JP3239882B2 - 反強誘電性液晶組成物 - Google Patents
反強誘電性液晶組成物Info
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- JP3239882B2 JP3239882B2 JP36489899A JP36489899A JP3239882B2 JP 3239882 B2 JP3239882 B2 JP 3239882B2 JP 36489899 A JP36489899 A JP 36489899A JP 36489899 A JP36489899 A JP 36489899A JP 3239882 B2 JP3239882 B2 JP 3239882B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶組成物にかかわり、
特に反強誘電相(カイラルスメクチックCA* 相、以下
SmCA* 相と略号する)を発現するようにした液晶組
成物に関し、更に詳しくは液晶表示素子に使用するのに
適した反強誘電性液晶組成物に関する。
特に反強誘電相(カイラルスメクチックCA* 相、以下
SmCA* 相と略号する)を発現するようにした液晶組
成物に関し、更に詳しくは液晶表示素子に使用するのに
適した反強誘電性液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年液晶ディスプレイは、薄型・軽量・
低消費電力などの特徴を生かして表示素子として幅広く
用いられるようになってきたが、これらの表示装置のほ
とんどは、ネマチック液晶を用いるTN(Twiste
d Nematic)型を一般的に採用している。この
TN型の表示方法は、駆動が液晶の比誘電率の異方性に
基づいているため、その応答速度は遅く、改善の必要性
に迫られていた。
低消費電力などの特徴を生かして表示素子として幅広く
用いられるようになってきたが、これらの表示装置のほ
とんどは、ネマチック液晶を用いるTN(Twiste
d Nematic)型を一般的に採用している。この
TN型の表示方法は、駆動が液晶の比誘電率の異方性に
基づいているため、その応答速度は遅く、改善の必要性
に迫られていた。
【0003】これに対し、Meyerらによって見いだ
された強誘電性を示すカイラルスメクチックC* 相(S
mC* 相と略号する)を有する液晶を用いた液晶デバイ
スはネマチック液晶では達成し得なかった高速応答性・
メモリー性を有しており、これらの特性を生かして、強
誘電性液晶ディスプレイへの応用研究が精力的に行われ
ている。しかし、この表示方法に必要とされる良好な配
向性・メモリー性を実際のディスプレイにおいて実現す
ることは困難であり、外部からのショックに弱い等の問
題を抱えており、解決すべき問題は数多く残っている。
された強誘電性を示すカイラルスメクチックC* 相(S
mC* 相と略号する)を有する液晶を用いた液晶デバイ
スはネマチック液晶では達成し得なかった高速応答性・
メモリー性を有しており、これらの特性を生かして、強
誘電性液晶ディスプレイへの応用研究が精力的に行われ
ている。しかし、この表示方法に必要とされる良好な配
向性・メモリー性を実際のディスプレイにおいて実現す
ることは困難であり、外部からのショックに弱い等の問
題を抱えており、解決すべき問題は数多く残っている。
【0004】一方、最近になってChandaniらに
よって、前記のSmC* 相の低温側に三安定状態を示す
反強誘電相(SmCA* 相)が発見された。このSmC
A*相は、隣接する層毎に双極子が反平行に配列した熱
力学的に安定な相を示し、印加電圧に対して明確なしき
い値と二重履歴特性を持つことを特徴とする反強誘電相
−強誘電相間の電場誘起相転移を起こす。このスイッチ
ング挙動を応用して、新規な表示方法の検討が始まって
いる。
よって、前記のSmC* 相の低温側に三安定状態を示す
反強誘電相(SmCA* 相)が発見された。このSmC
A*相は、隣接する層毎に双極子が反平行に配列した熱
力学的に安定な相を示し、印加電圧に対して明確なしき
い値と二重履歴特性を持つことを特徴とする反強誘電相
−強誘電相間の電場誘起相転移を起こす。このスイッチ
ング挙動を応用して、新規な表示方法の検討が始まって
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記SmCA* 相を有
する液晶組成物を用いた表示素子は、図1に示す様に無
電界時には反強誘電相(AF)を、電圧印加時には強誘
