JP3256574B2 - ポリウレタン組成物およびそれからなる繊維 - Google Patents

ポリウレタン組成物およびそれからなる繊維

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタン組成物およ
びそれからなる繊維に関する。詳細には、耐光性、耐N
Xガス性、耐候性、耐熱変色性、耐溶剤性等に優れた
ポリウレタン組成物およびポリウレタン繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタンは力学的性能が優れており
且つ成形や加工が容易であることから、種々の射出成形
品、ホース、チューブ、フイルム、シート等の押出成形
品、繊維、人工皮革等の広範囲の用途に利用されてい
る。特にポリウレタン繊維は他の繊維にはない優れた弾
性を有しているところから、水着やスキーウエア等のス
ポーツ用衣料、下着、ストッキング、弾性包帯や人工血
管等の医療用材料等として広く利用されている。
【0003】そして、ポリウレタンのうちでも、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族
系イソシアネートをイソシアネート成分として用いて製
造されたポリウレタンは特に力学的性能が優れており重
要な地位を占めているが、この芳香族系イソシアネート
に基づいたポリウレタンは日光や人工の光に当たると変
色するという欠点がある。
【0004】芳香族系イソシアネートを用いたポリウレ
タンの上記の欠点を改良することを目的として、ポリウ
レタン中に耐光性改良剤を添加することが色々提案され
ている。その一つに、例えば酸化チタン等の艶消剤をポ
リウレタン成形品や繊維等に多量に配合して日光の遮蔽
効果を狙ったものが知られているが、染顔料で着色した
場合に白っぽくなって深みのある色にならず、品位の低
いものになってしまうという欠点がある。
【0004】また、2位および6位が各々2個のアルキ
ル基で置換されているピペリジン環、すなわちヒンダー
ドピペリジン環を有する低分子量のヒンダードアミン化
合物からなる耐光安定剤をポリウレタン中に添加するこ
とも提案されている。しかしながら、低分子量のヒンダ
ードアミン化合物を配合したポリウレタンを用いると、
押出成形によってフイルムやチューブ等を製造する際
に、ダイ部分に不融性の不純物が付着して製品に欠陥を
生ずる原因になったり、また繊維の紡糸時に口金が汚れ
て断糸の原因になるという欠点がある。しかもそれから
得られたポリウレタン製品を使用している間にその耐光
性改良剤が製品表面にブリードアウトして外観が損なわ
れたり、製品から耐光性改良剤が脱落してその耐光性が
著しく低下するという欠点がある。かかる点から、未だ
充分満足のゆくポリウレタン用の耐光性改良剤が得られ
ていないのが実情である。
【0005】更に、芳香族系イソシアネートの代わりに
脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートを使用す
ることも提案されているが、得られるポリウレタンの力
学的性能が低下するという欠点があり、やはり充分満足
のゆくポリウレタン製品が得られない。
【0006】
【発明の内容】上記の点から、本発明者らは、押出成形
や紡糸時にダイ部分や口金部分に汚れを生じず、しかも
製品からのブリードアウトや脱落がなく、耐光性、耐N
Xガス性、耐候性、耐熱変色性、耐有機溶剤性等の各
種の性能に優れたポリウレタン組成物およびそれからな
る繊維を得ることを目的として研究を行ってきた。
【0009】その結果、ポリウレタン中に、分子量が1
000以上の特定のヒンダードアミン系化合物、分子量
が500以上の特定のヒンダードフェノール系化合物お
よび分子量が10000以上の特定のベンゾフェノン系
化合物の3者を配合すると上記の目的を達成できること
を見いだして本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、ポリウレタン中に、
(a)下記の式(I);
【0011】
【化4】 (式中、R1、R2、R3およびR4は各々独立してアルキ
ル基を示す)で表されるピペリジン環を含む基を少なく
とも1個有する分子量が1000以上のヒンダードアミ
ン化合物、(b)下記の式(II);
【0012】
【化5】 (式中、R5およびR6は各々独立してアルキル基を示
す)で表されるジアルキルヒドロキシフェニル基を少な
くとも1個有する分子量500以上のヒンダードフェノ
ール系化合物、および(c)下記の式(III);
【0013】
【化6】 で表されるベンゾイルヒドロキシフェニル基を少なくと
も1個有する分子量が10000以上のベンゾフェノン
系化合物、を含有させたことを特徴とするポリウレタン
組成物である;但し、上記ヒンダードアミン系化合物
(a)における上記の式(I)で表されるピペリジン環
を含む基がポリウレタン中に側鎖としてペンダント状で
結合している場合を除く。そして本発明は、上記のポリ
ウレタン組成物から製造されたポリウレタン繊維を包含
する。
【0014】本発明では、上記したヒンダードアミン系
化合物(a)、ヒンダードフェノール系化合物(b)お
よびベンゾフェノン系化合物(c)の3者をポリウレタ
ン中に含有させることが必要であり、それらのうちの一
つを欠いても上記した耐光性、耐NOXガス性、耐候
性、耐熱変色性、耐有機溶剤性等の各種の性能に優れた
ポリウレタン組成物や繊維を得ることができない。
【0015】また、本発明のポリウレタン組成物では、
ヒンダードアミン系化合物(a)、ヒンダードフェノー
ル系化合物(b)およびベンゾフェノン系化合物(c)
は、ポリウレタンの重量に基づいて、それぞれ0.01
〜1重量%の範囲で添加するのが望ましい。各々が0.
