JP3247081B6 - 引き戸枠の枠材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の開口部、クローク収納部や物品収納庫等の収納具の開口部に設けられる引き戸枠の枠材に係る。特に、この枠材の化粧性と剛性の確保、加工作業及び施工作業の簡略化を図る対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、住宅の部屋同士の間や部屋と廊下との間の開口部分及びこの開口部分に設けられた引き戸の一般的な構成を示している。このように、壁aに開口b及び引き戸収納凹部cが設けられている。この開口b及び引き戸収納凹部cの周囲部に引き戸枠dが装着されている。引き戸枠dは、上枠e、左右の縦枠f,g及び下枠としての敷居hより成っている。上枠e及び左右の縦枠f,gと壁aの表面との間には額縁iが装着されている。引き戸jは、下端に戸車kが設けられ、敷居h上を移動することで開口bを開閉する。
【0003】
引き戸枠dの一方の縦枠f(引き戸の閉鎖状態で該引き戸の端部が当接する側の縦枠)の内側面には、引き戸jの端部を収容する凹溝mが形成されている。引き戸閉鎖状態では、この凹溝mに引き戸jの端部を収容する。これにより、隙間風を防止したり、部屋内が外側から見えなくなるのを確実にしたり、部屋の明かりが外に漏れないようにしている。
【0004】
ところで、引き戸枠dの内側面には外観を良好にするために化粧シートがラッピングされている。この化粧シートは例えば塩化ビニルシート等でなる。
【0005】
ところが、上述したような凹溝mを有する引き戸枠dの場合、出隅や入隅といった角部が多数存在するため、化粧シートを単に凹溝mに沿わせて貼着するだけでは、引き戸枠dの表面に沿って貼ることが難しい。つまり、各角部で化粧シートが引き戸枠dから浮き上がり、化粧シートが各角部に沿った形状とはならず、外観の悪化を招いてしまう。
【0006】
この点を解決するものとして特開平9−60423号公報に開示された引き戸枠の枠材がある。この公報に開示されている枠材は、図16に示すように、化粧材nを基材o及び表面材pで成し、基材oの裏面で上記各角部に対応した位置にV字状の折り曲げ溝を有している。この折り曲げ溝の形成位置で化粧材nを枠材本体qに沿わせて折り曲げる。これにより、枠材本体qの出隅や入隅に沿って化粧材nを貼着することができ、引き戸枠dの外観を良好に確保することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報の構成では、以下に述べるような課題があった。
【0008】
図16に示すように、凹溝mの入隅部分において枠材本体qと化粧材nとの間に隙間rが生じることがあるため、この部分では化粧材nが破損し易い。特に、この引き戸枠dは、引き戸jの閉鎖時に、該引き戸jの端部が衝突する場合があるため、この際、化粧材nが破損してしまうことがある。
【0009】
また、上記公報に開示されている構成として、図17に示すものもある。この構成は、枠材本体qの入隅部分に小突起sを設けて、上記隙間を生じないようにしたものである。
【0010】
この小突起sを設けた場合、上記破損は発生し難くなるが、この枠材本体qの溝形状の加工が複雑になり、加工作業性が悪化して生産性が低下してしまうことになる。更には、この折り曲げ溝の位置が所定位置から僅かにずれると、化粧材nと枠材本体qとの間に上記と同様の隙間が生じてしまい、この隙間が原因となって化粧材nが破損しやすくなったり、この化粧材nの貼着作業が困難になってしまう。
【0011】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、引き戸の端部を収容する凹溝を有する枠材に対し、化粧材による外観の向上を確実に確保し、且つこの凹溝周辺部の強度を高めて化粧材の破損を防止することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記目的を達成するために、本発明が講じた手段は、引き戸枠の枠材本体の凹溝に傾斜面を形成しておき、化粧材を枠材本体に沿わせて折り曲げた際には、折り曲げ溝を形成している各面が面一状態となって傾斜面に沿って貼着され、これによって化粧材と枠材本体との間に隙間が生じないようにしたものである。
【0013】
−解決手段−
具体的に、第1の解決手段は、図1に示すように、枠材本体と化粧材とを備えた引き戸枠の枠材を前提としている。枠材本体は、引き戸に対向する内側面に、該引き戸の端部が収容される凹溝が形成されたものである。化粧材は、化粧材基材の表面に化粧シートが設けられて成り、化粧材基材の裏面に上記枠材本体の出隅角部や入隅角部に対応して折り曲げ溝が形成され、この折り曲げ溝の形成位置で折り曲げられることで化粧材基材の裏面が枠材本体に沿いながら貼着されるものである。このような枠材本体と化粧材とを備えた引き戸枠の枠材に対し、枠材本体の凹溝を形成する出隅角部と入隅角部との間の側壁面を、枠材本体の内側面に対して傾斜させる。また、上記化粧材基材に、凹溝の出隅角部に対応する出隅折り曲げ溝と、凹溝の入隅角部に対応する入隅折り曲げ溝とを連接して形成し、各折り曲げ溝に所定の開先角度を備えさせる。更に、出隅折り曲げ溝で化粧材を山折りし、入隅折り曲げ溝で化粧材を谷折りすることで、入隅折り曲げ溝の開先面同士が面一となった状態で凹溝の側壁面に沿って貼着する構成としている。
【0014】
この特定事項により、枠材本体に化粧材が貼着された状態では、入隅折り曲げ溝の開先面が凹溝の側壁面に沿うことになり、枠材本体と化粧材との間には隙間が生じない。このため、化粧材の強度が維持できる。また、枠材本体の側壁面は傾斜面であるため加工が容易である。
【0015】
第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、各折り曲げ溝を、化粧材基材の裏面をV字状に切削して形成し、入隅折り曲げ溝の開先角度を略90°に設定する。また、枠材本体の凹溝の側壁面の傾斜角度を内側面に対して略45°に設定した構成としている。
【0016】
