JP3240417B2 - 導水路トンネルの施工方法および導水路トンネル - Google Patents

導水路トンネルの施工方法および導水路トンネル

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JP3240417B2 JP22625592A JP22625592A JP3240417B2 JP 3240417 B2 JP3240417 B2 JP 3240417B2 JP 22625592 A JP22625592 A JP 22625592A JP 22625592 A JP22625592 A JP 22625592A JP 3240417 B2 JP3240417 B2 JP 3240417B2
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  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内水圧によって覆工コ
ンクリートに引張り力が作用する圧力導水路トンネルの
施工方法、特に、電気事業水力発電における新設あるい
は再開発の圧力導水路トンネルの他、調圧水槽、水圧管
路(立坑、斜坑型式)等の工事、空気貯蔵地下タンクな
どの内圧作用を受ける地下構造物、あるいはこれと同様
の河川放水路、農業用水路、上下水道、工業用水等のた
めに用いられる圧力導水路トンネルの施工方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、圧力導水路トンネルは、その断
面形状やその大きさ、作用内水圧の大きさ、土被り深
さ、地下水位の高さ、トンネル周辺岩盤の力学的および
水理学的特性、地形条件、および社会的環境条件等によ
り、無筋コンクリート覆工、鉄筋コンクリート覆工、内
張鋼管・鉄筋コンクリート覆工等を選択することによっ
て施工されている。また、条件によっては、無巻トンネ
ル、吹き付けコンクリート覆工等のきわめて簡単なも
の、あるいは、コンタクトグラウトと高い圧力によるプ
レストレスを期待したコンソリデーショングラウトを併
用したものもある。さらに、圧力がより高い部分では、
比較的厚肉の内張鋼管を布設し配筋してコンクリートを
充填する等の方法が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の施工方法においては次のような問題があった。 無筋コンクリート覆工 (1) 力学的安定性および水理学的条件に限界があるた
め、限定された条件下においてしか採用することができ
ない。 (2) 断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性の高い地盤な
どにおいては採用することができない。もしも、このよ
うなところで採用しようとすると、鉄筋量が多くなると
ともに覆工厚も大きくなり、場合によっては、地盤強
化、止水効果を得るための注入工などを施工する必要が
生じ、コスト高となる。この方法は、地質あるいは条件
変化に柔軟に対応することができないため、さらに不経
済となる欠点を有している。 (3) トンネル周辺地山が持つ、掘削に伴う応力開放によ
る強度低下の後の残された内水圧に対する地盤の受動力
が、その破壊に伴う不連続性などから、充分な効果が発
揮されず、過大と考えられる覆工となってしまう。 (4) 地質によってはその変化に充分に対応することがで
きず、コンクリート覆工にクラックが生じた場合には止
水性がなくなり、その地質、地形あるいは土被り条件に
よっては湧水問題に発展するおそれがある。
【0004】鉄筋コンクリート覆工 (1) 狭い坑内での鉄筋の加工、組立て作業は難しく、か
なりの時間とコストが必要となるとともに、このための
人員を確保することも難しくなる。 (2) 地質の変化に対してある程度の対応はできるが充分
ではなく、鉄筋量(配筋量)を多くすることによって対
応できる範囲までが限界となる。 (3) 覆工厚さは、鉄筋組立ておよびその条件でのコンク
リートの打設から施工に伴って必要なものとなってしま
う。また、コンクリート打設においても、施工条件の厳
しさから、軟練りコンクリートとなり、あるいは、締固
めしにくいものからポーラスなものあるいは天端空洞の
大きな、低品質のコンクリートとなり、必ずしもその経
済性は高くない。 (4) 鉄筋コンクリート覆工であっても、地質変化に伴う
荷重の増加、内水圧に対する受動力の低下、温度変化、
コンクリートの物理的特性の違い等によって、クラック
が発生することがある。その場合、充分な止水性が得ら
れず、湧水の問題に発展することがある。 (5) 厳しい条件のもとで、大きな内水圧に耐えさせるた
めに施工する高い圧力のコンソリデーショングラウトに
よって、その荷重が大きくなり、覆工コンクリートの厚
さが内水圧のみの場合の条件よりも大きくなってしま
い、経済性の低い設計、施工となるおそれがある。 (6) 覆工コンクリート層にクラックが発生するおそれが
ある。また、硬岩と断層破砕帯の取り合い部分などの地
質急変箇所等においては、鉄筋コンクリート構造であっ
ても追随性に限界があり、変位挙動に大きな差異が生じ
てクラックを大きくしてしまうおそれがある。
【0005】内張鋼管・鉄筋コンクリート覆工 (1) 内張鋼管の施工から、その工事工程の取り合いによ
って長い工期が必要となる。 (2) 内張鋼管の施工と鉄筋コンクリートの打設から工事
費が大きくなってしまう。必ずしも合理的なものではな
く、経済的な設計、施工法ではない。 (3) 地山の変化などに対して、鋼管の材料手配、購入、
部材の切断、加工など、鋼管による対応はきわめて難し
いため、鉄筋コンクリートの鉄筋量を増加する対応方法
