JP3255041B2 - 耐欠損性のすぐれた表面被覆サーメット製切削工具 - Google Patents
耐欠損性のすぐれた表面被覆サーメット製切削工具Info
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- JP3255041B2 JP3255041B2 JP26180796A JP26180796A JP3255041B2 JP 3255041 B2 JP3255041 B2 JP 3255041B2 JP 26180796 A JP26180796 A JP 26180796A JP 26180796 A JP26180796 A JP 26180796A JP 3255041 B2 JP3255041 B2 JP 3255041B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、硬質被覆層を構
成する酸化アルミニウム(以下、Al2 O3 で示す)層
の改良に係り、これを厚膜化してもその層厚が均一化
し、かつすぐれた層間密着性を有し、したがって例えば
鋼や鋳鉄などの連続切削は勿論のこと、特に断続切削に
用いた場合にも切刃に欠けやチッピング(微小欠け)な
どの欠損の発生なく、長期に亘ってすぐれた切削性能を
発揮する表面被覆サーメット製切削工具(以下、被覆サ
ーメット工具という)に関するものである。
成する酸化アルミニウム(以下、Al2 O3 で示す)層
の改良に係り、これを厚膜化してもその層厚が均一化
し、かつすぐれた層間密着性を有し、したがって例えば
鋼や鋳鉄などの連続切削は勿論のこと、特に断続切削に
用いた場合にも切刃に欠けやチッピング(微小欠け)な
どの欠損の発生なく、長期に亘ってすぐれた切削性能を
発揮する表面被覆サーメット製切削工具(以下、被覆サ
ーメット工具という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、炭窒化チタン基サーメット基体
(以下、サーメット基体と云う)の表面に、Tiの炭化
物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくT
iNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)
層、酸化物(以下、TiO2 で示す)層、炭酸化物(以
下、TiCOで示す)層、窒酸化物(以下、TiNOで
示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示
す)層からなるTi化合物層のうちの1種または2種以
上と、Al2 O3 層、で構成された硬質被覆層を3〜2
0μmの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着し
てなる被覆サーメット工具が知られている。また、特に
上記被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成するAl2
O3 層が、反応ガスとして、容量%で 三塩化アルミニウム(以下、AlCl3 で示す):1〜
20%、 二酸化炭素(以下、CO2 で示す):0.5〜30%、 [必要に応じて一酸化炭素(CO)または塩化水素(H
Cl):1〜30%]、 水素:残り、 からなる組成を有する水素系反応ガスを用い、 反応温度:950〜1100℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で形成されることも知られている。
(以下、サーメット基体と云う)の表面に、Tiの炭化
物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくT
iNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)
層、酸化物(以下、TiO2 で示す)層、炭酸化物(以
下、TiCOで示す)層、窒酸化物(以下、TiNOで
示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示
す)層からなるTi化合物層のうちの1種または2種以
上と、Al2 O3 層、で構成された硬質被覆層を3〜2
0μmの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着し
てなる被覆サーメット工具が知られている。また、特に
上記被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成するAl2
O3 層が、反応ガスとして、容量%で 三塩化アルミニウム(以下、AlCl3 で示す):1〜
20%、 二酸化炭素(以下、CO2 で示す):0.5〜30%、 [必要に応じて一酸化炭素(CO)または塩化水素(H