電性相(F)を示し、それぞれ暗・明状態を呈する。良
好な表示品位を得るためには、それぞれの状態間の応答
速度{τr(AF→F),τd(F→AF)}が十分高
速であることが望まれるが、そのための液晶組成物構成
化合物をブレンド調製する際の指針は、未だ明瞭ではな
い。また更に、この表示素子の電圧−透過率特性を図2
に示したが、このダブルヒステリシス特性を利用して素
子を駆動させるためには、その透過率10%を示す電圧
をV1,V4、90%を示す電圧をV2,V3とする
と、それぞれのしきい値電圧が低い事、V1−V3で示
される電圧幅が広く、V2−V1で示される電圧幅が狭
く、それらの比で定義されるVM{=(V1−V3)/
(V2−V1)}がなるべく大きい事、好ましくは2以
上が要求されるが、そのためのブレンド指針も不明であ
る。本発明の目的はこれらの液晶特性を向上させること
である。
する液晶組成物を用いた表示素子は、図1に示す様に無
電界時には反強誘電相(AF)を、電圧印加時には強誘
電性相(F)を示し、それぞれ暗・明状態を呈する。良
好な表示品位を得るためには、それぞれの状態間の応答
速度{τr(AF→F),τd(F→AF)}が十分高
速であることが望まれるが、そのための液晶組成物構成
化合物をブレンド調製する際の指針は、未だ明瞭ではな
い。また更に、この表示素子の電圧−透過率特性を図2
に示したが、このダブルヒステリシス特性を利用して素
子を駆動させるためには、その透過率10%を示す電圧
をV1,V4、90%を示す電圧をV2,V3とする
と、それぞれのしきい値電圧が低い事、V1−V3で示
される電圧幅が広く、V2−V1で示される電圧幅が狭
く、それらの比で定義されるVM{=(V1−V3)/
(V2−V1)}がなるべく大きい事、好ましくは2以
上が要求されるが、そのためのブレンド指針も不明であ
る。本発明の目的はこれらの液晶特性を向上させること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】まず、応答速度に関する
発明について述べる。この発明は、カイラルスメクチッ
クCA* 相を有する液晶組成物において、電界印加によ
り生じる光軸の傾き方向(以下「チルトセンス」とい
う)が、同一の液晶組成物構成化合物を混合してなる反
強誘電性液晶組成物である。
発明について述べる。この発明は、カイラルスメクチッ
クCA* 相を有する液晶組成物において、電界印加によ
り生じる光軸の傾き方向(以下「チルトセンス」とい
う)が、同一の液晶組成物構成化合物を混合してなる反
強誘電性液晶組成物である。
【0007】本発明者らは、液晶組成物構成化合物(以
下「液晶材料」又は「材料」ということがある)が電圧
印加により強誘電相へ転移した際に発現する光軸の傾き
方向(チルトセンス)に着目し、その方向の一致した材
料を選定し混合することにより、高速応答液晶組成物が
得られることを見いだした。すなわち、反強誘電性液晶
材料は、無電界時には、隣接する層間で分極分をキャン
セルし自発分極は発現せず、また、光軸も層法線方向か
らずれることは無い。ところが、これに電圧を印加する
と、このとき与えられる外部電界分極成分が相互作用
し、液晶材料は強誘電相へ転移し、光軸に傾きが生じ
る。この際の光軸の傾く方向を数百種類の材料について
詳細に調査したところ、図1に示した様に(図1にて1
は液晶材料分子を、2は層内分極方向がセル上面方向で
あることを、3はセル下面方向であることを表わす。)
セル下面を基準電位として正の電圧を印加したときセル
上方から見て液晶分子が右へ倒れ、また、負の電圧印加
では左へ倒れる材料種(チルトセンス:−)と、それと
は反対に、正の電圧印加では左へ、負の電圧印加では右
に倒れる材料種(チルトセンス:+)が存在することが
判明した。本発明では、ここで提案した「チルトセン
ス」の一致する材料を選定し、混合することにより、τ
r,τdの優れた材料を得た。同一のチルトセンスを有
する液晶組成物構成化合物の割合は、好ましくは70wt
%以上、更に好ましくは90wt%以上である。また、こ
のときに液晶組成物の自発分極の飽和値(以下「Ps」
と記載する)が200nC/cm2以上であるときに高
速応答が得られた。
下「液晶材料」又は「材料」ということがある)が電圧
印加により強誘電相へ転移した際に発現する光軸の傾き
方向(チルトセンス)に着目し、その方向の一致した材
料を選定し混合することにより、高速応答液晶組成物が
得られることを見いだした。すなわち、反強誘電性液晶
材料は、無電界時には、隣接する層間で分極分をキャン