しかなく、その対応には限界がある。 (4) 鋼管の搬入、据え付けのために、斜坑、横坑などの
搬入施設、および設備を必要とし、そのコストも大きく
不経済である。 (5) 鋼管の搬入、据え付けに伴う継手部の溶接作業等の
ためのスペースを確保する必要性から、覆工コンクリー
ト層の厚さが、設計上必要な鋼管肉厚あるいは覆工コン
クリート層の厚さよりも大きなものとなってしまい不経
済である。
【0006】このため、本発明は、断層破砕帯、土被り
の浅い所、透水性の高い地盤など、種々の条件の下で採
用することができ、かつ、作用内水圧によるトンネルあ
るいは覆工コンクリート層の変位および応力を抑制し、
覆工コンクリート層のクラックの発生を抑え、高い止水
性を有する導水路トンネル構造を得ることができるとと
もに、低コスト、短期間で施工することができる導水路
トンネルの施工方法および導水路トンネルを提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、請求項1記載の導水路
トンネルの施工方法は、導水路トンネルを掘削する工程
と、トンネル掘削内壁面に防水・分離シート層を形成す
る工程と、その内面に覆工コンクリート層を打設する工
程と、この打設された覆工コンクリート層と前記防水・
分離シート層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを
施す工程と、前記打設された覆工コンクリート層表面に
エポキシ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊維シートを
貼り付ける工程とを有することを特徴とするものであ
る。
【0008】請求項2記載の導水路トンネルの施工方法
は、請求項1において、覆工コンクリート層と防水・分
離シート層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを施
した後、地山に高圧コンソリデーショングラウト工程を
施すことを特徴とするものである。
【0009】請求項3記載の導水路トンネルの施工方法
は、請求項1または2において、前記強化繊維シートと
して、高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガラス繊維等
の無機強化繊維材料、アラミッド繊維、ポリアリレート
繊維、ポリエチレン繊維等の有機強化繊維材料からなる
群から選択される少なくとも一つの材料を用いたことを
特徴としている。
【0010】請求項4記載の導水路トンネルの施工方法
は、請求項1または2において、前記強化繊維シート
は、ガラス等の繊維からなる基盤クロスの表面に、さら
に強化繊維を一方向に配列して樹脂粘着剤により固着し
てなるものであることを特徴としている。
【0011】請求項5記載の導水路トンネルは、機械掘
削により円形断面の導水路トンネルが掘削され、該導水
路トンネルの掘削内壁面にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤
を介して強化繊維シートが直接貼り付けられた構成とさ
れ、前記強化繊維シートとして、高弾性炭素繊維、高強
度炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維材料、ならび
に、アラミッド繊維およびポリアリレート繊維の有機強
化繊維材料からなる群から選択される少なくとも一つの
材料が用いられていることを特徴としている。
【0012】請求項6記載の導水路トンネルは、機械掘
削により円形断面の導水路トンネルが掘削され、該導水
路トンネルの掘削内壁面にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤
を介して強化繊維シートが直接貼り付けられた構成とさ
れ、前記強化繊維シートは、ガラス等の繊維からなる基
盤クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向に配列して
樹脂粘着剤により固着してなるものであることを特徴と
している。
【0013】
【0014】
【作用】請求項1記載の導水路トンネルの施工方法にお
いては、覆工コンクリート層を打設した後、この覆工コ
ンクリート層内面に、高い引っ張り耐力と比較的大きな
弾性特性を有する強化繊維シートを設けるものであるた
め、この強化繊維シートが作用内水圧による覆工コンク
リート層の変位を抑制し、覆工コンクリート層に発生す
る応力を小さくし、減少させる。その結果、覆工コンク
リート層のクラックの発生が抑えられる。また、万一、
覆工コンクリート層にクラックが発生した場合、引張り
作用長さが小さい時に高い強度を示す強化繊維シートの
特性によって、クラックの伸長を拘束するとともに、高
い止水効果が得られる。また、作用内水圧によって覆工
コンクリート層が受けるべき引張り応力のかなりの部分
を前記強化繊維シートが受け持つため、必要な鉄筋量が
減少し、条件によっては無くすこともできる。
【0015】また、この導水路トンネルの施工方法にお
いては、防水・分離シート層が形成されたトンネル内壁
面に覆工コンクリート層を打設し、覆工コンクリートと
防水・分離シート層との間の空隙部分にコンタクトグラ
ウトを施し、さらに打設された覆工コンクリート層表面
に樹脂接着剤を介して強化繊維シートを貼り付けるとい
う極めて簡単な方法により導水路トンネルの施工がなさ
れる。このため、高いクラックの発生抑止効果、止水効
果を持ち、かつ、地質の変化に対して充分に対応するこ
とができる導水路トンネルの施工を、短期間に低コスト
ででき、しかも、断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性
