JP3239163B2 - ホーランダイト型結晶構造を有するメソポア多孔体及びその製造法 - Google Patents

ホーランダイト型結晶構造を有するメソポア多孔体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学式Axy
8-y16(ここでAはアルカリまたはアルカリ土類金属
元素、Mは2価または3価の金属元素、Nは4価の金属
元素、0.8<x≦2、0.8<y≦2)で表される化
学組成を有するホーランダイト型結晶構造の多孔体化合
物に関する。
【0002】
【従来技術】多孔体には、その孔の孔径の大きさによる
分類法がある。即ち、IUPACの定義では孔径が2n
m以下の細孔はミクロポア、2〜50nmの範囲の細孔
はメソポア、50nm以上の細孔はマクロポアと呼ばれ
る。トンネル構造(孔径約0.35nm以下)を有する
ホーランダイト型物質では、トンネル構造中のアルカリ
金属イオン等を抽出することによって結晶構造をミクロ
ポア細孔化した例が知られているが、結晶子の大きさや
形状の制御等によりミクロポア細孔化、メソポア細孔
化、マクロポア細孔化した例は報告されていない。メソ
ポア領域に細孔を有する無機系の従来材料はシリカゲ
ル、活性アルミナ、粘土メソポア多孔体、多孔質ガラス
である。これらの材料は多孔体特性を発現させるため、
シリカゲルや多孔質ガラスは非晶質体で利用し、また活
性アルミナと粘土メソポア多孔体は非晶質ないしは粗悪
な結晶質として利用する。
【0003】即ち、従来のメソポア多孔体は非晶質状態
や粗悪な結晶状態を利用して多孔性を発現させているた
め、得られた多孔体の細孔内構造や化学組成は結晶構造
で規定されるような明確な均質性をもたず、細孔間でば
らつきを生じる欠点があった。例えば、アルミナ系はメ
ソポア多孔体化できる500℃程度の温度領域では低温
相であるγ−アルミナが生成されるため結晶性が悪い。
また、粘土メソポア多孔体は粘土の層状構造の層間に他
成分である微細なシリカ等の粒子を導入し架橋して多孔
体化するため、粘土物質そのものと層間導入物質の構造
及び化学組成の不均一が細孔にも反映される。シリカゲ
ルや多孔質ガラスのメソポア多孔体は骨格自身が非晶質
できており、細孔内の表面構造や化学組成は均質を欠
く。このように、従来のメソポア多孔体の非晶質状態で
は原子配列は何らの周期性も持たず、細孔の内壁を形成
する原子面は細孔ごとにまちまちである。このため、従
来型メソポア多孔性材料は形状効果に基づく選択性はあ
るものの細孔表面の化学的機能を活用した反応選択性の
精度に問題があり、特に触媒作用のように細孔表面の化
学的機能に由来する特性は均質性を欠く分布をもつこと
になる。
【0004】更に、従来、化学式Axy8-y16(こ
こでAはアルカリまたはアルカリ土類金属元素、Mは2
価または3価の金属元素、Nは4価の金属元素、0.8
<x≦2、0.8<y≦2)で表されるホーランダイト
型化合物の合成は、その構成金属元素の酸化物(例えば
23など)や炭酸塩(A2CO3など)の粉末状原料を
混合して反応させるため、通常1200℃以上の高温で
焼成する必要がある。しかし、この手法は、粉末粒子の
成長を顕著に促進し、生成物の粒成長が数μm以上に達
し、比表面積は1m2/g程度以下にしかならない。こ
のため、多孔体特性は発現しないか、あるいはマクロ孔
領域の単分散性の悪い細孔分布を呈し、高比表面積かつ
多孔性粉末の合成には適さない。
【0005】一部のホーランダイト型化合物、とりわけ
xGaxSn8-x16は、一酸化窒素(以下NOと記載
する)に対する吸着能力が大きいことが明らかにされて
おり、その特性を活用し、炭化水素を還元剤に用いてN
Oを選択的に還元するための触媒材料として期待がもた
れており、その触媒機能をさらに向上させるため、高比
表面積かつ多孔性粉末の合成が望まれている。しかし、
化学組成が化学式Axy8-y16(ここでAはアルカ
リまたはアルカリ土類金属元素、Mは2価または3価の
金属元素、Nは4価の金属元素、0.8<x≦2、0.
