JP3263857B2 - 抗体産生組成物および抗体産生法 - Google Patents

抗体産生組成物および抗体産生法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワクチン、臨床検査、
生体成分分析等に使用される抗体を産生するために用い
られる抗体産生組成物及びそれを用いる抗体産生法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ワクチン、臨床検査等の用途に対
しての抗体の利用が増加しつつあり、より多くの良質の
抗体を産生させる要望が強くなっている。現在、抗体の
産生方法としては、抗原を生体内に、例えば筋肉注射で
注入して産生した抗体を血清等から分離採取する方法が
一般的である。この方法では採取できる抗体の量が必ず
しも多くないので、少しでも量を多く取るために、いろ
いろな工夫がなされている。例えば、鶏を生体として利
用する場合においては、鶏の血清から直接抗体を採取す
るのではなく、親の免疫機構が鶏卵に移行することを利
用して鶏卵から抗体を採取する試みがなされている。ま
た、生体に抗原とともに抗体産生を促進する物質(アジ
ュバンド)を導入する方法があり、このアジュバンドと
しては、例えばアルミニウムゲルなどの不溶性コロイド
や植物油、鉱物油などの油性物が知られている。さら
に、アジュバンドとしては、6量体以下であるキチンオ
リゴマー等も提案されている(特開昭62-61927)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、不溶性コロイ
ドアジュバンドである水酸化アルミニウムは、比較的容
易に使用でき、大量免疫が可能であるが、これにより得
られる抗体は抗体価が低く、かつ抗体価の持続性が短い
という欠点がある。
【0004】また、油性アジュバンドであるFCA(フ
ロイントコンプリートアジュバンド)やFICA(フロ
イントインコンプリートアジュバンド)は、高い抗体価
を得ることができ、かつ抗体価を持続することができる
が、粘性が高く筋肉注射しにくいため、大量免疫が不可
能であり、また生体内で炎症反応を引き起こしやすい欠
点がある。特に鶏卵から抗体を採取する場合、炎症反応
などのストレスを鶏に与えてしまうと卵を生まなくな
り、当然抗体の採集は不可能となる。
【0005】さらに、キチンオリゴマーを主成分とする
アジュバンドは、上記のものと比較すれば毒性がなく、
抗体産生能も良好であるといわれているが、投与後、生
体内に分散するため、消化されやすく、十分な抗体産生
を発揮しにくいことや持続時間が短いなどの欠点があっ
た。
【0006】本発明は抗原をキチンに含有させ、生体内
で抗原とキチンを同時に存在させることによって、抗体
産生能を向上させ、持続時間を伸ばすことを目的とする
ものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、あらかじめ抗
原を含有させたキチンを生体に投与すると、抗体産生が
促進され、炎症反応などの副作用もないことを見いだ
し、本発明に到達するに至った。すなわち、本発明は、
抗原をキチンに含有させた物質からなることを特徴とす
る抗体産生組成物および抗原をキチンに含有させた物質
を生体内にいれて抗体産生を促進させることを特徴とす
る抗体産生法を要旨とするものである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用されるキチンは本来、甲殻類及び昆虫類等の外骨格
を塩酸処理並びにカ性ソーダ処理して灰分及び蛋白物質
を除去して得られるN−アセチル−D−グルコサミンポ
リマーであるが、本発明に用いられるキチンには、N−
アセチル−D−グルコサミンポリマー及びその脱アセチ
ル化物およびキトサン、さらにはキチンと酸類とで形成
された塩、例えば酢酸塩、塩酸塩、硝酸塩、りん酸塩な
ど、さらにはグルコサミン残基の−OH基又は−CH2
OH基がエステル化、エーテル化、カルボキシメチル
化、ヒドロキシメチル化、あるいはO−エチル化された
キチン誘導体も含まれる。
【0009】前記のN−アセチル−D−グルコサミンポ
リマーの脱アセチル化物の場合の脱アセチル化は、N−
アセチル−D−グルコサミンポリマーをアルカリ処理す
る(高分子の状態を維持する条件下)という周知の方法
