JP3255963B2 - 曲げ性に優れたカウンターシンク部を有する缶蓋用高強度アルミニウム合金板 - Google Patents
曲げ性に優れたカウンターシンク部を有する缶蓋用高強度アルミニウム合金板Info
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Description
等の蓋材、特にカウンターシンク部を有するイージーオ
ープンエンド(EOE)材に関するものである。
の開口方法には、缶切りなどの器具を使わずに手で容易
に開缶できるイージーオープンエンド(EOE)が一般
的に用いられている。このイージーオープンエンドに使
用されるアルミニウム合金としては、従来5182合金
が主に使用され、その時の耐力で300N/mm2(引
張強さと耐力の平均で335N/mm2)程度である。
これらの材料では高強度化のためにその製造方法が従来
のバッチタイプの中間焼鈍から連続焼鈍炉(CAL)に
よる中間焼鈍へと変りつつある。しかし連続焼鈍炉を用
いた場合でも、冷間圧延率が70%以上では成形性、特
に曲げ性が悪くなる傾向にあり、もはや強度の面でも限
界に近づきつつある。
策として、蓋材に用いられるアルミニウム合金そのもの
の高強度化はもちろんであるが、蓋の形状の面からも耐
圧強度を上げる方法が開発されており、たとえば耐圧形
状としてカウンターシンク深さを深くしたり、その他の
成形部のコーナーRを小さくシャープにしたりするもの
等が開発されてきている。しかしながら、このようなコ
ーナーRがシャープになることは曲げ半径が小さくなっ
て成形加工条件が厳しくなることであるから、従来形状
のものに用いる材料よりも曲げ性に優れた高成形性、高
靭性の材料が求められる。材料の靭性が低い材料では、
かりに蓋の成形が出来ていたとしても、コーナー部に微
細クラックが生じ、これが塗膜まででんぱして塗膜欠陥
が生じ、ひいては耐食性を劣化させることとなる。また
強度に関しても現行材より劣るものではメーカーが採用
せず、現行材以上の強度の材料が要求される。本発明
は、かかる状況のもとでなされたものであって、従来材
以上の強度を有し、かつ成形加工性特に曲げ性に優れた
EOE用アルミニウム合金板、すなわちカウンターシン
ク部を有する缶蓋材を提供することを目的とするもので
ある。
め、本発明者は曲げ加工性および強度について従来材以
上の特性を得られるように化学成分調整、組織並びに製
造条件等について総合的に研究を重ねた。その結果、M
g・Mnを含めた成分調整、組織、製造条件を規制する
ならば、所期の材料特性が得られることが判明した。す
なわち、曲げ性を改善する方法として次の3点が上げら
れる。 1.冷間圧延率を下げる。 2.アルミニウムマトリックス中に存在する金属間化合
物粒子を制御する。具体的には、粗大な金属間化合物粒
子を少なくすると共に比較的小さな金属間化合物粒子の
数も少なくする。 3.再結晶粒径を微細にする。 本発明は、添加元素では、Mgの添加量を3%以上とし
て、強度を補うためにMn、Cu、CrおよびZnの添
加量を調節する。また金属組織では、鋳造時の冷却速度
を速くするなどして金属間化合物粒子の微細化を計り、
必要に応じて均質化処理を行い晶出物の分散効果を高め
る。さらに中間焼鈍・冷間圧延を調整する事により必要
強度が得られ、また曲げ性の点で優れた材料が得られる
ことを見出した。
5%、Mn:0.1〜1.0%、Si:0.3%以下、
Fe:0.05〜0.7%および組織微細化・安定化の
ためTi:0.005〜0.20%を単独であるいは
B:0.0005〜0.04%とともに含有し、さらに
Cu:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.3
%、Zn:0.1〜0.5%のうち一種または二種以上
