JP2769538B2 - 合成樹脂靴の製造方法 - Google Patents
合成樹脂靴の製造方法Info
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- A43B—CHARACTERISTIC FEATURES OF FOOTWEAR; PARTS OF FOOTWEAR
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- A43B3/0036—Footwear characterised by the shape or the use characterised by a special shape or design
- A43B3/0078—Footwear characterised by the shape or the use characterised by a special shape or design provided with logos, letters, signatures or the like decoration
- A43B3/0084—Arrangement of flocked decoration on shoes
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- Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂靴の製造方法
に関し、詳しくは、天然皮革のスェード調、ベロア調、
あるいはヌバック調などを呈する合成樹脂靴の製造方法
に関する。
に関し、詳しくは、天然皮革のスェード調、ベロア調、
あるいはヌバック調などを呈する合成樹脂靴の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】靴は、履き心地,耐水性,耐久性が良好
である程、その商品価値が向上する。また、デザインが
多様で、しかもファッション性に優れていれば、その商
品価値は、なお一層向上する。ところで、型内に合成樹
脂を流し込んで成形するスラッシュ製法により底部と本
体部とが一体に成形されるスラッシュ靴、あるいは型内
に合成樹脂を射出して成形するインジェクション靴は、
上記の耐水性が極めて優れる上、履き心地,耐久性も良
好であることから、豪雪地帯はもとより、最近では都市
部においても需要が増大している。
である程、その商品価値が向上する。また、デザインが
多様で、しかもファッション性に優れていれば、その商
品価値は、なお一層向上する。ところで、型内に合成樹
脂を流し込んで成形するスラッシュ製法により底部と本
体部とが一体に成形されるスラッシュ靴、あるいは型内
に合成樹脂を射出して成形するインジェクション靴は、
上記の耐水性が極めて優れる上、履き心地,耐久性も良
好であることから、豪雪地帯はもとより、最近では都市
部においても需要が増大している。
【0003】これらスラッシュ靴やインジェクション
靴、その他手貼りや手縫いなどにより調製される各種の
合成樹脂靴において、デザインの多様化やファッション
性の向上の要請に応えるべく、本体部や底部に種々の意
匠が施される。その1つとして、スェード、ベロア、ヌ
バックなどの天然皮革に似せた起毛調表現の意匠が挙げ
られる。
靴、その他手貼りや手縫いなどにより調製される各種の
合成樹脂靴において、デザインの多様化やファッション
性の向上の要請に応えるべく、本体部や底部に種々の意
匠が施される。その1つとして、スェード、ベロア、ヌ
バックなどの天然皮革に似せた起毛調表現の意匠が挙げ
られる。
【0004】この起毛調表現の意匠を施すには、主とし
て、(1)成形面を起毛調に加工(具体的には、極く微
細な凹凸を無数に刻印)したモールドを使用する手法、
(2)繊維物質(すなわちパイル、以下、「繊維物質」
あるいは「パイル」と記す)の植毛技術(上記のような
合成樹脂靴のベースに接着剤を介して静電植毛法などに
よりパイルを植毛する技術)による手法、(3)繊維塗
料の塗装技術(塗料に繊維物質を配合したものをスプレ
ー、刷毛などにより塗装する技術)による手法、(4)
ビーズ塗料の塗装技術(微粒子状のビーズを配合した塗
料をスプレー、刷毛などにより塗装する技術)による手
法などがある。なお、(2)の手法は、一般にフロック
加工と呼ばれている。
て、(1)成形面を起毛調に加工(具体的には、極く微
細な凹凸を無数に刻印)したモールドを使用する手法、
(2)繊維物質(すなわちパイル、以下、「繊維物質」
あるいは「パイル」と記す)の植毛技術(上記のような
合成樹脂靴のベースに接着剤を介して静電植毛法などに
よりパイルを植毛する技術)による手法、(3)繊維塗
料の塗装技術(塗料に繊維物質を配合したものをスプレ
ー、刷毛などにより塗装する技術)による手法、(4)
ビーズ塗料の塗装技術(微粒子状のビーズを配合した塗
料をスプレー、刷毛などにより塗装する技術)による手
法などがある。なお、(2)の手法は、一般にフロック
加工と呼ばれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの起毛
調意匠の表現手法には、それぞれ次のような問題があ
る。 (1)の手法においては、モールド表面の極く微細な凹
部に汚れが付着し易く、また一旦付着した汚れは除去が
極めて困難であり、しかもこの微細な凹凸により成形後
の靴の脱型が困難になる上、表面がザラ付き感のある靴
が成形される傾向にあり、天然皮革様の起毛調表現に近
似したものとはならない。
調意匠の表現手法には、それぞれ次のような問題があ
る。 (1)の手法においては、モールド表面の極く微細な凹
部に汚れが付着し易く、また一旦付着した汚れは除去が
極めて困難であり、しかもこの微細な凹凸により成形後
の靴の脱型が困難になる上、表面がザラ付き感のある靴
が成形される傾向にあり、天然皮革様の起毛調表現に近