Cl):1〜30%]、 水素:残り、 からなる組成を有する水素系反応ガスを用い、 反応温度:950〜1100℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で形成されることも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削加工
のFA化はめざましく、かつ省力化に対する要求も強
く、これに伴い、被覆サーメット工具には使用寿命のさ
らなる延命化が求められ、これに対応する手段として、
これを構成する硬質被覆層のうち、特に耐酸化性と熱的
安定性にすぐれ、さらに高硬度を有するAl2 O3 層の
厚膜化が広く検討されているが、前記Al2 O3 層は、
これを厚くすると、上記の従来Al2 O3 層形成手段で
は層厚が局部的に不均一になり、切刃の逃げ面、すくい
面、および前記逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の間
には層厚に著しいバラツキが発生するようになり、さら
に硬質被覆層を構成する他のTi化合物層との層間密着
性が十分でないことと相まって、これを、例えば鋼や鋳
鉄などの断続切削に用いた場合に切刃に欠けやチッピン
グなどの欠損が発生し易く、これが原因で比較的短時間
で使用寿命に至るのが現状である。
のFA化はめざましく、かつ省力化に対する要求も強
く、これに伴い、被覆サーメット工具には使用寿命のさ
らなる延命化が求められ、これに対応する手段として、
これを構成する硬質被覆層のうち、特に耐酸化性と熱的
安定性にすぐれ、さらに高硬度を有するAl2 O3 層の
厚膜化が広く検討されているが、前記Al2 O3 層は、
これを厚くすると、上記の従来Al2 O3 層形成手段で
は層厚が局部的に不均一になり、切刃の逃げ面、すくい
面、および前記逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の間
には層厚に著しいバラツキが発生するようになり、さら
に硬質被覆層を構成する他のTi化合物層との層間密着
性が十分でないことと相まって、これを、例えば鋼や鋳
鉄などの断続切削に用いた場合に切刃に欠けやチッピン
グなどの欠損が発生し易く、これが原因で比較的短時間
で使用寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、被覆サーメット工具の硬質被覆
層を構成するAl2 O3 層に着目し、厚膜化した場合の
層厚の局部的バラツキの減少と、他の構成層であるTi
化合物層に対する層間密着性の向上を図るべく研究を行
った結果、化学蒸着法にて、反応ガスとして、容量%
で、 AlCl3 :1〜10%、 水素(以下、H2 で示す):1〜5%、 窒素酸化物(以下、NOで示す):16〜30%、 四塩化チタン(以下、TiCl4 で示す):0.05〜
0.7%、 Ar:残り、 からなる組成を有するAr系反応ガスを用い、反応温度
および雰囲気圧力は以下の条件、すなわち、 反応温度:700〜900℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で層形成を行うと、形成された層は非晶質組織を
もつようになると共に、従来の硬質被覆層のAl2 O3
層を構成するAl2 O3 がTi、Cl、およびNを含有
した組成、すなわち主体がAlと酸素(O)からなり、
これにTi、Cl、およびNが含有した組成をもつよう
になり、このうちのTiおよびClの含有割合を、主に
上記Arガス系反応ガスの組成および反応雰囲気を調整
することにより、重量%(質量%)で[以下、%は重量
%(質量%)を示す]、Ti:1〜15%およびCl:
0.005〜0.1%となるようにすると、この結果の
TiおよびClを含有するAl−O系非晶質層は、これ
を厚膜化しても、その層厚に局部的バラツキが著しく少
なくなり、切刃の逃げ面、すくい面、および前記逃げ面
とすくい面の交わるエッジ部の層厚が相互に均一化する
ようになり、加えてNの含有割合を同じく0.001〜
0.1%となるように調整すると、Tiとの共存で硬質
被覆層を構成するTi化合物層との層間密着性が著しく
向上し、したがって、このAl−O系非晶質層と前記T
i化合物層とで構成された硬質被覆層を超硬基体表面に
形成してなる被覆サーメット工具は、前記Al−O系非
晶質層がAl2 O3 層と同等の性質を有するので、すぐ
れた耐酸化性と熱的安定性、および高硬度を具備するよ
うになることと相まって、例えば鋼や鋳鉄などの連続切
削は勿論のこと、断続切削に用いた場合にも切刃に欠け
やチッピングなどの欠損の発生なく、長期に亘ってすぐ
れた切削性能を示すという研究結果を得たのである。
上述のような観点から、被覆サーメット工具の硬質被覆
層を構成するAl2 O3 層に着目し、厚膜化した場合の
層厚の局部的バラツキの減少と、他の構成層であるTi
化合物層に対する層間密着性の向上を図るべく研究を行
った結果、化学蒸着法にて、反応ガスとして、容量%
で、 AlCl3 :1〜10%、 水素(以下、H2 で示す):1〜5%、 窒素酸化物(以下、NOで示す):16〜30%、 四塩化チタン(以下、TiCl4 で示す):0.05〜
