JP3253188B2 - 膝関節用埋込補綴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、脛骨の関節面を代替す
るための膝関節用埋込補綴に関し、特に、骨の上に固定
されかつ上部ベアリング面を有するベアリング部と、こ
のベアリング部に固定されて代替すべき関節面を形成す
る皿部とを備えた補綴に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】皿部
が、膝の屈曲時に生ずる回転運動に追随できるようにす
るため、この皿部をベアリング部のベアリング面上で、
関節の垂直軸を中心として回転可能にしたものが知られ
ている。公知の補綴（US-A 42 19 893参照）において
は、ベアリング部に対する皿部のセンタリング及び固定
は、皿部から下方に突出した中央ジャーナルによってな
される。皿部上に設けられたこの中央ジャーナルは、ベ
アリング部内の対応ボアの中へ通される。しかし、この
方法では、皿部の横方向へのガイド力は、関節面の平面
とは実質的に異なる平面に加えられることになるという
不具合がある。さらに、皿部に設けられたガイド状態を
有する上記ジャーナルは、かなりの強度を持たすべく設
計しなければならない。すなわち、一般にプラスティッ
クで構成される皿部の安定性の限界を考慮に入れて設計
しなければならない。このため、ベアリング部に上記ジ
ャーナルに対応した大きさのホールジャーナルを設ける
ことが必要となる。そして、そのジャーナルは、さら
に、回転の中心に対して同軸に設けられなければならな
いが、これは同様に、好ましからざるものである。ま
た、別の問題点としては、脱臼の危険性をも考慮しなけ
ればならないということが挙げられる。すなわち、皿部
と、ベアリング部のベアリング面との間に挿入時に、十
分な間隔がとれるように、皿部のジャーナルをかなり長
くする必要がある。しかし、膝の靭帯が実質的に無傷で
残っている場合には、この間隔はとれない。さらに付け
加えると、脱臼を防ぐ予防手段を、設計上設けることは
非常に困難なことである。

【０００３】公知である他の補綴の例（EP-A 186 471参
照）によると、ジャーナルは、脛骨ベアリング部から突
出し、皿部のボアと係合するようにされている。手術の
際に必要とされる皿部とベアリング面との間隔に関して
言えば、この補綴も、上述した補綴と同じ問題を有して
いる。皿部を挿入した後に、ピンを用いてこの皿部をベ
アリング部へ接続する（WO 92/08424, EP-A 472 475, F
R-A 2 663 536参照）ことは、これらの補綴に対して広
く行われていることである。その中の補綴の一例（US-A
4 822 366参照）によれば、ピンとしてスタッドが用い
られている。このスタッドは、皿部のボアを貫通するも
のであって、皿部の上に位置する大きな頭部を備え、脛
骨ベアリング部に、その下部に形成したねじ部で、固定
されるようになっている。このとき、ストップエレメン
トがスタッドのねじ部を所定位置に固定する。靭帯に傷
をつけることなく、また膝関節部の長手方向への間隔を
実質上あけずに、いかに補綴を移植するかについては、
これら公知の補綴からは推論することはできない。

【０００４】

【発明の開示】公知の補綴の問題点は、本発明によって
解決することができる。すなわち、ジャーナルは、ベア
リング部のベアリング面から突出し、皿部を横方向移動
不可に支持し、さらに、皿部内のボアと協働する。ボア
には、フランジが形成されている。フランジは、取り外
し可能なカラーと協働し、該カラーがジャーナルの上部
と接してジャーナルの動きを制限し、脱臼を防止する。

【０００５】本発明の利点は、非常に単純な構造にあ
る。皿部に加わる横方向へのガイド力は、関節面が位置
する面とほぼ同一の面上で作用する。これは、脱臼を防
止する手段が講じられ、ジャーナルが非常に低い位置に
保持され得るためであり、これによって、靭帯を保持し
たまま、ベアリング部と大腿部顆との間に皿部を容易に
押し込むことができる。皿部は、ジャーナルの周りに位
置するまで押し込まれる。ジャーナルの位置が低いの
で、皿部のサドル状の相互顆の中に容易に入れることが
でき、また、直径の大きさの制限はない。

【０００６】ジャーナルの上にカラーを固定するため
に、カラーは固定部の上に設けられる。この固定部は、
ボアを備える外側部によって、ベアリング部の突出部と
共に連結される。この外側部の中には、内側部であるも
う一つ別の部分が挿入される。固定手段が、これら二つ
の部分の間に用いられる。外側部は、カラー側に設計す
るのが好ましいが、これと逆であってもよい。