を含有し、かつFe+Mn≦1%であり、残部がAl及
び不可避的不純物からなり、最終板の表面組織のうち最
大結晶粒径(圧延方向に対して直角方向の短径)≦40
μm、いずれの箇所においても直径50μmの視野内に
存在する直径3μm以上の金属間化合物の粒子数≦5
個、直径1μm以上の金属間化合物の粒子数≦4000
個/0.2mm2であることを特徴とする曲げ性に優れ
たカウンターシンク部を有する缶蓋用高強度アルミニウ
ム合金板である。
を説明する。 Mg:Mgは強度を付与する重要な元素であり、3%以
上の添加がないと、EOEとして使用し得る強度に到達
せず、5%を超えた添加では鋳造性および冷延性の悪化
が見られ好ましくない。したがって、Mg量は3〜5%
の範囲とする。 Mn:Mnの添加は強度向上に大きな効果を示すだけで
なく再結晶粒の微細化に効果を発揮する。しかし、Mn
が0.1%未満ではその効果も少なく、1.0%を越え
ると金属間化合物のサイズを大きくして、しかもその数
を多くし曲げ性の低下を招くので好ましくない。従っ
て、Mn量は0.1〜1.0%とする。 Ti:Tiは組織を安定化させるための有効な元素であ
る。その添加量が0.005%未満ではその効果は少な
く、0.2%より多いと巨大化合物を生成し、曲げ加工
性を低下させる。従って、Ti量は0.005〜0.2
0%とする。またその効果を増すためBを添加する事も
あり、その場合、通常は0.0005〜0.04%添加
される。 Cu:Cu添加は金属間化合物Al−Cu−Mgによる
時効硬化により、強度向上に寄与する。しかし、0.0
5%未満ではその効果も少なく、0.5%を超えて過多
に添加されると強度が高すぎることによる成形加工性の
低下を招く。従って、Cu量は0.05〜0.5%とす
る。 Zn:Znの添加は金属間化合物Mg2Zn3Al2の時
効析出により強度向上を望めるが、0.1%未満ではそ
の効果はなく0.5%を超えると強度の寄与に対しては
問題無いが、耐食性を劣化させるのでこれ以下に規制す
る必要がある。従って、Zn量は0.1〜0.5%とす
る。 Cr:Crは強度向上に寄与して、0.05%未満では
その効果がなく、0.3%を超えて過多に添加されると
巨大晶出物生成により曲げ性の低下を招くため、好まし
くない。従って、Cr量は0.05〜0.3%とする。 Fe:Feの添加は鋳造時にMnとともに金属間化合物
を生成して、再結晶粒径を細かくするとともに強度向上
にも寄与する。その効果は0.05%未満ではなく、
0.7%より多くなると、金属間化合物の数を多くし曲
げ性の低下を招くので好ましくない。従ってFe量は
0.05〜0.7%とする。なおMnもFeと同様の効
果があるので、これらの総量でも規制する必要があり、
Fe+Mn≦1%以下とする。 Si:Mg添加が3%より多くなると、Siの添加はM
g2Siの生成による時効硬化による強度向上は期待で
きず、粗大なMg2Si粒子を生成して曲げ性の低下を
招くので好ましくない。しかしSiは不純物として混入
するために不可避であり、従って許容される範囲とし
て、Si量は0.3%以下とした。なお、本発明におい
ては、Mg、MnおよびTi(B)およびFeの含有は
必須であるが、強度を得るのに必要な元素(Cu、Z
n、Cr)は任意添加元素とし、少なくとも1種以上を
必要に応じて添加する。
いて説明する。本発明はFeおよびMnによる晶出化合
物の分散およびサイズを制御する意味で、Fe+Mnの
総量を規制し、さらにSi量を規制する事によりSiに
よる粗大な生成物(Mg2Si)を少なくするものであ
る。具体的には、3μm以上の金属間化合物が、ミクロ
的(半径50μm)に偏析すると、最終の冷間圧延によ
り転位の偏析が大きくなり、この部分が曲げ割れの起点
となる。この領域に3μm以上の金属間化合物が5個以