セルし自発分極は発現せず、また、光軸も層法線方向か
らずれることは無い。ところが、これに電圧を印加する
と、このとき与えられる外部電界分極成分が相互作用
し、液晶材料は強誘電相へ転移し、光軸に傾きが生じ
る。この際の光軸の傾く方向を数百種類の材料について
詳細に調査したところ、図1に示した様に(図1にて1
は液晶材料分子を、2は層内分極方向がセル上面方向で
あることを、3はセル下面方向であることを表わす。)
セル下面を基準電位として正の電圧を印加したときセル
上方から見て液晶分子が右へ倒れ、また、負の電圧印加
では左へ倒れる材料種(チルトセンス:−)と、それと
は反対に、正の電圧印加では左へ、負の電圧印加では右
に倒れる材料種(チルトセンス:+)が存在することが
判明した。本発明では、ここで提案した「チルトセン
ス」の一致する材料を選定し、混合することにより、τ
r,τdの優れた材料を得た。同一のチルトセンスを有
する液晶組成物構成化合物の割合は、好ましくは70wt
%以上、更に好ましくは90wt%以上である。また、こ
のときに液晶組成物の自発分極の飽和値(以下「Ps」
と記載する)が200nC/cm2以上であるときに高
速応答が得られた。
【0008】次に、ヒステリシス特性に関する発明につ
いて述べる。この発明はカイラルスメクチックCA* 相
を有する液晶組成物において、液晶組成物構成化合物分
子中の不斉炭素に結合するコア以外の3つの原子又は原
子団の立体配座(以下、「立体センス」という)が異な
る、即ち、その長さの長い順(長さが等しいときは体積
の大きい順)に右回り(+)に配置された液晶組成物構
成化合物と左回り(−)に配置した液晶組成物構成化合
物を混合してなる反強誘電性液晶組成物である。ここで
前記「コア」とは液晶分子の中心部をなす少なくとも2
つの環状基、例えば芳香環、複素環及びシクロヘキサン
環等(これらは置換基を有していてもよい)、並びにそ
れらに直結する結合基、例えば−COO−,−O−及び
−CO−等からなるものをいう。
いて述べる。この発明はカイラルスメクチックCA* 相
を有する液晶組成物において、液晶組成物構成化合物分
子中の不斉炭素に結合するコア以外の3つの原子又は原
子団の立体配座(以下、「立体センス」という)が異な
る、即ち、その長さの長い順(長さが等しいときは体積
の大きい順)に右回り(+)に配置された液晶組成物構
成化合物と左回り(−)に配置した液晶組成物構成化合
物を混合してなる反強誘電性液晶組成物である。ここで
前記「コア」とは液晶分子の中心部をなす少なくとも2
つの環状基、例えば芳香環、複素環及びシクロヘキサン
環等(これらは置換基を有していてもよい)、並びにそ
れらに直結する結合基、例えば−COO−,−O−及び
−CO−等からなるものをいう。
【0009】本発明者らは、液晶材料が持つ不斉炭素周
辺の三次元立体構造の特異性に着目し、上述した目的を
達成するためには、立体センスが同一でない材料を選定
し、混合し組成物を調製すると効果的であることを見い
だした。なお、ここでいう立体構造特異性とは、通常の
不斉炭素において使用されるR・S体のことではなく、
不斉炭素に結合したコア以外の3種の原子又は原子団の
バルキネス(長さ(長さが等しいときは体積の大き
さ))の順序を考慮した立体配座が、同一の構造式の分
子にもかかわらず、二通り存在することで、これらの差
異が、液晶材料を混合した際の液晶分子の配列秩序に影
響を与えると考えられる。
辺の三次元立体構造の特異性に着目し、上述した目的を
達成するためには、立体センスが同一でない材料を選定
し、混合し組成物を調製すると効果的であることを見い
だした。なお、ここでいう立体構造特異性とは、通常の
不斉炭素において使用されるR・S体のことではなく、
不斉炭素に結合したコア以外の3種の原子又は原子団の
バルキネス(長さ(長さが等しいときは体積の大き
さ))の順序を考慮した立体配座が、同一の構造式の分
子にもかかわらず、二通り存在することで、これらの差
異が、液晶材料を混合した際の液晶分子の配列秩序に影
響を与えると考えられる。
【0010】すなわち、図3に示した様に、骨格構造
部、即ちコアを向こう側においた時の残りの置換基の立
体配座がその長さの順に右回りのものを+、左回りのも
のを−と定義し、これを立体センスと名付けたが、この
立体センスを揃え混合するのに対し、そのセンスを揃え
ない場合には、一般に、しきい値電圧の低下、及び、特
にV3の低下によるVMの増大が生ずることを見いだし
た。これは、立体センスの異なる材料の混合により、液
