JP3242391B2 - 電子回路ユニットの製造方法 - Google Patents

電子回路ユニットの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールド用のカバ
ーを備えた電子回路ユニットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、この種の電子回路ユニット
は、方形平板状の基板上に設けられた導電パターンの半
田ランドに抵抗やコンデンサ等のチップ部品あるいはト
ランジスタ等の半導体部品を半田付けし、これらの回路
部品をシールド用のカバーで覆うように概略構成されて
いる。基板は多層基板にて構成され、その内層部には接
地導体に挟まれてマイクロストリップラインが設けられ
ている。また、基板の側面には複数の接地用電極と入力
用電極および出力用電極とが設けられており、これら電
極のうち、接地用電極は基板に被着されたカバーの脚片
に半田付けされ、入力用電極と出力用電極は電子回路ユ
ニットを面実装するための母基板の半田ランドに半田付
けされる。通常、このような基板は大版基板を格子状の
分割線に沿って細分割することによって得られ、細分割
後の個々の基板に対してカバーが取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年、チップ
部品や半導体部品等の回路部品を小形化する技術は著し
く進歩しており、例えば外形寸法が0.6×0.3mm程度の超
小形のチップ抵抗やチップコンデンサも実用化されてい
る。したがって、前述した従来技術においても、このよ
うな小形の回路部品を使用し、これらの回路部品を部品
間ピッチを狭めた状態で基板上に実装すれば、電子回路
ユニットをある程度までは小型化することが可能とな
る。しかしながら、チップ部品や半導体部品等の回路部
品の小形化には限界があり、しかも、多数の回路部品を
基板上に実装する際に、各回路部品の半田付け部分が短
絡しないようにしなければならないため、部品間ピッチ
を狭めるのにも限界があり、これらのことが電子回路ユ
ニットの更なる小型化を妨げる要因となっていた。さら
に、電子回路ユニットの小型化に伴って基板とカバーの
外形寸法が小形になると、カバーを基板に取り付ける作
業が煩雑になり、量産性が低下するという問題も発生す
る。
【0004】本発明は、このような従来技術の実情に鑑
みてなされたもので、その目的は、小型化に好適で量産
性に優れた電子回路ユニットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明による電子回路ユニットの製造方法では、
アルミナ材料からなる大版基板上に、コンデンサと抵抗
およびインダクタンス素子を含む回路素子を薄膜形成す
ると共に半導体ベアチップをワイヤーボンディングした
後、該大版基板を複数の短冊状基板に分割する工程と、
前記短冊状基板の長手方向に沿う両側面に端面電極を設
ける工程と、金属板をプレス加工して複数の箱形状のカ
バーが連結部を介して一列に繋がれたカバー連続体を形
成する工程と、前記短冊状基板を前記連結部の延出方向
と直交する方向から前記カバーに組み込んだ後、該カバ
ーに折り曲げ形成された脚片を前記端面電極に半田付け
する工程と、前記短冊状基板をその長手方向に所定間隔
を存して複数のアルミナ基板に切断すると共に、前記カ
バー連続体を前記連結部で切断することにより、個々の
アルミナ基板にカバーが取り付けられた完成品を得る工
程と、を具備することを特徴としている。
【0006】このような構成によれば、コンデンサと抵
抗およびインダクタンス素子を含む回路素子が薄膜技術
を用いて高精度に形成され、しかも、半導体素子はベア
チップをワイヤーボンディングしたものであるため、ア
ルミナ基板上に必要とされる回路部品が高密度に実装さ
れ、小型化に好適な面実装タイプの電子回路ユニットを
実現することができる。また、予めカバー連続体に複数
のカバーを連結部を介して一列に形成しておき、このよ
うなカバー連続体に短冊状基板を組み込んで半田付けし
た後、カバー連続体と短冊状基板をそれぞれ所望位置で
切断することにより、個々のアルミナ基板にカバーが取
り付けられた電子回路ユニットの完成品が得られるた
