JP3245435U - 路面融雪施設 - Google Patents

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Abstract

【課題】現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートの熱伝導性を高めることで、従来使用されていなかった低温の地下水を熱源とする場合や地下水量が足りない場合にも有効に施設を構築できるなど、設置条件を緩和でき、舗装体のコンクリート内に埋設・配置された放熱管の管路同士の間隔を広めることが可能となって、敷設コストの低減や耐久性の向上ができる路面融雪施設を提供する。【解決手段】現場で打設されて形成される舗装体のコンクリート20に埋設された放熱管30に、熱媒体としての所要温度の液体を通すことで路面21の融雪を行う路面融雪施設において、舗装体のコンクリート20は、クラック防止用の鉄網が埋設されて道路や歩道の路面を形成するものであって、舗装体のコンクリート20を構成する細骨材の一部が、砂粒状の人造黒鉛に置換されたものであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

この考案は、道路などの現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートに埋設された放熱管に、熱媒体として地下水などの所要温度の液体を通すことで路面の融雪を行う路面融雪施設に関する。
従来から、路面に降った雪は融雪によって除去することが、人や車両のスリップ事故を防止するための最善の方法であるが、その融雪には、熱エネルギーが必要になる。このため、熱源として電熱体を埋設するなどの特別な設備を設ける必要があり、熱エネルギー消費が大きくなり易く、これらのコストを低減することが課題になっている。
これに対して従来は、熱エネルギーを効率的に利用できる手段として、例えば、遠赤外線放射セラミックス粉末と砂、砂利、火山礫などを所定の割合で混練したものを、舗装道路上に所定厚さに敷均したり、遠赤外線放射セラミックス粉末と砂、砂利、火山礫などを混練焼成し粉砕したものを屋根材などに吹付け乾燥させるようにした(特許文献1参照)ものが提案されている。
また、従来、セメントと、グラファイト又はコークス又は高温焼成炭の粗粒子と、カーボン短繊維とを主組成材とする;該主組成材を加水混練してプレキャストコンクリート路板又は現場打ちコンクリート路盤を形成する;該プレキャストコンクリート路板又は現場打ちコンクリート路盤中においてカーボン短繊維が交錯し、且つ該カーボン短繊維が上記粗粒子間を架橋した構造を有する;上記カーボン短繊維に通電するための通電用電極を有する;該カーボン短繊維を通電線路として上記粗粒子に通電して該粗粒子の発熱を促す構成を有する発熱プレキャストコンクリート路板又は発熱現場打ちコンクリート路盤(特許文献2参照)が提案されている。
さらに、従来、本考案のコンクリートブロックからなる機能型舗装用ブロックは、セメントを主バインダとして複数の種類の骨材を接合した機能型舗装用ブロックであって、複数の種類の骨材のうち少なくとも1種類の骨材が人造黒鉛粒子からなる骨材であり、この人造黒鉛粒子は、主たる成分が黒鉛化された炭素骨材と炭素バインダから構成されている真密度が2.22g/cm以上の粒子であり、機能型舗装用ブロックに対して2~8重量%含む(特許文献3参照)ものが提案されている。
しかしながら、これらの先行技術文献においては、現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートに埋設された放熱管に、地中熱又は地熱を熱源とする熱媒体としての地下水(温泉水を含む)などの所要温度の液体を通すことで路面の融雪を行う路面融雪施設についての具体的且つより適切な形態が提案されていない。
特開平05-65703号公報(第1頁) 特開2003-193413号公報(第1頁) 特開2005-163480号公報(第1頁)
