JP3244757U - 移動体 - Google Patents

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正泰 伊達
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漠 松浦
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Abstract

Figure 0003244757000001
【課題】荷物の積載量の向上と乗員の搭乗の利便とを両立可能な移動体を提供する。
【解決手段】移動体Mは、荷物を積載可能な荷台部15と、乗員が搭乗可能なステップ16と、を有する本体部1と、本体部1を挟むように配置される一対のリム部2Lを有して本体部1を移動可能に支持する本体支持部2と、を備え、本体部1とそれぞれのリム部2Lとを揺動可能に連結する一対の軸部は、実質的に同一線上に配置される揺動中心線を有し、荷台部15およびステップ16は、一対の軸部を間に挟み、荷台部15は、一対の軸部を境に本体部1の一方側に配置され、ステップ16は、一対の軸部を境に本体部1の他方側に配置され、一対のリム部2Lは、一対の軸部を境に一方側へ長く延びて荷台部15を挟み、他方側へ短く延びてステップ16の上方領域を挟む一対のリム本体部21を有している。
【選択図】図1

Description

本考案は、移動体に関する。
乗員が搭乗可能な起居部を備えるとともに、起居部を挟むように左右に夫々配置され、全体として弓なりに形成された一対のアームないしリム部を備える移動体が知られている。
特開2014-234137号公報
高齢化社会の進行、公共交通の縮小、カーボンニュートラルへの機運の高まりなどを背景に小型モビリティ、マイクロモビリティなどと呼ばれる新しい移動手段が注目されている。
そこで、本考案は、乗員の搭乗または荷物の積載のいずれかに重点をおく従来の移動体に比べて、荷物の積載量の向上と乗員の搭乗の利便とを両立可能な移動体を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するため、本考案の実施形態に係る移動体は、荷物を積載可能な荷台部と、乗員が搭乗可能な乗員部と、を有する本体部と、前記本体部を挟むように配置される一対のリム部を有して前記本体部を移動可能に支持する本体支持部と、を備え、前記本体部とそれぞれの前記リム部とを揺動可能に連結する一対の軸は、実質的に同一線上に配置される揺動中心線を有し、前記荷台部および前記乗員部は、前記一対の軸を間に挟み、前記荷台部は、前記一対の軸を境に前記本体部の一方側に配置され、前記乗員部は、前記一対の軸を境に前記本体部の他方側に配置され、前記一対のリム部は、前記一対の軸を境に一方側へ長く延びて前記荷台部を挟み、他方側へ短く延びて前記乗員部の上方領域を挟む一対のリム本体部を有している。
本考案によれば、乗員の搭乗または荷物の積載のいずれかに重点をおく従来の移動体に比べて、荷物の積載量の向上と乗員の搭乗の利便とを両立できる。
本考案の一実施形態に係る移動体の側面図である。 同上移動体を、左側リム部を取り外した状態で示す側面図である。 同上移動体に備わる本体支持部の側面図である。 同上本体支持部の背面図である。 リム本体部の動作(左側リム部および右側リム部の腰部リンク軸を中心とした揺動変位)を示す説明図である。 脚部の動作(股関節部の内転および外転、膝関節部の屈曲および伸展、脚部の回旋)を示す説明図である。 本体部の動作(本体支持部に対する揺動)を示す説明図である。 本体支持部が実現可能な姿勢(第1乗降姿勢)を示す説明図である。 本体支持部が実現可能な姿勢(第2乗降姿勢)を示す説明図である。 リム本体部の主構造を示す側面図である。 制御部の構成を示す概略図である。 制御部が移動時に行う制御の内容を示すフローチャートである。 段差を上る際に移動体がとり得る姿勢の一例を示す説明図である。
以下に図面を参照して、本考案の実施の形態について説明する。
図1および図2は、本考案の一実施形態に係る移動体Mを進行方向に対して左側(正面から見て右側)から見た状態で示す側面図である。図1は、左側リム部2Lを取り付けた状態を、図2は、左側リム部2Lを取り外した状態を示す。
図1および図2は、移動体Mの前後方向DL、左右方向DWおよび上下方向DHを示し、紙面における左右方向を移動体Mの前後方向DLとする。前後方向DLは、移動体1の直進時における移動方向と合致し、移動体Mの左右方向DW、上下方向DHは、いずれも前後方向DLに対して垂直である。移動体Mが水平な地面または床面上に起立した状態では、前後方向DLおよび左右方向DWは、水平方向に定められ、上下方向DHは、鉛直方向に定められる。
本実施形態に係る移動体(以下「多目的モビリティ」または単に「モビリティ」という)Mは、人(以下「乗員」という)および荷物の運搬ないし移動に使用される。これに限らず、モビリティMは、本体部1を換装し、人の運搬に使用することも可能である。
モビリティMは、本体部1と本体支持部2とを備える。
本体部1は、乗員が搭乗可能な起居部11を有する。起居部11は、移動時に乗員が搭乗可能な乗員部としてのステップ16を備え、ステップ16に立った乗員が前を向く方向、つまり、図1の紙面における左側が前進方向の前方である。本実施形態において、起居部11は、乗員が起立した姿勢で搭乗可能である。また、本体部1は、荷物を積載可能な荷台部15を備える。
本体部1は、起居部11および荷台部15に加え、操作部12および検出部13を備える。
本実施形態において、操作部12は、ハンドル型の操作部であり、乗員は、操作部12を介してモビリティMの移動速度を上昇または下降させ、車輪23f、23rによる移動時(つまり、走行時)には、必要に応じて車輪23f、23rを介して制動力を生じさせる。
検出部13は、カメラ131と加速度センサ132とを備える。
