JP3239481U - 三線 - Google Patents
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Abstract
【課題】胴部の振動膜体の構造を簡素化して製造コストを低減すると共に、三線の音質及び耐久性を向上させることができる三線を提供する。【解決手段】本実施形態の三線10の振動膜体20は、シート状の基材21と、基材21の一方の面に設けられるシート状の第1膜部22と、基材21の他方の面に設けられるシート状の第2膜部23と、を有して、基材21と第1膜部22と第2膜部23とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、第1膜部22と第2膜部23とはポリエチレンテレフタレート製の2枚(1枚以上)のシート部材22A,22B,23A,23Bからそれぞれなり、第1膜部22と第2膜部23との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される。【選択図】図3
Description
本考案は、三線に関する。
従来の三線において、三線の胴部の胴枠に張り付けられる振動膜体としては、胴枠の表又は裏の開口部に展着される織布の表面のうち音の抜け部を構成する部位を除いた部分に、伸展性を有する樹脂被膜を積層するものが知られる(例えば、特許文献1参照)。この樹脂被膜は、シアノアクリレート系瞬間接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、ウレタン樹脂塗料又は紫外線硬化樹脂などにより層形成されて設けられる。
またその他の三線の胴部の振動膜体としては、絹糸、柞蚕糸、天蚕糸などの動物性繊維で織製した織布を植物性又は鉱物性油脂に十分に浸漬して自然乾燥し、さらにこの自然乾燥した織布にゼラチン、ケラチン、シスチンなどの膠状物質を含浸させて自然乾燥させて設けるものも知られる(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記特許文献1及び2の三線の胴部の振動膜体は構造が複雑であり、製造工程が煩雑となる可能性があった。また、振動膜体の膜張力もより高く設定できないため、三線の音質や耐久性の点で改善の余地があった。
本考案は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、胴部の振動膜体の構造を簡素化して製造コストを低減すると共に、三線の音質及び耐久性を向上させることができる三線を提供することにある。
本考案の前記目的は、下記の構成により達成される。
(1)胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備える三線であって、前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有し、前記振動膜体は、シート状の基材と、前記基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、前記基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、前記基材と前記第1膜部と前記第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、前記第1膜部と前記第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、前記第1膜部と前記第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される、三線。
(2)前記振動膜体は、前記空洞の前記開口部の両方を塞ぐように張り付けられ、表側の前記振動膜体の厚さは、裏側の前記振動膜体より厚く設けられる、(1)に記載の三線。
(1)胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備える三線であって、前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有し、前記振動膜体は、シート状の基材と、前記基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、前記基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、前記基材と前記第1膜部と前記第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、前記第1膜部と前記第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、前記第1膜部と前記第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される、三線。
(2)前記振動膜体は、前記空洞の前記開口部の両方を塞ぐように張り付けられ、表側の前記振動膜体の厚さは、裏側の前記振動膜体より厚く設けられる、(1)に記載の三線。
本考案の三線によれば、振動膜体は、シート状の基材と、基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、基材と第1膜部と第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、第1膜部と第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、第1膜部と第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される。
このため、胴部の振動膜体の構造を簡素化して製造コストを低減すると共に、三線の音質を向上させることができる。
以上、本考案について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される考案を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本考案の詳細はさらに明確化されるだろう。
