JP3253876B2 - 燃焼灰の混練処理方法及び装置 - Google Patents

燃焼灰の混練処理方法及び装置

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JP3253876B2 JP32752596A JP32752596A JP3253876B2 JP 3253876 B2 JP3253876 B2 JP 3253876B2 JP 32752596 A JP32752596 A JP 32752596A JP 32752596 A JP32752596 A JP 32752596A JP 3253876 B2 JP3253876 B2 JP 3253876B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重油、オリマルジ
ョン(オリノコタールに水を加えてエマルジョンにした
燃料)、石炭等を燃料とするボイラやごみ等の焼却炉か
ら発生する燃焼灰を水で混練処理して粒状の混練物を得
る方法、及びこの方法を実施する装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、重油、オリマルジョン、石炭
等を燃料とするボイラやごみ等の焼却炉から発生する燃
焼灰の大部分は、水で加湿・混練処理された後に埋め立
て処分されている。従来、燃焼灰の混練処理方法として
は、一軸又は二軸のパドルミキサ等の低速横軸式混練機
を用いて、燃焼灰を水で混練する方法が知られている。
また、バイブロミキサ等のロッドの入った振動式混練機
を用いて、燃焼灰を水で混練する方法が知られている。
【0003】特開平8−59311号公報には、石炭焚
流動層ボイラ、微粉炭焚ボイラ等の石炭焚燃焼装置から
排出される燃焼灰を成分調整した後、水を加えて混練
し、この混練物を成型・養生して固化体を得る方法が記
載されており、燃焼灰に水を加えて混練する場合に、混
練水として、1回目に最終水量よりも少ない水を添加
し、混練した後の混練機の電流値が一定となるように2
回目の水を投入し、さらに所定時間混練して、混練物の
状態を安定化させることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】燃焼灰の減容化を図る
ことは、埋め立て処分地の密度向上による延命化、埋め
立て処分までの間の貯蔵、車両等による輸送やフレコン
(フレキシブルコンテナ)袋等での取り扱い、あるいは
燃焼灰中の有価物の回収において、経済面、安全面等か
ら重要である。特に、かさ比重が0.05〜0.1程度
と非常に小さいオリマルジョンの燃焼灰の場合は、かさ
比重を大きくして減容化を図り、貯蔵や輸送等における
安全性の確保及び効率化を図る必要がある。しかし、従
来の方法で得られた混練物は、粒度(粒径)が0.1〜
150mm程度であり、50mmを超える塊状体や0.5mm
未満の粉末が多く存在するとともに、混練物の水分量の
ばらつきが大きいため、かさ比重が小さく、1/4〜1
/6程度の減容化しか期待できない。
【0005】また、従来の方法で得られた混練物は、上
述のように塊状体や粉末があり、しかも、混練物同士が
容易に固着するため、貯蔵タンク、フレコン袋等への投
入・排出、及びトラック等の輸送車両への積み込み・積
み下ろしが困難であり、良好なハンドリング性を確保す
ることができない。また、従来の低速混練機は、混練機
径が通常0.5〜2mであるため、燃焼灰の投入口を大
きくするのにも限界があり、混練速度も通常、フルード
数が0.1未満と遅いため、混練機容量当りの処理量を
あまり大きくすることができず、多量の燃焼灰の処理を
安定して行うことができない。そして、多量の燃焼灰を
混練処理するためには、処理系列を増やさないと処理量
の確保が困難であり、かつ、多量の燃焼灰の処理では混
練物の状態も悪くなる。また、従来の方法では、混練速
度が遅いか、混練力が大きすぎるかで適正な水量幅が小
さく、かつ、燃焼灰の特性変化に対応できる機能を有し
ていないので、ボイラの負荷変化、異なる燃料の配合・
混合の比率等が変化した場合に、混練物の状態が非常に
変化し、安定な混練物を得ることができない。
【0006】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもの
で、本発明の目的は、燃焼灰を水で混練処理することに
より、燃焼灰の減容化を図り、貯蔵や輸送等における取
り扱いが容易でハンドリング性が良好な粒状の混練物を
