JP3266488B2

JP3266488B2 - シールド堀進機

Info

Publication number: JP3266488B2
Application number: JP701196A
Authority: JP
Inventors: 政和深井
Original assignee: Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Current assignee: Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date: 1996-01-19
Filing date: 1996-01-19
Publication date: 2002-03-18
Anticipated expiration: 2016-01-19
Also published as: JPH09195669A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はシールド掘進機に係
わり、特に、シールド本体を前胴と後胴とに分割し、前
胴と後胴とを折り曲げ可能に連結したシールド掘進機に
関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネル等の地下坑を堀進するシールド
堀進機においては、例えば、カーブするトンネルを堀進
する場合のように、堀進方向を変えて曲進することが必
要となる場合がある。特に、最近では、シールド堀進機
による地下坑の堀進工事が都市部に集中していて、地下
坑を堀進するにも各種の制約があることから、曲進でき
るシールド堀進機の需要が急速に増大している。このよ
うなシールド堀進機として、シールド本体を前胴と後胴
とに分割し、前胴と後胴とを折り曲げ可能に連結した中
折式のシールド堀進機が一般に知られている。この中折
式のシールド堀進機を、前胴と後胴の中折機構の点から
大別すると、中折ピン付き方式（実公平１−１５７５５
号公報等参照）と中折ピンなし方式（実公平３−３０４
５９号公報等参照）の二つの方式に分けることができ
る。

【０００３】図７及び図８に中折ピン付き方式のシール
ド堀進機を示す。シールド本体は前胴１００と後胴２０
０に分割され、前胴１００の後端内面と後胴１０１の前
端外面とは互いに嵌合され、かつ図７及び図８の紙面上
下に貫く線Ｙを中心に回動できるように同中心線Ｙ上の
上下二箇所で中折ピン１０２により枢着されている。ま
た、前胴１００の後端内面と後胴１０１の前端外面に
は、中折れ中心線Ｙとシールド軸線Ｚとの交点Ｏを中心
とする球面形状に加工が施され、後胴１０１の後端外面
には前胴１００の後端内面との間を密封するようシール
装置１０３が設けられている。また、前胴１００と後胴
１０１とは中折ジャッキ１０４により互いに連結されて
いる。

【０００４】図９及び図１０に中折ピンなし方式のシー
ルド堀進機を示す。前胴１００の後端は後胴１０１の前
端部外面に回動可能に嵌合され、後胴１０１の前端外面
には特殊な曲面形状の加工が施され、前胴１００の後端
が後胴１０１の前端外面に対して回動できるようなって
いる。また、前胴１００の後端内面には、後胴１０１の
前端外面との間を密封するようシール装置１０５が設け
られている。前胴１００と後胴１０１とは中折ジャッキ
１０４により互いに連結されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のシールド堀進機には、それぞれ長所があるものの、
その何れも重大な欠点がある。

【０００６】中折ピン付き方式のシールド掘進機は、中
折れ中心線Ｙを軸として回動するため、シール装置１０
３のシール部のすき間量が一定となり、シールを行い易
くかつシール装置１０３も小さいもので良くなるという
長所があるが、前胴１００と後胴１０１は中折ピン１０
２で連結されているため、シールド推力が中折ピン１０
２を介して伝達され、シールド掘進機が大口径になると
シールド推力が増加し、中折ピン１０２及びその周囲の
構造体を含む中折部の強度の確保が困難になる。また、
前胴１００と後胴１０１とが中折ピン１０２により枢着
されているため、中折ピン１０２回り以外の方向には中
折動作が行えない。

【０００７】中折ピン無し方式のシールド掘進機におい
ては、シールド推力の伝達を中折ジャッキ１０４を介し
て行え、荷重が集中する中折ピンを持たないため、中折
部の強度は確保でき、また中折方向の制約もない。しか
し、図１０に示すように、前胴１００の後端上の点Ａを
中心として中折を行うため、前胴１００の後端内面と後
胴１０１の前端外面との隙間が図１０紙面上下方向の区
域でおおきくなり、シール装置１０５によるシールが難
しくなり、かつシール装置１０５が大きなものになって
しまう。

【０００８】本発明の第１の目的は、シールド本体中折
部の強度を確保できかつ中折部のシールを小さなシール
装置で適切に行うことができるシールド掘進機を提供す
ることである。