め、量産性を高めることができる。
【0007】上記の構成において、複数のカバー連続体
を平行に並べてそれぞれのカバーをマトリックス状に配
列させ、この状態で各カバーに対して複数の短冊状基板
を組み込むことが、量産性を高める上で好ましい。例え
ば、1つのカバー連続体がn個のカバーを有し、1つの
短冊状基板からN個のアルミナ基板を分割する場合、N
個のカバー連続体を並設した状態でn個の短冊状基板を
組み込めば、n×N個の電子回路ユニットの完成品を一
度に得ることができる。
【0008】また、上記の構成において、カバー連続体
が有する各カバーの4辺のうち、連結部の延出方向と直
交する方向に位置する2辺に端面電極に半田付けされる
脚片を形成すると共に、残りの2辺に短冊状基板の板面
に当接する位置決め片を形成すると、カバーと短冊状基
板の平行度が維持されてシールド効果を高めることがで
きる。
【0009】また、上記の構成において、カバー連続体
と短冊状基板を切断する手段は特に限定されないが、ア
ルミナ材料からなる短冊状基板をレーザで切断し、金属
材料からなるカバー連続体の連結部をプレスで切断する
ことが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例につい
て図面を参照して説明すると、図1は電子回路ユニット
の斜視図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は
図1のB−B線に沿う断面図、図4は回路構成レイアウ
トを示すアルミナ基板の平面図、図5はアルミナ基板の
裏面図、図6は回路構成の説明図、図7は端面電極を示
す斜視図、図8は端面電極の断面図、図9は半導体ベア
チップと接続ランドの関係を示す説明図、図10は短冊
状基板を得るまでの製造工程を示す説明図、図11は短
冊状基板とカバー連続体から電子回路ユニットの完成品
を得るまでの製造工程を示す説明図、図12は該短冊状
基板とカバー連続体の斜視図である。
【0011】本実施形態例に係る電子回路ユニットは周
波数同調型ブースタアンプへの適用例であり、この周波
数同調型ブースタアンプは携帯型テレビ機器の受信性能
(特に、受信感度と耐妨害特性)向上のために図示せぬ
UHFチューナと組み合わせて使用され、希望周波数の
TV信号を選択すると共に、選択したTV信号を増幅し
てUHFチューナに入力する機能を有する。
【0012】図1はかかる周波数同調型ブースタアンプ
(電子回路ユニット)の外観を示し、同図に示すよう
に、この周波数同調型ブースタアンプは、後述する回路
構成素子を搭載したアルミナ基板1と、このアルミナ基
板1に取付けられたシールド用のカバー2とで構成され
ており、図示せぬ母基板に半田付けされる面実装部品と
なっている。アルミナ基板1は方形平板状に形成されて
おり、後述するように、このアルミナ基板1は大版基板
を短冊状基板に分割した後、短冊状基板をさらに細分割
することによって得られる。カバー2はアルミナ基板1
上の回路構成素子を覆うように箱形状に形成されてお
り、後述するように、このカバー2は金属板製のカバー
連続体を切断することによって得られる。カバー2の長
辺側には複数の脚片2aが形成されており、これら脚片
2aはアルミナ基板1の側面に設けられた端面電極3に
半田付けされている(図2参照)。また、カバー2の短
辺側には複数の位置決め片4bが形成されており、これ
ら位置決め片4bはアルミナ基板1の上面に当接してい
る(図3参照)。
【0013】図4に示すように、アルミナ基板1の表面
には回路構成素子とそれらを接続する導電パターンが設
けられており、また、図5に示すように、アルミナ基板
1の裏面には背面電極としての導電パターンが設けられ
ている。本実施形態例に係る周波数同調型ブースタアン
プは、TV信号の選択と増幅のために同調回路と増幅回
路とを有し、図6に示すような回路構成となっており、
図4に示される各回路構成素子には図6の回路図に対応
する符号を付してある。ただし、図6は回路構成の一例
を示すものであり、本発明はこれ以外の回路構成を有す
る電子回路ユニットにも適用可能である。
【0014】図6に示すように、周波数同調型ブースタ
アンプは、同調回路および増幅回路の回路構成素子であ
るコンデンサC1〜C7、抵抗R1〜R3、インダクタ
