JP3253332B2 - レーザ出力測定装置 - Google Patents

レーザ出力測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はレーザ出力測定装置
関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ加工に使用されるレーザ光のパワ
ーセンサには、レーザ光を一旦熱に変換するものとし
て、サーモパイル形センサと、焦電効果素子形センサ
(以下焦電形センサと言う)がある。サーモパイル形セ
ンサは、レーザ光の吸収体の近傍に、例えばBi−Sb
のような熱電対を多数直列に接続して並べ、吸収体の温
度上昇を熱起電力に変換するもので、一般に校正用電源
等と組み合わせて使用されている。焦電形センサは、例
えばLiTaOのような焦電体の結晶の表面にレーザ
光を照射すると、結晶の温度が上昇し、その上下面間に
電圧を発生する(温度変化が無くなると電圧は消滅す
る)ことを利用したもので、この電圧を検出することに
よりレーザ光のパワーを測定するものである。炭酸ガス
レーザ等に都合のよい近赤外線から遠赤外線までの広い
波長帯域に亘り平坦な感度をもっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のサーモパイル形
のパワーセンサは、レーザ光の吸収体や熱電対等の熱容
量の影響で、レーザパワーの変動が緩やかな場合はよい
が、変動が速い場合には応答が遅れ、正確な値が得られ
ないという問題があった。一方、焦電形のパワーセンサ
は、光のパワーの変動に対して応答速度が比較的速く、
パルスレーザのパワーの測定も可能であるが、連続光に
対しては原理的にチョッピング等を行う必要があった。
【0004】この発明は、このような課題に着目して創
案されたもので、レーザ光のパワーを、その変動の小さ
い帯域では、応答速度が遅くてもよいパワーセンサ(例
えば前記のサーモパイル形センサ)によって検出し、変
動の大きい帯域では応答速度の速いパワーセンサ(例え
ば前記の焦電形センサ)等によって検出し、これらの複
数のパワーセンサの出力を適宜合成することにより、レ
ーザ光のパワーをその変動の広い帯域内で瞬時に検出す
ることができ、レーザ出力の調整や出力安定度の計測等
に都合のよいレーザ出力測定装置を提供することを目的
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明のレーザ出力測定装置は、積分球の入射窓
から入射したレーザ光を、この積分球の検出窓に設置し
たパワーセンサで検出 するレーザ出力測定装置におい
て、前記積分球に前記検出窓を2箇所設けて、両検出窓
に、レーザ光の周波数変動に対する応答特性が互いに異
なる2種類のパワーセンサをそれぞれ設置し、レーザ光
の周波数変動に対する前記各パワーセンサ双方の応答領
域を通じて平坦な合成出力を発生するように、両パワー
センサの検出出力を合成する合成回路を備え、前記合成
回路に、前記両パワーセンサのうち検出出力のピーク値
が大きい方のパワーセンサのピーク値を減衰させて、検
出出力のピーク値が小さい方のパワーセンサのピーク値
に合わせるアッテネータ回路と、前記両パワーセンサの
うち、応答するレーザ光の変動周波数が高い方のパワー
センサの低域周波数成分をカットするため、前記アッテ
ネータ回路の出力、または、前記検出出力のピーク値が
小さい方のパワーセンサの出力の低域周波数成分をカッ
トする低域カットフィルタ回路とを設け、前記合成回路
が、前記低域カットフィルタ回路の出力と、応答するレ
ーザ光の変動周波数が低い方のパワーセンサの出力、ま
たは、当該パワーセンサのピーク値を減衰させた場合の
前記アッテネータ回路の出力とを加えて、合成出力を発
生する構成となっている。
【0006】
【実施例】次に、この発明の実施例について図面に基づ
いて説明する。図1はこの発明のレーザ出力測定装置の
実施例の概略説明図で、図示のように積分球1,サーモ