上存在するとこの影響が大きく出る。従って、最終板の
表面組織のいずれの箇所においても直径50μmの視野
内に存在する直径3μm以上の金属間化合物の粒子数を
5個以下とする。また粗大な金属間化合物の粒子が無く
ても1μm以上の金属間化合物の粒子が4000個/
0.2mm2以上存在する事により粒子間距離が小さく
なり、あたかも粗大な金属間化合物の粒子が存在するか
のように作用して、冷間圧延時に転位の偏析が起り曲げ
割れの起点となる。従って、最終板の表面組織のいずれ
の箇所においても直径1μm以上の金属間化合物の粒子
数を4000個/0.2mm2以下とする。また再結晶
粒が粗くなると、曲げ性だけでなくその他の成形性およ
び絞り成形時の肌粗れなどによる成形品の外観の不良等
が起り良くないが、再結晶粒が40μmより粗いものが
なければ問題はない。そこでMn、Fe及びCr添加を
行い結晶粒を微細化する。よって、本発明における組織
限定は、最終板の表面組織のうち最大結晶粒径(圧延方
向に対して直角方向の短径)≦40μm、いずれの箇所
においても直径50μmの視野内に存在する直径3μm
以上の金属間化合物の粒子数≦5個、直径1μm以上の
金属間化合物の粒子数≦4000個/0.2mm2であ
ることとする。
おいて上記組織を得るための製造方法について説明す
る。主な製造プロセスとしては次のものが考えられる。 (1)CC鋳造→圧延(*1)→冷延→中間焼鈍[CAL(*
2)]→冷延 鋳造時のMn等の固溶により強度向上をはかることがで
き、最終の冷延率を少なくすることができる。 (2)CC鋳造→圧延(*1)→CAL焼鈍(*3)→冷延→中
間焼鈍[CAL(*2)]→冷延 2回のCAL焼鈍を施すことにより組織の均質化が計れ
る。また、(1)と同様に鋳造時のMn等の固溶により
強度向上をはかることができ、最終の冷延率を少なくす
ることができる。 (3)CC鋳造→均熱(*4)→圧延(*5)→中間焼鈍[CA
L(*2)]→冷延 鋳造後の均熱により組織の均質化および晶出化合物の球
状化・微細分散化がはかれる。またCAL中間焼鈍によ
り溶体化効果による強度向上がはかれる。 (4)CC鋳造→圧延(*6)→均熱(*4)→圧延(*5)→中間
焼鈍[CAL(*2)]→冷延 (3)と同様に鋳造後の均熱により組織の均質化および
晶出化合物の球状化・微細分散化がはかれ、またCAL
中間焼鈍により溶体化効果による強度向上がはかれる。 (5)CC鋳造→均熱(*4)→圧延(*5)→中間焼鈍[バッ
チ(*2)]→冷延 (3)と同様に鋳造後の均熱により組織の均質化および
晶出化合物の球状化・微細分散化がはかれる。また冷間
圧延率を比較的多くとることで、バッチ中間焼鈍でも目
的強度に到達することができる。 (6)CC鋳造→圧延(*6)→均熱(*4)→圧延(*5)→中間
焼鈍[バッチ(*2)]→冷延 (4)と同じ工程で中間焼鈍をバッチ炉で行なったもの
であり、(4)と同様に鋳造後の均熱により組織の均質
化および晶出化合物の球状化・微細分散化がはかれる。
また冷間圧延率を比較的多くとることで、バッチ中間焼
鈍でも目的強度に到達する。 以下、各製造工程について説明する。 :鋳造 鋳造時に晶出する金属間化合物粒子を微細化させるため
に冷却速度の速い連続鋳造圧延(冷却速度50℃/s以
上(CCまたはCC鋳造と以下略す)により鋳造するこ
とを必須とする。この時の鋳造板は板厚15mm以下
で、これより厚いと所望の晶出物サイズが得られない。
また、板厚から2mmより薄くなると最終板まで鋳造組
織が残存して成形性を阻害する。 *1:圧延 冷間圧延でもよいが、鋳造直後の余熱を利用して温間又
は熱間圧延を併用する事により変形抵抗が小さい状態で
の圧延となり、圧延の省エネルギーをはかることがで
き、また圧延板のクラウンコントロールも期待できる。
この場合、圧延率が30%以上ないと次工程のCAL焼