第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、各折り曲げ溝を、化粧材基材の裏面をV字状に切削して形成し、出隅折り曲げ溝及び入隅折り曲げ溝のうち少なくとも一方の折り曲げ溝の開先形状を、化粧材基材の裏面に直交する垂線に対して非対称とした構成としている。これら特定事項により、折り曲げ溝の形状が具体化できる。
【0017】
第4の解決手段は、前提を上述した第1の解決手段の前提と略同じくし、一部の折り曲げ溝に化粧材基材を備えさせないようにして、この化粧シートを枠材本体に直接的に貼着させる。この枠材本体に直接的に貼着される化粧シートと化粧材基材との境界部分で化粧材を折り曲げて枠材本体の内側面に沿いながら貼着させる構成としている。
【0018】
この特定事項により、化粧材の適用範囲が拡大する。つまり、出隅や入隅の角部のない部分では化粧シートを枠材本体に直接的に貼着させ、化粧シートと化粧材基材との境界部分を角部の位置に一致させる等といった貼着形態を実現できる。つまり、見映えの劣化が懸念される部分には化粧材基材を利用し、それ以外の部分では化粧シートのみを利用するといった形態を採用することができる。
【0019】
また、引き戸の端部が収容される凹溝が形成されている部分では、凹溝の側壁面に沿って化粧材の化粧材基材を備えていない化粧シート部分を延ばすことによって深い凹溝にも簡便に対応できるようにすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。本形態に係る枠材1は、引き戸枠の上枠や縦枠として使用される。引き戸の構成及びこの引き戸により開閉される開口部分の構成は従来のものと略同様である(図17参照)。
【0021】
−枠材の全体構成の説明−
図1は本形態に係る枠材1の断面図である。この枠材1は、枠材本体2の表面に化粧材3が貼着されて成る。図2は枠材本体2の断面図である。図3は化粧材3を展開した状態(枠材本体2に貼着する前の状態)を示す断面図である。
【0022】
図2の如く、枠材本体2は、引き戸に対向する面である内側面2aに凹溝5が形成されている。この凹溝5は、閉鎖状態となる引き戸の端部を収容するために形成されたものである。
【0023】
本形態の特徴の1つは、この凹溝5の形状にある。該凹溝5は、枠材本体2の内側面2aから後退する底面5aを有し、この内側面2aと底面5aとが側壁面としての傾斜面5b,5bによって連結されている。つまり、上記内側面2aと傾斜面5bとにより出隅角部B,Eが、底面5aと傾斜面5bとにより入隅角部C,Dがそれぞれ形成されている。この傾斜面5b,5bは、例えば内側面2aに対して45°の角度を存している。つまり、この凹溝5は、引き戸側に向かって(図2の上側に向かって)末広がりとなる凹溝空間5cを形成している。この凹溝5の加工は、この凹溝5の形状に沿った切削具を使用する。例えば、中央部に底面切削用の1つまたは複数の刃を備え、その両側に傾斜面切削用の刃を備えた組合せカッタを使用して加工される。
【0024】
また、この枠材本体2の左右の各側面2b,2bには額縁を装着するための凹陥部6,6が形成されている。尚、この枠材本体2は、木材、合板、LVL、集成材、MDF等の木質材料により成っている。
【0025】
上記化粧材3は、図3に示すように、化粧材基材10の表面全体に化粧シート11が貼着されて成る。化粧材基材10は例えば数mmの板材で成る。この化粧材基材10は、単板、合板、MDF,LVL等により成る。一方、化粧シート11は、オレフィン樹脂シート、塩化ビニル樹脂シート、化粧紙、突板等により成り、接着剤により化粧材基材10の表面に貼着されている。
【0026】
−折り曲げ溝の説明−
本形態に係る化粧材3の特徴として、化粧材基材10の裏面の所定位置には、該化粧材3を枠材本体2の形状に沿って折り曲げるためのV字状の切り欠き部で成る折り曲げ溝10a〜10fが形成されている。
【0027】
以下、この折り曲げ溝10a〜10fの形成位置について説明する。この折り曲げ溝10a〜10fは、化粧材基材10の裏面の6箇所に形成されている。今、図3において、最も左側に位置する折り曲げ溝を第1折り曲げ溝10aと呼び、右側に位置する折り曲げ溝を順に第2〜第6の折り曲げ溝10b〜10fと呼ぶこととする。各折り曲げ溝10a〜10fは化粧材3の裏面に対する垂線(第1折り曲げ溝10aに対しては図中一点鎖線で示す直線L)を対称に左右に同角度の角度をもって切り欠かれている。具体的には、左右に46°づつの角度で切り欠かれている。このため各折り曲げ溝10a〜10fは、92°の角度(図3の角度α)で切り欠かれた切り欠き部により構成されている。尚、本明細書では、この各折り曲げ溝10a〜10fの切り欠き角度αを開先角度と呼ぶこととする。また、この各折り曲げ溝10a〜10fの切り欠き部分の面(V字カット面)を開先面と呼び、この開先面の化粧材厚さ方向の寸法を開先深さと呼ぶこととする。
【0028】
第1折り曲げ溝10a及び第6折り曲げ溝10fは、枠材本体2の両側部分の出隅A,F(図2参照)の位置に対応して形成されている。第2及び第5の折り曲げ溝10b,10eは、枠材本体2の凹溝5の各出隅B,Eの位置に対応して形成されている。第3及び第4の折り曲げ溝10c,10dは、枠材本体2の凹溝5の各入隅C,Dの位置に対応して形成されている。つまり、化粧材基材10には、枠材本体2の図中の符号A〜Fの角部(出隅及び入隅)に対応する位置であるA'〜F'の位置に折り曲げ溝10a〜10fが形成されている。
【0029】
これら折り曲げ溝10a〜10fにおける本形態の特徴とするところは、第2の折り曲げ溝10b及び第3の折り曲げ溝10cの形成位置にある。この両折り曲げ溝10b、10cは連接されている。つまり、この両折り曲げ溝10b、10c間に断面三角形状の化粧材基材12を介して互いに隣り合う位置に形成されている。また、同様に、第4の折り曲げ溝10d及び第5の折り曲げ溝10eも連接されており、この両折り曲げ溝10d、10e間にも断面三角形状の化粧材基材12が形成されている。これにより、第2の折り曲げ溝10b及び第5の折り曲げ溝10eが本発明でいう出隅折り曲げ溝となり、第3の折り曲げ溝10c及び第4の折り曲げ溝10dが本発明でいう入隅折り曲げ溝となっている。
【0030】
