JP3263056B2 - ウシのモリブデン補酵素欠損症の遺伝子診断法 - Google Patents

ウシのモリブデン補酵素欠損症の遺伝子診断法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウシのモリブデン
補酵素欠損症の遺伝子診断法(又は検出方法)に関し、
さらに詳しくはウシのモリブデン補酵素欠損症の遺伝子
診断法(又は検出方法)に関する。
【0002】
【発明に関わる語句の定義】本明細書において、「Mcs
u」はMcsu遺伝子が転写され翻訳されて生成したタンパ
ク質を意味し、「Mcsu遺伝子」はMcsuをコードしている
翻訳領域のエクソン部分、隣接している非翻訳領域のエ
クソン部分、それらのイントロン部分、該遺伝子の発現
の制御に関わる領域に加え、本疾患に関連する変異部分
が含まれるDNAの領域を意味する。
【0003】
【従来の技術】モリブデン補酵素欠損症は、腎結石症を
主徴とする常染色体性劣性遺伝病であり、臨床的には生
後1〜6カ月で発育不良、背湾姿勢、運動緩慢などを呈
し、生化学的特徴として血液中のBUN(尿素態窒素)値
及びクレアチニン値が高く、尿酸値の異常に低い疾患で
ある。また、腎結石の成分はキサンチンであり、各組織
中のキサンチン酸化酵素(XO)の著しい低下が見られ
る。本疾患は、和牛においては1974年以降発生が認めら
れている。モリブデン補酵素欠損症を発症したウシは、
血液中のBUN値及びクレアチニン値の異常な高さを伴う
発育不良として発見することができる。しかし、一方の
染色体上にのみ異常に関連した遺伝子を有するヘテロ接
合体であるウシ、すなわち遺伝的にモリブデン補酵素欠
損症のキャリアーであるウシについてはその異常を知る
ことが難しい。したがって、見かけ上は異常の認められ
ないウシ同士を交配させた場合でも生まれてくる子牛に
異常が現れることがあり、本疾患の発生を未然に防ぐ上
では問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】ウシのモリブデン
補酵素欠損症を予防する手段の1つとして、ヘテロ接合
体同士の交配を避けるという方法が考えられる。そのた
めにはウシのモリブデン補酵素欠損症の診断を遺伝子レ
ベルで行い、疾患遺伝子のキャリアーを早急に見つけだ
す必要がある。異常を持つウシの疾患遺伝子が正常なも
のに比べてどのように変異しているかを明らかにし、様
々な遺伝子工学的手法により変異遺伝子を迅速に検出で
きる手段を得ることができれば、このような遺伝子診断
法を確立することができる。したがって、本発明の目的
はウシのモリブデン補酵素欠損症の遺伝子診断法(遺伝
子検出法)を提供することである。これにより、モリブ
デン補酵素欠損症のキャリアーをスクリーニングするこ
とによって今後の本疾患の発生を未然に防ぐことができ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために研究を重ねた結果、本疾患と密接に関
連するMcsu遺伝子を同定することに成功した。この遺伝
子は、モリブデン補因子硫化酵素(molybdenum cofacto
r sulfurase、Mcsu)をコードしているため、Mcsu遺伝
子と命名した。さらに、本発明者らは、Mcsu遺伝子の翻
訳領域の3 bpの欠損という変異により257番目のアミノ
酸残基のチロシンが欠失したため、Mcsuの酵素活性が消
失したことが本疾患の原因であることを見出し、該遺伝
子上に設定した特定のオリゴヌクレオチドプライマーを
含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR(ポリ
メラーゼ連鎖反応)法により、かかる変異が検出される
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、 (1)工程(a):ウシの核酸試料を得る行程、 工程(b):工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増
幅反応に付して、ウシのMcsu遺伝子に存在しうる変異部
位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び 工程(c):工程(b)の核酸断片について変異の存在を
調べる工程、を含むウシのモリブデン補酵素欠損症遺伝
子診断法。 (2)変異部位を含む領域がウシMcsu遺伝子の塩基配列
中、配列表の配列番号:1に示される塩基配列の1〜2,55
0位を含む領域である前記 (1)記載の遺伝子診断法。 (3)遺伝子増幅反応が PCR法によって行われる前記
(1)又(2)は記載の遺伝子診断法。 (4)変異の存在を核酸断片長型を検出して調べること
を特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の遺
伝子診断法。
【0007】(5)核酸試料がゲノミックDNA、cDNA、
又はmRNAを含む試料である前記(1)乃至(4)のいずれ
かに記載の遺伝子診断法。
【0008】別の態様では、本発明は、 (6)ウシのモリブデン補酵素欠損症を検出するための
キットであって、ウシのMcsu遺伝子に存在しうる変異部
位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するのに利用