0.7%、 Ar:残り、 からなる組成を有するAr系反応ガスを用い、反応温度
および雰囲気圧力は以下の条件、すなわち、 反応温度:700〜900℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で層形成を行うと、形成された層は非晶質組織を
もつようになると共に、従来の硬質被覆層のAl2 O3
層を構成するAl2 O3 がTi、Cl、およびNを含有
した組成、すなわち主体がAlと酸素(O)からなり、
これにTi、Cl、およびNが含有した組成をもつよう
になり、このうちのTiおよびClの含有割合を、主に
上記Arガス系反応ガスの組成および反応雰囲気を調整
することにより、重量%(質量%)で[以下、%は重量
%(質量%)を示す]、Ti:1〜15%およびCl:
0.005〜0.1%となるようにすると、この結果の
TiおよびClを含有するAl−O系非晶質層は、これ
を厚膜化しても、その層厚に局部的バラツキが著しく少
なくなり、切刃の逃げ面、すくい面、および前記逃げ面
とすくい面の交わるエッジ部の層厚が相互に均一化する
ようになり、加えてNの含有割合を同じく0.001〜
0.1%となるように調整すると、Tiとの共存で硬質
被覆層を構成するTi化合物層との層間密着性が著しく
向上し、したがって、このAl−O系非晶質層と前記T
i化合物層とで構成された硬質被覆層を超硬基体表面に
形成してなる被覆サーメット工具は、前記Al−O系非
晶質層がAl2 O3 層と同等の性質を有するので、すぐ
れた耐酸化性と熱的安定性、および高硬度を具備するよ
うになることと相まって、例えば鋼や鋳鉄などの連続切
削は勿論のこと、断続切削に用いた場合にも切刃に欠け
やチッピングなどの欠損の発生なく、長期に亘ってすぐ
れた切削性能を示すという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、サーメット基体の表面に、化学蒸
着または物理蒸着形成された、TiC層、TiN層、T
iCN層、TiO2 層、TiCO層、TiNO層、およ
びTiCNO層からなるTi化合物層のうちの1種また
は2種以上と、容量%で、AlCl3 :1〜10%、H
2 :1〜5%、NO:16〜30%、TiCl4 :0.
05〜0.7%、Ar:残り、からなる組成を有するA
r系反応ガスを用いて化学蒸着形成され、Al2 O3
に、Ti:1〜15%、Cl:0.005〜0.1%、
N:0.001〜0.1%、を含有させると共に、これ
を非晶質組織としてなるAl−O系非晶質層、で構成さ
れた硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で形成してな
る、耐欠損性のすぐれた被覆サーメット工具に特徴を有
するものである。
されたものであって、サーメット基体の表面に、化学蒸
着または物理蒸着形成された、TiC層、TiN層、T
iCN層、TiO2 層、TiCO層、TiNO層、およ
びTiCNO層からなるTi化合物層のうちの1種また
は2種以上と、容量%で、AlCl3 :1〜10%、H
2 :1〜5%、NO:16〜30%、TiCl4 :0.
05〜0.7%、Ar:残り、からなる組成を有するA
r系反応ガスを用いて化学蒸着形成され、Al2 O3
に、Ti:1〜15%、Cl:0.005〜0.1%、
N:0.001〜0.1%、を含有させると共に、これ
を非晶質組織としてなるAl−O系非晶質層、で構成さ
れた硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で形成してな
る、耐欠損性のすぐれた被覆サーメット工具に特徴を有
するものである。
【0006】なお、この発明の被覆サーメット工具の硬
質被覆層を構成するAl−O系非晶質層におけるTiお
よびClは、上記の通り、これら両成分が共存して層厚
の均一化に作用するものであり、したがって、これら両
成分のうちのTiの含有量が1%未満でも、またClの
含有量が0.005%未満でも前記作用に所望の効果が
得られず、一方これら両成分のうちのいずれかの含有量
でもTi:15%およびCl:0.1%を越えると、A
l2 O3 層と同等の特性を有するAl−O系非晶質層の
もつ特性が損なわれるようになるものであり、これらの
結果から、その含有量を、それぞれTi:1〜15%、
Cl:0.005〜0.1%と定めた。また、同じくN
成分には、上記の通りAl−O系非晶質層の上記Ti化
合物層に対する層間密着性をTiとの共存下で向上させ
る作用があり、したがってその含有量が0.001%未
満では、所望の層間密着性向上効果が得られず、一方そ
の含有量が0.1%を越えるとAl−O系非晶質層のも
つ特性が損なわれるようになることから、その含有量を
0.001〜0.1%と定めた。さらに、硬質被覆層の
平均層厚を3〜20μmとしたのは、その層厚が3μm
では所望のすぐれた耐摩耗性を確保することができず、
一方その層厚が20μmを越えると、耐欠損性が低下す