以下、図面に基づいて、本考案に係る三線、及び三線の製造方法の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、胴部を製造するために用いる治具での上下方向が、当該治具が載置される載置面(水平面)に対し鉛直な鉛直方向であり、重力が作用する方向に平行である。また、治具のジャッキは、上方向に向けて押圧する。
なお、以下の説明において、胴部を製造するために用いる治具での上下方向が、当該治具が載置される載置面(水平面)に対し鉛直な鉛直方向であり、重力が作用する方向に平行である。また、治具のジャッキは、上方向に向けて押圧する。
[三線]
まず図1及び図2を参照して、本実施形態に係る三線10について説明する。図1(A)は、本考案に係る実施形態の三線10を説明する斜視図である。図1(B)は図1(A)に示す胴部11の構造を示す分解斜視図である。図2(A)は、図1(B)に示す胴部11の表側の振動膜体20を説明する平面図である。図2(B)は、図1(B)に示す胴部11の裏側の振動膜体20を説明する平面図である。
まず図1及び図2を参照して、本実施形態に係る三線10について説明する。図1(A)は、本考案に係る実施形態の三線10を説明する斜視図である。図1(B)は図1(A)に示す胴部11の構造を示す分解斜視図である。図2(A)は、図1(B)に示す胴部11の表側の振動膜体20を説明する平面図である。図2(B)は、図1(B)に示す胴部11の裏側の振動膜体20を説明する平面図である。
図1(A)に示すように、本実施形態に係る三線10は、胴部11と、棹部15と、胴部11及び棹部15に亘って張設される弦16と、を備えて構成される。
棹部15は、カキノキ科カキノキ属などの他、例えば紅木、紫檀、花林又は黒檀などの木材から棒状に延びて形成される。棹部15は、その基端部が胴部11の内部に挿嵌されており、その基端部の一部が胴部11から外部に露出した状態で胴部11に固定支持される。そして、棹部15の先端部には、糸巻部(不図示)が設けられる。糸巻部は、3つの糸巻き(不図示)が左右交互に配置される。糸巻きには弦16が巻回される。弦16は、例えばナイロン、テフロン(登録商標)などの合成樹脂繊維の他、絹などからなり、胴部11と棹部15とに亘って張設され固定される。
図1(B)に示すように、胴部11は、略矩形環状に形成され、その内部に空洞13を有する木製の胴枠12と、胴枠12の空洞13の両開口部14,14(図1中左右方向)を塞ぐ一対の振動膜体20,20を含んで構成される。胴枠12は、前胴枠12A、左右一対の側胴枠12B,12C、及び後胴枠12Dの4つの分割部材により構成される。前胴枠12A、左右一対の側胴枠12B,12C、及び後胴枠12Dは、その側部で接ぎ手構造により互いに強固に接合される。これにより、胴枠12は分割非容易に一体に設けられる。
なお、本実施形態では、胴枠12の横寸法は190mm、縦寸法は200mm、高さ寸法は80mmに設定される。また、その肉厚寸法は20mmに設定される。
なお、本実施形態では、胴枠12の横寸法は190mm、縦寸法は200mm、高さ寸法は80mmに設定される。また、その肉厚寸法は20mmに設定される。
そして、前述のように胴部11の胴枠12の両開口部14,14には、その開口部14それぞれを塞ぐように表裏一対の振動膜体20,20が張り付けられる。胴枠12の空洞13は、この表裏一対の振動膜体20,20により閉塞され気密状態となり、三線10の共鳴空間として機能する。また、振動膜体20,20それぞれおいて、後述するように振動膜体20の基材21には例えばレーザープリンターやインクジェットプリンターなどの印刷装置を用いて所定の画像や模様などが印刷され、その結果、振動膜体20は所定の意匠部(デザイン)を有して設けられる。
なお、本実施形態では、胴枠12の空洞13の両開口部14,14に一対の振動膜体20,20を設けるがこれに限定されない。その両開口部14,14の一方(例えば胴部11の表側)のみでもよい。また裏面は本実施形態の振動膜体20を設けず、その代わりにヘビの本皮を張り付けて設けてもよい。
なお、本実施形態では、胴枠12の空洞13の両開口部14,14に一対の振動膜体20,20を設けるがこれに限定されない。その両開口部14,14の一方(例えば胴部11の表側)のみでもよい。また裏面は本実施形態の振動膜体20を設けず、その代わりにヘビの本皮を張り付けて設けてもよい。
図2(A)に示すように、本実施形態では、表側の振動膜体20の中心部には写真画像が配置され、その周縁部には琉球紅型の模様や色彩のデザインが配置される。写真画像には、例えば三線10の所有者の家族や友人などの思い出の写真を任意に用いることができ、本実施形態の三線10は贈答品や土産品として最適である。また、図2(B)に示すように、裏側の振動膜体20にはその全面にニシキヘビの皮柄やヘビ柄模様などの模様や色彩のデザインが配置される。琉球三線としての高級感を演出することが可能となる。
なお、図2(A)及び(B)に示す模様や色彩に限定されず、種々のデザインを採用することができ、振動膜体20の基材21に印刷可能であれば任意である。
なお、図2(A)及び(B)に示す模様や色彩に限定されず、種々のデザインを採用することができ、振動膜体20の基材21に印刷可能であれば任意である。
[振動膜体の層構造]
次に図3を参照して、本実施形態に係る振動膜体20の膜(層)構造について説明する。図3は、図2に示す振動膜体20の膜構造を説明する部分断面図である。
次に図3を参照して、本実施形態に係る振動膜体20の膜(層)構造について説明する。図3は、図2に示す振動膜体20の膜構造を説明する部分断面図である。
図3に示すように、本実施形態の振動膜体20は、5層以上のシート部材21,22A,22B,23A,23Bが積層されて設けられる。すなわち、振動膜体20は、その中心層として配置されるシート状の基材21と、この基材21の図中上側面(一方の面)に配置されるシート状の第1膜部22と、基材21の図中下側面(他方の面)に配置されるシート状の第2膜部23と、有する。基材21と第1膜部22と第2膜部23とは、ラミネート加工及びパウチ加工により熱圧着されて、振動膜体20は一体に設けられる。
