JP3242169U - 耐火物の溶着防止構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化防止剤よりもガラス転換点が高温のコーティング剤を用いて、酸化防止剤が塗布された黒鉛含有耐火物をコーティングし、ガラス化した酸化防止剤が、他の黒鉛含有耐火物表面でガラス化した酸化防止剤と互いに溶着することを防止することができる耐火物の溶着防止構造を提供する。【解決手段】耐火物の溶着防止構造は、黒鉛含有耐火物10の表面にガラス転移点が500℃以上の酸化防止剤を有する耐酸化層11を配し、当該耐酸化層の表面にガラス転移点が1600℃以上のコーティング剤を有する溶着防止層12を配して構成し、500℃以上の高温環境下に上記の黒鉛含有耐火物を設置したとき、ガラス化した前記耐酸化層を、固体の溶着防止層で被覆するようにした。これにより、黒鉛含有耐火物からなる部品同士を互いに接触させた場合であっても、冷却後に容易に離すことができる。【選択図】図2
Description
本考案は、連続鋳造のような高温環境下で黒鉛含有耐火物からなる部品が互いに溶着することを防止する耐火物の溶着防止構造に関する。
黒鉛含有耐火物は、連続鋳造が行われる高温環境下で空気に触れたとき、容易に酸化反応を引き起こし、劣化してしまう。当該酸化反応を防止するため、従来、黒鉛含有耐火物は、図4に示すように、その表面に酸化防止剤が塗布されている。当該酸化防止剤は、一般的に、主成分として、アルミナ(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)が配合され、バインダーとしてケイ酸カリウム(K2SiO3)、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)が使用されている。当該酸化防止剤は連続鋳造中に500℃以上ともなる高温環境下でガラス化して黒鉛含有耐火物の表面をコーティングすることにより、黒鉛含有耐火物の酸化を防止している。
しかしながら、連続鋳造における鋳造工程中、たとえば、溶鋼の流量調整といった場面で、黒鉛含有耐火物からなる部品同士を接触させる場合がある。このとき、連続鋳造中の高温環境下で、酸化防止剤はガラス化し、一の黒鉛含有耐火物の表面と、他の黒鉛含有耐火物の表面にあるそれぞれの酸化防止剤が接触によって溶け合ってしまう。その後、接触した部品が冷却されたとき、それらの酸化防止剤は互いに溶着したまま固化し、接触させた部品同士が外せなくなるという問題がある。このとき、部品を無理に外すと酸化防止剤が黒鉛含有耐火物表面から剥がれたり、黒鉛含有耐火物が破損したりする場合がある。
したがって、本考案が解決しようとする課題は、酸化防止剤よりもガラス転換点が高温のコーティング剤を用いて、酸化防止剤が塗布された黒鉛含有耐火物をコーティングし、ガラス化した酸化防止剤が、他の黒鉛含有耐火物表面でガラス化した酸化防止剤と互いに溶着することを防止することができる耐火物の溶着防止構造を提供することである。
請求項1に記載の耐火物の溶着防止構造は、黒鉛含有耐火物と、
当該黒鉛含有耐火物の表面に配された、ガラス転移点が500℃以上の酸化防止剤を有する耐酸化層と、
当該耐酸化層の表面に配された、ガラス転移点が1600℃以上のコーティング剤を有する溶着防止層と、
から構成され、
500℃以上の高温環境下に前記黒鉛含有耐火物を設置したとき、
ガラス化した前記耐酸化層を、固体の前記溶着防止層で被覆するようにしたことを特徴とする。
当該黒鉛含有耐火物の表面に配された、ガラス転移点が500℃以上の酸化防止剤を有する耐酸化層と、
当該耐酸化層の表面に配された、ガラス転移点が1600℃以上のコーティング剤を有する溶着防止層と、
から構成され、
500℃以上の高温環境下に前記黒鉛含有耐火物を設置したとき、