鈍で均一微細な結晶粒が得られない。 *2:中間焼鈍 CAL焼鈍 加熱・冷却速度1℃/s以上、到達温度400〜600
℃、保持時間は10分以内で溶体化効果による強度向上
をはかる。到達温度が400℃以下では再結晶せず、ま
た600℃以上では局部的な共晶融解発生が発生するた
め、好ましくは570℃以下がよい。保持時間は長い方
が溶体化効果は大きいが、高温における酸化皮膜生成に
よる外観の悪化を考慮すると10分以内がよい。上記製
造プロセス(1)(2)のように均熱工程を経ない材料
の場合、結晶粒の微細化効果があるCALによる中間焼
鈍は必須となる。 バッチ焼鈍 加熱・冷却速度100℃/h以下、到達温度300〜5
00℃、保持時間は実用的には0.5〜10h程度がよ
い。均熱工程を経た材料でないと再結晶粒径は粗大で不
均一になる。 *3:CAL中間焼鈍 CAL焼鈍することにより組織の均質化がはかれ、曲げ
性の改善に効果がある。 *4:均熱 組織の均質化および晶出化合物の球状・微細分散がはか
れ、曲げ性の改善に効果がある。到達温度は500〜5
80℃で保持時間は0.5h以上必要である。長時間で
はより均質化効果が増大するが、実製造条件との兼合で
時間を決めればよい。500℃以下ではその効果も無
く、580℃以上では共晶融解を引き起こす可能性があ
る。 *5:均熱後の圧延 冷間圧延でもよいが均熱直後の余熱を利用して温間又は
熱間圧延を併用する事により、変形抵抗が小さい状態で
の圧延とすることにより圧延の省エネルギーをはかるこ
とができるだけでなく、圧延板のクラウンコントロール
も期待することができる。この場合、圧延率が30%以
上ないと次工程の中間焼鈍で均一微細な結晶粒が期待で
きない。 *6:均熱前の圧延 *4の均質化処理を行う前に均熱処理しやすい板厚まで
圧延してもよい。この時の圧延方法は*1と同じであ
る。ただし圧下率に関しては、特に規定しない。 :最終冷間圧延 いずれの製造プロセスにおいても、目的強度を得るため
には最終圧延率は30%以上必要である。この最終板に
は通常塗装焼付による加熱処理が施されて使用される
が、この塗装焼付の前に時効硬化を付加して強度アップ
を狙う、もしくは強度調整や安定化のために100〜2
50℃の保持30分以上の最終焼鈍を施してもよい。
尚、連続鋳造圧延材の場合、鋳造時の酸化皮膜が存在す
るために、製造安定性及び製品外観の改善の意味からも
酸・苛性液等による電気的・化学的エッチングを施すか
または機械的に酸化皮膜を除去する方が好ましい。また
上記*4の均熱処理は特に表面酸化が著しくなるので、
好ましくは酸素濃度1%以下が良い。低酸素濃度雰囲気
の均熱であっても、また大気中雰囲気均熱でも表面酸化
皮膜の除去を行なうことが好ましい。
1は実施例に用いたアルミニウム合金の合金成分組成で
ある。
成分範囲を満たすものである。またBも本発明の合金で
あるが、Aに対してMg量を減らして、そのかわりC
r、Cu、Zn量を増加させて強度を得ている。Cは比
較合金であり、Mg:2.5%と本発明の成分範囲から
外れてMg量が少ないものである。またDは比較合金で
あり、Mn:0.05%と本発明の成分範囲から外れて
Mn量が少ないものである。またEも比較合金であり、
Dとは逆にMn量、Fe量およびその和がMn:0.8
0%、Fe:0.35%、Fe+Mn=1.15%と請
求の範囲を超えているものである。またFも比較合金で
あり、Si:0.40と本発明の成分範囲から外れてS
i量が過剰にあるものである。
お、表において「DC」とあるのは、DC鋳造法で板厚
500mmに鋳造したもの、「CC」とあるのは、連続
鋳造圧延法で板厚7mmに鋳造したものである。またN
o2の温間圧延は入り側温度250℃、出側温度200
℃の条件で行い、No4の熱間圧延は入り側温度400
℃、出側温度300℃の条件で行なった。中間焼鈍条件
