JP3262289B2 - 水性塗料用樹脂組成物 - Google Patents

水性塗料用樹脂組成物

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JP3262289B2
JP3262289B2 JP29795392A JP29795392A JP3262289B2 JP 3262289 B2 JP3262289 B2 JP 3262289B2 JP 29795392 A JP29795392 A JP 29795392A JP 29795392 A JP29795392 A JP 29795392A JP 3262289 B2 JP3262289 B2 JP 3262289B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性塗料用樹脂組成物に
関し、特に、カチオン電着塗料用樹脂組成物として適用
したときに、これまで使用されていたブロツクイソシア
ネート化合物(硬化剤)や有機錫化合物(硬化触媒)な
どを使用する必要がなくなり、その結果加熱減量、耐触
媒被毒性等が向上し、しかも塗膜の付着性、耐候性およ
び低温硬化性などが改良された水性塗料用樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、カチオン電着塗料用樹
脂組成物としては、アミン付加エポキシ樹脂などのポリ
アミン樹脂(基体樹脂)とブロツクポリイソシアネート
化合物(硬化剤)とを主成分とするものが広く使用され
ている。この樹脂組成物は、塗膜の防食性は良好である
が、しかし、本質的な問題点として、塗膜の硬化開始
温度が高い(170℃以上)、硬化開始温度を低くす
るために有機錫化合物(硬化触媒)を使用すると該錫化
合物が焼付炉の排気燃焼触媒を被毒させることがある、
塗膜を硬化させるために高温加熱するとブロツクポリ
イソシアネート化合物が熱分解し、ヤニやススなどが発
生し、しかも上塗塗膜に黄変、ブリードおよび硬化阻害
を引き起こし、かつ耐候性も低下する、などの重大な欠
陥を有しており、これらの改良が強く望まれている。
【0003】一方、硬化剤を用いずに、エポキシ基の開
環反応による自己架橋性樹脂を利用したカチオン電着塗
料が、例えば、特公昭49−31736号公報、特公昭
49−23807号公報、特開昭48−69896号公
報、特開昭47−13432号公報などで提案さりてい
るが、これらはいずれも電着塗料の浴安定性と塗膜の硬
化性とを両立させることが困難であつた。たとえばこの
うち、最も一般的なグリシジルエーテルタイプのポリエ
ポキシ化合物は、塗膜の硬化性はすぐれているが、浴安
定性に劣るという欠点がある。
【0004】本発明者等は上記の如き欠陥を解消したカ
チオン電着塗料を開発するため鋭意研究を重ねた結果、
脂環式骨格にエポキシ基が直接結合してなる特定のエポ
キシ化合物が、ブロツクポリイソシアネート化合物に代
わるカチオン電着塗料の硬化剤として有用であることを
見出し、先に提案した。しかしアミン濃度が高いために
浴中酸濃度が低下する、硬化塗膜中の残存アミン濃度が
高いために無処理鋼板に対する防食性が十分でない、な
どのいくつかの改良すべき点があることがわかつた。
【0005】本発明の目的は、ブロツクポリイソシアネ
ート化合物や有機錫化合物を使用する必要がない、塗料
中のアミン濃度が低く無処理鋼板に対する防食性がすぐ
れており、浴中酸濃度安定性が良好で、しかも水分散性
がすぐれており、加熱硬化時の加熱減量が少ないカチオ
ン電着塗料を提供することである。
【0006】本発明によれば、 (A) 下記式(I)で示されるエポキシ基含有官能基
を1分子あたり少なくとも3個有するエポキシ樹脂(A
−1−1)および/またはグリシジルエーテル基を1分
子あたり少なくとも3個有する下記式(II)で示される
グリシジルエーテル基含有ノボラツクフエノール樹脂
(A−1−2)、第1級水酸基を1分子あたり少なくと
も1個有する第1級または第2級アミン化合物(A−
2)、およびフエノール性水酸基を1分子あたり少なく
とも1個有するフエノール化合物(A−3)を反応させ
ることにより得られる、本質的に第1級または第2級ア
ミノ基およびエポキシ基を含有しない樹脂;
【0007】
【化4】
【0008】〔式中、mは2〜4の整数である〕
【0009】
【化5】
【0010】〔式中、R1およびR2は同一もしくは相異
なり、各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、芳香
族基またはハロゲン原子であり、R3は水素原子、炭素
数1〜10のアルキル基、芳香族基、アリル基またはハ
ロゲン原子であり、R4は水素原子または炭素原子1〜
4のアルキル基であり、R5は水素原子、炭素数1〜1
0のアルキル基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原
子であり、nは0〜38の整数であり、そして式中のベ
ンゼン環の少なくとも一部はナフタレン環に置換されて
いてもよい〕 (B) 1分子あたりフエノール性水酸基を少なくとも
2個、またはフエノール性水酸基とアルカノールアミン
に基づく1級水酸基とを合計で少なくとも2個有し、か
つ本質的に第1級および第2級アミノ基を含有しない樹
脂;および (C) 下記式(III)で示されるグリシジルエーテル
基含有ノボラツクフエノール樹脂
【0011】
【化6】
【0012】〔式中、R1およびR2は同一もしくは相異
なり各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、芳香族
基またはハロゲン原子であり、R6は炭素数1〜10の
アルキル基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子で
あり、R4は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
であり、R5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル
基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子であり、n
は0〜38の整数であり、そして式中のベンゼン環の少
なくとも一部はナフタレン環に置換されていてもよい〕
を主成分として含有することを特徴とする水性塗料用樹
脂組成物が提供される。以下、本発明の水性塗料用樹脂
組成物についてさらに詳細に説明する。
【0013】(A)成分:一般式(I)で示されるエポ
キシ基含有官能基を1分子中に少なくとも3個有するエ
ポキシ樹脂(A−1−1)および/またはグリシジルエ
ーテル基を1分子中に少なくとも3個有する一般式(I
I)で示されるグリシジルエーテル基含有ノボラツクフ
エノール樹脂(A−1−2)、第1級水酸基を1分子中
に少なくとも1個有する第1級または第2級アミン化合
物(A−2)、およびフエノール性水酸基を1分子中に
少なくとも1個有するフエノール化合物(A−3)を反
応させることにより得られる、第1級水酸基およびカチ
オン性基を有するが、しかし本質的に第1級または第2
級アミノ基およびエポキシ基を含有しない樹脂。
【0014】(A)成分を調製するために使用する上記
(A−1−1)成分、(A−1−2)成分、(A−2)
成分および(A−3)成分についてまず説明する。
【0015】(A−1−1)成分:下記式
【0016】
【化7】
【0017】〔式中、mは2〜4の整数である〕で示さ
れるエポキシ基含有官能基を1分子あたり少なくとも3
個有するエポキシ樹脂である。
【0018】かかるエポキシ樹脂(A−1−1)成分と
しては、例えば、特開昭60−170620号公報、特
開昭62−135467号公報、特開昭60−1666
75号公報、特開昭60−161973号公報などに記
載されているそれ自体既知のものを使用することができ
る。
【0019】さらに、該(A−1−1)成分には、上記
式(I)の末端に重合開始成分の残基、つまり活性水素
含有有機化合物残基が結合しているものも包含され、そ
の前駆体である活性水素含有有機化合物としては、例え
ばアルコール類、フエノール類、カルボン酸類、アミン
類、チオール類等があげられる。
【0020】このうち、アルコール類としては、1価ア
ルコールならびに2価以上の多価アルコールのいずれで
あつてもよく、具体的にはメタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー
ル、オクタノール等の脂肪族1価アルコール;ベンジル
アルコールのような芳香族1価アルコール;エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オキシ
ビバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘ
キサンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリ
グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ルなどの多価アルコール等が例示される。
【0021】フエノール類としては、例えば、フエノー
ル、クレゾール、カテコール、ピロガロール、ハイドロ
キノン、ハイジロキノンモノメチルエーテル、ビスフエ
ノールA、ビスフエノールF、4,4′−ジヒドロキシ
ベンゾフエノン、ビスフエノールS、フエノール樹脂、
クレゾールノボラツク樹脂等が挙げられる。
【0022】カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、動植物油の脂肪酸;フマル酸、マレイ
ン酸、アジピン酸、ドデカン二酸、トリメリツト酸、ピ
ロメリツト酸、ポリアクリル酸、フタール酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸等が例示でき、また、乳酸、クエン
酸、オキシカプロン酸等の水酸基とカルボン酸を共に有
する化合物も使用することができる。
【0023】さらにその他、活性水素を有する化合物と
して、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水
分解物、デンプン、セルロース、セルロースアセテー
ト、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチ
ルセルロース、アリルポリオール樹脂、スチレン−アリ
ルアルコール共重合樹脂、スチレン−マレイン酸共重合
樹脂、アルキツド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、
ポリカプロラクトンポリオール樹脂等も使用することが
できる。また、活性水素を有する化合物は、活性水素と
共にその骨格中に不飽和二重結合を有していてもよく、
さらに該不飽和二重結合がエポキシ化された構造のもの
であつてもさしつかえない。
【0024】(A−1−1)成分は、例えば、上記活性
水素含有有機化合物を開始剤にし、式
【0025】
【化8】
【0026】で示されるビニルシクロアルケンオキサイ