似したものとはならない。
【0006】(2)の手法によるフロック加工は、この
ような問題がない上、カラフルなパイルにより意匠性に
優れた靴を得ることはできるが、図3に示すように、合
成樹脂基材1上に接着剤層Bを介して植毛されるパイル
Pの殆どが垂直に立ってしまうため、パイルの繊維感の
みが強く出てしまい、天然皮革様の起毛感が極めて乏し
い。
ような問題がない上、カラフルなパイルにより意匠性に
優れた靴を得ることはできるが、図3に示すように、合
成樹脂基材1上に接着剤層Bを介して植毛されるパイル
Pの殆どが垂直に立ってしまうため、パイルの繊維感の
みが強く出てしまい、天然皮革様の起毛感が極めて乏し
い。
【0007】(3)の手法では、上記の(2)と異な
り、繊維物質(パイル)が倒れて固着されてしまうた
め、起毛感はもとより、立体感にも欠け、天然皮革様の
起毛調表現にはやや遠い製品となる。また、塗装面の機
械的強度も不足気味であり、塗装面(特に、繊維物質)
が容易に剥離し、耐久性に問題がある。
り、繊維物質(パイル)が倒れて固着されてしまうた
め、起毛感はもとより、立体感にも欠け、天然皮革様の
起毛調表現にはやや遠い製品となる。また、塗装面の機
械的強度も不足気味であり、塗装面(特に、繊維物質)
が容易に剥離し、耐久性に問題がある。
【0008】(4)の手法では、ビーズによる特殊で、
かつ優れた意匠性を付与し、かつ機械的強度も高いが、
冷たい感触やザラ付き感が残る上、起毛感に乏しく、上
記の(3)と同様、天然皮革様の起毛調表現にはやや遠
い製品となる。
かつ優れた意匠性を付与し、かつ機械的強度も高いが、
冷たい感触やザラ付き感が残る上、起毛感に乏しく、上
記の(3)と同様、天然皮革様の起毛調表現にはやや遠
い製品となる。
【0009】また、(2)と(3)の手法においては、
使用するパイルを細く、かつ短い言わゆる短カット繊維
とすれば、(2)では繊維感が弱まって天然皮革様の起
毛感に近づけることができ、(3)では倒れが防止され
起毛感および立体感が出て天然皮革様の起毛感に近づけ
ることができる。しかし、短カット繊維では、強度の面
で問題があり、実用的には、太くかつ長いパイルを使用
することが必須となっている。
使用するパイルを細く、かつ短い言わゆる短カット繊維
とすれば、(2)では繊維感が弱まって天然皮革様の起
毛感に近づけることができ、(3)では倒れが防止され
起毛感および立体感が出て天然皮革様の起毛感に近づけ
ることができる。しかし、短カット繊維では、強度の面
で問題があり、実用的には、太くかつ長いパイルを使用
することが必須となっている。
【0010】以上のように、上記(1)〜(4)のいず
れの手法で表現した起毛調意匠も、スェード、ベロア、
ヌバックなどの天然皮革に近似したものとは言い難く、
最近の高級嗜好に適合するものとはなっていない。
れの手法で表現した起毛調意匠も、スェード、ベロア、
ヌバックなどの天然皮革に近似したものとは言い難く、
最近の高級嗜好に適合するものとはなっていない。
【0011】そこで、本発明者らは、先に、以上の問題
を解決し、天然皮革のスェード調、ベロア調、ヌバック
調などに酷似した起毛調外観が施された合成樹脂靴の製
造法として、合成樹脂製の靴の少なくとも本体部に、繊
維物質と合成樹脂ビーズとを配合した塗料を塗布する手
法を提案している(特願平5−151157号明細書参
照−以下、これを「先提案」と記す)。
を解決し、天然皮革のスェード調、ベロア調、ヌバック
調などに酷似した起毛調外観が施された合成樹脂靴の製
造法として、合成樹脂製の靴の少なくとも本体部に、繊
維物質と合成樹脂ビーズとを配合した塗料を塗布する手
法を提案している(特願平5−151157号明細書参
照−以下、これを「先提案」と記す)。
【0012】本発明は、この先提案とは異なる手法によ
り、以上の問題を解決し、天然皮革のスェード調、ベロ
ア調、ヌバック調などに酷似した起毛調外観が施された
合成樹脂靴の製造方法を提供することを目的とする。
り、以上の問題を解決し、天然皮革のスェード調、ベロ
ア調、ヌバック調などに酷似した起毛調外観が施された
合成樹脂靴の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、検討を重ねた結果、前述のフロッ
ク加工を行った後に、前述の(4)の手法に類似の微小
固体粒子配合塗料を塗布すれば、先提案とは趣の異な
る、天然皮革のスェード調、ベロア調、ヌバック調など
に酷似した起毛調外観を呈する合成樹脂靴を得ることが
できることを見出した。
的を達成するために、検討を重ねた結果、前述のフロッ
ク加工を行った後に、前述の(4)の手法に類似の微小
固体粒子配合塗料を塗布すれば、先提案とは趣の異な
る、天然皮革のスェード調、ベロア調、ヌバック調など
に酷似した起毛調外観を呈する合成樹脂靴を得ることが
できることを見出した。
【0014】本発明の合成樹脂靴の製造方法は、上記の
知見に基づくもので、合成樹脂よりなる靴の少なくとも
本体部の少なくとも一部に、フロック加工を施し、この
上に微小固体粒子配合塗料を塗布することを特徴とす
る。
知見に基づくもので、合成樹脂よりなる靴の少なくとも
本体部の少なくとも一部に、フロック加工を施し、この
上に微小固体粒子配合塗料を塗布することを特徴とす
る。
【0015】また、本発明の合成樹脂靴の製造方法は、
上記の微小固体粒子配合塗料の塗布部をバフ処理するこ
とをも特徴とする。
上記の微小固体粒子配合塗料の塗布部をバフ処理するこ
とをも特徴とする。
【0016】本発明における合成樹脂よりなる靴は、前
述のスラッシュ靴(ペーストスラッシュ製法、パウダー
スラッシュ製法のいずれによるものでもよい)、インジ
ェクション靴、手貼り靴、手縫い靴のように、合成樹脂
を基材とする靴であれば、どのような製法による靴であ
ってもよい。
述のスラッシュ靴(ペーストスラッシュ製法、パウダー