8<y≦2)で表され、ホーランダイト型構造を有する
物質に関して、高比表面積かつ細孔径分布の単分散性に
優れた多孔体が実現された材料及びその製造法に関する
報告はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は上
記のホーランダイト型化合物について、高比表面積かつ
細孔径分布の単分散性に優れたメソポア多孔体を実現す
べく種々検討した結果、高温安定相で優れた結晶性を有
するホーランダイト型化合物が、従来よりも700℃以
上も低温で結晶化温度を有することを見出し、その特性
を活かすため結晶化プロセスを精密に制御し、高結晶性
を低温で実現するとともに粒形状と粒サイズの均一化を
図ることに成功し、本発明を完成したもので、本発明は
化学的及び構造的均質性に優れた高比表面積かつ細孔分
布特性の単分散性に優れたホーランダイト型化合物のメ
ソポア多孔体材料及びその製造法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、化学組
成が化学式Axy8-y16(ここでAはアルカリまた
はアルカリ土類金属元素、Mは2価または3価の金属元
素、Nは4価の金属元素、0.8<x≦2、0.8<y
≦2)で表され、ホーランダイト型結晶構造を有し、窒
素の吸脱着等温線から算出されたBET比表面積が10
2/g以上を有し、ドリモア・ヒール解析法により3〜
30nmの細孔径範囲に2nm程度のピーク半値幅と2
0mm3/nm・g程度以上の細孔面積ピーク高さ値を
呈して単分散性に優れる細孔径分布曲線を与えることを
特徴とするメソポア多孔体であり、その製造方法とし
て、上記化学式中のA,M,N各金属元素のアルコキシ
ドを式中のx、yの目的値になるように秤量し、それら
を2−メトキシエタノール等の有機溶媒に溶かして混合
し、ゾル溶液を作製し、このゾル溶液に、含有全金属ア
ルコキシドの加水分解に必要な計算量ないしはその2倍
量程度の水をアルコールで希釈した溶液を撹拌しながら
滴下し、湿潤ゲルとし、この湿潤ゲルを真空引きまたは
100℃程度の温度に加熱して、有機溶媒及び残留水分
等を除去し、得られた乾燥ゲルを大気中またはそれに準
ずる酸素含有雰囲気中で毎時180〜420℃程度の速
度で650〜800℃に昇温し、30分程度以上保持し
た後、冷却することによって本発明にかかるメソポア多
孔体を製造する。
【0008】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の製造方法について
述べると、本発明では粒成長を抑制する観点から低温で
の結晶化を図るため、金属アルコキシドを原料に用い
て、ゾル・ゲル法に基づく合成プロセスの構築を図っ
た。金属元素の原料は必ずしも金属アルコキシドである
必要はなく、必要な金属成分を水や有機溶媒を用いて均
一に混合できる原料であれば、別種の化学的形態でも構
わない。金属アルコキシドを溶解する溶媒は、できるだ
け安価で健康安全性が高いものを選択することが好まし
いが、主成分金属元素が3種以上あるため、成分金属ゾ
ル溶液の混合までの工程を単純化するため、同一の溶媒
あるいは相互に可溶な溶媒種を採用することが好まし
い。また、主成分にアルカリ金属を含むので加水分解工
程でアルカリ成分が溶出し、最終生成物がホーランダイ
ト型化合物以外の相を含むことを避けるため、当該工程
で混合ゾル溶液に加える水分量は加水分解に必要な最小
限量〜2倍に止める必要がある。最小限量より多い水量
を加えた場合には、アルカリ成分が過剰の水分へ溶出
し、系外へ去ることを防ぐため、加水分解生成物のアル
コールと余分な水分を濾過しないで、蒸発乾固し、その
後乾燥ゲルを十分に粉砕混合することが必要である。
【0009】次に混合ゾル溶液から得られるゲルの焼成
過程の精密な制御が不可欠であり、ゲルの量と焼成過程
の昇温速度及び酸素の供給量のバランスが重要である。
例えば、通常の大気中でゲルを焼成する場合には、十分
に粉砕されたゲルであれば、ゲル5g程度をそれと化学