得ることができ、かつ、多量の燃焼灰を処理しても安定
な混練物を得ることができ、しかも、ボイラの負荷変化
や燃焼灰の特性変化に対応して安定な混練物を得ること
ができる方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の燃焼灰の混練処理方法は、フルード数が
0.1〜1.5となるように混練機を運転しながら、こ
の混練機に、混練機内径に対して1/20〜1/3の内
径を有する灰供給管を用いて燃焼灰を供給するととも
に、水を供給し、同時に、燃焼灰と水との反応によって
混練機内で発生する水蒸気及び混練機内の空気を排気す
ることにより、混練機内の圧力を−100〜+50mmH2
Oに保持しながら、混練処理を行って粒状の混練物を得
ることを特徴としている。また、本発明の燃焼灰の混練
処理方法は、フルード数が1.5〜4となるように加湿
機を運転しながら、この加湿機に、燃焼灰及び水を供給
して加湿処理した後、得られた加湿灰を、フルード数が
0.1〜1.5となるように運転している混練機に移送
し、同時に、燃焼灰と水との反応によって混練機内で発
生する水蒸気及び混練機内の空気を排気することによ
り、混練機内の圧力を−100〜+50mmH2Oに保持し
ながら、加湿灰の混練処理を行って粒状の混練物を得る
ことを特徴としている。
【0008】上記のように、混練機を運転する場合のフ
ルード数は、混練機容量当りの処理量を大きくするとい
う点から、下限が0.1であり、好ましくは0.3であ
る。一方、所定の混練物による添加水量を幅広くし、動
力の節約の点から、上限は1.5であり、好ましくは
1.2である。また、加湿機を運転する場合のフルード
数は、より多くの燃焼灰の処理に対応して加湿機容量当
りの処理量をさらに大きくするという点から、下限が
1.5であり、好ましくは1.8である。一方、動力の
節約と装置の安定運転の点から、上限は4であり、好ま
しくは3.0である。なお、フルード数は、N2R/g
(N:回転数、R:攪拌翼径、g:重力)で表される無
次元数であり、本発明では混練速度に対応している。
【0009】また、混練機に燃焼灰を供給する灰供給管
の内径は、燃焼灰の供給量を多くするとともに供給口付
近を混練物で閉塞させないために、下限が混練機内径の
1/20であり、好ましくは1/10である。一方、燃
焼灰と水とを均一に混練して混練機容量当りの処理量を
確保するために、上限は混練機内径の1/3であり、好
ましくは1/5である。また、水蒸気や空気を排気しな
がら混練処理を行うときの混練機内の圧力は、燃焼灰の
混練機への供給を容易にし、かつ、動力の節約の点か
ら、下限が−100mmH2Oであり、好ましくは−25mmH
2Oである。一方、混練時の水和反応で水蒸気を発生させ
て混練物の水分量を減少させるために、上限は+50mm
H2Oであり、好ましくは+25mmH2Oである。
【0010】上記の本発明の方法において、混練処理
を、所定時間経過後に燃焼灰及び水の供給を停止し、さ
らに所定時間混練処理を行う回分式とすることができ
る。また、加湿灰を所定時間滞留させながら連続的に混
練処理を行うことができる。また、上記のこれらの方法
において、混練処理物の充填状態が、ペンデュラー状態
ないしファニキュラーI状態となるように、供給する水
の量を調整した後、さらに混練処理を行って粒状物とす
ることが望ましい。また、上記のこれらの方法におい
て、混練処理物の充填状態が、キャピラリー状態となる
ように、供給する水の量を調整した後、さらに混練処理
を行って粒状物とすることもできる。
【0011】ここで、粒子の充填状態について説明する
と、最稠密に充填された略球形で略等径の粒子群に水が
加わるとき、最初水の少ない間は水は粒子の接触点を中
心として環状に付着して不連続に存在するが(ペンデュ
ラー(pendular)状態)、水の量が増すと水環
は大きさを増してゆき、ついには環相互の連繋ができ
て、水(液相)も粒子(固相)、空気(気相)とともに
連続構造を持つようになり(ファニキュラー(funi
cular)I状態)、さらに水の量が増すと液相は粒
子の接点を含む面で閉じて空気の相は不連続となり(フ
ァニキュラーII状態)、さらに水の量が多いと独立泡状
の空気はしだいにその大きさが減少して、ついには容積
0となって固液2相のみが連続構造をとるようになる
(キャピラリー(capillary)状態)。そし
て、ファニキュラーII状態からキャピラリー状態に移行
する含水量を塑性限界、キャピラリー状態からスラリー
状態に移行する含水量を液性限界という。
