JP3252301B2 - 高Crまたは高Cr−Ni合金用スケール除去用組成物 - Google Patents
高Crまたは高Cr−Ni合金用スケール除去用組成物Info
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Description
有Ni基合金などの高Cr合金、または10%以上のC
rを含有する高Cr−Ni合金を熱処理した際に生ずる
難デスケール性スケールの除去に適したスケール除去用
組成物に関するものである。
もしくは合金材は製造工程において熱間圧延、焼鈍など
の熱処理に晒されるため、表面にFe、Crなどの酸化
物からなるスケールが発生する。このようなスケールを
完全に除去しないと良好な表面品質の製品が得られない
ため、熱処理の都度、長時間のショットブラスト、酸洗
によりスケール除去処理が施される。
のような二相ステンレス鋼あるいは25Cr−20Ni
(SUS310)のような高Cr−Niの完全オーステ
ナイト鋼や、20Cr−40Ni−含有Mo(NCF8
25)などの耐食・耐熱合金では、非常に緻密なスケー
ルができたり、また、熱処理温度が高いためスケール厚
が厚くなる傾向がある。同じことはインコロイ800や
20Cr−5Al、30Cr−2Moなどの高Cr鋼に
ついてもいえる。
や酸洗によるスケール除去処理では除去することが非常
に困難であり、たとえば通常使用する酸(2%HFと1
0%HNO3 の混合水溶液)では液温60℃で上記NC
F825合金の厚板を酸洗する際に4分以上の処理時間
を必要とする(通常のスケールでは、4分以下)。この
ため、場合によっては、これらの工程の後さらにグライ
ンダーによる研削処理を行わなければならない。
Al2 O3 −CaO系のような耐火物からなる酸化防止
剤を使用して熱処理中のスケール生成量を減らす試みも
なされている。しかしながら、この方法では圧延中にこ
の酸化防止剤が押し込み疵や酸洗むらを招くなど、却っ
て好ましくない現象も見られる。
るスケール除去用組成物も提案されている(特公平2−
263987号公報参照)。しかし、この組成物は10
00℃以下の熱処理ではスケール除去効果を発揮するも
のの、1000℃以上の熱処理温度では反応性が高すぎ
てスケールだけでなく鋼材生地をも侵食するという問題
があり、またそのため1000℃以上で熱処理した場
合、冷却時の塗膜の剥離性も劣る嫌いがある。
のであって、その目的は、ステンレス鋼、Cr含有Ni
基合金などの高Cr合金、または10%以上のCrを含
有する高Cr−Ni合金を熱処理した際に生ずる難デス
ケール性スケールの除去において、熱処理温度が100
0℃以上であっても支障なくスケールを除去でき、しか
も酸洗時間が短くてすむスケール除去用組成物を提供す
るにある。
は高Cr−Ni合金用スケール除去用組成物は、上記課
題を解決すべく工夫されたもので、(a) 1000℃以下
の軟化点を有するガラス、硼酸および硼砂よりなる群か
ら選んだ少なくとも1つのフラックス成分を25〜9
4.5重量%、(b) ハロゲン含有化合物からなるスケー
ル攻撃成分を0.5〜50重量%、(c) SiO2 、Al
2 O3 、Cr2 O3 、ZrO2 およびTiO2 、ならび
に、これら酸化物の少なくとも1つを主成分とする鉱
物、ならびに炭化珪素および窒化珪素よりなる群から選
ばれた少なくとも1つの耐火性充填剤成分を5〜70重
量%含むことを特徴とするものである。
10%以上のCrを含有する高Cr合金または高Cr−
Ni合金のスケール付き鋼材ないしは合金材(これらを
「被処理材」という)に、本発明によるスケール除去用
組成物を熱処理前に塗布した後、該被処理材を1000
℃以上で熱処理し、ついで冷却し、さらに酸洗すること
を特徴とするものである。
5.5Ni−3Mo−N、25Cr−7Ni−3.2M
o−N、25Cr−6Ni−含Moのような二相ステン
レス鋼あるいは25Cr−20Ni(SUS310)の
ような完全オーステナイト鋼や、20Cr−40Ni−
含有Mo(NCF825)などの耐食・耐熱合金が例示
される。
0Cr−5Al、30Cr−2Moなどが例示される。
間圧延工程で生成したスケール上にこれを塗布した後、
被処理材を熱処理することによって、次のように作用す
る。
剤中のフラックス成分はガラス質の塗膜を形成し、スケ
