとし、ス
イッチング用の複数のトランジスタTR1−1,2,3
及びTR2−1,2,3を同様にスイッチングすること
によって、駆動能力を変更できるようにしている。複数
のトランジスタトTR1−1,2,3は、一定電位側と
駆動トランジスタ回路15との間に並列に接続され、複
数のトランジスタTR2−1,2,3は、他の一定電位
側と駆動トランジスタ回路15との間に並列に接続され
ている。図8の回路は図3の回路と等価であるが、図8
の回路は図3の回路に比べて、その形成面積が少なくて
すむ利点がある。
【0045】更に、駆動能力を変更する手段として、従
来技術のように、駆動トランジスタ15のバックゲート
電圧を制御するようにしてもよい。
【0046】クロックが停止している間で必要なタイマ
ー機能を持つ遅延回路は、他のタイマー装置に替えるこ
とができる。他のタイマー装置としては、図9に示され
るようなインバータの多段接続回路31でもよい。多段
接続回路31は、回路の設計定数が異なる複数のインバ
ータが交互に直列に接続され、隣り合うインバータの間
の遅延量が、交互に、大小になるように接続された遅延
回路であり、RC遅延回路よりも遅延の精度がより高
い。
【0047】
【発明の効果】本発明による発振方法及び発振回路は、
水晶振動子のバラツキを加味した状態で最も適切な駆動
能力を選択できるため、ノイズと消費電力をより効果的
に低減することができる。更には、ICのバラツキのみ
ならずプリント基板のバラツキにも対応して、最も適切
な駆動能力を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による発振回路の実施の形態を
示す回路図である。
【図2】図2は、トランジスタ群の実施の形態を示す回
路図である。
【図3】図3は、トランジスタ群の実施の形態の詳細を
示す回路図である。
【図4】図4は、カウントダウンの実施の形態を示す表
である。
【図5】図5は、gm、遅延量等の時間的推移を示すグ
ラフである。
【図6】図6は、駆動能力選択回路の実施の形態を示す
回路図である。
【図7】図7は、駆動能力選択回路の複数の部分の波形
をそれぞれに示すタイムチャートである。
【図8】図8は、トランジスタ群の実施の形態の他の詳
細を示す回路図である。
【図9】図9は、遅延回路の実施の形態を示す回路図で
ある。
【図10】図10は、駆動能力を最適化する公知の技術
を示す回路図である。
【図11】図11は、駆動能力を最適化する公知の他の
技術を示す回路図である。
【符号の説明】
1…反転増幅器 2…駆動能力選択回路 3…バッファ回路 4…抵抗 5…半導体装置(IC) 6…発振子回路 7…水晶振動子 10…コンデンサ 11…共通電位 12…初期化信号 13…RC遅延回路 14…とろが信号 15…駆動トランジスタ回路 16…共通点入力点 17…共通出力点 19…駆動能力選択信号 21…第1ダウンカウンタ 22…第1加算器 23…第2ダウンカウンタ 24…第2加算器 25…第3ダウンカウンタ 26…比較器 27…アンド回路 28…セレクタ 29…停止検出回路 31…インバータの多段接続回路 41…外部端子

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反転増幅器と水晶振動子とが接続され、前
    記水晶振動子の素子特性に応じた前記反転増幅器の適正
    な駆動能力レベルを検出するとともに、その検出結果に
    基づいて前記反転増幅器の駆動能力を決定する駆動能力
    選択回路と、前記駆動能力レベルを設定するダウンカウンタ又はアッ
    プカウンタであるカウンタ とを含む発振回路。
  2. 【請求項2】前記反転増幅器と前記駆動能力選択回路と
    が半導体装置に形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の発振回路。
  3. 【請求項3】前記反転増幅器は、 駆動トランジスタと、その駆動能力を多段階に決定する
    ためのスイッチ群とを備え、前記駆動能力選択回路から
    の選択信号によって前記スイッチをオン・オフすること
    により駆動能力を可変とする請求項1又は2に記載の発
    振回路。
  4. 【請求項4】前記能力選択回路は、検出期間中の前記駆
    動能力レベルを設定する第1のカウンタと、発振再開後
    の駆動能力レベルを設定する第2のカウンタとを有する
    請求項1から3の何れかに記載の発振回路。
  5. 【請求項5】反転増幅器と水晶振動子とを接続した後、
    前記反転増幅器の駆動能力を十分大きいレベルから徐々
    に小さくして発振停止レベルを検出するか、又は、前記
    駆動能力を発振しないレベルから徐々に大きくして発振
    開始レベルを検出することによって、前記反転増幅器の
    駆動能力をその検出結果に基づいて決定する発振方法。
  6. 【請求項6】前記反転増幅器の適正な駆動能力レベルを
    検出した後、それよりも大きな駆動能力レベルにて発振
    を再開し、その後適正な駆動能力レベルに変更して発振
    を継続する請求項5の発振方法。
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