ド、例えば、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイ
ドを単独で、またはこれと他のエポキシ基含有化合物と
の併存下において、それぞれに含まれるエポキシ基によ
る開環(共)重合を行なわしめてポリエーテル樹脂を形
成せしめ、次いで該樹脂中の側鎖に存在する上記ビニル
シクロアルケンオキサイドに基づくビニル基を過酸類や
ハイドロパーオキサイド類などの酸化剤でエポキシ化
し、前記式(I)で示される官能基を導入することによ
つて得ることができる。
【0027】4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイ
ドは例えば、ブタジエンの2量化反応によつて得られる
ビニルシクロヘキセンを過酢酸によつて部分エポキシ化
することによつて得ることができる。また、ビニルシク
ロペンテンまたはビニルシクロブテンを過酢酸で部分エ
ポキシ化することにより、ビニルシクロペンテン−1−
オキサイドまたはビニルシクロブテン−1−オキサイド
を得ることができる。他のエポキシ基含有化合物として
は、エポキシ基を有する化合物であれば特に制限はない
が、製造上、1分子中に1個のエポキシ基を有する化合
物が好ましく、具体的には、エチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド、ブチレンオキサイ されるα−オレフインエポキサイド;スチレンオキサイ
ド等の不飽和化合物の酸化物;アリルグリシジルエーテ
ル、2エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリ
シジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フエニル
グリシジルエーテル等の水酸基を有する化合物のグリシ
ジルエーテル;脂肪酸のような有機酸のグリシジルエス
テルなどを挙げることができる。
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】上記各式中、R11は水素原子又はメチル基
を表わし、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化
水素基を表わし、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水
素基を表わす。
【0031】上記において、R12によつて表わされる炭
素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基としては、直
鎖状又は分枝状のアルキレン基、例えばメチレン、エチ
レン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、
ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等を挙げることがで
きる。また、R13によつて表わされる炭素数1〜10の
2価の炭化水素基としては、例えばメチレン、エチレ
ン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペ
ンタメチレン、ヘキサメチレン、ポリメチレン、フエニ
レン、
【0032】
【化11】
【0033】基等を挙げることができる。
【0034】さらに、下記一般式
【0035】
【化12】 〔式中、R11及びR12は前記と同義である、〕で示され
る化合物、例えばグリシジルアクリレート、グリシジル
メタクリレートやビニルシクロヘキセンの部分エポキシ
化により一部副生する下記式
【0036】
【化13】
【0037】で表わされるような脂環式不飽和を有する
化合物なども他のエポキシ基含有化合物として使用する
ことができる。さらにまた、4−ビニルシクロヘプテン
(ビニルノルボルネン)なども使用できる。
【0038】前記式(Ia)のビニルシクロアルケンオ
キサイド、例えば4−ビニルシクロヘキセン−1−オキ
サイド単独でまたは他のエポキシ基含有化合物の併存下
でのエポキシ基の開環(共)重合反応は、活性水素含有
有機化合物の存在下で、しかも触媒を用いて行うことが
好ましく、使用しうる触媒としては、例えば、メチルア
ミン、エチルアミン、プロピルアミン、ピペラジン等の
アミン類;ピリジン類、イミダゾール類等の有機塩基
類;ギ酸、酢酸プロピオン酸等の有機酸類;硫酸、塩酸
等の無機酸類;ナトリウムメチラート等のアルカリ金属
アルコラート類;KOH、NaOH等のアルカリ類;B
3ZnCl2、AlCl3、SnCl4等のルイス酸又は
そのコンプレツクス類;トリエチルアルミニウム、ジエ
チル亜鉛等の有機金属化合物を挙げることができる。
【0039】これらの触媒は反応物に対して0.001
〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内で
使用することができる。開環(共)重合反応温度は一般
に−70〜200℃、好ましくは−30℃〜100℃で
ある。反応は溶媒を用いて行なうことができ、溶媒とし
ては活性水素を有していない通常の有機溶媒を使用する
ことが好ましい。
【0040】このようにして得られるポリエーテル樹脂
(開環(共)重合体)の側鎖に含まれるビニル基をエポ
キシ化することによつて前記構造式(I)で示される官
能基を導入でき、(A−1−1)成分が得られる。エポ
キシ化は過酸類、ハイドロパーオキサイド類等を用いて
行なうことができる。過酸類としては、例えば過ギ酸、
過酢酸、過安息香酸、トルフルオロ過酢酸等を、そして
ハイドロパーオキサイド類としては、例えば過酸化水
素、tert−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキ
サイド等を用いることができる。エポキシ化反応は必要
に応じて触媒を用いて行なうことができる。
【0041】式(Ia)のビニルアルケンオキサイド、
例えば4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイド中の
ビニル基がエポキシ化されることによつて、上記構造式
(I)で示される官能基が生成する。このエポキシ化反
応において、他のエポキシ基含有化合物として前記脂環
式オキシラン基含有化合物などが併存すると、該化合物
に含まれるビニル基もエポキシ化されることもあるが、
これは前記構造式(I)とは異なる。
【0042】エポキシ化反応の際の溶媒使用の有無や反
応温度は、用いる装置や原料物性に応じて適宜調整する
ことができる。
【0043】かかる(A−1−1)成分としては市販品
も使用可能であり、例えばEHPE3150(ダイセル
化学工業(株)製商品名)があげられる。これは、4−
ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合体中
のビニル基をエポキシ化したもので、重合度は平均4〜
15である。
【0044】構造式(I)で表わされるエポキシ基含有
官能基の量は、(A−1−1)成分の1分子あたり3個
以上含有されておればよいが、好ましくはエポキシ当量
で140〜1000、より好ましくは170〜300の
範囲内である。
【0045】(A−1−2)成分:グリシジルエーテル
基を1分子あたりに少なくとも3個有する下記式
【0046】
【化14】
【0047】〔式中、R1およびR2は同一もしくは相異
なり各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、芳香族
基またはハロゲン原子であり、R3は水素原子、炭素数
1〜10のアルキル基、芳香族基、アリル基またはハロ
ゲン原子であり、R4は水素原子または炭素数1〜4の
アルキル基であり、R5は水素原子、炭素数1〜10の
アルキル基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子で
あり、nは0〜38の整数であり、そして式中のベンゼ
ン環の少なくとも一部はナフタレン環に置換されていて
もよい〕で示されるグリシジルエーテル基含有ノボラツ
クフエノール樹脂。
【0048】上記式(II)において、「アルキル基」
は直鎖状もしくは分岐鎖状であり、例えば、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソア
ミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキ
シル、ノニル、デシル基などが挙げられる。また、「芳
香族基」は単環式または多環式のいずれであってもよ
く、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられ、特
にフェニル基が好適である。
【0049】「ハロゲン原子」にはフッ素、塩素、臭素
及びヨウ素原子が包含される。
【0050】しかして、前記一般式(II)において、R
1およびR2としては水素原子、メチル基、塩素原子およ
び臭素原子が好適であり、特に水素原子、メチル基およ
び臭素原子が好ましい。また、R3およびR5としては、
メチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フェニル
基、塩素原子および臭素原子が好ましく、中でもメチル
基、tert−ブチル基、フェニル基および臭素原子が
好適である。さらに、R4は好ましくは水素原子であ
り、そしてnは好ましくは特に1〜8である。
【0051】(A−1−2)成分の数平均分子量は、蒸
気圧浸透圧法による測定に基いて、一般に、約400〜
約8000、特に600〜2000の範囲内にあること
が好ましい。この数平均分子量によって数平均繰返し単
位数(n+2)を求めることができる。また、(A−1
−2)成分はグリシジルエーテル基を1分子あたり3個
以上、特に3.5〜10個有していることが好ましく、
かつ(A−1−2)成分のエポキシ当量は約180〜約
2000、特に200〜600の範囲内にあることが好
ましい。
【0052】(A−1−2)成分は、例えば、下記式
(IV)
【0053】
【化15】
【0054】〔式中、R1、R2およびR3は前記と同義
である〕で示される2官能性フェニル化合物(a−1)
と、下記一般式(V)
【0055】
【化16】R4−CHO (V) 〔式中、R4は前記と同義である〕で示されるアルデヒ
ド化合物(a−2)および/または下記一般式
【0056】
【化17】R4−CO−R14 (VI) 〔式中、R4は前記と同義である〕で示されるケトン化
合物(a−3)とを縮重合反応させることにより得られ
るフェノール型ノボラック樹脂(a−4)に、さらにエ
ピハロヒドリン(a−5)を反応させて該フェノール型
ノボラック樹脂(a−4)にグリシジルエーテル基を導
入することにより製造することができる。
【0057】また、上記フェノール型ノボラック樹脂
(a−4)を得るための反応中または反応後に、必要に
応じて、下記式(VII)
【0058】
【化18】
【0059】〔式中、R8は炭素数1〜10のアルキル
基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲ
ン原子を表わし;そしてR1およびR2は前記と同義であ
