JP3250045B2 - 耐圧力コンクリート壁構造およびその施工方法 - Google Patents

耐圧力コンクリート壁構造およびその施工方法

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JP3250045B2 JP20576692A JP20576692A JP3250045B2 JP 3250045 B2 JP3250045 B2 JP 3250045B2 JP 20576692 A JP20576692 A JP 20576692A JP 20576692 A JP20576692 A JP 20576692A JP 3250045 B2 JP3250045 B2 JP 3250045B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば水力発電所、ダ
ムのバイパス、あるいは工業用水路等に用いられる導水
路トンネル、天然ガスその他の圧縮気体、あるいは液体
等の地下備蓄用構造物など大きな作用内圧力が負荷され
るコンクリート壁の構造およびその施工方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、上記の構造物におけるコンクリ
ート壁の施工方法としては、例えば導水路トンネルの施
工方法がある。この場合には、その断面形状やその大き
さ、作用内水圧の大きさ、土被り深さ、地下水位の高
さ、トンネル周辺岩盤の力学的および水理学的特性、地
形条件、および社会的環境条件等により、無筋コンクリ
ート覆工、鉄筋コンクリート覆工、内張鋼管・鉄筋コン
クリート覆工等を選択することによって施工がなされて
いる。また、条件によっては、無巻トンネル、吹き付け
コンクリート覆工等のきわめて簡単なもの、あるいは、
コンタクトグラウトと高い圧力によるプレストレスを期
待したコンソリデーショングラウトを併用したものもあ
る。さらに、より高い圧力部分では、比較的部材厚の大
きい内張鋼管を布設し、配筋を行なって、コンクリート
を充填する施工方法も採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
コンクリート壁の施工方法においては次のような問題が
あった。 無筋コンクリート覆工 (1)力学的安定性および水理学的条件に限界があるた
め、限定された条件下においてしか採用することができ
ない。 (2)断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性の高い地盤
などにおいては採用することができない。もしも、この
ようなところで採用しようとすると、覆工厚が大きくな
り、場合によっては、地盤強化、止水効果を得るための
注入工などを施工する必要が生じ、コスト高となる。こ
の工法は、地質あるいは条件変化に柔軟に対応すること
ができないため、さらに不経済となる欠点を有してい
る。 (3)トンネル周辺地盤が持つ、掘削に伴う応力開放に
よる強度低下の後の残された内水圧に対する地盤の受動
力が、その破壊に伴う不連続性などから、充分な効果が
発揮されず、過大と考えられる覆工となってしまう。 (4)変化する地質によっては充分に対応することがで
きず、コンクリート覆工にクラックが生じた場合には止
水性がなくなり、また、その地質、地形あるいは土被り
条件によっては湧水問題に発展するおそれがある。
【0004】鉄筋コンクリート覆工 (1)狭い坑内での鉄筋の加工、組立て作業は難しく、
かなりの時間とコストが必要となるとともに、このため
の人員を確保することも難しくなる。 (2)地質の変化に対してある程度の対応はできるが充
分ではなく、鉄筋(配筋量)を多くすることによって対
応できる範囲までしか対応することができない。 (3)覆工厚さは、鉄筋組立ておよびその条件でのコン
クリートの打設から施工に伴って必要なものとなってし
まう。また、コンクリート打設においても、施工条件の
厳しさから、軟練りコンクリートとなり、あるいは、締
固めしにくいものからポーラスなものあるいは天端空洞
の大きな、低品質のコンクリート構造となり、必ずしも
その経済性は高くない。 (4)鉄筋コンクリート覆工であっても、地質変化に伴