化粧材3を枠材本体2に貼着する際には、先ず、化粧材基材10の裏面または枠材本体2のうちの一方に接着剤を塗布しておく。この際、各折り曲げ溝10a〜10fの開先面にも接着剤を塗布する。そして、符号A〜Fの角部と符号A'〜F'の折り曲げ溝10a〜10fとを対応させ、枠材本体2の内側面2aの全面及び各側面2b,2bの一部に亘って化粧材3を貼る。この際、折り曲げ溝10a〜10fで山折りや谷折りして角部A〜Fに沿わせる。つまり、第1、第2、第5及び第6の折り曲げ溝10a,10b,10e,10fでは山折りとし、第3及び第4の折り曲げ溝10c,10dでは谷折りとすることで、化粧材3が角部A〜Fに対応する位置で折り曲げられ、見映えを良好にしながら枠材本体2に貼着される(図1参照)。また、化粧材3を枠材本体2に押圧接着するために、ロール等で化粧材3に対して枠材本体2に向かう押圧力を与える。
【0031】
この状態では、図4にも示すように、化粧材基材10の裏面が、枠材本体2の内側面2a及び凹溝5に沿うことになり、これによって、断面コ字状の引き戸収容空間13が形成されることになる。特に、山折りされる第2の折り曲げ溝10b及び第5の折り曲げ溝10eでは、この折り曲げ溝10b,10eを形成している各開先面同士が当接し、接着剤で一体的に接着されることになる。一方、谷折りされる第3の折り曲げ溝10c及び第4の折り曲げ溝10dでは、この折り曲げ溝10c,10dを形成している各開先面同士が面一状態となり、凹溝5の傾斜面5bに接着剤により接着されることになる。
【0032】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本形態では、第2の折り曲げ溝10bと第3の折り曲げ溝10cとが連接され、また、第4の折り曲げ溝10dと第5の折り曲げ溝10eとも連接されている。そして、第2の折り曲げ溝10b及び第5の折り曲げ溝10eを山折りし、第3の折り曲げ溝10c及び第4の折り曲げ溝10dを谷折りすることで、化粧材3を凹溝5の角部に対応する位置で折り曲げて枠材本体2に貼着している。これにより、第3の折り曲げ溝10cの開先面及び第4の折り曲げ溝10dの開先面が凹溝5の傾斜面5b、5bに隙間無く貼着される。従って、枠材本体2と化粧材3との間に隙間が生じることはない。その結果、凹溝5の周辺部の強度を高めることで化粧材3の破損を防止することができる。また、枠材本体2の凹溝5は、底面5a及び傾斜面5b,5bのみによって形成されるため、この凹溝5の加工作業を容易に行うことが可能である。つまり、従来では、枠材本体2と化粧材3との間に隙間が生じてしまったり(図18参照)、この隙間を生じさせないために凹溝5を複雑な形状にしていた(図19参照)。本形態では、このような課題を解消でき、実用性の高い引き戸の枠材1を得ることができる。
【0033】
尚、本形態において、各折り曲げ溝10a〜10fの角度を92°に設定した理由は、山折りされる折り曲げ溝10a,10b,10e,10fの開先面同士の間に接着剤を存在させることで十分な接着力を確保し、また、化粧材3を枠材本体2に押圧する際に、化粧シート11の折り曲げ部分が僅かに鋭角となる位置まで化粧材3を折り曲げて押圧できるようにし、化粧材3と枠材本体2との接着力が十分に得られるようにするためである。
【0034】
また、本形態では、凹溝5の傾斜面5bの角度を45°に設定したが、これ以外の角度であっても上記と同様の効果を得ることができる。この場合、各折り曲げ溝10b,10c,10d,10eの開先角度を変更して、開先面同士及び開先面と凹溝5の傾斜面とが当接するように変更する必要がある。
【0035】
【発明の実施の形態2】
次に、本発明の実施形態2について説明する。本形態は、化粧材3の形状の変形例であって、その他の構成は上述した実施形態1と同様である。従って、ここでは実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0036】
図5(図1相当図)及び図6(図4相当図)に示すように、化粧材3のうち、凹溝5の底面5aに貼着する部分には、幅寸法の小さい凹陥部3aが形成されている。この凹陥部3aは、引き戸閉鎖時の衝撃を緩らげるための図示しないクッション材を取り付けるためのものである。その他の構成は、上述した実施形態1のものと同様である。
【0037】
【発明の実施の形態3】
次に、本発明の実施形態3について説明する。本形態においても上述した実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0038】
図7に示すように、本形態は、化粧材3が枠材本体2の背面側に巻き付いた状態で、該枠材本体2に貼着された構成となっている。つまり、図8に示すように、枠材本体2の背面には、化粧材3の巻き付き部となる溝部2c,2cが形成されている。化粧材3には、枠材本体2の側面2b,2bと溝部2c,2cとの間の出隅G,Hに対応した折り曲げ溝10g,10hが形成されている。この折り曲げ溝10g,10hの形状は、上述した実施形態1の折り曲げ溝10a〜10fと同様である。これにより、化粧材3の両端部分が、この溝部2c,2cに巻き付いた状態で枠材本体2に貼着可能とされている。
【0039】
また、本形態のもう一つの特徴としては、枠材1の両側の出隅A,Fにおいて、化粧材3の表面を傾斜面20,20で形成していることにある。つまり、外観上、この出隅部分が面取りされたような形状に仕上がるようにしている(図7参照)。この傾斜面20,20を形成するための構成としては、図9に示すように、化粧材基材10の裏面に形成される折り曲げ溝10a〜10hのうち、上記枠材1の両側の出隅A,Fに対応する位置の折り曲げ溝10a,10fでは、断面三角形状の小突起21が残されている。つまり、この部分では、折り曲げ溝10a,10fの開先深さを他の折り曲げ溝よりも浅くし、且つその中央部に小突起21を残している。
【0040】
このため、この小突起21の両側で化粧材3が山折りされることにより出隅部分に傾斜面20,20が形成される。
【0041】
尚、本形態に係る枠材1は、化粧材3のうち、凹溝5の底面5aに貼着する部分の2箇所に、幅寸法の小さい凹陥部3a,3aが形成されている(図10参照)。この凹陥部3a,3aも、図示しないクッション材を固定するための該クッション材の2本の脚部を取り付けるために設けられている。