基材21は、その表面がレーザープリンターやインクジェットプリンターなどの印刷装置で印刷可能なポリエチレンテレフタレート製のシート部材21である。この基材21の表面には、前述したような所定の写真画像や模様などが印刷される(図2参照)。また、基材21の膜厚は、100μm以上250μm以下の範囲に設定される。そして、第1膜部22は2枚の透明のシート部材22A,22Bを有し、第2膜部23も同様に2枚の透明のシート部材23A,23Bを有する。すなわち、第1膜部22と第2膜部23とは、2層のポリエチレンテレフタレート製の透明なシート部材22A,22B,23A,23Bである。また、第1膜部22と第2膜部23との膜厚は、2層の部材全体で100μm以上400μm以下の範囲にそれぞれ設定される。
なお、本実施形態の振動膜体20は5枚のシート部材21,22A,22B,23A,23Bから構成されるが、これに限定されない。例えば、三線10の演者の声が低いなど、演者が高音を好まない場合、第1及び第2膜部22,23を1層にして振動膜体20を3枚のシート部材から構成するようにしてもよい。
なお、本実施形態の振動膜体20は5枚のシート部材21,22A,22B,23A,23Bから構成されるが、これに限定されない。例えば、三線10の演者の声が低いなど、演者が高音を好まない場合、第1及び第2膜部22,23を1層にして振動膜体20を3枚のシート部材から構成するようにしてもよい。
振動膜体20を構成するポリエチレンテレフタレート製のシート部材21,22A,22B,23A,23Bは、膜体として強度及び耐久性を向上させることが可能となる。そのため、本実施形態の振動膜体20は、後述する治具30を用いて押圧力を高く設定して張り付け可能であるので、振動膜体20の膜張力を高く保持して展着させ、三線10の音質を向上させることができる。また、ポリエチレンテレフタレート製のシート部材21,22A,22B,23A,23Bは熱可塑性樹脂であるので、胴部11の胴枠12の外周面(端周縁)への取付性も向上させることができる。
なお、振動膜体20は、その表面をサンドペーパーなどで研磨加工してぼかしなどが施されるようにしてもよい。
なお、振動膜体20は、その表面をサンドペーパーなどで研磨加工してぼかしなどが施されるようにしてもよい。
また、振動膜体20のシート部材21,22A,22B,23A,23Bそれぞれは、ポリエチレンテレフタレート製に限定されない。熱可塑性樹脂フィルムであればよく、その樹脂種類として、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6などのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどの熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂なども使用可能である。また、これら熱可塑性樹脂の中から1種類を選択して単独で使用してもよいし、2種類以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
ただし、本実施形態にではポリエチレンテレフタレート製がより好適とされる。
ただし、本実施形態にではポリエチレンテレフタレート製がより好適とされる。
また、本実施形態では、表側の振動膜体20の全体的な厚さは、裏側の振動膜体20よりも厚く設けられる。具体的には、表側の振動膜体20の厚さは全体として500μm~700μmの範囲に、裏側の振動膜体20の厚さは全体として300μm~500μmの範囲に設定される。この設定により、三線10を弾いた際、高音が良く、その残響が持続して音質を向上させることが可能となる。
[三線の製造方法]
次に図4を参照して、本実施形態の三線10、特にその胴部11の製造方法について説明する。図4(A)は、図1に示す胴部11を製造するために用いる治具30を説明する上面図である。図4(B)はその治具30を説明する正面図である。
次に図4を参照して、本実施形態の三線10、特にその胴部11の製造方法について説明する。図4(A)は、図1に示す胴部11を製造するために用いる治具30を説明する上面図である。図4(B)はその治具30を説明する正面図である。
図4に示すように、治具30は、所定の作業面に載置されるベース板31と、ベース板31の上方に離間して平行に配置される天板32と、ベース板31と天板32とを上下方向で一体に連結する4本の柱部33,33,33,33と、これら柱部33,33,33,33の内側に配置され、ベース板31に一体に立設される4本の中空ロッド34,34,34,34と、これら中空ロッド34,34,34,34それぞれの内側に挿嵌されスライド可能に案内される4本のロッド35,35,35,35と、これらロッド35,35,35,35の先端部それぞれに一体に連結し、ベース板31及び天板32に平行に配置される押圧板36と、中空ロッド34,34,34,34の内側に設置され、押圧板36を上方に向けて押圧するジャッキ38(例えば油圧式ジャッキ)と、を有する。治具30を用いた製造工程において、三線10の胴部11の胴枠12は、押圧板36に載置される。
なお、治具30は、ジャッキ38が最下位に位置する際、押圧板36に載置される胴部11の胴枠12がその上端面が天板32の上端面に対し上方にオフセットして(位置がず
れて)配置されるように設けられる。
なお、治具30は、ジャッキ38が最下位に位置する際、押圧板36に載置される胴部11の胴枠12がその上端面が天板32の上端面に対し上方にオフセットして(位置がず
れて)配置されるように設けられる。
天板32は全体的に略矩形環状に形成されており、天板32の内形は胴枠12の外形に相似して若干大きく設けられる。その一方、押圧板36の外形は胴枠12の外形に相似して若干小さくされる。これにより、押圧板36に胴部11の胴枠12が載置される場合、ジャッキ38により胴枠12及び押圧板36は上下方向に移動しても天板32などに衝突することなく天板32の内側を通過することができる。また、押圧板36の上端面周縁部には、上方に突出する突出部37が周方向に亘って略矩形ループ状に設けられる。この突出部37により、後述する張付工程で用いられる接着剤などが振動膜体20の中央部などに付着するのを防止して、製造効率性や製品品質を向上させることができる。
なお、押圧板36の突出部37の高さ(突出量)は5mmに設定される。
なお、押圧板36の突出部37の高さ(突出量)は5mmに設定される。