う荷重の増加、内水圧に対する受働力の低下、温度変
化、コンクリートの物理的特性の違い等によって、クラ
ックが発生することがある。その場合、充分な止水性が
得られず、湧水の問題に発展することがある。 (5)厳しい条件のもとで、大きな内水圧に耐えさせる
ために施工する高い圧力によるコンソリディーショング
ラウトによって、そのグラウト圧による荷重が大きくな
り、覆工コンクリート層の厚さが内水圧のみの場合より
も大きくなってしまい、経済性の低い設計、施工となる
おそれがある。 (6)覆工コンクリート層にクラックが発生するおそれ
がある。また、硬岩と断層破砕帯の取り合い部分などの
地質急変箇所等においては、鉄筋コンクリート構造であ
っても追随性に限界があり、変位挙動に大きな差異が生
じてクラックを大きくしてしまうおそれがある。
【0005】内張鋼管・鉄筋コンクリート覆工 (1)内張鋼管の施工から、その工事工程の取り合いに
よって長い工期が必要となる。 (2)内張鋼管の施工と鉄筋コンクリートの打設から工
事費が大きくなってしまい、必ずしも合理的、経済的な
設計、施工法ではない。 (3)地盤の変化などに対して、鋼管の材料手配、購
入、部材の切断、加工など、鋼管による対応はきわめて
難しいため、鉄筋コンクリートの鉄筋量を増加する対応
方法しかなく、その対応には限界がある。 (4)鋼管の搬入、据え付けのために、斜坑、横坑など
の搬入施設、および設備を必要とし、そのコストも大き
く不経済である。 (5)鋼管の搬入、据え付けに伴う継手部の溶接作業等
のためのスペースを確保する必要があるので、覆工コン
クリート層の厚さが、設計上必要な覆工コンクリート層
の厚さよりも大きなものとなってしまい不経済である。
【0006】要するに、従来の導水路トンネルの施工方
法には、次のような問題点がある。 (1)覆工コンクリートの背面に、コンタクトグラウト
と必要に応じてコンソリディーショングラウトを施工す
るだけであるから、作用内水圧が覆工コンクリートの許
容変位限界に限られてしまう。また、トンネルが掘削さ
れた周辺地盤が有する力学的特性(内水圧などによって
生じる応力に伴う変形を拘束しようとする働き:受働抵
抗力、弾性係数、変形係数等)等が、十分発揮される設
計・施工方法となっていない。 (2)上記方法にコンソリディーショングラウトを併用
して施工する場合には、その高い注入圧力によって、覆
工コンクリートに均衡を欠いた曲げおよび引張り応力が
外側から大きく作用するので、注入圧力が静水圧的に一
様に作用する場合に較べて、覆工コンクリートが過大な
設計となり、施工コスト高・施工期間の長期化といった
問題点が生じる。
【0007】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、地質が急変する箇所においてその地質の種類・変化
に充分対応し、かつ、地盤の有する力学特性を十分発揮
させる耐圧力コンクリート壁構造およびその施工方法を
提供することを目的とするものである。また本発明は、
コンクリートの高い圧縮耐力をもつ特性を十分に発揮さ
せ、かつ、その許容変位限界領域を広く活用しながら内
水圧に耐えさせるようにして、低コスト・短期間で施工
可能な耐圧力コンクリート壁構造およびその施工方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の耐圧力コ
ンクリート壁構造は、トンネル掘削面の内側に配設され
た強化繊維シートと、該強化繊維シートの内側に、該強
化繊維シートとの間に間隙を有して配設された防水シー
トと、この防水シートの内側に打設されたコンクリート
壁と、前記強化繊維シートと前記防水シートとの間に注
入・固化され、該強化繊維シートと該防水シートを介し
て前記コンクリート壁を押圧するグラウト層を具備して
いることを特徴としている。
【0009】請求項2記載の耐圧力コンクリート壁の施
工方法は、地盤を掘削する工程と、この工程により形成
された掘削面の内側に強化繊維シートを配設する工程
と、該強化繊維シートの内側に、該強化繊維シートとの
間に間隙を有して防水シートを配設する工程と、該防水
シートの内側にコンクリート壁を打設する工程と、前記