ンス素子L1〜L3、ダイオードD1、トランジスタT
r1、導電路S1,S2等を有し、これらの回路構成素
子とそれを接続する導電パターンはアルミナ基板1の表
面に設けられている。この導電パターンは例えばCrや
Cu等をスパッタリング等の薄膜技術を用いて形成した
もので、図4中には符号Pを付してハッチングによって
表されている。
【0015】周波数同調型ブースタアンプの回路構成に
ついて簡単に説明すると、希望周波数のTV信号を選択
と増幅するために、インダクタンス素子L2,L3とコ
ンデンサC3,C4およびダイオードD1とからなる同
調回路と、トランジスタTr1とその周辺回路素子(抵
抗R1〜R3、コンデンサC6)および不平衡/平衡変
換素子Tとからなる増幅回路から構成されている。複数
の周波数のTV信号はコンデンサC1を介して同調回路
に入力される。同調回路の同調周波数(共振周波数)は
ダイオードD1のカソードに加える電圧(Vctl)の制
御により可変するので、希望するTV信号の周波数に一
致させることによって、希望するTV信号だけが選択さ
れ、コンデンサC5を介して増幅回路のトランジスタT
r1のベースに入力される。トランジスタTr1のベー
スにはベースバイアス用分圧抵抗R1,R2にバイアス
電圧が与えられ、トランジスタTr1のコレクタ電流
(≒エミッタ電流)はエミッタ抵抗R3の抵抗値によっ
て設定される。トランジスタTr1によって増幅された
TV信号はコレクタから出力され、コレクタには不平衡
/平衡変換素子Tが設けられている。この不平衡/平衡
変換素子Tは互いに結合した一対の導電路S1,S2か
らなるインダクタンス素子によって構成され、導電路S
2の両端から平衡TV信号が出力され、前述したUHF
チューナに入力される。
【0016】図4に示すように、アルミナ基板1の端部
には接地用電極(GND)と入力用電極(Vcc,Vct
l,RFin)および出力用電極(RFout)が形成されて
おり、これらは導電パターンPの一部によって構成され
ている。接地用電極と入力用電極および出力用電極は方
形状のアルミナ基板1の相対向する2つの長辺側にのみ
形成され、それ以外の相対向する2つの短辺側には形成
されていない。すなわち、アルミナ基板1の一方の長辺
側の両隅部(コーナ)にGND電極が形成され、これら
GND電極の間にVcc電極とRFin電極およびVctl電
極が形成されている。また、アルミナ基板1の他方の長
辺側の両隅部とその近傍の3箇所にGND電極が形成さ
れ、これらGND電極の間に2つのRFout電極が形成
されている。なお、後述するように、アルミナ基板1の
2つの長辺は大版基板を短冊状の分割片に切断したとき
の分割線に対応し、アルミナ基板1の2つの短辺はこの
分割片をさらに細分割したときの分割線に対応する。
【0017】一方、図5に示すように、アルミナ基板1
の裏面に設けられた導電パターンP1(背面電極)はそ
れぞれの接地用電極(GND)と入力用電極(Vcc,V
ctl,RFin)および出力用電極(RFout)に対向して
おり、図7と図8に示すように、両者は端面電極3を介
して導通されている。この端面電極3はAg厚膜層の上
にNi下地メッキ層とAuメッキ層を順次積層したもの
で、最下層のAg厚膜層は、ガラス成分を含まないAg
ペーストを厚膜形成した後、これを200°C程度で焼
成した低温焼成材からなる。また、中間層のNi下地メ
ッキ層はAuメッキ層の付着を容易にするもので、最上
層のAuメッキ層は、端面電極3を図示せぬ母基板の半
田ランドに半田付けした際に、最下層のAgが半田に析
出するのを防止するためのものである。そして、カバー
2がアルミナ基板1に取付けられた電子回路ユニットの
完成品において、カバー2の側面に折り曲げ形成された
脚片2aが接地用電極(GND)と導通する端面電極3
に半田付けされており、カバー2はアルミナ基板1の4
隅で接地された状態となる。
【0018】前述した各回路構成素子のうち、コンデン
サC1〜C7は下部電極の上にSiO2等の誘電体膜を介し
て上部電極を積層したもので、これらはスパッタリング
等を用いて薄膜形成されている。上部電極の表面にはC
u層が設けられており、このCu層によって共振回路の
Qが高められている。コンデンサC1〜C7の下部電極