さらに、治具30は、木製の木枠部材39と、金属製の金属枠部材40と、を別部材に有する。木枠部材39と金属枠部材40とは略矩形環状に形成されており、木枠部材39と金属枠部材40との内形は天板32の内形に対応して設けられる。木枠部材39は天板32に載置されて用いられる。ジャッキ38が最下位に位置するとき、天板32上の木枠部材39の上端面は押圧板36上の胴枠12の上端面と一致する。この一致の状態で、塑性変形前のシート状の振動膜体20が胴枠12及び木枠部材39の上端面に載置される。そして、金属枠部材40は、振動膜体20を上下方向で挟むように木枠部材39又は天板32に振動膜体20を介して載置され、振動膜体20をその重量で押さえて支持する。
なお、この押さえ状態で天板32及び金属枠部材40はバイス(不図示)を用いて上下方向で締結され、その結果、振動膜体20は治具30に強固に固定支持される。
なお、この押さえ状態で天板32及び金属枠部材40はバイス(不図示)を用いて上下方向で締結され、その結果、振動膜体20は治具30に強固に固定支持される。
このように構成される治具30を用いて、胴部11の胴枠12に振動膜体20を片面ずつ張り付ける。
具体的には、シート状のポリエチレンテレフタレート製の基材21に対し、この基材21の一方の面にシート状のポリエチレンテレフタレート製のシート部材22A,22Bを2枚重ねて第1膜部22として配置する(図3参照)。同様に、基材21の他方の面にシート状のポリエチレンテレフタレート製のシート部材23A,23Bを2枚重ねて第2膜部23として配置する。このように基材21を第1及び第2膜部22,23で挟持した状態で、ラミネート加工及びパウチ加工により熱圧着してシート状の振動膜体20を一体に形成しておく(すなわちラミネート工程)。
次に治具30のジャッキ38を最下位に調整し、これに伴い押圧板36を最下位に位置させる。押圧板36に胴部11の胴枠12を載置すると共に、天板32に木枠部材39を載置する。このような載置の状態において、ラミネート工程で得る振動膜体20を胴枠12及び木枠部材39の上端面に載置し、前述したようにバイスを用いて振動膜体20を固定支持する(すなわち膜固定工程)。
そして、ジャッキ38を上げることにより押圧板36を介して押圧板36上の胴枠12を上方に向けて押圧する。この押圧により、押圧板36上の胴枠12を、振動膜体20の膜厚方向で振動膜体20の中央部に向けて所定の圧力且つ所定時間で押圧させる。その結果、振動膜体20は略ドーム状に塑性変形し、振動膜体20には胴枠12の端周縁(外周面)に対応した型(略お椀状の型)が形成される(すなわち第1膜張工程)。
なお、例えば、押圧時間は数十分程度に設定されるとよい。
なお、例えば、押圧時間は数十分程度に設定されるとよい。
型形成された振動膜体20、及び木枠部材39を治具30から取り外し、押圧板36を最下位に再度位置させる。押圧板36に胴枠12を再度載置して、木枠部材39がない状態でこの胴枠12に型形成された振動膜体20を被せる。そして、バイスを用いて振動膜体20を再度固定支持して、押圧板36上の胴枠12を振動膜体20の中央部に向けて所定の圧力で再度押圧して所定の膜張力が加わった状態で維持しておく。この押圧時の圧力を2.0トン以上に設定する(すなわち第2膜張工程)。これにより、振動膜体20はさらに略ドーム状に塑性変形する。
なお、後述するように、振動膜体20が帆布(ポリエステル繊維)又は本皮(ヘビ皮)である場合、その圧力が1トン以下の値で破断することが試験的に分かっている(表1参照)。本実施形態では、従来の振動膜体よりもより高い圧力をかけて張り付けることができるので、三線10の音質を向上させることができる。また、上述したように、表側の振動膜体20を裏側に比べて厚く設けているので、表側の振動膜体20に対する圧力を裏側に比べて大きくかけることができる。
なお、後述するように、振動膜体20が帆布(ポリエステル繊維)又は本皮(ヘビ皮)である場合、その圧力が1トン以下の値で破断することが試験的に分かっている(表1参照)。本実施形態では、従来の振動膜体よりもより高い圧力をかけて張り付けることができるので、三線10の音質を向上させることができる。また、上述したように、表側の振動膜体20を裏側に比べて厚く設けているので、表側の振動膜体20に対する圧力を裏側に比べて大きくかけることができる。
次に第2膜張工程において略ドーム状にさらに塑性変形した振動膜体20の周縁部が胴枠12の外周面に接触した状態で、一対の締結バンド部材(不図示)を振動膜体20の周縁部に上下方向(胴枠12の空洞13の開口方向)に離間して並んで取り付ける。このとき、一対の締結バンド部材をそれぞれ周方向に亘って取り付ける。そして、この一対の結束バンド部材を強固に締め付けて振動膜体20の周縁部を胴枠12の外周面に密着させる(すなわち膜密着工程)。
なお、締結バンド部材は振動膜体20を胴枠12の外周面に締結固定できるものであればその種類は限定されないが、例えば一般的なホースバンドの他、ワイヤーホースバンド、ワイヤバンド、ホースクランプなどを適宜採用することができる。
なお、締結バンド部材は振動膜体20を胴枠12の外周面に締結固定できるものであればその種類は限定されないが、例えば一般的なホースバンドの他、ワイヤーホースバンド、ワイヤバンド、ホースクランプなどを適宜採用することができる。
そして、膜密着工程での密着状態を維持したままで治具30を天地逆転し逆さまの状態にする。この逆さまの状態で、一対の締結バンドのうち胴枠12で内側(振動膜体20の周縁部で外側)に位置する締結バンド部材を緩める。これにより、振動膜体20の周縁部と胴枠12の外周面との間に外部に開放する隙間空間が設けられる。この隙間空間に上方からエポキシ樹脂系接着剤を充填し、固化するまで所定時間(例えば30分から数時間)放置する。この固化により、振動膜体20は所定の膜張力が維持された状態で胴部11の胴枠12に強固に一体に張付固定される。このような一連の工程を経て三線10の胴部11が製造される。
なお、振動膜体20をより一層安定的に且つ耐久性よく胴枠12に固定するため、胴枠12に取り付けられた振動膜体20の周縁部に鋲(リベット)などを、ハンマーを用いて打ち付けてさらに固定してもよい。