スラッシュ製法のいずれによるものでもよい)、インジ
ェクション靴、手貼り靴、手縫い靴のように、合成樹脂
を基材とする靴であれば、どのような製法による靴であ
ってもよい。
【0017】また、合成樹脂の種類も、特に限定され
ず、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム系樹脂、エチレン系樹
脂、ポリウレタン系樹脂など、通常の合成樹脂靴に使用
されている合成樹脂であればどのような種類のものであ
ってもよい。
ず、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム系樹脂、エチレン系樹
脂、ポリウレタン系樹脂など、通常の合成樹脂靴に使用
されている合成樹脂であればどのような種類のものであ
ってもよい。
【0018】上記の合成樹脂靴に施されるフロック加工
は、従来のフロック加工と同様のものである。すなわ
ち、通常の植毛靴に使用されるパイルを、上記のような
合成樹脂靴のベースに接着剤を介して静電植毛法などに
より植毛したり、あるいは通常の靴塗装用の塗料に使用
される塗料に配合し、スプレー、刷毛などにより塗装し
て植毛したり、その他種々の手法により植毛するもので
ある。
は、従来のフロック加工と同様のものである。すなわ
ち、通常の植毛靴に使用されるパイルを、上記のような
合成樹脂靴のベースに接着剤を介して静電植毛法などに
より植毛したり、あるいは通常の靴塗装用の塗料に使用
される塗料に配合し、スプレー、刷毛などにより塗装し
て植毛したり、その他種々の手法により植毛するもので
ある。
【0019】なお、静電植毛法により植毛する場合、通
常のアップ方式、ダウン方式、アップダウン方式、サイ
ド方式が採用される。
常のアップ方式、ダウン方式、アップダウン方式、サイ
ド方式が採用される。
【0020】上記のパイルとしては、具体的には、ポリ
エステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、レーヨ
ンなどの半合成繊維、綿、麻、絹、ウールなどの天然繊
維、あるいはこれらの混合繊維などからなる通常の植毛
靴用パイルを挙げることができる。
エステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、レーヨ
ンなどの半合成繊維、綿、麻、絹、ウールなどの天然繊
維、あるいはこれらの混合繊維などからなる通常の植毛
靴用パイルを挙げることができる。
【0021】これらパイルの太さは、太すぎると、天然
皮革に近似した起毛調表現ができず、細すぎると、取扱
が困難になる上、機械的強度、耐摩耗性などの物性が低
下するため、0.3〜10デニール、好ましくは0.5
〜3デニールが適している。長さも、長すぎると、天然
皮革に近似した起毛調表現ができず、短すぎると、触感
がザラ付いた傾向になるため、0.3〜10mm、好ま
しくは0.5〜2.5mmが適している。
皮革に近似した起毛調表現ができず、細すぎると、取扱
が困難になる上、機械的強度、耐摩耗性などの物性が低
下するため、0.3〜10デニール、好ましくは0.5
〜3デニールが適している。長さも、長すぎると、天然
皮革に近似した起毛調表現ができず、短すぎると、触感
がザラ付いた傾向になるため、0.3〜10mm、好ま
しくは0.5〜2.5mmが適している。
【0022】また、上記の静電植毛に使用される接着剤
としては、合成樹脂靴のベースと使用するパイルとの接
着を強固にし得るものであれば、通常使用されている接
着剤のどのようなものでもよい。さらに、上記の塗装植
毛に使用される塗料としても、パイルを均一に配合する
ことができるとともに、パイルを合成樹脂靴のベースに
強固に固定し得るものであれば、通常使用されている靴
塗装用塗料のどのようなものでもよい。
としては、合成樹脂靴のベースと使用するパイルとの接
着を強固にし得るものであれば、通常使用されている接
着剤のどのようなものでもよい。さらに、上記の塗装植
毛に使用される塗料としても、パイルを均一に配合する
ことができるとともに、パイルを合成樹脂靴のベースに
強固に固定し得るものであれば、通常使用されている靴
塗装用塗料のどのようなものでもよい。
【0023】フロック加工を施す部分は、合成樹脂靴の
全面すなわち底部および本体部の全面であってもよい
し、本体部のみの全面であってもよいし、本体部の適宜
の一部(例えば、爪先と踵、あるいは胛被全面など)で
あってもよい。
全面すなわち底部および本体部の全面であってもよい
し、本体部のみの全面であってもよいし、本体部の適宜
の一部(例えば、爪先と踵、あるいは胛被全面など)で
あってもよい。
【0024】このようにして施されたフロック加工部分
の上に塗布される微小固体粒子配合塗料は、通常のビー
ズ塗料に使用される合成樹脂ビーズなどの微小固体粒子
を、通常の靴塗装用の塗料に使用される塗料(以下、
「ベース塗料」と言う)に配合したものが使用される。
の上に塗布される微小固体粒子配合塗料は、通常のビー
ズ塗料に使用される合成樹脂ビーズなどの微小固体粒子
を、通常の靴塗装用の塗料に使用される塗料(以下、
「ベース塗料」と言う)に配合したものが使用される。
【0025】このベース塗料は、上記の靴の基材となる
合成樹脂との接着性の良好なものであって、しかもフロ
ック加工によるパイルに対して悪影響のないものであれ
ばどのようなものでもよく、具体的には、水性タイプ、
溶剤タイプを問わず、一液タイプ、二液タイプのウレタ
ン系、あるいは天然・合成ゴム系、アクリル系塗料、そ
の他各種の一般的な塗料を使用することができる。
合成樹脂との接着性の良好なものであって、しかもフロ
ック加工によるパイルに対して悪影響のないものであれ
ばどのようなものでもよく、具体的には、水性タイプ、
溶剤タイプを問わず、一液タイプ、二液タイプのウレタ