されるオリゴヌクレオチドプライマーを含有しているこ
とを特徴とするキット。 (7)オリゴヌクレオチドプライマーが、(a)配列表の
配列番号:1に示された塩基配列のうちの任意の領域に
相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び(b)
配列表の配列番号:1に示された塩基配列のうちの任意
の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチ
ドからなる群から選ばれたものであることを特徴とする
上記(6)記載のキット。 (8)オリゴヌクレオチドプライマーが、(a)配列表の
配列番号:1に示された塩基配列のうちの5'端側の任意
の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
及び(b)配列表の配列番号:1に示された塩基配列のうち
の3'端側の任意の領域に対する相補塩基配列を有するオ
リゴヌクレオチドからなる群から選ばれたものであるこ
とを特徴とする上記(6)又は(7)記載のキット。
【0009】 (9)オリゴヌクレオチドプライマーが、10〜50個のヌ
クレオチドからなるものであることを特徴とする上記
(6)乃至(8)のいずれかに記載のキット。 (10)オリゴヌクレオチドプライマーが、1535個の
ヌクレオチドからなるものであることを特徴とする上記
(6)乃至(9)のいずれかに記載のキット。 (11) オリゴヌクレオチドプライマーが、配列表の
配列番号2、3に示されたものからなる群から選ばれたも
のであることを特徴とする上記(6)乃至(10)のいず
れかに記載のキット。
【0010】(12)ウシMcsu遺伝子及びウシのモリブ
デン補酵素欠損症の遺伝子に対応するヌクレオチド配列
又はその相補鎖を有する核酸。 (13)(a)配列表の配列番号:1で示されたヌクオチド
配列又はその相補鎖、(b)前記配列(a)とハイブリッド形
成し、PCRによりウシのMcsu遺伝子に存在しうる変異部
位を含む領域を遺伝子増幅するのに利用できる一切の配
列、(c)遺伝子コードの縮退のために前記配列(a)及び
(b)から派生した配列からなる群から選ばれた配列を有
するものであることを特徴とする(12)記載の核酸。 (14)配列表の配列番号:1で示されたヌクレオチド
配列又はその相補鎖を含むヌクレオチドを有するもので
あることを特徴とする(12)または(13)のいずれかに
記載の核酸。 (15)ゲノミックDNA配列、cDNA配列、RNA配列、合成
配列、及び半合成配列からなる群から選ばれたものであ
ることを特徴とする上記(12)乃至(14)のいずれかに
記載の核酸。
【0011】(16)上記(12)乃至(14)のいずれか
に記載の配列を有する核酸又は対応するmRNAとハイブリ
ッド形成でき、ウシのMcsu遺伝子に存在しうる変異部位
を含む配列を明らかにしたり、及び/又は、単離するこ
とを可能にするものであることを特徴とするヌクレオチ
ドプローブ。 (17)ウシのモリブデン補酵素欠損症を検出するた
め、ウシのMcsu遺伝子に存在しうる変異部位を含む配列
を明らかにしたり、及び/又は、単離するための上記(1
6)記載のヌクレオチドプローブを使用する方法。 (18)上記(6)乃至(11)のいずれかに記載のオリ
ゴヌクレオチドプライマー。 (19)上記(18)記載のオリゴヌクレオチドプライマ
ーを含有することを特徴とするウシのモリブデン補酵素
欠損症用遺伝子診断試薬。
【0012】本発明の目的、特徴、利点及びそのアイデ
アは、本明細書の記載により当業者には明らかであろ
う。以下の発明の実施の形態の項の記載及び具体的な実
施例などの記載は、本発明の好ましい態様を示すもので
あり、説明のためにのみここにおいて示されているもの
であることは理解されるべきであり、本明細書で開示さ
れている本発明の意図並びに範囲内で様々な改変並びに
修飾が、それらの記載に基づいて当業者に容易に明らか
になるであろう。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 1.ウシのモリブデン補酵素欠損症の遺伝子診断法(検
出方法)の確立 後述のように、ウシのモリブデン補酵素欠損症の原因と
なる遺伝子上の変異が解明され(図1)、この変異を利
用して該疾患の検出を行うことができる。具体的なウシ
のモリブデン補酵素欠損症の遺伝子診断法(検出方法)
としては、次のような工程を含む様態が例示される。す
なわち、 工程(a):ウシの核酸試料を得る工程、 工程(b):工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増
幅反応に付して、ウシのMcsu遺伝子に存在しうる変異部
位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び 工程(c):行程(b)の核酸断片について変異の存在を
調べる工程、である。
【0014】第1に、工程(a)について述べる。本発
明に用いられるウシの核酸試料としては、Mcsuをコード
するヌクレオチド配列を有するものであれば特に限定さ
れるものではなく、適当な細胞又は組織由来の核酸(全
ゲノムDNA及び細胞の全RNAから転写されたcDNAを包含す
る)、例えば、ゲノミックDNA、cDNA、mRNA等があげら
れる。ウシの核酸試料の調整は、公知の方法、例えばMo