る〕で示される1官能性フェノール化合物(a−6)を
末端封止剤として併用してもよい。
【0060】上記式(VII)における基R8の具体例に
は、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、エ
チレン基、プロピレン基、フェニル基、ベンジル基、塩
素原子、臭素原子およびヨウ素原子などがあげられ、好
ましくは、メチル基、t−ブチル基、ノニル基、フェニ
ル基、塩素原子および臭素原子であり、特にメチル基、
t−ブチル基、フェニル基および臭素原子が好ましい。
【0061】上記(a−1)成分のフェノール化合物に
対して用いる「2官能性」なる語は、一般式(IV)に
おいて、水酸基を基準に、オルト位および/またはパラ
位に水素原子が2個直接結合していることを意味する。
該水素原子は上記(a−2)および(a−3)成分中の
カルボニル基(C=O)と脱水縮合反応してフェノール
型ノボラック樹脂(a−4)を生成する。
【0062】また、(a−6)成分のフェノール化合物
に対して用いる「1官能性」なる語は、一般式(VII)
において、水酸基を基準に、オルト位またはパラ位に水
素原子が1個直接結合していることを意味する。該水素
原子は上記(a−2)または(a−3)成分中のカルボ
ニル基(C=O)と脱水縮合反応してフェノール型ノボ
ラック樹脂(a−4)の末端を形成する。
【0063】前記式(IV)で示される2官能性フェノ
ール化合物(a−1)としては、たとえば、フェノー
ル、p−プロペニルフェノール、o−ベンジルフェノー
ル、6−n−アミル−n−クレゾール、o−クレゾー
ル、p−クレゾール、o−エチルフェノール、o−フェ
ニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ter
t−ペンチルフェノール、p−tert−ブチルフェノ
ール、o−クロルフェノール、p−クロルフェノール、
4−クロル−3,5−キシレノール、o−アリルフェノ
ール、ノニルフェノール、o−ブロムフェノール、p−
クミルフェノールなどが挙げられる。
【0064】また、式(V)で示されるアルデヒド化合
物(a−2)としては、たとえば、アセトアルデヒド、
ホルムアルデヒドなどがあげられる。また、アルデヒド
化合物(a−2)としてm−(またはp−)ヒドロキシ
ベンズアルデヒドを用い、(a−1)成分との反応後
に、該ヒドロキシベンズアルデヒドをエピハロヒドリン
(a−5)でグリシジルエーテル化してもよい。なお、
上記ヒドロキシベンズアルデヒドのベンゼン核は炭素数
1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。式(V
I)で示されるケトン化合物(a−3)としては、たと
えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンなどがあげられる。さらに、2−アセチルフェ
ニル−2−ヒドロキシフェニルプロパンを用いると、式
(II)の樹脂中にグリシジルオキシフェニル基を含有
する有機基を導入することができる。すなわち、これに
より式(II)における
【0065】
【化19】 の少なくとも一部は
【0066】
【化20】
【0067】とすることができる。
【0068】さらに、エピハロヒドリン(a−5)には
たとえば、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリンな
どがあげられる。
【0069】上記(a−1)成分に(a−2)成分およ
び/または(a−3)成分を縮重合反応させることによ
りフェノール型ノボラック樹脂(a−4)が得られる。
この縮重合反応はそれ自体既知の通常のフェノール型ノ
ボラック樹脂の製造方法に準じて行うことができる。具
体的には、回分式または特開昭51−130498号公
報などに記載の連続法などにより行なうことができる。
たとえば、各成分を、前記式(I)における繰返し数
(n)が1〜38の範囲内で、しかも数平均分子量およ
びエポキシ当量が前記した範囲内に包含されるような比
率で配合し、かつ反応させることによって(a−4)成
分が有得られる。この反応において、塩酸、燐酸および
硫酸などの無機酸;パラトルエンスルホン酸およびしゅ
う酸などの有機酸;酢酸亜鉛などの金属塩などの触媒を
使用することもできる。
【0070】(a−4)成分の製造において、必要に応
じて、上記(a−1)成分と、(a−2)成分および/
または(a−3)成分との縮重合反応中またはその後
に、前記式(VII)で示される1官能性フェノール化合
物(a−6)を末端封止剤として反応させることができ
る。
【0071】上記式(VII)で示される1官能性フェノ
ール化合物(a−6)としては、具体的には、2−t−
ブチル−4−メチルフェノール、2,4−キシレノー
ル、2,6−キシレノール、2,4−ジクロルフェノー
ル、2,4−ジブロモフェノール、ジクロルキシレノー
ル、ジブロモキシレノール、2,4,5−トリクロロフ
ェノール、6−フェニル−2−クロルフェノールなどが
挙げられる。
【0072】(a−6)成分と、上記(a−1)成分、
(a−2)成分および/または(a−3)成分との縮重
合反応は上記と同様にして行なうことができる。(a−
6)成分を併用して得られるノボラック型フェノール樹
脂も(a−4)成分の範ちゅうに包含される。
【0073】(A−1−2)成分は、該(a−4)成分
中のフェノール性水酸基に(a−5)成分を反応せしめ
て、グリシジルエーテル化することによって得られる。
具体的には、例えば、該(a−4)成分を(a−5)成
分で溶解し、この溶液にアルカリ金属水酸化物の水溶液
を連続的に添加し、その反応系の水および未反応の(a
−5)成分を蒸留除去することによって得られる。この
蒸留した液から(a−5)成分を分離し再使用すること
ができる。この反応は、例えば、ジオキサン、ジエトキ
シエタンなどのエーテル系溶剤の存在下で行なうことが
好ましい。
【0074】(A−1−2)成分は、上記のごとくにし
て製造することができるが、市販されているものを使用
してもよく、市販品として、たとえば、フェノール型ノ
ボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、D
EN−438およびDEN−439〔ダウケミカル日本
(株)製、商品名〕:クレゾール型ノボラック樹脂のポ
リグリシジルエーテル化物として、EPICRON N
−695〔大日本インキ(株)製、商品名〕、ESCN
−195XHH〔住友化学(株)製、商品名〕、EOC
N−102S、EOCN−1020およびEOCN10
4S〔日本化薬(株)製、商品名〕:ブロム変性フェノ
ール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物と
して、BREN−S〔日本化薬(株)製、商品名〕:長
鎖アルキル変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリ
シジルエーテル化物として、ESMB−260〔住友化
学(株)製、商品名〕などがあげられる。
【0075】(A−2)成分: 第1級水酸基を1分子
中に少なくとも1個有する第1級もしくは第2級アミン
化合物。
【0076】このものは、上記(A−1−1)成分およ
び/または(A−1−2)成分と反応して、第1級水酸
基と塩基性基とを導入するのに役立つ。
【0077】(A−2)成分のアミノ基と(A−1−
1)成分および/または(A−1−2)成分のグリシジ
ル基との反応によつてカチオン性樹脂が生成し、このカ
チオン性樹脂中の第1級水酸基および塩基性基は、従来
のビスフエノールA型エポキシ樹脂との反応によつて生
成する前記のものと比べて、部分中和や高pHにおいて
も水分散性およびつきまわり性が著しく優れており、し
かも形成される塗膜の硬化性や防食性などを低下するこ
とが全くない。
【0078】(A−2)成分としては次に例示する化合
物があげられる。
【0079】(1) モノエタノールアミン、モノプロ
パノールアミン、モノブタノールアミンなどの第1級ア
ルカノールアミン。
【0080】(2) N−メチルエタノールアミン、N
−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジ−
n−(またはiso)−プロパノールアミン、ジブタノ
ールアミンなどの第2級アルカノールアミン。
【0081】(3) 上記第1級アルカノールアミンと
α,β−不飽和カルボニル化合物との付加物(第2級ア
ルカノールアミン):例えば、モノエタノールアミン
と、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドと
の付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミ
ンとヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの付加
物、モノエタノールアミンとヒドロキシブチル(メタ)
アクリレートとの付加物など。
【0082】(4) ヒドロキシエチルアミノエチルア
ミンのような第1、2級アルカノールアミン。
【0083】(5) ヒドロキシアミン、ヒドロキシエ
チルヒドラジンおよびヒドロキシブチルヒドラジンから
選ばれる1種以上と、ケトン化合物、例えば、ジメチル
ケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジブチルケトン、ジプロピルケトンなどとの縮合物
(第2級アルカノールアミン)。
【0084】(6) 一般式(VIII)
【0085】
【化21】 〔式中、nは1〜6の整数であり、R21は水酸基および
/または重合性不飽和基を含有してもよい炭素数4〜3
6の炭化水素鎖を表わす〕で示される1分子中に1級水
酸基、2級アミノ基およびアミド基が併存するアミン化
合物。
【0086】一般式(VIII)で示されるアミン化合
物は、例えばN−ヒドロキシアルキルアルキレンジアミ
ンと炭素数5〜37のモノカルボン酸とを脱水縮合反応
させることによつて得られる。該ジアミンとしては、例
えば、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒド
ロキシエチルプロピレンジアミン、N−ヒドロキシエチ
ルブチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルペンチレン
ジアミン、N−ヒドロキシエチルヘキシレンジアミンな
どの第1級水酸基を含有する第1、2ジアミンが好適で
あり、また、モノカルボン酸としては、例えば、椰子油
脂肪酸、ひまし油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、大豆油脂肪
酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、サフラワー
油脂肪酸、あまに油脂肪酸および桐油脂肪酸などの混合
脂肪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リ