荷台部15は、荷物を積載可能であって、例えば荷物を積載可能な平面を有する板やパレット、または見かけ上、荷物を積載可能な仮想的平面を描くパイプパレットにより具現される。荷台部15は、乗員が立つステップ16と同一の平面上、または平行な平面上に荷物を積載できることが好ましい。荷物を積載可能な平面は、積載された荷物が起居部11に寄りかかるよう傾いていてもよい。荷物を積載可能な平面は、本体支持部2の動作によってステップ16が水平に維持されている状態で積載された荷物が安定する限度において何れの方向へ傾いていてもよい。
荷台部15は、起居部11の前面上部に設けられるフック部15aと、起居部11の前面下部に設けられる荷台受部15bと、を有している。フック部15aは、高さ位置を変更可能であることが好ましい。例えば折りたたみ式の手押し台車Tのハンドル部分をフック部15aに掛け、荷台部分を荷台受部15bに当てておくことで、モビリティMは、手押し台車Tもろとも荷物を運搬できる。また、カゴ台車の横桟をフック部15aに掛け、荷台部分を荷台受部15bに当てておくことで、モビリティMは、カゴ台車もろとも荷物を運搬できる。荷台部15に掛ける台車は、コンテナのように開閉可能な容器状の台車であってもよい。それら台車の荷台が、荷物を積載する平面を具現する。
カメラ131は、前方監視用のカメラであり、本体部1においてモビリティM前方の経路を視野に収めることのできる位置に設置されている。カメラ131は、撮影した画像を解析し、経路の道幅、勾配、段差および起伏等、経路の形状等に関する情報(以下「経路情報」という)を検出する。
加速度センサ132は、6軸慣性センサ(Inertial Measurement Unit、IMU)であり、互いに直交する3軸に沿った並進加速度と、これら3軸のそれぞれを中心とする角速度と、を検出する。加速度センサ132は、これらの並進加速度および角速度をもとに、移動体Mの前後方向加速度αL、左右方向加速度αW、上下方向加速度αH、ピッチング角速度θp、ヨーイング角速度θyおよびローリング角速度θrを検出する。
本体部1は、さらに、図示しない制御部を備えるとともに、二次電池または燃料電池等の電力供給部を備える。
制御部は、中央演算処理装置(Central Processing Unit、CPU)およびROM、RAM等の各種記憶装置を備えるマイクロコンピュータにより構成され、操作部12を介して乗員が入力する操作指示信号を受信するとともに、検出部13からカメラ131および加速度センサ132の検出信号を受信する。制御部は、操作指示信号および検出信号をもとに、所定の演算を実行し、その結果である駆動指令信号を、本体支持部2の可動部に備わる各種アクチュエータに出力する。
ここで、モビリティMは、電力供給部が本体部1に備わることで、本体部1を取り付けた状態をもって電力が供給され、運転可能な状態となる。電力供給部に二次電池を採用する場合に、二次電池は、本体部1に装着したままの状態または本体部1から取り外した状態で外部電源に接続することにより充電したり、本体部1から取り外し、充電済みの他の二次電池に取り替えたりすることが可能である。
本実施形態において、本体部1は、用途に応じて換装可能である。例えば、本体部1は、荷台部15を備える本体部1に代えて、乗員が膝を揃えた状態で着座可能な椅子型の起居部や、乗員が立った状態で搭乗可能な立乗型の起居部を備える本体部に換装することが可能である。上記以外に、本体部1は、乗員が跨がった姿勢で着座可能な、いわゆる鞍乗型の起居部を備える本体部や、傷病者を寝かせた状態で運搬可能な担架部を備える本体部に換装することも可能である。これらのいずれの本体部も、本体部1と同様に、操作部、検出部、制御部および電力供給部を備える。
本体支持部2は、四肢を形成する前後の脚部22f、22rを有する。本体支持部2は、これらの脚部22f、22rにより地面または床面上に自立し、本体部1が取り付けられて、本体部1を地面または床面上で移動可能に支持する。
図1および図2に示すように、本体支持部2は、モビリティMの前進方向に対して左側に位置するリム部(以下「左側リム部」という)2Lと、右側に位置するリム部(以下「右側リム部」という)2Rと、を備える。左側リム部2Lと右側リム部2Rとは、本体部1を間に挟むように本体部1の左右に配置され、左右方向DWに延びる軸(以下「腰部リンク軸」という)A1を中心に互いに揺動可能に連結されている。本実施形態に関し、左側リム部2Lは、「第1リム部」に相当し、右側リム部2Rは、「第2リム部」に相当する。
図3は、本体支持部2をモビリティMの左方から見た状態で示す側面図であり、図4は、本体支持部2をモビリティMの後方から見た状態で示す背面図である。図4は、参照のため、本体部1を二点鎖線により模式的に示す。
本体部1は、起居部11から左右のそれぞれに延びる軸部14を有する(図2、図4)。前後方向DLにおいて、本体部1の荷台部15およびステップ16は、一対の軸部14を間に挟んでいる。荷台部15は、一対の軸部14を境に本体部1の一方側としての前側に配置され、ステップ16は、一対の軸部14を境に本体部1の他方側としての後ろ側に配置されている。
これに対し、左側リム部2Lおよび右側リム部2Rは、この軸部14を装着可能に構成された取付部211を夫々有する。図4に示すように、軸部14を取付部211に装着することで、本体部1が左側リム部2Lおよび右側リム部2Rにより支持される。左右の軸部14は、本体部1とそれぞれのリム部2L、2Rとを揺動可能に連結する。
図5は、左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間における相対的な揺動運動を示す説明である。図5に示すように、左側リム部2Lと右側リム部2Rとは、互いに対して腰部リンク軸A1を中心に揺動可能である。腰部リンク軸A1は、左右の軸部14の揺動中心線であって、左右の軸部14は、実質的に同一線上に配置される揺動中心線としての腰部リンク軸A1を有する。左側リム部2Lと右側リム部2Rとは、この揺動運動により、それぞれのリム本体部21、21が側面視においてなす角、具体的には、左側リム部2Lに備わる前後の股関節部HJf、HJrの関節軸A2f、A2rを結ぶ直線(以下「リム本体延伸線」という)VL1と、右側リム部2Rのリム本体延伸線VL1と、が側面視においてなす角が変化する。