lecular cloning, a laboratory manual (2nd edition)
(J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis(Ed.), C
old Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New Y
ork (1989))に記載の方法により行うことができる。
【0015】第2に、工程(b)について述べる。工程
(a)で得られた核酸試料及び適当なプライマーを用い
て、ウシMcsu遺伝子に存在しうる変位部位を含む領域が
増幅され、所望の核酸断片を得ることができる。本工程
で用いられる遺伝子増幅反応の方法としては、該領域を
増幅できる方法であれば特に限定されないが、PCR法、R
NAポリメラーゼを利用した核酸増幅法や鎖置換増幅法の
ような核酸増幅法を利用することができる。なかでもPC
R法が好ましく用いられる。増幅の対象となる、変異部
位を含む領域としては、ウシMcsu遺伝子の塩基配列のう
ち、ウシのモリブデン補酵素欠損症の原因となる変異を
含んでいる領域であれば特に限定されず、例えば、配列
表の配列番号:1に示される塩基配列の中の1〜2,550位
を含む領域が挙げられる。
【0016】本明細書中、「ポリメラーゼ連鎖反応」又
は「PCR」とは、一般的に、米国特許第4683195号明細書
に記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレ
オチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法
を指している。一般に、PCR法は、鋳型核酸と優先的に
ハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオ
チドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行う
ところのサイクルを繰り返し行うことを含むものであ
る。典型的には、PCR法で用いられるプライマーは、鋳
型内部の増殖されるべきヌクレオチド配列に対して相補
的なプライマーを使用することができ、例えば、該増幅
されるべきヌクレオチド配列とその両端において相補的
であるか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列
に隣接しているものを好ましく使用され得る。
【0017】PCR法は、M. A. Innis, D. M. Gelfaud,
J. J. Snindky, & T. J. White (Ed.), PCR protocols:
a guide to methods and applications, Academic Pre
ss, Inc., New York (1990); M. J. McPherson, P. Qui
rke & G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approac
h, IRL Press, Oxford (1991); R. K. Saiki et al.,Sc
ience, 239, 487-491 (1988); M. A. Frohman et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988)な
どに記載の方法あるいはそれを修飾したり、改変した方
法により行うことができる。また、PCR法は、それに適
した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造
業者あるいはキット販売業者により明らかにされている
プロトコールに従って実施することもできる。
【0018】本明細書中、「オリゴヌクレオチド」と
は、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド
で、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、
Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol. 28, p. 716-734
(1989)に記載されているような既知の方法、例えば、ト
リエステル法、ホスファイト法、ホスホアミダイト法、
ホスホネート法などの方法により化学合成されることが
できる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を
便利に行うことができることが知られており、例えば、
自動化された合成装置を用いて行うことができ、該装置
は市販されている。該オリゴヌクレオチドは、一つ又は
それ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例え
ば、イノシンなどの天然においては普通でない塩基ある
いはトリチル化された塩基などを含有していてよい。
【0019】PCR法で用いるプライマーとしては、上記
の変異部位を含むDNA断片を増幅できるものであれば、
特に限定されない。代表的には、プライマーは(a)配列
表の配列番号:1に示された塩基配列のうちの任意の領
域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び