【0012】また、上記のこれらの方法において、混練
機の電流値が一定となるように、供給する水の量を調整
することが望ましい。この場合、供給する水量の70〜
95vol%の水を、所定量の燃焼灰とともに供給した
後、1〜10分間、望ましくは2〜5分間、混練処理し
た混練機のモーターの電流値に基づいて水を追加供給
し、さらに混練処理を行って粒状物とすることが望まし
い。燃焼灰に水を加えて混練する場合、混練直後は時間
の経過につれて混練機のモーターの電流値が上昇し、あ
る時間以後は電流値が一定値になる。この時間は、通
常、2〜5分間であり、燃料の種類、混練条件等を考慮
しても、1〜10分間とみておれば充分である。また、
供給する水量の70〜95vol%の水を、所定量の燃焼
灰とともに連続的に供給した後、混練機内で所定の滞留
時間が得られる混練物量における混練機のモーターの電
流値が一定となるように、水の追加供給を連続的に行っ
て粒状物とすることが望ましい。
【0013】発明の燃焼灰の混練処理装置は、燃焼灰
及び水を供給して加湿処理を行う高速横軸式加湿機及び
高速縦軸式加湿機のいずれかからなる加湿機と、加湿処
理して得られた加湿灰を混練する加湿機よりも低速で駆
動する中速縦軸式混練機と、燃焼灰を加湿機に定量供給
する燃焼灰定量供給手段と、水を加湿機、又は加湿機及
び混練機に定量供給する水定量供給手段と、混練処理で
発生した水蒸気及び空気を混練機から排気する排気系統
とからなることを特徴としている。
【0014】上記のように、混練機としては、中速縦軸
式混練機を用いる。また、加湿機としては、高速横軸式
加湿機又は高速縦軸式加湿機を用いる。 この場合、混練
機としては、加湿機よりも低速で駆動する中速縦軸式混
練機を用いる。また、上記のこれらの装置において、混
練機としては、混練機の電流値に基づいて供給する水の
量を調整できる機能を有する混練機を用いることが望ま
しい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1は本発明の燃焼灰の混練処理装
置の一例を示している。図1に示す装置は、小容量〜大
容量の燃焼灰の処理に対応できる回分式の混練処理装置
である。図1において、10は燃焼灰と水とを混練する
混練機であり、この混練機10には、燃焼灰を混練機1
0に定量供給する燃焼灰定量供給機12が、混練機内径
の1/20〜1/3の内径を有する灰供給管14を介し
て接続されている。すなわち、混練機10の内径d1と
灰供給管14の内径d2との比は、d2/d1=1/20
〜1/3である。また、混練機10には、制御盤16で
制御される制御弁18により水供給管20を介して水が
定量供給される。そして、混練機10内で燃焼灰の混練
処理が行われ、混練機10内の圧力を圧力計22で測定
した結果に基づいて制御盤16で制御される制御弁24
が開閉し、混練機10から排気管26を介してドレンタ
ンク28に接続されている排気ポンプ30により、混練
処理で発生した水蒸気及び空気が排気される。32はド
レンを排出するためのドレン抜出弁、33は排気管であ
る。
【0016】図2は本発明の燃焼灰の混練処理装置の他
の例を示している。図2に示す装置は、より大容量の燃
焼灰の処理に対応できる回分式又は連続式の混練処理装
置である。図2において、40は燃焼灰及び水を供給し
て加湿処理を行う加湿機であり、この加湿機40には、
灰供給管14を介して燃焼灰を加湿機40に定量供給す
る燃焼灰定量供給機12が接続されている。また、加湿
機40には、制御盤16で制御される制御弁44により
水供給管46を介して水が定量供給される。そして、加
湿機40内で燃焼灰の加湿処理が行われ、得られた加湿
灰は、灰移送管42を通って混練機10に移送される。
混練機10に移送された加湿灰には、制御盤16で制御
される制御弁18により水供給管20を介して水が供給
される場合もある。そして、混練機10内で加湿灰の混
練処理が行われ、混練機10内の圧力を圧力計22で測
定した結果に基づいて制御盤16で制御される制御弁2
4が開閉し、混練機10から排気管26を介してドレン
タンク28に接続されている排気ポンプ30により、混
練処理で発生した水蒸気及び空気が排気される。32は
ドレンを排出するためのドレン抜出弁、33は排気管、
48は混練物を移送するためのコンベアである。
【0017】また、図1及び図2に示す装置では、混練
機10のモーター52の電流値に基づいて制御盤16で
制御される制御弁18、44が開閉して、供給する水の
