JP3263185B2 - 合成樹脂靴の製造法 - Google Patents

合成樹脂靴の製造法

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JP3263185B2 JP15115793A JP15115793A JP3263185B2 JP 3263185 B2 JP3263185 B2 JP 3263185B2 JP 15115793 A JP15115793 A JP 15115793A JP 15115793 A JP15115793 A JP 15115793A JP 3263185 B2 JP3263185 B2 JP 3263185B2
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paint
resin beads
fibrous
shoe
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A43FOOTWEAR
    • A43BCHARACTERISTIC FEATURES OF FOOTWEAR; PARTS OF FOOTWEAR
    • A43B3/00Footwear characterised by the shape or the use
    • A43B3/0036Footwear characterised by the shape or the use characterised by a special shape or design
    • A43B3/0078Footwear characterised by the shape or the use characterised by a special shape or design provided with logos, letters, signatures or the like decoration
    • A43B3/0084Arrangement of flocked decoration on shoes

Landscapes

  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂靴の製造法に
関し、詳しくは、天然皮革のスェード調、ベロア調、あ
るいはヌバック調などを呈する合成樹脂靴の製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】靴は、履き心地,耐水性,耐久性が良好
である程、その商品価値が向上する。また、デザインが
多様で、しかもファッション性に優れていれば、その商
品価値は、なお一層向上する。ところで、型内に合成樹
脂を流し込んで成形するスラッシュ製法により底部と本
体部とが一体に成形されるスラッシュ靴、あるいは型内
に合成樹脂を射出して成形するインジェクション靴は、
上記の耐水性が極めて優れる上、履き心地,耐久性も良
好であることから、豪雪地帯はもとより、最近では都市
部においても需要が増大している。
【0003】これらスラッシュ靴やインジェクション
靴、その他手貼りや手縫いなどにより調製される各種の
合成樹脂靴において、デザインの多様化やファッション
性の向上の要請に応えるべく、本体部や底部に種々の意
匠が施される。その1つとして、スェード、ベロア、ヌ
バックなどの天然皮革に似せた起毛調表現の意匠が挙げ
られる。
【0004】この起毛調表現の意匠を施すには、主とし
て、(1)成形面を起毛調に加工(具体的には、極く微
細な凹凸を無数に刻印)したモールドを使用する手法、
(2)繊維物質(すなわちパイル、以下、「繊維物質」
あるいは「パイル」と記す)の植毛技術(上記のような
合成樹脂靴のベースに接着剤を介して静電植毛法などに
よりパイルを植毛する技術)による手法、(3)繊維塗
料の塗装技術(塗料に繊維物質を配合したものをスプレ
ー、刷毛などにより塗装する技術)による手法、(4)
ビーズ塗料の塗装技術(微粒子状のビーズを配合した塗
料をスプレー、刷毛などにより塗装する技術)による手
法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの起毛
調意匠の表現手法には、それぞれ次のような問題があ
る。(1)の手法においては、モールド表面の極く微細
な凹部に汚れが付着し易く、また一旦付着した汚れは除
去が極めて困難であり、しかもこの微細な凹凸により成
形後の靴の脱型が困難になる上、表面がザラ付き感のあ