(b)配列表の配列番号:1に示された塩基配列のうちの任
意の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオ
チドを使用することができ、より好ましくは(1)配列表
の配列番号:1に示された塩基配列のうちの5'端側の任
意の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチ
ド及び(2)配列表の配列番号:1に示された塩基配列のう
ちの3'端側の任意の領域に対する相補塩基配列を有する
オリゴヌクレオチドを使用することができ、例えば、10
〜50個、好ましくは15〜35個のヌクレオチドを含有する
ものが挙げられる。また、PCR条件も特に限定されず、
通常行われる公知の条件でよく、例えば、上記した文献
の記載を参考に選択することができる。PCRにおいて
は、DNA鎖の熱変性、プライマーのアニーリング及びポ
リメラーゼによる相補鎖の合成からなる一つのサイクル
が、例えば、10〜50回、好ましくは20〜35回、より好ま
しくは25〜30回繰り返して行われる。
【0020】第3に、工程(c)について述べる。本工
程において、工程(b)で得られる核酸断片について変
異の存在が調べられる。変異の存在の検出方法として
は、特に限定されないが、PCR法により得られたDNA断片
長を調べることにより検出される。DNA断片長を調べる
方法は特に限定されないが、ポリアクリルアミドゲル又
はアガロースゲル上の電気泳動によりDNA断片を分離
し、例えば、既知分子量のマーカーDNAフラグメントの
移動度に対してのそれの移動度に基づいて、目的のDNA
断片を同定する方法が好まれる。
【0021】上記以外の検出法としては、前記に例示さ
れた態様の工程(c)をその他の変異検出方法に変更し
た方法がある。変異の検出には、例えば変異部位を含む
適当なDNA断片をプローブに用いるハイブリダイゼーシ
ョン法のような公知の変異検出方法が使用できる。さら
に、増幅されたDNAを適当なベクターにクローニングし
て塩基配列を決定する方法や、あるいは増幅断片そのも
のを鋳型としてその塩基配列を決定する方法によっても
変異の検出を行うことができる。
【0022】オリゴヌクレオチドやプローブなどは、検
出を容易にするためのラベル成分により標識されている
ことができる。該ラベル成分は、分光学的手段、光学的
手段、生化学的手段、免疫学的手段、酵素化学的手段、
放射化学的手段などにより検出できるものであることが
できる。ラベル成分の例としては、ペルオキシダーゼ、
アルカリ性ホスファターゼなどの酵素、32Pなどの放
射性ラベル、アイソトープ、ビオチン、蛍光色素、発光
物質、発色物質などが挙げられる。
【0023】本発明のウシのモリブデン補酵素欠損症の
遺伝子診断法(検出方法)により、モリブデン補酵素欠
損症を発病しているウシのみならず、モリブデン補酵素
欠損症のキャリアーのウシについても検出し、診断する
ことができる。従って、本発明でいうウシのモリブデン
補酵素欠損症とは、遺伝子的に異常であることを意味
し、症状の有無を問わず、またキャリアーを含めて広義
に解釈するものとする。
【0024】正常ウシ及びモリブデン補酵素欠損症発症
ウシのMcsu遺伝子の解析 遺伝子上の変異と本疾患との関連を調べるために、まず
正常なウシのMcsuをコードする遺伝子(cDNA)を単離
し、その塩基配列を明らかにする。該遺伝子が単離され
た例はこれまで報告されていないが、本発明者らは、本
疾患牛を含む家系のゲノム連鎖解析を行い、ポジショナ
ルクローニング法と云われる手法を用いてウシMcsu遺伝
子を単離した。
【0025】次に、得られた正常ウシのMcsuをコードす
るcDNAの全塩基配列を配列表の配列番号:1に示す。DNA
断片の塩基配列の決定(シークエンシング)は、化学分
解法(Maxam & Gilbert法)、チェーンターミネーター
法(Sangerジデオキシ法)などにより行うことができ
る。
【0026】モリブデン補酵素欠損症の原因となる遺伝
子上の変異は、正常ウシ及び発症ウシのMcsu遺伝子の塩
基配列を比較することによって明らかにすることができ
る。すなわち、前記の正常ウシの場合と同様に発症ウシ
のMcsu遺伝子の塩基配列を調べ、これを正常ウシ遺伝子
と比較することにより、該疾患の原因である変異を確認
することができる。
【0027】本発明ではモリブデン補酵素欠損症ウシの
Mcsu遺伝子上では配列表の配列番号:1に示される正常
ウシのMcsu遺伝子上のMcsuをコードする翻訳領域の塩基
配列のうち、769〜771位の3 bp部分が欠損する変異を見
出した(図1)。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例、実験例をもってさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定され
るものでばない。以下の記載では、特に説明がない場合
には、D. M. Glover & B. D. Hames (Ed.), DNA Clonin
g 1, Core Techniques (2nd edition), A Practical Ap
proach, Oxford University Press, Oxford (1995); J.
Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Mole
cular cloning, a laboratory manual (2nd edition),
Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New
York (1989); M. A. Innis, D. M. Gelfaud, J. J. Sni
ndky & T. J.White (Ed.), PCR protocols: a guide to
methods and applications, Academic Press, Inc., N
ew York (1990); M. J. McPherson, P. Quirke & G. R.
Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, IRL Pres
s, Oxford (1991)に記載の方法あるいはそれを修飾した
り、改変した方法により行われている。また、市販の試
薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が
無い場合、それらに添付のプロトコールの指示に従って
行ってある。
【0029】[実験例1] (1) 正常ウシMcsu遺伝子の塩基配列の決定 まず、モリブデン補酵素欠損症の疾患牛(頭)及びそれ
らの両親牛からなる家系について、多型性DNAマーカー
を用いてモリブデン補酵素欠損症と連鎖するウシ染色体
の領域を第24番染色体のセントロメアと決定した。ウシ
肝臓の無細胞抽出液を用いてキサンチン酸化酵素(XO)
・アルデヒド酸化酵素(AO)・亜硫酸酸化酵素(SO)の
酵素活性を測定することでウシの本疾病の特徴を調べ
た。その結果、モリブデン補酵素欠損症の疾患牛では、
XO・AO活性が認められなかったが、SO活性が認められた
ので、発症牛では、モリブデン補酵素合成の最終ステッ
プのモリブデン補酵素硫化酵素(Mcsu)をコードする遺
伝子の異常が予測された。ショウジョウバエのma-l遺伝
子は、哺乳類のMcsu遺伝子に相当すると云われていたの
で、ma-l遺伝子と相同性を持つEST(Expressed Sequenc
e Tag:発現座位)をデータベースから捜し、ウシで増
幅できるPCR用のプライマーを設定した。
【0030】正常ウシ(和牛)より採取した新鮮な肝臓
を材料とし、RNA調製用試薬であるトリゾール(Gibco-B
RL社製)を使用して全RNAを調製した。得られた全RNAに
オリゴ(dT)nラテックスを加え、ポリAを含むRNA画分を
分離し、mRNA画分とした。このmRNA画分を鋳型に用い、
スーパースクリプトcDNA合成キット(Gibco-BRL社製)
を使用してcDNAを合成した。このcDNAを鋳型として上記
のPCRプライマーで増幅させた生成物についてBigDye Te
rminator Cycle Sequencing 試薬(PEバイオシステムズ
社製)により、377蛍光DNAシークエンサー(PEバイオシ
ステムズ社製)を用いてその塩基配列を決定した。この
塩基配列は、マウスおよびヒトの該当するESTの配列と
高い相同性を示したので、ウシのMcsu遺伝子の断片であ
ることが分かった。
【0031】別に調製したウシの人工酵母染色体(YAC)
ライブラリー[文献 H. Takeda etal., Animal Geneti
cs, 29, 216-219(1998年)]からMcsu遺伝子の領域に
存在するYACクローンを分離し、FISHを行った。その結
果、Mcsu遺伝子はウシ第24番染色体のセントロメア領域
に存在することが確認され、ウシのモリブデン補酵素欠
損症の原因遺伝子であることが予想された。
【0032】そこで、正常ウシから合成したcDNAを鋳型
に、Mcsu遺伝子の断片の5'-RACEおよび3'-RACEを行うこ
とで、Mcsu遺伝子の全配列を決定した。得られた塩基配
列のうち翻訳領域の配列を配列表の配列番号:1に示
す。この部分の塩基配列をアミノ酸に翻訳した配列をシ
ョウジョウバエのma-lのアミノ酸配列と比較したとこ
ろ、約40%の相同性が見られたのでモリブデン補因子硫
化酵素(molybdenum cofactor sulfurase、Mcsu)と命
名した。
【0033】(2) Mcsu遺伝子の発現 実験例1-(1)記載の方法にしたがって、mRNA画分を正常
ウシの新鮮な組織から調製し、Mcsu遺伝子の発現につい
て常法に従って調べた。ノーザンブロットでは発現が認
められなかったが、cDNAを鋳型とする定量的なPCRを行
ったところ、肝臓、腎臓、肺など調べた組織すべてで発
現しており、正常ウシと該疾患牛の肝臓でほぼ同程度発
現していることが明かとなった。
【0034】(3) モリブデン補酵素欠損症ウシMcsu遺伝
子の塩基配列の決定 実験例1-(2)に述べたようにモリブデン補酵素欠損症ウ
シでのMcsu遺伝子の発現が認めらることから、その塩基
配列を決定し、正常ウシのMcsu遺伝子の配列と比較し
た。その結果、2カ所に配列の違いが見られた。どちら
の部位もゲノミックDNAを鋳型とするPCRで増幅できるの
で、様々な品種を含む正常ウシについて塩基配列を調べ
た。2カ所の内1カ所は正常ウシでも認められる変異であ
ったが、もう1カ所の769〜771位の3 bp部分の欠損は本
症の発症牛にしか認められなかった。769〜771位の欠損
によって、257番目のアミノ酸であるチロシン残基が欠
失し、そのためMcsuの酵素活性が消失すると考えられ