左側リム部2Lと右側リム部2Rとは、腰部リンク軸A1に対して垂直な平面を基準として互いに面対称な構成を有する。そこで、左右夫々のリム部2L、2Rの構成について、左側リム部2Lにより代表して説明する。つまり、左側リム部2Lに関する以下の説明は、右側リム部2Rの説明として援用可能である。
左側リム部2Lは、リム本体部21と、前側脚部22fと、後側脚部22rと、を備える。
リム本体部21は、図1および図3に示す通常時の姿勢(以下「基本姿勢」という)において前後方向DLに延びるとともに、側面視において上向きに凸となる屈曲形状を有する。本実施形態において、リム本体部21は、全体としてへの字状をなし、前後方向DLの中央部近傍に屈曲部を有する。換言すると、リム本体部21は、頂部としての屈曲部から一方の端部および他方の端部のそれぞれへ向かって垂れ下がる。腰部リンク軸A1は、この屈曲部に配置され、リム本体延伸線VL1から外れ、基本姿勢においてリム本体延伸線VL1よりも上方に位置する。リム本体部21は、腰部リンク軸A1を境界として一方側としての前方へ長く延びる前側梁状部21fと、他方側としての後方へ延び、前側梁状部21fよりも前後方向DLに短く延びる後側梁状部21rと、を有する。つまり、前側梁状部21fの前後方向寸法Lfと後側梁状部21rの前後方向寸法Lrとは、次のような関係にある。
Lf>Lr …(1)
つまり、一対のリム本体部21は、一対の軸部14を境に前方側へ長く延びて荷台部15を挟み、後方側へ短く延びてステップ16の上方領域を挟む。つまり、平面視において、一対のリム本体部21は、荷台部15を挟み、ステップ16を挟む。荷台部15の上方領域は、荷物の積載領域であって、ステップ16の上方領域は、乗員の搭乗領域である。腰部リンク軸A1を揺動中心に有する軸部14は、リム本体部21の頂部としての屈曲部にあって他方側としての後方側に偏倚している。また、軸部14は、屈曲部にあってそれぞれのリム本体部21の上部に偏倚している。ここで、リム本体部21の頂部、屈曲部は、図3においてリム本体部21の上面の最も高い位置とリム本体部21の下面の最も高い位置とを含み、前側梁状部21fおよび後側梁状部21rが実質的に直線上に延伸している部位を除いた、リム本体部21の中央部分である。
リム本体部21は、前側梁状部21fの先端部(つまり、リム本体部21の前端部)に前側股関節部HJfを有するとともに、後側梁状部21rの先端部(つまり、リム本体部21の後端部)に後側股関節部HJrを有する。換言すれば、リム本体部21は、前後の股関節部HJf、HJrを連結するリンクを形成する。前側股関節部HJfおよび後側股関節部HJrは、左右方向DWに延びる股関節軸A2f、A2rを夫々有する。本実施形態において、前側股関節部HJfの関節軸(以下「前側股関節軸」という)A2fと後側股関節部HJrの関節軸(以下「後側股関節軸」という)A2rとは、腰部リンク軸A1に対して平行である。
前側脚部22fは、前側股関節部HJfを介してリム本体部21に連結され、リム本体部21に対し、前側股関節軸A2fを中心として内転および外転可能である。ここに、前側股関節軸A2fと後に述べる前側膝関節軸A3fとを結ぶ直線(以下「前脚上腿延伸線」という)VL2fがリム本体延伸線VL1に対してなす角が狭まる方向の回転を「内転」といい、逆にこれが広がる方向の回転を「外転」という。前側脚部22fは、本実施形態に係る「第1脚部」に相当する。
後側脚部22rは、後側股関節部HJrを介してリム本体部21に連結され、リム本体部21に対し、後側股関節軸A2rを中心として内転および外転可能である。前側脚部22fと同様に、後側股関節軸A2rと後側膝関節軸A3rとを結ぶ直線(以下「後脚上腿延伸線」という)VL2rがリム本体延伸線VL1に対してなす角が狭まる方向の回転を「内転」といい、逆にこれが広がる方向の回転を「外転」というが、後側脚部22rの内転および外転は、前側脚部22fとは逆向きの回転である。後側脚部22rは、本実施形態に係る「第2脚部」に相当する。
前側脚部22fは、前側股関節部HJfから延びる前脚上腿部221fと、前脚上腿部221fに対し、前側膝関節部KJfを介して屈曲および伸展可能に連結された前脚下腿部222fと、を備える。ここに、前側膝関節部KJfの関節軸(以下「前側膝関節軸」という)A3fと後に述べる前輪軸A4fとを結ぶ直線(以下「前脚下腿延伸軸」という)VL3fが前脚上腿延伸線VL2fに対してなす角が狭まる方向の回転を「屈曲」といい、逆にこれが広がる方向の回転を「伸展」という。前側膝関節軸A3fは、基本姿勢において左右方向DWに延び、腰部リンク軸A1および前側股関節軸A2fに対して平行である。前脚下腿部222fの先端部には、前輪23fが取り付けられており、前輪23fは、移動時においてモビリティMの前側脚部22fによる接地点を形成する。前脚上腿部221fおよび前脚下腿部222fは、本実施形態に係る「第1上腿部」、「第1下腿部」に夫々相当し、前輪23fは、本実施形態に係る「第1車輪」に相当する。
後側脚部22rは、後側股関節部HJrから延びる後脚上腿部221rと、後脚上腿部221rに対し、後側膝関節部KJrを介して屈曲および伸展可能に連結された後脚下腿部222rと、を備える。前側脚部22fと同様に、後側膝関節部KJrの関節軸(以下「後側膝関節軸」という)A3rと後に述べる後輪軸A4rとを結ぶ直線(以下「後脚下腿延伸線」という)VL3rが後脚上腿延伸軸VL2rに対してなす角が狭まる方向の回転を「屈曲」といい、逆にこれが広がる方向の回転を「伸展」という。後側膝関節軸A3rは、基本姿勢において左右方向DWに延び、腰部リンク軸A1および後側股関節軸A2rに対して平行である。後脚下腿部222rの先端部には、後輪23rが取り付けられており、後輪23rは、移動時においてモビリティMの後側脚部22rによる接地点を形成する。後脚上腿部221rおよび後脚下腿部222rは、本実施形態に係る「第2上腿部」、「第2下腿部」に夫々相当し、後輪23rは、本実施形態に係る「第2車輪」に相当する。