と上部電極は導電パターンPに接続されており、図4に
示すように、コンデンサC7とVcc電極間の導電パター
ンP、コンデンサC7とRFout電極間の導電パターン
P、コンデンサC2とVctl電極間の導電パターンPに
は、それぞれ放電用の近接部(エアーギャップ)Gが設
けられている。この近接部Gは互いに対向して並設され
た導電パターンPのそれぞれに設けられた一対の突部に
よって構成されており、両突部の尖端同士は所定のギャ
ップを存して対向している。この場合、導電パターンP
とGND電極の寸法精度はいずれも薄膜技術により高く
なるため、近接部Gのギャップ寸法を狭めることがで
き、低電圧での放電が可能となっている。また、各コン
デンサC1〜C7のうち、コンデンサC1とC3〜C5
は単純な方形状に形成されているが、コンデンサC2と
C7については2つ以上の方形を組み合わせた異形状に
形成されている。すなわち、コンデンサC2は1つの矩
形の一辺から2つの矩形を突出させた凹形状であり、コ
ンデンサC7は3つの矩形を長辺方向にずらして連続さ
せた形状になっている。これらコンデンサC2とC7は
比較的大きな容量値を必要とする接地用コンデンサであ
り、接地用コンデンサC2とC7をこのような異形状に
すると、アルミナ基板1上の限られたスペースが有効利
用され、所望の容量値のコンデンサを高密度実装するこ
とができる。
【0019】さらに、各コンデンサC1〜C7のうち、
コンデンサC6は大きさを異にする2つの接地用コンデ
ンサで構成されており、両者は互いに分離された一対の
導電パターンPを介して並列接続されている。すなわ
ち、図4に示すように、両接地用コンデンサC6の各一
方の電極部はGND電極に繋がる接地用の導電パターン
Pに接続されているが、両接地用コンデンサC6の各他
方の電極部は互いに分離された2つの導電パターンPを
介してトランジスタTr1の接続ランドSLに接続され
ている。図6から明らかなように、コンデンサC6はト
ランジスタTr1のエミッタと接地間に設けられてお
り、前記接続ランドSLはトランジスタTr1のエミッ
タ電極がワイヤーボンディングされる箇所であるため、
コンデンサC6の容量値は互いに分離された導電パター
ンPを介して並列接続された2つの接地用コンデンサに
よって設定されることになる。したがって、トランジス
タTr1のエミッタ電極からコンデンサC6を介して接
地に至る導電パターンP全体のインダクタンスが減少し
て、接地用コンデンサC6による接続ランドSLの接地
効果が向上することになり、また、各接地用コンデンサ
C6と各導電パターンPとによる寄生発振周波数が高く
なるため、この周波数をトランジスタTr1の動作点周
波数以上に設定することにより、寄生振動をなくすこと
ができる。
【0020】抵抗R1〜R3は例えばTaSiO2等の抵抗膜
をスパッタリング等の薄膜技術を用いて形成したもの
で、その表面には必要に応じてSiO2等の誘電体膜が設け
られている。図4に示すように、3つの抵抗R1〜R3
のうち、抵抗R1とR2はアルミナ基板1上の互いに近
接した位置に並設して薄膜形成され、残りの抵抗R3は
抵抗R1とR2から離れた位置に薄膜形成されている。
このように抵抗R1とR2を近接した位置に薄膜形成し
てあるため、各抵抗R1,R2の抵抗値が所望値に対し
てバラツキを生じたとしても、抵抗R1,R2全体のバ
ラツキの比率を同じにすることができる。図6から明ら
かなように、抵抗R1とR2はトランジスタTr1のベ
ースバイアス用分圧抵抗であり、R1/(R1+R2)
×Vccの電圧がトランジスタTr1のベースに印加され
る。ここで、ベースバイアス用分圧抵抗である抵抗R
1,R2全体のバラツキの比率は前述したように常に同
じであるため、これら抵抗R1,R2に対する抵抗値の
トリミングは不要となる。一方、抵抗R3はトランジス
タTr1のエミッタ抵抗であり、電流はVcc電極からト
ランジスタTr1のコレクタとエミッタに流れ、さらに
抵抗R3を通って接地される。ここで、各抵抗R1〜R
3のうち、エミッタ抵抗である抵抗R3によるトランジ
スタTr1の増幅度への寄与が最も大きいため、電流値
が一定になるように抵抗R3のみをトリミングして出力
調整するようにしてある。