る。
【0035】[実験例2] ウシのゲノミツクDNA上のMcsu遺伝子の変異の有無の確
認 モリブデン補酵素欠損症ウシに認められた3 bpの欠損部
位を含むDNA断片を増幅するためのプライマーMcsu-F、M
csu-Rを合成した。配列表の配列番号:2、3にぞれぞれ
プライマーMcsu-F、Mcsu-Rの塩基配列を示す。 Mcsu-F: TGGCCTGGGC GCTCTGCTGG TGAATAAC [配列番号:2] Mcsu-R: AGGTACGCAG CGGCCGTGCC TCCTC [配列番号:3]
【0036】正常ウシのモリブデン補酵素欠損症ウシ、
及びその母牛の血液(抗擬固剤としてEDTA、ヘパリンを
含む)より、自動核酸分離装置NA-1000(クラボウ社
製)を用いてゲノミックDNAを調製した。これらのゲノ
ミックDNAを鋳型とし、ブライマーMcsu-FとMcsu-Rを用
いたPCR (Pfu Turbo (STRATAGENE社製)を使用、94 ℃で
1分間、65 ℃で1分間、72 ℃で1分間からなる工程を1サ
イクルとした40サイクル反応)を行い、反応液を12%ポ
リアクリルアミドゲル(1 x TBE)を用いた電気泳動に
供し、泳動後のゲルをエチジムブロマイド染色して増幅
DNA断片を確認した。
【0037】正常なウシの持つMcsu遺伝子を鋳型にPCR
で増幅させると87 bpのDNA断片が生成するが、モリブデ
ン補酵素欠損症ウシの持つ変異型のMcsu遺伝子では84 b
pの生成物が見られる。図2に示すように、正常ウシのゲ
ノミックDNAを鋳型とした場合、87 bpのDNA断片の増幅
だけが認められ、モリブデン補酵素欠損症発症牛の父牛
および母牛のゲノミックDNAでは、87 bpおよび84 bpの
増幅が見られた。一方、モリブデン補酵素欠損症ウシの
ゲノミックDNAを鋳型にした場合は84 bpだけの増幅が認
められなかった。
【0038】これらの結果より、Mcsu 遺伝子の翻訳領
域の769〜771位の3 bp部分の欠損について、発症牛の母
牛はこの変異に関してへテロ接合体であり、モリブデン
補酵素欠損症が染色体性劣性遺伝をする遺伝性疾患であ
ることが確認された。
【0039】
【発明の効果】本発明によりウシのモリブデン補酵素欠
損症およびそのキヤリアーを簡便かつ迅速に検出し、診
断することが可能となる。
【0040】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Livestock Technology Association <120> Gene Diagnosis for Bovine Xanthinuria <130> CO990439 <160> 3 <210> 1 <211> 2,550 <212> DNA <213> Bovine <400> 1 atgcaaagca gacaaccacg ggcactgctt ccccggtccc caggaactgt ctatcttgac 60 catgcaggaa ccacattgtt cccccagagc cagattacaa gcttcatgaa agatctcatg 120 gaaaacgttt atggtaaccc tcacagccag aacatcagca gcaagctcac ccatgacacg 180 gtggaacagg tgcgcttcag gatcctggcg cacttccaca cctccccgga ggactatacg 240 gtgattttca cctccgggag cacggctgct cttaagctgg tggcagaggc tttcccgtgg 300 gtgtccccag gcccggaggg cagcggcagc tgcttctgtt acctcaccga cagccacacg 360 tccgtggtgg gcatgaggaa gatcaccgcg gccatgaacg tctcttccat ccccgtcagg 420 ccagaggaca tgtggtcggc cgagagacag gacgcggctg cggccgggga ccccgccggc 480 cagcctccgc atctcttctg ctacccggcc cagagtaact tttccggaac cagatacccg 540 ctgtcctgga taggcgaggt caagtccggg cggaggcgcc ctgcgagccg gcctgggaag 600 tggttcgtgc tgctggacgc ggccgccttc gtgggcacct cgcctctgga cctgtcggtt 660 caccaggccg actttgtccc catctccttc tataagatct ttggcttccc cactggcctg 720 ggcgctctgc tggtgaataa ccgtttggct gctctgctga ggaaaaccta cttcggagga 780 ggcacggccg ctgcgtacct cgcgggagac gacttctacg tcccgagaga gtcggtggct 840 gagaggtttg aagatggcac catctccttt cttgacgtga tagcactaaa acatggattt 900 gatgccctag agcgcctcac aggtgggatg gagagcatcc ggcagcacac gtttaccctg 960 gctcagtaca cctacactgc cttgtcttcc ctgcggtacc ccaacggagc ccctgtggtg 1020 cagatttata gtgactctga cttcagcagc