るようになるという理由からである。
質被覆層を構成するAl−O系非晶質層におけるTiお
よびClは、上記の通り、これら両成分が共存して層厚
の均一化に作用するものであり、したがって、これら両
成分のうちのTiの含有量が1%未満でも、またClの
含有量が0.005%未満でも前記作用に所望の効果が
得られず、一方これら両成分のうちのいずれかの含有量
でもTi:15%およびCl:0.1%を越えると、A
l2 O3 層と同等の特性を有するAl−O系非晶質層の
もつ特性が損なわれるようになるものであり、これらの
結果から、その含有量を、それぞれTi:1〜15%、
Cl:0.005〜0.1%と定めた。また、同じくN
成分には、上記の通りAl−O系非晶質層の上記Ti化
合物層に対する層間密着性をTiとの共存下で向上させ
る作用があり、したがってその含有量が0.001%未
満では、所望の層間密着性向上効果が得られず、一方そ
の含有量が0.1%を越えるとAl−O系非晶質層のも
つ特性が損なわれるようになることから、その含有量を
0.001〜0.1%と定めた。さらに、硬質被覆層の
平均層厚を3〜20μmとしたのは、その層厚が3μm
では所望のすぐれた耐摩耗性を確保することができず、
一方その層厚が20μmを越えると、耐欠損性が低下す
るようになるという理由からである。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の被覆サーメッ
ト工具を実施例により具体的に説明する。原料粉末とし
て、平均粒径:1.3μmの(Ti0.6 W0.3 M
o0.1 )CN粉末、同1.5μmのTiCN粉末,同
1.5μmのTaC粉末、同1.5μmのNbC粉末、
同1.5μmのMo2 C粉末、同2.0μmのNi粉
末、および同1.1μmのCo粉末を用意し、これら原
料粉末を表1に示される配合組成に配合し、ボールミル
で72時間湿式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG
120408に定める形状の圧粉体にプレス成形し、こ
の圧粉体を同じく表1に示される条件で真空焼結するこ
とによりサーメット基体A,Bをそれぞれ製造した。な
お、表1には、上記サーメット基体A,Bの内部硬さ
(ロックウエル硬さAスケール)をそれぞれ示した。
ト工具を実施例により具体的に説明する。原料粉末とし
て、平均粒径:1.3μmの(Ti0.6 W0.3 M
o0.1 )CN粉末、同1.5μmのTiCN粉末,同
1.5μmのTaC粉末、同1.5μmのNbC粉末、
同1.5μmのMo2 C粉末、同2.0μmのNi粉
末、および同1.1μmのCo粉末を用意し、これら原
料粉末を表1に示される配合組成に配合し、ボールミル
で72時間湿式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG
120408に定める形状の圧粉体にプレス成形し、こ
の圧粉体を同じく表1に示される条件で真空焼結するこ
とによりサーメット基体A,Bをそれぞれ製造した。な
お、表1には、上記サーメット基体A,Bの内部硬さ
(ロックウエル硬さAスケール)をそれぞれ示した。
【0008】ついで、これらのサーメット基体A,Bの
表面に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装
置を用い、表2(表中のl−TiCNは特開平6−80
10号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつもので
ある)および表3に示される条件にて、表4に示される
組成および目標層厚(切刃の逃げ面での層厚)の硬質被
覆層を形成することにより本発明被覆サーメット工具
1,2および従来被覆サーメット工具1,2をそれぞれ
製造した。この結果得られた各種の被覆サーメット工具
の硬質被覆層を構成するAl−O系非晶質層およびAl
2 O3 層(これらの層の同定は、それぞれのサーメット
工具における切刃の逃げ面のX線回析パターンを観察し
て行った)について、切刃の逃げ面とすくい面の交わる
エッジ部の最大層厚を測定し、さらに前記エッジ部から
それぞれ1mm内側の箇所の逃げ面とすくい面における層
厚を測定した。この測定結果を表5に示した。なお、硬
質被覆層を構成するAl−O系非晶質層およびAl2 O
3 層以外のTi化合物層の層厚には、いずれも局部的バ
ラツキがほとんどなく、目標層厚とほぼ同じ値を示すも
のであった。
表面に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装
置を用い、表2(表中のl−TiCNは特開平6−80
10号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつもので
ある)および表3に示される条件にて、表4に示される
組成および目標層厚(切刃の逃げ面での層厚)の硬質被
覆層を形成することにより本発明被覆サーメット工具
1,2および従来被覆サーメット工具1,2をそれぞれ