ン系、あるいは天然・合成ゴム系、アクリル系塗料、そ
の他各種の一般的な塗料を使用することができる。
【0026】ベース塗料には、帯電防止剤、安定剤、紫
外線吸収剤、柔軟仕上剤、撥水剤、着色剤などの添加剤
を配合してもよい。
外線吸収剤、柔軟仕上剤、撥水剤、着色剤などの添加剤
を配合してもよい。
【0027】微小固体粒子は、前述のビーズ塗料に用い
られる合成樹脂ビーズなどが使用でき、具体的には、ベ
ース塗料中の溶剤に不溶な、アクリル系樹脂、ウレタン
系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、エチレン系樹脂、エポキシ系樹脂などか
らなるビーズの他に、レザーパウダーなどをも挙げるこ
とができる。
られる合成樹脂ビーズなどが使用でき、具体的には、ベ
ース塗料中の溶剤に不溶な、アクリル系樹脂、ウレタン
系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、エチレン系樹脂、エポキシ系樹脂などか
らなるビーズの他に、レザーパウダーなどをも挙げるこ
とができる。
【0028】微小固体粒子の粒径は、大きすぎると、粗
く、ザラ付いた触感になり、小さすぎると、艶消し状態
となり、いずれも天然皮革に近似した起毛調表現ができ
ないため、10〜100μm程度とすることが好まし
い。
く、ザラ付いた触感になり、小さすぎると、艶消し状態
となり、いずれも天然皮革に近似した起毛調表現ができ
ないため、10〜100μm程度とすることが好まし
い。
【0029】この微小固体粒子配合塗料(以下、「配合
塗料」と記すこともある)におけるベース塗料と微小固
体粒子の配合割合は、ベース塗料100重量部に対し、
微小固体粒子5〜20重量部とすることが好ましい。微
小固体粒子がこれより多いと、前述の(4)のビーズ塗
料の塗装技術と同様に、冷たい感触やザラ付き感が生じ
て、起毛感に欠けたものとなり、これより少なくても、
やはり、天然皮革の起毛調表現とすることが不可能ない
しは極めて困難となる。
塗料」と記すこともある)におけるベース塗料と微小固
体粒子の配合割合は、ベース塗料100重量部に対し、
微小固体粒子5〜20重量部とすることが好ましい。微
小固体粒子がこれより多いと、前述の(4)のビーズ塗
料の塗装技術と同様に、冷たい感触やザラ付き感が生じ
て、起毛感に欠けたものとなり、これより少なくても、
やはり、天然皮革の起毛調表現とすることが不可能ない
しは極めて困難となる。
【0030】上記の微小固体粒子は、フロック加工に使
用するパイルと、同色の1色または2色以上のものを使
用してもよいし、異色の1色または2色以上のものを使
用することもできる。また、ベース塗料に、微小固体粒
子およびパイルと同色または異色の着色剤を配合しても
よい。さらに、合成樹脂靴の基材についても、着色する
ことができ、この基材の色も種々のものを使用すること
ができる。
用するパイルと、同色の1色または2色以上のものを使
用してもよいし、異色の1色または2色以上のものを使
用することもできる。また、ベース塗料に、微小固体粒
子およびパイルと同色または異色の着色剤を配合しても
よい。さらに、合成樹脂靴の基材についても、着色する
ことができ、この基材の色も種々のものを使用すること
ができる。
【0031】これら微小固体粒子、パイル、ベース塗
料、および基材の色の組合せを工夫することによって、
変化に富んだ意匠表現をすることができる。これらの組
合せの一例を以下に挙げる。 (1)微小固体粒子、パイル、ベース塗料、基材とも、
同じ1色とする。 (2)微小固体粒子、パイル、ベース塗料、基材とも、
それぞれ異なる色とする。 (3)(2)において、基材とベース塗料とパイルは1
色とし、微小固体粒子は2以上の異なる色とする。 (4)(2)において、基材とベース塗料と微小固体粒
子は1色とし、パイルは2以上の異なる色とする。 (5)(2)において、基材とベース塗料は1色とし、
パイルは2以上の異なる色、微小固体粒子も2以上の異
なる色とする。 (6)ベース塗料とパイルと微小固体粒子を同じ1色と
し、基材をこれらとは異なる色とする。 (7)基材とベース塗料を同じ1色とし、パイルと微小
固体粒子をこれらとは異なる色とする。 (8)(7)において、パイルと微小固体粒子を同じ1
色またはそれぞれ異なる1色とするか、同じ2以上の色
またはそれぞれ異なる2以上の色とする。 なお、ベース塗料には、着色剤を配合せず、無着色のま
まで使用することもできる。
料、および基材の色の組合せを工夫することによって、
変化に富んだ意匠表現をすることができる。これらの組
合せの一例を以下に挙げる。 (1)微小固体粒子、パイル、ベース塗料、基材とも、
同じ1色とする。 (2)微小固体粒子、パイル、ベース塗料、基材とも、
それぞれ異なる色とする。 (3)(2)において、基材とベース塗料とパイルは1
色とし、微小固体粒子は2以上の異なる色とする。 (4)(2)において、基材とベース塗料と微小固体粒
子は1色とし、パイルは2以上の異なる色とする。 (5)(2)において、基材とベース塗料は1色とし、
パイルは2以上の異なる色、微小固体粒子も2以上の異
なる色とする。 (6)ベース塗料とパイルと微小固体粒子を同じ1色と
し、基材をこれらとは異なる色とする。 (7)基材とベース塗料を同じ1色とし、パイルと微小
固体粒子をこれらとは異なる色とする。 (8)(7)において、パイルと微小固体粒子を同じ1
色またはそれぞれ異なる1色とするか、同じ2以上の色
またはそれぞれ異なる2以上の色とする。 なお、ベース塗料には、着色剤を配合せず、無着色のま
まで使用することもできる。
【0032】上記の(1)〜(8)の組合せにおいて、
パイルの色および配合塗料の色(この配合塗料の色と
は、微小固体粒子の色によって、またベース塗料に着色
剤を配合する場合には、ベース塗料の色と微小固体粒子
の色によって現れる色を言う)は、いずれも基材の色よ