る靴が成形される傾向にあり、天然皮革様の起毛調表現
に近似したものとはならない。
【0006】(2)の手法は、このような問題がない
上、カラフルなパイルにより意匠性に優れた靴を得るこ
とはできるが、図3に示すように、合成樹脂基材1上に
接着剤層Bを介して植毛されるパイルPの殆どが垂直に
立ってしまうため、パイルの繊維感のみが強く出てしま
い、天然皮革様の起毛感が極めて乏しい。
【0007】(3)の手法では、上記の(2)と異な
り、繊維物質(パイル)が倒れて固着されてしまうた
め、起毛感はもとより、立体感にも欠け、天然皮革様の
起毛調表現にはやや遠い製品となる。また、塗装面の機
械的強度も不足気味であり、塗装面(特に、繊維物質)
が容易に剥離し、耐久性に問題がある。
【0008】(4)の手法では、ビーズによる特殊で、
かつ優れた意匠性を付与し、かつ機械的強度も高いが、
冷たい感触やザラ付き感が残る上、起毛感に乏しく、上
記の(3)と同様、天然皮革様の起毛調表現にはやや遠
い製品となる。
【0009】このように、上記(1)〜(4)のいずれ
の手法で表現した起毛調意匠も、スェード、ベロア、ヌ
バックなどの天然皮革に近似したものとは言い難く、最
近の高級嗜好に適合するものとはなっていない。
【0010】本発明は、以上の問題を解決し、天然皮革
のスェード調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した起
毛調外観が施された合成樹脂靴の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、検討を重ねたところ、次のような
知見を得た。 (a)前述の(2)の手法では、植毛されたパイルが直
立してしまうために、パイルの繊維感のみが強く出る。 (b)天然皮革に近似した表現は、意外にも、前述の
(3)の手法の繊維塗料に合成樹脂ビーズを混合する
か、逆に前述の(4)の手法のビーズ塗料に繊維物質を
混合した塗料を塗布することによって得ることができ
る。 (c)しかも、この混合塗料を塗布した後にバフ掛けす
れば、なお一層良好な起毛感となる。
【0012】本発明の合成樹脂靴の製造法は、これらの
知見に基づいてなされたもので、合成樹脂よりなる靴の
少なくとも本体部の少なくとも一部に、ベース塗料に
維物質と合成樹脂ビーズとを配合した配合塗料を塗布
し、乾燥して、繊維物質が合成樹脂ビーズ間に挟持され
た形の植毛状態を形成することを特徴とする。この配合
塗料の塗布に先立ってアンダーコートを行ってもよく、
しかもアンダーコート中には合成樹脂ビーズおよび/ま
たは繊維物質を配合しておいてもよい。
【0013】また、本発明の合成樹脂靴の製造法は、上
記の繊維物質と合成樹脂ビーズとの配合塗料の塗布部を
バフ処理することをも特徴とする。
【0014】本発明における合成樹脂よりなる靴は、前
述のスラッシュ靴、インジェクション靴、手貼り靴、手
縫い靴のように、合成樹脂を基材とする靴であれば、ど
のような製法による靴であってもよい。
【0015】また、合成樹脂の種類も、特に限定され
ず、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム系樹脂、エチレン系樹
脂、ポリウレタン系樹脂など、通常の合成樹脂靴に使用
されている合成樹脂であればどのような種類のものであ
ってもよい。
【0016】上記の合成樹脂靴に塗布される繊維物質と
合成樹脂ビーズとの配合塗料は、通常の植毛靴に使用さ
れるパイルなどの繊維物質と、通常のビーズ塗料に使用
される合成樹脂ビーズなどの合成樹脂ビーズとを、通常
の靴塗装用の塗料に使用される塗料(本発明では、これ
「ベース塗料」と言う)に配合したものである。
【0017】このベース塗料は、上記の靴の基材となる
合成樹脂との接着性の良好なものであればよく、水性タ
イプ、溶剤タイプを問わず、一液タイプ、二液タイプの
ウレタン系、あるいは天然・合成ゴム系、アクリル系塗
料、その他各種の一般的な塗料を使用することができ
る。
【0018】ベース塗料には、帯電防止剤、安定剤、紫
外線吸収剤、柔軟仕上剤、撥水剤、着色剤などの添加剤
を配合してもよい。
【0019】ベース塗料に配合される繊維物質は、前述
の繊維塗料に使用される繊維物質などが使用でき、例え
ば、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊
維、レーヨンなどの半合成繊維、綿、麻、絹、ウールな