シノール酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステア
リン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸な
どがあげられる。
【0087】上記式(VIII)で示されるアミン化合
物を得るための上記ジアミンとモノカルボン酸との反応
は、通常、該両成分をほぼ等モル比で混合し、トルエン
やメチルイソブチルケトンなどの有機溶剤を用いて規定
量の反応生成水を除去することによつて行なうことがで
き、減圧法などで残存有機溶剤を除去することによつて
アミン化合物が得られる。かくして得られるアミン化合
物は、一般に、アミン価(2級アミン)が88〜35
0、特に120〜230の範囲内にあり、そして水酸基
価(好ましくは1級水酸基)が44〜350、特に60
〜230の範囲内にあることが好ましい。
【0088】(A−2)成分としての上記(1)〜
(6)の中、(2)、(3)および(6)の第1級アル
カノール第2級アミンが好ましい。特に、式(VII
I)で示されるアミン化合物(特にヒドロキシエチルア
ミノエチル脂肪酸アミド)とジエタノールアミンとを併
用することが、塗面の平滑性および耐蝕性などを向上さ
せる上で好ましい。該アミン化合物(特にヒドロキシエ
チルアミノエチル脂肪酸アミド)とジエタノールアミン
との比率は、該両成分の合計重量にもとずいて、前者を
30〜80重量%、後者を70〜20重量%の割合で用
いることが好ましい。(A−3)成分: フエノール性水酸基を1分子中に少
なくとも1個有するフエノール化合物。
【0089】(A−3)成分としてのフエノール性水酸
基を含有するフエノール化合物は下記式(IX)で示さ
れる構造単位を少なくとも1個含有し、そして(A−
3)成分の数平均分子量は通常94〜20000の範囲
内にあることが好ましい。
【0090】
【化22】
【0091】〔式中、R33およびR34は同一もしくは相
異なり各々水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ア
リール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子
を表わす〕かかる(A−3)成分としては、具体的に
は、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−2,2−プロパ
ン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン、ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−1,1−エタン、ビス(4−
ヒドロキシフエニル)−1,1−イソブタン、ビス(4
−ヒドロキシ−tert−ブチルフエニル)−2,2−
プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、
1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒド
ロキシフエニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフエ
ニル)−1,1,2,2−エタン、4,4′−ジヒドロキシ
ジフエニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフエニ
ルスルホン、フエノールノボラツク、クレゾールノボラ
ツクなどの多価フエノール化合物;フエノール、ノニル
フエノール、α−またはβ−ナフトール、p−tert
−オクチルフエノール、o−またはp−フエニルフエノ
ールなどのモノフエノール化合物などがあげられる。
【0092】本発明において、(A−3)成分として下
記式(X)
【0093】
【化23】
【0094】〔式中、R31およびR32は同一もしくは相
異なり各々炭素数1〜4のアルキル基を表わし;そして
33〜R36は同一もしくは相異なり各々水素原子、炭素
数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、
アリル基またはハロゲン原子を表わす〕で示されるフエ
ノール性水酸基含有官能基を有する化合物を用いると、
塗膜の防食性を一層向上させることができる。前記式
(X)で示されるフエノール性水酸基含有官能基を有す
る(A−3)成分の数平均分子量は、特に制限されない
が、一般に200〜20000、特に800〜3000
の範囲内にあることが好ましい、また、該(A−3)成
分は、1分子あたり、式(X)で示されるフエノール性
水酸基含有官能基を0.3〜2個、特に0.5〜1.5
個、さらに特に0.8〜1.2個含有することが好まし
い。
【0095】上記式(X)で示されるフエノール性水酸
基含有官能基を有する化合物としては、例えば、ビス
(4−ヒドロキシフエニル)−2,2−プロパン(ビス
フエノールA)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−
2,2−メタン(ビスフエノールA)などのビスフエノ
ール樹脂があげられる。
【0096】さらに式(X)で示されるフエノール性水
酸基含有官能基を有する化合物(A−3成分)として、
下記一般式(XI)で示される化合物もより好適に使用
することができる。
【0097】
【化24】
【0098】〔式中、qは0〜7の整数であり、R38
活性水素含有化合物の残基である〕上記式(XI)にお
けるR38の前駆体である活性水素含有化合物としては、
例えば、第2級アミンのようなアミン類;フエニルフエ
ノール、ノニルフエノールなどのフエノール類;脂肪酸
などの有機酸;チオール類;アルキルアルコール、セロ
ソルブ、ブチルセロソルブ、カービトールなどのアルコ
ール類;無機酸;などがあげられる。このうち特に好ま
しいものは、ジアルカノールアミンなどの第1級水酸基
を有する第2級アミン;前記式(VIII)で示される
アミン化合物;ノニルフエノール、フエニルフエノー
ル、フエノール、ハイドロキノンモノメチルエーテルな
どのフエノール類;ステアリン酸、オレイン酸、大豆油
脂肪酸などの脂肪酸類;酢酸、ぎ酸、ヒドロキシ酢酸な
どの低級有機酸などである。
【0099】(A−3)成分には、上記式(XI)の両
末端がR38または−OHのいずれか一方だけである化合
物が混在してもよいが、1分子当りフエノール性水酸基
含有官能基を0.5〜1.5個、特に0.8〜1.2個含有
し、そして数平均分子量が500〜20000の範囲内
にあることが好ましい。
【0100】前記式(IX)で示されるフエノール性水
酸基含有官能基を有する(A−3)成分は、例えば、ビ
スフエノール型グリシジルエーテル、ビスフエノール型
ジフエノールおよび活性水素含有化合物(例えば、第2
級アルカノールアミンなど)を、必要に応じて触媒や溶
剤の存在下で、30〜300℃、好適には70〜180
℃の温度で反応させることによつて得られる。また、こ
の反応において、さらに例えば、ダイマージオール、エ
チレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレ
ングリコールなどのポリオール類;ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコ
ールなどのポリエーテルポリオール類;ポリカプロラク
トンのようなポリエステルポリオール類;ポリカルボン
酸類;ポリイソシアネート類;モノイソシアネート類;
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイド、スチレンオキサイド等の不飽和化合物の酸
化物;アリルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリ
コールジグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリ
シジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグ
リシジルエーテル、フエニルグリシジルエーテル等の水
酸基を有する化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸のよ
うな有機酸のグリシジルエステル;脂環式オキシラン含
有化合物;等を併存させてもよい。更にδ−4−カプロ
ラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させて
もさしつかえない。
【0101】本発明で使用する(A)成分は、上記した
(A−1−1)成分および/または(A−1−2)成分
と(A−2)成分と(A−3)成分とを反応させること
によって得られる。この反応は、(A−1−1)成分お
よび/または(A−1−2)成分に、(A−2)成分お
よび(A−3)成分を同時または順次に反応せしめるこ
とによって行なうことができる。例えば、これらの成分
を同時に混合し反応せしめるか;(A−1−1)成分お
よび/または(A−1−2)成分に(A−2)成分を反
応させた後、(A−3)成分を反応させるか;(A−1
−1)成分および/または(A−1−2)成分に(A−
3)成分を反応させた後、(A−2)成分を反応させる
などの方法によって行なうことができ、それによって
(A)成分が得られる。
【0102】(A−1−1)成分および/または(A−
1−2)成分と(A−2)成分との反応は、(A−1−
1)成分および/または(A−1−2)成分のグリシジ
ル基と(A−2)成分の第1級および/または第2級ア
ミノ基との反応であって、これらのアミノ基は反応後は
いずれも第3級アミノ基に変化する。また、(A−1−
1)成分および/または(A−1−2)成分と(A−
3)成分との反応は、(A−1−1)成分および/また
は(A−1−2)成分のグリシジル基と(A−3)成分
のフエノール性水酸基との反応であって、それによりエ
ーテル結合が生成する。
【0103】(A−1−1)成分および/または(A−
1−2)成分中のグリシジル基の殆どもしくはすべては
上記反応に消費されるので、このようにして得られる
(A)成分中には原則としてグリシジル基は残存しない
のが一般的である。したがって、(A)成分は第1、2
級アミノ基およびグリシジル基を実質上含有してない。
これらの各成分の反応比率は目的生成物の用途等に応じ
て広い範囲で変えることができる。例えば、(A−1−
1)成分および/または(A−1−2)成分のグリシジ
ル基1モルあたり、(A−2)成分のアミノ基と(A−
3)成分のフエノール性水酸基との合計モル数が0.7
5〜1.5モル、特に0.8〜1.2モルの範囲内にな
るように反応させることが好ましい。該合計モル数が
0.75モルより少なくなると反応生成物の粘度が高く
なることがあり、一方1.5モルより多くなると未反応
のアミン基が多く残存して電着塗装特性などに悪い影響
を与えることがある。
【0104】また、(A−1−1)成分および/または
(A−1−2)成分の含有率は、(A−1−1)成分お
よび/または(A−1−2)成分、(A−2)成分およ
び(A−3)成分の合計量にもとづいて、0.5〜75
重量%、特に5〜50重量%の範囲内が好ましく、0.