なお、振動膜体20をより一層安定的に且つ耐久性よく胴枠12に固定するため、胴枠12に取り付けられた振動膜体20の周縁部に鋲(リベット)などを、ハンマーを用いて打ち付けてさらに固定してもよい。
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態の三線10によれば、振動膜体20は、シート状の基材21と、基材21の一方の面に設けられるシート状の第1膜部22と、基材21の他方の面に設けられるシート状の第2膜部23と、を有して、基材21と第1膜部22と第2膜部23とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、第1膜部22と第2膜部23とはポリエチレンテレフタレート製の2枚(1枚以上)のシート部材22A,22B,23A,23Bからそれぞれなり、第1膜部22と第2膜部23との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される。
以上説明したように、本実施形態の三線10によれば、振動膜体20は、シート状の基材21と、基材21の一方の面に設けられるシート状の第1膜部22と、基材21の他方の面に設けられるシート状の第2膜部23と、を有して、基材21と第1膜部22と第2膜部23とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、第1膜部22と第2膜部23とはポリエチレンテレフタレート製の2枚(1枚以上)のシート部材22A,22B,23A,23Bからそれぞれなり、第1膜部22と第2膜部23との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される。
また、本実施形態の三線10の製造方法によれば、所定のシート状の基材21に対し、基材21の一方の面にシート状の第1膜部22を配置すると共に基材21の他方の面にシート状の第2膜部23を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の振動膜体20を設けるラミネート工程と、ラミネート工程で得た振動膜体20を固定支持した状態で、胴枠12を振動膜体20の膜厚方向で振動膜体20の中央部に向けて所定の圧力で押圧して振動膜体20を略ドーム状に塑性変形させることにより、振動膜体20に所定の膜張力が加わった状態で胴枠12に振動膜体20を取り付ける膜張工程(第1及び第2膜張工程)と、膜張工程において略ドーム状に塑性変形した振動膜
体20の周縁部が胴枠12の外周面に接触した状態で、一対の締結バンド部材を振動膜体20の周縁部に対して、胴枠12の空洞13の開口方向で互いに離間して並んで周方向に亘って取り付けて一対の締結バンド部材を締めることにより、振動膜体20の周縁部を胴枠12の外周面に密着させる膜密着工程と、一対の締結バンドのうち胴枠12で内側に位置する締結バンド部材を緩めることにより、振動膜体20の周縁部と胴枠12の外周面との間に所定の隙間空間を設け、隙間空間にエポキシ樹脂系接着剤を充填する接着剤充填工程と、を含む。
体20の周縁部が胴枠12の外周面に接触した状態で、一対の締結バンド部材を振動膜体20の周縁部に対して、胴枠12の空洞13の開口方向で互いに離間して並んで周方向に亘って取り付けて一対の締結バンド部材を締めることにより、振動膜体20の周縁部を胴枠12の外周面に密着させる膜密着工程と、一対の締結バンドのうち胴枠12で内側に位置する締結バンド部材を緩めることにより、振動膜体20の周縁部と胴枠12の外周面との間に所定の隙間空間を設け、隙間空間にエポキシ樹脂系接着剤を充填する接着剤充填工程と、を含む。
このため、胴部11の振動膜体20の構造を簡素化して製造コストを低減することができる。また、振動膜体20を胴部11の胴枠12に張り付ける際、振動膜体20を胴枠12に強固に固定すると共に押圧する圧力を高く設定できるので、膜張力を増加させ三線10の音質を向上させることができる。
次に図5及び図6を参照して、上述した実施形態に係る変形例について説明する。図5は、上述した実施形態の変形例の製造方法を説明する工程模式図である。図6(A)は、図5に示す金属製プレート部材50を説明する正面図であり、図6(B)はその金属製プレート部材50を説明する断面図である。
なお、上述した実施形態と同一又は同等部分については、文中又は図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。また、説明の便宜上、図5では治具30の中空ロッド34及びロッド35の図示を省略している。
なお、上述した実施形態と同一又は同等部分については、文中又は図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。また、説明の便宜上、図5では治具30の中空ロッド34及びロッド35の図示を省略している。
本変形例は、上述した実施形態に係る製造方法での第2膜張工程までは共通するが、その後の、次に説明する金属製プレート部材50を用いた工程で異なる。
図5に示すように、第2膜張工程において略ドーム状にさらに塑性変形した振動膜体20の周縁部が胴枠12の外周面に接触した状態で、複数枚の金属製プレート部材50(プレート部材)を振動膜体20の周縁部に対して周方向に沿って変形させながら一枚ずつ当接させる。
図6に示すように、金属製プレート部材50は、可撓性の高い長尺薄板状に形成されており、当接される表面の形状に対応して任意に変形させることが可能である。そして、金属製プレート部材50は、長手方向に沿って略等間隔に後述するネジS(例えば木ネジやビスなど)を挿通させるための挿通穴51が複数形成される。挿通穴51は、その軸方向一方側に配置される平坦面部52と、平坦面部52に隣接してその軸方向他方側に配置されるテーパ面部53と、をそれぞれ有する。このテーパ面部53により、ネジS取付時にネジSの頭部が金属製プレート部材50の表面から露出(突出)することはないので、三線10の見栄えを良くしたり引っかき傷などの発生を防止したりすることが可能となる。
なお、本実施形態では、金属製プレート部材50の素材は一般金属とされるが、これに限定されない。その他、アルミ金属や、金属に限らず合成樹脂素材など、可撓性を有するものであれば種々の素材を採用することが可能である。また、金属製プレート部材50を当接させる際、挿通穴51のうち平坦面部52が振動膜体20側になるように配置される。