り、明度あるいは色調において薄い色とする(例えば、
基材が茶色の場合、パイルおよび配合塗料は同系の色よ
り少し薄い色とし、また基材がベージュなどの淡色の場
合は、パイルおよび配合塗料はなお一層淡い色とする)
ことが、品位の高い意匠表現とする上で好ましい。
パイルの色および配合塗料の色(この配合塗料の色と
は、微小固体粒子の色によって、またベース塗料に着色
剤を配合する場合には、ベース塗料の色と微小固体粒子
の色によって現れる色を言う)は、いずれも基材の色よ
り、明度あるいは色調において薄い色とする(例えば、
基材が茶色の場合、パイルおよび配合塗料は同系の色よ
り少し薄い色とし、また基材がベージュなどの淡色の場
合は、パイルおよび配合塗料はなお一層淡い色とする)
ことが、品位の高い意匠表現とする上で好ましい。
【0033】上記の微小固体粒子配合塗料を、上記のフ
ロック加工を施した上に塗布するには、通常の塗布技術
をそのまま適用することができる。すなわち、フロック
加工を施した部分の表面に、スプレー、刷毛、ロールな
どの塗布手段を用いて塗布したり、あるいはディッピン
グなどにより塗布すればよい。なお、スプレー、刷毛、
ロールなどで塗布する場合に、塗布方向を工夫すること
によって、フロック加工により植毛されているパイルを
種々の方向に傾斜させることができ、天然皮革の起毛調
表現に近似したものを容易に得ることができる。
ロック加工を施した上に塗布するには、通常の塗布技術
をそのまま適用することができる。すなわち、フロック
加工を施した部分の表面に、スプレー、刷毛、ロールな
どの塗布手段を用いて塗布したり、あるいはディッピン
グなどにより塗布すればよい。なお、スプレー、刷毛、
ロールなどで塗布する場合に、塗布方向を工夫すること
によって、フロック加工により植毛されているパイルを
種々の方向に傾斜させることができ、天然皮革の起毛調
表現に近似したものを容易に得ることができる。
【0034】微小固体粒子配合塗料の塗布量は、少なす
ぎれば、天然皮革の起毛調表現とならず、多すぎると、
ベース塗料の乾燥に長時間を要するのみならず、製品靴
の重量が大きくなるなどの問題も生じるため、一般に
は、ウエット状態において、50〜150μm程度の厚
さとなるような塗布量とすればよい。
ぎれば、天然皮革の起毛調表現とならず、多すぎると、
ベース塗料の乾燥に長時間を要するのみならず、製品靴
の重量が大きくなるなどの問題も生じるため、一般に
は、ウエット状態において、50〜150μm程度の厚
さとなるような塗布量とすればよい。
【0035】以上のようにして微小固体粒子配合塗料を
塗布し、配合塗料が乾燥すれば、本発明による合成樹脂
靴を得ることができ、この靴は、天然皮革のスェード
調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した起毛調意匠が
施されたものとなっている。
塗布し、配合塗料が乾燥すれば、本発明による合成樹脂
靴を得ることができ、この靴は、天然皮革のスェード
調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した起毛調意匠が
施されたものとなっている。
【0036】また、配合塗料が乾燥した後、配合塗料の
塗布部分にバフ処理を施すと、天然皮革の高級なスェー
ド調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した製品靴を得
ることができる。
塗布部分にバフ処理を施すと、天然皮革の高級なスェー
ド調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した製品靴を得
ることができる。
【0037】このバフ処理は、パイルの先端部に付着し
ているベース塗料の成分である樹脂(以下、「塗料樹
脂」と記す)の小滴や微小固体粒子、あるいは長く突出
しているパイルを除去するとともに、無数のパイルがラ
ンダムに群がっている部分を櫛けずり、1本1本のパイ
ルに解繊するために、あるいはパイルを短くカットする
ために行うものである。バフ処理の方法としては、通常
の起毛調表現の靴に適用されている一般的な方法が採用
でき、具体的には、ショットブラスト法、ブラッシング
法、サンドペーパー法などが用いられる。
ているベース塗料の成分である樹脂(以下、「塗料樹
脂」と記す)の小滴や微小固体粒子、あるいは長く突出
しているパイルを除去するとともに、無数のパイルがラ
ンダムに群がっている部分を櫛けずり、1本1本のパイ
ルに解繊するために、あるいはパイルを短くカットする
ために行うものである。バフ処理の方法としては、通常
の起毛調表現の靴に適用されている一般的な方法が採用
でき、具体的には、ショットブラスト法、ブラッシング
法、サンドペーパー法などが用いられる。
【0038】ショットブラスト法の場合は、あまり小粒
径のものでは、バフ処理効果が発現せず、上記の櫛けず
りも解繊が良好に行われない。逆にあまり大粒径のもの
では、ピーチ調やスェード調などの微細な起毛感を付与
することができない。また、吹きつけ圧も、低すぎれば
バフ処理効果が発現せず、高すぎると櫛けずりや解繊の
度合いが大きくなり、繊維感が強く出たり、パイルの強
度低下が大きくなるなどの不都合がある。
径のものでは、バフ処理効果が発現せず、上記の櫛けず
りも解繊が良好に行われない。逆にあまり大粒径のもの
では、ピーチ調やスェード調などの微細な起毛感を付与
することができない。また、吹きつけ圧も、低すぎれば
バフ処理効果が発現せず、高すぎると櫛けずりや解繊の
度合いが大きくなり、繊維感が強く出たり、パイルの強
度低下が大きくなるなどの不都合がある。
【0039】ブラッシングの場合は、プラスチック製の
ブラシを使用すると、摩擦熱でブラシが溶けることがあ
るため、金属製のブラシを使用することが望ましい。ま