量が調整できるようになっている。図1及び図2に示す
装置において、混練機10としては、中速縦軸式混練
機、例えば、アイリッヒミキサ、ボールミル等を用いる
ことができる。また、図2に示す装置において、加湿機
40としては、高速横軸式加湿機、例えば、タービュラ
イザ等、又は高速縦軸式加湿機、例えば、フロージェッ
トミキサ、ピンミキサ等を用いることができる。
【0018】つづいて、図1に示す装置を参照しなが
ら、本発明の燃焼灰の混練処理方法における実施の第1
形態を説明する。図1において、フルード数が0.1〜
1.5、好ましくは、0.3〜1.2となるように混練
機10を運転しながら、この混練機10に、混練機内径
に対して1/20〜1/3、好ましくは、1/10〜1
/5の内径を有する灰供給管14を通じて所定量の燃焼
灰を連続的に供給するとともに、配管20を通じて所定
量の水を連続的に供給し、同時に、燃焼灰と水との水和
反応によって混練機10内で発生した水蒸気、及び燃焼
灰によって混練機10内に持ち込まれた空気を排気ポン
プ30等の排気系統で強制排気することにより、混練機
10内の圧力を−100〜+50mmH2O、好ましくは、
−25〜+25mmH2Oに保持しながら、混練処理を行
い、燃焼灰の供給から所定時間に達すれば燃焼灰及び水
の供給を停止し、混練処理物をさらに所定時間混練処理
を行って粒状物とする。本実施の形態において、混練機
10を運転しながら、供給する水量の70〜95vol%
の水を、所定量の燃焼灰とともに連続的に供給した後、
燃焼灰及び水の供給を停止し、1〜10分間、望ましく
は2〜5分間、混練処理後の混練機10のモーター52
における電流値に基づいて水の追加供給を行い、さらに
混練処理を行って粒状物とすることができる。
【0019】つぎに、図2に示す装置を参照しながら、
本発明の方法における実施の第2形態を説明する。図2
において、フルード数が1.5〜4、好ましくは、1.
8〜3.0となるように加湿機40を運転しながら、こ
の加湿機40に、所定量の燃焼灰及び水を連続的に供給
して加湿処理した後、得られた加湿灰を、フルード数が
0.1〜1.5、好ましくは、0.3〜1.2となるよ
うに運転している混練機10に自由落下等により移送
し、同時に、燃焼灰と水との水和反応によって混練機1
0内で発生した水蒸気、及び燃焼灰によって混練機10
内に持ち込まれた空気を排気ポンプ30等の排気系統で
強制排気することにより、混練機10内の圧力を−10
0〜+50mmH2O、好ましくは、−25〜+25mmH2Oに
保持しながら、加湿灰の混練処理を行い、加湿処理時間
が所定になった後、加湿機40への燃焼灰及び水の供給
を停止し、混練処理物をさらに所定時間混練処理を行っ
て粒状物とする。本実施の形態において、加湿機40を
運転しながら、供給する水量の70〜95vol%の水
を、所定量の燃焼灰とともに連続的に供給した後、燃焼
灰及び水の供給を停止し、1〜10分間、望ましくは2
〜5分間、混練処理後の混練機10のモーター52にお
ける電流値に基づいて混練機10へ水の追加供給を行
い、さらに混練処理を行って粒状物とすることができ
る。
【0020】また、図2に示す装置を参照しながら、本
発明の方法における実施の第3形態を説明する。図2に
おいて、フルード数が1.5〜4、好ましくは、1.8
〜3.0となるように加湿機40を運転しながら、この
加湿機40に、所定量の燃焼灰及び水を連続的に供給し
て加湿処理した後、得られた加湿灰を、フルード数が
0.1〜1.5、好ましくは、0.3〜1.2となるよ
うに運転している混練機10に自由落下等により移送
し、同時に、燃焼灰と水との水和反応によって混練機1
0内で発生した水蒸気、及び燃焼灰によって混練機10
内に持ち込まれた空気を排気ポンプ30等の排気系統で
強制排気することにより、混練機10内の圧力を−10
0〜+50mmH2O、好ましくは、−25〜+25mmH2Oに
保持しながら、加湿灰を所定時間滞留させながら連続的
な混練処理を行い粒状物とする。本実施の形態におい
て、加湿機40を運転しながら、供給する水量の70〜
95vol%の水を、所定量の燃焼灰とともに連続的に供
給して、連続的に加湿処理を行った後、混練機10に移
送し、所定の滞留時間が得られる混練物量における混練
機10のモーター52における電流値が所定値となるよ
うに、加湿機40又は/及び混練機10へ水の追加供給
を連続的に行い、粒状物とすることができる。
【0021】このように、本発明の方法は、燃焼灰を水