なお、本実施形態では、金属製プレート部材50の素材は一般金属とされるが、これに限定されない。その他、アルミ金属や、金属に限らず合成樹脂素材など、可撓性を有するものであれば種々の素材を採用することが可能である。また、金属製プレート部材50を当接させる際、挿通穴51のうち平坦面部52が振動膜体20側になるように配置される。
図5に戻ってさらに説明を続ける。図5に示すように、金属製プレート部材50を振動膜体20の周縁部に当接させた状態を、手で押さえるなどしてそれぞれ維持する。その上で、金属製プレート部材50の挿通穴51にネジSをそれぞれ挿通させる。挿通させたネジSに対して電動ドライバーなどで回転させてネジSを胴枠12に螺合固定させる。このネジSの螺合固定により、金属製プレート部材50は強固に胴枠12にネジ固定される。その結果、振動膜体20の周縁部は、胴枠12の表面及び金属製プレート部材50の裏面で強固に挟持されて、胴枠12の外周面に固着される(すなわち膜固着工程)。
なお、金属製プレート部材50が1枚の場合には周方向で1つの環状となるように当接されるが、本変形例のように複数の場合には1つずつ当接された状態が維持されてその都度ネジ固定される。
なお、金属製プレート部材50が1枚の場合には周方向で1つの環状となるように当接されるが、本変形例のように複数の場合には1つずつ当接された状態が維持されてその都度ネジ固定される。
本変形例によれば、上述した実施形態とは異なり、膜張工程において略ドーム状に塑性変形した振動膜体20の周縁部が胴枠12の外周面に接触した状態で、長尺薄板状の複数枚の金属製プレート部材50(プレート部材)を振動膜体20の周縁部に対して周方向に沿って変形させながら当てた上で金属製プレート部材50をネジ固定することにより、振動膜体20の周縁部を胴枠12の外周面に固着させる膜固着工程と、を含む。このため、振動膜体20を胴部11の胴枠12に張り付ける際、振動膜体20を胴枠12により強固に固定すると共に押圧する圧力をさらに高く設定できる。また、三線10の耐久性も向上させることができる。
ここで、前述した本考案に係る三線、並びにその三線の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[10]に簡潔に纏(まと)めて列記する。
[1]胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備える三線であって、
前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有し、
前記振動膜体は、シート状の基材と、前記基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、前記基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、前記基材と前記第1膜部と前記第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、
前記第1膜部と前記第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、
前記第1膜部と前記第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される、
三線。
[2]前記振動膜体は、前記空洞の前記開口部の両方を塞ぐように張り付けられ、
表側の前記振動膜体の厚さは、裏側の前記振動膜体より厚く設けられる、
[1]に記載の三線。
[3]胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備え、前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有する三線の製造方法であって、
所定のシート状の基材に対し、前記基材の一方の面にシート状の第1膜部を配置すると共に前記基材の他方の面にシート状の第2膜部を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の前記振動膜体を設けるラミネート工程と、
前記ラミネート工程で得た前記振動膜体を固定支持した状態で、前記胴枠を前記振動膜体の膜厚方向で前記振動膜体の中央部に向けて所定の圧力で押圧して前記振動膜体を略ドーム状に塑性変形させることにより、前記振動膜体に所定の膜張力が加わった状態で前記胴枠に前記振動膜体を取り付ける膜張工程と、
前記膜張工程において略ドーム状に塑性変形した前記振動膜体の周縁部が前記胴枠の外周面に接触した状態で、一対の締結バンド部材を前記振動膜体の前記周縁部に対して、前記胴枠の前記空洞の開口方向で互いに離間して並んで周方向に亘って取り付けて前記一対の締結バンド部材を締めることにより、前記振動膜体の前記周縁部を前記胴枠の前記外周面に密着させる膜密着工程と、
前記一対の締結バンドのうち前記胴枠で内側に位置する締結バンド部材を緩めることにより、前記振動膜体の前記周縁部と前記胴枠の前記外周面との間に所定の隙間空間を設け、前記隙間空間にエポキシ樹脂系接着剤を充填する接着剤充填工程と、
を含む、
三線の製造方法。
[4]胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備え、前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有する三線の製造方法であって、
所定のシート状の基材に対し、前記基材の一方の面にシート状の第1膜部を配置すると共に前記基材の他方の面にシート状の第2膜部を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の前記振動膜体を設けるラミネート工程と、
前記ラミネート工程で得た前記振動膜体を固定支持した状態で、前記胴枠を前記振動膜体の膜厚方向で前記振動膜体の中央部に向けて所定の圧力で押圧して前記振動膜体を略ドーム状に塑性変形させることにより、前記振動膜体に所定の膜張力が加わった状態で前記胴枠に前記振動膜体を取り付ける膜張工程と、