どの天然繊維、あるいはこれらの混合繊維、その他上記
の合成樹脂靴に植毛することができるパイルなどを挙げ
ることができる。
【0020】繊維物質の太さは、太すぎると、天然皮革
に近似した起毛調表現ができず、細すぎると、取扱が困
難になる上、機械的強度、耐摩耗性などの物性が低下す
るため、0.3〜10デニール、好ましくは0.5〜3
デニールが適している。また、長さも、長すぎると、ベ
ース塗料および合成樹脂ビーズとの均一な混合が不可能
となる上、天然皮革に近似した起毛調表現ができず、短
すぎると、触感がザラ付いた傾向になるため、0.3〜
10mm、好ましくは0.5〜2.5mmが適してい
る。
【0021】上記の繊維物質とともに配合される合成樹
脂ビーズも、前述のビーズ塗料に用いられる合成樹脂ビ
ーズなどが使用でき、具体的には、ベース塗料中の溶剤
に不溶な、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂など
を挙げることができる。
【0022】合成樹脂ビーズの粒径は、大きすぎると、
粗く、ザラ付いた触感になり、小さすぎると、艶消し状
態となり、いずれも天然皮革に近似した起毛調表現がで
きないため、10〜100μm程度とすることが好まし
い。
【0023】上記の繊維物質と合成樹脂ビーズとの配合
塗料(以下、「配合塗料」と記すこともある)は、
(α)上記のベース塗料に上記の繊維物質と合成樹脂ビ
ーズとの所定量を添加して均一に混合するか、あるいは
前述したように、(β)ベース塗料に繊維物質の所定量
を添加して均一に混合して先ず繊維塗料を調製し、これ
に合成樹脂ビーズの所定量を添加して均一に混合する
か、逆に(γ)ベース塗料に合成樹脂ビーズの所定量を
添加して均一に混合して先ずビーズ塗料を調製し、これ
に繊維物質の所定量を添加して均一に混合して、調製さ
れる。
【0024】このときのベース塗料、繊維物質、合成樹
脂ビーズの配合割合は、ベース塗料100重量部に対
し、繊維物質0.5〜5.0重量部、合成樹脂ビーズ
0.5〜5.0重量部とすることが好ましい。繊維物質
がこれより多いと、前述の(3)の繊維塗料の塗装技術
と同様に、起毛感および立体感に欠けたものとなり、合
成樹脂ビーズがこれより多いと、前述の(4)のビーズ
塗料の塗装技術と同様に、冷たい感触やザラ付き感があ
り、起毛感に欠けたものとなる。また、繊維物質および
合成樹脂ビーズがこれより少なくても、やはり、天然皮
革の起毛調表現とすることが不可能ないしは極めて困難
となる。
【0025】上記の繊維物質と合成樹脂ビーズとは、互
いに同色の1色または2色以上のものを使用してもよい
し、互いに異色の1色または2色以上のものを使用する
こともできる。また、ベース塗料に、繊維物質および合
成樹脂ビーズと同色または異色の着色剤を配合してもよ
い。さらに、合成樹脂靴の基材についても、着色するこ
とができ、この基材の色も種々のものを使用することが
できる。
【0026】これら繊維物質、合成樹脂ビーズ、ベース
塗料、および基材の色の組合せを工夫することによっ
て、変化に富んだ意匠表現をすることができる。これら
の組合せの一例を以下に挙げる。 (1)繊維物質、合成樹脂ビーズ、ベース塗料、基材と
も、同じ1色とする。 (2)繊維物質、合成樹脂ビーズ、ベース塗料、基材と
も、それぞれ異なる色とする。 (3)(2)において、基材とベース塗料と繊維物質と
は1色とし、合成樹脂ビーズは2以上の異なる色とす
る。 (4)(2)において、基材とベース塗料と合成樹脂ビ
ーズとは1色とし、繊維物質は2以上の異なる色とす
る。 (5)(2)において、基材とベース塗料とは1色と
し、繊維物質は2以上の異なる色、合成樹脂ビーズも2
以上の異なる色とする。 (6)ベース塗料と繊維物質と合成樹脂ビーズとを同じ
1色とし、基材をこれらとは異なる色とする。 (7)基材とベース塗料を同じ1色とし、繊維物質と合
成樹脂ビーズとをこれらとは異なる色とする。 (8)(7)において、繊維物質と合成樹脂ビーズとを
同じ1色またはそれぞれ異なる1色とするか、同じ2以
上の色またはそれぞれ異なる2以上の色とする。なお、
ベース塗料には、着色剤を配合せず、無着色のままで使
用することもできる。
【0027】上記の(1)〜(8)の組合せにおいて、
配合塗料の色(すなわち、繊維物質の色と、合成樹脂ビ
ーズの色とによって、またベース塗料に着色剤を配合す
る場合には、ベース塗料の色と、繊維物質および合成樹
脂ビーズの色とによって現れる色を言う)は、基材の色