【0021】また、インダクタンス素子L1〜L3と導
電路S1,S2は、CrやCu等をスパッタリング等の
薄膜技術を用いて形成したもので、導電パターンPに接
続されている。各インダクタンス素子L1〜L3の表面
にはCu層が設けられており、このCu層によって共振
回路のQが高められている。インダクタンス素子L1と
L2はいずれも角形の渦巻き形状に形成されており、そ
れぞれの一端はVctl電極や接地用の導電パターンPに
ワイヤーボンディングされている。インダクタンス素子
L2は概略の共振周波数を設定する共振周波数設定用で
あり、インダクタンス素子L3はインダクタンス素子L
2の他端に連続している。インダクタンス素子L3は共
振周波数を調整するための調整用導電パターンであり、
図4の破線で示すように、インダクタンス素子L3をト
リミングして削ることにより、インダクタンス素子L2
の巻数が増加して共振周波数を調整するようになってい
る。この場合、トリミング後のインダクタンス素子L3
の導体幅が共振周波数設定用のインダクタンス素子L2
の導体幅と同じになるようにすれば、インダクタンス素
子L2とインダクタンス素子L3の特性インピーダンス
が変わらなくなり、C/N比が良好な発振を得ることが
できる。
【0022】前述したように、不平衡/平衡変換素子T
は互いに結合した一対の導電路S1,S2からなるイン
ダクタンス素子によって構成され、これら導電路S1,
S2はアルミナ基板1上に薄膜形成されている。これら
導電路S1,S2はアルミナ基板1上で所定のギャップ
を介して対向するように渦巻き状に形成されており、一
方の導電路S1の両端はトランジスタTr1のコレクタ
電極とコンデンサC7に接続された導電パターンPとに
接続され、他方の導電路S2の両端は一対のRFout電
極に接続されている。この場合、薄膜形成された導電路
S1,S2の寸法精度が高いため、両導電路S1,S2
間のギャップを狭くして所望の結合度を確保することが
でき、アルミナ基板1上の限られたスペース内に小形の
不平衡/平衡変換素子Tを設けることができる。
【0023】また、ダイオードD1とトランジスタTr
1は、アルミナ基板1上に薄膜形成された導電パターン
Pの接続ランドに半導体ベアチップを搭載し、該半導体
ベアチップを導電パターンPにワイヤーボンディングし
たものである。すなわち、図4に示すように、ダイオー
ドD1の半導体ベアチップは角形形状をなし、その下面
に設けられた一方の電極がクリーム半田や導電ペースト
等の導電性接着剤を用いて接続ランドに固定され、半導
体ベアチップの上面に設けられた他方の電極が導電パタ
ーンPの所定部位にワイヤーボンディングされている。
また、トランジスタTr1の半導体ベアチップも角形形
状をなし、その下面に設けられたコレクタ電極が導電性
接着剤を用いて接続ランドに固定され、ベース電極とエ
ミッタ電極が導電パターンPの所定部位にワイヤーボン
ディングされている。前述した端面電極3と同様に、こ
れら接続ランド上にもNi下地メッキ層とAuメッキ層
が順次積層されている。ここで、図9(a)または
(b)に示すように、半導体ベアチップ4の下面積に対
して接続ランド5の面積が小さく形成されており、この
ような構成を採用することにより、半導体ベアチップ4
の下方に導電性接着剤の溜り部が確保されるため、導電
性接着剤が半導体ベアチップ4の外形からはみ出して周
囲の導電パターンPと短絡する事故を未然に防止するこ
とができる。また、接続ランド5の内部に開口5aが設
けられており、これによって余剰の導電性接着剤が開口
5a内に溜められるため、導電性接着剤のはみ出しをよ
り確実に防止できるようになっている。
【0024】次に、上記の如く構成された電子回路ユニ
ットの製造工程について主として図10〜図12を用い
て説明する。
【0025】まず、縦横に格子状に延びる分割溝が刻設
されたアルミナ材からなる大版基板1Aを準備し、図1
0(a)に示すように、この大版基板1Aの表面全体に
TaSiO2等をスパッタリングした後、これを所望形状にエ
ッチングして抵抗膜6を形成することにより、抵抗R1
〜R3に相当する部分が構成される。次に、図10
(b)に示すように、抵抗膜6の上からCrやCu等を
スパッタリングし、これを所望形状にエッチングして下