晶分子間の相互作用に変化を生じ、強誘電相に較べ、反
強誘電相が相対的に不安定化したためと考えられる。
部、即ちコアを向こう側においた時の残りの置換基の立
体配座がその長さの順に右回りのものを+、左回りのも
のを−と定義し、これを立体センスと名付けたが、この
立体センスを揃え混合するのに対し、そのセンスを揃え
ない場合には、一般に、しきい値電圧の低下、及び、特
にV3の低下によるVMの増大が生ずることを見いだし
た。これは、立体センスの異なる材料の混合により、液
晶分子間の相互作用に変化を生じ、強誘電相に較べ、反
強誘電相が相対的に不安定化したためと考えられる。
【0011】チルトセンス(+)の化合物としては、絶
対配座がS体のハイドロカーボン系キラル側鎖材料及び
フルオロカーボン系キラル側鎖材料等があり、例えば下
記構造式で示される化合物のS体がある。
対配座がS体のハイドロカーボン系キラル側鎖材料及び
フルオロカーボン系キラル側鎖材料等があり、例えば下
記構造式で示される化合物のS体がある。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】上記式1〜15において、nは4〜14の
いずれかの整数であり、mは2〜14のいずれかの整数
である。好ましくは、nは5〜12、mは4〜12のい
ずれかの整数である。
いずれかの整数であり、mは2〜14のいずれかの整数
である。好ましくは、nは5〜12、mは4〜12のい
ずれかの整数である。
【0015】チルトセンス(−)の化合物としては、絶
対配座がR体のハイドロカーボン系キラル側鎖材料及び
フルオロカーボン系キラル側鎖材料等があり、例えば上
記構造式1〜15で示される化合物のR体がある。
対配座がR体のハイドロカーボン系キラル側鎖材料及び
フルオロカーボン系キラル側鎖材料等があり、例えば上
記構造式1〜15で示される化合物のR体がある。
【0016】立体センスが(+)の化合物としては、絶
対配座がR体のフルオロカーボン系キラル側鎖材料及び
絶対配座がS体のハイドロカーボン系キラル側鎖材料等
があり、例えば下記構造式16〜25で示される化合物
のR体及び下記構造式26〜30で示される化合物のS
体がある。
対配座がR体のフルオロカーボン系キラル側鎖材料及び
絶対配座がS体のハイドロカーボン系キラル側鎖材料等
があり、例えば下記構造式16〜25で示される化合物
のR体及び下記構造式26〜30で示される化合物のS
体がある。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】上記式16〜30において、nは4〜14
のいずれかの整数であり、mは2〜14(但し、式30
においてはmは3〜14)のいずれかの整数である。
のいずれかの整数であり、mは2〜14(但し、式30
においてはmは3〜14)のいずれかの整数である。
【0020】立体センスが(−)の化合物としては、上
記構造式16〜25で示される化合物のS体及び上記構
造式26〜30で示される化合物のR体がある。
記構造式16〜25で示される化合物のS体及び上記構
造式26〜30で示される化合物のR体がある。
【0021】
【実施例】表1に示す化合物No.1からNo.6を用
いて以下の例に示す組成の液晶組成物を作製した。液晶
組成物は、それぞれギャップ:2μmの液晶セルに注入
し、注入後いったん液晶組成物が等方性液体に変化する
温度にセルを加熱し、その後2℃/minで室温まで冷
却して反強誘電性液晶素子を得た。応答速度は、50V
の駆形波を印加し測定し、また、ヒステリシス特性は、
この素子に±50V−1Hzの三角波を印加し、直交ニ
コル下における透過光の強度変化を測定した。
いて以下の例に示す組成の液晶組成物を作製した。液晶
組成物は、それぞれギャップ:2μmの液晶セルに注入
し、注入後いったん液晶組成物が等方性液体に変化する
温度にセルを加熱し、その後2℃/minで室温まで冷
却して反強誘電性液晶素子を得た。応答速度は、50V
の駆形波を印加し測定し、また、ヒステリシス特性は、
この素子に±50V−1Hzの三角波を印加し、直交ニ
コル下における透過光の強度変化を測定した。
【0022】
【表1】
【0023】(例1)表1に示す化合物の中から、N
o.1,2,5を用いて、下記表2に示す様なブレンド
組成物I及びIIを作製した。組成物Iでは、すべての化
合物のチルトセンスが同一(−)となる様に材料種を選
定し、一方、組成物IIでは、一部の化合物について、チ
ルトセンスの異なる材料種を選定し、ブレンド材料を調