モビリティMは、前側股関節部HJfおよび前側膝関節部KJfの動作により、前輪23fの中心軸(前輪23fの車輪軸であり、以下「前輪軸」という)A4fから前側股関節軸A2fまでの上下方向寸法を変更可能であり、換言すれば、前輪23fの接地点に対する前側股関節部HJfの高さ位置Hfを変更可能である。他方で、モビリティMは、後側股関節部HJrおよび後側膝関節部KJrの動作により、後輪23rの中心軸(後輪23rの車輪軸であり、以下「後輪軸」という)A4rから後側股関節軸A2rまでの上下方向寸法を変更可能であり、換言すれば、後輪23rの接地点に対する後側股関節部HJrの高さ位置Hrを変更可能である。本実施形態では、前側股関節軸A2fの高さ位置をもって前側股関節部HJfの高さ位置Hfとし、後側股関節軸A2rの高さ位置をもって後側股関節部HJrの高さ位置Hrとする。
本実施形態において、前脚下腿部222fおよび後脚下腿部222rは、非直線的な形状を夫々有し、下腿延伸線VL3f、VL3rから逸脱するように形成された下腿屈曲部を有する。前脚下腿部222fおよび後脚下腿部222rは、膝関節部KJfと車輪23f、23rとがこの下腿屈曲部を介して接続され、全体として概略C字形状をなす。前脚下腿部222fおよび後脚下腿部222rは、C字以外の形状、例えば、L字形状であってもよい。下腿屈曲部が下腿延伸線VL3f、VL3rを逸脱する方向は、モビリティMの基本姿勢における上方または前後方向DLの外方、具体的には、前側脚部22fについては前進方向の前方であり、後側脚部22rについては後方である。
以上に加え、モビリティMは、前後夫々の脚部22f、22rの回旋運動のための可動部24f、24rを備える。具体的には、モビリティMは、前側脚部22fの回旋運動のための前側脚回旋部24fと、後側脚部22rの回旋運動のための後側脚回旋部24rと、を備える。前側脚回旋部24fは、前側脚部22fに対し、前側膝関節軸A3fに対して垂直に交わる前脚回旋軸A5fを中心とした回旋運動を付与し、後側脚回旋部24rは、後側脚部22fに対し、後側膝関節軸A3rに対して垂直に交わる後脚回旋軸A5rを中心とした回旋運動を付与する。前側脚回旋部24fは、本実施形態に係る「第1脚回旋部」に相当し、後側脚回旋部24rは、本実施形態に係る「第2脚回旋部」に相当する。
図6は、股関節部HJf、HJrの内転および外転運動、膝関節部KJf、KJrの屈曲および伸展運動、脚部22f、22rの回旋運動を示す説明図である。
図6を参照して左側リム部2Lの前側脚部22fについて説明すると、前側脚部22fは、前側股関節部HJfにより、その関節軸A2fを中心に内転および外転可能である。前側脚部22fは、この運動により、前脚上腿延伸線VL2fがリム本体延伸線VL1に対してなす角が変化する。これを前側脚部22f全体で見れば、前側脚部22fがリム本体部21に対してなす角、具体的には、前側股関節軸A2fと前輪軸A4fとを結ぶ直線がリム本体延伸線VL1に対してなす角が変化する。
前側脚部22fは、前側膝関節部KJfにより、その関節軸A3fを中心に屈曲および伸展可能である。前側脚部22fは、この運動により、前脚下腿部222fが前脚上腿部221fに対してなす角、具体的には、前脚下腿延伸線VL3fが前脚上腿延伸線VL2fに対してなす角が変化する。
前側脚部22fは、前側脚回旋部24fにより、その回旋軸A5fを中心に回旋、具体的には、内旋および外旋可能である。図1および図3に示す基本姿勢において前脚下腿部222fの下腿屈曲部を本体支持部2の左右方向DWの中心に近付ける方向の回旋を内旋といい、反対に、下腿屈曲部をこの中心から遠ざける方向の回旋を外旋という。換言すれば、前側脚部22fの内旋により、前輪23fが本体支持部2の中心に近付く方向に移動し、外旋により、前輪23fがこの中心から離れる方向に移動する。前側脚部22fは、この運動により、リム本体部21fに対する前脚下腿部222fの向き、換言すれば、モビリティMを上方から見た平面視において前側膝関節軸A3fが前側股関節軸A2fに対してなす角が変化する。前側脚部22fの回旋により、前側脚部22fによる移動時と前輪23fによる走行時との双方において、モビリティMの進行方向を変更可能である。つまり、車輪23f、23rによる走行時におけるモビリティMの操舵は、前側脚回旋部24fの動作による。後側脚部22rについても同様に後側脚回旋部24rを備え、その回旋軸A5fを中心に内旋および外旋可能である。
本実施形態では、前側脚回旋部24fを前側膝関節部KJfに対して隣接させて配置し、前脚下腿部222fの向きを変更可能としたが、前側脚回旋部24fを前側膝関節部KJfから離し、前側膝関節部KJfよりも前側股関節部HJfに近い位置に配置してもよい。これにより、リム本体部21に対して前側脚部22fのより全体に近い部分を回旋可能とし、前側股関節部HJfと前側脚回旋部24fとの協働により、実際の股関節により近い動作が実現可能となる。
さらに、前側脚回旋部24fと前側膝関節部KJfとは、上下の並びを逆にし、前側膝関節部KJfを上側、つまり、前側股関節部HJfに近い一側に、前側脚回旋部24fを下側、つまり、前輪23fに近い他側に配置することも可能である。
左側リム部2Lの前側脚部22fについて述べた以上の説明は、左側リム部2Lの後側脚部22r、右側リム部2Rの前側および後側脚部22f、22rについても同様である。
図7は、本体支持部2に対する本体部1の揺動運動を示す説明図である。
モビリティMは、本体支持部2について設定された以上の自由度のほか、本体部1について設定された更なる自由度を有する。具体的には、本体部1は、本体支持部2に対して軸部14の中心軸周りに揺動可能である。換言すれば、本体部1は、水平位置に対して前方に傾いたり、後方に傾いたりすることが可能である。本実施形態では、軸部14が本体支持部2の腰部リンク軸A1と同心に配置され、その中心軸が腰部リンク軸A1と合致するため、本体部1は、本体支持部2に対し、腰部リンク軸A1を中心に揺動可能な状態にある。換言すれば、本体部1が本体支持部2に対して揺動する際の中心軸と、左側リム部2Lと右側リム部2Rとが互いに対して揺動する際の中心軸と、が合致する。
