JP3264258B2 - ポリカーボネートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法及び製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
の連続製造方法に関し、特に芳香族有機二水酸基化合物
と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によるポリカー
ボネートの連続製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネートの製造方法とし
てはビスフェノールA等の芳香族有機二水酸基化合物と
ジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融
状態でエステル交換反応させる方法が知られている。
(新ポリマー製造プロセス、佐伯庚治、尾見信三 共偏
著、P262)本製造方法によれば溶融状態で行われる
エステル交換反応や重縮合反応工程で副生するフェノー
ルを各反応工程で効率良く系外に除去する必要があるが
特に重縮合工程では反応処理液の粘度が上昇するために
フェノールの除去が困難になるという問題があった。
【0003】この問題を解決するため、従来、重縮合工
程には遠心薄膜蒸発機やベント付きの押し出し機などが
用いられていたが、これらの処理装置は滞留時間が短い
ために反応に必要な長い滞留時間を取ると装置内の回転
軸や羽などに処理液が付着対流して長い熱履歴を受け成
生物の色調が悪化するという問題点がある。
【0004】また、これらの装置は装置の全体容積に占
める処理液の量の割合が小さく、装置を大型化すればす
るほど装置コストと処理液量の割合が悪化するのでプラ
ントコストの上昇の原因となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はポリカーボネ
ートの連続生産のための公知の方法を改善したものであ
り、装置全体の効率を向上し、工場設備のエネルギー節
約により経済的に操作することができるポリカーボネー
トの製造方法及び装置を提供するものである。
【0006】本発明の目的は、上記従来技術を改善し、
必要最小限の反応器構成により、最少のエネルギーで品
質の良いポリカーボネートを効率良く反応させる連続重
縮合装置及び連続重縮合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エステル交
換反応工程、前重合工程、最終重合工程をそれぞれ独特
の反応槽とし、撹拌動力を必要とする槽は最終重合工程
のみとすることによって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に本発明の一実施例を示す。
図1は本発明のポリカーボネートの連続製造プロセスの
装置講成図である。工業的なポリカーボネートの製造方
法として、最近ではエステル交換方法が多く採用されて
いる。図において1はポリカーボネートの原料であるビ
スフェノールAとジフェニルカーボネート(またはジメ
チルカーボネート)を所定の割合で混合、撹拌する原料
調整槽である。製造プロセスの中にはこの段階で重合反
応触媒や安定剤、色調調整剤などの添加物を加える場合
がある。また、触媒や安定剤の組み合わせにおいては後
述する途中添加装置によりエステル交換反応工程を終了
後に投入する場合もある。重合反応触媒としてはアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、錫、アンチモン、
鉛、マンガン、コバルト、ニッケル等の金属酢酸塩、炭
酸塩、ホウ酸塩、酸化物等があげられ、使用する触媒の
種類や組み合わせにより、反応速度が異なるだけでな
く、生成するポリマの色相及び熱安定性、機械強度特性
などが異なることが良く知られている。さらにこれらの
反応は触媒の存在化で高温で長時間行われるために種々
の副反応が伴い、重合物の耐水性及び強度の低下などの
物理的性質が低下したりする。このような問題点を改良
するために新しい触媒の開発が試みられているが、現在
最も多く工業的に使用されている含窒素塩基性化合物
(三級アミン類)が価格や性能面で優れている。また添
加剤としてはホウ酸エステルを添加する事により熱劣化
の少ないポリマーを製造する事が出来る。
【0009】以上のように調整された原料はスラリー槽
1で充分に撹袢した後、エステル交換反応槽3へ原料を
供給する供給ライン2を経由して行く。エステル交換反
応槽(第1反応器)3の外周部には処理液を反応温度に
保つためにジャケット構造(図示せず)になっており液
の内部には液の加熱手段として多缶式熱交換機4が設置
され外部からの熱源により処理液を加熱し、自然循環に
より内部の液を循環しながら反応を進行させる。ここで
最も望ましい反応器の型はエステル交換反応を自己の反
応により生成する副反応物の蒸発作用を利用して反応器
内の処理液を自然循環させるカランドリア型が望まし
い。この形の反応器は外部の撹拌動力源を必要としない
ため装置構成が単純でしかも撹拌軸の軸封装置も不要と
なり反応器の制作コストが安価となる利点がある。この
ような反応器の一例として特願平8−249769に示
す様な装置が望ましい。しかし、本発明においてこの装