路面融雪施設に関して解決しようとする問題点は、現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートに埋設された放熱管に、熱媒体としての所要温度の液体を通すことで路面の融雪を行う路面融雪施設において、従来使用されていなかった低温の地下水を熱源とする場合や地下水量が足りない場合にも有効に施設を構築できるなど、設置条件を緩和でき、敷設コストの低減や耐久性の向上をできるものが提案されていないことにある。
そこで本考案の目的は、現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートの熱伝導性を高めることで、設置条件を緩和でき、敷設コストの低減や耐久性の向上ができる路面融雪施設を提供することにある。
本考案は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本考案に係る路面融雪施設の一形態によれば、現場で生コンクリートが打設されて形成される舗装体のコンクリートに埋設された放熱管に、熱媒体としての所要温度の液体を通すことで路面の融雪を行う路面融雪施設において、前記舗装体のコンクリートは、クラック防止用の鉄網が埋設されて道路や歩道の路面を形成するものであって、前記舗装体のコンクリートを構成する細骨材の一部が、砂粒状の人造黒鉛に置換され前記舗装体のコンクリートを構成する細骨材の一部が、砂粒状の人造黒鉛に置換され、該砂粒状の人造黒鉛の平均粒径が0.5~5mmの範囲の中にあることを特徴とする。
また、本考案に係る路面融雪施設の一形態によれば、前記舗装体のコンクリートの路面から埋設された前記放熱管の断面の中心までの埋設深さが、60~90mmであることを特徴とすることができる。
また、本考案に係る路面融雪施設の一形態によれば、前記舗装体の細骨材の重量に対する前記人造黒鉛による置換率が、10~25%になっていることを特徴とすることができる。
また、本考案に係る路面融雪施設の一形態によれば、前記舗装体のコンクリートの路面から埋設された前記放熱管の断面の中心までの埋設深さを基準とし、該埋設深さに対して、前記舗装体のコンクリート内に配置された前記放熱管の管路同士の間隔が3~5倍になっていることを特徴とすることができる。
本考案の路面融雪施設によれば、現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートの熱伝導性を高めることで、設置条件を緩和でき、敷設コストの低減や耐久性の向上ができるという特別有利な効果を奏する。
本考案に係る路面融雪施設の形態例を示す断面図である。 本考案に係る路面融雪施設の放熱管の管路の形態例を示す平面図である。 本考案に係る路面融雪施設の実証実験施設を示す平面図である。 本考案に係る路面融雪施設の実証実験施設を示す断面図である。 本考案に係る路面融雪施設の形態例としての融雪舗装(4種)と、標準融雪舗装、及び比較例の舗装(2種)とを比較し、温度差を示した図表である。 本考案に係る路面融雪施設の実証実験データであって、間隔が15cmで、添加率20%と無添加の温度差を示す図表である。 本考案に係る路面融雪施設の実証実験データであって、間隔が30cmで、添加率20%と無添加の温度差を示す図表である。 本考案に係る路面融雪施設の実証実験データであって、間隔が30cmで、添加率10%と無添加の温度差を示す図表である。 本考案に係る路面融雪施設実証実験データであって、間隔が45cmで、添加率20%と無添加の温度差を示す図表である。 本考案に係る路面融雪施設の実証実験例における実際の融雪状況を示す写真である。
以下、本考案に係る路面融雪施設の形態例を、添付図面(図1、2)に基づいて詳細に説明する。本形態例は、現場で打設されて形成される舗装体のコンクリートに埋設された放熱管に、熱媒体としての所要温度の液体(本形態例では地下水)を通すことで路面の融雪を行う路面融雪施設に関するものであり、この路面融雪施設は、例えば、路面消・融雪施設等設計要領編集委員会が編集し、社団法人日本建設機械化協会北陸支部(新潟市中央区新光町6-1興和ビル9F)が発行した「路面消・融雪施設等設計要領」における第3編融雪施設(無散水融雪施設)に記載されている設計要領に準拠して施工できるものである。