製した。応答速度の測定結果も同表中に示したが、チル
トセンスを統一した組成物Iの方が、τr,τd(いず
れも40℃で測定)とも優れた応答特性を示した。また
この時、自発分極値も大きな値を示した。なお、チルト
センスは、同一の構造の化合物においても、絶対配座の
違いにより、反転する。
o.1,2,5を用いて、下記表2に示す様なブレンド
組成物I及びIIを作製した。組成物Iでは、すべての化
合物のチルトセンスが同一(−)となる様に材料種を選
定し、一方、組成物IIでは、一部の化合物について、チ
ルトセンスの異なる材料種を選定し、ブレンド材料を調
製した。応答速度の測定結果も同表中に示したが、チル
トセンスを統一した組成物Iの方が、τr,τd(いず
れも40℃で測定)とも優れた応答特性を示した。また
この時、自発分極値も大きな値を示した。なお、チルト
センスは、同一の構造の化合物においても、絶対配座の
違いにより、反転する。
【0024】
【表2】
【0025】(例2)表1に示す化合物の中から、同様
に、No.2,5を用いて、下記表3に示す様なブレン
ド組成物III 及びIVを作製した。組成物III では、すべ
ての化合物のチルトセンスが同一(−)となる様に材料
種を選定し、一方、組成物IVでは、一部、同一の構造な
がら、チルトセンスが反転する異性体を選定し、ブレン
ド材料を調製した。応答速度の測定結果も同表中に示し
たが、チルトセンスを統一した組成物III では、τr,
τd(いずれも30℃で測定)とも優れた応答特性を示
した。またこの時、自発分極値も大きな値を示した。
に、No.2,5を用いて、下記表3に示す様なブレン
ド組成物III 及びIVを作製した。組成物III では、すべ
ての化合物のチルトセンスが同一(−)となる様に材料
種を選定し、一方、組成物IVでは、一部、同一の構造な
がら、チルトセンスが反転する異性体を選定し、ブレン
ド材料を調製した。応答速度の測定結果も同表中に示し
たが、チルトセンスを統一した組成物III では、τr,
τd(いずれも30℃で測定)とも優れた応答特性を示
した。またこの時、自発分極値も大きな値を示した。
【0026】
【表3】
【0027】(例3)表1中の化合物No. 2について、
R体、S体の比を変え、ブレンド組成物V,VI及びVII
を作り、τr,τd及びPsを測定した。両応答速度と
もにR体の重量部合が下るに従がって遅くなる。そして
R体が60wt%では両応答速度とも500μs以上と、
従来のネマチック液晶と同程度まで遅くなり、反強誘電
性液晶の「高速応答」という優位性を失う。
R体、S体の比を変え、ブレンド組成物V,VI及びVII
を作り、τr,τd及びPsを測定した。両応答速度と
もにR体の重量部合が下るに従がって遅くなる。そして
R体が60wt%では両応答速度とも500μs以上と、
従来のネマチック液晶と同程度まで遅くなり、反強誘電
性液晶の「高速応答」という優位性を失う。
【0028】
【表4】
【0029】(例4)表1に示す化合物の中から、N
o.2,3,4,5,6を用いて、下記表5に示す様な
ブレンド組成物VIII及びIXを作製した。組成物IXでは、
すべての化合物の立体センスが同一(+)となる様に材
料種を選定し、一方、組成物VIIIでは、化合物No.2
について、立体センスの異なる材料種を選定し、ブレン
ド材料を調製した。しきい値電圧およびVMの測定結果
(30℃で測定)も同表中に示したが、組成物VIIIで
は、しきい値電圧が低く、かつ、VMも十分大きな値を
示した。なお、立体センスは、同一の構造の化合物にお
いても、絶対配座の違いにより、反転する。
o.2,3,4,5,6を用いて、下記表5に示す様な
ブレンド組成物VIII及びIXを作製した。組成物IXでは、
すべての化合物の立体センスが同一(+)となる様に材
料種を選定し、一方、組成物VIIIでは、化合物No.2
について、立体センスの異なる材料種を選定し、ブレン
ド材料を調製した。しきい値電圧およびVMの測定結果
(30℃で測定)も同表中に示したが、組成物VIIIで
は、しきい値電圧が低く、かつ、VMも十分大きな値を
示した。なお、立体センスは、同一の構造の化合物にお
いても、絶対配座の違いにより、反転する。
【0030】
【表5】
【0031】(例5)表1に示す化合物の中から、同様
に、No.1,2,5を用いて、下記表6に示す様なブ
レンド組成物I,IIを作製した。組成比は、実施例1に
同じである。組成物Iは、すべての化合物のチルトセン
スが同一(−)で、かつ一部、立体センスが異なる様に
材料種を選定し、ブレンド材料を調製したものである