強化繊維シートと前記防水シートとの間にグラウト材を
注入する工程とを有することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】請求項1記載の耐圧力コンクリート壁構造にお
いては、掘削面の内側に配設された高い引張り耐力を有
する強化繊維シートが、該強化遷移シートと間隙を有し
て配設された防水シートとの間に挿入され、その内側に
施工されている覆工コンクリートにプレストレスを作用
させるとともに、作用内圧力によりコンクリート壁外周
に発生する引張り応力に伴う該コンクリート壁の変位を
拘束する。また、前記強化繊維シートと防水シートの間
に注入・固化されたグラウト層が、コンクリート壁を押
圧する。
【0011】請求項2記載の耐圧力コンクリート壁の施
工方法においては、地盤を掘削し、これにより形成され
た掘削面に強化繊維シートを配設し、この強化繊維シー
トの内側に、この強化繊維シートとの間に間隙を有して
防水シートを配設し、該防水シートの内側にコンクリー
ト壁を打設し、前記強化繊維シートと防水シートの間に
グラウト材を注入することにより耐圧力コンクリート壁
の施工がなされる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の耐圧力コンクリート壁構造お
よびその施工方法を、添付図面を参照しながら詳細に説
明する。図1ないし図3は本発明の耐圧力コンクリート
壁構造を導水路トンネルに適用した場合の一実施例を示
したものである。図において、1は掘削坑が形成された
地盤である。この掘削坑の掘削面2には、吹き付けコン
クリート層3が形成されており、掘削坑の下部には充填
コンクリート層4が設けられ、円形断面のトンネルを形
成している。この円形断面のトンネルの内表面、すなわ
ち、吹き付けコンクリート層3および充填コンクリート
層4の内表面には、樹脂接着剤5を介して、強化繊維シ
ート6が貼り付けられている。この強化繊維シート6の
内側には、覆工コンクリート7(コンクリート壁)を押
圧するグラウト層8が形成されている。また、このグラ
ウト層8の内側には、防水シート9が貼り付けられ、こ
の防水シート9の内側に前記覆工コンクリート層7が形
成されている。
【0013】強化繊維シート6は、ガラス繊維からなる
基盤クロス10の表面に、強化繊維11を一方向に配列
して樹脂粘着剤12により、吹き付けコンクリート層3
および充填コンクリート層4に固着して一体としたもの
であり、一層の厚みが0.2〜1.0mm程度としたも
のである。また、強化繊維シート6は、強化繊維11の
長手方向が、前記円形断面のトンネルの周方向に一致し
た状態で、樹脂接着剤5により前記吹き付けコンクリー
ト層3もしくは充填コンクリート層4に貼り付けられて
いる。これら強化繊維シート6を、トンネルの周方向に
所定のラップ長を確保して必要枚数を重ね合わせ順次張
り合わせることにより、トンネル断面全体がこれら強化
繊維シート6により隙間なく覆われている。また、断層
破砕帯や軟弱層が掘削面に部分的に出現した場合には、
その長手方向(延長方向)にも所定のラップ長を確保し
て必要枚数を重ね合わせて貼り付けることにより、補強
効果を高めた施工とすることができる。
【0014】前記基盤クロス10を形成する繊維として
はたとえばガラス繊維が用いられ、その単位面積当たり
の重量は80〜430g/m2 程度であることが好まし
い。また、基盤クロス10の表面に固着される強化繊維
11としては、高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガラ
ス繊維等の無機強化繊維、アラミド繊維、ポリアリレー
ト繊維、若しくはポリエチレン繊維等の有機強化繊維等
の各種高強度繊維が用いられる。
【0015】前記強化繊維シート6として用いることが
できる高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガラス繊維等
の無機強化繊維、もしくは、アラミド繊維、ポリアリレ
ート繊維、ポリエチレン繊維等の有機強化繊維として
は、それぞれ、東燃株式会社製のフォルカシートFTS
−C1−17(弾性率:25,000kg/cm幅,引