部電極7を形成した後、図10(c)に示すように、下
部電極7の上からSiO2等をスパッタリングし、これを所
望形状にエッチングして誘電体膜8を形成する。次に、
図10(d)に示すように、誘電体膜8の上からCrや
Cu等をスパッタリングした後、これを所望形状にエッ
チングして上部電極9を形成する。その結果、下部電極
7または上部電極9によって導電パターンPとインダク
タンス素子L1〜L3および導電路S1,S2に相当す
る部分が構成され、下部電極7と誘電体膜8および上部
電極9の積層体によってコンデンサC1〜C7に相当す
る部分が構成される。次に、インダクタンス素子L1〜
L3とコンデンサC1〜C7および導電路S1,S2に
相当する部分の表面にCu層をメッキまたは薄膜技術で
形成した後、図10(e)に示すように、導電パターン
Pを除く部分に保護膜10を形成する。次に、図10
(f)に示すように、大版基板1Aの裏面全体にCrや
Cu等をスパッタリングした後、これを所望形状にエッ
チングして背面電極11を形成することにより、裏面側
の導電パターンP1に相当する部分が構成される。
【0026】以上説明した図10(a)〜(f)の工程
は大版基板1Aに対して行なわれ、以下に説明する図1
0(g)〜(j)の工程は、この大版基板1Aを一方向
の分割溝に沿って切断することで得られる短冊状基板1
Bに対して行なわれる。
【0027】すなわち、大版基板1Aを複数の短冊状基
板1Bに分割した後、図10(g)に示すように、この
短冊状基板1Bの分割面であるアルミナ基板1の両端面
にAg層12を厚膜形成し、アルミナ基板1の表裏両面
に設けられた導電パターンP,P1の接地用電極(GN
D)と入力用電極(Vcc,Vctl,RFin)および出力
用電極(RFout)同志をAg層12で導通する。この
Ag層12は前述した端面電極3のAg厚膜層に相当
し、ガラス成分を含まないAgペーストからなる低温焼
成材である。なお、かかるAg層12の厚膜形成工程を
1つの短冊状基板1Bに対して行なうことも可能である
が、複数の短冊状基板1Bを若干の隙間を存して重ね合
わせた状態にすれば、Ag層12を複数の短冊状基板1
Bに対して同時に厚膜形成することができ、大量生産に
好適となる。次に、Ag層12と半導体ベアチップが搭
載される接続ランドの各表面にNi下地層とAu層を順
次メッキした後、図10(h)に示すように、各接続ラ
ンド上にダイオードD1とトランジスタTr1の半導体
ベアチップをクリーム半田や導電ペースト等の導電性接
着剤を用いて固定する。この場合、前述したように、半
導体ベアチップの下面積に対して接続ランドの面積が小
さく形成されているため、導電性接着剤の半導体ベアチ
ップからのはみ出しが防止され、導電性接着剤が半導体
ベアチップの周囲の導電パターンPと不所望に短絡しな
いようになっている。次に、図10(i)に示すよう
に、各半導体ベアチップを導電パターンPの所定部位に
ワイヤーボンディングした後、図10(j)に示すよう
に、エミッタ抵抗である抵抗R3をトリミングして出力
調整すると共に、調整用導電パターンであるインダクタ
ンス素子L3をトリミングして共振周波数を調整する。
この場合、共振周波数の調整は個々のアルミナ基板1に
分割する前の短冊状基板1Bの状態で行なわれ、各アル
ミナ基板1の隅部に接地用電極(GND)が設けられて
いるため、隣接するアルミナ基板1に設けられた入力用
電極(Vcc,Vctl,RFin)および出力用電極(RFo
ut)間に必ず接地用電極(GND)が位置することにな
り、共振周波数の調整が隣接するアルミナ基板1へ悪影
響を及ぼさないようになっている。
【0028】このように必要とされる回路構成素子や端
面電極3を短冊状基板1Bに全て形成した後、図11に
示すように、金属板をプレス加工して得られるカバー連
続体2Aを平行に並べた状態で、各カバー連続体2Aに
対して複数の短冊状基板1Bを組み込む。図12に示す
ように、このカバー連続体2Aには前述した複数のカバ
ー2が連結部2cを介して一列に連続形成されており、
連結部2cの延出方向と直交する方向に位置する各カバ
ー2の長辺側に脚片2aが形成されると共に、連結部2
cの延出方向と平行な方向に位置する各カバー2の短辺
側に位置決め片2bが形成されている。そして、短冊状