反応しない容量30cc程度の坩堝に入れて180〜4
20℃の速度で昇温し、熱重量・示差熱分析で発熱ピー
ク(結晶化)が確認された650〜730℃以上ないし
800℃程度以下の温度で30分以上保持することによ
り優れた特性のメソポア多孔体を得ることができる。保
持温度は好ましくは680〜750℃程度の範囲が適当
である。多少の比表面積の減少及び細孔分布の単分散性
の低下を覚悟するのであれば、多孔体の機械的強度など
を増すため850〜900℃程度までの加熱も可能であ
る。
【0010】毎時180〜420℃の昇温速度で650
〜800℃に昇温する。昇温温度が速すぎると、有機物
の燃焼が急激に起こり、局所的に高温となるため結晶化
は上記発熱ピークより下の温度でも起こるが、この場合
には生成物は顕著にコーキングするとともに細孔分布の
単分散性を失い、目的機能を損なう。また、昇温速度が
上記の範囲に留められても、処理するゲル量が多い場合
には、酸素の供給量が追いつかず、やはり細孔径分布の
単分散性の喪失やコーキングにつながるため、酸素の供
給量を増やしたり、あるいはゲルの充填の仕方を工夫
し、充填されたゲルの各部に酸素が均等にかつ十分に供
給されるようにすることが重要である。昇温が遅すぎる
場合にも優れた特性のメソポア多孔体は得られない。こ
の場合には、コーキングは起きないものの、結晶粒子の
成長の不均一性が起こり、細孔分布の単分散性が損なわ
れる。以上、本発明にかかるホ−ランダイト型結晶構造
を有するメソポア多孔体の一例について述べたが本発明
にかかるメソポア多孔体の製造方法はこれに限るもので
はない。
【0011】次に本発明のホ−ランダイト型結晶構造を
有するメソポア多孔体について述べる。本発明のホ−ラ
ンダイト型結晶構造を有するメソポア多孔体は、窒素の
吸脱着等温線から算出されたBET比表面積が10m2/
g以上を有し、ドリモア・ヒール解析法により3〜30
nmの細孔径範囲に2nm程度のピーク半値幅と20m
3/nm・g程度以上の細孔面積ピーク高さ値を呈し
て単分散性に優れる細孔径分布曲線を与える。即ち、本
発明による材料はメソポア領域に単分散性の優れた細孔
径分布曲線を呈することから吸着材、分子篩材、分離
材、触媒材料あるいは触媒担体などとしての用途が期待
できる。特に、本材料は従来材料に比べて顕著に優れた
結晶性をもつ。この点について本発明のX線粉末回析図
を図1に示す。本発明にかかる材料が優れた結晶性をも
つため、細孔内の化学組成や局所構造に関して細孔間の
ばらつきが小さい。このため、従来材料に比べて吸着、
分子篩、分離などの各種機能の均質性に優れており、高
い選択性を要求される生体活性物質等の高性能分離材、
高速クロマトグラフの充填材、極性分子等の高選択性吸
着材などとしての利用が期待できる。
【0012】さらに、本発明による材料は、従来の多孔
性材料とは明確に異なる化学組成や結晶構造を有するた
め、それらに基づく新たな化学的性質が付加される。例
えば、一部のホーランダイト型化合物ではNOの吸着性
が非常に優れており、その特性を活かしてNOxの選択
還元用触媒材料の用途が明らかにされている(文献
1)。(文献1:T.Mori,et al.,Applied Catalysis A:
General,129,L1-L7(1995)) 従って、本発明に基づく高比表面積かつ多孔体化によ
り、NOx選択還元用の触媒機能に関してさらに高性能
化されることが期待される。
【0013】
【実施例及び比較例】次に本発明の実施例及び比較例を
示す。本発明による合成プロセスでは、金属アルコキシ
ドやそれらを溶かす溶媒の選択、とりわけ加水分解時の
水量、乾燥ゲルの熱処理時の昇温速度などが重要な要素
であり、それらが不適当である場合に引き起こされる結
果を比較例を用いて示した。 実施例1 化学式KxGaxSn8-x16においてx≒2になるよう
に1.754gのK(n−OC37)、5.163gの
Ga(n−OC493及び22.033gのSn(t
−OC494をアルゴン雰囲気のグローブボックス中