ールと反応してスケールを塗膜中に吸収させる。
により溶融または分解し、スケールを塗膜中に吸収しや
すい形に変化させる。
分に溶融することにより、塗膜粘度の急激な低下を抑制
し、さらに被処理材と塗膜との過剰な反応(スケール
化)も抑制する。
とにより、熱処理後、被処理材の冷却の際に塗膜の剥離
性が向上する。
形成するガラス状の塗膜が大気中の酸素を遮断し、熱処
理中の新たな酸化を防止する。
ケールはガラス質塗膜ごと剥離され、さらに酸洗工程で
スケールは完全に除去される。
明する。
下の軟化点を有するガラス、硼砂、硼酸よりなる群から
選んだものである。
B2 O3 、P2 O5 、Al2 O3 、Fe2 O3 、Ca
O、MgO、BaO、Li2 O、Na2 O、K2 O、T
iO2、ZrO2 、PbO、ZnOなどの酸化物成分を
含む珪酸塩ガラス、ほう珪酸塩ガラス、アルミノ珪酸ガ
ラスなどが挙げられ、これらが単独でもしくは2以上の
組み合わせで使用される。また、本発明においては、少
なくとも1000℃以上の融点を有する結晶を含む結晶
化ガラス、または熱処理中にそれらの結晶を析出させる
ガラスが好適に使用される。これは、ガラス中に含まれ
る結晶により耐火性充填剤と同様に塗膜の溶融性、反応
性などをコントロールできるからである。このような1
000℃以上の融点を有する結晶の代表例を表1に挙げ
る。
り高い場合には、熱処理中の被処理材表面の塗膜がガラ
ス質の被覆層を形成しにくくなり、スケールとの反応性
が低下する。
重量%であり、より好ましくは40〜80重量%であ
る。フラックス成分の含有量が25重量%より少ない場
合には、熱処理中の被処理材の表面にガラス質の塗膜を
充分形成できなくなり、スケールとの反応性が低下す
る。また、フラックス成分の含有量が94.5重量%よ
り多い場合にはフラックス成分が被処理材と過剰に反応
し、スケール層ばかりでなくその下の被処理材表面をも
浸蝕するため、冷却時の塗膜の剥離性が低下してしま
う。
合物からなるものである。これは、前述の如く熱やフラ
ックスにより溶融もしくは分解し、被処理材表面のスケ
ールを攻撃してスケール層を脆弱化することにより、フ
ラックス成分とスケールを反応しやすくするものであ
る。
NaCl、KCl、MgCl2 、CaCl2 、BaCl
2 、KBr、NaF、KF、AlF3 、K2 SiF6 、
KBF4 、Na3 AlF3 などが単独でもしくは2以上
の組み合わせで使用される。スケール攻撃成分の含有量
は0.5〜50重量%であり、より好ましくは1〜10
重量%割合である。スケール攻撃剤の含有量が0.5重
量%未満であると、充分なスケール攻撃能が発揮され
ず、また逆にこの含有量が50重量%以上であると、ス
ケール層ばかりでなく、その下の被処理材表面も侵食さ
れてしまう。
2 O3 、Cr2 O3 、ZrO2 およびTiO2 、ならび
に、これら酸化物の少なくとも1つを主成分とする鉱
物、ならびに炭化珪素および窒化珪素よりなる群から選
ばれたものである。
る鉱物は、例えばムライト、コーディエライト、長石、
ジルコン、ウォラステナイト、アノルサイトなどの珪酸
塩、アルミノ珪酸塩などである。
化珪素はSi3 N4 などである。
ラックス成分に溶融することにより、塗膜粘度の急激な
低下を抑制し、さらに被処理材と塗膜との過剰な反応
(スケール化)も抑制させるものであり、また、これら
が塗料中に含まれることにより、熱処理後、被処理材の
冷却の際に塗膜の剥離性を向上させるものである。
あり、より好ましくは20〜60重量%である。耐火性
充填剤の含有量が5重量%より少ないと、塗膜粘度の急
激な低下を抑制できなくなり、さらには冷却時の剥離性
が低下する。また、この含有量が70重量%より多い
と、熱処理時に塗膜全体が溶融し難くなり、塗膜とスケ
ールとの反応が阻害される。
常、塗料の形態で被処理材表面に塗布せられる。そのた
め、塗膜に強度が必要とされる場合は、前述の3つの成
分の他にCMC、ポリビニルアルコール、アクリル系樹
脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル系樹
脂などを適量の水や溶剤と共に加えることもある。
範囲で、水ガラス、コロイダルシリカ、第1燐酸アルミ
ニウムなどの無機バインダーを適量の水と共に加えて使
用してもよい。さらに、塗料の作業性改善の目的で、消