基板1Bはこのようなカバー連続体2Aに対し、連結部
2cの延出方向と直交する方向から各カバー2に組み込
まれる。すなわち、1つのカバー連続体2Aには予めn
個のカバー2が連結部2cを介して一列に繋がれてお
り、1つの短冊状基板1BからN個のアルミナ基板1を
分割する場合は、まず、図示せぬ治具等を用いてN個の
カバー連続体2Aを平行に並設することにより、n×N
個のカバー2をマトリックス状に配列する。この状態で
各カバー連続体2Aと直交する方向からn個の短冊状基
板1Bを組み込み、各カバー2のそれぞれの脚片2a間
に短冊状基板1Bを挿入する。その際、短冊状基板1B
を挿入していく過程で、短冊状基板1Bの板面が各カバ
ー2の4隅に形成された位置決め片2bに突き当たるた
め、当該位置でカバー2と短冊状基板1Bの平行度は高
精度に維持される。
【0029】このようにカバー連続体2Aの各カバー2
に対して複数の短冊状基板1Bを組み込んだ後、各カバ
ー2の脚片2aを短冊状基板1Bの接地用電極(GN
D)に導通する端面電極3にディスペンサ等を用いて半
田付けし、次いで、各短冊状基板1Bをレーザ加工によ
ってそれぞれN個のアルミナ基板1に切断すると共に、
各カバー連続体2Aの連結部2cをプレス加工によって
それぞれn個のカバー2に切断することにより、図1に
示すように、個々のアルミナ基板1にカバー2が取り付
けられたn×N個の電子回路ユニットの完成品を一度に
得ることができる。
【0030】上記実施形態例に係る電子回路ユニットに
よれば、アルミナ基板1上にコンデンサC1〜C7、抵
抗R1〜R3、インダクタンス素子L1〜L3、導電路
S1,S2等の回路素子とこれら回路素子に接続される
導電パターンPとを薄膜形成すると共に、このアルミナ
基板1上にダイオードD1とトランジスタTr1の半導
体ベアチップをワイヤーボンディングし、かつ、アルミ
ナ基板1の側面に導電パターンの接地用電極と入出力用
電極に接続される端面電極3を設けたため、必要とされ
る回路構成素子を薄膜技術と半導体素子のワイヤーボン
ディングとを用いてアルミナ基板1上に高密度に実装で
き、小型化に好適な面実装タイプの電子回路ユニットを
実現することができる。また、予め複数のカバー2が連
結部2cを介して一列に繋がれたカバー連続体2Aを準
備しておき、このようなカバー連続体2Aを複数並設し
て各カバー2をマトリックス状に配列させた状態で、各
カバー2に複数の短冊状基板1Bを組み込んで半田付け
した後、カバー連続体2Aと短冊状基板1Bをそれぞれ
所望位置で切断するようにしたため、アルミナ基板1に
カバー2が取り付けられた電子回路ユニットの完成品を
複数個同時に得ることができ、量産性を高めることがで
きる。さらに、カバー連続体2Aの各カバー2に、連結
部2cの延出方向と直交する方向に位置する2辺に端面
電極3に半田付けされる脚片2aを形成すると共に、残
りの2辺に短冊状基板1Bの板面に当接する位置決め片
2bを形成したため、これら位置決め片2bによってカ
バー2と短冊状基板1Bの平行度が高精度に維持され、
カバー2のシールド効果を高めることができる。
【0031】なお、上記実施形態例では、短冊状基板1
Bをレーザ加工で切断し、カバー連続体2Aをプレス加
工で切断する場合について説明したが、これら短冊状基
板1Bやカバー連続体2Aを切断する手段は上記実施形
態例に限定されず、例えば、カバー連続体2Aをプレス
加工に代えてダイシングカッタで切断することも可能で
ある。
【0032】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0033】コンデンサと抵抗およびインダクタンス素
子を含む回路素子が薄膜技術を用いて高精度に形成され
ると共に、半導体素子はベアチップをワイヤーボンディ
ングしたものであるため、アルミナ基板上に必要とされ
る回路部品が高密度に実装された小型化に好適な電子回
路ユニットを実現することができ、しかも、このような
電子回路ユニットの完成品は、予めカバー連続体に形成
された複数のカバーに対して短冊状基板を組み込んで半
田付けした後、これらカバー連続体と短冊状基板をそれ
ぞれ所望位置で切断して個々のアルミナ基板とカバーに