前記膜張工程において略ドーム状に塑性変形した前記振動膜体の周縁部が前記胴枠の外周面に接触した状態で、長尺薄板状の1枚又は複数枚のプレート部材を前記振動膜体の前記周縁部に対して周方向に沿って変形させながら当てた上で前記プレート部材をネジ固定することにより、前記振動膜体の前記周縁部を前記胴枠の前記外周面に固着させる膜固着工程と、
を含む、
三線の製造方法。
[5]前記プレート部材には、ネジを挿通させるための複数の挿通穴が形成されており、
前記複数の挿通穴の少なくとも1部は、その軸方向一方側に配置される平坦面部と、前記平坦面部に隣接してその軸方向他方側に配置されるテーパ面部と、を有する、
[4]に記載の三線の製造方法。
[6]前記膜張工程において、前記振動膜体の前記中央部を2.0トン以上の圧力で押圧する、
[3]~[5]のいずれか1つに記載の三線の製造方法。
[1]胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備える三線であって、
前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有し、
前記振動膜体は、シート状の基材と、前記基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、前記基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、前記基材と前記第1膜部と前記第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、
前記第1膜部と前記第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、
前記第1膜部と前記第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される、
三線。
[2]前記振動膜体は、前記空洞の前記開口部の両方を塞ぐように張り付けられ、
表側の前記振動膜体の厚さは、裏側の前記振動膜体より厚く設けられる、
[1]に記載の三線。
[3]胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備え、前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有する三線の製造方法であって、
所定のシート状の基材に対し、前記基材の一方の面にシート状の第1膜部を配置すると共に前記基材の他方の面にシート状の第2膜部を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の前記振動膜体を設けるラミネート工程と、
前記ラミネート工程で得た前記振動膜体を固定支持した状態で、前記胴枠を前記振動膜体の膜厚方向で前記振動膜体の中央部に向けて所定の圧力で押圧して前記振動膜体を略ドーム状に塑性変形させることにより、前記振動膜体に所定の膜張力が加わった状態で前記胴枠に前記振動膜体を取り付ける膜張工程と、
前記膜張工程において略ドーム状に塑性変形した前記振動膜体の周縁部が前記胴枠の外周面に接触した状態で、一対の締結バンド部材を前記振動膜体の前記周縁部に対して、前記胴枠の前記空洞の開口方向で互いに離間して並んで周方向に亘って取り付けて前記一対の締結バンド部材を締めることにより、前記振動膜体の前記周縁部を前記胴枠の前記外周面に密着させる膜密着工程と、
前記一対の締結バンドのうち前記胴枠で内側に位置する締結バンド部材を緩めることにより、前記振動膜体の前記周縁部と前記胴枠の前記外周面との間に所定の隙間空間を設け、前記隙間空間にエポキシ樹脂系接着剤を充填する接着剤充填工程と、
を含む、
三線の製造方法。
[4]胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備え、前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有する三線の製造方法であって、
所定のシート状の基材に対し、前記基材の一方の面にシート状の第1膜部を配置すると共に前記基材の他方の面にシート状の第2膜部を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の前記振動膜体を設けるラミネート工程と、
前記ラミネート工程で得た前記振動膜体を固定支持した状態で、前記胴枠を前記振動膜体の膜厚方向で前記振動膜体の中央部に向けて所定の圧力で押圧して前記振動膜体を略ドーム状に塑性変形させることにより、前記振動膜体に所定の膜張力が加わった状態で前記胴枠に前記振動膜体を取り付ける膜張工程と、
前記膜張工程において略ドーム状に塑性変形した前記振動膜体の周縁部が前記胴枠の外周面に接触した状態で、長尺薄板状の1枚又は複数枚のプレート部材を前記振動膜体の前記周縁部に対して周方向に沿って変形させながら当てた上で前記プレート部材をネジ固定することにより、前記振動膜体の前記周縁部を前記胴枠の前記外周面に固着させる膜固着工程と、
を含む、
三線の製造方法。
[5]前記プレート部材には、ネジを挿通させるための複数の挿通穴が形成されており、
前記複数の挿通穴の少なくとも1部は、その軸方向一方側に配置される平坦面部と、前記平坦面部に隣接してその軸方向他方側に配置されるテーパ面部と、を有する、
[4]に記載の三線の製造方法。
[6]前記膜張工程において、前記振動膜体の前記中央部を2.0トン以上の圧力で押圧する、
[3]~[5]のいずれか1つに記載の三線の製造方法。
そして、前記[1]~[2]の三線によれば、振動膜体は、シート状の基材と、基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、基材と第1膜部と第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、第1膜部と第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、第1膜部と第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される。