より、明度あるいは色調において薄い色とする(例え
ば、基材が茶色の場合、配合塗料は同系の色より少し薄
い色とし、また基材がベージュなどの淡色の場合は、配
合塗料はなお一層淡い色とする)ことが、品位の高い意
匠表現とする上で好ましい。
【0028】上記の配合塗料を上記の合成樹脂靴に塗布
するには、通常の塗布技術をそのまま適用することがで
きる。すなわち、合成樹脂靴の表面に、スプレー、刷
毛、ロールなどの塗布手段を用いて塗布したり、あるい
はディッピングなどにより塗布すればよい。なお、スプ
レー、刷毛、ロールなどで塗布する場合に、塗布方向を
工夫することによって、繊維物質の固着方向を種々の方
向に傾斜させることができ、天然皮革の起毛調表現に近
似したものを容易に得ることができる。
【0029】配合塗料の塗布量は、少なすぎれば、天然
皮革の起毛調表現とならず、多すぎると、ベース塗料の
乾燥に長時間を要するのみならず、製品靴の重量が多く
なるなどの問題も生じるため、一般には、ウエット状態
において、100〜300μm程度の厚さとなるような
塗布量とすればよい。
【0030】配合塗料の塗布部分は、合成樹脂靴の全面
すなわち底部および本体部の全面であってもよいし、本
体部のみの全面であってもよいし、本体部の適宜の一部
(例えば、爪先と踵、あるいは胛被全面など)であって
もよい。
【0031】以上のようにして配合塗料を塗布し、配合
塗料が乾燥すれば、本発明による合成樹脂靴を得ること
ができ、この靴は、天然皮革のスェード調、ベロア調、
ヌバック調などに酷似した起毛調意匠が施されたものと
なっている。
【0032】また、本発明においては、上記の配合塗料
の塗布に先立って、アンダーコートを行うことができ
る。アンダーコートに使用する塗料は、通常の合成樹脂
靴の塗装に先立って行われるプライマーコート用の塗料
が使用できる。このアンダーコートには、上記した合成
樹脂ビーズおよび/または繊維物質を配合しておくこと
もできる。この場合の合成樹脂ビーズや繊維物質の配合
量は、特に限定しないが、少なすぎれば配合効果がな
く、多すぎると合成樹脂ビーズや繊維物質の剥落などの
問題が生じる他、合成樹脂靴と上記配合塗料との接着性
をも低下させるため、これらを考慮して適宜の量が選択
される。
【0033】また、配合塗料が乾燥した後、配合塗料の
塗布部分にバフ処理を施すと、天然皮革の高級なスェー
ド調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した製品靴を得
ることができる。
【0034】このバフ処理は、植毛状態で基材表面に固
着している繊維物質の先端部に付着しているベース塗料
の成分である樹脂(以下、「塗料樹脂」と記す)の小滴
や合成樹脂ビーズ、あるいは長く突出している繊維物質
を除去するとともに、無数の繊維物質がランダムに群が
っている部分を櫛けずり、1本1本の繊維物質に解繊す
るために行うものである。バフ処理の方法としては、通
常の起毛調表現の靴に適用されている一般的な方法が採
用でき、具体的には、ショットブラスト法、ブラッシン
グ法、サンドペーパー法などが用いられる。
【0035】ショットブラスト法の場合は、あまり小粒
径のものでは、バフ処理効果が発現せず、上記の櫛けず
りも解繊が良好に行われない。逆にあまり大粒径のもの
では、ピーチ調やスェード調などの微細な起毛感を付与
することができない。また、吹きつけ圧も、低すぎれば
バフ処理効果が発現せず、高すぎると櫛けずりや解繊の
度合いが大きくなり、繊維感が強く出たり、繊維物質の
強度低下が大きくなるなどの不都合がある。
【0036】ブラッシングの場合は、プラスチック製の
ブラシを使用すると、摩擦熱でブラシが溶けることがあ
るため、金属製のブラシを使用することが望ましい。ま
た、ブラシの密度は、高いものよりは低いものの方が、
風合いの良好な製品を得ることができるため好ましく、
一般には、30〜400本/cm程度の密度のものを
使用する。このときのブラッシング強度は、仕上がり状
態や、所望の起毛感に応じて、適宜のブラッシング強度
に調整すればよい。
【0037】サンドペーパーの場合は、番号の小さすぎ
るものでは、繊維物質の表面(極く先端部)のみが細か
く櫛けずられあるいは解繊されてしまい、番号の大きす
ぎるものでは、繊維物質が強く摩耗、除去されて、荒い
仕上がりとなってしまう。したがって、本発明では、3
0〜300番の範囲内において、所望の起毛感に応じ