により行うことができる。この際に使用するアルカリ濃
度、処理温度あるいは処理時間などを適宜変えることに
よって、脱アセチル化度を容易に調整することができ
る。
【0010】ここでいう脱アセチル化度とは、次のよう
な方法で測定された値をいう。試料約2gを2N−塩酸
200ml中に投入し、室温で30分間撹拌する。つい
で、ガラスフィルターで濾過して塩酸を除去したのち、
200mlのメタノール中に投入して30分間撹拌す
る。このものを、さらにガラスフィルターで濾過し、フ
レッシュなメタノール200ml中に投入し30分間撹
拌する。このメタノールによる洗浄操作を4回繰り返し
たのち、風乾及び真空乾燥し、ついでその約0.2gを
精秤し、100mlを三角フラスコに取り、イオン交換
水40mlを加えて30分間撹拌する。ついで、この溶
液をフェノールフタレインを指示薬として0.1N−カ
性ソーダ水溶液で中和滴定する。脱アセチル化度(A)
は次式によって求められる。
【0011】
【数1】 ただし、aは試料の重量(g)、fは0.1N−カ性ソ
ーダ水溶液の力価、bは0.1N−カ性ソーダ水溶液の
滴定量(ml)である。
【0012】本発明に使用するキチンは粉末のままで使
用することもできるし、また、成形体として使用するこ
ともできる。成形体とは、例えば繊維、フィブリル、フ
ィルム、多孔体、マイクロビーズなどであって、キチン
粉末を溶剤に溶かしドープとし、凝固することにより作
成することができる。溶剤としてはハロゲン炭化水素と
トリクロル酢酸、Nーメチルピロリドンまたはジメチル
アセトアミドと塩化リチウムとの混合物などが好まし
い。例えば、ジメチルアセトアミドと塩化リチウムの混
合物を溶剤として用いる場合、その好ましい混合比は9
0:10〜99:1程度である。凝固剤としては、水、
アルコール類、ケトン類等が好ましい。キチンはこれら
の溶剤及び凝固剤で、既存の方法で湿式成形することが
できる。例えば、キチン繊維を湿式成形する際は、キチ
ンを上記の溶剤に溶解し、メッシュステンレスネットに
て濾過して透明の溶液とし、さらにこの溶液を加圧下で
送液し、ノズルから熱水中に吐出して凝固させ、繊維状
となし、ボビンに巻取る。
【0013】脱アセチル化キチンの成形体を製造するに
は、脱アセチル化度の低いキチン成形体をまず作成し、
その成形体を濃アルカリ処理することによって脱アセチ
ル化を行うが、アルカリ処理の条件によって脱アセチル
化度を調整することができる。その脱アセチル化の処理
方法は、例えばキチンの脱アセチル化の方法と同じでよ
く、濃アルカリ溶液中に成形体を浸漬し、室温又は高温
である一定時間放置することによって行う。脱アセチル
化度は温度及び放置時間を変えることによって自由に選
択することが出来る。
【0014】また、脱アセチル化度の高いキチンである
キトサンの場合には、酸溶液に溶解して成形した後、酸
を除く方法で容易に成形できる。ここで、酸溶液には酢
酸溶液が好ましい。キトサンの成形体として、例えばフ
ィルムを得る場合、キトサンを2%酢酸水溶液に溶解し
てガラス板上に流延し、室温又は高温下で水分及び酢酸
を蒸発させフィルムを製造することができる。
【0015】本発明に使用される抗原とは、一般的に免
疫機能を持つ生物体内にその抗原を入れた場合、それに
対する抗体を産生させるものであればよく、その例とし
て細菌やその菌体成分、原虫、蠕虫、植物や真菌由来の
多糖体、タンパク質、核酸、合成ポリマー、毛髪成分、
精子、各種ホルモン類、病原体に対するレセプターなど
様々な物質があり、これらはその用途によって自由に選
択できる。
【0016】また、抗原をキチンに含有させる方法とし
ては、キチンと直接反応しない抗原を使用する場合に
は、抗原とキチンを溶媒に混合し、抗原をキチンに包
埋させる方法が挙げられる。このさいに使用する溶媒と
しては、使用する抗原に適したものであればよい。例え
ば、注射液に抗原とキチン粉末を入れてよく混ぜてキチ
ン中に抗原を取り込む方法がある。また、キチン成形
体を成形する際に、抗原を予め練り込む方法でもよい。
例えば、キチン溶液(ドープ)に抗原を同時に溶解し射
出成形する方法が挙げられる。アルデヒド等の架橋剤
を用い、キチン又はキチン成形体を抗原と結合させる方
法もある。また、キチンと直接反応する抗原を使用する