泡剤、分散剤、増粘剤などの各種添加剤を加えてもよ
い。
したスケールを有する被処理材に、本発明のスケール除
去用組成物を塗布して熱処理することにより、被処理材
冷却時にスケールをほとんど塗膜と共に被処理材から剥
離させ、さらに酸洗により迅速かつ完全にスケールを除
去することができる。
っても支障なくスケールを除去することができ、しかも
酸洗時間が短くてすむ。
証する。
2およびガラス−3)を使用し、表3および表4に示す
配合物を適量のアクリルエマルジョンと水を加えて塗料
化した。
iO2 (ルチル)の結晶化ガラス。
付いている)に上記配合物を含む塗料を塗布し、乾燥後
熱処理を行い、その後、2%HFと10%HNO3 の酸
水溶液で60℃で4分間被処理材を酸洗し、スケール除
去性を調べた。
に除去できたものを○印、半分以上残っているものを×
印でそれぞれ表5に示した。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N、SUS3
10S、25Cr−7Ni−3.2Mo−N、NCF8
25の4種)にスプレーにて約300μm塗布し乾燥し
た後、被処理材を1100℃で30分加熱した。熱処理
後冷却したのち被処理材表面を観察すると、いずれの被
処理材もスケールは塗膜ごと剥離しており、若干の2次
スケールができていた。さらに酸洗を行うと、2次スケ
ールもなくなり、良好な表面品質の被処理材が得られ
た。
処理材(インコロイ800、22Cr−5.5Ni−3
Mo−N、20Cr−5Al、30Cr−2Moの4
種)に刷毛塗りにて200〜300μm塗布し乾燥した
後、被処理材を1100℃で1時間加熱した。熱処理後
水冷したのち被処理材表面を観察すると、いずれの被処
理材もスケールは塗膜ごと剥離しており、若干の2次ス
ケールができていた。さらに酸洗を行うと、2次スケー
ルもなくなり、良好な表面品質の被処理材が得られた。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)に刷毛塗
りにて100〜200μm塗布し乾燥した後、被処理材
を1050℃で30分加熱した。熱処理後、そのまま大
気中で冷却したのち被処理材表面を観察すると、スケー
ルは塗膜ごとほとんど剥離しており、さらに酸洗を行う
と、良好な表面品質の被処理材が得られた。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)に刷毛塗
りにて100〜200μm塗布し乾燥した後、被処理材
を1050℃で30分加熱した。熱処理後、高圧水で冷
却したのち被処理材表面を観察すると、スケールは塗膜
ごとほとんど剥離しており、若干の2次スケールができ
ていた。さらに酸洗を行うと、2次スケールもなくなり
良好な表面品質の被処理材が得られた。
o−N、SUS310S、22Cr−5.5Ni−3M
o−Nの3種)を1100℃で30分加熱した。熱処理
後、高圧水で冷却したのち被処理材表面を観察すると、
いずれの被処理材もスケールは熱処理前とほとんど変わ
らずそのまま残留しており、酸洗してもほとんど除去で
きなかった。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)に刷毛塗
りにて100〜200μm塗布し乾燥した後、被処理材
を1100℃で30分加熱した。熱処理後、水冷したの
ち被処理材表面を観察すると、塗膜がほとんど残留して
おり、酸洗を行っても除去できなかった。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)にスプレ
ーにて約200μm塗布し乾燥した後、被処理材を11
00℃で30分加熱した。熱処理後、水冷したのち被処
理材表面を観察すると、塗膜はかなり剥離しているが、
スケールはほとんど残留していた。酸洗を行うと、塗膜
はほとんど除去できたが、スケールはそのまま残った。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)にスプレ
ーにて約200μm塗布し乾燥した後、被処理材を11
00℃で30分加熱した。熱処理後水冷したのち被処理
材表面を観察すると、塗膜の大部分はスケール化して剥
離せず、さらに酸洗を行っても除去できなかった。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)にスプレ