で秤量し、それぞれ20mlの脱水2−メトキシエタノ
ール(モレキュラーシーブ3Aで脱水)に溶解した後、
それらを混合し、室温で5時間程度撹拌し、混合ゾル溶
液を作製した。グローブボックスから取り出した混合ゾ
ル溶液に、撹拌しながら、加水分解に必要な理論当量よ
り僅かに多い水のエタノール希釈溶液(H2O/C25
OH=5.2ml/120ml)を毎分約15mlの速
度で滴下し、加水分解を行った。全量滴下後、ゲルを含
む溶液を撹拌しながら30分間放置した。その後約11
0℃に加熱し、蒸発乾固して乾燥ゲルを得た。乾燥ゲル
は乳鉢中にて粉砕し、再度110℃で熱処理した。この
乾燥ゲル約50mgを用いて、室温〜1000℃の範囲
において毎分5℃の昇温速度で熱重量・示差熱分析を行
い、約650〜730℃で起こる発熱に連携して結晶化
が起こることを確認した。測定結果を図3に示す。そこ
で、乾燥ゲルを毎時300℃の昇温速度で700℃まで
加熱し、3時間保持した後、電源を断にして室温まで放
冷した。室温に戻した試料の一部を用い、X線粉末回折
測定を行い、ホーランダイト型結晶構造を有することを
確認した(図1)。真空(10-3Torr)下、150
℃で5時間保持したホーランダイト型結晶構造の粉末、
約1gを用いて全自動窒素吸着測定装置(日本ベル社
製、BELSORP28-SA)により窒素の吸脱着等温線を測定
し、BET理論により、比表面積22m2/gを得た。
また、ドリモア・ヒール解析により、10.67nmに
半値幅約2nm程度のピークを呈し、100nmの細孔
径範囲で優れた単分散性の細孔径分布曲線を与えること
を確認した(図2)。得られた材料粉末の走査型電子顕
微鏡写真を図4の写真に示す。
【0014】実施例2 化学式KxAlxTi8-x16においてx≒1.7になる
ように0.796gのK(n−OC37)、0.974
gのAl(OCH33及び9.151gのTi(n−O
494をアルゴン雰囲気のグローブボックス中で秤
量し、KとTiのアルコキシドはそれぞれ20mlの脱
水2−メトキシエタノール(モレキュラーシーブ3Aで
脱水)に溶解し、Alのアルコキシドは60mlの同溶
媒に溶かした後、それらを混合し、室温で5時間程度撹
拌し、混合ゾル溶液を作製した。グローブボックスから
取り出した混合ゾル溶液に、撹拌しながら、加水分解に
必要な理論当量より僅かに多い水のエタノール希釈溶液
(H2O/C25OH=2.8ml/200ml)を毎
分約15mlの速度で滴下した。全量滴下後、溶液を撹
拌しながら加熱した。約35℃で薄く白濁化し、55〜
60℃で完全にゲル化させたのち、65℃で30分間放
置した。その後約110℃で1時間加熱し、蒸発乾固し
て乾燥ゲルを得た。乾燥ゲルは乳鉢中にて粉砕し、再度
110℃で1時間熱処理した。この乾燥ゲル約50mg
を用いて、室温〜1000℃の範囲において毎分5℃の
昇温速度で熱重量・示差熱分析を行い、約650〜73
0℃で起こる発熱に連携して結晶化が起こることを確認
した。そこで、乾燥ゲルを毎時200℃の昇温速度で7
00℃まで加熱し、3時間保持した後、電源を断にして
室温まで放冷した。室温に戻した試料の一部を用い、X
線粉末回折測定を行い、ホーランダイト型結晶構造を有
することを確認した。真空(10-3Torr)下、15
0℃で5時間保持したホーランダイト型結晶構造の粉
末、約1.5gを用いて、窒素の吸脱着等温線の測定を
行い、実施例1と同様に解析して比表面積18m2
g、13.4nmに半値幅約2nm程度及び細孔面積2
4mm3/nm・gのピークを単分散的に呈する細孔径
分布曲線を有することを確認した。
【0015】比較例1 実施例1に倣い、K(n−OC37)、Ga(n−OC
493及びSn(t−OC494を原料に用いて、化
学式KxGaxSn8-x16のxがほぼ2になるように混
合ゾル溶液を作製した。その混合ゾル溶液に、実施例1
とは異なり加水分解に必要な理論当量の3倍量の水をエ
タノールに希釈した溶液(H2O/C25OH=15.