分割することによって得られるため、量産性を高めるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る電子回路ユニットの
斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】回路構成レイアウトを示すアルミナ基板の平面
図である。
【図5】アルミナ基板の裏面図である。
【図6】回路構成の説明図である。
【図7】端面電極を示す斜視図である。
【図8】端面電極の断面図である。
【図9】半導体ベアチップと接続ランドの関係を示す説
明図である。
【図10】短冊状基板を得るまでの製造工程を示す説明
図である。
【図11】短冊状基板とカバー連続体から電子回路ユニ
ットの完成品を得るまでの製造工程を示す説明図であ
る。
【図12】該短冊状基板とカバー連続体の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 アルミナ基板 1A 大版基板 1B 短冊状基板 2 カバー 2a 脚片 2b 位置決め片 2c 連結部 2A カバー連続体 3 端面電極 4 半導体ベアチップ 5 接続ランド 6 抵抗膜 7 下部電極 8 誘電体膜 9 上部電極 10 保護膜 11 背面電極 12 Ag層 C1〜C7 コンデンサ R1〜R3 抵抗 L1〜L3 インダクタンス素子 Tr1 トランジスタ S1,S2 導電路 P,P1 導電パターン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−168149(JP,A) 特開 平9−321088(JP,A) 特開 平9−22960(JP,A) 特開 平6−295972(JP,A) 特開 平6−61417(JP,A) 特開 平5−90440(JP,A) 実開 平5−31256(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 25/04 H01L 23/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ材料からなる大版基板上に、コ
    ンデンサと抵抗およびインダクタンス素子を含む回路素
    子を薄膜形成すると共に半導体ベアチップをワイヤーボ
    ンディングした後、該大版基板を複数の短冊状基板に分
    割する工程と、 前記短冊状基板の長手方向に沿う両側面に端面電極を設
    ける工程と、 金属板をプレス加工して複数の箱形状のカバーが連結部
    を介して一列に繋がれたカバー連続体を形成する工程
    と、 前記短冊状基板を前記連結部の延出方向と直交する方向
    から前記カバーに組み込んだ後、該カバーに折り曲げ形
    成された脚片を前記端面電極に半田付けする工程と、 前記短冊状基板をその長手方向に所定間隔を存して複数
    のアルミナ基板に切断すると共に、前記カバー連続体を
    前記連結部で切断することにより、個々のアルミナ基板
    にカバーが取り付けられた完成品を得る工程と、を具備
    することを特徴とする電子回路ユニットの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、前記カバー連
    続体を複数並設して前記カバーをマトリックス状に配列
    し、これらカバーに対して複数の前記短冊状基板を組み
    込むことを特徴とする電子回路ユニットの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の記載において、前記
    連結部の延出方向と直交する方向に位置する前記カバー
    の2辺に前記脚片を形成すると共に、該カバーの他の2
    辺に前記短冊状基板の板面に当接する位置決め片を形成
    したことを特徴とする電子回路ユニットの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの記載におい
    て、前記短冊状基板をレーザで切断し、前記カバー連続
    体の前記連結部をプレスで切断することを特徴とする電
    子回路ユニットの製造方法。
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