ガラス化した前記耐酸化層を、固体の前記溶着防止層で被覆するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の耐火物の溶着防止構造は、請求項1に記載の考案において、前記コーティング剤が、少なくとも粉末状のジルコニア粒子と、当該ジルコニア粒子が混ぜ込まれる無機バインダーとを含有していることを特徴とする。
請求項3に記載の耐火物の溶着防止構造は、請求項2に記載の考案において、前記ジルコニア粒子の粒度が、100μm以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の耐火物の溶着防止構造は、請求項2に記載の考案において、前記コーティング剤に、前記ジルコニア粒子が50重量%から80重量%の割合で含有されていることを特徴とする。
請求項5に記載の耐火物の溶着防止構造は、請求項2に記載の考案において、前記無機バインダーが粘土質であることを特徴とする。
請求項6に記載の耐火物の溶着防止構造は、請求項2に記載の考案において、前記コーティング剤に、前記無機バインダーが20重量%から50重量%の割合で含有されていることを特徴とする。
請求項7に記載の耐火物の溶着防止構造は、請求項1に記載の考案において、前記黒鉛含有耐火物が、連続鋳造用であることを特徴とする。
本考案に係る耐火物の溶着防止構造によれば、黒鉛含有耐火物の表面に酸化防止剤を有する耐酸化層と、当該酸化層の表面に溶着防止層を配した積層構造を有している。そして、耐酸化層のガラス転移点を500℃以上とし、溶着防止層のガラス転移点を1600℃以上とした。そして、500℃以上の高温環境下に黒鉛含有耐火物を設置したとき、ガラス化した耐酸化層を固体の溶着防止層で被覆するようにした。
これによって、ガラス化した酸化防止剤が、他の黒鉛含有耐火物表面でガラス化した酸化防止剤と互いに溶着することを防止することができる。
これによって、ガラス化した酸化防止剤が、他の黒鉛含有耐火物表面でガラス化した酸化防止剤と互いに溶着することを防止することができる。
また、溶着防止層を構成するコーティング剤が、少なくとも粉末状のジルコニア粒子と、当該ジルコニア粒子が混ぜ込まれる無機バインダーとを含有するようにした。固体のジルコニア粒子を含有させることによって、コーティング剤のガラス転移点を上げて、高温環境下において耐酸化層、すなわち酸化防止剤がガラス化するよりも溶着防止層がガラス化することを遅らせることができる。そして、無機バインダー、特に好ましくは粘土質のものを含有させることによって、ジルコニア粒子を水と均一に混ぜることができ、コーティング剤を耐酸化層の表面へ塗布する際、均質に延ばすことができる。
さらに好ましくは、コーティング剤に含有されるジルコニア粒子の粒度を100μm以下とし、当該ジルコニア粒子の割合を50重量%~80重量%、無機バインダーの割合を20重量%~50重量%とした。ジルコニア粒子の含有割合がこれらの値よりも高い(無機バインダーの含有割合が低い)場合は、コーティング剤の接着性が脆弱になり、耐酸化層から剥離するおそれが生じる。一方、ジルコニア粒子の含有割合がこれらの値よりも低い(無機バインダーの含有割合が高い)場合は、コーティング剤のガラス転換点の温度が下がり、耐酸化層とともに、他の黒鉛含有耐火物表面でガラス化した酸化防止剤に溶着するおそれが生じる。
そして好ましくは、黒鉛含有耐火物は、連続鋳造用である。上記のように溶着防止層を設けた黒鉛含有耐火物を用いた部品を連続鋳造の工程に使用した場合、溶鋼の流量調整で部品同士を接触させた場合であっても、容易に離間させることができる。
