JP3238194U - 廃油から高清浄油を分離・回収する装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃油から高清浄油を分離・回収する装置を提供する。【解決手段】装置1は、廃油を貯める廃油タンク2と、廃油タンク2内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を選択的に分離・除去するための油脂分離部3と、油脂分離部3において分離された分離油を貯める分離油タンク4と、分離油タンク4内の分離油から夾雑物を取り除いて高清浄油を分離・回収する遠心分離部5と、分離油タンク4と遠心分離部5との間に配置されて、油脂分離部3から分離油を吸引して分離油タンク4に移送し、さらに所定圧力にて分離油タンク4中の分離油を遠心分離部5の流入口に供給するためのポンプ6と、を備える。この構成により、夾雑物や水を大量に含む廃油から、粒子径が2~5μm程度となる高清浄油を低コストで簡易に、且つ従来に比較して飛躍的に短い処理時間で分離・回収できる。【選択図】図1
Description
本考案は、飲食店や食品工場等から廃棄され、夾雑物や水を大量に含む廃油から高清浄油を分離・回収する装置に関する。
近年、地球温暖化の問題が深刻化しており、炭酸ガスやメタンガスのような温室効果ガスの削減が図られている。例えば、パリ協定は、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みを定めた協定であり、地球温暖化対策に先進国、発展途上国を問わず全ての国が参加し、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としている。
また、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が提唱され、例えば日本政府の掲げるSDGsアクションプラン2021の中において、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現が記述されている(例えば、非特許文献1参照)。
温室効果ガス削減を創出するための方法は種々あり、例えば、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー設備の導入、ヒートポンプなどの省エネルギー製品の導入、森林経営活動など各種あるが、その内の一つにバイオマスの利活用(廃棄物の再利用)がある。
例えば、日本全国で排出されるバイオマス資源である廃水油脂は、飲食店関係で年間30万トン以上、食品工場関係で80万トン以上、合計110万トン以上もの量になり、全世界を勘案するとさらに膨大な量となる。近年、このような汚泥として産廃処分されるしかなかった廃水油脂から、独自のバイオマス燃料を製造し、ディーゼル発電機でバイオマス発電を行うシステムが開発されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。このバイオマス発電システムを提供することでCO2削減、リサイクル、水質浄化をもたらすことができる。
"SDGsとは?"[令和3年7月12日検索]、インターネット<URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html>
しかしながら、飲食店や食品工場等の廃油から高清浄なバイオ燃料(油分)を製造するといっても、容易なことではない。その理由を以下に記載する。
第一の理由として、飲食店や食品工場等の廃水浄化の過程で分離回収される廃油には排水処理由来の油分(牛脂、ラード、パームほか)、家庭系廃油(天ぷら油)など様々な種類がある。そして、これらの廃油は水分含有率が高かったり、常温で固形であったり液体であったり、固形分、夾雑物、廃水分も多く混在している。従って、このような不純物の多く含まれている廃油から、特に軽油やA重油等の代替燃料として使用できる粒子径が2~5μm程度の高清浄油を低コストでかつ簡易に分離・回収する方法は未だかつて確立されていない。
第二の問題として、夾雑物や水を大量に含む廃油から油分を分離し、さらにそれを例えば粒子径が2~5μm程度となるまでに高清浄化する場合、従来ではフィルターや濾紙などの「超極細目のふるい」で濾過の過程を要する。この場合、ふるいが簡単に目詰まり起こし易く、高清浄油を分離・回収する際に処理時間がかかり過ぎるという問題もある。
本考案は、上記課題に鑑みてなされたものであり、夾雑物や水を大量に含む廃油から、粒子径が2~5μm程度となる高清浄油を低コストで簡易に、且つ従来に比較して飛躍的に短い処理時間で分離・回収できる装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本考案は、廃油から高清浄油を分離・回収する装置であって、前記廃油を貯める廃油タンクと、前記廃油タンク内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を選択的に分離・除去するための油脂分離部と、前記油脂分離部において分離された分離油を貯める分離油タンクと、前記分離油タンク内の分離油から夾雑物を取り除いて高清浄油を分離・回収する遠心分離部と、前記分離油タンクと前記遠心分離部との間に配置され、前記油脂分離部から分離油を吸引して分離油タンクに移送し、さらに所定圧力にて前記分離油タンク中の分離油を前記遠心分離部の流入口に供給するためのポンプと、を備えることを特徴とする。