ccagaggtgc agggtccggt catcagcttc 1080 aacgtgctcg atgaccatgg gaacgtcgtt ggttactccc aggtggataa aatggccagc 1140 cttcacaaca tccatgtgcg aaccggctgc ttctgtaaca ctggggcctg ccagaggcac 1200 ctggggataa gtgatgagat ggtgaagaag catcttcagg ctggtcatgt ctgcggagac 1260 gatgtggacc tcatagacgg gcagccgacg ggctctgtga ggatttcttt tggatacatg 1320 tctacgcttg aggatgccca ggccttcctc aggttcatca tagcaacccg actgcactcg 1380 tctcatggcc agcctctccc tctggccacc ccgggggagg ctggagcccc accagaagac 1440 agcgaggctc agaacgccat gcctgccgcc cgcgccagag gtagctcctc acctcaggaa 1500 gacacttccc cacactccgg ggtttggaac aactcaccca ccgctgtgga cgcagagggt 1560 ctgtgtccgc ccctgctgga ggccactgga acccagcaga ccacttcaga gaaagctgct 1620 gatgtcccag atggggacct caggtcacac gtcatcacca accttttcct ctacccaatc 1680 aagtcctgtg cagcatttga ggtgatcagg tggcctctag gaagtcaagg gctgctgtat 1740 gaccgaagct ggatggttgt gaatcacaac ggcatttgcc tgagtcagaa acaggagccc 1800 cggctctgcc tgatccagcc cttcattgac ctgcagcgga ggatcatggt catcaaagcc 1860 caagggatgg agcctataga ggtgcctctt gaggagaaca gtgagcaggt tcagatttgc 1920 caaagcaaag tctgtgcgga cagggtaaac acatatgatt gtggagaaaa aatttccaac 1980 tggctgtcaa agttttttgg ccgtccctat catttgatca aacaaagttc agactttcaa 2040 agaaatgcaa agaagaaaca tggcaaagat cagtctgctc acacgacagc caccctttct 2100 ctggtgaatg aggcacagta tctgctgata aacagatcca gtattttgga acttcagcag 2160 caattaagca caagctgtga gaatggcaaa gaagaattat tcccaatgaa caatctcatc 2220 tcacggttcc gtgccaatat tattaccaat ggaacaaggg cttttgaaga agagaaatgg 2280 gatgaaattt caattggttc cttgcgtttc caggttttgg gaccttgtca cagatgtcag 2340 atgatttgca tcgatcagca aactggacaa cgaaaccaag atgttttcca aaagctttct 2400 gagaggcgag agagaaaggt gaagtttgga gtgtacctga tgcatacgtc tttggattta 2460 tcttctccat gttacctctc cgtaggatct caggtgctcc ctctgctgaa agaaaacatg 2520 gaacaccacg atataccggc taccgagtaa 2550 <210> 2 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 2 tggcctgggc gctctgctgg tgaataac 28 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 3 aggtacgcag cggccgtgcc tcctc 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 モリブデン補酵素欠損症ウシ由来のウシMcsu
遺伝子の3 bp欠損部分を示す図である。図中の「→」
は、欠損部分を検出するためのPCRプライマーの位置。
【図2】 Mcsu遺伝子の変異を検出するための検査法。
変異の無いゲノミックDNAを鋳型とすれば、PCRで87 bp
の生成物が増幅し、変異の有るゲノミックDNAを鋳型と
すれば、PCRで84 bpの生成物が増幅することを示す電気