さらに好ましくは、コーティング剤に含有されるジルコニア粒子の粒度を100μm以下とし、当該ジルコニア粒子の割合を50重量%~80重量%、無機バインダーの割合を20重量%~50重量%とした。ジルコニア粒子の含有割合がこれらの値よりも高い(無機バインダーの含有割合が低い)場合は、コーティング剤の接着性が脆弱になり、耐酸化層から剥離するおそれが生じる。一方、ジルコニア粒子の含有割合がこれらの値よりも低い(無機バインダーの含有割合が高い)場合は、コーティング剤のガラス転換点の温度が下がり、耐酸化層とともに、他の黒鉛含有耐火物表面でガラス化した酸化防止剤に溶着するおそれが生じる。
そして好ましくは、黒鉛含有耐火物は、連続鋳造用である。上記のように溶着防止層を設けた黒鉛含有耐火物を用いた部品を連続鋳造の工程に使用した場合、溶鋼の流量調整で部品同士を接触させた場合であっても、容易に離間させることができる。
本考案に係る耐火物の溶着防止構造の実施例を、添付した図面にしたがって説明する。
図1は、本実施例に係る耐火物の溶着防止構造の構成の概略を示す模式図である。
図1は、本実施例に係る耐火物の溶着防止構造の構成の概略を示す模式図である。
本実施例に係る耐火物は、黒鉛含有耐火物10である。黒鉛含有耐火物10は、黒鉛、或いは黒鉛と粘土を主成分とする耐火物であって、耐熱衝撃性が大きく、耐食性が強く、濡れ難いことから、たとえば、スラグに曝される連続鋳造のノズル等の部品として多く用いられている。一方で、たとえば500℃以上ともなる連続鋳造工程における高温環境下では、空気に触れると容易に酸化反応を起こすという欠点がある。そのため、一般的に連続鋳造に用いられる黒鉛含有耐火物10の表面には、酸化防止剤が所定の厚さで塗布又は吹き付けられている。
酸化防止剤は、主成分として、アルミナ(Al2O3)、又は二酸化ケイ素(SiO2)を含有し、バインダーとしてケイ酸カリウム(K2SiO3)、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)が使用されている。当該酸化防止剤は、ガラス転移点の温度が500℃以上となるように主成分の含有量が調整されている。
ガラス転移点は、固体が急激に軟化してゴム状弾性を示す温度であって、当該ガラス転移点を超えたとき、固体はガラス化する。そして、ガラス転移点からさらに過熱して融点を超えたとき、ガラスは液体に変移する。
酸化防止剤が加熱されて500℃を超えたとき、ガラス化した酸化防止剤からなる耐酸化層11が黒鉛含有耐火物10の表面に形成される。これによって、粘性を備えた所定厚さの耐酸化層11が、黒鉛含有耐火物10の表面を均一に拡がって覆うので、当該黒鉛含有耐火物10の耐酸化性を高めることができる。
このようにして、図1に示すように、黒鉛含有耐火物10の表面には、耐酸化層11が形成されている。
ガラス転移点は、固体が急激に軟化してゴム状弾性を示す温度であって、当該ガラス転移点を超えたとき、固体はガラス化する。そして、ガラス転移点からさらに過熱して融点を超えたとき、ガラスは液体に変移する。
酸化防止剤が加熱されて500℃を超えたとき、ガラス化した酸化防止剤からなる耐酸化層11が黒鉛含有耐火物10の表面に形成される。これによって、粘性を備えた所定厚さの耐酸化層11が、黒鉛含有耐火物10の表面を均一に拡がって覆うので、当該黒鉛含有耐火物10の耐酸化性を高めることができる。
このようにして、図1に示すように、黒鉛含有耐火物10の表面には、耐酸化層11が形成されている。
そして、黒鉛含有耐火物10の表面に配された耐酸化層11の表面には、図1に示すように、さらに溶着防止層12が配されている。
溶着防止層12は、耐酸化層11の表面に所定の厚さで塗布又は吹き付けられたコーティング剤からなる。
コーティング剤は、少なくともジルコニア(ZrO2)と無機バインダーを含有している。
溶着防止層12は、耐酸化層11の表面に所定の厚さで塗布又は吹き付けられたコーティング剤からなる。
コーティング剤は、少なくともジルコニア(ZrO2)と無機バインダーを含有している。
ジルコニアは、その粒度が100μm以下の粉末状であるジルコニア粒子であることが好ましい。