【0042】
【発明の実施の形態4】
次に、本発明の実施形態4について説明する。本形態においても上述した実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0043】
図11及び図12に示すように、本形態の化粧材基材10に形成されている折り曲げ溝10b,10cは、化粧材3の裏面に対する垂線(図12中に一点鎖線で示す直線L)に対して非対称となっている。具体的には、第2の折り曲げ溝10bでは、図中左側に30°、右側に60°の切り欠き角度を有している。一方、第3の折り曲げ溝10cでは、図中左側に60°、右側に30°の切り欠き角度している。そして、図12から判るように切り欠き断面がM型の4つの各辺の長さが略同じ長さに形成されている。このように形成すると、実施形態1のものに比較して凹溝5の溝幅や溝深さTを広くすることができる。
【0044】
尚、本形態の場合も、枠材本体2の凹溝5の形状は、折り曲げられた化粧材3の裏面形状に適用させておく必要がある。
【0045】
【発明の実施の形態5】
次に、本発明の実施形態5について説明する。本形態においても上述した実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0046】
図13及び図14に示すように、本形態に係る化粧材3は、一部分に化粧材基材10を有しない構成となっている。つまり、実施形態1における第3の折り曲げ溝10cに相当する部分を化粧シート11のみで形成するようにしている。
【0047】
この構成により、特に、図13に示すように側壁面5bに傾斜面を有する凹溝5の溝深さが深い枠材本体2に対して化粧材3を貼着する場合、化粧シート11のみで形成する部分の寸法を凹溝5の深さに適用して設定しておけば、この化粧シート11のみで形成する部分が凹溝5の内側面に沿って貼着されることになる。つまり、この化粧シート11のみで形成する部分の寸法を任意に設定することで如何なる深さ寸法の凹溝5に対しても適用可能となる。
【0048】
尚、本発明を適用する枠材1の形状は上述した各実施形態のものに限らない。つまり、枠材本体2の形状や、凹溝5の形成位置及びその形状、更には、化粧材3の構成等が上述したものとは異なるものであっても本発明を適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、以下のような効果が発揮される。請求項1記載の発明では、引き戸の端部を収容する凹溝を備えた枠材本体と、化粧材基材の表面に化粧シートが設けられて成り枠材本体に沿って貼着される化粧材とを備えた枠材に対し、枠材本体の凹溝に傾斜面を形成しておき、化粧材を枠材本体に沿わせて折り曲げた際には、折り曲げ溝を形成している各開先面が面一となって上記傾斜面に沿って貼着されるようにしている。このため、枠材本体と化粧材との間に隙間が生じることはなくなる。その結果、凹溝の周辺部の強度を高めることで化粧材の破損を防止することができる。また、枠材本体の凹溝を形成する側壁面は傾斜面であるため、この凹溝の加工作業を容易に行うことが可能であり生産性の向上を図ることができる。更に、化粧材を枠材本体に貼着する際には、この傾斜面に沿わせながら貼着作業を行うことになり作業性の向上を図ることもできる。
【0050】
請求項2及び請求項3記載の発明では、折り曲げ溝の形状を具体化することができる。特に、請求項3記載の発明では、凹溝の溝幅を広くすることができる。
【0051】
請求項4記載の発明では、一部の折り曲げ溝に化粧材基材を備えさせないようにして、この化粧シートを枠材本体に直接的に貼着させるようにしている。このため、凹溝の深さ等の引き戸枠本体の形状変化への適用範囲の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る枠材の断面図である。
【図2】実施形態1に係る枠材本体の断面図である。
【図3】実施形態1に係る化粧材を展開した状態を示す断面図である。
【図4】実施形態1における引き戸収容空間部分を拡大して示す断面図である。
【図5】実施形態2における図1相当図である。
【図6】実施形態2における図4相当図である。
【図7】実施形態3における図1相当図である。
【図8】実施形態3における図2相当図である。
【図9】実施形態3における図3相当図である。
【図10】実施形態3における図4相当図である。
【図11】実施形態4における図4相当図である。
【図12】実施形態4における図3相当図である。
【図13】実施形態5における図4相当図である。
【図14】実施形態5における図3相当図である。
【図15】(a)は引き戸配設部分の平断面図、(b)は引き戸配設部分の側断面図である。
【図16】従来の枠材を示す断面図である。
【図17】従来の他の枠材を示す断面図である。
【符号の説明】
1 枠材
2 枠材本体
2a 内側面
3 化粧材
5 凹溝
5b 傾斜面(側壁面)
10 化粧材基材
10a〜10f折り曲げ溝
11 化粧シート
A〜H 角部
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の開口部、クローク収納部や物品収納庫等の収納具の開口部に設けられる引き戸枠の枠材に係る。特に、この枠材の化粧性と剛性の確保、加工作業及び施工作業の簡略化を図る対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、住宅の部屋同士の間や部屋と廊下との間の開口部分及びこの開口部分に設けられた引き戸の一般的な構成を示している。このように、壁aに開口b及び引き戸収納凹部cが設けられている。この開口b及び引き戸収納凹部cの周囲部に引き戸枠dが装着されている。引き戸枠dは、上枠e、左右の縦枠f,g及び下枠としての敷居hより成っている。上枠e及び左右の縦枠f,gと壁aの表面との間には額縁iが装着されている。引き戸jは、下端に戸車kが設けられ、敷居h上を移動することで開口bを開閉する。
【0003】