このように、本実施形態に係るモビリティMは、その姿勢の変化に関わる可動部の自由度として、全部で14の自由度を有する。ただし、これは、本体支持部2に対する本体部1の揺動運動と、左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間における相対的な揺動運動と、を概念上異なる運動とした場合の自由度の数である。ここで、これら14の自由度を付与するアクチュエータACT(ACT1~ACT3、ACT5)の配置について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4は、アクチュエータACTの位置を、二点鎖線の枠に斜線を付すことにより模式的に示す。本実施形態において、アクチュエータACTは、いずれも電動モータにより具現される。
モビリティMは、第1リム部2Lおよび第2リム部2Rのそれぞれにおいて、上記アクチュエータACTとして14の駆動モータACT1~ACT3、ACT5を備える。
第1駆動モータACT1は、軸部14を装着する取付部211が設けられる左右夫々のリム本体部21の筐体に内蔵され、腰部リンク軸A1を中心とするリム本体部21の揺動運動を付与する。左側リム部2Lに備わる第1駆動モータACT1と右側リム部2Rに備わる第1駆動モータACT1との協働により、左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間における相対的な揺動運動を実現するとともに、本体支持部2に対する本体部1の揺動運動を実現可能である。
第2駆動モータACT2f、ACT2rは、前後の股関節部HJf、HJrが取り付けられるリム本体部21の前端部および後端部においてリム本体部21の筐体に内蔵され、股関節軸A2f、A2rを中心とする前後夫々の脚部22f、22rの内転および外転運動を付与する。
第3駆動モータACT3f、ACT3rは、前後の膝関節部KJf、KJrの筐体に内蔵され、膝関節軸A3f、A3rを中心とする前後夫々の脚部22f、22rの屈曲および伸展運動を付与する。
第5駆動モータACT5f、ACT5rは、前後の脚回旋部24f、24rの筐体に内蔵され、脚回旋軸A5f、A5rを中心とする前後夫々の脚部22f、22rの内旋および外旋運動を付与する。
以上7つ(左右夫々のリム部2L、2Rに備わる電動モータを別に計上すれば、全部で14)の電動モータは、減速機が付設され、モビリティMの姿勢の変化に際してそれぞれの可動部を駆動する駆動トルクを形成するとともに、姿勢を変化させた後の可動部の位置、つまり、変化後の電動モータの回転角を保持する保持トルクを形成可能である。トルクの形成に加えるかまたはこれに代えて、可動部にロック機構を設け、モビリティMの姿勢に応じた可動部の位置をこのロック機構により保持するようにしてもよい。
上記以外に、モビリティMは、走行用の車輪(前輪23f、23r)を回転駆動するとともに、車輪に回生による制動力を生じさせる電動モータACT4f、ACT4rを備える。
以下に、モビリティMにより実現可能な姿勢の具体例について説明する。
モビリティMは、図1および図3に示す基本姿勢のほか、図8に示す第1乗降姿勢および図9に示す第2乗降姿勢を実現可能である。
基本姿勢は、モビリティMが移動または走行前の待機時にとる姿勢として好適であるとともに、車輪23f、23rによる走行時にとる姿勢としても好適である。基本姿勢において、左側リム部2Lと右側リム部2rとは、面対称の状態にある。つまり、左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間における相対的な揺動変位はなく、左側リム部2Lと右側リム部2Rとは、腰部リンク軸A1を中心とする回転方向に同一位置にある。そして、腰部リンク軸A1、前後の股関節部HJf、HJrの関節軸A2f、A2r、前後の膝関節部KJf、KJrの関節軸A3f、A3r、前輪23fおよび後輪23rの車輪軸A4f、A4rは、互いに平行であり、車輪23f、23rが設置する地面または床面に対して平行かつモビリティMの前進方向に対して垂直である。
前後夫々の脚部22f、22rにおいて、上腿部221f、221rが内向きに傾斜してリム本体部1に近付くように股関節部HJf、HJrの回転角が設定され、さらに、前後の車輪23f、23rが膝関節部KJf、KJrよりも外方に位置するように膝関節部KJf、KJrの回転角が設定される。ここで、前輪軸A4fは、前側脚回旋軸A5fの延長線よりも前方に位置し、後輪軸A4rは、後側脚回旋軸A5rの延長線よりも後方に位置する。
このような設定により、基本姿勢では、本体部1に備わるステップ16が移動中の乗員にとって好ましい高さに設定される。この高さは、後に述べる第1乗降姿勢および第2乗降姿勢におけるいずれのステップ16の高さよりも高い。基本姿勢における前輪23fと後輪23rとの間隔、つまり、モビリティMのホイールベースは、所定の第1距離に設定され、第1距離は、前側股関節軸A2fと後側股関節軸A2rとの前後方向距離よりも長く、例えば、1100ミリメートルである。
これに対し、図8に示す第1乗降姿勢は、乗員がモビリティMに乗り降りする際およびモビリティMに荷物を積載しまたは荷下ろしする際にとる姿勢として好適である。第1乗降姿勢は、基本姿勢に対し、左側リム部2Lと右側リム部2Rとを同一位置の状態に維持しながら、前後夫々の脚部22f、22rにおいて、上腿部221f、221rがリム本体部1に対してさらに近付き、上腿部221f、221rと下腿部222f、222rとが互いに対してさらに近付くように、股関節部HJf、HJrの内向きの回転角(つまり、内転角)と、膝関節部KJf、KJrの外向きの回転角(つまり、屈曲角)と、をいずれも増大させることにより実現可能である。換言すれば、上腿延伸線VL2f、VL2rがリム本体延伸線VL1に対してなす角を狭めるとともに、下腿延伸線VL3f、VL3rが上腿延伸線VL2f、VL2rに対してなす角を縮小させる。第1乗降姿勢は、その形容から、しゃがみ姿勢と呼ぶことも可能である。