て、適宜の番号のものを選定して使用することが適して
いる。このときの摩擦強度も、仕上がり状態や、所望の
起毛感に応じて、適宜の摩擦強度に調整すればよい。
【0038】これらいずれの方法による場合であって
も、ベース塗料や合成樹脂ビーズにより結束され塊状で
付着している繊維物質の先端部を解繊し、これらのベー
ス塗料や合成樹脂ビーズを繊維物質から部分的に取り除
くことにより、あたかも天然皮革の毛がなびいているよ
うにすることが好ましい。
【0039】以上のようにしてバフ処理する際に、塗布
部分の全体を同じ強さでバフ処理してもよいし、部分的
にバフ処理強さを変化させて、起毛感を部分的に変化さ
せることもできる。後者の場合は、バフ処理強さを変化
させる部分において、以上のように、ショットブラスト
の吹きつけ粒径や吹きつけ圧、ブラシの密度やブラッシ
ング圧、サンドペーパーの番号や摩擦強度を適宜調整す
ることにより容易に行うことができる。なお、起毛感の
変化は、天然皮革のピーチ調(起毛感小)からベロア調
(起毛感大)まで幅の広い変化が容易に可能である。
【0040】
【作用】本発明においては、繊維物質と合成樹脂ビーズ
との配合塗料が、合成樹脂靴の基材表面に塗布され、こ
れが乾燥すると、図1に示すように、繊維物質Pが、合
成樹脂ビーズV間に挟持された形の植毛状態で基材1に
固着する。しかも、図1の点線(1)で囲んだ部分に示
すように、繊維物質Pが1本づつで植毛されている部
分、点線(2)で囲んだ部分に示すように、無数の繊維
物質Pがランダムに群がって植毛されている部分、点線
(3)で囲んだ部分に示すように、(1)の植毛状態と
(2)の植毛状態とが混在している部分、が無数にラン
ダムに形成され、繊維物質Pの先端部が種々の方向を向
き、繊維感が減少して、天然皮革の起毛調表現に近づ
く。
【0041】この状態のものをさらにバフ処理すること
により、繊維物質Pの上方部に付着している合成樹脂ビ
ーズV′や塗料樹脂の小滴R′を除去するとともに、繊
維物質Pを櫛けずり、解繊する。この櫛けずりおよび解
繊が、繊維物質Pによる繊維感をさらに減少させて、高
級な天然皮革の起毛調表現により一層近づける。
【0042】このとき、基材1の色と、繊維物質Pおよ
び合成樹脂ビーズVの色、あるいはベース塗料Rの色を
種々の組合せで異ならせたり、繊維物質Pおよび合成樹
脂ビーズVの色を2以上の異なる色を使用したり、ある
いはバフ処理の強さを部分的に変化させるなどにより、
変化に富む意匠表現を施すことができる。
【0043】また、繊維物質Pによる温暖感と、合成樹
脂ビーズVによる微細な凹凸感および適度な冷涼感とが
相乗して、風合いおよび触感が、天然皮革の起毛素材に
酷似した表現をもたらす。
【0044】なお、繊維物質Pおよび合成樹脂ビーズV
は、塗料樹脂Rにより基材1表面に強固に固着されてい
るため、これらの配合塗料の塗布部分の機械的強度にお
いてはなんら問題ない。
【0045】さらに、上記の配合塗料の塗布に先立って
アンダーコートを行っておけば、配合塗料の塗布部分の
機械的強度は一層向上する。しかも、アンダーコートに
合成樹脂ビーズおよび/または繊維物質を配合しておけ
ば、凹凸感(立体感)が増し、より一層天然皮革の起毛
素材に近似する。
【0046】
【実施例】
実施例1 黒色の軟質塩化ビニル樹脂を使用してスラッシュ製法に
より成形したスラッシュブーツの本体部の全面に、表1
に示す組成の配合塗料を、100g/0.5足の塗布量
となるように、スプレー塗布した。
【0047】
【表1】
【0048】上記の配合塗料を乾燥させたところ、図1
に示したように、軟質塩化ビニル樹脂よりなる黒色基材
1上に、塗料樹脂Rと繊維物質Pと合成樹脂ビーズVよ
りなる層が形成されており、繊維物質Pの基部と合成樹
脂ビーズVとは、それぞれが塗料樹脂Rにより固着され
るとともに、基材1表面とも塗料樹脂Rにより固着さ
れ、しかも繊維物質Pは、前述したように、合成樹脂ビ
ーズVに挟持された形で、ランダムの方向に傾斜した植
毛状態となっていた。
【0049】また、塗料樹脂Rの上方に突出している繊
維物質Pの部分には、無数の合成樹脂ビーズVが付着
し、また塗料樹脂の小滴R′が少し付着するとともに、
長く突き出している繊維物質P′が存在していた。さら
に、図1中、点線(1)で囲んだ部分のように、繊維物
質Pが1本づつで植毛されている部分、点線(2)で囲
んだ部分のように、繊維物質Pが無数のランダムな群
(束)状で植毛されている部分、点線(3)で囲んだ部