の高い地盤など、種々の条件の下でも採用することがで
きる。しかも、この導水路トンネルの施工方法において
は、覆工コンクリート層と防水・分離シート層との間の
空隙部分にコンタクトグラウトを施すものであるため、
覆工コンクリート層と防水・分離シート層との間に生じ
た空隙をてん充することができる。このため、導水路ト
ンネル坑の内水圧により覆工コンクリート層に引張力が
かかっても、前記空隙の存在によるクラックの発生は生
じない。
【0016】請求項2記載の導水路トンネルの施工方法
は、請求項1において、覆工コンクリート層と防水・分
離シート層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを施
した後、地山に高圧コンソリデーショングラウト工程を
施すものであるため、覆工コンクリート層の密着性を高
めることができるとともに、地山による支持力の増強を
図ることができる。また、覆工コンクリート打設後施工
の場合は、グラウトにより覆工コンクリート層にプレス
トレスが加わることになるため、導水路トンネル内から
この覆工コンクリート層に内水圧がかかってもこれに対
抗することができ、クラックが入ることはない。内水圧
の負荷がない場合において、外部からの漏水がクラック
を通って強化繊維シート層に水圧作用を加えることがな
いので、強化繊維シートが剥離する問題の発生を防ぐこ
とができる。
【0017】請求項3記載の導水路トンネルの施工方法
においては、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、高強
度炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維、アラミッド
繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維等の有機
強化繊維という極めて高い引っ張り耐力、高靱性を有す
る材料により形成されているため、高い作用内水圧ある
いは偏外圧に対して、より高いクラックの発生抑止効
果、より高い止水効果が得られる。
【0018】請求項4記載の導水路トンネル施工方法に
おいては、強化繊維シートが、ガラス等の繊維からなる
基盤クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向に配列し
てエポキシ樹脂等の樹脂粘着剤により固着されているた
め、極めて高い強度、靱性を付与することができる。
【0019】請求項5記載の導水路トンネルにおいて
は、機械掘削により掘削した円形断面の導水路トンネル
の掘削内壁面に、覆工コンクリート層等を形成すること
なく、単にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊
維シートを直接貼り付けることにより、導水路トンネル
の施工が完了する。このため、きわめて低コスト、短期
間で止水性の高い導水路トンネルを施工することが可能
となる。さらに、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、
高強度炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維、また
は、アラミッド繊維もしくはポリアリレート繊維の有機
強化繊維という極めて高い引っ張り耐力、高靱性を有す
る材料により形成されているため、高い作用内水圧ある
いは偏外圧に対して、より高いクラックの発生抑止効
果、より高い止水効果が得られる。
【0020】請求項6記載の導水路トンネルにおいて
は、機械掘削により掘削した円形断面の導水路トンネル
の掘削内壁面に、覆工コンクリート層等を形成すること
なく、単にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊
維シートを直接貼り付けることにより、導水路トンネル
の施工が完了する。このため、きわめて低コスト、短期
間で止水性の高い導水路トンネルを施工することが可能
となる。さらに、強化繊維シートが、ガラス等の繊維か
らなる基盤クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向に
配列してエポキシ樹脂等の樹脂粘着剤により固着されて
いるため、極めて高い強度、靱性を付与することができ
る。
【0021】
【0022】
【実施例】以下、本発明の導水路トンネルの施工方法
を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本
発明の方法により施工された高圧用円形断面の導水路ト
ンネル構造の一実施例を示す断面図である。この図にお
いて、10は馬蹄形断面の掘削坑が形成された地山であ
り、このトンネル掘削坑内壁面には、吹き付けコンクリ
ート層11が形成され、その表面にEVAシート等の材
料からなる防水・分離シート12が貼り付けられてい
る。この防水・分離シート層12内面には覆工コンクリ
ート層13が打設され、その内部に円形断面のトンネル
坑が形成されている。また、この覆工コンクリート層1
3の円形断面トンネル坑の内表面には、エポキシ樹脂等
の樹脂接着剤15を介して、強化繊維シート14が貼り
付けられている。
【0023】図2は覆工コンクリート部および強化繊維
シート部の拡大断面図である。図2に示されているよう
に、覆工コンクリート層13の内表面にエポキシ樹脂等
の樹脂接着剤15を介して貼り付けられた強化繊維シー
ト14は、ガラス等の繊維からなる基盤クロス21aの
表面に強化繊維22aを一方向に配列して樹脂粘着剤2
3により固着したものであって、さらにその上に、同じ
ガラス等の繊維からなる基盤クロス21bの表面に強化