5重量%より少なくなると水分散性が不十分となること
があり、一方75重量%より多くなるとアミン価が高く
なり塗膜の耐蝕性が低下する恐れがある。
【0105】(A−2)成分の使用量は、生成する
(A)成分の水酸基当量が250〜2000、好ましく
は300〜700の範囲内になるようにすることが好ま
しい。(A)成分の水酸基当量が250より小さくなる
とアミン価高くなり塗膜の耐蝕性が低下する恐れがあ
り、逆に2000より高くなると硬化性が低下して塗膜
の耐蝕性が低下することがある。また(A−3)成分
は、(A−1−1)成分および/または(A−1−2)
成分1分子あたり、0.05〜1.5モル、特に0.2
〜1.2モルの範囲内で使用するのが適している。(A
−3)成分が0.05モルより少ないと水分散性が低下
しやすく、反対に1.5モルより多くなると塗面の平滑
性が低下することがある。
【0106】さらに、(A−1−1)成分および/また
は(A−1−2)成分、(A−2)成分および(A−
3)成分の反応の温度は、通常50〜300℃、特に7
0〜200℃の範囲内が好ましい。この反応はアルコー
ル系、ケトン系およびエーテル系などの有機溶媒の存在
下で行なうことができる。
【0107】かくして得られる(A)成分は、数平均分
子量が一般に1000〜20000、特に1500〜1
0000の範囲内にあるのが好ましい。
【0108】また、(A)成分の水酸基当量およびアミ
ン価を上記範囲内に調節するために、(A−2)成分と
共に以下に例示するその他のカチオン化剤(A−4)を
使用することもできる。このカチオン化剤(A−4)
は、上記反応の最初、途中もしくは反応後のいずれの段
階に添加してもよい。
【0109】その他のカチオン化剤(A−4)として
は、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−又はi
so−プロピルアミンなどの第1級アミン;ジエチルア
ミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの第2級
アミン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エ
チルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミ
ン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロ
ピルアミンなどのポリアミンなどがあげられ、更にアン
モニア、ヒドラジン、N−ヒドロキシエチルイミダゾリ
ン化合物などとも併用することができる。これらは、反
応後に1級又は2級アミノ基が生成物中に残存しないこ
とが好ましい。
【0110】また、その他のカチオン化剤(A−4)と
して、前記(A−2)成分の(6)を作成するのに用い
た1級水酸基含有第1、2級ジアミンを2級水酸基含有
第1、2級ジアミンに置き換え1分子中に2級水酸基、
2級アミノ基及びアミド基が併存するアミン化合物も使
用することができる。
【0111】さらに、トリエチルアミン、トリエタノー
ルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メ
チルジエタノールアミン、N,N′−ジエチルエタノー
ルアミン、N−エチルジエタノールアミンなどの第3級
アミンなども(A−4)成分として使用することがで
き、これらは酸で予めプロトン化し、エポキシ基と反応
させて第4級塩にすることができる。
【0112】また、アミノ化合物以外に、ジエチルスル
フイド、ジフェニルスルフイド、テトラメチレンスルフ
イド、チオジエタノールなどのスルフイド類とホウ酸、
炭酸、有機モノカルボン酸などとの塩をエポキシ基と反
応させて第3級スルホニウム塩として使用してもよい。
【0113】更に、トリエチルホスフイン、フェニルジ
メチルホスフイン、ジフェニルメチルホスフイン、トリ
フェニルホスフインなどのホスフイン類と上記の如き酸
との塩をエポキシ基と反応させて、第4級ホスホニウム
塩として併用することもできる。
【0114】なお、本発明では、(A−2)成分を用い
てカチオン性基を導入することは必要であるが、(A−
2)成分と共に上記他のカチオン化剤(A−4)を使用
することは任意である。
【0115】かくして得られる第1級水酸基を含有する
カチオン性樹脂(A)はカチオン電着塗料用樹脂として
使用することができる。また、該樹脂(A)は水分散性
にすぐれているので、水分散性が不十分な有機物質や無
機物質などの水分散性を改良するのに有用であり、特
に、カチオン電着塗料の水分散性改良剤や顔料分散剤と
しても有用である。
【0116】(B)成分:1分子あたりフエノール性水
酸基を少なくとも2個有する樹脂(B−1)および1分
子あたりフエノール性水酸基とアルカノールアミンに基
づく1級水酸基とをそれぞれ少なくとも1個ずつ(合計
で少なくとも2個)併有する樹脂(B−2)であって、
これらは本質的に第1級および第2級アミノ基を有しな
いことが好ましい。
【0117】これらを使用することにより、塗膜の硬化
性および耐蝕性、耐水性などを向上させることができ
る。該(B)成分の数平均分子量は、特に制限されない
が、一般に約200〜約20000、特に約200〜約
10000の範囲内にあることが好ましい。
【0118】(B−1)成分:1分子中にフエノール性
水酸基を少なくとも2個有する樹脂。
【0119】(B−1)成分はフエノール性水酸基を1
分子あたり少なくとも2個、好ましくは2〜38個、さ
らに好ましくは2〜15個有することができる。かかる
樹脂(B−1)としては次に例示するものが好適に使用
される。
【0120】1分子あたりフエノール性水酸基2個有す
る樹脂(B−1−1)としては、例えば、ビス(4−ヒ
ドロキシフエニル)−2,2−プロパン(ビスフエノー
ルA)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−2,2−メ
タン(ビスフエノールF)、4,4′−ジヒドロキシビ
フエニル、4,4′−(1−α−メチルベンジリジン)
ビスフエノール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3
−メチルフエニル)プロパン、メチレンビス−p−クレ
ゾール、4,4′−エチリデンビスフエノール、ビス−
4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフエニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフエ
ニル)プロパン、ジヒドロキシベンゾフエノン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフエニル)シクリヘキサンなど
があげられる。
【0121】フエノール性水酸基を1分子あたり3個有
する樹脂(B−1−2)としては、例えば、4,4′,
4″−メチリデントリスフエノール、4,4′−〔(4
−ヒドロキシフエニル)メチレン〕ビス〔2メトキシフ
エノール〕、4,4′−〔(4−ヒドロキシフエニル)
メチレン〕ビス〔2,6−ジメチルフエノール〕、4,
4′,4″−エチリデントリスフエノール、4,4−
〔1−〔4−(2−(4−ヒドロキシフエニル)−2−
プロピル)フエニル〕エチリデン〕ビスフエノール類が
あげられる。
【0122】フエノール性水酸基を1分子あたり3個よ
り多く有する樹脂(B−1−3)としては、例えば、下
記式(XII)で示されるフエノール型ノボラツク樹脂
があげられる。
【0123】
【化25】
【0124】〔式中、R51およびR52は同一もしくは相
異なり各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリ
ール基、アラルキル基またはハロゲン原子を表わし;R
53は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール
基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わ
し;R54およびR56は同一もしくは相異なり各々水素原
子または炭素数1〜4のアルキル基を表わし;R55は水
素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わし;そ
してnは1〜38の整数である〕上記式(XII)にお
いて、「アルキル基」は直鎖状もしくは分岐鎖状であ
り、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−
ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、
オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル基など
が挙げられる。また、「アリール基」は単環式または多
環式のいずれであつてもよく、例えば、フエニル、ナフ
チル基などが挙げられ、特にフエニル基が好適であり、
さらに「アラルキル基」はアリール−置換アルキル基で
あつて、例えば、ベンジル、フエネチル基などが包含さ
れ、中でもベンジル基が好ましい。
【0125】「ハロゲン原子」にはフツ素、塩素、臭素
及びヨウ素原子が包含される。
【0126】しかして、前記式(XII)において、R
51およびR52としては水素原子、メチル基、塩素原子お
よび臭素原子が好適であり、特に水素原子、メチル基お
よび臭素原子が好ましい。また、R53およびR55として
は、メチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フエニ
ル基、塩素原子および臭素原子が好ましく、中でもメチ
ル基、tert−ブチル基、フエニル基および臭素原子
が好適である。さらに、R54およびR56は好ましくは水
素原子であり、そしてnは好ましくは特に1〜8であ
る。
【0127】(B−1−3)成分の数平均分子量は、蒸
気圧浸透圧法による測定に基いて、一般に、約400〜
約20000、特に600〜10000の範囲内にある
ことが好ましい。この数平均分子量によつて数平均繰返
し単位数(n+2)を求めることができる。また、(B
−1−3)成分は、フエノール性水酸基を1分子あたり
3〜15個有していることが好ましく、かつ(B−3)
成分のフエノール性水酸基当量は、一般に約120〜約
2000、特に140〜600の範囲内にあることが好
ましい。
【0128】(B−1−3)成分は、例えば、下記式
(XIII)
【0129】
【化26】
【0130】〔式中、R51、R52およびR53は前記と同
義である〕で示される2官能性フエニル化合物と、下記
式(IVX)
【0131】
【化27】R54−CHO (IVX) 〔式中、R54は前記と同義である〕で示されるアルデヒ
ド化合物および/または下記式(VX)
【0132】
【化28】R54−CO−R56 (XV) 〔式中、R54およびR56は前記と同義である〕で示され
るケトン化合物とを縮重合反応させることにより得られ
る。
【0133】また、上記式(XII)のフエノール型ノ
ボラツク樹脂を得るための反応中または反応後に、必要
に応じて、下記式(XV)
【0134】
【化29】
【0135】〔式中、R57は炭素数1〜10のアルキル
基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲ
ン原子を表わし;そしてR51およびR52は前記と同義で
ある〕で示される1官能性フエノール化合物を末端封止
剤として併用してもよい。
【0136】上記式(XVI)における基R57の具体例
には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル
基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル
基、エチレン基、プロピレン基、フエニル基、ベンジル
基、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などがあげら
れ、好ましくは、メチル基、t−ブチル基、ノニル基、
フエニル基、塩素原子および臭素原子であり、特にメチ
ル基、t−ブチル基、フエニル基および臭素原子が好ま
しい。
【0137】上記2官能性フエニル化合物において用い
る「2官能性」なる語は、一般式(XIII)におい