【０００９】本発明の第２の目的は、シールド本体中折
部の強度を確保できかつ中折方向の自由度が大であるシ
ールド掘進機を提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】（１）上記第１及び第２
の目的に係わる課題を解決するため、本発明は、シール
ド本体を前胴と後胴とに分割し、前記前胴と後胴とを折
り曲げ可能に連結したシールド掘進機において、前記前
胴と後胴との間に設置され、円弧状の湾曲外周面を有す
る中折れ用の中胴と、前記前胴の後端と前記後胴の前端
のそれぞれに設けられ、前記中胴の湾曲外周面との間を
シールするシール装置と、前記前胴と後胴との間に設置
され、前胴と後胴とを前記中胴の外周面の湾曲に沿って
中折可能に連結する中折駆動装置と、前記中胴を前記前
胴と後胴に対してシールド本体軸線回りに回転させる回
転駆動装置とを備え、前記中胴の円弧状の湾曲外周面は
その湾曲の中心が中胴の外側に位置する形状であり、前
記湾曲外周面の湾曲中心方向が前記前胴と後胴の中折れ
させたい方向に合うように前記回転駆動装置によって前
記中胴を回転させるものとする。

【００１１】以上のような本発明では、シールド推力の
伝達を中折駆動装置、例えば中折ジャッキを介して行
え、荷重が集中する中折ピンを持たないため、シールド
本体中折部の強度を確保できる。また、中折時に、中胴
の湾曲に沿って中折するため、前胴の後端及び後胴の前
端と中胴の湾曲外周面（シール摺動面）との隙間はほぼ
一定となり、シール装置によるシール性が向上する。ま
た、シールの追従代が少なくなるので、シール装置が小
さなものでも良くなる。また、回転駆動装置を設け、湾
曲外周面の湾曲中心方向が前胴と後胴の中折れさせたい
方向に合うように中胴を回転させることにより、その方
向に前胴と後胴を折り曲げることができるため、あらゆ
る方向に中折することができる。

【００１２】

【００１３】

【００１４】

【００１５】（２）好ましくは、前記中胴は、前記湾曲
外周面の軸方向中央部に設けられ直進時に前記中胴の位
置を固定する中立ガイドを有する。

【００１６】（３）また、好ましくは、前記中胴は、前
記湾曲外周面の長円弧側の両端部に設けられ中折時に前
記前胴と後胴が前記中胴から抜け落ちるのを防止するス
トッパを有する。

【００１７】（６）更に、好ましくは、前記中胴は前記
外周面の外側に前記湾曲の中心を有する。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
を用いて説明する。

【００１９】図１において、１は本実施形態のシールド
掘進機であり、シールド掘進機１はシールド本体を構成
する前胴２及び後胴３とを有している。前胴２は隔壁４
を有し、隔壁４にはカッタ５が回転可能に支持され、カ
ッタ５は隔壁４に取り付けられた回転機構６を介して２
個の電動モータ７（図２参照；油圧モータでも良い）に
より回転駆動される。後胴３は環状支持壁８を有し、環
状支持壁８には６本のシールドジャッキ９（図２参照）
が取り付けられ、シールドジャッキ９を伸長し、シール
ドジャッキ９の先端に設けられたスプレッダ１０を既設
のセグメントリング１１に押し付けることにより、後胴
３、前胴２を介してカッタ５に掘進力が付与される。

【００２０】前胴２と後胴３との間には外周面が湾曲し
た中折用の中胴２０が、前胴２と後胴３の両方を中胴２
０に対して折り曲げれるように設置され、前胴２の後端
２ａと後胴３の前端３ａには中胴２０の湾曲外周面との
間をシールするリング状のシール装置２１ａ，２１ｂが
設けられている。また、中胴２０の湾曲外周面の軸方向
中央部には直進時に中胴２０の位置を固定するための中
立ガイド２２が設けられ、湾曲外周面の長円弧側の両端
部には中折時に前胴２と後胴３が中胴２０から抜け落ち
るのを防止するためのストッパ２３ａ，２３ｂが設けら
れている。中胴２０の湾曲外周面はシール装置２１ａ，
２１ｂに対するシール摺動面２４ａ，２４ｂとして機能
する。