分のように、(1)の植毛状態と(2)の植毛状態とが
混在している部分が、ランダムに無数に形成されてい
た。
【0050】この製品ブーツを肉眼で観察したところ、
あたかもスェード調の天然皮革に酷似した外観を呈し、
手触りも天然皮革のスェードに近似していた。
【0051】実施例2 実施例1で得られ製品を、密度100本/cmの金属
ブラシを使用して手作業によるバフ処理を、塗布部分の
全体に均一の強さで行った。
【0052】図2は、このバフ処理後の状態の断面を示
す図であり、図1の状態において、繊維物質Pの突出部
分にあった塗料樹脂の小滴R′、合成樹脂ビーズV、長
く突出している繊維物質P′などが除去されており、し
かも点線(2),(3)で囲んだ植毛状態の繊維物質P
のランダムな群が櫛けずられ、解繊されて、均一な植毛
状態となっていた。
【0053】この製品ブーツを肉眼で観察したところ、
実施例1のものより高級感のあるスェード調天然皮革に
酷似した外観を有し、手触りも実施例1のものより高級
な天然皮革のスェードに近似していた。
【0054】実施例3 実施例1の配合塗料を塗布する前に、通常のプライマー
コート用の塗料に、表1に示すものと同じ合成樹脂ビー
ズを配合した塗料で、50g/0.5足となるようにア
ンダーコートを行う以外は、実施例1と同様にしてブー
ツを製造した。得られた製品ブーツは、外観、手触りと
もに、実施例1のものに比して、立体感のあるものであ
った。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の製造法に
よれば、合成樹脂靴の基材を侵すことなく、基材に固着
された繊維物質の強度低下を招くことなく、しかも表面
のザラ付き感や冷たい感触を生じることもなく、天然皮
革のスェード調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した
優れた起毛調意匠が施された、最近の高級嗜好に適合す
る合成樹脂靴を、容易に製造することができる。しか
も、繊維物質による温暖感と、合成樹脂ビーズによる微
細な凹凸感および適度な冷涼感との相乗効果により、風
合いおよび触感とも、天然皮革のスェード調、ベロア
調、ヌバック調などに酷似したものとすることができ
る。さらに、繊維物質と合成樹脂ビーズとは、塗料樹脂
により、それぞれが強固に固着されるともに、基材にも
強固に固着されるため、機械的強度の向上をも図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な製造法で得られる合成樹脂靴
の断面を模式的に示す図である。
【図2】本発明の製造法において、バフ処理を加えた場
合に得られる合成樹脂靴の断面を模式的に示す図であ
る。
【図3】従来の植毛靴の断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂靴の基材 P、P′ 繊維物質 V 合成樹脂ビーズ R 塗料樹脂 R′ 塗料樹脂の小滴 B 接着剤層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A43B 1/00 - 23/30 A43D 21/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂よりなる靴の少なくとも本体部
    の少なくとも一部に、ベース塗料に繊維物質と合成樹脂
    ビーズとを配合した配合塗料を塗布し、乾燥して、繊維
    物質が合成樹脂ビーズ間に挟持された形の植毛状態を形
    することを特徴とする合成樹脂靴の製造法。
  2. 【請求項2】 繊維物質と合成樹脂ビーズとの配合塗料
    の塗布前に、アンダーコートを行うことを特徴とする請
    求項1に記載の合成樹脂靴の製造法。
  3. 【請求項3】 アンダーコート中に合成樹脂ビーズおよ
    び/または繊維物質を配合しておくことを特徴とする請
    求項1,2記載の合成樹脂靴の製造法。
  4. 【請求項4】 繊維物質と合成樹脂ビーズとの配合塗料
    の塗布部をバフ処理することを特徴とする請求項1〜3
    記載の合成樹脂靴の製造法。
  5. 【請求項5】 繊維物質と合成樹脂ビーズとが互いに異
    色、または互いに異色でかつ二種以上の色相であること
    を特徴とする請求項1〜4記載の合成樹脂靴の製造法。
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