た、ブラシの密度は、高いものよりは低いものの方が、
風合いの良好な製品を得ることができるため好ましく、
一般には、30〜400本/cm2程度の密度のものを
使用する。このときのブラッシング強度は、仕上がり状
態や、所望の起毛感に応じて、適宜に調整すればよい。
ブラシを使用すると、摩擦熱でブラシが溶けることがあ
るため、金属製のブラシを使用することが望ましい。ま
た、ブラシの密度は、高いものよりは低いものの方が、
風合いの良好な製品を得ることができるため好ましく、
一般には、30〜400本/cm2程度の密度のものを
使用する。このときのブラッシング強度は、仕上がり状
態や、所望の起毛感に応じて、適宜に調整すればよい。
【0040】サンドペーパーの場合は、番号の小さすぎ
るものでは、パイルの表面(極く先端部)のみが細かく
櫛けずられあるいは解繊されてしまい、番号の大きすぎ
るものでは、パイルが強く摩耗、除去されて、荒い仕上
がりとなってしまう。したがって、本発明では、30〜
300番の範囲内において、所望の起毛感に応じて、適
宜の番号のものを選定して使用することが適している。
このときの摩擦強度も、仕上がり状態や、所望の起毛感
に応じて、適宜に調整すればよい。
るものでは、パイルの表面(極く先端部)のみが細かく
櫛けずられあるいは解繊されてしまい、番号の大きすぎ
るものでは、パイルが強く摩耗、除去されて、荒い仕上
がりとなってしまう。したがって、本発明では、30〜
300番の範囲内において、所望の起毛感に応じて、適
宜の番号のものを選定して使用することが適している。
このときの摩擦強度も、仕上がり状態や、所望の起毛感
に応じて、適宜に調整すればよい。
【0041】これらいずれの方法による場合であって
も、ベース塗料や微小固体粒子により結束され塊状で付
着しているパイルの先端部を解繊し、これらのベース塗
料や微小固体粒子をパイルから部分的に取り除くことに
より、あたかも天然皮革の毛がなびいているようにする
ことが好ましい。
も、ベース塗料や微小固体粒子により結束され塊状で付
着しているパイルの先端部を解繊し、これらのベース塗
料や微小固体粒子をパイルから部分的に取り除くことに
より、あたかも天然皮革の毛がなびいているようにする
ことが好ましい。
【0042】以上のようにしてバフ処理する際に、塗布
部分の全体を同じ強さでバフ処理してもよいし、部分的
にバフ処理強さを変化させて、起毛感を部分的に変化さ
せることもできる。後者の場合は、バフ処理強さを変化
させる部分において、以上のように、ショットブラスト
の吹きつけ粒径や吹きつけ圧、ブラシの密度やブラッシ
ング圧、サンドペーパーの番号や摩擦強度を適宜調整す
ることにより容易に行うことができる。なお、起毛感の
変化は、天然皮革のピーチ調(起毛感小)からベロア調
(起毛感大)まで幅の広い変化が容易に可能である。
部分の全体を同じ強さでバフ処理してもよいし、部分的
にバフ処理強さを変化させて、起毛感を部分的に変化さ
せることもできる。後者の場合は、バフ処理強さを変化
させる部分において、以上のように、ショットブラスト
の吹きつけ粒径や吹きつけ圧、ブラシの密度やブラッシ
ング圧、サンドペーパーの番号や摩擦強度を適宜調整す
ることにより容易に行うことができる。なお、起毛感の
変化は、天然皮革のピーチ調(起毛感小)からベロア調
(起毛感大)まで幅の広い変化が容易に可能である。
【0043】
【作用】本発明においては、フロック加工が施された上
に塗布された微小固体粒子配合塗料は、該塗料の一方の
構成成分であるベース塗料がフロック加工により植毛さ
れているパイル間を基材側に移行(沈降)し、この移行
(沈降)に伴って他方の構成成分である微小固体粒子も
一部移行(沈降)する。そして、例えば、図1に模式的
に示すように、パイルPは、微小固体粒子配合塗料のベ
ース塗料Rにより結束されるとともに、微小固体粒子V
間に挟持された形の植毛状態となる。しかも、図1の点
線(1)で囲んだ部分に示すように、パイルPが1本づ
つで植毛されている部分、点線(2)で囲んだ部分に示
すように、無数のパイルPがランダムに群がって植毛さ
れている部分、点線(3)で囲んだ部分に示すように、
(1)の植毛状態と(2)の植毛状態とが混在している
部分、が無数にランダムに形成され、パイルPの先端が
種々の方向を向き、繊維感が減少して、天然皮革の起毛
調表現に近づく。
に塗布された微小固体粒子配合塗料は、該塗料の一方の
構成成分であるベース塗料がフロック加工により植毛さ
れているパイル間を基材側に移行(沈降)し、この移行
(沈降)に伴って他方の構成成分である微小固体粒子も
一部移行(沈降)する。そして、例えば、図1に模式的
に示すように、パイルPは、微小固体粒子配合塗料のベ
ース塗料Rにより結束されるとともに、微小固体粒子V
間に挟持された形の植毛状態となる。しかも、図1の点
線(1)で囲んだ部分に示すように、パイルPが1本づ
つで植毛されている部分、点線(2)で囲んだ部分に示
すように、無数のパイルPがランダムに群がって植毛さ
れている部分、点線(3)で囲んだ部分に示すように、
(1)の植毛状態と(2)の植毛状態とが混在している
部分、が無数にランダムに形成され、パイルPの先端が
種々の方向を向き、繊維感が減少して、天然皮革の起毛
調表現に近づく。
【0044】この状態のものをさらにバフ処理すること
により、パイルPの上方部に付着している微小固体粒子
V′や塗料樹脂の小滴R′を除去するとともに、パイル
Pを櫛けずり、解繊する。この櫛けずりおよび解繊が、
パイルPによる繊維感をさらに減少させて、高級な天然
皮革の起毛調表現により一層近づける。
により、パイルPの上方部に付着している微小固体粒子
V′や塗料樹脂の小滴R′を除去するとともに、パイル
Pを櫛けずり、解繊する。この櫛けずりおよび解繊が、
パイルPによる繊維感をさらに減少させて、高級な天然
皮革の起毛調表現により一層近づける。