このような設定により、第1乗降姿勢では、本体部1に備わる荷台部15およびステップ16が基本姿勢よりも低い位置に設定される。第1乗降姿勢におけるホイールベースは、第1距離よりも長い所定の第2距離に設定される。第2距離は、例えば、1000ミリメートルである。モビリティMは、乗降時のほか、その電源を遮断し、アクチュエータACTに対する電力供給を停止した場合にも第1乗降姿勢をとる。
さらに、図9に示す第2乗降姿勢は、乗員が移動体Mに乗り降りする際およびモビリティMに荷物を積載または荷下ろしする際にとり得る姿勢の変形態様である。乗員は、乗り降り、荷物の積載、荷下ろしに際し、第1乗降姿勢と第2乗降姿勢とを選択的に設定可能である。
第2乗降姿勢は、第1乗降姿勢に対し、前側脚部22fにおいて、前側股関節部HJfおよび前側膝関節部KJfの回転角を維持し、リム本体延伸線VL1、前脚上腿延伸線VL2fおよび前脚下腿延伸線VL3fの間における相対的な位置関係を維持する一方、後側脚部22rにおいて、後側股関節部HJrを外向きに大きく開くことにより、後脚上腿延伸線VL2rがリム本体延伸線VL1に対してなす角を広げるとともに、後側膝関節部KJrを内向きに回転、つまり、伸展させて、後脚下腿延伸線VL3rが後脚上腿延伸線VL2rに対してなす角を増大させることにより実現可能である。第2乗降姿勢は、その形容から、延び姿勢と呼ぶことも可能である。
このような設定により、第2乗降姿勢では、第1乗降姿勢に比べて後輪23rが後側股関節部HJrから前後方向DLに遠く離れて位置することとなる。そして、後側股関節部HJrの位置が前側股関節部HJfよりも低下して、本体部1に備わる荷台部15およびステップ16が第1乗降姿勢よりもさらに低い位置に設定される。第2乗降姿勢におけるホイールベースは、第2距離よりもさらい長い所定の第3距離に設定される。第3距離は、例えば、1430ミリメートルである。本実施形態では、後側股関節部HJrが地面または床面に接触する位置にまで低下し、後側股関節部HJrと後輪23rとがほぼ同じ高さ位置に揃う。この場合に、モビリティMは、左右の前輪23f、左右の後輪23rおよび左右の後側股関節部HJrの計6点で接地する。
図10は、リム本体部の主構造を示す側面図である。
本実施形態に係る移動体のリム本体部21は、リム本体部21の長手方向に交差するように延びてリム本体部21を補強する複数のリブ31と、隣り合うリブ31のそれぞれの間に配置される複数の重量軽減孔32と、を有している。リム本体部21の複数のリブ31は、屈曲部と前側梁状部21fの先端部との間の部位、つまり前側梁状部21fの途中部分と、屈曲部と後側梁状部21rの先端部との間の部位、つまり後側梁状部21rの途中部分に配置される。複数の重量軽減孔32は、前側梁状部21fおよび後側梁状部21rの両方にあってもよいし、前側梁状部21fおよび後側梁状部21rのいずれか一方のみにあってもよい。つまり、複数の重量軽減孔32は、前側梁状部21fおよび後側梁状部21rの少なくとも一方にあればよい。前側梁状部21fの先端部(つまり、リム本体部21の前端部)は、第2駆動モータACT2fを内蔵するボックス形状の筐体として機能する。後側梁状部21rの先端部(つまり、リム本体部21の後端部)は、第2駆動モータACT2rを内蔵するボックス形状の筐体として機能する。
図11は、モビリティMの制御構成を示す概略図である。
本実施形態において、制御部は、電子制御ユニットであるコントローラ101として具現され、マイクロコンピュータとその周辺回路とを備える。コントローラ101は、その入力として、操作部12からの出力信号を受信するとともに、カメラ131、加速度センサ132およびモータ回転角センサ133からの出力信号を受信する。モータ回転角センサ133は、アクチュエータACTとしてそれぞれの可動部に設けられた電動モータの回転角を検出するものであり、例えば、ロータリーエンコーダである。
コントローラ101は、これらの入力信号をもとに所定の演算を実行し、その結果である駆動指令信号を対応するアクチュエータACT(ACT1~ACT5)に出力する。
図12は、移動時にコントローラ101が行う制御の内容を示すフローチャートである。
コントローラ101は、脚部22f、22rによる移動および車輪23f、23rによる走行に際し、モビリティM前方の経路に関する経路情報を取得する。そして、取得された経路情報をもとに所定の演算を実行し、本体部1の水平度を維持するように、それぞれの可動部に備わるアクチュエータACTを制御する。
ここで、本体部1の「水平度」とは、起居部11の水平度をいい、本実施形態では、起居部11に備わるステップ16および荷台の水平度をいう。「水平度が高い」とは、ステップに立つ乗員の正面を向く視線が水平または水平に近い状態にあることをいい、「水平度が低い」とは、ステップ16に立つ乗員の視線が上を向いたり、下を向いたりする状態にあることをいう。
このように、本体部1の水平度を維持することで、例えば、平坦路を車輪23f、23rにより走行する場合と、階段等の段差を脚部22f、22rにより股および膝の関節HJ(HJf、HJr)、KJ(KJf、KJr)を動かして昇降する場合とで、本体部1、つまり、起居部11の向きを水平に維持可能である。
S101では、カメラ131等、検出部13に備わる各種センサにより検出された情報を読み込む。取得される情報には、モビリティMが移動する経路の形状等に関する情報、つまり、経路情報が含まれる。
S102では、腰部リンク軸高さを設定する。腰部リンク軸高さは、地面等、車輪23f、23rによる接地点から腰部リンク軸A1までの高さであり、ステップ16および荷台部15の高さに関連し、これを指標とする。
S103では、設定された腰部リンク軸高さをもとに、左側リム部2Lおよび右側リム部2Rに備わる前後夫々の股関節部HJf、HJrの関節軸A2f、A2rの高さ(以下「股関節軸高さ」という)を設定する。ここで、股関節軸高さは、接地点から前後夫々の股関節軸A2f、A2rまでの高さであり、移動中の経路において腰部リンク軸A1を設定された高さ(つまり、腰部リンク軸高さ)で水平に維持するための前後の股関節部HJf、HJrの高さを示す。