泳動パターン図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 500017760 渡邊 敏夫 福島県白河市字中山南5−211コートハ ウスなかやま103 (73)特許権者 591224788 大分県 大分県大分市大手町3丁目1番1号 (72)発明者 井原 尚也 福島県白河市字高山161−11シャンボー ル高山103号 (72)発明者 杉本 喜憲 福島県西白河郡西郷村大字米字上堀川48 −201 (72)発明者 渡邊 敏夫 福島県白河市字中山南5−211コートハ ウスなかやま103 (72)発明者 藤田 達男 大分県直入郡久住町大字久住3989−1 大分県畜産試験場内 (72)発明者 伊藤 雅之 大分県直入郡久住町大字久住3989−1 大分県畜産試験場内 (72)発明者 志賀 一穂 大分県直入郡久住町大字久住3989−1 大分県畜産試験場内 (72)発明者 足達 八崇男 大分県直入郡久住町大字久住3989−1 大分県畜産試験場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C12Q 1/68 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) GenBank/EMBL

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工程(a):ウシの核酸試料を得る行
    程、 工程(b):行程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増
    幅反応に付して、ウシのモリブデン補酵素硫黄化酵素
    (molybdenum cofactor sulfurase、Mcsu)遺伝子に存
    在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得
    る行程、及び 工程(c):行程(b)の核酸断片について変異の存在を
    調べる行程、 を含む、ウシのモリブデン補酵素欠損症の遺伝子診断法
    であって、変異部位を含む領域がウシMcsu遺伝子の塩基
    配列中、配列表の配列番号:1に示される塩基配列の1
    〜2550位の領域であるウシのモリブデン補酵素欠損症の
    遺伝子診断法。
  2. 【請求項2】 遺伝子増幅反応がPCR(ポリメラーゼ連
    鎖反応)法によって行われる請求項1記載の遺伝子診断
    法。
  3. 【請求項3】 変異の存在をPCR増幅により調べること
    を特徴とする請求項1乃至2のいずれか記載の遺伝子診
    断法。
  4. 【請求項4】 核酸試料がゲノミックDNA、cDNA、又はm
    RNAを含む試料である請求項1乃至3のいずれか記載の
    遺伝子診断法。
  5. 【請求項5】 ウシのモリブデン補酵素欠損症を検出す
    るためのキットであって、ウシのMcsu遺伝子に存在しう
    る変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅する
    のに利用される15個以上のヌクレオチドから成るオリ
    ゴヌクレオチドプライマーを含有しており、更に、前記
    オリゴヌクレオチドプライマーが、(a)配列表の配列
    番号:1に示された塩基配列のうちの任意の領域に相当
    する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び(b)配
    列表の配列番号:1に示された塩基配列のうちの任意の
    領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
    からなる群から選ばれたものであることを特徴とする、
    ウシのモリブデン補酵素欠損症を検出するためのキッ
    ト。
  6. 【請求項6】 前記オリゴヌクレオチドプライマーが、
    (a)配列表の配列番号:1に示された塩基配列のうちの
    5'端側の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌク
    レオチド及び (b)配列表の配列番号:1に示された塩基
    配列のうちの3'端側の領域に対する相補塩基配列を有
    するオリゴヌクレオチドからなる群から選ばれたもので
    あることを特徴とする請求項5記載のキット。
  7. 【請求項7】 オリゴヌクレオチドプライマーが、15
    50個のヌクレオチドからなるものであることを特徴とす
    る請求項5又は6のいずれか1つに記載のキット。
  8. 【請求項8】 オリゴヌクレオチドプライマーが、15〜
    35個のヌクレオチドからなるものであることを特徴とす
    る請求項5〜7のいずれか1つに記載のキット。
  9. 【請求項9】 オリゴヌクレオチドプライマーが、配列
    表の配列番号2、3に示されたものからなる群から選ばれ
    たものであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか
    1つに記載のキット。
  10. 【請求項10】 ウシMcsu遺伝子及びウシのモリブデン
    補酵素欠損症の遺伝子に対応するヌクレオチド配列中、
    配列表の配列番号:1に示された塩基配列の1〜2550位
    領域又はその相補鎖を有する核酸。
  11. 【請求項11】 核酸がDNAであることを特徴とする請
    求項10記載の核酸。
  12. 【請求項12】 配列表の配列番号:1で示されたヌク
    レオチド配列又はその相補鎖ヌクレオチド配列を有す
    るものであることを特徴とする請求項10または11
    記載の核酸。
  13. 【請求項13】 ゲノミックDNA配列、cDNA配列、RNA配
    列、合成配列、及び半合成配列からなる群から選ばれた
    ものであることを特徴とする請求項10または12に記
    載の核酸。
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