引き戸枠dの一方の縦枠f(引き戸の閉鎖状態で該引き戸の端部が当接する側の縦枠)の内側面には、引き戸jの端部を収容する凹溝mが形成されている。引き戸閉鎖状態では、この凹溝mに引き戸jの端部を収容する。これにより、隙間風を防止したり、部屋内が外側から見えなくなるのを確実にしたり、部屋の明かりが外に漏れないようにしている。
【0004】
ところで、引き戸枠dの内側面には外観を良好にするために化粧シートがラッピングされている。この化粧シートは例えば塩化ビニルシート等でなる。
【0005】
ところが、上述したような凹溝mを有する引き戸枠dの場合、出隅や入隅といった角部が多数存在するため、化粧シートを単に凹溝mに沿わせて貼着するだけでは、引き戸枠dの表面に沿って貼ることが難しい。つまり、各角部で化粧シートが引き戸枠dから浮き上がり、化粧シートが各角部に沿った形状とはならず、外観の悪化を招いてしまう。
【0006】
この点を解決するものとして特開平9−60423号公報に開示された引き戸枠の枠材がある。この公報に開示されている枠材は、図16に示すように、化粧材nを基材o及び表面材pで成し、基材oの裏面で上記各角部に対応した位置にV字状の折り曲げ溝を有している。この折り曲げ溝の形成位置で化粧材nを枠材本体qに沿わせて折り曲げる。これにより、枠材本体qの出隅や入隅に沿って化粧材nを貼着することができ、引き戸枠dの外観を良好に確保することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報の構成では、以下に述べるような課題があった。
【0008】
図16に示すように、凹溝mの入隅部分において枠材本体qと化粧材nとの間に隙間rが生じることがあるため、この部分では化粧材nが破損し易い。特に、この引き戸枠dは、引き戸jの閉鎖時に、該引き戸jの端部が衝突する場合があるため、この際、化粧材nが破損してしまうことがある。
【0009】
また、上記公報に開示されている構成として、図17に示すものもある。この構成は、枠材本体qの入隅部分に小突起sを設けて、上記隙間を生じないようにしたものである。
【0010】
この小突起sを設けた場合、上記破損は発生し難くなるが、この枠材本体qの溝形状の加工が複雑になり、加工作業性が悪化して生産性が低下してしまうことになる。更には、この折り曲げ溝の位置が所定位置から僅かにずれると、化粧材nと枠材本体qとの間に上記と同様の隙間が生じてしまい、この隙間が原因となって化粧材nが破損しやすくなったり、この化粧材nの貼着作業が困難になってしまう。
【0011】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、引き戸の端部を収容する凹溝を有する枠材に対し、化粧材による外観の向上を確実に確保し、且つこの凹溝周辺部の強度を高めて化粧材の破損を防止することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記目的を達成するために、本発明が講じた手段は、引き戸枠の枠材本体の凹溝に傾斜面を形成しておき、化粧材を枠材本体に沿わせて折り曲げた際には、折り曲げ溝を形成している各面が面一状態となって傾斜面に沿って貼着され、これによって化粧材と枠材本体との間に隙間が生じないようにしたものである。
【0013】
−解決手段−
具体的に、第1の解決手段は、図1に示すように、枠材本体と化粧材とを備えた引き戸枠の枠材を前提としている。枠材本体は、引き戸に対向する内側面に、該引き戸の端部が収容される凹溝が形成されたものである。化粧材は、化粧材基材の表面に化粧シートが設けられて成り、化粧材基材の裏面に上記枠材本体の出隅角部や入隅角部に対応して折り曲げ溝が形成され、この折り曲げ溝の形成位置で折り曲げられることで化粧材基材の裏面が枠材本体に沿いながら貼着されるものである。このような枠材本体と化粧材とを備えた引き戸枠の枠材に対し、枠材本体の凹溝を形成する出隅角部と入隅角部との間の側壁面を、枠材本体の内側面に対して傾斜させる。また、上記化粧材基材に、凹溝の出隅角部に対応する出隅折り曲げ溝と、凹溝の入隅角部に対応する入隅折り曲げ溝とを連接して形成し、各折り曲げ溝に所定の開先角度を備えさせる。更に、出隅折り曲げ溝で化粧材を山折りし、入隅折り曲げ溝で化粧材を谷折りすることで、入隅折り曲げ溝の開先面同士が面一となった状態で凹溝の側壁面に沿って貼着する構成としている。
【0014】
この特定事項により、枠材本体に化粧材が貼着された状態では、入隅折り曲げ溝の開先面が凹溝の側壁面に沿うことになり、枠材本体と化粧材との間には隙間が生じない。このため、化粧材の強度が維持できる。また、枠材本体の側壁面は傾斜面であるため加工が容易である。
【0015】
第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、各折り曲げ溝を、化粧材基材の裏面をV字状に切削して形成し、入隅折り曲げ溝の開先角度を略90°に設定する。また、枠材本体の凹溝の側壁面の傾斜角度を内側面に対して略45°に設定した構成としている。
【0016】
第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、各折り曲げ溝を、化粧材基材の裏面をV字状に切削して形成し、出隅折り曲げ溝及び入隅折り曲げ溝のうち少なくとも一方の折り曲げ溝の開先形状を、化粧材基材の裏面に直交する垂線に対して非対称とした構成としている。これら特定事項により、折り曲げ溝の形状が具体化できる。
【0017】
第4の解決手段は、前提を上述した第1の解決手段の前提と略同じくし、一部の折り曲げ溝に化粧材基材を備えさせないようにして、この化粧シートを枠材本体に直接的に貼着させる。この枠材本体に直接的に貼着される化粧シートと化粧材基材との境界部分で化粧材を折り曲げて枠材本体の内側面に沿いながら貼着させる構成としている。
【0018】
この特定事項により、化粧材の適用範囲が拡大する。つまり、出隅や入隅の角部のない部分では化粧シートを枠材本体に直接的に貼着させ、化粧シートと化粧材基材との境界部分を角部の位置に一致させる等といった貼着形態を実現できる。つまり、見映えの劣化が懸念される部分には化粧材基材を利用し、それ以外の部分では化粧シートのみを利用するといった形態を採用することができる。
【0019】