S104からS106では、設定された股関節軸高さを実現するためのリム本体揺動角、股関節回転角および膝関節回転角を算出する。リム本体揺動角は、左右のリム部2L、2Rの間における腰部リンク軸A1を中心とする相対的な揺動変位量であり、股関節回転角は、前後夫々の股関節部HJf、HJrの回転角であり、膝関節回転角は、前後夫々の膝関節部KJf、KJrの回転角である。
S107では、左側リム部2Lおよび右側リム部2Rに備わる前後夫々の脚部22f、22rの脚回旋部24f、24rの回旋角(以下「脚回旋角」という)を算出する。
S108では、以上の工程により算出されたリム本体揺動角、股関節回転角、膝関節回転角および脚回旋角に応じた駆動指令信号を生成し、対応する可動部のアクチュエータACTに出力する。
経路情報の取得は、カメラ131によるほか、経路の形状等に関する情報を地図情報と関連付けてコントローラ101の記憶部に予め記憶させ、地図上におけるモビリティMの現在位置をGPS等の位置センサにより検出するとともに、この現在位置に関連付けられている経路情報を読み出すことによっても可能である。
本実施形態に係るモビリティMは、以上の構成を有する。
本実施形態では、前後夫々の股関節部HJf、HJrにおける内転および外転を含む脚部22f、22rの動作量、具体的には、股関節部HJf、HJrおよび膝関節部KJf、KJrの回転角を制御することで、前側股関節部HJfおよび後側股関節部HJrの高さ位置Hf、Hrを適宜に変更、調整する。そして、これに併せ、左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間で前後の股関節部HJf、HJrの高さ位置Hf、Hrにずれが生じる場合は、このずれを、左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間における相対的な揺動変位量、つまり、リム本体揺動角を制御することにより抑制する。
このように、モビリティMは、関節部HJf、HJr、KJf、KJrの回転変位量およびリム部2L、2Rの揺動変位量を制御可能であることで、より多様な動作を実現可能であるとともに、多様な用途に適用可能である。
そして、平坦な経路を移動しまたは走行する場合に限らず、階段等の段差を昇降する際に、腰部リンク軸A1を所定の高さに位置させ、その左右の傾きを抑制することで、本体部1の水平度を維持する。この際、左右のリム部2L、2Rの間で股関節部HJf、HJrの高さ位置Hf、Hrにずれが生じることによりモビリティMの姿勢が不安定となる事態を回避することが可能となり、水平度を維持する高い機能性を提供することができる。
さらに、本実施形態では、関節部の回転変位量、つまり、前後の股関節部HJf、HJrの回転変位量および前後の膝関節部KJf、KJrの回転変位量に、リム部2L、2Rの揺動変位量を加えた、少なくとも9つの自由度を有することにより、より多様な動作を実現可能とする。
図13は、段差(例えば、階段)Sを上る際にモビリティMがとり得る姿勢の一例を示す説明図である。図13(a)は、モビリティM全体の姿勢を示し、同図(b)は、左右のリム部2L、2Rの腰部リンク軸A1、前側股関節軸A2f、A2f’および後側股関節軸A2r、A2r’の位置関係を模式的に示す。
モビリティMは、段差Sを上る際に、腰部リンク軸A1を所定の高さで水平に維持するための前後の股関節部HJf、HJrの高さを設定する。図示の例では、腰部リンク軸A1を腰部リンク軸高さに維持するため、左側リム部2Lの前側股関節軸高さが右側リム部2Rの前側股関節軸高さよりも低く設定され、左側リム部2Lの後側股関節軸高さが右側リム部2Rの後側股関節軸高さよりも高く設定されている。
これに伴い、左右における股関節軸高さの違いによりモビリティMの姿勢が不安定となる事態を抑制するため、リム本体揺動角の設定により左側リム部2Lと右側リム部2Rとの間で相対的な揺動変位を生じさせ、この股関節軸高さの違いを吸収する。
そして、左右夫々のリム部2L、2Rの前側脚部22fおよび後側脚部22rの位置、つまり、前後の股関節部HJf、HJrおよび膝関節部KJf、KJrの回転角は、前側脚部22fについては前側股関節軸高さをもとに、後側脚部22rについては後側股関節軸高さをもとに、夫々設定可能である。
さらに、設定された前側股関節軸高さおよび後側股関節軸高さのもとで本体部1に前方または後方への傾斜が生じた場合は、腰部リンク軸A1を中心に本体部1を後方または前方に揺動させ、本体部1の向きを水平に維持する。本実施形態において、本体部1の揺動は、左右夫々のリム部2L、2Rに備わる第1駆動モータACT1を前後の同じ方向に同じ角度だけ回転させることにより実現可能である。
以上に加え、本実施形態では、前脚脚回旋部24fにより、前側膝関節部KJfの関節軸A3fが前側股関節部HJfの関節軸A2fに対してなす角を変更可能とし、後脚脚回旋部24rにより、後側膝関節部KJrの関節軸A3rが後側股関節部HJrの関節軸A2rに対してなす角を変更可能とすることで、前後の脚部22f、22rによるより多様な動作が実現可能となり、例えば、前後方向DLだけでなく、斜めまたは左右方向DWへの移動にも対応することが可能となる。
また、本実施形態のモビリティMは、本体部1と一対のリム部2L、2Rとを揺動可能に連結する一対の軸部14を挟む荷台部15およびステップ16と、一対の軸部14を境に一方側である前方側へ延びて荷台部15を挟み、他方側である後方側へ延びてステップ16の上方領域を挟む一対のリム本体部21と、を備える。そのため、モビリティMは、一対のリム本体部21で挟み込んだ領域に乗員の搭乗と荷物の積載とを両立できる。つまり、モビリティMは、乗員の搭乗領域と荷物の積載領域とを一対のリム本体部21に挟まれた領域に設定可能であって、この領域を荷物の積載領域により多く分配することで、高い運搬能力を容易に具現する。