【００２１】更に、前胴２と後胴３との間には、前胴２
と後胴３とを中胴２０の湾曲に沿って中折可能に連結す
る４本の中折ジャッキ２５（図２参照）が設置されると
共に、前胴２と後胴３の一方、この実施形態では前胴２
に、中胴２０を前胴２と後胴３に対してシールド本体軸
線回りに回転させる回転駆動装置２６が設置されれてい
る。回転駆動装置２６は、前胴２に固定されたブラケッ
ト２７に取り付けられた電動モータ（油圧モータでも良
い）２８と、電動モータ２８の出力軸に取り付けられた
ピニオン２９と、中胴２０の内周に設けられ、ピニオン
２９と噛み合うリングギア３０とで構成されている。

【００２２】図２に図１のＩＩ−ＩＩ線断面を示す。カ
ッタ５の２個の電動モータ７は回転機構６を挟んで水平
に配置され、６本のシールドジャッキ９及び４本の中折
ジャッキ２５はそれぞれ等間隔に環状に配置されてい
る。

【００２３】図３に中胴２０の外観を示す。中胴２０は
中胴２０の外側に湾曲の中心Ｏを持つように曲げられた
パイプの曲がり部の形状をしており、中立ガイド２２は
中胴２０の湾曲外周面の全周に位置する突起として形成
され、ストッパ２３ａ，２３ｂは湾曲外周面の長円弧側
に位置する突起として形成されている。

【００２４】中折をする場合は、まず、中折をする方向
と中胴２０の湾曲の中心Ｏの方向（湾曲中心方向）とを
合わせる。これは回転駆動装置２６の電動モータ２８に
より中胴２０を回転させることにより行う。例えば、掘
進方向左方（図示下方）に中折する場合は、図１に示す
ように、中胴２０の湾曲中心方向が掘進方向左方を向く
ように中胴２０を回転させる。次いで、図４に示すよう
に中折ジャッキ２５を伸長して掘進方向左方に折り曲げ
る。この時、中胴２の湾曲に合わせて、前胴２の後端２
ａと後胴３の前端３ａが中胴２の湾曲の中心Ｏを中心に
して移動するよう折り曲げる。これは上側の中折ジャッ
キ２５の伸長量と下側の中折ジャッキ２５（図２参照）
の伸長量を調整することにより行える。また、その伸長
量の大きさを調整することにより中折量を調整できる。
掘進方向右方（図示上方）に中折する場合は、図５に示
すように、中胴２０の湾曲中心方向が掘進方向右方を向
くように中胴２０を図１の位置から１８０度回転させ
る。次いで、図６に示すように中折ジャッキ２５を伸長
して前胴２を後胴３に対して掘進方向右方に折り曲げ
る。この場合も、中胴２の湾曲に合わせて、前胴２の後
端２ａと後胴３の前端３ａが中胴２の湾曲の中心Ｏを中
心にして移動するよう折り曲げる。掘進方向左方、右方
以外の方向に中折する場合も同様である。

【００２５】以上のように中折した後、シールドジャッ
キ９を伸長させると、セグメントリング１１からの反力
が後胴３、中折ジャッキ２５、前胴２を介してカッタ５
に掘進力として与えられ、中折方向に曲進しながら掘進
することができる。

【００２６】また、直進する場合は、図１又は図５に示
すように、前胴２の後端２ａと後胴３の前端３ａが中立
ガイド２２に当たるまで中折ジャッキ２５を収縮し、前
胴２と後胴３とを直線状にする。この状態でシールドジ
ャッキ９を伸長させると、セグメントリング１１からの
反力が後胴３、中胴２０の中立ガイド２２、前胴２を介
してカッタ５に掘進力として与えられ、直進方向に掘進
することができる。

【００２７】なお、図４又は図６の中折状態から図１又
は図５の直進状態に戻すとき、回転駆動装置２６のピニ
オン２９はリングギヤ３０に噛み合う必要があるが、こ
れはピニオン２９の歯の端面にリングギヤ３０への挿入
を容易にするテーパを付けておき、ピニオン２９を回転
させながら噛み合わせれば良い。また、前胴２と後胴３
が互いにローリングしてしまう場合は、従来の中折ピン
無し方式のシールド機構と同様に前胴２と後胴３のそれ
ぞれにピンとピン受けとを設け、それを防止すれば良
い。

【００２８】以上のように構成した本実施形態では、中
折時に、中胴２０の湾曲に沿って中折するため、前胴２
の後端２ａ及び後胴３の前端３ａと中胴２０のシール摺
動面２４ａ，２４ｂとの隙間はほぼ一定となり、シール
装置２１ａ，２１ｂによるシール性が向上する。また、
シールの追従代が少なくなるので、シール装置２１ａ，
２１ｂが小さなものでも良くなる。