これによって、ジルコニア粒子を無機バインダー及び水と混錬してペースト状のコーティング剤を形成したとき、当該コーティング剤を耐酸化層11の表面へ塗布又は吹き付ける際の作業性を良くすることができる。一方、粒度が100μmより大きい場合は、粒子が塗装表面で偏ったりして作業性が悪くなる場合がある。
また、ジルコニア粒子は、コーティング剤に50重量%~80重量%の割合で含有されている。
50重量%以下の場合は、コーティング剤のガラス転移点が下がり、高温環境下でガラス化又は液体化した耐酸化層11と混ざり合ってしまうおそれがある。一方、80重量%以上の場合は粉末状で含有されているジルコニア粒子の粉っぽさが強く出て耐酸化層11に対する接着性がなくなり、当該耐酸化層11から剥離してしまうおそれがある。
これによって、ジルコニア粒子を無機バインダー及び水と混錬してペースト状のコーティング剤を形成したとき、当該コーティング剤を耐酸化層11の表面へ塗布又は吹き付ける際の作業性を良くすることができる。一方、粒度が100μmより大きい場合は、粒子が塗装表面で偏ったりして作業性が悪くなる場合がある。
また、ジルコニア粒子は、コーティング剤に50重量%~80重量%の割合で含有されている。
50重量%以下の場合は、コーティング剤のガラス転移点が下がり、高温環境下でガラス化又は液体化した耐酸化層11と混ざり合ってしまうおそれがある。一方、80重量%以上の場合は粉末状で含有されているジルコニア粒子の粉っぽさが強く出て耐酸化層11に対する接着性がなくなり、当該耐酸化層11から剥離してしまうおそれがある。
無機バインダーは、特に限定されないが一般的な、たとえばアルミナセメントであれば良く、粘土質であることが好ましい。無機バインダーは、ジルコニア粒子間に介在して接着剤、結合剤の役目を果たすとともに、加熱等によって脱水したとき硬化する水硬性を備えている。さらに、無機バインダーが粘土質の場合は、ジルコニア粒子と水を均一に混ぜることができ、滑らかなペースト状のコーティング剤を形成することができる。これによって、ガラス化する前の酸化防止剤からなる耐酸化層11の表面にコーティング剤を塗布するとき、当該塗布作業の作業性、及び作業効率を上げることができる。
また、無機バインダーは、コーティング剤に20重量%~50重量%の割合で含有されている。
50重量%以上の場合は、コーティング剤のガラス転移点が下がり、高温環境下でガラス化又は液体化した耐酸化層11と混ざり合ってしまうおそれがある。一方、20重量%以下の場合は粉末状で含有されているジルコニア粒子の粉っぽさが強く出て耐酸化層11に対する接着性がなくなり、当該耐酸化層11から剥離してしまうおそれがある。
また、無機バインダーは、コーティング剤に20重量%~50重量%の割合で含有されている。
50重量%以上の場合は、コーティング剤のガラス転移点が下がり、高温環境下でガラス化又は液体化した耐酸化層11と混ざり合ってしまうおそれがある。一方、20重量%以下の場合は粉末状で含有されているジルコニア粒子の粉っぽさが強く出て耐酸化層11に対する接着性がなくなり、当該耐酸化層11から剥離してしまうおそれがある。
以上から、本実施例に係るコーティング剤は、たとえば、60重量%のジルコニア粒子と20重量%の無機バインダー、さらにこれらを均一に混ぜ合わせる20重量%の水から構成されていることが好ましい。これによって、本実施例に係るコーティング剤は、融点が2715℃のジルコニア粒子と、融点が700℃以上の無機バインダーを含有し、全体としてガラス転移点が1600℃以上となるように構成されている。
なお、本実施例では粉末状のジルコニアを用いたがこれに限定されず、アルミナ(Al2O3)又は炭化ケイ素(SiC)或いはこれらに類する融点が1500℃以上の金属酸化物類を用いても良い。
なお、本実施例では粉末状のジルコニアを用いたがこれに限定されず、アルミナ(Al2O3)又は炭化ケイ素(SiC)或いはこれらに類する融点が1500℃以上の金属酸化物類を用いても良い。