【０００７】さらに、本発明によれば、固定手段として
ピンが用いられる。このピンは、内側部の中に保持され
ており、固定位置では、内側部の径方向外側へ突出して
外側部内の凹部の中に入る。この構成は、ピンが外側部
によってその位置に固定され、時間の経過によってずれ
てしまうということがないので有益である。このピンが
ネジである場合には、さらに好ましいものとなる。この
場合、外側部には、ネジの首部分を受け入れるためのボ
アが備えられる必要があり、その直径は、その首部分と
接するネジの部分の直径よりも小さくされる。これによ
り、ネジが外側へ完全に抜け出ることがなくなる。

【０００８】外側部がカラーに設けられた場合、本発明
に基づくネジの長さは、内側部の直径の長さよりも長く
される。そして、外側部には、内側部の周面から突出す
るネジの一部分を受け入れるための溝が設けられる。こ
の溝は、軸と平行に形成される。ネジの端縁と溝は協働
して角度位置合わせを行うのに利用し、外側部に設けら
れる器具挿入用開口の位置をネジの頭部が置かれる位置
とぴったりと確実一致させる。

【実施例】

【０００９】以下に、本発明の好適な実施例を図１〜４
を用いて詳細に説明する。インブラント（移植するも
の）は、主たる構成材料として、上部が平らなベアリン
グ面２となったベアリング部１と、このベアリング面２
の上に平らな下部面が接する皿部３とを備えている。ベ
アリング部１は金属製であり、皿部３はポリエチレンで
形成されている。

【００１０】皿部３は関節面４を有しており、この関節
面４には盛り上がったサドル状部５が形成されている。
ジャーナル機構は、このサドル状部５の内部に収められ
る。このジャーナル機構は、かつ垂直軸７を中心とする
円筒形をした内側部すなわち突出部６と、ベアリング部
１と一部材として一体に接続され、その上に取り付けら
れかつネジ９によって固定されるキャップ８で構成して
いる。このキャップ８には、挿入器具のフィンガが係合
する二つの穴１０が設けられている。

【００１１】キャップ８の中空円筒部の周面１１は、皿
部３のフランジ１３内のボア１２にぴったりと嵌まる。
円筒部の周面１１の上端は、カラー１４の下側と接す
る。円筒部の上部にはカラー１４が形成されている。カ
ラーの下部面は、フランジ１３の上に着座する。キャッ
プ８は、ボア１２と協働して、皿部３の回転をガイドす
る。カラー１４とフランジ１３とは、協働して、皿部３
のはずれ防止手段を構成している。

【００１２】キャップ８の中空円筒部は、ベアリング部
１の突出部６にぴったりと嵌まる。これらの部分は、本
明細書において内側部および外側部と呼ぶエレメントを
構成する。

【００１３】内側部６には、ネジ９を受け入れるための
ネジ穴１６が設けられている。外側部１５には、これと
対応する位置に、ネジ９の頭部１８を受け入れるための
ボア１７が設けられる。図４に示すようにネジ９が端位
置にあるとき、すなわち頭部１８がボア１７内にあると
きに、そのジャーナル機構はその機能を果たしている機
能位置に固定される。組み立て時にネジ９をこの機能位
置に位置させるため、また、取り外し時にネジ９をこの
機能位置から取り除くために、皿部３には、ボア１７と
通じるボア２１が設けられており、ネジ９の頭部１８の
例えば、ネジ・スロットと係合するネジ回しを挿入する
ことができるようにしている。

【００１４】図３には、キャップ８が取り付けられると
き、および取り外されるときのネジの他端位置が示され
ている。この状態においては、ネジ９の先端部１９は、
内側部６の周面から突出する。この先端部１９は、外側
部１５内に形成した軸方向の溝２０と協働する。ネジ９
の長さは、内側部６の直径よりも長くされているので、
ネジ９の頭部１もしくは先端部１９のいずれか一方が、
常に、内側部６の周面を越えて突出することになる。

【００１５】先端部１９と溝２０とが協働することによ
り、外側部１５のボア１７とネジ９が確実に一致するの
で、組み立てが容易になる。したがって、また、ネジ２
を緩めて戻すときに、頭部１８が確実にボア１７の中に
入り込む。ネジが緩められて戻された場合には、図示す
るネジ頭部１８に隣接する厚みのあるネジ部分は、ボア
１７の端縁に当接する。医師は、これに対応する抵抗を
感知し、所望の固定状態に達したことを確信できるので
ある。