また、引き戸の端部が収容される凹溝が形成されている部分では、凹溝の側壁面に沿って化粧材の化粧材基材を備えていない化粧シート部分を延ばすことによって深い凹溝にも簡便に対応できるようにすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。本形態に係る枠材1は、引き戸枠の上枠や縦枠として使用される。引き戸の構成及びこの引き戸により開閉される開口部分の構成は従来のものと略同様である(図17参照)。
【0021】
−枠材の全体構成の説明−
図1は本形態に係る枠材1の断面図である。この枠材1は、枠材本体2の表面に化粧材3が貼着されて成る。図2は枠材本体2の断面図である。図3は化粧材3を展開した状態(枠材本体2に貼着する前の状態)を示す断面図である。
【0022】
図2の如く、枠材本体2は、引き戸に対向する面である内側面2aに凹溝5が形成されている。この凹溝5は、閉鎖状態となる引き戸の端部を収容するために形成されたものである。
【0023】
本形態の特徴の1つは、この凹溝5の形状にある。該凹溝5は、枠材本体2の内側面2aから後退する底面5aを有し、この内側面2aと底面5aとが側壁面としての傾斜面5b,5bによって連結されている。つまり、上記内側面2aと傾斜面5bとにより出隅角部B,Eが、底面5aと傾斜面5bとにより入隅角部C,Dがそれぞれ形成されている。この傾斜面5b,5bは、例えば内側面2aに対して45°の角度を存している。つまり、この凹溝5は、引き戸側に向かって(図2の上側に向かって)末広がりとなる凹溝空間5cを形成している。この凹溝5の加工は、この凹溝5の形状に沿った切削具を使用する。例えば、中央部に底面切削用の1つまたは複数の刃を備え、その両側に傾斜面切削用の刃を備えた組合せカッタを使用して加工される。
【0024】
また、この枠材本体2の左右の各側面2b,2bには額縁を装着するための凹陥部6,6が形成されている。尚、この枠材本体2は、木材、合板、LVL、集成材、MDF等の木質材料により成っている。
【0025】
上記化粧材3は、図3に示すように、化粧材基材10の表面全体に化粧シート11が貼着されて成る。化粧材基材10は例えば数mmの板材で成る。この化粧材基材10は、単板、合板、MDF,LVL等により成る。一方、化粧シート11は、オレフィン樹脂シート、塩化ビニル樹脂シート、化粧紙、突板等により成り、接着剤により化粧材基材10の表面に貼着されている。
【0026】
−折り曲げ溝の説明−
本形態に係る化粧材3の特徴として、化粧材基材10の裏面の所定位置には、該化粧材3を枠材本体2の形状に沿って折り曲げるためのV字状の切り欠き部で成る折り曲げ溝10a〜10fが形成されている。
【0027】
以下、この折り曲げ溝10a〜10fの形成位置について説明する。この折り曲げ溝10a〜10fは、化粧材基材10の裏面の6箇所に形成されている。今、図3において、最も左側に位置する折り曲げ溝を第1折り曲げ溝10aと呼び、右側に位置する折り曲げ溝を順に第2〜第6の折り曲げ溝10b〜10fと呼ぶこととする。各折り曲げ溝10a〜10fは化粧材3の裏面に対する垂線(第1折り曲げ溝10aに対しては図中一点鎖線で示す直線L)を対称に左右に同角度の角度をもって切り欠かれている。具体的には、左右に46°づつの角度で切り欠かれている。このため各折り曲げ溝10a〜10fは、92°の角度(図3の角度α)で切り欠かれた切り欠き部により構成されている。尚、本明細書では、この各折り曲げ溝10a〜10fの切り欠き角度αを開先角度と呼ぶこととする。また、この各折り曲げ溝10a〜10fの切り欠き部分の面(V字カット面)を開先面と呼び、この開先面の化粧材厚さ方向の寸法を開先深さと呼ぶこととする。
【0028】
第1折り曲げ溝10a及び第6折り曲げ溝10fは、枠材本体2の両側部分の出隅A,F(図2参照)の位置に対応して形成されている。第2及び第5の折り曲げ溝10b,10eは、枠材本体2の凹溝5の各出隅B,Eの位置に対応して形成されている。第3及び第4の折り曲げ溝10c,10dは、枠材本体2の凹溝5の各入隅C,Dの位置に対応して形成されている。つまり、化粧材基材10には、枠材本体2の図中の符号A〜Fの角部(出隅及び入隅)に対応する位置であるA'〜F'の位置に折り曲げ溝10a〜10fが形成されている。
【0029】
これら折り曲げ溝10a〜10fにおける本形態の特徴とするところは、第2の折り曲げ溝10b及び第3の折り曲げ溝10cの形成位置にある。この両折り曲げ溝10b、10cは連接されている。つまり、この両折り曲げ溝10b、10c間に断面三角形状の化粧材基材12を介して互いに隣り合う位置に形成されている。また、同様に、第4の折り曲げ溝10d及び第5の折り曲げ溝10eも連接されており、この両折り曲げ溝10d、10e間にも断面三角形状の化粧材基材12が形成されている。これにより、第2の折り曲げ溝10b及び第5の折り曲げ溝10eが本発明でいう出隅折り曲げ溝となり、第3の折り曲げ溝10c及び第4の折り曲げ溝10dが本発明でいう入隅折り曲げ溝となっている。
【0030】
化粧材3を枠材本体2に貼着する際には、先ず、化粧材基材10の裏面または枠材本体2のうちの一方に接着剤を塗布しておく。この際、各折り曲げ溝10a〜10fの開先面にも接着剤を塗布する。そして、符号A〜Fの角部と符号A'〜F'の折り曲げ溝10a〜10fとを対応させ、枠材本体2の内側面2aの全面及び各側面2b,2bの一部に亘って化粧材3を貼る。この際、折り曲げ溝10a〜10fで山折りや谷折りして角部A〜Fに沿わせる。つまり、第1、第2、第5及び第6の折り曲げ溝10a,10b,10e,10fでは山折りとし、第3及び第4の折り曲げ溝10c,10dでは谷折りとすることで、化粧材3が角部A〜Fに対応する位置で折り曲げられ、見映えを良好にしながら枠材本体2に貼着される(図1参照)。また、化粧材3を枠材本体2に押圧接着するために、ロール等で化粧材3に対して枠材本体2に向かう押圧力を与える。
【0031】