本考案に係る路面融雪施設は、舗装体のコンクリート20を構成する細骨材の一部が、砂粒状の人造黒鉛に置換されたものである。本形態例では、砂粒状の人造黒鉛の平均粒径が、0.5~5mmの範囲の中にあるとすることができ、その人造黒鉛の粒状材が、砂などの細骨材の一部を代替する資材としてコンクリートに混合されている。なお、一般的に、コンクリートの配合要素としては、前記の細骨材の他に、セメント、水、粗骨材、混和剤を挙げることができる。また、人造黒鉛は、有害性が低く、安全性の高い資材である。
また、本形態例の路面融雪施設では、図1に示すように、舗装体のコンクリート20の路面21から埋設された放熱管30の断面の中心までの埋設深さ(t)を基準とし、その埋設深さ(t)に対して、その舗装体のコンクリート20内に配置された放熱管30の管路同士の間隔(w)が3~5倍になっている。なお、従来の標準的な路面融雪施設では、埋設深さ(t)に対して、その舗装体のコンクリート20内に配置された放熱管30の管路同士の間隔(w)が約2~2.66倍に設定されている。
本考案に係る路面融雪施設によれば、人造黒鉛を適切に混合することによって現場で打設されて形成される舗装体のコンクリート20の熱伝導性を高めることができるため、その舗装体のコンクリート20の全体をより均一に温め易くなり、必要な融雪効果を維持しつつ、舗装体のコンクリート20内に埋設・配置される放熱管30の管路同士の間隔(w)を広めることが可能となって、敷設コストの低減と耐久性の向上ができる。すなわち、放熱管30の管路同士の間隔(w)を広めることができるため、単位面積当たりの放熱管30の長さを短くすることができ、敷設コストを低減できる。また、放熱管30は図2に示すように屈曲部が半円形に形成されて敷設されるが、本考案によれば、曲率半径を大きくすることができると共に単位面積当たりの屈曲部の数を減らすことができるため、管路の目詰まりのリスクを低減でき、最も消耗・腐食され易い屈曲部の耐久性を高めることができる。また、舗装体のコンクリート20の熱伝導性を高めることで、熱効率を高めることが可能となり、従来使用されていなかった低温の地下水を熱源とする場合や地下水量が足りない場合にも有効に施設を構築できるなど、設置条件を緩和できるという効果がある。
具体的には、従来の実施例では、前記の「路面消・融雪施設等設計要領」に記載されている例のように、放熱管30の埋設深さ(t)が75mmのとき、放熱管30の管路同士の間隔(w)は150~200mmを標準としているが、本考案の形態例によれば、その放熱管30の管路同士の間隔(w)を225mm~375mm程度に設定することができるようになる。また、放熱管30としては、樹脂管、炭素鋼鋼管又はステンレス鋼管を用いることができ、その管径は例えば内径13mmとすることができる。
また、本考案に係る路面融雪施設によれば、熱輸送性に優れているため、融雪機能を発揮するだけでなく、夏季に気温が上昇した場合には、空気の熱を効果的に地中へ逃がし、舗装体のコンクリート20自体が過熱されることを適切に防止して冷却できる効果もある。さらに、舗装体のコンクリート20の熱伝導性を高めることができるため、放熱管30の埋設深さをより深くすることが可能となる。これによれば、放熱管30に対する交通荷重を低減することができ、路面の耐用年数を長期化することができる。
そして、本形態例の路面融雪施設では、舗装体のコンクリート20を構成する細骨材の重量に対する人造黒鉛による置換率を、10~25%とすることができる。また、舗装体のコンクリート20の全体重量に対する前記人造黒鉛による置換率として換算した場合は、4~10%とすることができる。すなわち、本形態例の舗装体のコンクリート20では、その全体重量に対して細骨材が約40%混合されるように設計されており、これを基準にして置換率を計算すると、上記のような数値の関係になっている。