置を限定するものではなくプロセス上の理由から撹拌翼
を持った反応器を使用しても差し支えない。第1反応器
において、反応により生成するフェノール(ジメチルカ
ーボネートの場合はメタノール)は蒸気となり、気化し
たフェノール蒸気(またはメタノール蒸気)と気相部5
を形成する。このときの推奨すべき反応条件としては温
度は130度から250度で加圧条件が望ましい。気相
部5のガスはその上流側に設けられた精留塔(図示せ
ず)により液化(メタノールとフェノールに分離)さ
れ、フェノールは一部を再び系内に戻す場合もある。エ
ステル交換反応槽3で所定の反応時間経過した処理液は
所定のエステル化率に到達し、連絡管6により初期重合
槽(第2反応器)7に供給される。連絡管6には途中添
加装置16が設けられる場合がある。この装置はエステ
ル化反応に寄与しない重合触媒や安定剤、添加剤等をプ
ロセスに投入するためのもので、この装置は投入物の種
類に応じて複数台設置される。さらに、添加後のプロセ
ス液中の分散性を向上させるためにスタティックミキサ
やラインミキサーを取り付ける場合もある。この後、処
理液は熱交換器8により所定の反応温度に加熱され重縮
合反応を行い重合度を上昇させる。このときの反応条件
としては200度から280度で圧力は266Paから
133Paで重合度10から50程度まで反応させる。
本実施例で示した初期重合槽は撹拌翼を持たない反応器
を用いて説明しているがこの反応器を限定するものでは
ない。しかし、初期重合段階においては反応は重合反応
速度が反応の速度の律束となっている段階であり反応に
必要な熱量を十分に供給すれば反応は順調に進行してい
く。この観点から処理液は撹拌翼で不必要な撹拌作用を
受ける必要はなく重縮合反応によって生成するフェノー
ルが系外に離脱するだけでよい。このような操作に最適
な反応器としては特願平8−233855に示す様な装
置が望ましい。反応により発生するフェノールは減圧雰
囲気に保たれた気相部9で気化し、その上流側に設けら
れたコンデンサーで凝縮した後に系外へ排出される。本
発明の利点として初期重合工程に撹拌翼を使用しない事
により撹拌翼の制作費や軸封装置を削減でき大幅な装置
コストの低減となる。初期重合槽(第2反応器)7で所
定の反応時間を経過した処理液は連絡管10により最終
重合機(第3反応器)11に供給される。最終重合機で
は中心部に撹拌軸の無い撹拌翼12により良好な表面更
新作用を受けながらさらに重縮合反応を進め重合度を上
昇させ目的の重合度のポリマーを製造する。最終重合機
(第3反応器)として最適な装置としては日本国出願特
許、特願平8−233857に記載の装置が表面更新性
能、消費動力特性が最も優れている。また、処理液の粘
度範囲が広いので従来、2槽に分割したりして処理して
いたものを一台の装置で可能となり大幅な装置コストの
低減となる。さらに処理液の粘度が高くなる場合には特
公平6−21159号公報に記載される矩形枠の連なる
撹拌中心軸を有しない、2軸格子翼重合機を用いる事に
より高重合度のポリマーが容易に得られる。
【0010】以上の装置構成においてポリカーボネート
を製造すると従来の装置構成と比較して、撹拌装置の数
が減少しているために装置の経費が節約出来るのとそれ
らに付随する軸封装置を節約でき、ランニングコストが
安くなる利点がある。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、ポリカーボネートの連
続製造設備をエステル交換工程、前重合工程、最終重合
工程の3つの反応器とし、少なくともエステル交換工程
と前重合工程のどちらかには撹拌翼を使用せず最終重合
工程には中心軸の無い重合反応器を使用する事により品
質劣化が少なく、装置全体の効率を向上でき、工場設備
のエネルギー節約により経済的に優れた製造装置を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリカーボネートの連続製造装置
の一実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…原料調整槽、2…原料供給ライン、3…エステル交
換反応槽、4…熱交換器、5…気相部、6…連絡管、7
…初期重合槽、8…熱交換器、9…気相部、10…連絡
管、11…最終重合機、12…撹拌翼、13…ポリマ
ー、14…撹拌動力源、15…途中添加投入ライン、1
6…途中添加装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 宙夫 山口県下松市大字東豊井794番地 株式 会社 日立製作所 笠戸工場内 (72)発明者 小田 親生 山口県下松市大字東豊井794番地 株式 会社 日立製作所 笠戸工場内 (56)参考文献 特開 平10−316747(JP,A) 特開 平10−259242(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族系有機二水酸基化合物またはその誘
    導体と炭酸ジエステル類またはジメチルカーボネートと
    をエステル交換反応によりポリカーボネートオリゴマー
    を生成し、該オリゴマーを反応させ、複製するフェノー
    ルを除去して溶融重縮合させてポリカーボネートを製造
    するに際して、 原料スラリーをエステル交換する第1反応器、該成生物