さらに、本実施形態のモビリティMは、頂部から一方の端部である前端部および他方の端部である後端部のそれぞれへ向かって垂れ下がるへの字状をなすリム本体部21と、リム本体部21の頂部に配置される軸部14と、を備える。つまり、一対のリム本体部21は、荷物の積載領域および乗員の搭乗領域の左右側方を単に前後方向DLに挟むだけでなく上下方向DHにも挟んで面状に広く挟む。そうすることで、モビリティMは、荷台部15に積載される荷物が車両の側方へ崩れることを制限したり、荷台部15に積載される荷物へ車両の側方から外乱が作用することを防いだりする。また、モビリティMは、ステップ16に立つ乗員に安心感を与えることもできる。
また、本実施形態のモビリティMは、一方側である前方側へ長く、他方側である後方側へ短い一対のリム本体部21を備える。換言すると、モビリティMは、より長い一対の前側梁状部21fで荷台部15を挟み、より短い一対の後側梁状部21rでステップ16の上方領域を挟む一対のリム本体部21を備える。そのため、モビリティMは、小型で限られたモビリティMの一対のリム本体部21が挟む領域において、ステップ16に起立して搭乗する乗員の搭乗領域を確保する一方、荷台部15に積載される荷物の積載領域をより大きく確保することができる。
さらに、本実施形態のモビリティMは、一対のリム本体部21のそれぞれの頂部にあって他方側である後方側に偏倚する一対の軸部14を備えている。そのため、モビリティMは、小型で限られたモビリティMの一対のリム本体部21が挟む領域において、ステップ16に起立して搭乗する乗員の搭乗領域を確保する一方、荷台部15に積載される荷物の積載領域をさらに大きく確保することができる。
また、本実施形態のモビリティMは、一対のリム本体部21のそれぞれの頂部にあってリム本体部21の上部に偏倚する一対の軸部14を備えている。一対のリム本体部21の高さが同じなら、一対の軸部14を高い位置に配置するほど一対の軸部14よりも下方の領域の容量が大きくなる。この下方領域は、荷台部15の積載量を左右する。つまり、モビリティMは、一対の軸部14を高い位置に配置することで荷台部15の積載量を拡大できる。
ところで、リム本体部21は、モビリティMの他の部位に比べて大型の主構造であってモビリティMの総重量に占める割合が大きい。そこで、本実施形態のモビリティMは、リム本体部21の長手方向に交差するように延びてそれぞれのリム本体部21を補強する複数のリブ31と、隣り合うリブ31の間のそれぞれに配置される複数の重量軽減孔32と、を備えている。このようなリム本体部21の構造は、リム本体部21の軽量化、高強度化、および高剛性化に寄与する。そうすることで、モビリティMの総重量は減少し、その減少分によりモビリティMの積載量は向上し、つまりモビリティMの運搬応力が向上する。
本実施形態では、への字状をなすリム本体部21のうち、前後方向DLに長い一端側の梁状部を前側梁状部21fとして、モビリティMの前進方向の前側に配置する一方、前後方向DLに短い他端側の梁状部を後側梁状部21rとして、前進方向の後側に配置した。つまり、前進時には前側梁状部21fが後側梁状部21rに先行し、後退時には後側梁状部21rが前側梁状部21fに先行するように配置した。
モビリティMの前進方向は、これに限らず、前進時には前後方向DLに短い他端側の梁状部21rが一端側の梁状部21fに先行し、後退時には前後方向DLに長い一端側の梁状部21fが他端側の梁状部21rに先行する方向であってもよい。これに伴い、本体部1に起居部11が備わる場合は、起居部11の向きも前後を逆にし、起居部11に搭乗した乗員が他端側の股関節部(後側股関節部HJr)を前にするように配置する。
本実施形態では、リム本体部21の先端部および後端部、つまり、前後夫々の股関節部HJf、HJrの高さの変更および調整のため、股関節部HJf、HJrに加え、膝関節部KJf、KJrにより前後夫々の脚部22f、22rに回転関節を形成することとした。高さの変更および調整は、これに限らず、膝関節部KJf、KJrに代えるかまたはこれに併せ、直動関節を形成することによっても実現可能である。
M…移動体、1…本体部、11…起居部、12…操作部、13…検出部、131…カメラ、132…加速度センサ、133…モータ回転角センサ、2…本体支持部、2L…左側リム部、2R…右側リム部、21…リム本体部、22f…前側脚部、22r…後側脚部、221f…前脚上腿部、221r…後脚上腿部、222f…前脚下腿部、222r…後脚下腿部、23f…前輪、23r…後輪、HJf…前側股関節部、HJr…後側股関節部、KJf…前側膝関節部、KJr…後側膝関節部、A1…腰部リンク軸、A2f…前側股関節軸、A2r…後側股関節軸、A3f…前側膝関節軸、A3r…後側膝関節軸、A4f…前輪軸、A4r…後輪軸、A5f…前側脚回旋軸、A5r…後側脚回旋軸。31…リブ、32…重量軽減孔

Claims (3)

  1. 荷物を積載可能な荷台部と、乗員が搭乗可能な乗員部と、を有する本体部と、
    前記本体部を挟むように配置される一対のリム部を有して前記本体部を移動可能に支持する本体支持部と、を備え、
    前記本体部とそれぞれの前記リム部とを揺動可能に連結する一対の軸は、実質的に同一線上に配置される揺動中心線を有し、
    前記荷台部および前記乗員部は、前記一対の軸を間に挟み、
    前記荷台部は、前記一対の軸を境に前記本体部の一方側に配置され、
    前記乗員部は、前記一対の軸を境に前記本体部の他方側に配置され、
    前記一対のリム部は、前記一対の軸を境に一方側へ長く延びて前記荷台部を挟み、他方側へ短く延びて前記乗員部の上方領域を挟む一対のリム本体部を有する移動体。
  2. それぞれの前記リム本体部は、それぞれの前記リム本体部の長手方向に交差するように延びてそれぞれの前記リム本体部を補強する複数のリブと、隣り合う前記リブのそれぞれの間に配置される複数の重量軽減孔と、を有する請求項1に記載の移動体。
  3. それぞれの前記リム本体部は、頂部から一方の端部および他方の端部のそれぞれへ向かって垂れ下がるへの字状をなし、
    それぞれの前記軸は、それぞれの前記リム本体部の前記頂部に配置されている請求項1に記載の移動体。
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