なお、コンクリート20にかかる人造黒鉛の混合重量の具体例は、例えば、1mのコンクリート20を打設する際に、上記のようにコンクリート20を構成する細骨材の重量に対する人造黒鉛による置換率を10~25%とすると、その人工黒鉛の重量は、約60~150kgとなっている。
これによれば、舗装体を構成するコンクリート20の熱伝導率を、40~100%程度高めることができる。実際に熱伝導率を計測した値によれば、通常の砂を100%使用した場合の標準コンクリートの熱伝導率が、1.6W/m・Kであり、これに対して、人造黒鉛をコンクリートの全体重量に対して10%置換した場合の熱伝導率が2.3W/m・Kになり、人造黒鉛をコンクリートの全体重量に対して20%置換した場合の熱伝導率が3.1W/m・Kになっている。すなわち、人造黒鉛の置換率が10~20%の間では、その熱伝導率の変化は、ほぼ線形に比例している。
なお、本願考案にかかるコンクリートの強度については、JIS規格に基づいて圧縮強度及び曲げ強度を測定したところ、その強度は、細骨材に対する人造黒鉛の置換率を増大させるにしたがって徐々に低下する傾向がみられたが、わずかな低下にとどまり、コンクリートの基準強度を十分に上回ることが確認されている。
また、さらなる実験によれば、コンクリートに配合される標準的な減水剤を、高性能の減水剤に置き換えることで、本願考案にかかるコンクリートの圧縮強度及び曲げ強度が、標準のコンクリートと比較して同等以上となることが確認されている。
さらに、本願考案にかかるコンクリートの性質としては、熱伝導率を高めることができるため、熱が逃げやすくなって繰り返し熱変形の負荷が小さくなって、クラックが生じるリスクを低減できる。また、本願考案にかかるコンクリートの打設時の性質について、例えば亀裂が発生しないことやコンクリートの縮みが所要量以下であることは、通常のコンクリートと比較して同等であって、遜色ないことが確認されている。
また、本考案にかかる人造黒鉛を添加した路面融雪施設(無散水融雪舗装)の耐摩耗性(すり減り量)の評価試験を行った。人造黒鉛を無添加のものと、細骨材の20%を人造黒鉛に置き換えて添加したものとを対比した結果、人造黒鉛を添加したものの方が、すり減り量が若干多い傾向にあったが、実用性には支障ないことが確認されている。
本実施例における人造黒鉛は、コンクリートの一部を構成する細骨材に代替できるものであり、その仕様は、組成分が固定炭素99%以上、灰分0.1%以下、揮発分0.2%以下、水分0.1%以下、真比重が2.23~2.25g/cc、熱膨張係数450~800℃が0.8~1.3×10-6/℃、熱伝導率が150W/m・K、硬度が40HS、粒度(粒径)の範囲が0.5~5mmになっており、この仕様を満たす富士黒鉛工業株式会社(東京都世田谷区成城8-33-2)製の人造黒鉛を利用することができる。なお、本願考案にかかる人造黒鉛はこれに限定されるものではなく、例えば、粒度(粒径)の範囲がより細かい0~3mmの人造黒鉛を、コンクリートの材料として同様に添加することができる。
本考案に係る路面融雪施設における路面21とは、一般歩車道の舗装された道路の路面21に限定されず、その道路の路面21に準ずる場所として、玄関、建物に付随するポーチやスロープ、公共施設のバリアフリー部、バス停、タクシー乗降口など、人が移動できて融雪を必要とする場所として面状に露出している地上面を含むものである。本考案によれば、多くの人々に利用される公共施設における滑り易い場所などに利用することで、人々の移動の安全性をより効果的に高めることができる。
次に、本考案に係る路面融雪施設の実証実験について説明する。