場合には、抗原とキチン又はキチン成形体を化学的又
は物理的に結合させる方法などがある。
【0017】また、上記の製造方法により得られた抗体
産生組成物の成形体は、再度粉末にして使用することも
できる。また、、の反応には触媒などの反応促進剤
を使用することも可能である。
【0018】本発明に用いる抗原の濃度は、分野及び用
途により様々な値を取ることができ、一定の範囲に規定
されるものではない。本発明の抗原をキチンに含有させ
た抗体産生組成物は、高い抗体産生能力及び生体親和性
を有し、生体材料として使用した場合にも高い安定性を
有しており、この抗体産生組成物を生体内に入れること
により、抗体をゆるやかに徐放させて、抗体産生能を向
上させ、優れた抗体産生能を長期間持続させることがで
きる。
【0019】本発明の抗体産生組成物は、常法により皮
下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、経皮、腹腔内投与
又は経口投与あるいは粘膜を通して投与することが可能
である。
【0020】
【作用】本発明の抗体産生組成物は、抗原を高分子の一
種であるキチンに含有させたので、キチンの有する優れ
た生体親和性を有するとともに、この抗体産生組成物を
生体内に入れることにより、生体内で抗原とキチンとを
長期間にわたって同時に存在させて、抗体をゆるやかに
徐放させ、優れた抗体産生能を長期間持続させることが
できる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0022】実施例1 粗キチン粉末(新日本化学 (株) 製)を100メッシュ
に粉砕し、1N−塩酸にて4℃、1時間処理し、さらに
3%カ性ソーダ水溶液中で90℃、3時間加熱処理し、
粗キチン粉末中に含まれているカルシウム分及びタンパ
ク質を除去した。このキチン粉末の脱アセチル化度は
5.2%であった。これを20%カ性ソーダ水溶液で8
0℃、3時間処理したところ、このものの脱アセチル化
度は30.9%であった。これをよく水洗し、乾燥させ
た後、粉砕機により粒径75±10μmの粒子を得た。
【0023】一方、抗原としてヒツジ赤血球を生理食塩
水に溶かし、上記のキチン粒子を浸漬、撹拌した。この
操作によりキチン粒子中にヒツジ赤血球を取り込ませ、
真空乾燥して抗原含有キチンを作成した。このとき抗原
含有キチン1g中にヒツジ赤血球が0.052g含まれ
ていた。この粒子を生理食塩水0.2ml中に分散し、
ヒツジ赤血球が1×106 個含まれるようにした。これ
をマウスに筋肉注射し、その2週間後に脾臓を摘出して
脾臓細胞をJerneのブラーク形成細胞測定法により脾臓
当りの抗体産生細胞数を求め、抗体産生増強効果を調べ
た。得られた結果を表1に示す。このように抗体産生細
胞数/脾臓は優れたものであった。さらに、筋注部には
炎症反応が全く見られなかった。
【0024】
【表1】
【0025】比較例1 ヒツジ赤血球1×106 を生理食塩水0.1mlに溶か
し、さらにこれとフロイントの完全アジュバンド0.1
mlを加えて乳化させ、全量を0.2mlとした。実施
例1と同様にして脾臓当りの抗体産生細胞数を求め、抗
体産生増強効果を調べたところ、抗体産生細胞数/脾臓
は実施例1よりも劣る結果を得た。さらに、比較例1で
は筋注部に炎症反応がみられた。
【0026】実施例2 実施例1のキチン粉末を使用した。これを35%カ性ソ
ーダ水溶液で80℃、4時間処理処理したところ、この
ものの脱アセチル化度は70.8%であった。これをよ
く水洗し乾燥した後、粉砕機で粒径100±10μmの
粒子を得た。一方、抗原としてバクテリア−α−アミラ
ーゼ(BαA)を生理食塩水に溶かし、上記のキチン粒
子を浸漬、撹拌した。この操作によりキチン粒子中にB
αAを取り込ませ、真空乾燥して抗原含有キチンを作成
した。このとき抗原含有キチン1g中にBαAが0.2
1g含まれていた。この粒子を生理食塩水0.2ml中
に懸濁させ、BαAが200μg含まれるようにした。
【0027】これをマウスに筋肉注射し、2週間後、4
週間後の抗−BαA産生量を測定した。その結果を表2
に示す。これより、抗−BαA産生量が多く、持続期間
に優れていることが分かった。また、局所の損傷はなか
った。
【0028】
【表2】
【0029】比較例2 BαA200μgおよびキチン粉末952μgを生理食