    を重縮合させて、平均重合度10から50の低重合物を
    製造する第2反応器、該低重合物をさらに重縮合させ、
    平均重合度40から180まで重縮合させ高分子量ポリ
    エステルを製造する第3反応器とを用いてポリエステル
    を製造する方法において、上記の第1反応器と第2反応
    器のうち少なくとも一つ以上の反応器は撹拌翼による撹
    拌機能を持たない反応器で構成され、第3反応器は翼の
    回転中心に撹拌軸を有しない製造装置を用いてポリカー
    ボネートを製造することを特徴とするポリカーボネート
    の連続製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の第3反応器において、反応
    器は横形の円筒状容器本体長手方向の一端下部及び他端
    下部にそれぞれ被処理液の入口及び出口を有し、本体の
    上部に揮発物の出口を持ち、本体内部の長手方向に本体
    の内側に近接して回転する撹拌ロータを設けた装置と
    し、本体内部の撹拌ロータが処理液の粘度に応じて複数
    個の撹拌翼ブロックで構成され、撹拌ロータの中心部に
    回転シャフトを持たない撹袢翼をもった反応器で構成さ
    れる製造装置を用いてポリカーボネートを製造すること
    を特徴とするポリカーボネートの連続製造方法。
  3. 【請求項3】芳香族系有機二水酸基化合物またはその誘
    導体と炭酸ジエステル類とをエステル交換反応によりポ
    リカーボネートオリゴマーを生成し、複製するフェノー
    ルを除去して溶融重縮合させてポリカーボネートを製造
    するに際して、 原料スラリーをエステル交換する第1反応器、該成生物
    を重縮合させて、平均重合度10から50の低重合物を
    製造する第2反応器、該低重合物をさらに重縮合させ、
    平均重合度40から180まで重縮合させ高分子量ポリ
    エステルを製造する第3反応器とを用いてポリエステル
    を製造する方法において、第3反応器は横形の円筒状容
    器本体長手方向の一端下部及び他端下部にそれぞれ被処
    理液の入口及び出口を有し、本体の上部に揮発物の出口
    を持ち、本体内部の長手方向に本体の内側に近接して回
    転する撹拌ロータを設けた装置とし、本体内部の撹拌ロ
    ータが処理液の粘度に応じて複数個の撹拌翼ブロックで
    構成され、撹拌ロータの中心部に回転シャフトを持たな
    い撹袢翼をもった反応器で構成される製造装置を用いて
    ポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカー
    ボネートの連続製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1から3のいずれか記載のポリカー
    ボネートの連続製造方法において、原料である芳香族系
    有機二水酸基化合物またはその誘導体と炭酸ジエステル
    類とのモル比が1:1.05〜1:2.0の範囲で供給
    し、第1反応器の温度は130度〜250度、圧力は大
    気圧から3×105Pa、第2反応器の温度は200度
    〜280度、圧力は大気圧から133Pa、第3反応器
    の温度は250度〜330度、圧力は200から13.
    3Paの範囲で運転してポリカーボネートを製造するこ
    とを特徴とするポリカーボネートの連続製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1から3のいずれか記載のポリカー
    ボネートの連続製造方法において、第3反応器の撹袢翼
    の回転数範囲を0.5rpmから10rpmとしてポリ
    カーボネートを製造することを特徴とするポリカーボネ
    ートの連続製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1から3のいずれか記載のポリカー
    ボネートの連続製造方法において、第1反応器、第2反
    応器、第3反応器の合計反応時間が3から9時間の間で
    運転してポリカーボネートを製造することを特徴とする
    ポリカーボネートの連続製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載のポリカーボネートの連続製
    造方法において、第1反応器と第2反応器の撹拌手段と
    して熱対流式循環方法あるいは外部循環式のポンプを使
    用しての運転してポリカーボネートを製造することを特
    徴とするポリカーボネートの連続製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1記載のポリカーボネートの連続製
    造方法において、第3反応器を撹拌中心部に撹拌軸を有
    しない一軸式の横形撹拌槽とそれぞれの撹拌中心部に撹
    拌軸を有しない二軸式の横形撹拌槽とで構成してポリカ
    ーボネートを製造することを特徴とするポリカーボネー
    トの連続製造方法。
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