製造した。この結果得られた各種の被覆サーメット工具
の硬質被覆層を構成するAl−O系非晶質層およびAl
2 O3 層(これらの層の同定は、それぞれのサーメット
工具における切刃の逃げ面のX線回析パターンを観察し
て行った)について、切刃の逃げ面とすくい面の交わる
エッジ部の最大層厚を測定し、さらに前記エッジ部から
それぞれ1mm内側の箇所の逃げ面とすくい面における層
厚を測定した。この測定結果を表5に示した。なお、硬
質被覆層を構成するAl−O系非晶質層およびAl2 O
3 層以外のTi化合物層の層厚には、いずれも局部的バ
ラツキがほとんどなく、目標層厚とほぼ同じ値を示すも
のであった。
【0009】さらに、切刃の耐欠損性を評価する目的
で、上記本発明被覆サーメット工具1,2および従来被
覆サーメット工具1,2について、 被削材:JIS・S25Cの丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1mm.、 送り:0.25mm/rev.、 切削時間:20分、 の条件での炭素鋼の乾式連続切削試験、並びに、 被削材:JIS・S25Cの長さ方向等間隔4本縦溝入
り丸棒、 切削速度:250m/min.、 切込み:1mm.、 送り:0.2mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での炭素鋼の乾式断続切削試験を行い、いずれの
切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの
測定結果を表5に示した。
で、上記本発明被覆サーメット工具1,2および従来被
覆サーメット工具1,2について、 被削材:JIS・S25Cの丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1mm.、 送り:0.25mm/rev.、 切削時間:20分、 の条件での炭素鋼の乾式連続切削試験、並びに、 被削材:JIS・S25Cの長さ方向等間隔4本縦溝入
り丸棒、 切削速度:250m/min.、 切込み:1mm.、 送り:0.2mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での炭素鋼の乾式断続切削試験を行い、いずれの
切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの
測定結果を表5に示した。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】
【表4】
【0014】
【表5】
【0015】
【発明の効果】表5に示される結果から、硬質被覆層と
して、Arガス系反応ガスを用いて、Ti、Cl、およ
びNを含有するAl−O系非晶質層を形成してなる本発
明被覆サーメット工具1,2は、前記Al−O系非晶質
層の層厚に、これを厚膜化しても局部的バラツキがきわ
めて少なく、切刃の逃げ面、すくい面、および逃げ面と
すくい面の交わるエッジ部の層厚が均一化しているのに
対して、硬質被覆層として水素系反応ガスを用いてAl
2 O3 層を形成してなる従来被覆サーメット工具1,2
においては、逃げ面、すくい面、およびエッジ部におけ
る層厚のバラツキが著しく、この結果として本発明被覆
サーメット工具1,2は、前記Al−O系非晶質層が硬
質被覆層を構成するTi化合物層に対してすぐれた密着
性を示すと共に、Al2 O3 層と同等のすぐれた耐酸化
性と熱的安定性、および高硬度を有することと相まっ
て、鋼の連続切削ですぐれた耐摩耗性を示すほか、特に
断続切削で、従来被覆サーメット工具1,2に比して一
段とすぐれた耐欠損性を示すことが明らかである。上述
のように、この発明の被覆サーメット工具は、これの硬
質被覆層を構成するAl−O系非晶質層に、これを厚膜
化しても、局部的バラツキがきわめて少なく、かつTi
化合物層に対する層間密着性にもすぐれていることか
ら、前記Al−O系非晶質層がAl2 O3 層と同等の性
質を有することと相まって、例えば鋼や鋳鉄などの連続
切削は勿論のこと、特に断続切削においてすぐれた耐欠
損性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮する
ので、切削加工のFA化および省力化に満足に対応する
ことができるものである。
して、Arガス系反応ガスを用いて、Ti、Cl、およ
びNを含有するAl−O系非晶質層を形成してなる本発
明被覆サーメット工具1,2は、前記Al−O系非晶質
層の層厚に、これを厚膜化しても局部的バラツキがきわ
めて少なく、切刃の逃げ面、すくい面、および逃げ面と
すくい面の交わるエッジ部の層厚が均一化しているのに
対して、硬質被覆層として水素系反応ガスを用いてAl
2 O3 層を形成してなる従来被覆サーメット工具1,2
においては、逃げ面、すくい面、およびエッジ部におけ
る層厚のバラツキが著しく、この結果として本発明被覆
サーメット工具1,2は、前記Al−O系非晶質層が硬