この実証実験は、長野県中野市柳沢の武田設備株式会社敷地内で実施された。中野市は長野県北部に位置しており、積雪が多く豪雪地帯に指定されている。人造黒鉛(粒径0.5~5mm)の添加率の異なる3ケースを実施した。人造黒鉛の添加率0%(通常のコンクリート舗装)と、細骨材の10、20%(質量比)を人造黒鉛に置換した2ケースである。なお、本実証実験では、1mあたりの添加量はそれぞれ60、120kg/mとした。図3、4に実証実験施設の平面図および断面図を示す。地盤内に埋設した地中タンク(容量200L)内に貯めた水をヒーターにより温め、水中ポンプ(最大流量20L/min)により放熱管内を循環させた。放熱管には炭素鋼鋼管(呼径15mm)を用いた。前述の現行の設計要領(現行の融雪舗装)では、放熱管の間隔は15~20cmを標準と規定されており、これを参考にして、15、30、45cmの3種類とした。
次に、上記の要領で行われた実証実験の計測結果について、図5~10に基づいて説明する。
図5に示すデータは、1月の平均データであって、現行の融雪舗装と同等である放熱管の間隔が15cmで人造黒鉛の添加率が0%(無添加)のものを標準融雪舗装とし、この標準融雪舗装に対し、本考案に係る人造黒鉛を添加した4種の融雪舗装(人造黒鉛を20%添加で15cm間隔、20%添加で30cm間隔、20%添加で45cm間隔、10%添加で30cm間隔)と、比較例としての人造黒鉛を無添加の30cm間隔及び人造黒鉛を無添加の45cm間隔の融雪舗装との温度差を比較したものである。なお、各温度センサーの設置場所は、図3に示すように、配設された放熱管同士の中間位置であって、路面下の深さが10mmになっている。なお、日中は日照の影響があるために比較しにくく、以下の考察は、主に夜間のデータを重視することで行っている。
この図5に示すように、標準融雪舗装(従来(0%-15cm))を基準(0.0)として求められた温度差は、人造黒鉛を20%添加で15cm間隔の融雪舗装の温度が、1℃程度高くなっているが、その他は温度が低くなっている。
しかしながら、30cm間隔の人造黒鉛を10%又は20%添加した融雪舗装は、標準融雪舗装に比べて温度が0.2~0.3℃程度低くなっているだけであり、30cm間隔同士で人造黒鉛が無添加のものと比べると、1℃程度高くなっており、融雪効果を期待できるものになっている。
すなわち、各温度センサーの設置場所は、図3に示すように配設された放熱管同士の中間位置であるため、30cm間隔の人造黒鉛を10%又は20%添加した融雪舗装の場合は、舗装の全面を対象とすると、その少なくとも半分以上の部分が、標準融雪舗装における温度センサーの設置場所に比べて、温度が同等以上に高くなっていると推測される。
したがって、上記の人造黒鉛を添加した場合の融雪舗装は、放熱管同士の間隔を、標準融雪舗装の場合と比べて大幅に広げても、舗装の全面を対象とすると、標準融雪舗装と同程度以上の路面温度を期待でき、高い融雪効果を期待できる。
なお、昼間の温度については、日照が影響するため、標準融雪舗装と比較して温度差が大きくなっているが、人造黒鉛を添加した場合に一様に低くなる傾向があるのは、日照によって暖められた熱が、人造黒鉛を添加した影響で分散し易いことによると考えられる。
これに対して、45cm間隔の人造黒鉛を20%添加した融雪舗装と、45cm間隔の人造黒鉛を無添加の融雪舗装とは、どちらも、標準融雪舗装に比べて温度が1.5℃程度低くなっており、人造黒鉛を添加した効果が生じていない。これによれば、舗装体のコンクリートの路面から埋設された放熱管30の断面の中心までの埋設深さを基準とし、その埋設深さに対して、舗装体のコンクリート内に配置された放熱管30の管路同士の間隔が少なくとも6倍より大きくなった場合には、人造黒鉛を添加することによる効果が生じにくいことを立証したことになる。但し、45cm間隔の人造黒鉛を20%添加した融雪舗装の場合も、放熱管30に近い部分には、熱が伝達し易いため、その部分については融雪を促進できる効果は依然としてある。
このことは、放熱管30の配管の間隔が同じもの同士の温度差を比較した図6~9に示す図表データからも明らかであり、以下に説明する。