て、水酸基を基準に、オルト位および/またはパラ位に
水素原子が2個直接結合していることを意味する。該水
素原子は上記アルデヒド化合物およびケトン化合物中の
カルボニル基(C=O)と脱水縮合反応してフエノール
型ノボラツク樹脂を生成する。
【0138】また、1官能性フエノール化合物において
用いる「1官能性」なる語は、一般式(XVI)におい
て、水酸基を基準に、オルト位またはパラ位に水素原子
が1個直接結合していることを意味する。該水素原子は
上記アルデヒド化合物またはケトン化合物中のカルボニ
ル基(C=O)と脱水縮合反応してフエノール型ノボラ
ツク樹脂の末端を形成する。
【0139】前記式(XIII)で示される2官能性フ
エノール化合物としては、たとえば、フエノール、p−
プロペニルフエノール、o−ベンジルフエノール、6−
n−アミル−n−クレゾール、o−クレゾール、p−ク
レゾール、o−エチルフエノール、o−フエニルフエノ
ール、p−フエニルフエノール、p−tert−ペンチ
ルフエノール、p−tert−ブチルフエノール、o−
クロルフエノール、p−クロルフエノール、4−クロル
−3,5−キシレノール、o−アリルフエノール、ノニ
ルフエノール、o−ブロムフエノール、p−クミルフエ
ノールなどが挙げられる。
【0140】また、上記アルデヒド化合物としては、た
とえば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどがあ
げられる。また、アルデヒド化合物としてm−(または
p−)ヒドロキシベンズアルデヒドを用い、上記2官能
性フエニル化合物との反応後に、該ヒドロキシベンズア
ルデヒドをエピハロヒドリンでグリシジルエーテル化し
てもよい。なお、上記ヒドロキシベンズアルデヒドのベ
ンゼン核は炭素数1〜10のアルキル基で置換されてい
てもよい。
【0141】式(XV)で示されるケトン化合物として
は、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンなどがあげられる。さらに、2−アセ
チルフエニル−2−ヒドロキシフエニルプロパンを用い
ると、式(XII)の樹脂中にフエノール性水酸基を含
有する有機基を導入することができる。すなわち、これ
により式(XII)における
【0142】
【化30】 の少なくとも一部は
【0143】
【化31】
【0144】とすることができる。
【0145】上記2官能性フエニル化合物にアルデヒド
化合物および/またはケトン化合物を縮重合反応させる
ことによりフエノール型ノボラツク樹脂(B−3)が得
られる。この縮重合反応はそれ自体既知の通常のフエノ
ール型ノボラツク樹脂の製造方法に準じて行うことがで
きる。具体的には、回分式または特開昭51−1304
98号公報などに記載の連続法などにより行なうことが
できる。たとえば、各成分を、前記式(XII)におけ
る繰返し数(n)が1〜38の範囲内で、しかも数平均
分子量およびエポキシ当量が前記した範囲内に包含され
るような比率で配合し、かつ反応させることによつて
(B−3)成分が得られる。この反応において、塩酸、
燐酸および硝酸などの無機酸;パラトルエンスルホン酸
およびしゆう酸などの有機酸;酢酸亜鉛などの金属塩な
どの触媒を使用することもできる。(B−1−3)成分
の製造において、必要に応じて、上記2官能性フエニル
化合物と、アルデヒド化合物および/またはケトン化合
物との縮重合反応中またはその後に、前記式(XV)で
示される1官能性フエノール化合物を末端封止剤として
反応させることができる。
【0146】上記式(XV)で示される1官能性フエノ
ール化合物としては、具体的には、2−t−ブチル−4
−メチルフエノール、2,4−キシレノール、2,6−キ
シレノール、2,4−ジクロルフエノール、2,4−ジブ
ロモフエノール、ジクロルキシレノール、ジブロモキシ
レノール、2,4,5−トリクロロフエノール、6−フエ
ニル−2−クロルフエノールなどが挙げられる。
【0147】1官能性フエノール化合物と、上記2官能
性フエニル化合物成分、アルデヒド化合物および/また
はケトン化合物との縮重合反応は上記と同様にして行な
うことができる。1官能性フエノール化合物成分を併用
して得られるノボラツク型フエノール樹脂も(B−1−
3)成分の範ちゆうに包含される。
【0148】さらに、(B−1)成分として、上記(B
−1−1)〜(B−1−3)から選ばれる少なくとも1
種の成分にモノもしくはポリグリシジル化合物を、必要
に応じて触媒や溶媒の存在下で、30〜300℃、好適
には70〜180℃の温度で反応させることにより得ら
れる生成物(B−1−4)も包含される。
【0149】該モノもしくはポリグリシジル化合物とし
ては、例えば、ビスフエノール型ジグリシジルエーテ
ル;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチ
レンオキサイド、スチレンオキサイド等の不飽和化合物
の酸化物;アリルグリシジルエーテル、ポリプロピレン
グリコールジグリシジルエーテル、2−エチルヘキシル
グリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチ
ルグリシジルエーテル、フエニルグリシジルエーテル等
の水酸基を有する化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸
のような有機酸のグリシジルエステル等があげられる。
【0150】また、(B−1−4)成分の生成反応にお
いて、その反応生成物がフエノール性水酸基を1分子あ
たり2個以上有している限りにおいて、さらに下記成分
を併存させることも可能である。例えば、ダイマージオ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
チレングリコールなどのポリオール類;ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレング
リコールなどのポリエーテルポリオール類;ポリカプロ
ラクトンのようなポリエステルポリオール類;ポリカル
ボン酸類;ポリイソシアネート類;モノイソシアネート
類;脂環式オキシラン含有化合物等を併存させることが
できる。更にδ−4−カプロラクトン、アクリルモノマ
ーなどをグラフト重合させてもさしつかえない。
【0151】(B−2)成分: 1分子中に、ベンゼン
環に直接水酸基が結合したフエノール性水酸基と、アル
カノールアミンより導入される1級水酸基とを合計で2
個以上有し、且つ本質的に1級および2級アミノ基を有
しない樹脂。
【0152】(B−2)成分は、上記フエノール性水酸
基を1分子中に2個以上有する樹脂(B−1)、ポリグ
リシジル化合物およびアルカノールアミンを、必要に応
じて触媒や溶媒の存在下で、30〜300℃、好適には
70〜180℃の温度で反応させることによつて得るこ
とができる。
【0153】フエノール性水酸基を1分子中に2個以上
有する樹脂(B−1)及びポリグリシジル化合物は前述
したと同様のものを使用することができる。また、アル
カノールアミンとしては、前記(A−2)成分の説明に
おいて例示した(1)〜(6)に記載の化合物から選ば
れる少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
【0154】また、(B−2)成分の生成反応におい
て、その反応生成物が1分子あたりフエノール性水酸基
とアルカノールアミンに起因する水酸基を合計で2個以
上有する限りにおいて、さらに下記成分を併存させるこ
とも可能である。例えば、ダイマージオール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ルなどのポリオール類;ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどの
ポリエーテルポリオール類;ポリカプロラクトンのよう
なポリエステルポリオール類;ポリカルボン酸類;ポリ
イソシアネート類;モノイソシアネート類;脂環式オキ
シラン含有化合物等を併存させてもよい。更にδ−4−
カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合
させてもさしつかえない。
【0155】(C)成分:下記式
【0156】
【化32】
【0157】〔式中、R1およびR2は同一もしくは相異
なり各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、芳香族
基またはハロゲン原子であり、R6は炭素数1〜10の
アルキル基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子で
あり、R4は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
であり、R5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル
基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子であり、n
は0〜38の整数であり、そして式中のベンゼン環の少
なくとも一部はナフタレン環に置換されていてもよい〕
で示されるグリシジルエーテル基含有ノボラツクフエノ
ール樹脂。
【0158】(C)成分は、前記(A)成分の調製に使
用される式(II)で示される(A−1−2)成分と構
造上類似するものであり、相違する点は、式(II)に
おけるR3は炭素数1〜10のアルキル基、芳香族基、
アリル基またはハロゲン原子に加えて、水素原子である
こともできるが、式(III)におけるR6に炭素数1
〜10のアルキル基、芳香族基、アリル基またはハロゲ
ン原子であり、水素原子であることはできないことであ
り、それ以外の点はすべて両者共通である。したがっ
て、(C)成分に関しては前記(A−1−2)成分に関
する説明がそのまま適用されるので、ここでは(C)成
分の説明は省略する。
【0159】水性塗料用樹脂組成物:本発明の水性塗料
用組成物は、例えば以上に述べた(A)、(B)および
(C)成分を主成分として含有するものであり、例え
ば、(A)成分の塩基性基を酸で中和し、これを(B)
および(C)成分と共に水性媒体に分散することによっ
て調製することができる。(A)成分の中和は、上記各
成分の混合前、混合中または混合後のいずれの時点に行
なってもよい。(B)成分が塩基性基を有している場合
には、(A)成分と同様に中和することもさしつかえな
い。上記成分の混合順序には特に制約はなく、任意の順
序で行なうことができ、例えば、全成分を一括混合分散
するか;(A)および(B)成分を混合してから(C)
成分を混合するか;(A)および(C)成分を混合して
から(B)成分を混合するか;(B)および(C)成分
を混合してから(A)成分を混合するなどの方法で行な
うことができる。また、(A)成分の中和に使用しうる
中和剤としては、例えばぎ酸、酢酸、乳酸、酪酸、プロ
トン酸などが好ましい。
【0160】上記(A)、(B)および(C)成分の配
合比率は特に制限されず、樹脂組成物の用途等に応じて
広い範囲で変えることができるが、一般には、該3成分
の合計固形分重量に基づいて、(A)成分は10〜60
重量%、特に15〜50重量%、そして(B)成分と
(C)成分は合計で90〜40重量%、特に85〜50
重量%の範囲内にあるのが好ましい。また、(A)およ
び(B)成分に含まれる水酸基の合計1モルあたり、
(C)成分のグリシジル基(エポキシ基)は0.3〜
3、特に0.6〜2モルの範囲内にあるのが好ましい。
【0161】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、上記
(A)、(B)および(C)成分の他に、さらに必要に
応じて、体質顔料、防食顔料、分散剤、はじき防止剤、
硬化促進剤などを含有することができる。このうち、顔
料は以下に述べる顔料分散ペースト(Y)として配合す
ることが好ましい。
【0162】顔料分散ペースト(Y):顔料分散ペース
ト(Y)は(A)成分から選ばれる少なくとも1種の樹
脂と顔料(着色顔料、体質顔料、防食顔料など)とを混
合分散することにより調製することができ、さらに必要
に応じて可塑剤、湿潤剤、界面活性剤または消泡剤など
を配合していてもよい。
【0163】これらの各成分の混合分散は、ボールミ
ル、サンドミル、クロウルス(Crowles)溶解