6ml/120ml)を毎分約15mlの速度で滴下
し、加水分解を行った。その後は実施例1と同様の手続
きに戻し、乾燥ゲルを得た。乾燥ゲルは乳鉢中にて粉砕
し、再度110℃で熱処理した。実施例1と同様に、乾
燥ゲルを毎時300℃の昇温速度で700℃まで加熱
し、3時間保持した後、電源を断にして室温まで放冷し
た。室温に戻した試料の一部を用いてX線粉末回折測定
を行った結果、図5に示すごとくホーランダイト型結晶
構造を有する粉末以外にルチル型結晶構造を有する酸化
スズの明瞭な回折図形が含まれることを明らかにした。
この原因は、加水分解時の水量が2倍程度以上である
と、ゲル中のカリウム成分の分布が均一性を欠き、カリ
ウム分の不足するところで安定性の高い酸化スズが結晶
化するためと考えられる。
【0016】比較例2 実施例1に倣い、K(n−OC37)、Ga(n−OC
93及びSn(t−OC494を原料に用いて、化
学式KxGaxSn8-x16のxがほぼ2になるように混
合ゾル溶液を作製し、ゾルの加水分解を経て乾燥ゲルを
得た。この乾燥ゲルの一部を取り、実施例1とは異なる
熱処理を行った。一つは、700℃に設定した炉中に直
接、試料を挿入し、3時間保持した後、電源を断にして
室温まで放冷した。他は、毎時100℃で700℃まで
昇温し、3時間保持したのち、電源を断にして室温まで
放冷した。これらの結果、前者では顕著なコーキングが
起き、比表面積が10m2/g以下に減少するとともに
細孔分布特性も図6に示すように顕著に悪化し、単分散
性に優れた多孔体材料としての特徴を失った。後者で
は、コーキングは起きないが、細孔分布特性は前者と同
様に顕著に悪化し、単分散性に優れた多孔体材料として
の特徴を失った。この原因は粒子サイズがしきい値を越
えた一部粒子の異常成長による粒径の不均一化によると
思われる。
【0017】
【発明の効果】このようにして得られた本発明によるメ
ソポア多孔体は細孔径分布の単分散性に優れていること
及びコーキング等による汚れのなく、吸着材、分子篩
材、分離材、触媒材料などとしての用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホーランダイト型結晶構造を有する多孔体材料
xGaxSn8-x1 6(x≒2)のX線粉末回折図を示
す。
【図2】ホーランダイト型結晶構造を有する多孔体材料
xGaxSn8-x1 6(x≒2)の細孔径分布曲線を示
す。
【図3】KxGaxSn8-x16(x≒2)の化学組成を
有する乾燥ゲルの熱重量・示差分析曲線を示す。
【図4】ホーランダイト型結晶構造を有する多孔体材料
xGaxSn8-x1 6(x≒2)の走査型電子顕微鏡像
を示す。
【図5】加水分解時の添加水量が不適当であるために、
生成物中に不純物が生じたことを示すX線粉末回折図で
ある。
【図6】乾燥ゲルの熱処理時の昇温速度が不適切である
ために、生成物の細孔分布の単分散性が顕著に悪化する
とともに細孔面積が顕著に減少したことを示す細孔分布
曲線図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 1/00 C01B 13/32 C01G 19/00 C01G 23/00 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が化学式Axy8-y16(こ
    こでAはアルカリまたはアルカリ土類金属元素、Mは2
    価または3価の金属元素、Nは4価の金属元素、0.8
    <x≦2、0.8<y≦2)で表され、ホーランダイト
    型結晶構造を有し、窒素の吸脱着等温線から算出された
    BET比表面積が10m2/g以上を有し、ドリモア・ヒ
    ール解析法により3〜30nmの細孔径範囲に2nm程
    度のピーク半値幅と20mm3/nm・g程度以上の細
    孔面積ピーク高さ値を呈して単分散性に優れる細孔径分
    布曲線を与えることを特徴とするメソポア多孔体。
  2. 【請求項2】 上記化学式中のA,M,N各金属元素の
    アルコキシドを式中のx、yの目的値になるように秤量
    し、それらを2−メトキシエタノール等の有機溶媒に溶
    かして混合し、ゾル溶液を作製し、このゾル溶液に、含
    有全金属アルコキシドの加水分解に必要な計算量ないし
    はその2倍量程度の水をアルコールで希釈した溶液を撹
    拌しながら滴下して湿潤ゲルとし、この湿潤ゲルを真空
    引きまたは100℃程度の温度に加熱して、有機溶媒及
    び残留水分等を除去し、得られた乾燥ゲルを大気中また
    はそれに準ずる酸素含有雰囲気中で毎時180〜420
    ℃程度の速度で650〜800℃に昇温し、30分程度
    以上保持した後、冷却することを特徴とする請求項1に
    記載のメソポア多孔体を製造する方法。
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