01重量%よりも少ないと耐光性の向上が充分でなく光
により変色し易くなり、一方各々が1重量%を超えると
ポリウレタンの白濁や安定剤のブリードアウトの問題等
を生じ易くなる。
【0016】上記したヒンダードアミン系化合物(a)
としては、分子量が1000以上であり且つ上記した式
(I)で表されるピペリジン環を含む基を分子中に少な
くとも1個有している化合物であればいずれでもよい。
ヒンダードフェノール系化合物(a)の分子量が100
0以上であることにより、ポリウレタン表面へのブリー
ドアウトを防止することができる。ヒンダードアミン系
化合物(a)の分子量は、1500〜10000の範囲
にあるのが好ましい。ヒンダードアミン系化合物(a)
の代表的な例としては、下記の式(IV);
【0017】
【化7】 (式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同じであり、
7は直接結合または2価の基であり、AおよびBはそ
れぞれ1価の基であり、そしてmは1以上の数である)
で表される分子量1000以上の化合物を挙げることが
できる。
【0018】上記の式(I)で表される基および式(I
V)で表される化合物において、R1、R2、R3およびR
4はそれぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基であるのが
好ましく、4個のアルキル基のすべてがメチル基である
のが特に好ましい。
【0019】 また、式(IV)で表される化合物におい
て、R7が2価の基の場合は、アルキレン基、アリーレ
ン基等の2価の炭化水素基、またはエステル結合、エー
テル結合、チオエーテル結合、アミド結合等を有する2
価の基であることができる。また、限定されるものでは
ないが、AおよびBの一方または両方が、イソシアネー
ト反応性の活性水素原子を有する基、例えばアミノ基、
水酸基、カルボキシル基、或いは水酸基、アミノ基また
はカルボキシル基を有するその他の1価の基(例えばア
ミノメチル基、ヒドロキシメチル基、アミノエチル基
等)等である場合は、ポリウレタン中に含まれるイソシ
アネート基との反応によってヒンダードアミン系化合物
(a)をポリウレタン中に化学的に結合させて含有させ
ることができ、その耐ブリードアウト性を一層向上させ
ることができる。但し、その場合に、式(IV)で表され
る化合物における4個のアルキル基R 1 、R 2 、R 3 およ
びR 4 を有するピペリジン環を含む基が、ポリウレタン
中に側鎖としてペンダント状で結合したものは、本発明
の範囲から除かれる。また、式(IV)の化合物におい
て、mが4以上であるとその分子量が1000以上とな
る場合が多く、mが4〜20であるのが好ましい。
【0020】本発明において、ヒンダードアミン系化合
物(a)として、上記したイソシアネート反応性の活性
水素原子を有する化合物を使用し、それをポリウレタン
製造反応の完了前に加える場合は、ヒンダードアミン系
化合物(a)の分子量が1000以上と高いことによ
り、その添加量に対して添加モル数を低く保つことがで
き、その結果ポリウレタン製造反応時の末端停止反応の
割合を低くすることができ、ポリウレタンの分子量を高
めることができる。
【0021】そして、上記の式(IV)で表される化合物で
は、基R7が式;−(CH2)p−O−CO−(CH2)q−C
OO−(式中pおよびqは各々2〜4の整数を示す)で
表される基であるのが好ましく、そのようなヒンダード
アミン系化合物(a)の具体例としては、下記の式
(V);
【0022】
【化8】 (式中、nは好ましくは4〜20の数を示す)で表され
る化合物を挙げることができる。式(V)で表される化
合物は、例えばコハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキ
シエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジンとの重縮合反応により製造することがで
きる。
【0023】次に、ヒンダードフェノール系化合物
(b)としては、上記した式(II)で表されるジアルキ
ルヒドロキシフェニル基を分子中に少なくとも1個有
し、且つ分子量が500以上の化合物であればいずれで
もよい。そのうちでも、特に上記の式(II)のジアルキル
ヒドロキシフェニル基におけるR5およびR6がそれぞれ
メチル、エチル、プロピルまたはt−ブチル基であるも
のがより好ましい。
【0024】限定されるものではないが、ヒンダードフ
ェノール系化合物(b)を配合した後のポリウレタン組
成物の色調が良好である点などから、ヒンダードフェノ
ール系化合物(b)の好ましい具体例としては、下記の
式(VI);
【0025】
【化9】 で表される3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5.5]ウンデカン、更にはテトラキス
[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレン
グリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6
−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等を挙
げることができる。
【0026】更に、ベンゾフェノン系化合物(c)とし
ては、上記の式(III)で表されるベンゾイルヒドロキ
シフェニル基を分子中に少なくとも1個有し且つ分子量
が10000以上の化合物であればいずれでもよい。ベ
ンゾフェノン系化合物(c)の分子量が10000未満
であると、ポリウレタンの表面にブリードアウトし易
く、ドライクリーニング処理により、また経時的にポリ
ウレタンから失われ易くなる。ベンゾフェノン系化合物
(c)の分子量は、約20000〜40000の範囲で
あるのが、ブリードアウト現象がより抑制され、その効
果を長期に亙って発揮でき好ましい。
【0027】ベンゾフェノン系化合物(c)のうちで
も、上記した式(III)で表されるベンゾイルヒドロキ
シフェニル基が下記の式(VII);
【0028】
【化10】 (式中、Rはアルキレン基を示す)で表される1価の
基の形態で存在しているベンゾフェノン系化合物、とり
わけ式(VII)で表される1価の基におけるRが炭素
数1〜4のアルキレン基であるベンゾフェノン系化合物
が好ましい。
【0029】限定されるものではないが、ベンゾフェノ
ン系化合物(c)の好ましい具体例としては、下記の式
(VIII);
【0030】
【化11】 [式中、nおよびnは、n+n≧35であり且
つn/(n+n)≧0.2であるような数であ
る]で表される2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイル
オキシエトキシ)ベンゾフェノン/メタクリル酸メチル
共重合体等を挙げることができる。
【0031】ヒンダードアミン系化合物(a)、ヒンダ
ードフェノール系化合物(b)およびベンゾフェノン系
化合物(c)のポリウレタン中への添加時期は特に限定
されず、ポリウレタンの製造時またはポリウレタンの製
造後のどちらでもよい。一般にポリウレタンの製造後に
ポリウレタンを溶融して添加するのが上記した耐光性等
の効果が大きくなり望ましい。製造後に添加する場合に
は、ポリウレタンペレットの製造時、またはポリウレタ
ンから成形品、繊維、その他の製品を製造する際の任意
の段階で添加することができる。また上記した化合物
(a)〜(c)は、同時に添加しても逐次に添加しても
よく、逐次に添加する場合はその添加順序はいずれでも
よい。
【0032】本発明のポリウレタン組成物のベースとな
るポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンおよび熱硬化
性ポリウレタンのいずれでもよく、該ポリウレタンは有
機ポリイソシアネートおよびポリオールを、必要に応じ
て鎖伸長剤等の他の成分と共にワンショット、プレポリ
マー法またはその他の方法により反応させることにより
製造することができる。また、本発明のポリウレタン繊
維は、熱可塑性ポリウレタンから形成され、該熱可塑性
ポリウレタンは有機ジイソシアネートおよび高分子ジオ
ールをやはり必要に応じて鎖伸長剤やその他の成分と共
に反応させることにより製造することができる。
【0033】限定されるものではないが、ポリウレタン
製造用の有機ポリイソシアネートとしては、例えば4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート等の分子量500以下の有機ジイソシアネート
を挙げることができ、これらの有機ジイソシアネートは
1種のみを使用してもまたは2種以上を併用してもよ
く、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
を使用して得られたポリウレタンが好ましい。
【0034】また、ポリウレタン製造用のポリオールと
しては、限定されるものではないが、平均分子量500
〜5000、特に1000〜3000の高分子ジオール
を使用するのが好ましい。高分子ジオールとしては、ポ
リエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリ
エーテルジオールおよびポリエーテルエステルジオール
等を挙げることができ、特にポリエステルジオールおよ
びポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウ
レタンが好ましい。
【0035】その場合のポリエステルジオールとして
は、ジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、ピメ
リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等)の