図6では、間隔が15cmで、添加率20%と無添加(0%)の温度差を示しており、図7では、間隔が30cmで、添加率20%と無添加(0%)の温度差を示しており、図8では、間隔が30cmで、添加率10%と無添加(0%)の温度差を示しており、図9では、間隔が45cmで、添加率20%と無添加(0%)の温度差を示しており、それぞれ、12月、1月、2月の平均値を示している。なお、温度センサーの設置位置を含め、実験施設は、図3、4に示したものである。
これによれば、放熱管30の間隔が15cmと30cmのものでは、いずれも人造黒鉛を添加することで、舗装の温度が高くなり、放熱管30内の温度を路面に効率よく伝達できることが確認された。また、放熱管30の間隔が狭く、添加率が高いほど、温度差は大きくなることが確認された。なお、午前中からお昼過ぎにかけて温度差が小さくなり、場合によってはマイナスになっている現象は、日照によって舗装体に供給された熱が、舗装体直下の路盤に効率よく伝達されるため、舗装体の温度が無添加の場合よりも低下したものと考えられる。
しかしながら、放熱管30の間隔が45cmのものでは、人造黒鉛(20%)を添加した効果が認められなかった。したがって、人造黒鉛を添加しても、舗装体のコンクリートの路面から埋設された放熱管30の断面の中心までの埋設深さを基準とし、その埋設深さに対して、平面視で3倍の距離の温度センサーが配置された位置までは、熱伝達を高める効果が生じないことになる。このため、前述したように放熱管30の管路同士の間隔が少なくとも6倍より大きくなった場合には、人造黒鉛を添加することによる効果が生じにくいことを立証したことになる。
また、実際の融雪状況を確認するため、降雪のあった2021年12月27日から28日の期間に実証実験を行った。なお、通常の無散水融雪舗装では、降雪の前に放熱管に通水して路面を暖めておくが、この実証実験では、各ケースの融雪効果を直接比較するために、積雪がある状態において通水を開始し、その後の融雪効果の比較を行うこととした。路面に150mm程度の積雪がある2021年12月27日15時に、水中ポンプを稼働して放熱管に通水を開始した。ヒーターを事前に稼働しておき、通水開始直前の水温は32℃程度であった。なお、放熱管表面に設置した温度センサー(図3参照)によって計測した温度では、放熱管に通水を開始した時点で20℃程度に、4時間後には10℃程度になっていた。
この実証実験によれば、図10に示すように、通水開始4時間後の19時において、人造黒鉛0%(無添加)の場合、放熱管の埋設部分に沿って雪が少なくなっているものの、路面全体が雪に覆われている。一方、人造黒鉛20%添加・間隔150mmでは、雪がほぼ無くなって路面が露出している。10%添加・間隔150mmでは、放熱管の間の部分に一部雪が残っているものの、路面が露出している部分も多い。今回の条件では、放熱管間隔150mmでは人造黒鉛添加による高い融雪効果が認められる。そして、間隔300mm、450mmでは人造黒鉛を添加した場合でも雪は残っており、放熱管に沿う部分の一部が露出する程度であるが、無添加の場合よりも融雪効果が高いことが確認された。
次に、本考案に係る具体的な構成例について、図4に基づいて詳細に説明する。
図4に示すように、本考案に係る路面融雪施設によれば、舗装体のコンクリート20は、クラック防止用の鉄網が埋設されて道路や歩道の路面21を形成するものになっている。これによれば、本考案に係る舗装体のコンクリート20は、鉄網が埋設される厚くて高い耐久性が要求される路面融雪施設に適用できるものになっている。
すなわち、本考案に係る舗装体のコンクリート20では、例えば高い強度が要求される道路や歩道の土工部であってクラック防止用の鉄網が埋設される場合は、そのコンクリートの厚さが十分に確保されており、舗装体のコンクリート20の路面21から埋設された放熱管30の断面の中心までの埋設深さが、一般的に60mmから90mm程度であって、例えば道路として標準的には図4の実証実験例に示すように、コンクリートの路面21から放熱管30の上面までの深さである放熱管被りが70mm程度になっている。なお、舗装体のコンクリート20の厚さは、一般的に130mmmから250mm程度であって、例えば道路として標準的には図4の実証実験例に示すように、200mm程度になっている。