機、連続分散機などを用いて行なうことができ、例え
ば、顔料を所望のサイズに分散し、上記(A)成分によ
って湿潤させることが好ましい。分散後の顔料の粒子サ
イズは、10ミクロン以下(ヘルマン・グラインド・ゲ
ージの度数で約6〜8)であることが好ましい。この分
散は水中で行うことが好ましい。この場合、(A)成分
中の塩基性基の一部もしくは全部を前記の如き酸性化合
物で中和しプロトン化し水分散液としておくことが好ま
しい。酸性化合物の添加量は、これらの樹脂の中和価が
KOH(mg/g)換算で通常5〜200、特に10〜
150の範囲内なるように調整することが好ましい。顔
料分散ペースト(Y)の水性分液中の水含有率は特に制
限されないが、通常約20〜80重量%の範囲内が好ま
しい。
【0164】顔料分散ペースト(Y)における上記顔料
の種類には特に制限はなく、例えば、カーボンブラッ
ク、チタン白、鉛白、酸化鉛、ベンガラなどの着色顔
料;酸化アンチモン、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性
硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミニウム
シリカ、炭酸マグネシウム、マグネシウムシリカ、クレ
ー、タルクのような体質顔料;クロム酸ストロンチウ
ム、クロム酸鉛、塩基性クロム酸鉛、鉛丹、ケイ酸鉛、
塩基性ケイ酸鉛、リン酸鉛、塩基性リン酸鉛、トリポリ
リン酸鉛、ケイクロム酸鉛、黄鉛、シアナミド鉛、鉛酸
カルシウム、亜酸化鉛、硫酸鉛などの防食顔料があげら
れる。これらの顔料と(A)成分との混合比率は、通
常、固形分重量比で2/1〜7/1の範囲内が好まし
い。
【0165】本発明の水性塗料用樹脂組成物を用いて調
製されるカチオン電着塗料は、通常の方法に従い適当な
導電性基体(被塗物)にカチオン電着塗装することがで
き、その塗膜を例えば80〜250℃、好ましくは12
0〜160℃の温度で加熱硬化させることができる。
【0166】特に、本発明の水性塗料用樹脂組成物を用
いたカチオン電着塗料の電着塗膜を160℃以下の低温
で十分に硬化させることを望む場合には、鉛化合物、ジ
ルコニウム化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合
物、マンガン化合物、銅化合物、亜鉛化合物、鉄化合
物、クロム化合物、ニツケル化合物、スズ化合物などか
ら選ばれる1種もしくは2種以上の触媒を添加すること
が有効である。これら金属化合物の具体例としては、例
えば、ジルコニウムアセチルアセトナート、コバルトア
セチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナー
ト、マンガンアセチルアセトナートなどのキレート化合
物;β−ビドロキシアミノ構造を有する化合物と酸化鉛
(II)とのキレー化反応生成物;2−エチルヘキサン
酸鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛、安息香酸鉛、酢酸
鉛、乳酸鉛、ギ酸鉛、グリコール酸鉛、オクチル酸ジル
コニウムなどのカルボキシレートなどが挙げられる。
【0167】上記金属化合物は、樹脂固形分に対する金
属含有率が一般に10重量%以下、好ましくは0.5〜
5重量%となるような量で使用することができる。
【0168】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、(A)
成分の樹脂骨格には酸で中和された第3級アミノ基や水
酸基などによる親水性部分とそれ以外の疎水性部分(例
えばエポキシ基部分)とが明確に区別されて存在(局在
化)しているために、(B)成分および(C)成分を容
易に分散するという利点がある。また、本発明の水性塗
料用樹脂組成物においては、(C)成分のエポキシ基
が、(B)成分中のフエノール性水酸基やアルカノール
アミンによつて導入された水酸基および(A)成分中の
水酸基などとエーテル付加して架橋硬化するが、その
際、加熱減量が極めて少ないので、形成される塗膜は収
縮応力が殆どなく、平滑性、耐食性などが著しく向上す
る。さらに、(A)成分の分散性がすぐれているので、
その使用量が少なくてすみ、その結果、水性塗料用樹脂
組成物としての塩基性濃度が低くなつて塗膜の耐酸性、
耐食性などが改良される。
【0169】本発明の組成物をベースとするカチオン電
着塗料を用いて導電性基体上に電着塗膜を形成する方法
は特に制限されるものではなく、通常のカチオン電着塗
装条件を用いて行なうことができる。例えば、該電着塗
料に、必要に応じ顔料、硬化触媒、その他の添加剤を配
合し、浴濃度(固形分濃度)5〜40重量%、好ましく
は10〜25重量%及び浴pH4〜8、好ましくは5〜
7の範囲内のカチオン電着浴を調製する。その際、被塗
物をカソードとし、アノードとしてはステンレス又は炭
素板を用いるのが好ましい。電着塗装条件は、とくに制
限されるものではないが、一般的には、浴温:20〜3
0℃、電圧100〜400V、好ましくは200〜30
0V、電流密度:0.01〜3A/dm2、通電時間:1
〜5分、極面積比(A/C):2/1〜1/2、極間距
離:10〜100cm、撹拌状態で電着することが好ま
しい。
【0170】本発明の上記カチオン電着塗料は、(A)
成分がカチオン性樹脂、(B)成分が低塩基性樹脂、そ
して(C)成分が非塩基性樹脂であるために、水分散
性、貯蔵安定性、浴安定性、無処理鋼板での耐食性、平
滑性などがすぐれている。
【0171】以下、実施例および比較例より本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、部および%はいずれも原
則として重量部および重量%である。
【0172】I.試料の調製 1.(A)および(B)成分の製造例 表1に記載の成分および配合量に基づいて反応せしめて
製造した。このうち、製造例1〜4は(A)成分のみ、
製造例5〜7は(A)および(B)成分を同時に製造す
る例である。
【0173】製造例1〜4では、撹拌機、温度計、滴下
ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、表1
に示す溶剤および(A−1−1)成分〜(A−3)成分
を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、150℃で
反応させ、エポキシ当量が0になったことを確認して、
(A)成分を得た。
【0174】製造例5〜7では、撹拌機、温度計、滴下
ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、表1
に示す溶剤および(A−1−1)成分〜(A−2)成分
を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、120℃で
反応させ、表1に記載の第1段階終点エポキシ当量にな
ったことを確認してから、その他の成分を仕込み、15
0℃で反応させ、エポキシ当量が0になったことを確認
して、(A)および(B)成分の混合物を得た。
【0175】
【表1】
【0176】
【表2】
【0177】表1において、 BREN-S :エポキシ当量285のブロム変性ノボラツ
クフエノールポリグリシジルエーテル(日本化薬(株)
製) DEN-438 :エポキシ当量180のノボラツクフエノー
ルポリグリシジルエーテル(ダウケミカル日本(株)
製) EOCN-102S :エポキシ当量215のクレゾールノボラツ
クフエノールポリグリシジルエーテル(日本化薬(株)
製) ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル:エポ
キシ当量380 EHPE-3150 :エポキシ当量180の脂環型エポキシ樹脂
(ダイセル化学(株)製) ビスフエノールAグリシジルエーテル :エピコート8
28(油化シエルエポキシ(株)製) (*1)A−2−1:温度計、撹はん機、還流冷却器、
水分離器を取り付けた反応容器に、ステアリン酸285
部とヒドロキシルエチルアミノエチルアミン104部及
びトルエン80部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加
熱し必要に応じてトルエンを除去し温度を上げながら反
応水18部を分離除去した後残存するトルエンを減圧除
去することにより得られるアミノ化合物。アミン価15
0、凝固点76℃。
【0178】(*2)A−3−1:撹拌機、温度計、滴
下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、ジエ
タノールアミン105部、エポキシ当量190のビスフ
エノールAジグリシジルエーテル760部、ビスフエノ
ールA456部およびエチレングリコールモノブチルエ
ーテル330部を添加し、150℃でエポキシ基残量が
0になるまで反応させることにより得られる生成物。固
形分含有率80%。
【0179】(*3)A−3−2:撹拌機、温度計、滴
下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、フエ
ニルフエノール170部、エポキシ当量190のビスフ
エノールAジグリシジルエーテル760部、ビスフエノ
ールA456部、テトラメチルアンモニウムクロリド
0.2およびエチレングリコールモノブチルエーテル3
46部を添加し、150℃でエポキシ基残量が0になる
まで反応させることにより得られる生成物。固形分含有
率80%。
【0180】(*4)A−3−3:撹拌機、温度計、滴
下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、オレ
イン酸280部、エポキシ当量190のビスフエノール
Aジグリシジルエーテル760部、ビスフエノールA4
56部、テトラメチルアンモニウムクロリド0.2部お
よびエチレングリコールモノブチルエーテル374部を
添加し、150℃でエポキシ基残量が0になるまで反応
させることにより得られる生成物。固形分含有率80
%。
【0181】(*5)A−3−4:撹拌機、温度計、滴
下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、前記
アミン化合物(A−2−1)370部、エポキシ当量1
90のビスフエノールAジグリシジルエーテル760
部、ビスフエノールA456部およびエチレングリコー
ルモノブチルエーテル397部を添加し、150℃でエ
ポキシ基残量が0になるまで反応させることにより得ら
れる生成物。固形分含有率80%。
【0182】(*6)A−3−5:撹拌機、温度計、滴
下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、テト
メチルアンモニウムクロライド0.2部、エポキシ当量
190のビスフエノールAジグリシジルエーテル760
部、ビスフエノールA684部およびエチレングリコー
ルモノブチルエーテル361部を添加し、150℃でエ
ポキシ基残量が0になるまで反応させることにより得ら
れる生成物。固形分含有率80%。
【0183】2.(B)成分の製造例 (B−1):撹拌機、温度計および還流冷却器を取り付
けたフラスコに、シヨーノールBRG−556(昭和高
分子製、商品名、ノボラツクポリフエノール、フエノー
ル性水酸基当量122)を100部およびエチレングリ
コールモノブチルエーテル25部を仕込み、加熱溶解せ
しめて(B−1)を得た。
【0184】(B−2):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取り付けたフラスコに、シヨーノールCRG−9
51(昭和高分子製、商品名、グレゾールノボラツクポ
リフエノール、フエノール性水酸基当量110)を10
0部およびエチレングリコールモノブチルエーテル25
部を仕込み、加熱溶解せしめて(B−2)を得た。
【0185】(B−3):前記のA−3−1をそのまま
(B−3)とした。
【0186】(B−4):前記のA−3−5をそのまま
(B−4)とした。
【0187】3.(C)成分の製造例 (C−1):撹拌機、温度計および還流冷却器を取付け
たフラスコに、EPICLON N−695(大日本イ
ンキ(株)製、エポキシ当量213、n=7)1917
部、エチレングリコールモノブチルエーテル590部、
ノニルフエノール(活性水素含有化合物)440部およ
びテトラメチルアンモニウムクロリド0.2部を仕込