ーにて約200μm塗布し乾燥した後、被処理材を11
00℃で30分加熱した。熱処理後水冷したのち被処理
材表面を観察すると、塗膜の大部分は剥離せず、さらに
酸洗を行っても一部しか除去できなかった。また、スケ
ールは、塗膜が除去された部分でもほとんどとれていな
かった。
処理材(22Cr−5.5Ni−3Mo−N)にスプレ
ーにて約200μm塗布し乾燥した後、被処理材を11
00℃で30分加熱した。熱処理後水冷したのち被処理
材表面を観察すると、塗膜の大部分はスケール化して剥
離せず、さらに酸洗を行っても一部しか除去できなかっ
た。
Claims (2)
- 【請求項1】(a) 1000℃以下の軟化点を有するガラ
ス、硼酸および硼砂よりなる群から選んだ少なくとも1
つのフラックス成分を25〜94.5重量%、 (b) ハロゲン含有化合物からなるスケール攻撃成分を
0.5〜50重量%、 (c) SiO2 、Al2 O3 、Cr2 O3 、ZrO2 およ
びTiO2 、ならびに、これら酸化物の少なくとも1つ
を主成分とする鉱物、ならびに炭化珪素および窒化珪素
よりなる群から選ばれた少なくとも1つの耐火性充填剤
成分を5〜70重量%含むことを特徴とする、高Crま
たは高Cr−Ni合金用スケール除去用組成物。 - 【請求項2】10%以上のCrを含有する高Cr合金ま
たは高Cr−Ni合金のスケール付き被処理材に、請求
項1項記載のスケール除去用組成物を熱処理前に塗布し
た後、該被処理材を1000℃以上で熱処理し、ついで
冷却し、さらに酸洗することを特徴とするスケール除去
方法。
Priority Applications (1)
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JP03350593A JP3252301B2 (ja) | 1993-02-23 | 1993-02-23 | 高Crまたは高Cr−Ni合金用スケール除去用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06248474A JPH06248474A (ja) | 1994-09-06 |
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ID=12388409
Family Applications (1)
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JP03350593A Expired - Lifetime JP3252301B2 (ja) | 1993-02-23 | 1993-02-23 | 高Crまたは高Cr−Ni合金用スケール除去用組成物 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3252301B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102418110A (zh) * | 2010-09-26 | 2012-04-18 | 通用电气公司 | 去除氧化物的方法 |
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JP5854632B2 (ja) * | 2011-05-10 | 2016-02-09 | 三菱電機株式会社 | スケールの除去方法 |
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-
1993
- 1993-02-23 JP JP03350593A patent/JP3252301B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
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CN102418110A (zh) * | 2010-09-26 | 2012-04-18 | 通用电气公司 | 去除氧化物的方法 |
CN102418110B (zh) * | 2010-09-26 | 2015-06-10 | 通用电气公司 | 去除氧化物的方法 |
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