繊維22bを一方向に配列して樹脂粘着剤23により固
着して一体とした強化繊維シートを、トンネルの周方向
あるいは断層などの補強方向にあわせて樹脂接着剤15
により貼り合わせたものであり、一層の厚みを0.2〜
1.0mm程度としたものである。この基盤21a,2
1bを形成する強化繊維としては同一種類のものでも異
なる種類のものでもかまわないが、たとえばガラス繊維
などが用いられ、その単位面積当たりの重量は5〜10
0g/m2 程度であることが好ましい。また、基盤クロ
ス21a,21bの表面に固着される強化繊維22a,
22bとしては、高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガ
ラス繊維等の無機強化繊維材料、もしくは、アラミッド
繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維等の有機
強化繊維材料等の各種高強度繊維が用いられる。
【0024】前記強化繊維シート14として用いること
ができる高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガラス繊維
等の無機強化繊維材料、アラミッド繊維、ポリアリレー
ト繊維、ポリエチレン繊維等の有機強化繊維材料として
は、それぞれ、東燃株式会社製のFORCAトウシート
FTS−C1−17(弾性率:25,000kg/c
m幅,引張り強度:380kg/cm幅)、FTS−C
0−20(弾性率:28,000kg/cm幅,引張り
強度:280kg/cm幅)、FTS−AT−20(弾
性率:9,500kg/cm幅,引張り強度:350k
g/cm幅)、FTS−VB−20(弾性率:9,50
0kg/cm幅,引張り強度:330kg/cm幅)、
FTS−GE−30(弾性率:10,500kg/cm
幅,引張り強度:220kg/cm幅)等がある。
【0025】上記強化繊維シート14は、図3に示され
ているように、強化繊維22が覆工コンクリート層13
側となる状態で、かつ、強化繊維22の方向が導水路ト
ンネルの周方向に合致した状態で、樹脂接着剤15によ
り前記覆工コンクリート層13に貼り付けられている。
これら強化繊維シート14を、導水路トンネルの周方向
および必要に応じて長手方向に所定のラップ長を確保し
て重ね合わせ、順次張り合わせることにより、トンネル
全体がこれらシート14により隙間なく覆われている。
【0026】図4は各種耐摩耗性材料のスリヘリ係数と
試験時間の関係を示すグラフである。図4において、ト
ーシートは東燃株式会社製の強化繊維シートであり、T
S−1は炭素繊維シート(FTS−CO−20)を、T
S−2はアラミッド繊維シート(FTS−AT−20)
を、TS−3はポリアリレート繊維シート(FTS−V
B−20)をスリヘリ試験供試体表面に、各々2層直交
するように積層施工した場合のスリヘリ係数の変化を示
している。この図から明らかなように、本発明において
用いられる強化繊維シートは、非常に小さなスリヘリ係
数の持つ材料、すなわち、きわめて高い耐摩耗性を持つ
材料である。
【0027】図5は、それぞれ50本の高弾性炭素繊維
および高強度炭素繊維の試験時のゲージ長と平均引っ張
り強度との関係を示すグラフである。この図から明らか
なように、これら高弾性炭素繊維あるいは高強度炭素繊
維は、引っ張り応力の作用間隔長が短くなるにしたがっ
て引っ張り強度がきわめて高くなる特性を有している。
万一、導水路トンネルの覆工コンクリート内表面にクラ
ックが発生したとしても、そのクラックの幅は通常数m
m程度の非常に狭いものである。したがって、このよう
な高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維等を用いた強化繊維
シートを固着することにより、このクラック発生部分に
きわめて大きな引張り耐力を付与することができ、それ
以上のクラックの伸長を妨げることができる。
【0028】次に、本発明の導水路トンネルの施工方法
について説明する。図1は本発明の導水路トンネルの施
工方法の第1の実施例を示すものであり、NATM工
法、発破掘削、または自由断面掘削機等の掘削機械を用
いるなどにより導水路トンネルが馬蹄形断面状に掘削さ
れ、鋼アーチ支保工、ロックボルト、吹き付けコンクリ
ート層11等を用いて仕上げられたトンネル掘削壁面全
体に下地処理を施した後、防水・分離シート層12を取
り付ける。この防水・分離シート層12の厚さは、吹き
付けコンクリート層11の凹凸の状態、温度条件等を考
慮して設定される。これは、0.4〜3mm程度である
ことが好ましい。
【0029】次に、この防水・分離シート層12の内面
に覆工コンクリート層13を打設し、所定の円形断面の
トンネル坑を形成する。その後、この打設された覆工コ
ンクリート層13に所定間隔で孔を開け、この孔から前
記覆工コンクリート層13と防水・分離シート層12と
の間の空隙部分に低圧のコンタクトグラウトを施す。つ
いで、覆工コンクリート層13から地山まで貫通する孔
を所定間隔ごとに開け、高圧のコンソリデーショングラ
ウトを施す。これによって、覆工コンクリート層の密着
性を高め、地山による支持力の増強を図ることができる
とともに、覆工コンクリート層にプレストレスを加える
こととなる。
【0030】この覆工コンクリート層13に加えられた
プレストレスは、導水路トンネル坑内からの内水圧によ
って覆工コンクリート層13に生じる引張り応力に対抗
することができるため、覆工コンクリート層13の受け
る変位、応力を減少させる。このため、覆工コンクリー
ト層へのクラックの発生を抑えることができる。また、
坑内水圧の負荷がない場合、たとえば、管内の点検時な
どに外部からの漏水がクラックを通って強化繊維シート