【００２９】また、中折したい方向に中胴２０を回転さ
せ、その方向に前胴２と後胴３を折り曲げるため、あら
ゆる方向に同じ角度だけ、中折することができる。

【００３０】更に、中胴２０に対し前胴２と後胴３の両
方を折り曲げれるので、従来の２倍角度を中折できる。

【００３１】また、直進時には前胴２と後胴３の外殻が
接し、シールドジャッキ９の推力が後胴３から前胴２へ
外殻を通じて伝えられ、曲進時には中折ジャッキ２５を
介して推力が伝えられるため、中折部の強度を大幅に向
上できる。

【００３２】以上、本発明の一実施形態を説明したが、
本発明はこれに限られず、本発明の精神の範囲内で種々
の変形が可能である。例えば、上記実施態様では、前胴
及び後胴の両方を中胴に対して折り曲げることで中折り
する構成としたが、前胴及び後胴の一方だけを中胴に対
して折り曲げるようにしてもよい。また、中胴の回転駆
動装置は前胴側でなく後胴側に設置しても良い。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、シールド本体中折部の
強度を確保できかつ中折部のシールを小さなシール装置
で適切に行うことができる。

【００３４】また、本発明によれば、シールド本体中折
部の強度を確保できかつ中折方向の自由度を大とするこ
とができる。

【００３５】また、本発明によれば、中胴に対し前胴と
後胴の両方を折り曲げれるので、従来の２倍角度を中折
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態によるシールド堀進機の水
平断面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面図である。

【図３】中胴の外観図である。

【図４】図１に示すシールド掘進機を掘進方向左方（図
示下方）に中折した状態を示す図である。

【図５】図１に示すシールド掘進機を掘進方向右方（図
示上方）に中折させるために中胴を回転させた状態を示
す図である。

【図６】図５に示すシールド掘進機を掘進方向右方（図
示上方）に中折した状態を示す図である。

【図７】従来の中折ピン付き方式のシールド堀進機の直
進時の状態を示す水平断面図である。

【図８】図７に示す従来のシールド掘進機を下方に中折
した状態を示す図である。

【図９】従来の中折ピン無し方式のシールド堀進機の直
進時の状態を示す水平断面図である。

【図１０】図９に示す従来のシールド掘進機を下方に中
折した状態を示す図である。

【符号の説明】

１シールド掘進機２前胴３後胴５カッタ９シールドジャッキ２０中胴２１ａ，２１ｂシール装置２２中立ガイド２３ａ，２３ｂストッパ２４ａ，２４ｂシール摺動面２５中折ジャッキ２６回転駆動装置２７ブラケット２８電動モータ２９ピニオン３０リングギヤ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E21D 9/06 301 E21D 9/06 311

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】シールド本体を前胴と後胴とに分割し、前
記前胴と後胴とを折り曲げ可能に連結したシールド掘進
機において、前記前胴と後胴との間に設置され、円弧状の湾曲外周面
を有する中折れ用の中胴と、前記前胴の後端と前記後胴の前端のそれぞれに設けら
れ、前記中胴の湾曲外周面との間をシールするシール装
置と、前記前胴と後胴との間に設置され、前胴と後胴とを前記
中胴の外周面の湾曲に沿って中折可能に連結する中折駆
動装置と、前記中胴を前記前胴と後胴に対してシールド本体軸線回
りに回転させる回転駆動装置とを備え、前記中胴の円弧状の湾曲外周面はその湾曲の中心が中胴
の外側に位置する形状であり、前記湾曲外周面の湾曲中
心方向が前記前胴と後胴の中折れさせたい方向に合うよ
うに前記回転駆動装置によって前記中胴を回転させるこ
とを特徴とするシールド掘進機。
【請求項２】請求項１記載のシールド掘進機において、
前記中胴は、前記湾曲外周面の軸方向中央部に設けられ
直進時に前記中胴の位置を固定する中立ガイドを有する
ことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項３】請求項１又は２記載のシールド掘進機にお
いて、前記中胴は、前記湾曲外周面の長円弧側の両端部
に設けられ中折時に前記前胴と後胴が前記中胴から抜け
落ちるのを防止するストッパを有することを特徴とする
シールド掘進機。