少なくとも1種と、低分子ジオール(例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メ
チル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオール等)の少なくとも1種
とから得られるポリエステルジオール、ラクトン化合物
の開環重合により得られるポリカプロラクトンジオー
ル、ポリメチルバレロラクトンジオール等のポリラクト
ンジオールを挙げることができる。
【0036】また、ポリカーボネートジオールとして
は、例えばジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート
等)の少なくとも1種と、低分子ジオール(例えば上記
したエチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6
−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等)の
少なくとも1種とから製造されるポリカーボネートジオ
ールを挙げることができる。
【0037】更に、ポリエーテルジオールとしては、環
状エーテル(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイ
ド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等)
の開環重合により得られるポリエーテルジオール、グリ
コール(エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペン
タンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオー
ル等)の重縮合により得られるポリエーテルジオールが
好ましい。
【0038】また、鎖伸長剤としては、イソシアネート
基と反応し得る2個の活性水素原子を有する低分子化合
物を使用するのがよく、例えばエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−
シクロヘキサンジオール、キシリレングリコール等のジ
オール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キ
シリレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジ
アミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、4,4’
−ジアミノジシクロヘキシルメタン等のジアミン類を挙
げることができ、これらの鎖伸長剤は1種のみまたは2
種以上を使用することができる。それらのうちで、特に
1,4−ブタンジオールおよび1,4−ビス(β−ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
【0039】本発明の組成物および繊維で使用するポリ
ウレタンの製造に際しては、バッチ式または連続式の既
知の種々の方法および装置を採用することができる。特
に、ポリウレタンの重合を実質的に溶媒の不存在下に溶
融状態で行うのが好ましく、多軸スクリュー型等の押出
機を使用して連続溶融重合するのがより好ましい。その
際の温度は特に限定されないが、通常、約200〜26
0℃の範囲で行うのが好ましく、重合時の温度を260
℃以下に保つことによりポリウレタンの耐熱性および力
学的特性が向上し、一方200℃以上に保つことにより
溶融紡糸性に優れる熱可塑性ポリウレタンを製造するこ
とができる。この際に、原料でのイソシアネート基と活
性水素原子との比(R値)が1.0〜1.1の範囲にな
るようにするのが好ましい。
【0040】本発明のポリウレタン組成物および繊維の
製造に当たっては、当業界で通常使用されている、触
媒、活性剤、消泡剤、他の安定剤、染料や顔料等の着色
剤、充填剤、難燃剤、滑剤、発泡剤等の任意の成分を必
要に応じて使用することができる。
【0041】本発明の組成物においてポリウレタンとし
て熱可塑性ポリウレタンを使用した場合には、熱可塑性
ポリウレタンに対して通常採用されている成形・加工、
紡糸技術等が適用でき、チューブ、フイルム、シート等
の押出成形品、射出成形やその他の型成形による靴底や
その他種々の成形品、合成皮革、人工皮革、繊維等の種
々の製品の製造用に本発明のポリウレタン組成物を有効
に使用することができる。また、熱硬化性ポリウレタン
を使用した場合には、熱硬化した各種の成形品、接着剤
や塗料等を得ることができる。
【0042】上記のうちでも、本発明のポリウレタン組
成物は、ポリウレタン繊維の素材に適しており、本発明
のポリウレタン繊維を製造するに当たっては、例えば溶
融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法等の任意の方法を採
用することができ、溶媒や水を使用しない溶融紡糸法が
特に好ましい。