層に水圧作用を加えることがないので、強化繊維シート
が剥離する問題の発生を防ぐことができる。上記グラウ
ト材としては、必要強度が得られるようなセメントペー
ストが用いられる。また、プレストレスグラウチング圧
は、覆工コンクリートの構造・厚さ、作用内水圧の大き
さ、トンネル掘削周辺岩盤の力学的特性および強化繊維
シートの材料特性等を考慮して合理的に定められる。
【0031】その後、打設された覆工コンクリート層1
3の内表面に高圧ウォータージェットもしくはエアブロ
ーを用いて洗浄、清掃を行ない、次いで、樹脂接着剤1
5の付着強度を確保するべく下地処理として、水性シラ
ン系浸透型吸水防止剤等の含浸性接着剤樹脂を用いてプ
ライマー塗布を行なう。そして、強化繊維シート材14
を接着するための上記樹脂接着剤15(たとえばグリー
ス状のエポキシ樹脂)を覆工コンクリート層13内壁面
に塗布した後、速やかにシート材14aを、強化繊維2
2aが覆工コンクリート層13内壁面の一方向、たとえ
ば、覆工コンクリート層13の内周方向に一致するよう
に貼り付ける。この際、トンネル内側から強化繊維22
aを覆工コンクリート層13の方向に沿ってしごいて樹
脂接着剤15を強化繊維シート材14a全体に含浸させ
る。その後、同様の方法によって、強化繊維シート材1
4bを、強化繊維22bが前記強化繊維22aの方向と
平行となるように貼り付ける。さらに強化繊維シート材
上に樹脂接着剤15を補充塗布し、所定の養生時間を確
保して樹脂接着剤15を硬化させる。そして、流向急変
部、落差工等の付近の表面摩耗が激しい所など、必要に
応じて、その特性に対応する表層処理を施工すれば作業
が完了する。
【0032】前記第1の実施例においては、吹き付けコ
ンクリート層11、防水・分離シート層12、覆工コン
クリート層13を形成した後、強化繊維シートが貼り付
けられて導水路トンネルの施工を完了させているが、一
定の条件下では、以下の第2の実施例に示すように、吹
き付けコンクリート層11、防水・分離シート層12、
覆工コンクリート層13等を形成することなく、単に、
導水路トンネルの掘削内壁面に強化繊維シートを直接貼
り付けることにより導水路トンネルの施工を完了させる
ことができる。このような方法によって導水路トンネル
を施工するには、導水路トンネル掘削内壁面が凹凸の少
ない良好なものであることが必要である。このために
は、TBM(トンネルボーリングマシーン)を用いて機
械掘削することが好ましい。
【0033】TBMを用いた機械掘削により、凹凸の少
ない非常に良好な円形掘削内壁面を得た後、この表面を
高圧ウォータージェットもしくはエアブローを用いて洗
浄、清掃を行ない、次いで、樹脂接着剤の付着強度を確
保するための下地処理として、水性シラン系浸透型吸水
防止剤等の含浸性接着剤樹脂を用いてプライマー塗布を
行なう。そして、強化繊維シート材を接着するための上
記樹脂接着剤(たとえばグリース状のエポキシ樹脂)を
掘削内壁面に塗布した後、速やかにシート材を、強化繊
維が掘削内壁面の一方向、たとえば、掘削内壁面の内周
方向に一致するように貼り付ける。この際、トンネル内
側から強化繊維を掘削内壁面の方向に沿ってしごいて樹
脂接着剤を強化繊維シート材全体に含浸させる。その
後、同様の方法によって、強化繊維シート材を、強化繊
維が前記強化繊維の方向と平行となるように貼り付け
る。さらに強化繊維シート材上に樹脂接着剤を補充塗布
し、所定の養生時間を確保して樹脂接着剤を硬化させ
る。そして、流向急変部、落差工等の付近の表面摩耗が
激しい所など、必要に応じて、その特性に対応する表層
処理を施工すれば作業が完了するのである。
【0034】このような方法によれば、覆工コンクリー
ト層等を形成することなく、単にエポキシ樹脂等の樹脂
接着剤を介して強化繊維シートを掘削内壁面に直接貼り
付けることにより導水路トンネルの施工が完了するた
め、きわめて低コスト、短期間で導水路トンネルを施工
することが可能となる。このようにきわめて簡単な施工
方法によって形成された導水路トンネルであっても、強
化繊維の持つきわめて高い引張り耐力および大きな弾性
特性を充分活用することにより、導水路トンネルとして
の機能を満足させることができるのである。また、トン
ネルボーリングマシーンを用いることにより、凹凸の少
ない非常に良好な円形掘削内壁面を得ることができ、掘
削内壁面に手間のかかる処理を施すことなく強化繊維シ
ートを貼り付け、導水路トンネルの施工を完了すること
ができる。
【0035】なお、場合によっては、1層の強化繊維シ
ート材のみで、作用内水圧による覆工コンクリート層あ
るいは掘削内壁面の変位および発生応力を減少させる効
果が得られることもあるが、掘削地山評価、内容変位測
定結果およびグラウト効果などに応じて、必要枚数のシ
ート材を重ね合わせて施工することが好ましい。そのよ
うに強化繊維シート材14を多層にわたって重ねて貼り
付ける場合には、少なくともいずれか1層の強化繊維シ
ート材14の強化繊維22a,22bの方向をトンネル
の周方向に合致させる方がよい。また、図2の実施例に
おいては、1層目の強化繊維シート14aの強化繊維2
2aと2層目の強化繊維シート14bの強化繊維22b
とが互いに平行になるように、2層の強化繊維シート1
4a,14bを配置したが、必要に応じてこれらが互い
に直交するように配置することも可能であることは言う
までもない。
【0036】上記実施例の導水路トンネルの施工方法に
おいては、覆工コンクリート層13内面あるいは掘削内
壁面に、高い引っ張り耐力と比較的大きな弾性特性を有
する強化繊維シート14を設けているため、この強化繊
維シート14が作用内水圧による覆工コンクリート層1
3あるいは掘削内壁面の変位を抑制し、覆工コンクリー