でもって混練することにより、得られる混練物が0.5
〜50mm程度の粒度分布を有する緻密な粒状物となり、
かさ比重が大きくなって、1/6〜1/10程度の減容
化が図られ、貯蔵や輸送等における安全性の確保及び効
率化を図ることができる。また、本発明の方法では、粒
度分布が0.5〜50mm程度の緻密な粒状の混練物が得
られ、混練物同士の固着もないので、貯蔵タンク、フレ
コン袋等への投入・排出、及びトラック等の輸送車両へ
の積み込み・積み下ろしが容易となり、良好なハンドリ
ング性を確保しながら取り扱いができる。また、本発明
の方法では、中速縦軸式混練機を用いる場合は、混練機
内径が大きいので、燃焼灰の投入口を大きくすることが
でき、かつ、混練速度がフルード数0.1〜1.5と速
いので、混練機容量当りの処理量を大きくすることがで
きる。したがって、多量の燃焼灰混練処理に対しても、
小さい混練機容量で安定な混練物を得ることができる。
さらに、混練機の前段に加湿機を設ける場合には、小さ
い混練機容量で、より多くの燃焼灰に対応でき、かつ、
安定な混練物とすることができる。また、本発明の方法
では、比較的幅広い水量に対して、所定の混練物を得る
ことができる。さらに、燃焼灰特性がかなり変化した場
合には、制御盤等による制御で監視している混練機の電
流値に基づいて水量を調整することにより、安定な混練
物を得ることができる。
【0022】上述した本発明の実施の形態において、よ
り適正な混練物を得るための水量は、燃焼灰の塑性限界
付近が望ましい。塑性限界よりも幾分少ない水量の場
合、短時間の混練では、混練物はペンデュラー状態ない
しファニキュラーI状態であり、さらに混練することに
より、ファニキュラーI状態ないしファニキュラーII状
態の良好な混練物となる。したがって、本発明の実施の
第1形態の場合は混練処理、本発明の実施の第2形態の
場合は加湿処理における水量を調整して、混練処理物の
充填状態が、ペンデュラー状態ないしファニキュラーI
状態となるようにした後、さらに混練処理を行うことに
より粒状物とすることができる。また、塑性限界よりも
幾分多く、液性限界程度の水量の場合は、混練による発
熱で水蒸気を発生させて混練物の水分量を減少させるこ
とにより、ファニキュラーI状態ないしファニキュラー
II状態の良好な混練物を得ることができる。したがっ
て、本発明の実施の第1形態の場合は混練処理、本発明
の実施の第2形態の場合は加湿処理における水量を調整
して、混練処理物の充填状態が、キャピラリー状態とな
るようにした後、さらに混練処理を行うことにより粒状
物とすることができる。
【0023】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について説明する。 実施例1 図1に示す装置を参照しながら、実施例1を説明する。
容量3000リットル、内径d1=3030mmの逆流式
中速縦軸混練機(アイリッヒミキサ)を用い、フルード
数が1.2となるように攪拌翼を回転させながら、この
混練機に、容量式定量供給機を起動してかさ比重0.1
のオリマルジョン燃焼灰を90kg/分で内径d2=57
5mmの灰供給管を介して連続投入するとともに、水を3
3kg/分で連続投入し、同時に混練機内を排気すること
により、混練機内の圧力を−25mmH2Oとし、10分後
に燃焼灰と水の供給を止め、さらに5分間攪拌した後、
混練物を排出した。なお、d2/d1=1/5.3であっ
た。得られた混練物の粒度は1〜50mmの範囲内であ
り、かさ比重は0.80(乾燥基準)であり、1/8の
減容化が図られ、ハンドリング性は良好であった。ま
た、1日経過後も混練物同士の固着はなかった。
【0024】実施例2 図2に示す装置を参照しながら、実施例2を説明する。
処理能力150リットル/分の高速縦軸加湿機(ピンミ
キサ)を用い、フルード数が3となるように攪拌翼を回
転させながら、この加湿機に、容量式定量供給機を起動
してかさ比重0.1のオリマルジョン燃焼灰を15kg/
分で連続投入するとともに、水を5.5kg/分で連続投
入し、加湿処理した後、得られた加湿灰をフルード数が
1.2となるように攪拌翼が回転している容量500リ
ットルの逆流式中速縦軸混練機(アイリッヒミキサ)に
移送し、同時に混練機内を排気することにより、混練機
内の圧力を−25mmH2Oとし、滞留時間が5分となるよ
うに仕込量を調整してから、連続的に混練物を排出し
た。得られた混練物の粒度は1〜50mmの範囲内であ
り、かさ比重は0.85(乾燥基準)であり、1/8.