また、前記[3]の三線の製造方法によれば、所定のシート状の基材に対し、基材の一方の面にシート状の第1膜部を配置すると共に基材の他方の面にシート状の第2膜部を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の振動膜体を設けるラミネート工程と、ラミネート工程で得た振動膜体を固定支持した状態で、胴枠を振動膜体の膜厚方向で振動膜体の中央部に向けて所定の圧力で押圧して振動膜体を略ドーム状に塑性変形させることにより、振動膜体に所定の膜張力が加わった状態で胴枠に振動膜体を取り付ける膜張工程と、膜張工程において略ドーム状に塑性変形した振動膜体の周縁部が胴枠の外周面に接触した状態で、一対の締結バンド部材を振動膜体の周縁部に対して、胴枠の空洞の開口方向で互いに離間して並んで周方向に亘って取り付けて一対の締結バンド部材を締めることにより、振動膜体の周縁部を胴枠の外周面に密着させる膜密着工程と、一対の締結バンドのうち胴枠で内側に位置する締結バンド部材を緩めることにより、振動膜体の周縁部と胴枠の外周面との間に所定の隙間空間を設け、隙間空間にエポキシ樹脂系接着剤を充填する接着剤充填工程と、を含む。
また、前記[4]~[6]本考案の三線の製造方法によれば、所定のシート状の基材に対し、基材の一方の面にシート状の第1膜部を配置すると共に基材の他方の面にシート状の第2膜部を配置し、ラミネート加工により熱圧着して一体に形成することにより、シート状の振動膜体を設けるラミネート工程と、ラミネート工程で得た振動膜体を固定支持した状態で、胴枠を振動膜体の膜厚方向で振動膜体の中央部に向けて所定の圧力で押圧して振動膜体を略ドーム状に塑性変形させることにより、振動膜体に所定の膜張力が加わった状態で胴枠に振動膜体を取り付ける膜張工程と、膜張工程において略ドーム状に塑性変形した振動膜体の周縁部が胴枠の外周面に接触した状態で、長尺薄板状の1枚又は複数枚のプレート部材を振動膜体の周縁部に対して周方向に沿って変形させながら当てた上でプレート部材をネジ固定することにより、振動膜体の周縁部を胴枠の外周面に固着させる膜固着工程と、を含む。
このため、胴部の振動膜体の構造を簡素化して製造コストを低減すると共に、三線の音質を向上させることができる。
さらに以下、本考案の実施例及び比較例を挙げて、本考案の作用効果について具体的に説明する。本実施例においては、図3に示す層構造の振動膜体20を用いて胴部11を製造した三線10について音質及び耐久性の評価を行った。第1及び第2膜部22,23の全体的な膜厚をそれぞれ100μmから400μmまで変更して実施例1~4を用意して評価した(図3及び表1参照)。音質については三線10の経験者5名にその三線10の音を聴かせ官能評価をさせた。その結果を総合的に「◎」、「○」、「△」又は「×」の4段階評価した。また耐久性については治具30のジャッキ38で加圧し続けて振動膜体20が破断したときの圧力で評価した。振動膜体20の基材21はいずれも250μmに設定した。そして、本実施例との比較のため第1及び第2膜部22,23がないもの、基材21が紙材であるものを比較例1~6として用意して行った。以上の結果を表1に整理して示す。
以上の結果から、表1に示すように、本考案によれば、第1膜部22と第2膜部23とをポリエチレンテレフタレート製のシート部材22A,22B,23A,23Aからそれぞれ構成すると共に、第1膜部22と第2膜部23との膜厚を100μm以上400μm以下にそれぞれ設定することにより三線10の音質及び耐久性を向上させることができることが確認された。
なお、本考案は前記実施形態や前記実施例に例示したものに限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
10 三線
11 胴部
12 胴枠
12A 前胴枠
12B 側胴枠
12C 側胴枠
12D 後胴枠
13 空洞
14 開口部
15 棹部
16 弦
20 振動膜体
21 基材(シート部材)
22 第1膜部
22A シート部材
22B シート部材
23 第2膜部
23A シート部材
23B シート部材
30 治具
31 ベース板
32 天板
33 柱部
34 中空ロッド
35 ロッド
36 押圧板
37 突出部
38 ジャッキ
39 木枠部材
40 金属枠部材
50 金属製プレート部材(プレート部材)
51 挿通穴
52 平坦面部
53 テーパ面部
S ネジ
11 胴部
12 胴枠
12A 前胴枠
12B 側胴枠
12C 側胴枠
12D 後胴枠
13 空洞
14 開口部
15 棹部
16 弦
20 振動膜体
21 基材(シート部材)
22 第1膜部
22A シート部材
22B シート部材
23 第2膜部
23A シート部材
23B シート部材
30 治具
31 ベース板
32 天板
33 柱部
34 中空ロッド
35 ロッド
36 押圧板
37 突出部
38 ジャッキ
39 木枠部材
40 金属枠部材
50 金属製プレート部材(プレート部材)
51 挿通穴
52 平坦面部
53 テーパ面部
S ネジ
Claims (2)
- 胴部と、棹部と、前記胴部及び前記棹部に亘って張設される弦と、を備える三線であって、
前記胴部は、略環状に形成され、その内部に空洞を有する胴枠と、前記胴枠の前記空洞の少なくとも一方の開口部を塞ぐように張り付けられる振動膜体と、を有し、
前記振動膜体は、シート状の基材と、前記基材の一方の面に設けられるシート状の第1膜部と、前記基材の他方の面に設けられるシート状の第2膜部と、を有して、前記基材と前記第1膜部と前記第2膜部とがラミネート加工により熱圧着されて一体に設けられ、
前記第1膜部と前記第2膜部とはポリエチレンテレフタレート製の1枚以上のシート部材からそれぞれなり、
前記第1膜部と前記第2膜部との膜厚が100μm以上400μm以下にそれぞれ設定される、
三線。 - 前記振動膜体は、前記空洞の前記開口部の両方を塞ぐように張り付けられ、
表側の前記振動膜体の厚さは、裏側の前記振動膜体より厚く設けられる、
請求項1に記載の三線。
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R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
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