上記の構成を備えた耐火物の溶着防止構造は、図1に示すように、黒鉛含有耐火物10の表面に耐酸化層11が配され、耐酸化層11の上にコーティング剤からなる溶着防止層12が配されている。
このように構成した黒鉛含有耐火物10を、図2に示すように、互いに溶着防止層12が対向するように配置し、所定の条件の下で加熱冷却する実験を行ったところ、以下のような反応を観察することができた。
このように構成した黒鉛含有耐火物10を、図2に示すように、互いに溶着防止層12が対向するように配置し、所定の条件の下で加熱冷却する実験を行ったところ、以下のような反応を観察することができた。
当該実験は、図2に示すように、一対の黒鉛含有耐火物10片を互いの溶着防止層12が接触するように対向配置して、実験炉中に設置し、当該黒鉛含有耐火物10片を加熱して1000℃の状態を少なくとも5分維持した後、自然放熱によって室温まで冷却した。また、比較対象として、図3に示すように、溶着防止層12が無い従来の耐酸化層11のみを有する一対の黒鉛含有耐火物10片も同条件で実験を行った。
当該実験の後、実験炉から取り出した黒鉛含有耐火物10片について、溶着防止層12を備えたものは、容易に剥がすことができ、剥がした後の溶着防止層12表面は、固体状態が維持されていた。一方、溶着防止層12がない黒鉛含有耐火物10片は、耐酸化層11が互いに溶着して固化しており剥がせなくなっていた。
上記の実験結果に基づき溶着防止層12の反応及び効果について、以下のように考察した。
当該実験の後、実験炉から取り出した黒鉛含有耐火物10片について、溶着防止層12を備えたものは、容易に剥がすことができ、剥がした後の溶着防止層12表面は、固体状態が維持されていた。一方、溶着防止層12がない黒鉛含有耐火物10片は、耐酸化層11が互いに溶着して固化しており剥がせなくなっていた。
上記の実験結果に基づき溶着防止層12の反応及び効果について、以下のように考察した。
ガラス転移点が約500℃である酸化防止剤を有する耐酸化層11は、500℃を超えたときガラス化し、さらに1000℃に加熱されたとき、ガラス状態の耐酸化層11は一部が液相に変移してさらに柔軟性が高くなる。
一方、溶着防止層12は、ガラス転移点が1600℃以上となるように形成されている。ここで、黒鉛含有耐火物10片が1000℃に加熱されたとき、溶着防止層12が有する無機バインダーは融点が700℃であるから液相化する。しかし、ジルコニア粒子の融点は、2715℃であって、溶着防止層12全体のガラス転移点は1600℃以上であるから、融けた無機バインダーがジルコニア粒子間に介在して、当該ジルコニア粒子を結合するとともに溶着防止層12全体は、1000℃近傍の高温環境下では固体状態を維持すると思われる。
これによって、1000℃前後の高温環境下において、溶着防止層12の表面は、図2に示すように、ガラス化又は液体化しておらず固体状態が維持されており、液体状の耐酸化層11を固体状の溶着防止層12で覆うことができる。そのため、一の黒鉛含有耐火物10片の溶着防止層12と、対向配置された他の黒鉛含有耐火物10片の溶着防止層12との間では溶着を防止することができ、黒鉛含有耐火物10片の温度が下がったとき、互いに接触している溶着防止層12が剥がれやすくなっているので、黒鉛含有耐火物10片を容易に離すことができる。
一方、溶着防止層12は、ガラス転移点が1600℃以上となるように形成されている。ここで、黒鉛含有耐火物10片が1000℃に加熱されたとき、溶着防止層12が有する無機バインダーは融点が700℃であるから液相化する。しかし、ジルコニア粒子の融点は、2715℃であって、溶着防止層12全体のガラス転移点は1600℃以上であるから、融けた無機バインダーがジルコニア粒子間に介在して、当該ジルコニア粒子を結合するとともに溶着防止層12全体は、1000℃近傍の高温環境下では固体状態を維持すると思われる。