【0045】このとき、基材1の色と、パイルPおよび
微小固体粒子Vの色、あるいはベース塗料Rの色を種々
の組合せで異ならせたり、パイルPおよび微小固体粒子
Vの色を2以上の異なる色を使用したり、あるいはバフ
処理の強さを部分的に変化させるなどにより、変化に富
む意匠表現を施すことができる。
微小固体粒子Vの色、あるいはベース塗料Rの色を種々
の組合せで異ならせたり、パイルPおよび微小固体粒子
Vの色を2以上の異なる色を使用したり、あるいはバフ
処理の強さを部分的に変化させるなどにより、変化に富
む意匠表現を施すことができる。
【0046】また、パイルPによる温暖感と、微小固体
粒子Vによる微細な凹凸感および適度な冷涼感とが相乗
して、風合いおよび触感が、天然皮革の起毛素材に酷似
した表現をもたらす。
粒子Vによる微細な凹凸感および適度な冷涼感とが相乗
して、風合いおよび触感が、天然皮革の起毛素材に酷似
した表現をもたらす。
【0047】なお、フロック加工により基材1に植毛さ
れたパイルP、およびこの上に塗布された微小固体粒子
Vは、塗料樹脂Rにより基材1表面に強固に固着された
状態となるため、機械的強度においてはなんら問題な
い。
れたパイルP、およびこの上に塗布された微小固体粒子
Vは、塗料樹脂Rにより基材1表面に強固に固着された
状態となるため、機械的強度においてはなんら問題な
い。
【0048】
実施例1 軟質塩化ビニル樹脂を使用してスラッシュ製法により成
形したスラッシュブーツの本体部の全面に、接着剤とし
てアクリルエマルジョン((株)トウペ製商品名“XA
−3544”)を塗布し、2デニール×1.5mmのブ
ラウン色のナイロンパイルをアップ方式により静電植毛
し、80℃×30分間の乾燥を行った後、エアーブロー
により固着されていないパイルを除去した。
形したスラッシュブーツの本体部の全面に、接着剤とし
てアクリルエマルジョン((株)トウペ製商品名“XA
−3544”)を塗布し、2デニール×1.5mmのブ
ラウン色のナイロンパイルをアップ方式により静電植毛
し、80℃×30分間の乾燥を行った後、エアーブロー
により固着されていないパイルを除去した。
【0049】この後、表1に示す組成の配合塗料を、ウ
エット状態で100μmの厚さとなるように、スプレー
塗布し、80℃×20分間の乾燥を行った。
エット状態で100μmの厚さとなるように、スプレー
塗布し、80℃×20分間の乾燥を行った。
【0050】
【表1】
【0051】上記の配合塗料を乾燥させたところ、図1
に示したように、軟質塩化ビニル樹脂よりなる基材1上
に、塗料樹脂(ウレタン樹脂)RとパイルPと微小固体
粒子(ウレタンビーズ)Vよりなる層が形成されてい
る。この層において、パイルPは、基部が接着剤Bによ
り基材1に固着され、基部から上の部分が塗料樹脂Rに
より結束されて塊状となっており、しかも塗料樹脂R中
の微小固体粒子Vによって挟持された形で、かつランダ
ムの方向に傾斜した植毛状態となっている。
に示したように、軟質塩化ビニル樹脂よりなる基材1上
に、塗料樹脂(ウレタン樹脂)RとパイルPと微小固体
粒子(ウレタンビーズ)Vよりなる層が形成されてい
る。この層において、パイルPは、基部が接着剤Bによ
り基材1に固着され、基部から上の部分が塗料樹脂Rに
より結束されて塊状となっており、しかも塗料樹脂R中
の微小固体粒子Vによって挟持された形で、かつランダ
ムの方向に傾斜した植毛状態となっている。
【0052】また、パイルPの上方に突出している部分
には、無数の微小固体粒子Vが付着するとともに、塗料
樹脂の小滴R′が少し付着している。しかも、長く突き
出しているパイルP′も僅かに存在している。
には、無数の微小固体粒子Vが付着するとともに、塗料
樹脂の小滴R′が少し付着している。しかも、長く突き
出しているパイルP′も僅かに存在している。
【0053】さらに、図1中、点線(1)で囲んだ部分
のように、パイルPが1本づつで植毛されている部分、
点線(2)で囲んだ部分のように、パイルPが無数のラ
ンダムな群(束)状で植毛されている部分、点線(3)
で囲んだ部分のように、(1)の植毛状態と(2)の植
毛状態とが混在している部分が、ランダムに無数に形成
されていた。
のように、パイルPが1本づつで植毛されている部分、
点線(2)で囲んだ部分のように、パイルPが無数のラ
ンダムな群(束)状で植毛されている部分、点線(3)
で囲んだ部分のように、(1)の植毛状態と(2)の植
毛状態とが混在している部分が、ランダムに無数に形成
されていた。
【0054】この製品ブーツを肉眼で観察したところ、
あたかもスェード調の天然皮革に酷似した外観を呈し、
手触りも天然皮革のスェードに近似していた。
あたかもスェード調の天然皮革に酷似した外観を呈し、
手触りも天然皮革のスェードに近似していた。
【0055】実施例2 実施例1で得られ製品の本体部の全面(すなわち、上記
のフロック加工と配合塗料の塗布を行った部分の全面)
を、AA−100番のサンドペーパーを使用した手作業
によるバフ処理を、長さ1.5mmのパイルが1/3〜
1/2にカットされるまで行い、短いパイルを植毛させ
た状態に仕上げた。
のフロック加工と配合塗料の塗布を行った部分の全面)
を、AA−100番のサンドペーパーを使用した手作業
によるバフ処理を、長さ1.5mmのパイルが1/3〜
1/2にカットされるまで行い、短いパイルを植毛させ
た状態に仕上げた。
【0056】図2は、このバフ処理後の状態の断面を示
す図であり、図1の状態において、パイルPの突出部分
にあった塗料樹脂の小滴R′や微小固体粒子V、あるい
は長く突出しているパイルP′などが除去されており、
しかも点線(2),(3)で囲んだ植毛状態のパイルP
のランダムな群が櫛けずられ、解繊されて、均一な植毛
状態となっていた。
す図であり、図1の状態において、パイルPの突出部分
にあった塗料樹脂の小滴R′や微小固体粒子V、あるい