塩水0.2ml中に懸濁した。これを実施例2と同様に
マウスに筋肉注射し、2週間後、4週間後の抗−BαA
産生量を測定した。その結果は表2に示すように抗−B
αA産生量が実施例2に比して少なく、持続期間は劣っ
ていた。局所の損傷は実施例2と同様になかった。
【0030】実施例3 実施例1のキチン粉末を使用した。これを35%カ性ソ
ーダ水溶液で80℃、4時間処理したところ、このもの
の脱アセチル化度は70.8%であった。これをよく水
洗し乾燥した後、2.5gを採取し2%酢酸溶液を加え
全量を100mlとして2.5%キチン酢酸溶液を作製
した。これにヒトIgG50mgを混合し流延して乾燥さ
せヒトIgG含有キチンフィルムを作製した。これを粉
砕機にかけ粒径100±10μmの粒子を得た。このと
き抗原含有キチン1g中にヒトIgGが0.04g含ま
れていた。この粒子25mgを生理食塩水2ml中に懸濁さ
せ、ヒトIgGが0.5mg含まれるようにした。
【0031】これを鶏に筋肉注射し、その3週間後の鶏
卵を採取し、八田らの方法(Agric.Biol.Chem.,Vol.54,
2531-2535,1990)により鶏卵抗体の純品(ゲル濾過分析
でシングルピーク)を調整し、鶏卵抗体中に含まれる抗
原特異的抗体(抗ヒトIgG鶏卵抗体)の量を以下の方
法で比較した。
【0032】鶏卵抗体10mgをヒトIgG結合アフィニ
ティクロマトカラム(CNBr活性化セファロース4B
で調整、5mgヒトIgG/mlゲル、10mlゲル容量)へ
アプライし、非吸着タンパク質(非特異的鶏卵抗体)を
洗浄後、吸着タンパク質(抗原特異的抗体鶏卵抗体)を
グリシン塩酸緩衝液(pH2.0)で溶出回収した。抗
原特異的抗体量はそれぞれの鶏卵抗体中に含まれる抗ヒ
トIgG鶏卵抗体の割合を以下の式より算出し比較し
た。
【数2】
【0033】その結果、抗原特異的抗体は5.0%であ
った。筋注部に炎症反応がみられず、免疫後も全く産卵
率の低下はなかった。
【0034】比較例3 ヒトIgG0.5mgを生理食塩水に溶かし、さらにこれ
とフロイントの完全アジュバンド1mlを加えて乳化さ
せ、全量を2mlとした。これを実施例3と同様にして鶏
卵抗体中に含まれる抗原特異的抗体の量を求めたとこ
ろ、抗原特異的抗体は3.0%であった。さらに、筋注
部に炎症反応がみられ、産卵率の著しい低下がみられ
た。
【0035】実施例4 実施例1のキチン粉末を使用した。これを35%カ性ソ
ーダ水溶液で80℃、4時間処理したところ、このもの
の脱アセチル化度は70.8%であった。これをよく水
洗し乾燥した後、2.5gを採取し2%酢酸溶液を加
え、全量を100mlとして2.5%キチン酢酸溶液を
作製した。これにホルマリン不活化エドワードジェラ・
タルダ( E.tarda ) 菌体粉末250mgを抗原として混合
し、流延して乾燥させ、E.tarda 菌体含有キチンフィル
ムを作製した。これを粉砕機にかけ、粒径100±10
μm の粒子の粉末を得た。
【0036】抗原含有キチン粉末を生理食塩水に懸濁
(25mg/ml )させ、その1mlを産卵鶏1羽当たりに筋
肉注射で免疫した。免疫は2週に1回の割合で合計3回
行った。 初回免疫後、1ヶ月毎に鶏卵を集め卵黄を分
離し、E.tarda 菌体に対する凝集抗体力価を測定した。
凝集抗体力価はE.tarda ( 104 細胞/ml) 菌液0.5
mlと卵黄の2n 倍生理塩希釈液0.5mlを混合し、37
℃、1時間放置後、5℃で12時間放置し、E.tarda 菌
体の凝集が観察される卵黄の最大希釈倍率の逆数で表し
た。凝集抗体力価の結果を表3に示す。
【0037】
【表3】 高力価の凝集抗体力価が得られ、凝集抗体力価の持続効
果においても優れるものであった。
【0038】比較例4 E.tarda 菌体粉末を水酸化アルミニウムを含む生理食塩
水に懸濁させ(2.5mg/ml )、これを抗原として産卵
鶏に対し同様の免疫を行った。実施例3と同様にして、
E.tarda 菌体に対する凝集抗体力価を測定した結果を表
3に示す。凝集抗体力価は実施例より劣るのみならず、
その持続効果においても劣るものであった。
【0039】実施例5 実施例1のキチン粉末を使用した。これを35%カ性ソ
ーダ水溶液で80℃、4時間処理したところ、このもの
の脱アセチル化度は70.8%であった。これをよく水