張り強度:380kg/cm幅)、FTS−C0−20
(弾性率:28,000kg/cm幅,引張り強度:2
80kg/cm幅)、FTS−AT−20(弾性率:
9,500kg/cm幅,引張り強度:350kg/c
m幅)、FTS−VB−20(弾性率:9,500kg
/cm幅,引張り強度:330kg/cm幅)、FTS
−GE−30(弾性率:10,500kg/cm幅,引
張り強度:220kg/cm幅)等がある。
【0016】また、強化繊維11を基盤クロス10に固
着する樹脂粘着剤12としては、樹脂接着剤5と相溶性
の高いエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化
剤を含まないものが用いられる。また、強化繊維シート
6を吹き付けコンクリート層3および充填コンクリート
層4に貼り付けるための樹脂接着剤5としては、東燃株
式会社製のFR−E1,FR−E2等のエポキシ系樹
脂、同社製のFR−V1等のビニルエステル系樹脂、あ
るいは東邦天然ガス株式会社製のCP300,CF5等
のエポキシ系樹脂等が用いられる。
【0017】防水シート9としては、EVA(エチレン
ビニルアセテート)シート、ECB(エチレンコポリマ
ービチューメン)シートなどの透水性緩衝材付防水シー
トが用いられる。
【0018】覆工コンクリート層7としては、無筋コン
クリートを用いることもできるし、SFRC(スチール
ファイバー混入コンクリート)、減量化した鉄筋コンク
リート等の鉄筋コンクリートを用いることもできる。
【0019】グラウト層8に使用するグラウト材13と
しては、所定の強度が得られるように配合したセメント
ペーストが用いられる。
【0020】次に、本実施例の耐圧力コンクリート壁の
施工手順について説明する。まず、トンネルを掘削する
地盤1の力学的特性および地形、地下水条件などに合わ
せてニュー・オーストリアン・トンネリング・メソッド
工法(以下、NATM工法とする。)、トンネル・ボー
リング・マシン工法(以下、TBM工法とする。)、あ
るいは他の方法によって地盤1にトンネルを掘削する。
【0021】例えば、NATM工法により地盤1を馬蹄
形断面状に掘削した場合には、掘削面2に、吹き付けコ
ンクリート層3を用いて一次覆工を施した後、高圧ウォ
ータジェットにより吹き付けコンクリート層3の表面を
清浄にする。次いで、止水グラウト等の湧水処理、変状
に伴う破壊箇所および凹凸部をモルタル等により補修を
行ない、さらに、掘削面2に下部に充填コンクリート層
4を打設して円形断面のトンネルとして形成する。
【0022】一方、TBM工法により地盤を円形断面状
に掘削した場合には、掘削された円形断面掘削面に必要
に応じて吹き付けコンクリート層などの一次覆工を施工
した後、上記NATM工法の場合と同様、清掃、湧水処
理、補修等を施してトンネルとして形成する。また、硬
岩等、条件によっては、一次覆工を行なわずにそのまま
の状態で清掃、湧き水処理、抜け落ち岩盤などの補修等
を施してトンネルとする場合もある。
【0023】次に、吹き付けコンクリート層3および充
填コンクリート層4の内表面に下地処理を施した後、樹
脂接着剤5を塗布し、前述の強化繊維シート6をこの吹
き付けコンクリート層3もしくは充填コンクリート層4
の内表面に貼り付ける。この際、強化繊維シート6上か
ら強化繊維11の方向に沿ってしごいて樹脂接着剤5を
強化繊維シート6全体に含浸させ、さらに、強化繊維シ
ート6上に樹脂接着剤5を補充塗布し、所定の養生時間
を確保して硬化させる。なお、強化繊維シート6を、一
層のみでなく、トンネル断面・内水圧の大きさ、地盤1
の力学特性、覆工コンクリート層7の厚さ、地下水位の
高さとその作用外力等から求められる必要耐力に応じ
て、必要な枚数だけ重ねて貼り付け、多層とすることも
できる(図では二層)。
【0024】次に、防水シート9を後述するグラウト層
8の施工の際に使用するグラウチングホース(図示せ
ず)を内包するように前記強化繊維シート6の内側に張
り合わせる。ここで使用する防水シート9は、前記吹き
付けコンクリート3や、強化繊維シート6の止水性およ
び張り付けの際の施工性を考慮して、厚さ0.4〜2.