が、応答速度(参照:実施例1)、ヒステリシス特性
(しきい値(40℃で測定)、VM、下記表6参照)と
も、良好な値を示すことが明らかである。
に、No.1,2,5を用いて、下記表6に示す様なブ
レンド組成物I,IIを作製した。組成比は、実施例1に
同じである。組成物Iは、すべての化合物のチルトセン
スが同一(−)で、かつ一部、立体センスが異なる様に
材料種を選定し、ブレンド材料を調製したものである
が、応答速度(参照:実施例1)、ヒステリシス特性
(しきい値(40℃で測定)、VM、下記表6参照)と
も、良好な値を示すことが明らかである。
【0032】
【表6】
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明によって提供された
液晶組成物は、ヒステリシス特性(低しきい値電圧、高
駆動マージン)に優れ、及び/又は高速応答性を示し、
実用的に優れた液晶表示素子の製造に用いることができ
る。
液晶組成物は、ヒステリシス特性(低しきい値電圧、高
駆動マージン)に優れ、及び/又は高速応答性を示し、
実用的に優れた液晶表示素子の製造に用いることができ
る。
【図1】強誘電性液晶材料に電圧を印加しないとき、及
び印加したときの液晶材料分子の傾斜の様子を示す図。
び印加したときの液晶材料分子の傾斜の様子を示す図。
【図2】液晶表示素子の電圧透過率特性を示すグラフ。
【図3】本発明の液晶材料の立体センスを説明する図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧川 賢司 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (56)参考文献 特開 平4−359990(JP,A) 特開 平5−65486(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 19/12 - 19/46
Claims (6)
- 【請求項1】 カイラルスメクチックCA*相を有する
液晶組成物において、電界印加により生じる光軸の傾き
方向(以下、「チルトセンス」という)が同一の液晶組
成物構成化合物で、且つ該液晶組成物構成化合物分子中
の不斉炭素に結合するコア以外の3つの原子又は原子団
の立体配座(以下、「立体センスという」)が異なる液
晶組成物構成化合物、即ち、その長さの長い順(長さが
等しいときは体積の大きい順)に右回り(+)に配置さ
れた液晶組成物構成化合物及び左回り(−)に配置した
液晶組成物構成化合物を混合してなる反強誘電性液晶組
成物。 - 【請求項2】 前記右回りの立体センスを有する化合物
の割合が1〜99wt%、前記左回りの立体センスを有
する化合物の割合が99〜1wt%である請求項1の反
強誘電性液晶組成物。 - 【請求項3】 同一のチルトセンスを有する液晶組成物
構成化合物の割合が70wt%以上である請求項1の反
強誘電性液晶組成物。 - 【請求項4】 同一のチルトセンスを有する材料を主に
選択し混合することにより自発分極の飽和値が200n
C/cm2以上となる請求項1の反強誘電性液晶組成
物。 - 【請求項5】 請求項1に記載の反強誘電性液晶組成物
を構成する液晶組成物構成化合物が、チルトセンス+の
ものは、下記構造式1〜15で示される化合物のS体で
あり、チルトセンスが−のものは、下記構造式1〜15
で示される化合物のR体であり、立体センスが+のもの
は、下記構造式16〜25で示される化合物のR体及び
下記構造式26〜30で示される化合物のS体であり、
立体センスが−のものは、下記構造式16〜25で示さ
れる化合物のS体及び下記構造式26〜30で示される
化合物のR体である請求項1の反強誘電性液晶組成物 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの反強誘電性液
晶組成物を有する液晶表示素子。
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---|---|---|---|
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JP6-78578 | 1994-04-18 | ||
JP36489899A JP3239882B2 (ja) | 1994-04-18 | 1999-12-22 | 反強誘電性液晶組成物 |
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