洗し乾燥した後、2.5gを採取し2%酢酸溶液を加え全
量を100mlとして2.5%キチン酢酸溶液を作製し
た。これに1×107FCFU (蛍光抗体陽性フォーカス単
位)のヒトロタウィルス(Wa株)を1ml中に含む抗原
液をホルマリンで不活化後、抗原液10mlを混合し、流
延して乾燥させたロタウィルス含有キチンフィルムを作
製した。これを粉砕機にかけ粒経100±10μm の粒
子の粉末を得た。抗原含有キチン粉末を生理食塩水に懸
濁(25mg/ml )させ、その1mlを産卵鶏1羽当りに筋
肉注射で免疫した。免疫は2週に1回の割合で合計3回
行った。
【0040】初回免疫後、1ヶ月毎に鶏卵を集め卵黄を
分離しヒトロタウィルス(Wa株)に対する中和抗体力
価を海老名らの方法(Microbiol.Immunol.Vol.34(7),61
7-629,1990)により測定した。中和抗体力価は蛍光抗体
感染単位を50%阻害する卵黄の最大希釈倍率の逆数で
示した。中和抗体力価の結果を表4に示す。
【0041】
【表4】 実施例5では高力価の中和抗体価が得られた。また、中
和抗体力価の持続性においても、優れるものであった。
【0042】比較例5 ヒトロタウィルス(Wa株)を水酸化アルミニウムを含
む生理食塩水に懸濁し(1×107FCFU/ml)、これを抗
原として産卵鶏に対し同様の免疫を行った。実施例5と
同様にして、中和抗体力価を測定した結果を表4に示
す。比較例5では、中和抗体価が低く、またその持続性
においても、劣るものであった。
【0043】
【発明の効果】本発明の抗体産生組成物は、その有効成
分がキチンを含むので毒性が全くなく、また優れた液性
抗体産生及び細胞性免疫能を有している。さらには抗原
とキチンが同時に存在するため、高い抗体産生能及び長
い持続期間が得られ大変有効である。また、本発明の抗
体産生組成物を産卵鶏に投与した場合、産卵率に全く影
響を与えることなくその鶏卵中に大量の抗原特異的鶏卵
抗体を継続的に得ることが可能である。これは本発明の
抗体産生組成物が免疫局所において炎症を起こさず、産
卵鶏にストレスを与えないためであると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木船 紘爾 東京都中央区日本橋室町3丁目4番4号 ユニチカ株式会社東京本社内 (72)発明者 金 武▼祚▲ 三重県四日市市赤掘新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (72)発明者 八田 一 三重県四日市市赤掘新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (72)発明者 小笠原 豊 三重県四日市市赤掘新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (72)発明者 長戸 有希子 三重県四日市市赤掘新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−61927(JP,A) 特開 昭62−123123(JP,A) DIAMANTSTEIN T.et al,Chitin: An Imm unological Adjuvan t and a Polyclonal B−Lymphocyte Acti vator,Int.Archs Al lergy appl.Immun., Vol.68,No.4,377−381 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 39/39 C08B 37/08 CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗体産生を長期持続させるための抗体産
    生組成物の製造におけるキチン脱アセチル化物の使用。
  2. 【請求項2】 キチン脱アセチル化物の脱アセチル化度
    が、約70%である請求項1記載のキチン脱アセチル化
    物の使用。
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JPH05294846A (ja) 1993-11-09

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