は長く突出しているパイルP′などが除去されており、
しかも点線(2),(3)で囲んだ植毛状態のパイルP
のランダムな群が櫛けずられ、解繊されて、均一な植毛
状態となっていた。
【0057】この製品ブーツを肉眼で観察したところ、
実施例1のものより高級感のあるスェード調天然皮革に
酷似した外観を有し、手触りも実施例1のものより高級
な天然皮革のスェードに近似していた。
実施例1のものより高級感のあるスェード調天然皮革に
酷似した外観を有し、手触りも実施例1のものより高級
な天然皮革のスェードに近似していた。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の製造方法
によれば、合成樹脂靴の基材を侵すことなく、基材に固
着されたパイルの強度低下を招くことなく、しかも表面
のザラ付き感や冷たい感触を生じることもなく、天然皮
革のスェード調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した
優れた起毛調意匠が施された、最近の高級嗜好に適合す
る合成樹脂靴を、容易に製造することができる。しか
も、パイルによる温暖感と、微小固体粒子による微細な
凹凸感および適度な冷涼感との相乗効果により、風合い
および触感とも、天然皮革のスェード調、ベロア調、ヌ
バック調などに酷似したものとすることができる。さら
に、フロック加工により基材に植毛されたパイル、およ
びこの上に塗布された微小固体粒子は、塗料樹脂により
基材表面に強固に固着された状態となるため、機械的強
度の向上をも図ることができる。
によれば、合成樹脂靴の基材を侵すことなく、基材に固
着されたパイルの強度低下を招くことなく、しかも表面
のザラ付き感や冷たい感触を生じることもなく、天然皮
革のスェード調、ベロア調、ヌバック調などに酷似した
優れた起毛調意匠が施された、最近の高級嗜好に適合す
る合成樹脂靴を、容易に製造することができる。しか
も、パイルによる温暖感と、微小固体粒子による微細な
凹凸感および適度な冷涼感との相乗効果により、風合い
および触感とも、天然皮革のスェード調、ベロア調、ヌ
バック調などに酷似したものとすることができる。さら
に、フロック加工により基材に植毛されたパイル、およ
びこの上に塗布された微小固体粒子は、塗料樹脂により
基材表面に強固に固着された状態となるため、機械的強
度の向上をも図ることができる。
【図1】本発明の基本的な製造方法で得られる合成樹脂
靴の断面を模式的に示す図である。
靴の断面を模式的に示す図である。
【図2】本発明の製造方法において、バフ処理を加えた
場合に得られる合成樹脂靴の断面を模式的に示す図であ
る。
場合に得られる合成樹脂靴の断面を模式的に示す図であ
る。
【図3】従来の植毛靴の断面を模式的に示す図である。
1 合成樹脂靴の基材 P、P′ パイル V 微小固体粒子 R 塗料樹脂 R′ 塗料樹脂の小滴 B 接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−311903(JP,A) 特開 平2−190335(JP,A) 特開 昭61−252141(JP,A) 実開 昭58−8307(JP,U) 実開 昭50−32149(JP,U) 実開 昭48−3644(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A43B 1/00 - 1/14 A43B 23/02 A43D 21/00
Claims (3)
- 【請求項1】 合成樹脂よりなる靴の少なくとも本体部
の少なくとも一部にフロック加工を施し、この上に微小
固体粒子配合塗料を塗布することを特徴とする合成樹脂
靴の製造方法。 - 【請求項2】 微小固体粒子配合塗料の塗布部をバフ処
理することを特徴とする請求項1記載の合成樹脂靴の製
造方法。 - 【請求項3】 パイルと微小固体粒子とが互いに異色、
または互いに異色でかつ二種以上の色相であることを特
徴とする請求項1,2記載の合成樹脂靴の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6119578A JP2769538B2 (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 合成樹脂靴の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6119578A JP2769538B2 (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 合成樹脂靴の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07298906A JPH07298906A (ja) | 1995-11-14 |
JP2769538B2 true JP2769538B2 (ja) | 1998-06-25 |
Family
ID=14764824
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6119578A Expired - Lifetime JP2769538B2 (ja) | 1994-05-09 | 1994-05-09 | 合成樹脂靴の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2769538B2 (ja) |
-
1994
- 1994-05-09 JP JP6119578A patent/JP2769538B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07298906A (ja) | 1995-11-14 |
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