パイル形センサ3,焦電形センサ5,合成回路7等から
構成されている。矢印で示したレーザ光Lは積分球1の
窓から球内に入り完全拡散光となり、上下の窓に設けら
れたサーモパイル形センサ3及び焦電形センサ5により
検出される。すなわち、このレーザ出力測定装置は、窓
(入射窓)から入射したレーザ光Lを球内で完全拡散光
にする積分球1の上下に、窓(検出窓)を2箇所設け
て、両検出窓にサーモパイル形センサ3および焦電形セ
ンサ5をそれぞれ設置するとともに、サーモパイル形セ
ンサ3の出力および焦電形センサ5の出力を合成する合
成回路7を備えたものである。
【0007】サーモパイル形センサ3で検出されるレー
ザパワーは、図2に実線で示すように、レーザ光の変動
周波数の小さい帯域では、レーザパワーに対応した平坦
な値になるが、変動周波数が大きくなるにつれ応答が遅
れ、低下するようになる。焦電形センサ5で検出される
レーザパワーは、同図に点線で示すように、レーザ光の
変動周波数の小さい帯域では、出力の変化が大きく、変
動周波数が大きくなるとレーザパワーに対応した平坦な
値になる。すなわち、サーモパイル形センサ3および焦
電形センサ5は、いずれもレーザ光のパワーを検出する
パワーセンサであって、レーザ光の周波数変動に対する
応答特性が互いに異なるものである。
【0008】従って、サーモパイル形センサ3及び焦電
形センサ5で検出されたレーザパワーは単に加えると、
加えられたレーザパワーはレーザ光の変動周波数に対応
して大きく変わり、そのままでは用をなさないので、合
成回路7において整形合成して平坦な出力にされる。例
えば図2では、焦電形センサの出力のピークがサーモパ
イル形センサの出力のピークより高いので、焦電形セン
サ側にアッテネータ回路を挿入し、ピーク値を下げサー
モパイル形センサのピーク値に合わせる。更に、両セン
サの重複部を平坦にするために、焦電形センサ側にその
低域側出力を除去するフィルタ回路を挿入すると、両セ
ンサの合成出力は図3の曲線pのように殆ど平坦にな
る。前記のアッテネータ回路や、フィルタ回路の特性は
幾つかの異なる出力に対する前記のp曲線を求め、これ
らを勘案して決定される。すなわち、合成回路7は、レ
ーザ光の周波数変動に対する応答特性が図2に実線で示
すようなサーモパイル形センサ3で検出されたレーザパ
ワーと、レーザ光の周波数変動に対する応答特性が図2
に点線で示すような焦電形センサ5で検出されたレーザ
パワーとを加えたとき、その合成出力が図3の曲線pで
示すようにセンサ3,5双方の応答領域を通じて殆ど平
坦になるように、アッテネータ回路および低域側出力を
除去するフィルタ回路を用いて整形合成するものであ
る。このような整形合成をアッテネータ回路および低域
カットフィルタ回路を用いて行うには、当然のこととし
て理解されるように、まず、例えば図2に示すように、
焦電形センサの出力のピーク値がサーモパイル形センサ
の出力のピーク値より高い場合は、焦電形センサの出力
をアッテネータ回路を用いて減衰させてピーク値を下
げ、サーモパイル形センサのピーク値に合わせる。つぎ
に、このようにして得られたアッテネータ回路の出力
と、サーモパイル形センサの出力とを単に加えると、こ
もまた当然のこととして理解されるように、両センサ
の応答領域の重複部が平坦にならないから、これを平坦
にするため、応答するレーザ光の変動周波数がサーモパ
イル形センサより高い焦電形センサの出力(この場合は
アッテネータ回路の出力)の低域周波数成分を、低域カ
ットフィルタ回路を用いてカットする。このようにして
得られた低域カットフィルタ回路の出力(この場合は、
焦電形センサの出力がアッテネータ回路で減衰され、さ
らに低域カットフィルタ回路で低域周波数成分をカット
された出力)と、サーモパイル形センサの出力とを加え
ることで、両センサの合成出力は図3の曲線pのように
殆ど平坦になることが理解される。
【0009】
【発明の効果】この発明は以上のように、積分球の入射