この状態では、図4にも示すように、化粧材基材10の裏面が、枠材本体2の内側面2a及び凹溝5に沿うことになり、これによって、断面コ字状の引き戸収容空間13が形成されることになる。特に、山折りされる第2の折り曲げ溝10b及び第5の折り曲げ溝10eでは、この折り曲げ溝10b,10eを形成している各開先面同士が当接し、接着剤で一体的に接着されることになる。一方、谷折りされる第3の折り曲げ溝10c及び第4の折り曲げ溝10dでは、この折り曲げ溝10c,10dを形成している各開先面同士が面一状態となり、凹溝5の傾斜面5bに接着剤により接着されることになる。
【0032】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本形態では、第2の折り曲げ溝10bと第3の折り曲げ溝10cとが連接され、また、第4の折り曲げ溝10dと第5の折り曲げ溝10eとも連接されている。そして、第2の折り曲げ溝10b及び第5の折り曲げ溝10eを山折りし、第3の折り曲げ溝10c及び第4の折り曲げ溝10dを谷折りすることで、化粧材3を凹溝5の角部に対応する位置で折り曲げて枠材本体2に貼着している。これにより、第3の折り曲げ溝10cの開先面及び第4の折り曲げ溝10dの開先面が凹溝5の傾斜面5b、5bに隙間無く貼着される。従って、枠材本体2と化粧材3との間に隙間が生じることはない。その結果、凹溝5の周辺部の強度を高めることで化粧材3の破損を防止することができる。また、枠材本体2の凹溝5は、底面5a及び傾斜面5b,5bのみによって形成されるため、この凹溝5の加工作業を容易に行うことが可能である。つまり、従来では、枠材本体2と化粧材3との間に隙間が生じてしまったり(図18参照)、この隙間を生じさせないために凹溝5を複雑な形状にしていた(図19参照)。本形態では、このような課題を解消でき、実用性の高い引き戸の枠材1を得ることができる。
【0033】
尚、本形態において、各折り曲げ溝10a〜10fの角度を92°に設定した理由は、山折りされる折り曲げ溝10a,10b,10e,10fの開先面同士の間に接着剤を存在させることで十分な接着力を確保し、また、化粧材3を枠材本体2に押圧する際に、化粧シート11の折り曲げ部分が僅かに鋭角となる位置まで化粧材3を折り曲げて押圧できるようにし、化粧材3と枠材本体2との接着力が十分に得られるようにするためである。
【0034】
また、本形態では、凹溝5の傾斜面5bの角度を45°に設定したが、これ以外の角度であっても上記と同様の効果を得ることができる。この場合、各折り曲げ溝10b,10c,10d,10eの開先角度を変更して、開先面同士及び開先面と凹溝5の傾斜面とが当接するように変更する必要がある。
【0035】
【発明の実施の形態2】
次に、本発明の実施形態2について説明する。本形態は、化粧材3の形状の変形例であって、その他の構成は上述した実施形態1と同様である。従って、ここでは実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0036】
図5(図1相当図)及び図6(図4相当図)に示すように、化粧材3のうち、凹溝5の底面5aに貼着する部分には、幅寸法の小さい凹陥部3aが形成されている。この凹陥部3aは、引き戸閉鎖時の衝撃を緩らげるための図示しないクッション材を取り付けるためのものである。その他の構成は、上述した実施形態1のものと同様である。
【0037】
【発明の実施の形態3】
次に、本発明の実施形態3について説明する。本形態においても上述した実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0038】
図7に示すように、本形態は、化粧材3が枠材本体2の背面側に巻き付いた状態で、該枠材本体2に貼着された構成となっている。つまり、図8に示すように、枠材本体2の背面には、化粧材3の巻き付き部となる溝部2c,2cが形成されている。化粧材3には、枠材本体2の側面2b,2bと溝部2c,2cとの間の出隅G,Hに対応した折り曲げ溝10g,10hが形成されている。この折り曲げ溝10g,10hの形状は、上述した実施形態1の折り曲げ溝10a〜10fと同様である。これにより、化粧材3の両端部分が、この溝部2c,2cに巻き付いた状態で枠材本体2に貼着可能とされている。
【0039】
また、本形態のもう一つの特徴としては、枠材1の両側の出隅A,Fにおいて、化粧材3の表面を傾斜面20,20で形成していることにある。つまり、外観上、この出隅部分が面取りされたような形状に仕上がるようにしている(図7参照)。この傾斜面20,20を形成するための構成としては、図9に示すように、化粧材基材10の裏面に形成される折り曲げ溝10a〜10hのうち、上記枠材1の両側の出隅A,Fに対応する位置の折り曲げ溝10a,10fでは、断面三角形状の小突起21が残されている。つまり、この部分では、折り曲げ溝10a,10fの開先深さを他の折り曲げ溝よりも浅くし、且つその中央部に小突起21を残している。
【0040】
このため、この小突起21の両側で化粧材3が山折りされることにより出隅部分に傾斜面20,20が形成される。
【0041】
尚、本形態に係る枠材1は、化粧材3のうち、凹溝5の底面5aに貼着する部分の2箇所に、幅寸法の小さい凹陥部3a,3aが形成されている(図10参照)。この凹陥部3a,3aも、図示しないクッション材を固定するための該クッション材の2本の脚部を取り付けるために設けられている。
【0042】
【発明の実施の形態4】
次に、本発明の実施形態4について説明する。本形態においても上述した実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0043】
図11及び図12に示すように、本形態の化粧材基材10に形成されている折り曲げ溝10b,10cは、化粧材3の裏面に対する垂線(図12中に一点鎖線で示す直線L)に対して非対称となっている。具体的には、第2の折り曲げ溝10bでは、図中左側に30°、右側に60°の切り欠き角度を有している。一方、第3の折り曲げ溝10cでは、図中左側に60°、右側に30°の切り欠き角度している。そして、図12から判るように切り欠き断面がM型の4つの各辺の長さが略同じ長さに形成されている。このように形成すると、実施形態1のものに比較して凹溝5の溝幅や溝深さTを広くすることができる。
【0044】
尚、本形態の場合も、枠材本体2の凹溝5の形状は、折り曲げられた化粧材3の裏面形状に適用させておく必要がある。
【0045】
【発明の実施の形態5】