0mm程度のものを使用するとよい。
【0025】次に、覆工コンクリート7を打設施工す
る。この際、前記グラウチングホース(図示せず)を覆
工コンクリート7の施工厚さに合わせて配管しておく。
このグラウチングホースは、厚さ2〜5mm、内径12
〜25mm程度のものが好適である。グラウチングホー
スおよびグラウチングパイプ(図示せず)は、トンネル
断面全体にわたって等圧の静水圧的な圧力状態でグラウ
ト材13の注入ができるように、その軸線をトンネルの
周方向に配置し、かつその間隔をトンネルの長さ方向に
対して1.0〜3.0m程度に配管するとよい。
【0026】覆工コンクリート層7に所定の強度が得ら
れた後、この覆工コンクリートを押圧するグラウト層8
の施工を行なう。ここで使用するグラウト材13は例え
ば所定の強度が得られるように配合したセメントペース
トを用いる。グラウト13材を注入する作業は、施工ブ
ロックごとにブロッキングあるいは、ストップグラウト
を先行して施工し、6〜24mのブロック長で、トンネ
ル断面全周にわたって等圧の静水圧的な圧力状態でグラ
ウトできるように少なくとも2台以上の注入ポンプで行
なうとよい。またグラウト材13の注入圧力は、代表的
な位置でテストチャンバー(図示せず)を用いた試験を
行なうとともに、施工ブロックごとに内空変位測定等を
必要に応じて行ない、その圧力挙動により適宜調整す
る。
【0027】覆工コンクリート層7に負荷する押圧力は
覆工コンクリート層7の構造、作用内水圧の大きさ、ト
ンネル掘削地盤周辺の力学的特性および前記強化繊維シ
ート6の材料特性等を考慮して合理的に定める。
【0028】図4は本実施例におけるグラウト層8の押
圧力と作用内水圧による強化繊維シート6と覆工コンク
リート層7に負荷される応力と変位を示す概念図であ
る。同図において、縦軸Yは応力を、横軸Xは変位を示
している。また、実線は覆工コンクリート層7の応力ー
変位曲線を、破線は強化繊維シート6の応力ー変位曲線
をそれぞれ示している。原点Oは、上記施工手順におい
て覆工コンクリート層7が打設された状態を示してい
る。この状態で、グラウト材13を注入し、押圧力を負
荷するグラウト層8が形成されると、覆工コンクリート
層7の応力ー変位状態は原点Oから点Pを通り、覆工コ
ンクリート層7の許容圧縮変位内の点Qに至る応力ー変
位状態に置かれる。一方、強化繊維シート6の応力ー変
位状態は原点Oから点Uに至る応力ー変位状態に置かれ
る。すなわち、この時点で、覆工コンクリート層7に
は、圧縮応力が負荷され、強化繊維シート6には、引張
り応力が負荷された状態に置かれる。この状態で導水路
トンネルの施工が完了する。この後、導水路トンネルに
水が通水された場合には、覆工コンクリート層7の応力
ー変位状態は、点Qから点Rおよび点Sを通り、覆工コ
ンクリート層7の許容変位限界Tに至る変化を示す。強
化繊維シート6の応力ー変位状態は点Uから強化繊維シ
ート6の許容変位限界Vに至る変化を示す。
【0029】つまり、覆工コンクリート層7が点Qから
点Tに至る広い範囲で作用内水圧を許容できるので、コ
ンクリートの特性を活かした施工方法となる。仮に、作
用内水圧が許容変位限界Tより大きく作用した場合にお
いても強化繊維シートの許容変位限界以内で覆工コンク
リート層7のクラックの伸長を拘束することができる
し、高い止水効果を得ることもできる。
【0030】このように、本実施例の耐圧力コンクリー
ト壁の施工方法によれば、地盤1の掘削面2の内側に形
成された高い引張り耐力を有する強化繊維シート6が内
水圧により覆工コンクリート層7の外周に発生する引張
り応力に伴う該覆工コンクリート層7の変位を拘束す
る。また、前記グラウト層8が覆工コンクリート層7を
押圧する。したがって、地盤1の地質が急変する箇所に
おいても、強化繊維シート6の厚さを調整することでそ
の地質の種類・変化に充分対応し、かつ、地盤1の有す
る力学特性を十分発揮させることができる。また、覆工