【0043】以下に本発明を実施例等により具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。また、下
記の例中の部は重量部を表す。更に、下記の例におい
て、ポリウレタンフイルムの耐光性(耐光堅牢度および
強度保持率)、屋外暴露試験(強度保持率)、耐溶剤抽
出性(溶剤抽出後の耐光堅牢度および強度保持率)およ
び耐NOx性(強度保持率)、並びにポリウレタン繊維
の強伸度、耐光性(強度保持率)、屋外暴露試験(強度
保持率)、耐溶剤抽出性(溶剤抽出後の強度保持率)お
よび耐NOx性(強度保持率)は下記の方法により測定
した。
【0044】《ポリウレンタンフイルムの耐光性試験》 (1)ポリウレタンフイルムの耐光堅牢度:下記の各例
で製造されたポリウレタンフイルム(厚さ0.1mm)
に対して、スガ試験機社製のカーボンアーク型フェード
メーターFAL−5型を用いて83℃の温度で40時間
紫外線を照射して、その耐光黄変性および強度保持率を
調べた。耐光黄変性は、褐変の程度を下記に示した5段
階評価により行った。耐光黄変性評価の基準 5・・・変色なし 4・・・やや黄色に変色 3・・・黄色に変色 2・・・黄色〜褐色に変色 1・・・褐色に変色
【0045】(2)強度保持率:島津製作所製のオート
グラフを使用してポリウレタンフイルムの強度を測定し
て、下記の数式1より算出した。
【0046】
【数1】 強度保持率(%)=(紫外線照射後の強度/紫外線照射前の強度)×100
【0047】《ポリウレタンフイルムの屋外暴露試験》
下記の各例で製造されたポリウレタンフイルム(厚さ
0.1mm)を日光の良く当たる屋外に20日間放置
し、この前後でフイルムの強度を測定して下記の数式2
より強度保持率を求めた。
【0048】
【数2】 強度保持率(%)=(屋外暴露後の強度/屋外暴露前の強度)×100
【0049】《ポリウレタンフイルムの耐溶剤抽出性試
験》下記の各例で製造されたポリウレタンフイルム(厚
さ0.1mm)を浴比1:1000で70℃のパークレ
ン中に5時間浸漬した後50℃で1時間乾燥したものの
耐光堅牢度をスガ試験機社製のカーボンアーク型フェー
ドメーターFAL−5型を用いて83℃の温度で40時
間紫外線を照射して、その耐光黄変性を上記した耐光黄
変性評価の基準にしたがって評価すると共に、その紫外
線照射後の強度保持率を上記と同様にして測定した。
【0050】《ポリウレタンフイルムの耐NOx性試
験》下記の各例で製造されたポリウレタンフイルム(厚
さ0.1mm)を、NOガス濃度を650ppmに増
加させた空気中で2時間処理し、そのときの強度保持率
を上記の強度保持率の式に準じて求めた。
【0051】《ポリウレタン繊維の強伸度の測定》JI
S L−1013に従って強伸度を求めた。
【0052】《ポリウレタン繊維の耐光性強度保持率の
測定》下記の各例で製造されたポリウレタン繊維を5/
1000g/デニールの張力下で枠に巻取ったものを、
スガ試験機社製のカーボンアーク型フェードメーターF
AL−5型を用いて83℃の温度で20時間紫外線を照
射して、その強度保持率を下記の数式3より算出した。
【0053】
【数3】 強度保持率(%)=(紫外線照射後の強度/紫外線照射前の強度)×100
【0054】《ポリウレタン繊維の屋外暴露試験》下記
の各例で製造されたポリウレタン繊維を日光の当たる屋
外に20日間放置し、この前後における繊維の強度を測
定して上記の数式3により強度保持率を求めた。
【0055】《ポリウレタン繊維の耐溶剤抽出性試験》
下記の各例で製造されたポリウレタン繊維を5/100
0g/デニールの張力下で枠に巻取ったものを浴比1:
1000で70℃パークレン中に5時間浸漬した後50
℃で1時間乾燥したものに、スガ試験機社製のカーボン
アーク型フェードメーターFAL−5型を用いて83℃
の温度で40時間紫外線を照射して、その紫外線照射後
の強度保持率を上記と同様にして測定した。
【0056】《ポリウレタン繊維の耐NOx性試験》4
0デニールのポリウレタン弾性繊維を、NO2ガス濃度
を650ppmに増加させた空気中で1時間処理し、こ
の前後の強度を測定して強度保持率を上記の強度保持率
の式に準じて求めた。
【0057】また、各例で用いた化合物は、以下の表1
に示す略号により表した。
【0058】
【表1】
【0059】 《実施例1〜6》[ポリウレタンフイルムの製造]下記
の表2に示した高分子ジオールおよびBDを表2に示し
た割合で含む80℃に加熱した混合物並びに50℃に加
熱溶融したMDIを定量ポンプにより2軸押出機に連続
的に供給して連続溶融重合を行い、生成したポリウレタ
ンをストランド状に水中に押し出し、カットしてポリウ
レタンペレットを製造した。上記のペレットを80℃で
20時間除湿乾燥し、2軸押出機により溶融押出しする
際に、シリンダーの途中から各種安定剤を表2に示した
割合で加えて混合し、ペレット状のポリウレタン組成物
を得た。このペレット状ポリウレタン組成物を80℃で
20時間除湿乾燥した後、熱プレスして厚さ0.1mm