5の減容化が図られ、ハンドリング性は良好であった。
また、1日経過後も混練物同士の固着はなかった。
【0025】実施例3 図2に示す装置を参照しながら、実施例3を説明する。
実施例2に示す条件で装置を運転している途中に、供給
していたオリマルジョン燃焼灰のかさ比重が0.1から
0.15に変化した。これにより混練機のモーターの電
流値が14Aと高くなったので、混練機のモーターの電
流値が同一となるように、供給する水量を5.0kg/分
に調整した。得られた混練物の粒度は1〜50mmの範囲
内であり、かさ比重は0.90(乾燥基準)であり、1
/6の減容化が図られ、ハンドリング性は良好であっ
た。また、1日経過後も混練物同士の固着はなかった。
【0026】比較例1 容量500リットルの低速横軸混練機(パドルミキサ)
を用い、フルード数が0.05となるように攪拌翼を回
転させながら、この混練機に、容量式定量供給機を起動
してかさ比重0.1のオリマルジョン燃焼灰を10kg/
分で連続供給するとともに、水を3.7kg/分で連続供
給して、混練物を得た。得られた混練物の粒度は0.1
〜150mmであり、かさ比重は0.50(乾燥基準)で
あり、1/5の減容化が図られた。ハンドリング性は良
好とはいえず、フレコン袋、車両等への投入・排出等が
容易ではなく、1日経過後には混練物同士の固着により
排出が困難であった。
【0027】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) 得られる混練物が0.5〜50mm程度の粒度分
布を有する緻密な粒状物となり、かさ比重が大きくなっ
て、1/6〜1/10程度の減容化が図られ、貯蔵や輸
送等における安全性の確保及び効率化を図ることができ
る。また、燃焼灰の減容化により、埋め立て処分の効率
化を図り、かつ、埋め立て地の密度向上により、処分場
の延命化を図ることができる。 (2) 粒度分布が0.5〜50mm程度の緻密な粒状の
混練物が得られるとともに、混練物同士の固着もないの
で、貯蔵タンク、フレコン袋等への投入・排出、及びト
ラック等の輸送車両への積み込み・積み下ろしが容易と
なり、良好なハンドリング性を確保しながら取り扱いが
できる。 (3) 混練機内径が大きく、燃焼灰の投入口を大きく
することができ、かつ、混練速度が速いので、混練機容
量当りの処理量を大きくすることができる。したがっ
て、多量の燃焼灰混練処理に対しても、小さい混練機容
量で安定な混練物を得ることができる。さらに、混練機
の前段に加湿機を設ける場合には、小さい混練機容量
で、より多くの燃焼灰に対応でき、かつ、安定な混練物
とすることができる。 (4) 比較的幅広い水量に対して、所定の混練物を得
ることができる。さらに、燃焼灰特性がかなり変化した
場合でも、監視している混練機のモーターの電流値に基
づいて水量を調整することにより、燃焼灰特性によらず
安定な混練物を得ることができる。このように、ボイラ
の負荷変化や燃焼灰の特性変化によらず安定な混練物を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃焼灰の混練処理装置の一例を示す概
略構成図である。
【図2】本発明の燃焼灰の混練処理装置の他の例を示す
概略構成図である。
【符号の説明】
10 混練機 12 燃焼灰定量供給機 14 灰供給管 16 制御盤 18、24、44 制御弁 20、46 水供給管 22 圧力計 26、33 排気管 28 ドレンタンク 30 排気ポンプ 32 ドレン抜出弁 40 加湿機 42 灰移送管 48 コンベア 52 モーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅川 尊美 東京都江東区南砂2丁目11番1号 川崎 重工業株式会社 東京設計事務所内 (56)参考文献 特開 平8−141547(JP,A) 特開 平6−307623(JP,A) 特開 平6−226238(JP,A) 特開 昭60−194222(JP,A) 特開 昭57−148119(JP,A) 特開 平9−155318(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 301 F23J 1/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルード数が0.1〜1.5となるよう