は、「CAL」とあるのは、CALで加熱・冷却速度は約2
0℃/s、到達温度は表記載の温度、保持無しの条件で
行なったものであり、また「BAF」とあるのは、バッチ
焼鈍炉により加熱・冷却速度は約35℃/h、到達温度は
表記載の温度、保持は2時間の条件で行なったものであ
る。
する。No1は従来例であり、合金成分は本発明の範囲
に入るが、製造プロセスが従来から行なわれているDC
鋳造により鋳造し加熱、熱延、冷延を施し、中間焼鈍は
CALで行なっている。No2は前記製造プロセス
(1)に該当する発明例であり、CC鋳造、温間圧延、
冷延、CAL中間焼鈍、冷延としたものである。No3
はNo2に対する比較例であり、中間焼鈍をバッチ焼鈍
炉で行なったものである。No4は前記製造プロセス
(3)に該当する発明例であり、CC鋳造後に均熱を施
し、また中間焼鈍はCALで行なったものである。No
5は前記製造プロセス(4)に該当する発明例であり、
CC鋳造後に圧延した後に均熱を施し、また中間焼鈍は
CALで行なったものである。No6は前記製造プロセ
ス(5)に該当する発明例であり、CC鋳造後に均熱を
施し、また中間焼鈍はバッチ炉で行なったものである。
No7は前記製造プロセス(2)に該当する発明例であ
り、2回CAL焼鈍を行なったものである。No8はN
o5と同じく前記製造プロセス(4)に該当する発明例
だが、合金Bを用いたものである。No9は比較例であ
り、No4の発明例と同じ製造プロセスだが成分組成が
本発明から外れている合金Cを用いたものである。No
10は比較例であり、No1の従来例に対して成分組成
が本発明から外れている合金Dを用いたものである。N
o11は比較例であり、成分組成が外れている合金Eを
用いて前記製造プロセス(3)により製造したものであ
る。No12は比較例であり、No11と同様で成分組
成が外れている合金Fを用いたものである。
て、塗装焼付相当の270℃x20秒のオイルバス処理
した後、強度、成形性、組織の評価を行なった。その結
果を表3に示す。
2、またYSは耐力で単位はN/mm2、またElは伸び
で単位は%である。曲げ性は、幅30mm長さ40mm
の試験片を圧延方向に平行に半径0.3mmの曲率で1
80°曲げを行い、曲げ戻しした後の試験片を引張試験
してその破断荷重(N)で評価した。金属組織について
は晶出物および最大結晶粒で評価した。晶出物1として
板表面を観察した際の半径50μmの視野内の3μm以
上の粗大な金属間化合物粒子の個数のうち、最も大きな
値すなわち最大偏析部の値を記した。また晶出物2とし
て、板表面観察の0.2mm2の視野内に存在する微細
な1μm以上の金属間化合物の粒子の個数(個/0.2m
m2)を記した。また最大結晶粒の単位はμmである。
ても従来例・比較例に対して発明例は引張強さ、耐力等
の強度は従来材と同等もしくは従来材以上であり、かつ
曲げ性は従来材よりはるかに優れている。以下、個々に
ついて説明する。No1は従来例であり、引張強さ37
0N/mm2、耐力300N/mm2の値を示し、曲げ性
は900Nである。No2は発明例であり、引張強さ、
耐力ともほぼ従来例と同等だが、曲げ性ははるかに向上
している。なお、No2と同じ合金組成、同じ製造プロ
セスだが中間焼鈍をバッチ焼鈍炉で行なったNo3の比
較例では、最大結晶粒の大きさが本発明の組織要件の範
囲を超えており、曲げ性も従来例より悪くなっている。
No4は発明例であり、粗大な晶出物(晶出物1)も微
細な晶出物(晶出物2)もともに少なく、また結晶粒の
大きさも小さくなっている。その結果、従来材と比較し
て引張強さ、耐力とも向上しており、また曲げ性は従来
材の3倍にまで向上しており、すぐれた性能を示してい
る。No5は発明例であり、曲げ性が従来材の2倍にま