ト層13あるいは掘削内壁面に発生する応力を小さく
し、減少させることができる。その結果、覆工コンクリ
ート層13あるいは掘削内壁面のクラックの発生が抑え
られる。
【0037】また、第1の実施例において、前記強化繊
維シート14は作用内水圧によって覆工コンクリート層
13が受けるべき引張り応力のかなりの部分を受け持つ
ため、覆工コンクリート層13の形成に必要な鉄筋量を
減少することができ、条件によってはこれを無くすこと
も可能である。したがって、その作業環境条件や円形断
面などによる困難度の高い鉄筋工等の作業を少なくし、
あるいはなくすことができる。覆工コンクリート層13
の材料にSFRC(スチールファイバー混入コンクリー
ト)を活用すれば、上記の鉄筋量および鉄筋工等の作業
を減少させる効果をさらに高めることができる。
【0038】導水路トンネル断面・内水圧の大きさや、
トンネル周辺岩盤の力学および水理学的特性などに応じ
て、重装備の内張り鋼管等を省くことができて、工期短
縮の可能性が極めて高くなり、経済的な設計、施工とな
る。内張り鋼管が省かれると、その据え付け、継手溶接
作業等も当然なくなり、作業スペースを考えた覆工コン
クリート厚さとする必要がない。これにより、構造上必
要な覆工厚さとなり、経済的、合理的な設計となる。
【0039】また、地盤条件の評価ミス等によって、覆
工コンクリート層13にクラックが発生した場合、引張
り作用長さが小さい時に高い強度を示す強化繊維シート
14の特性によって、クラックの伸長を拘束するととも
に、高い止水効果を得ることができる。掘削地山の評価
および掘削に伴う内容変位などの計測結果に応じて、強
化繊維シート14の枚数(重ね合わせ施工数)を増減し
て施工することができるため、その評価や計測結果に応
じ覆工コンクリート層13の巻厚を変更する必要がな
い。したがって、掘削断面をそれに応じて変えなくてす
み、掘削における鋼アーチ支保工などが一様となり、取
り扱いが簡単になる。
【0040】さらに、覆工コンクリート層13内の細か
く入り組んだ鉄筋がなくなったり少なくなることによ
り、質の高い覆工コンクリートが得られ易くなる。スラ
ンプを比較的小さくし、充分締め固めることができ、耐
久性の高いコンクリートを施工できる可能性が大きくな
る。覆工コンクリート層13内面に強化繊維シート14
を設けているため、普通コンクリートに比べて高い耐摩
耗性が得られる。また、その表面粗度も比較的小さく、
打設コンクリート表面とほぼ同じであり、通水量を小さ
くするということもない。強化繊維シート14は、覆工
コンクリート層13および低圧、高圧のグラウト工の施
工に追随させて、その延長や断面の大きさに応じて機械
化した施工も可能であって、特に長い工事工程を必要と
しないものである。
【0041】さらに、TBMなどを用いた機械掘削によ
り掘削した導水路トンネルま凹凸の少ない良好な円形掘
削内壁面に、覆工コンクリート層等を形成することな
く、単にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊維
シートを直接貼り付けることにより、きわめて低コス
ト、短期間で導水路トンネルを施工することが可能とな
る。
【0042】図6は、上述の施工方法により考えられた
本発明の導水路トンネル構造の内水圧に対する耐力を、
外力から模擬的に引張り耐力を知るための試験装置を示
す正面図である。この試験装置は、油圧ジャッキ62に
より、ロードセル63、鋼けた64、角材65、ゴム板
66を介して、導水路トンネルにみたてた被測定物61
の上面に荷重を加えるとともに、これを変化させ、荷重
に対する被測定物61の変位量を測定できるようにした
ものである。
【0043】被測定物61として、厚さ82mm、長さ
704mmのヒューム管の内面に、強化繊維の炭素繊維
シート(東燃株式会社製、フォルカシート CF FA
W200)を2層(厚さ 2.0mm)、エポキシ樹脂
接着剤(東邦天然ガス株式会社製のCP−300P)に
より貼り付けたものを用いた。この強化繊維シートを貼
り付ける前と後の結果が図7のグラフに示されている。
この測定結果によると、強化繊維シートを貼り付ける前
には、約4.6トンの荷重でひび割れが発生したが、そ
の後、このヒューム管に上記強化繊維シートを貼り付け
た場合には、約10トンの荷重で強化繊維シートがはが
れた。この結果から、覆工コンクリート層内面に強化繊
維シートを有する本発明の導水路トンネル構造によれ
ば、従来の導水路トンネル構造の2倍以上の外圧に耐え
られることが推測される。
【0044】次に、図6の装置を用いて、本発明の施工
方法により得られた導水路トンネル構造の内水圧に対す
る耐力を、外方から模擬的に引張り耐力を知るため、被
測定物41として、厚さ73mm、長さ695mmのヒ
ューム管の外面に、強化繊維の炭素繊維シート(東燃株
式会社製、フォルカシート FTS−C1−17)を2
層(厚さ 0.8mm)をエポキシ樹脂接着剤(東邦天
然ガス株式会社製のCP300P)を用いて、ひび割れ
が発生したヒューム管外面に貼り付けた。このようにし
たヒューム管に上下方向から外力を加えると、ヒューム
管の左右外面に設けられている強化繊維シートは引張り
応力を受けることになり、導水路トンネル内面に設けら
れた強化繊維シートが内水圧により引張り応力を受けた
ときと同様の状態を模擬的に作ることができる。
【0045】この強化繊維シートを貼り付ける前と後の
結果が図8のグラフに示されている。この測定結果によ
ると、無処理・補強もなにもしない場合には、約4トン
の荷重でひび割れが発生したが、上記強化繊維シートを
ひび割れが発生したものに貼り付けると、約20トンの
荷重で破壊した。この結果から、覆工コンクリート層内