ところで、従来から本考案のような路面融雪施設が開発されてこなかった要因としては、細骨材としての砂(コンクリート用砕砂を含む)に比べて吸水性が高い人造黒鉛(細骨材)を、生コンクリートの資材として混入した場合は、生コンクリートの流動性が低下し易く、型枠でコンクリート製品を成型するプレキャストでは問題がないが、現場で打設して成形する舗装体のコンクリート20に用いることは未知数であるという阻害要因があった。なお、砂の吸水率は1~3%程度であるのに対して、人造黒鉛の吸水率は約5~8%になっており、この吸水率が高いことが生コンクリートの流動性が低下し易い要因になると考えられ、その流動性を高めるために生コンクリートに混入する水の量を増やすとコンクリートの強度が低下するという問題が生じる。すなわち、特に、鉄網が埋設される厚くて高い耐久性が要求される舗装体のコンクリート20に適用する場合、生コンクリートは鉄網の網目を通過できる流動性が必要であり、適正な流動性を確保できると共に、舗装体のコンクリート20として適切な強度を確保できるか否かの検証は簡単ではなく、容易に想到できるものではない。
また、厚くて高い耐久性が要求される舗装体のコンクリート20においては、高い圧縮強度及び曲げ強度や高い耐摩耗性についても検証が必要であり、人造黒鉛は細骨材としての砂に比べて軽くて強度に劣るため、その人造黒鉛を混入して用いたコンクリートの強度は未知数であった。このことも、本考案のような路面融雪施設を想到するための阻害要因になっていた。本考案による路面融雪施設では、それらの検証がなされており、前述の阻害要因を解消できている。
また、本考案に係る路面融雪施設のさらなる効果としては、人造黒鉛をコンクリートの資材として混入したことで熱伝導率が高まるため、打設されたコンクリートが硬化する際に発生する水和熱を適切に逃がすことができ、コンクリートの熱膨張を低減できる。これによれば、コンクリートを適切に硬化させることができるため、舗装体のコンクリート20にクラックが生じることを防止でき、その強度を高める効果がある。
以上、本考案につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本考案はこの形態例に限定されるものではなく、考案の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
10 路盤
20 舗装体のコンクリート
21 路面
30 放熱管

Claims (4)

  1. 現場で生コンクリートが打設されて形成される舗装体のコンクリートに埋設された放熱管に、熱媒体としての所要温度の液体を通すことで路面の融雪を行う路面融雪施設において、
    前記舗装体のコンクリートは、クラック防止用の鉄網が埋設されて道路や歩道の路面を形成するものであって、
    前記舗装体のコンクリートを構成する細骨材の一部が、砂粒状の人造黒鉛に置換され、該砂粒状の人造黒鉛の平均粒径が0.5~5mmの範囲の中にあることを特徴とする路面融雪施設。
  2. 前記舗装体のコンクリートの路面から埋設された前記放熱管の断面の中心までの埋設深さが、60mm~90mmであることを特徴とする請求項1記載の路面融雪施設。
  3. 前記舗装体の細骨材の重量に対する前記人造黒鉛による置換率が、10~25%になっていることを特徴とする請求項1記載の路面融雪施設。
  4. 前記舗装体のコンクリートの路面から埋設された前記放熱管の断面の中心までの埋設深さを基準とし、該埋設深さに対して、前記舗装体のコンクリート内に配置された前記放熱管の管路同士の間隔が3~5倍になっていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の路面融雪施設。
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