み、エポキシ当量が350になるまで150℃で反応さ
せ(C−1)を得た。
【0188】(C−2):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取付けたフラスコに、EPICLON N−69
5(大日本インキ(株)製、エポキシ当量213、n≒
7)1917部、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル620部、トール油脂肪酸(活性水素含有化合物)5
60部およびテトラメチルアンモニウムクロリド0.2
部を仕込み、エポキシ当量が370になるまで150℃
で反応させ(C−2)を得た。
【0189】(C−3):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取付けたフラスコに、EPICLON N−69
5(大日本インキ(株)製、エポキシ当量213、n≒
7)100部、エチレングリコールモノブチルエーテル
25部を仕込み、加熱溶解し(C−3)を得た。
【0190】(C−4):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取付けたフラスコに、BREN−S(日本化薬
(株)製、エポキシ当量280、n≒2)100部、エ
チレングリコールモノブチルエーテル25部を仕込み、
加熱溶解し(C−4)を得た。
【0191】(C−5):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取付けたフラスコに、ESMB−260(住友化
学(株)製、エポキシ当量260)100部、エチレン
グリコールモノブチルエーテル25部を仕込み、加熱溶
解し(C−5)を得た。
【0192】(C−6):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取付けたフラスコに、ESN−195(新日鉄化
学(株)製、エポキシ当量290)100部、エチレン
グリコールモノブチルエーテル25部を仕込み、加熱溶
解し、(C−6)を得た。
【0193】(C−7):撹拌機、温度計および還流冷
却器を取付けたフラスコに、2,6−キシレノール(1
官能性フエノール化合物)122部、O−クレゾール
(2官能性フエノール化合物)54部、7.6%フオル
ムアルデヒド水溶液28部およびp−トルエンスルホン
酸4部を100℃に昇温し還流下で4時間反応させた後
トルエン300部および10%NaOH水溶液8.4部
を添加し撹拌後分液したトルエン層を減圧濃縮し2,6
−キシレノール、O−クレゾール共縮合ノボラツク16
4部を得た。
【0194】ついでエピクロルヒドリン750部を添加
し、100℃に昇温後50%NaOH水溶液120部を
5時間で滴下し、系中の水はエピクロルヒドリンと共沸
させて除去した。反応終了後過剰のエピクロルヒドリン
を減圧除去し生成物をトルエン300部に溶解し副生成
物の塩を分離除去後、トルエンを減圧除去し2,6−キ
シレノール、O−クレゾール共縮合ノボラツクグリシジ
ルエーテル樹脂200部を得た。このもののエポキシ当
量は210であつた。
【0195】撹拌機、温度計および還流冷却器を取付け
たフラスコに、合成した2,6−キシレノール、O−ク
レゾール共縮合ノボラツクエポキシ100部、エチレン
グリコールモノブチルエーテル25部を仕込み、加熱溶
解し(C−7)を得た。
【0196】II.実施例および比較例 上記試料を下記表2に記載の配合量に基づいて混合分散
して、本発明の組成物および比較用の組成物を調製し
た。
【0197】
【表3】
【0198】表2において、 1) 各成分の混合分散は、デイスパーを使用して行つ
た。
【0199】2) 各成分の配合量には溶剤などを含
む。
【0200】3) A成分の名称は表1の製造例に記載
したものであり、このうちA−5〜A−7はB成分も含
んでいる。
【0201】4) 比較例1の(B−5)成分はフエノ
ール基含まず、アミン価を高くしたもので、撹拌機、温
度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコ
に、前記アミン化合物(A−2−1)371部、ジエタ
ノールアミン105部、エポキシ当量190のビスフエ
ノールAジグリシジルエーテル950部、ビスフエノー
ルA342部およびエチレングリコールモノブチルエー
テル442部を添加し、150℃でエポキシ基残量が0
になるまで反応せしめることによつて得られ、固形分含
有率80%であつた。
【0202】5) 比較例2の(A−8)は(A−1−
1)および(A−1−2)成分を含まない(A)成分で
あつて、その製造方法は下記のとおりである。
【0203】撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷
却器を取付けたフラスコに、ジエタノールアミン21
部、エポキシ当量190のビスフエノールAジグリシジ
ルエーテル950部、エポキシ当量340のポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル340部およびビ
スフエノールA2052部を仕込み、混合撹拌しながら
徐々に加熱し、120℃で反応させ、エポキシ当量が9
80であることを確認後、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル479部を添加し100℃に保ちながら、ジ
エタノールアミン158部及びアミノ化合物(A−2−
1)43部を添加し、粘度上昇が止るまで反応させ、固
形分80%、アミン価54、第1級水酸基当量518の
比較用樹脂(A−8)を得た。
【0204】6) 比較例3における(C−10)は、
撹拌機、温度計および還流冷却器を取り付けたフラスコ
に、ジフエニルメタンジイソシアネート250部を仕込
み、80℃に加熱し、2−エチルヘキシルアルコール1
30部とジエチレングリコールモノエチルエーテル13
4部との混合物を60分間を要して滴下した後、120
℃に昇温し、IRによつて遊離のNCO基の吸収がなく
なつたことを確認してから、エチレングリコールモノブ
チルエーテル128.5部を加えて得た。
【0205】顔料分散ペースト(Y−1)の調製例 前記カチオン性樹脂(A−1)10部にチタン白(石原
産業(株)製タイペツクCR93)20部、カーボン
(三菱化成(株)製、MA−7)2部、トリポリリン酸
アルミ(帝国化工(株)製、Kホワイト84)4部、ク
レー(ジークライト化学(株)製、ジークライト)24
部、酢酸0.4部および脱イオン水39.6部を加えて練
り合わせた後、ガラスビーズ200部を加えてペイント
シエーカーで分散し、粒ゲージでの粗粒子が10μ以下
の固形分58%の顔料分散ペースト(Y−1)を得た。
【0206】電着塗料の調製 顔料分散ペースト(Y−1)75部と表2で得られた各
エマルジヨン333部を混合し、ついで脱イオン水31
0部を加え固形分含有率20%の電着塗料を得た。
【0207】性能試験 上記で得た樹脂組成物(エマルジヨン)の分散粒径及び
MEQ安定性並びに上記の電着塗料を用いて形成された
塗膜の加熱減量及び耐ソルトスプレー性の測定結果を下
記表3にまとめて示す。
【0208】
【表4】
【0209】表3において、 (1) 分散粒径:前記表2の配合に基いて得られた固
形分含有率30%のエマルジヨン(製造してから12時
間経過後のもの)粒子の直径を、コールター社製、ナノ
サイザーN−4を用いて測定した。
【0210】(2) MEQ安定性:前記表2の配合に
基いて得られた固形分含有率30%のエマルジヨン(顔
料ペーストを含まず)の、製造してから12時間経過後
のもの(初期)と、30℃で20日間密閉貯蔵後のもの
とをそれぞれ約10gずつ精秤し、1/10N−KOH
アルコール性溶液を用いて電位差滴定装置による滴定を
行い、含有酸量を定量し、下記式にしたがつてMEQを
もとめた。初期値に対して貯蔵後の変動のすくないもの
が良好である。
【0211】
【数1】MEQ(ミリ当量)=〔KOHアルコール性溶
液滴定量(ml)×10〕/〔サンプル量(g)×0.
3〕 (3) 加熱減量:りん酸亜鉛処理鋼板の重量をW0
し、この処理板に前記した条件で硬化塗膜にもとずく膜
厚が20μになるように上記電着塗料を電着塗装し、そ
の塗膜を真空乾燥器で80℃で1時間減圧下で乾燥させ
た。このものの重さをW1とする。ついで、乾燥器で1
80℃で30分加熱して焼き付けた後の重量をW2とす
る。これらを下記式に代入して加熱減量をもとめた。
【0212】
【数2】加熱減量(%)=〔(W1−W2)/(W1
0)〕×100 (4) 耐ソルトスプレイ性:無処理鋼板に前記した条
件で硬化塗膜にもとずく膜厚が20μになるように上記
電着塗料を電着塗装し、160℃で10分加熱して塗膜
を硬化せしめた。この塗板を、JIS Z2871に従
つて耐ソルトスプレイ性試験し(時間600時間)、塗
膜のカツト(素地に達する線状切りきず)からのクリー
ク幅(片側)2.00mm以内、およびカツト部以外の
塗膜のフクレが8F(ASTM)以下のときを合格
(○)、それ以上のときを不合格(×)とした。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 163/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 下記式(I)で示されるエポキ
    シ基含有官能基を1分子あたり少なくとも3個有するエ
    ポキシ樹脂(A−1−1)および/またはグリシジルエ
    ーテル基を1分子あたり少なくとも3個有する下記式
    (II)で示されるグリシジルエーテル基含有ノボラツク
    フエノール樹脂(A−1−2)、第1級水酸基を1分子
    あたり少なくとも1個有する第1級または第2級アミン
    化合物(A−2)、およびフエノール性水酸基を1分子
    あたり少なくとも1個有するフエノール化合物(A−
    3)を反応させることにより得られる、水酸基およびカ
    チオン性基を有しかつ本質的に第1級または第2級アミ
    ノ基およびエポキシ基を含有しない樹脂; 【化1】 〔式中、mは2〜4の整数である〕 【化2】 〔式中、RおよびRは同一もしくは相異なり、各々
    水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、芳香族基または
    ハロゲン原子であり、Rは水素原子、炭素数1〜10
    のアルキル基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子
    であり、Rは水素原子または炭素原子1〜4のアルキ
    ル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキ
    ル基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子であり、
    nは0〜38の整数であり、そして式中のベンゼン環の
    少なくとも一部はナフタレン環に置換されていてもよ
    い〕 (B) 1分子あたりフエノール性水酸基を少なくとも
    2個、またはフエノール性水酸基とアルカノールアミン
    に基づく第1級水酸基とを合計で少なくとも2個有し、
    かつ本質的に第1級および第2級アミノ基を含有しない
    樹脂;および (C) 式(III)で示されるグリシジルエーテル基含
    有ノボラツクフエノール樹脂 【化3】 〔式中、RおよびRは同一もしくは相異なり各々水
    素原子、炭素数1〜8のアルキル基、芳香族基またはハ
    ロゲン原子であり、Rは炭素数1〜10のアルキル
    基、芳香族基、アリル基またはハロゲン原子であり、R
    は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、
    は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、芳香族
    基、アリル基またはハロゲン原子であり、nは0〜38
    の整数であり、そして式中のベンゼン環の少なくとも一
    部はナフタレン環に置換されていてもよい〕を含有する
    ことを特徴とする水性塗料用樹脂組成物。
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