質被覆層を構成するTi化合物層に対してすぐれた密着
性を示すと共に、Al2 O3 層と同等のすぐれた耐酸化
性と熱的安定性、および高硬度を有することと相まっ
て、鋼の連続切削ですぐれた耐摩耗性を示すほか、特に
断続切削で、従来被覆サーメット工具1,2に比して一
段とすぐれた耐欠損性を示すことが明らかである。上述
のように、この発明の被覆サーメット工具は、これの硬
質被覆層を構成するAl−O系非晶質層に、これを厚膜
化しても、局部的バラツキがきわめて少なく、かつTi
化合物層に対する層間密着性にもすぐれていることか
ら、前記Al−O系非晶質層がAl2 O3 層と同等の性
質を有することと相まって、例えば鋼や鋳鉄などの連続
切削は勿論のこと、特に断続切削においてすぐれた耐欠
損性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮する
ので、切削加工のFA化および省力化に満足に対応する
ことができるものである。
フロントページの続き (72)発明者 植田 稔晃 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (72)発明者 ▲功▼刀 斉 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (72)発明者 濱口 雄樹 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (56)参考文献 特開 昭52−96912(JP,A) INTERNATIONAL JOR NAL OF Refractry&H ardMetals,英国,VOL5 [4],p222−228 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 27/14 B23P 15/28 C23C 16/30 - 16/40 C23C 14/08
Claims (1)
- 【請求項1】 炭窒化チタン基サーメット基体の表面
に、 化学蒸着または物理蒸着形成された、Tiの炭化物層、
窒化物層、炭窒化物層、酸化物層、炭酸化物層、窒酸化
物層、および炭窒酸化物層からなるTi化合物層のうち
の1種または2種以上と、 容量%で、三塩化アルミニウム:1〜10%、水素:1
〜5%、窒素酸化物:16〜30%、四塩化チタン:
0.05〜0.7%、Ar:残り、からなる組成を有す
るAr系反応ガスを用いて化学蒸着形成され、酸化アル
ミニウムに、重量%(質量%)で、 Ti:1〜15%、 Cl:0.005〜0.1%、 N:0.001〜0.1%、 を含有させると共に、これを非晶質組織としてなるAl
−O系非晶質層、 で構成された硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚で形
成してなる、耐欠損性のすぐれた表面被覆サーメット製
切削工具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26180796A JP3255041B2 (ja) | 1996-10-02 | 1996-10-02 | 耐欠損性のすぐれた表面被覆サーメット製切削工具 |
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JP26180796A JP3255041B2 (ja) | 1996-10-02 | 1996-10-02 | 耐欠損性のすぐれた表面被覆サーメット製切削工具 |
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JPH10109205A JPH10109205A (ja) | 1998-04-28 |
JP3255041B2 true JP3255041B2 (ja) | 2002-02-12 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5831704B2 (ja) * | 2012-03-06 | 2015-12-09 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
-
1996
- 1996-10-02 JP JP26180796A patent/JP3255041B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
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INTERNATIONAL JORNAL OF Refractry&HardMetals,英国,VOL5[4],p222−228 |
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JPH10109205A (ja) | 1998-04-28 |
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