のフイルムを作製し、耐光性の評価、屋外暴露試験、耐
溶剤抽出性および耐NOx性の評価を上記した方法によ
り行った。その結果を表3に示す。
【0060】《比較例1〜10》安定剤を添加しないか
または表2に示した各種安定剤を表2に示した割合で混
合した以外は実施例1〜6と同様にしてポリウレタンフ
イルムを作製して、その試験を同様にして行った。その
結果を表3に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】上記表3の結果から、安定剤(a)、(b1)
または(b2)および(c)の3者、すなわちヒンダードア
ミン系化合物(a)、ヒンダードフェノール系化合物
(b)およびベンゾフェノン系化合物(c)の3者を配
合した本発明のポリウレタン組成物から得られた実施例
1〜6のフイルムは、耐光性、耐候性(屋外暴露試
験)、耐溶剤抽出性および耐NOXガス性の全てに優れ
ていることがわかる。これに対して、それらの安定剤3
者のうちの1種または2種以上を欠くか、或いは他の安
定剤を配合したポリウレタン組成物から得られた比較例
1〜10のフイルムでは、耐光性、耐候性(屋外暴露試
験)、耐溶剤抽出性および耐NOXガス性のうちの全て
が劣っているか、またはそれらの性能のうちの幾つかは
劣っていること、特に耐溶剤抽出性および耐NOXガス
性が劣っていることがわかる。
【0064】《実施例7〜11》実施例1〜6と同様に
して、下記の表4に示す組成となるように各種安定剤を
配合して製造されたポリウレタンペレットを80℃で2
0時間除湿乾燥後、単軸押出機付紡糸機により、紡糸温
度225℃、紡糸速度500m/分、見掛ドラフト率8
47で、紡糸テンション0.1g/d、給糸速度差25
m/分で紡糸し、40デニール/1フィラメントのポリ
ウレタン繊維を得た。この繊維を80℃で48時間熟成
した後、得られた繊維の強伸度、耐光性、屋外暴露試
験、耐溶剤抽出性および耐NOx性を上記した方法によ
り評価した。その結果を下記の表5に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】上記表5の結果から、ヒンダードアミン系
化合物(a)、ヒンダードフェノール系化合物(b)お
よびベンゾフェノン系化合物(c)の3者を配合した本
発明の実施例7〜11のポリウレタン繊維は、それらの
安定剤3者のうちの1種または2種以上を欠くか、或い
は他の安定剤を配合した比較例11〜17のポリウレタ
ン繊維に比べて、耐光性、屋外暴露試験(耐候性)、耐
溶剤抽出性および耐NOXガス性の全てにおいて優れて
おり、特に耐溶剤抽出性および耐NOXガス性が良好で
あることがわかる。
【0068】
【発明の効果】ヒンダードアミン系化合物(a)、ヒン
ダードフェノール系化合物(b)およびベンゾフェノン
系化合物(c)の3者を含有する本発明のポリウレタン
組成物およびそれからなる繊維は、耐光性、耐NOX
ス性、耐候性、耐熱変色性、耐溶剤性等の全ての特性に
優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 広治 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (56)参考文献 特開 平5−156151(JP,A) 特開 平2−178350(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 75/04 - 75/12 C08K 5/13,5/3435 D01F 6/94

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン中に、 (a)下記の式(I); 【化1】 (式中、R1、R2、R3およびR4は各々独立してアルキ
    ル基を示す) で表されるピペリジン環を含む基を少なくとも1個有す
    る分子量が1000以上のヒンダードアミン系化合物、 (b)下記の式(II); 【化2】 (式中、R5およびR6は各々独立してアルキル基を示
    す) で表されるジアルキルヒドロキシフェニル基を少なくと
    も1個有する分子量500以上のヒンダードフェノール
    系化合物、および (c)下記の式(III); 【化3】 で表されるベンゾイルヒドロキシフェニル基を少なくと
    も1個有する分子量が10000以上のベンゾフェノン
    系化合物、 を含有させたことを特徴とするポリウレタン組成物;但
    し、上記ヒンダードアミン系化合物(a)における上記
    の式(I)で表されるピペリジン環を含む基がポリウレ
    タン中に側鎖としてペンダント状で結合している場合を
    除く
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリウレタン組成物から
    製造されたポリウレタン繊維。
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