【００１６】一方、ネジ頭部１８が内側部６の内部に入
ってなければ、キャップ８を内側部６に嵌合させること
はできない。すなわち、ネジの長さを適切な長さにする
ことによって、ネジの先端部１９が内側部から突出し、
溝２０と協働してキャップをガイドできるのである。さ
らに、ネジ９およびネジを受け入れるボア１６には、協
働するストップエレメント２２が形成されている。これ
は、先端部１９が図示されるよりもさらに内側部６から
突出しないようにするためである。このようにしておか
ないと、医師は、ネジが適切な位置に到達したか否かが
分からなくなる。

【００１７】ベアリング部１を挿入した後に、皿部３
が、そのベアリング部の上に押しつけられる。この後、
キャップ８が挿入される。このとき、先端部１９と溝２
０との位置合わせがされる。続いて、ネジ回しがボア２
１，１７に通される。そして、ネジは、ストップエレメ
ントが固定位置に至るまで送られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る膝関節用埋込補綴の平
面図。

【図２】図１の断面図。

【図３】図１，２に示した補綴のジャーナルを示す水平
断面図。

【図４】図３の垂直断面図。

【符号の説明】

１ ベアリング部 ２ ベアリ
ング面 ３ 皿部 ４ 関節面 ５ サドル状部 ６ 内側部 ７ 垂直軸 ８ キャッ
プ ９ ネジ １０ 穴 １１ キャップ周面 １２ ボア １３ フランジ １４ カラ
ー １５ 外側部 １６ ネジ
穴 １７ ボア １８ ネジ
頭部 １９ ネジ先端部 ２０ 溝 ２１ ボア ２２ スト
ップエレメント

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61F 2/38 ＷＰＩ（ＤＩＡＬＯＧ)

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 骨の上に固定され、上部ベアリング面
   （２）を備えるベアリング部（１）と、該ベアリング部
   の上に固定され該ベアリング面（２）上でジャーナルを
   中心として回転可能な皿部（３）とを備える、脛骨の関
   節面に代替する膝関節用埋込補綴であって、 上記ベアリング面（２）から突出する上記ジャーナル
   （６，１５）が、上記皿部（３）に形成したボア（１
   ２）と協働し、該ボアは、取り外し可能なカラー（１
   ４）と協働するフランジ（１３）によって規定され、該
   カラーは上記ジャーナルの上部を押さえ、該ジャーナル
   は、上記ベアリング部（１）から突出する突出部と、上
   記カラー（１４）に設けられる固定部とを備え、該固定
   部は、当該二つの部分の内の一方であり且つ内部ボアを
   備える外側部（１５）であり、上記突出部は、該内部ボ
   アの中へ挿入することが可能なもう一方の部分である内
   側部（６）であり、該外側部と該内側部は、該内側部
   （６）内に保持されるピンが、該内側部から、上記外側
   部に形成した凹部内へ突出する固定位置に存するかたち
   で、互いに連結可能であることを特徴とする膝関節用埋
   込補綴。
2. 【請求項２】 上記ピンがネジ（９）であり、上記外側
   部（１５）に形成した上記凹部が、ネジの頭部（１８）
   を受け入れるためのボア（１７）であり、該ネジの頭部
   の直径は、該ネジの頭部（１８）と接する該ネジの部分
   の直径よりも小さいことを特徴とする請求項１記載の膝
   関節用埋込補綴。
3. 【請求項３】 上記外側部（１５）は、上記カラー（１
   ４）に設けられ、軸平行な溝（２０）を備え、該溝が、
   上記内側部（６）の周面を越えて突出する上記ネジ
   （９）の一部分（１９）を受け入れることを特徴とする
   請求項２記載の膝関節用埋込補綴。
4. 【請求項４】 上記ネジ（９）の長さが、上記内側部
   （６）の直径よりも長いことを特徴とする請求項３記載
   の膝関節用埋込補綴。
5. 【請求項５】 上記内側部（６）は、上記ネジ（９）を
   受け容れるネジ穴（１６）を有しており、上記ネジ
   （９）および該ネジ穴（１６）が、該ネジのセット位置
   を固定するストップ手段（２２）を備えることを特徴と
   する請求項１〜４記載の膝関節用埋込補綴。