これによって、1000℃前後の高温環境下において、溶着防止層12の表面は、図2に示すように、ガラス化又は液体化しておらず固体状態が維持されており、液体状の耐酸化層11を固体状の溶着防止層12で覆うことができる。そのため、一の黒鉛含有耐火物10片の溶着防止層12と、対向配置された他の黒鉛含有耐火物10片の溶着防止層12との間では溶着を防止することができ、黒鉛含有耐火物10片の温度が下がったとき、互いに接触している溶着防止層12が剥がれやすくなっているので、黒鉛含有耐火物10片を容易に離すことができる。
以上のような溶着防止層12を備えた黒鉛含有耐火物10は、連続鋳造に用いることが好ましい。連続鋳造に係る鋳造工程では、取鍋、タンディッシュ、モールド、各ノズルといった各部品に黒鉛含有耐火物が使用されている。特に、取鍋、タンディッシュは頻繁に冷却と再加熱が繰り返されており、中でもタンディッシュに使用されているスライディングノズルに係るプレート或いはストッパーは、溶鋼の流量調整を行う場面で、当該スライディングノズルの上下に配置されている黒鉛含有耐火物からなる他のノズルに対して接触と離隔が繰り返される。
このとき、スライディングノズル周辺の部品に本実施例に係る耐火物の溶着防止構造を適用した場合、溶鋼の流れが中断されて冷却された場合であっても、溶着していないので素早く部品を交換することができ、さらに当該部品の破損を防止して製品寿命を長くすることができる。
このとき、スライディングノズル周辺の部品に本実施例に係る耐火物の溶着防止構造を適用した場合、溶鋼の流れが中断されて冷却された場合であっても、溶着していないので素早く部品を交換することができ、さらに当該部品の破損を防止して製品寿命を長くすることができる。
また、黒鉛含有耐火物からなる連続鋳造用の部品、たとえば、浸漬ノズルに本実施例に係る耐火物の溶着防止構造を適用した場合、当該浸漬ノズル外側面に予熱時の酸化を防止するために配された酸化防止剤からなる耐酸化層11を溶着防止層12で覆っているので、スラグ又はアルミナ等、溶鋼内に生じる不純物、固形物が浸漬ノズル表面に溶着することを防止することができる。
10…黒鉛含有耐火物、11…耐酸化層、12…溶着防止層。
Claims (7)
- 黒鉛含有耐火物と、
当該黒鉛含有耐火物の表面に配された、ガラス転移点が500℃以上の酸化防止剤を有する耐酸化層と、
当該耐酸化層の表面に配された、ガラス転移点が1600℃以上のコーティング剤を有する溶着防止層と、
から構成され、
500℃以上の高温環境下に前記黒鉛含有耐火物を設置したとき、
ガラス化した前記耐酸化層を、固体の前記溶着防止層で被覆するようにしたことを特徴とする耐火物の溶着防止構造。 - 前記コーティング剤が、少なくとも粉末状のジルコニア粒子と、当該ジルコニア粒子が混ぜ込まれる無機バインダーとを含有していることを特徴とする請求項1に記載の耐火物の溶着防止構造。
- 前記ジルコニア粒子の粒度が、100μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の耐火物の溶着防止構造。
- 前記コーティング剤に、前記ジルコニア粒子が50重量%から80重量%の割合で含有されていることを特徴とする請求項2に記載の耐火物の溶着防止構造。
- 前記無機バインダーが粘土質であることを特徴とする請求項2に記載の耐火物の溶着防止構造。
- 前記コーティング剤に、前記無機バインダーが20重量%から50重量%の割合で含有されていることを特徴とする請求項2に記載の耐火物の溶着防止構造。
- 前記黒鉛含有耐火物が、連続鋳造用であることを特徴とする請求項1に記載の耐火物の溶着防止構造。
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