で向上しているとともに、引張強さ、耐力が約20N/
mm2強くなっている。No6は発明例であり、晶出物
1、晶出物2ともやや多くまた結晶粒の大きさもやや大
きくなっているが、その量は本発明の請求の範囲内であ
ることから従来材と比較して充分良好な性能を示してい
る。No7は発明例であり、CAL焼鈍を2回行なった
ことにより結晶粒が微細化しており曲げ性が従来材より
優れているとともに伸びも従来材に匹敵するものであ
る。No8は発明例で、Mg量を減らしそのかわりC
r、Cu、Zn量を増加させて強度を得るようにした合
金Bを用いたものである。No2、No5と同様に曲げ
性が従来材より向上しているとともに、引張強さ、耐力
が10〜20N/mm 2強くなっている。No9は比較
例であり、No4の発明例と同じ製造プロセスだが成分
組成が本発明から外れてMg量が少ない合金Cを用いた
もので、強度が低下しているとともに曲げ性も従来例よ
り悪くなっている。No10は比較例であり、Mn量が
少ない合金Dを用いたもので、従来例と比較して晶出物
は少ないものの、結晶粒が粗大化しており最大結晶粒の
大きさが本発明から外れており、その結果引張強さ、耐
力は従来材とほぼ同等だが曲げ性は悪くなっている。N
o11は比較例であり、Mn量、Fe量およびその和が
本発明から外れている合金Eを用いたもので、微細な晶
出物(晶出物2)の量も本発明から外れており、その結
果従来例より引張強さが低く伸びも小さく、また曲げ性
も悪くなっている。No12は比較例であり、Si量が
本発明から外れている合金Fを用いたもので、粗大な晶
出物(晶出物1)も本発明の範囲より多くなっている。
その結果、強度はほぼ従来材と同等だが曲げ性が非常に
悪くなっている。以上述べたように、本発明の特許請求
の範囲を満たす発明例はいずれも引張強さ、耐力、伸び
等の強度は従来材と同等ないしは従来材より20N/m
m2程度強くなっており、しかも、曲げ性は従来材より
はるかに優れ最大で3倍の性能を示している。
缶、炭酸飲料缶等のカウンターシンク部を有するEOE
材において要求される強度を満たすとともに曲げ加工性
に優れ、高強度薄肉化の傾向に対して充分対応できる高
強度アルミニウム合金板を提供することができる。しか
も、本発明の成分および組織要件を満たすその製造方法
として特殊な方法を用いる必要はなく、従って性能の安
定性ならびにコスト等の製造面においても優れたもので
ある。本発明に係る曲げ加工性に優れたアルミニウム合
金板を用いることにより、強度の高い缶蓋の需要に対し
ても、単に材料の強度のみに依存するのではなく、蓋の
形状に工夫をこらすことで耐圧性の高い蓋を設計考案す
ることができるようになり、従って強度設計等において
自由度が大幅に広がるものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、Mg:3〜5%、Mn:0.
1〜1.0%、Si:0.3%以下、Fe:0.05〜
0.7%および組織微細化・安定化のためTi:0.0
05〜0.20%を単独であるいはB:0.0005〜
0.04%とともに含有し、さらにCu:0.05〜
0.5%、Cr:0.05〜0.3%、Zn:0.1〜
0.5%のうち一種または二種以上を含有し、かつFe
+Mn≦1%であり、残部がAl及び不可避的不純物か
らなり、最終板の表面組織のうち最大結晶粒径(圧延方
向に対して直角方向の短径)≦40μm、いずれの箇所
においても直径50μmの視野内に存在する直径3μm
以上の金属間化合物の粒子数≦5個、直径1μm以上の
金属間化合物の粒子数≦4000個/0.2mm2であ
ることを特徴とする曲げ性に優れたカウンターシンク部
を有する缶蓋用高強度アルミニウム合金板。
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