面に強化繊維シートを有する本発明の導水路トンネル構
造によれば、従来の導水路トンネル構造の約5倍の内水
圧に耐えられることが推測される。
【0046】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、請求項
1記載の本発明の導水路トンネルの施工方法は、防水・
分離シート層が形成されたトンネル内壁面に覆工コンク
リート層を打設した後、覆工コンクリートと防水・分離
シート層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを施
し、さらに、覆工コンクリート層内面に、高い引っ張り
耐力と比較的大きな弾性特性を有する強化繊維シートを
設けるものであるため、この強化繊維シートが作用内水
圧による覆工コンクリート層の変位を抑制し、覆工コン
クリート層に発生する応力を小さくし、減少させること
が可能となる。その結果、覆工コンクリート層のクラッ
クの発生を抑えることができる。また、万一、覆工コン
クリート層にクラックが発生した場合、引張り作用長さ
が小さい時に高い強度を示す強化繊維シートの特性によ
って、クラックの伸長を拘束するとともに、高い止水効
果を得ることができる。また、作用内水圧によって覆工
コンクリート層が受けるべき引張り応力のかなりの部分
を前記強化繊維シートが受け持つため、必要な鉄筋量が
減少し、条件によっては無くすこともできる。
【0047】また、この導水路トンネルの施工方法にお
いては、防水・分離シート層が形成されたトンネル内壁
面に覆工コンクリート層を打設し、覆工コンクリートと
防水・分離シート層との間の空隙部分にコンタクトグラ
ウトを施し、さらに打設された覆工コンクリート層表面
に樹脂接着剤を介して強化繊維シートを貼り付けるとい
う極めて簡単な方法により導水路トンネルの施工がなさ
れる。このため、高いクラックの発生抑止効果、止水効
果を持ち、かつ、地質の変化に対して充分に対応するこ
とができる導水路トンネルの施工を、短期間に低コスト
ででき、しかも、断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性
の高い地盤など、種々の条件の下でも採用することがで
きる。しかも、この導水路トンネルの施工方法において
は、覆工コンクリート層と防水・分離シート層との間の
空隙部分にコンタクトグラウトを施すものであるため、
覆工コンクリート層と防水・分離シート層との間に生じ
た空隙をてん充することができる。このため、導水路ト
ンネル坑の内水圧により覆工コンクリート層に引張力が
かかっても、前記空隙の存在によるクラックの発生は生
じない。
【0048】請求項2記載の導水路トンネルの施工方法
は、請求項1において、覆工コンクリート層と防水・分
離シート層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを施
した後、地山に高圧コンソリデーショングラウト工程を
施すものであるため、覆工コンクリート層の密着性を高
めることができるとともに、地山による支持力の増強を
図ることができる。また、覆工コンクリート打設後施工
の場合は、グラウトにより覆工コンクリート層にプレス
トレスが加わることになるため、導水路トンネル内から
この覆工コンクリート層に内水圧がかかってもこれに対
抗することができ、クラックが入ることはない。内水圧
の負荷がない場合において、外部からの漏水がクラック
を通って強化繊維シート層に水圧作用を加えることがな
いので、強化繊維シートが剥離する問題の発生を防ぐこ
とができる。
【0049】請求項3記載の導水路トンネルの施工方法
によれば、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、高強度
炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維、アラミッド繊
維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維等の有機強
化繊維という極めて高い引っ張り耐力、高靱性を有する
材料により形成されているため、高い作用内水圧あるい
は偏外圧に対して、より高いクラックの発生抑止効果、
より高い止水効果が得られる。
【0050】請求項4記載の導水路トンネル施工方法に
よれば、強化繊維シートが、ガラス等の繊維からなる基
盤クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向に配列して
エポキシ樹脂等の樹脂粘着剤により固着されているた
め、極めて高い強度、靱性を付与することができる。
【0051】請求項5記載の導水路トンネルによれば、
機械掘削により掘削した円形断面の導水路トンネルの掘
削内壁面に、覆工コンクリート層等を形成することな
く、単にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊維
シートを直接貼り付けることにより、導水路トンネルの
施工が完了する。このため、きわめて低コスト、短期間
で止水性の高い導水路トンネルを施工することが可能と
なる。さらに、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、高
強度炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維、または、
アラミッド繊維もしくはポリアリレート繊維という極め
て高い引っ張り耐力、高靱性を有する材料により形成さ
れているため、高い作用内水圧あるいは偏外圧に対し
て、より高いクラックの発生抑止効果、より高い止水効
果が得られる。