次に、本発明の実施形態5について説明する。本形態においても上述した実施形態1との相違点についてのみ説明する。
【0046】
図13及び図14に示すように、本形態に係る化粧材3は、一部分に化粧材基材10を有しない構成となっている。つまり、実施形態1における第3の折り曲げ溝10cに相当する部分を化粧シート11のみで形成するようにしている。
【0047】
この構成により、特に、図13に示すように側壁面5bに傾斜面を有する凹溝5の溝深さが深い枠材本体2に対して化粧材3を貼着する場合、化粧シート11のみで形成する部分の寸法を凹溝5の深さに適用して設定しておけば、この化粧シート11のみで形成する部分が凹溝5の内側面に沿って貼着されることになる。つまり、この化粧シート11のみで形成する部分の寸法を任意に設定することで如何なる深さ寸法の凹溝5に対しても適用可能となる。
【0048】
尚、本発明を適用する枠材1の形状は上述した各実施形態のものに限らない。つまり、枠材本体2の形状や、凹溝5の形成位置及びその形状、更には、化粧材3の構成等が上述したものとは異なるものであっても本発明を適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、以下のような効果が発揮される。請求項1記載の発明では、引き戸の端部を収容する凹溝を備えた枠材本体と、化粧材基材の表面に化粧シートが設けられて成り枠材本体に沿って貼着される化粧材とを備えた枠材に対し、枠材本体の凹溝に傾斜面を形成しておき、化粧材を枠材本体に沿わせて折り曲げた際には、折り曲げ溝を形成している各開先面が面一となって上記傾斜面に沿って貼着されるようにしている。このため、枠材本体と化粧材との間に隙間が生じることはなくなる。その結果、凹溝の周辺部の強度を高めることで化粧材の破損を防止することができる。また、枠材本体の凹溝を形成する側壁面は傾斜面であるため、この凹溝の加工作業を容易に行うことが可能であり生産性の向上を図ることができる。更に、化粧材を枠材本体に貼着する際には、この傾斜面に沿わせながら貼着作業を行うことになり作業性の向上を図ることもできる。
【0050】
請求項2及び請求項3記載の発明では、折り曲げ溝の形状を具体化することができる。特に、請求項3記載の発明では、凹溝の溝幅を広くすることができる。
【0051】
請求項4記載の発明では、一部の折り曲げ溝に化粧材基材を備えさせないようにして、この化粧シートを枠材本体に直接的に貼着させるようにしている。このため、凹溝の深さ等の引き戸枠本体の形状変化への適用範囲の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る枠材の断面図である。
【図2】実施形態1に係る枠材本体の断面図である。
【図3】実施形態1に係る化粧材を展開した状態を示す断面図である。
【図4】実施形態1における引き戸収容空間部分を拡大して示す断面図である。
【図5】実施形態2における図1相当図である。
【図6】実施形態2における図4相当図である。
【図7】実施形態3における図1相当図である。
【図8】実施形態3における図2相当図である。
【図9】実施形態3における図3相当図である。
【図10】実施形態3における図4相当図である。
【図11】実施形態4における図4相当図である。
【図12】実施形態4における図3相当図である。
【図13】実施形態5における図4相当図である。
【図14】実施形態5における図3相当図である。
【図15】(a)は引き戸配設部分の平断面図、(b)は引き戸配設部分の側断面図である。
【図16】従来の枠材を示す断面図である。
【図17】従来の他の枠材を示す断面図である。
【符号の説明】
1 枠材
2 枠材本体
2a 内側面
3 化粧材
5 凹溝
5b 傾斜面(側壁面)
10 化粧材基材
10a〜10f折り曲げ溝
11 化粧シート
A〜H 角部
Claims (4)
- 引き戸に対向する内側面に、該引き戸の端部が収容される凹溝が形成された枠材本体と、
化粧材基材の表面に化粧シートが設けられて成り、化粧材基材の裏面に上記枠材本体の出隅角部や入隅角部に対応して折り曲げ溝が形成され、この折り曲げ溝の形成位置で折り曲げられることで化粧材基材の裏面が枠材本体に沿いながら貼着される化粧材とを備えた引き戸枠の枠材において、
上記枠材本体の凹溝を形成する出隅角部と入隅角部との間の側壁面は、枠材本体の内側面に対して傾斜しており、
上記化粧材基材には、凹溝の出隅角部に対応する出隅折り曲げ溝と、凹溝の入隅角部に対応する入隅折り曲げ溝とが連接して形成され、各折り曲げ溝は所定の開先角度を有していて、
出隅折り曲げ溝では化粧材が山折りされ、入隅折り曲げ溝では化粧材が谷折りされて、入隅折り曲げ溝の開先面同士が面一となった状態で凹溝の側壁面に沿って貼着されていることを特徴とする引き戸枠の枠材。 - 請求項1記載の引き戸枠の枠材において、
各折り曲げ溝は、化粧材基材の裏面がV字状に切削されて形成されており、入隅折り曲げ溝の開先角度は略90°に設定されており、
枠材本体の凹溝の側壁面の傾斜角度は内側面に対して略45°に設定されていることを特徴とする引き戸枠の枠材。 - 請求項1記載の引き戸枠の枠材において、
各折り曲げ溝は、化粧材基材の裏面がV字状に切削されて形成されており、出隅折り曲げ溝及び入隅折り曲げ溝のうち少なくとも一方の折り曲げ溝の開先形状は、化粧材基材の裏面に直交する垂線に対して非対称とされていることを特徴とする引き戸枠の枠材。 - 引き戸に対向する内側面に、該引き戸の端部が収容される凹溝が形成された枠材本体と、
化粧材基材の表面に化粧シートが設けられて成り、化粧材基材の裏面に複数の折り曲げ溝が形成され、この折り曲げ溝の形成位置で折り曲げられることで化粧材基材の裏面が枠材本体に沿いながら貼着される化粧材とを備えた引き戸枠の枠材において、
一部の折り曲げ溝では、化粧材基材を有しておらず、化粧シートが枠材本体に直接的に貼着されており、この枠材本体に直接的に貼着される化粧シートと化粧材基材との境界部分で化粧材が折り曲げられて枠材本体の内側面に沿いながら貼着されていることを特徴とする引き戸枠の枠材。
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