窓から入射したレーザ光を、この積分球の検出窓に設置
したパワーセンサで検出するレーザ出力測定装置におい
て、前記積分球に前記検出窓を2箇所設けて、両検出窓
に、レーザ光の周波数変動に対する応答特性が互いに異
なる2種類のパワーセンサをそれぞれ設置し、レーザ光
の周波数変動に対する前記各パワーセンサ双方の応答領
域を通じて平坦な合成出力を発生するように、両パワー
センサの検出出力を合成する合成回路を備え、前記合成
回路に、前記両パワーセンサのうち検出出力のピーク値
が大きい方のパワーセンサのピーク値を減衰させて、検
出出力のピーク値が小さい方のパワーセンサのピーク値
に合わせるアッテネータ回路と、前記両パワーセンサの
うち、応答するレーザ光の変動周波数が高い方のパワー
センサの低域周波数成分をカットするため、前記アッテ
ネータ回路の出力、または、前記検出出力のピーク値が
小さい方のパワーセンサの出力の低域周波数成分をカッ
トする低域カットフィルタ回路とを設け、前記合成回路
が、前記低域カットフィルタ回路の出力と、応答するレ
ーザ光の変動周波数が低い方のパワーセンサの出力、ま
たは、当該パワーセンサのピーク値を減衰させた場合の
前記アッテネータ回路の出力とを加えて、合成出力を発
生するように構成したので、レーザ光のパワーを周波数
変動の広い範囲において一様に検出することができ、そ
れにより、レーザパワーの瞬時の測定を必要とするレー
ザ出力の調整や出力安定度の計測等に用いて好適である
という効 果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のレーザ出力測定装置の実施例の概略
説明図である。
【図2】レーザパワーの変動周波数に対するサーモパイ
ル形センサ(実線)及び焦電形センサ(点線)の出力を
示す線図である。
【図3】レーザパワーの変動周波数に対するサーモパイ
ル形センサと焦電形センサの整形後の合成出力を示す線
図である。
【符号の説明】
1 積分球 3 サーモパイル形センサ 5 焦電形センサ 7 合成回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01J 1/02 G01J 1/42 G01M 11/00 B23K 26/00 H01S 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積分球の入射窓から入射したレーザ光
    を、この積分球の検出窓に設置したパワーセンサで検出
    するレーザ出力測定装置において、 前記積分球に前記検出窓を2箇所設けて、両検出窓に、
    レーザ光の周波数変動に対する応答特性が互いに異なる
    2種類のパワーセンサをそれぞれ設置し、 レーザ光の周波数変動に対する前記各パワーセンサ双方
    の応答領域を通じて平坦な合成出力を発生するように、
    両パワーセンサの検出出力を合成する合成回路を備え、 前記合成回路に、前記両パワーセンサのうち検出出力の
    ピーク値が大きい方のパワーセンサのピーク値を減衰さ
    せて、検出出力のピーク値が小さい方のパワーセンサの
    ピーク値に合わせるアッテネータ回路と、 前記両パワーセンサのうち、応答するレーザ光の変動周
    波数が高い方のパワーセンサの低域周波数成分をカット
    するため、前記アッテネータ回路の出力、または、前記
    検出出力のピーク値が小さい方のパワーセンサの出力の
    低域周波数成分をカットする低域カットフィルタ回路と
    を設け、 前記合成回路が、前記低域カットフィルタ回路の出力
    と、応答するレーザ光の変動周波数が低い方のパワーセ
    ンサの出力、または、当該パワーセンサのピーク値を減
    衰させた場合の前記アッテネータ回路の出力とを加え
    て、合成出力を発生することを特徴とするレーザ出力測
    定装置。
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