【0052】請求項6記載の導水路トンネルにおいて
は、機械掘削により掘削した円形断面の導水路トンネル
の掘削内壁面に、覆工コンクリート層等を形成すること
なく、単にエポキシ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊
維シートを直接貼り付けることにより、導水路トンネル
の施工が完了する。このため、きわめて低コスト、短期
間で止水性の高い導水路トンネルを施工することが可能
となる。さらに、強化繊維シートが、ガラス等の繊維か
らなる基盤クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向に
配列してエポキシ樹脂等の樹脂粘着剤により固着されて
いるため、極めて高い強度、靱性を付与することができ
る。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により施工された導水路トンネ
ル構造の一実施例を示す断面図である。
【図2】 覆工コンクリート部および強化繊維シート部
の拡大断面図である。
【図3】 強化繊維シート部の拡大断面図である。
【図4】 各種耐摩耗性材料のスリヘリ係数と試験時間
の関係を示すグラフである。
【図5】 高弾性炭素繊維および高強度炭素繊維の試験
時のゲージ長と平均引っ張り強度との関係を示すグラフ
である。
【図6】 本発明の導水路トンネル構造の内水圧あるい
は外圧に対する耐力を模擬的に知るための試験装置を示
す正面図である。
【図7】 強化繊維シートをヒューム管内面に貼り付け
る前と後の変位量−荷重特性の試験結果を示すグラフで
ある。
【図8】 強化繊維シートをヒューム管外面に貼り付け
る前と後の変位量−荷重特性の試験結果を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 地山 11 吹き付けコンクリート層 12 防水・分離シート層 13 覆工コンクリート層 14 強化繊維シート 14a 強化繊維シート 14b 強化繊維シート 15 樹脂接着剤 21a 基盤クロス 21b 基盤クロス 22a 強化繊維 22b 強化繊維 23 樹脂粘着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/00 E21D 11/10 E21D 11/38

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導水路トンネルを掘削する工程と、トン
    ネル掘削内壁面に防水・分離シート層を形成する工程
    と、その内面に覆工コンクリート層を打設する工程と、
    この打設された覆工コンクリート層と前記防水・分離シ
    ート層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを施す工
    程と、前記打設された覆工コンクリート層表面にエポキ
    シ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊維シートを貼り付
    ける工程とを有することを特徴とする導水路トンネルの
    施工方法。
  2. 【請求項2】 覆工コンクリート層と防水・分離シート
    層との間の空隙部分にコンタクトグラウトを施した後、
    地山に高圧コンソリデーショングラウト工程を施すこと
    を特徴とする請求項1記載の導水路トンネルの施工方
    法。
  3. 【請求項3】 前記強化繊維シートとして、高弾性炭素
    繊維、高強度炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維材
    料、アラミッド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレ
    ン繊維等のの有機強化繊維材料からなる群から選択され
    る少なくとも一つの材料を用いたことを特徴とする請求
    項1または2記載の導水路トンネルの施工方法。
  4. 【請求項4】 前記強化繊維シートは、ガラス等の繊維
    からなる基盤クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向
    に配列して樹脂粘着剤により固着してなるものであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の導水路トンネル
    の施工方法。
  5. 【請求項5】 機械掘削により円形断面の導水路トンネ
    ルが掘削され、該導水路トンネルの掘削内壁面にエポキ
    シ樹脂等の樹脂接着剤を介して強化繊維シートが直接貼
    り付けられた構成とされ、 前記強化繊維シートとして、高弾性炭素繊維、高強度炭
    素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維材料、ならびに、
    アラミッド繊維およびポリアリレート繊維の有機強化繊
    維材料からなる群から選択される少なくとも一つの材料
    が用いられていることを特徴とする導水路トンネル。
  6. 【請求項6】 機械掘削により円形断面の導水路トンネ
    ルが掘削され、 該導水路トンネルの掘削内壁面にエポキシ樹脂等の樹脂
    接着剤を介して強化繊維シートが直接貼り付けられた構
    成とされ、 前記強化繊維シートは、ガラス等の繊維からなる基盤ク
    ロスの表面に、さらに 強化繊維を一方向に配列して樹脂
    粘着剤により固着してなるものであることを特徴とする
    導水路トンネル。
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