コンクリート層7の特性を十分に発揮させ、かつ、その
許容変位限界領域を広く活用しながら内水圧に耐えさせ
るようにして、低コスト・短期間で施工を行なうことが
できる。
【0031】なお、本発明の耐圧力コンクリート壁構造
およびその施工方法は、上述した導水路圧力トンネルへ
の適用だけに限られない。作用内圧力が負荷されるトン
ネル構造物は言うまでもなく、天然ガスその他の圧縮気
体、あるいは液体等の地下備蓄用構造物などの高い作用
内圧力が負荷されるコンクリート構造物へ適用すること
も可能である。
【発明の効果】本発明の耐圧力コンクリート壁構造およ
び施工方法によれば、次のような効果を奏することがで
きる。請求項1記載の耐圧力コンクリート壁構造によれ
ば、地盤の掘削面の内側に配設された強化繊維シート
と、該強化繊維シートの内側に、該強化繊維シートとの
間に間隙を有して配設された防水シートと、この防水シ
ートの内側に打設されたコンクリート壁と、前記強化繊
維シートと前記防水シートとの間に注入・固化され、該
強化繊維シートと該防水シートを介して前記コンクリー
ト壁を押圧するグラウト層を具備したので、地質が急変
する箇所においてもその地質の種類・変化に充分対応
し、かつ、地盤の有する力学特性を十分発揮させる耐圧
力コンクリート壁構造を提供することができる。また、
コンクリート壁の高い圧縮耐力をもつ特性を十分に発揮
させ、かつ、その許容変位限界領域を広く活用しながら
内圧力に耐えさせるようにした耐圧力コンクリート壁構
造とすることができる。
【0032】請求項2記載の耐圧力コンクリート壁の施
工方法によれば、地盤を掘削する工程と、この工程によ
り形成された掘削面の内側に強化繊維シートを配設する
工程と、該強化繊維シートの内側に、該強化繊維シート
との間に間隙を有して防水シートを配設する工程と、該
防水シートの内側にコンクリート壁を打設する工程と、
前記強化繊維シートと前記防水シートとの間にグラウト
材を注入する工程とを有する施工方法としたことから、
上記の効果を奏する耐圧力コンクリートを低コスト・短
期間で施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐圧力コンクリート壁構造の一実施例
を示す要部拡大側断面図である。
【図2】同実施例を示す正断面図である。
【図3】図2の要部拡大図であって、その左半部は図2
のA矢視側断面図、左半部は、図2のB矢視側断面図で
ある。
【図4】同実施例のグラウト層の押圧力と作用内水圧に
よる強化繊維と覆工コンクリート層の応力と変位の関係
を示す概念図である。
【符号の説明】
1 地盤 2 掘削面 6 強化繊維シート 7 コンクリート壁 8 グラウト層 9 防水シート 13 グラウト材

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤の掘削面の内側に配設された強化繊
    維シートと、該強化繊維シートの内側に、該強化繊維シ
    ートとの間に間隙を有して配設された防水シートと、こ
    の防水シートの内側に打設されたコンクリート壁と、前
    記強化繊維シートと前記防水シートとの間に注入・固化
    され、この強化繊維シートと防水シートを介して前記コ
    ンクリート壁とを押圧するグラウト層とを具備してなる
    耐圧コンクリート壁構造。
  2. 【請求項2】 地盤を掘削する工程と、この工程により
    形成された掘削面の内側に強化繊維シートを配設する工
    程と、該強化繊維シートの内側に、該強化繊維シートと
    の間に間隙を有して防水シートを配設する工程と、該防
    水シートの内側にコンクリート壁を打設する工程と、前
    記強化繊維シートと前記防水シートとの間にグラウト材
    を注入する工程とを有することを特徴とする耐圧力コン
    クリート壁の施工方法。
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