    に混練機を運転しながら、この混練機に、混練機内径に
    対して1/20〜1/3の内径を有する灰供給管を用い
    て燃焼灰を供給するとともに、水を供給し、同時に、燃
    焼灰と水との反応によって混練機内で発生する水蒸気及
    び混練機内の空気を排気することにより、混練機内の圧
    力を−100〜+50mmH2Oに保持しながら、混練処理
    を行うことを特徴とする燃焼灰の混練処理方法。
  2. 【請求項2】 フルード数が1.5〜4となるように加
    湿機を運転しながら、この加湿機に、燃焼灰及び水を供
    給して加湿処理した後、得られた加湿灰を、フルード数
    が0.1〜1.5となるように運転している混練機に移
    送し、同時に、燃焼灰と水との反応によって混練機内で
    発生する水蒸気及び混練機内の空気を排気することによ
    り、混練機内の圧力を−100〜+50mmH2Oに保持し
    ながら、加湿灰の混練処理を行うことを特徴とする燃焼
    灰の混練処理方法。
  3. 【請求項3】 混練処理が、所定時間経過後に燃焼灰及
    び水の供給を停止し、さらに混練処理を行う回分式であ
    る請求項1又は2記載の燃焼灰の混練処理方法。
  4. 【請求項4】 混練処理を、加湿灰を所定時間滞留させ
    ながら連続的に行う請求項2記載の燃焼灰の混練処理方
    法。
  5. 【請求項5】 混練処理物の充填状態が、ペンデュラー
    状態ないしファニキュラーI状態となるように、供給す
    る水の量を調整した後、さらに混練処理を行う請求項
    1、2又は3記載の燃焼灰の混練処理方法。
  6. 【請求項6】 混練処理物の充填状態が、キャピラリー
    状態となるように、供給する水の量を調整した後、さら
    に混練処理を行う請求項1、2又は3記載の燃焼灰の混
    練処理方法。
  7. 【請求項7】 混練機のモーターの電流値が一定となる
    ように、供給する水の量を調整する請求項1〜4のいず
    れかに記載の燃焼灰の混練処理方法。
  8. 【請求項8】 供給する水量の70〜95vol%の水
    を、燃焼灰とともに供給した後、1〜10分間混練処理
    した混練機のモーターの電流値に基づいて水を追加供給
    し、さらに混練処理を行う請求項1〜3、7のいずれか
    に記載の燃焼灰の混練処理方法。
  9. 【請求項9】 供給する水量の70〜95vol%の水
    を、燃焼灰とともに供給した後、混練機内で所定の滞留
    時間が得られる混練物量における混練機のモーターの電
    流値が一定となるように、水の追加供給を連続的に行う
    請求項1、2、4、7のいずれかに記載の燃焼灰の混練
    処理方法
  10. 【請求項10】 燃焼灰及び水を供給して加湿処理を行
    う高速横軸式加湿機及び高速縦軸式加湿機のいずれかか
    らなる加湿機と、加湿処理して得られた加湿灰を混練す
    る加湿機よりも低速で駆動する中速縦軸式混練機と、燃
    焼灰を加湿機に定量供給する燃焼灰定量供給手段と、水
    を加湿機、又は加湿機及び混練機に定量供給する水定量
    供給手段と、混練処理で発生した水蒸気及び空気を混練
    機から排気する排気系統とからなることを特徴とする燃
    焼灰の混練処理装置。
  11. 【請求項11】 混練機が、混練機のモーターの電流値
    に基づいて供給する水の量を調整できる機能を有する混
    練機である請求項10記載の燃焼灰の混練処理装置。
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