この廃油から高清浄油を分離・回収する装置において、前記分離油タンク、前記ポンプ及び前記遠心分離部は一体化されることが好ましい。
この廃油から高清浄油を分離・回収する装置において、前記分離油タンク、及び前記油脂分離部と前記分離油タンクと前記遠心分離部とを繋ぐ配管部に、分離油の粘度を下げるためのヒーティング手段を備えることが好ましい。
この廃油から高清浄油を分離・回収する装置において、前記油脂分離部は、発泡スチロール板である浮き板と、前記浮き板のほぼ中央部に設けた貫通孔に、分離油吸入管の先端を収容可能な廃固形分除去器を収容・配置し、且つ前記浮き板に離接するようにその下部を上下動可能な分離器と、を備えることが好ましい。
この廃油から高清浄油を分離・回収する装置において、前記遠心分離部から回収される前記高清浄油の粒子径は2~5μmの範囲となることが好ましい。
本考案は、廃油から高清浄油を分離・回収する装置であって、廃油を貯める廃油タンクと、廃油タンク内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を選択的に分離・除去するための油脂分離部と、油脂分離部において分離された分離油を貯める分離油タンクと、分離油タンク内の分離油から夾雑物を取り除いて高清浄油を分離・回収する遠心分離部と、分離油タンクと遠心分離部との間に配置され、前記油脂分離部から分離油を吸引して分離油タンクに移送し、さらに所定圧力にて前記分離油タンク中の分離油を前記遠心分離部の流入口に供給するためのポンプと、を備える。この構成により、本考案では、夾雑物や水を大量に含む廃油から、粒子径が2~5μm程度となる高清浄油を低コストで簡易に、且つ従来に比較して飛躍的に短い処理時間で分離・回収できる。
(実施の形態)
以下、本考案に係る廃油から高清浄油を分離・回収する装置(以下、高清浄油分離回収装置と称する)及びその方法の実施の形態に関して、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の説明において高清浄油とは、粒子径が2~5μm程度となり、ガスタービン発電機、ディーゼル発電機、ボイラーや焼却炉などに用いる代替燃料として利用することができる油分を意味する。通常、ガスタービン発電機の燃料は、軽油、A重油、灯油、LPGなどである。また、夾雑物とは廃油に含有される不純物やまじり物を意味する。
以下、本考案に係る廃油から高清浄油を分離・回収する装置(以下、高清浄油分離回収装置と称する)及びその方法の実施の形態に関して、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の説明において高清浄油とは、粒子径が2~5μm程度となり、ガスタービン発電機、ディーゼル発電機、ボイラーや焼却炉などに用いる代替燃料として利用することができる油分を意味する。通常、ガスタービン発電機の燃料は、軽油、A重油、灯油、LPGなどである。また、夾雑物とは廃油に含有される不純物やまじり物を意味する。
最初に、本実施の形態に係る高清浄油分離回収装置1の全体構造に関して図1を参照しながら説明する。この高清浄油分離回収装置1は、廃油タンク2と、廃油タンク2内に設けられる油脂分離部3と、分離油タンク4と、遠心分離部5と、ポンプ6と、を備える。なお、本実施の形態において分離油タンク4と、遠心分離部5と、ポンプ6とは一体化されて、車輪Wを備えて自在に移動できるキャスター(移動型架台)Kを用いて移動可能となる。この図2において遠心分離部5はパイプハンガーHを用いて固定される。
廃油タンク2は、飲食店や食品工場等の廃水浄化の過程で分離回収される廃油を貯めるためのタンクであり、例えば直径70~73cm程度の大きさを有する。通常、廃油はラードなどの融点の高い固形油成分を多く含むため、この廃油は常温では固体状態となる。このために、廃油タンク2には、安全な加熱装置が装着される。このような加熱装置の例は、図1に示すような、温度センサー21と発熱シート22と電源にそれぞれ電気配線されたスイッチ及び温度表示板付き温度調節装置23である。
油脂分離部3は、廃油タンク2内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を選択的に分離・除去するためのフィルターとしての機能を有する。この油脂分離部3の構造の一例を図3に示す。本図に示すように、油脂分離部3は、浮き板31に廃固形分除去器32が設けられており、さらにこの浮き板31の下部に廃固形分、廃油夾雑物や廃水層などの分離器33が設けられた構造である。
浮き板31は、廃固形分除去器32と分離器33などの重みで油脂分離部3が廃油タンク2内に貯蔵された廃油中に沈み込まないようにする。具体的に本実施の形態では発泡スチロール板である。
浮き板31のほぼ中央部には貫通孔を設け、この貫通孔の下側に廃固形分除去器32が収容・配置されている。この廃固形分除去器32は、ゴミや浮遊物などの廃固形分を濾過して除去でき、しかも分離油吸入管34の先端を安定的に収容できる金属製の網目構造の容器である。この網目構造容器の形状は、上面が開放した下半球状以外に上面が開放した箱状など様々の形状であってよい。分離油吸入管34は、その下端が廃固形分除去器32の底部に接触しないように固定される。
分離器33は、浮き板31の下部に離接するように設けられており、浮き板31から離接することなく上下動できる構造を有する。具体的には、分離器33は、パンチングメタルの廃固形分分離器33aの上縁端が取っ手35を構成する4本の金属棒の各一端で4箇所固定され、4本の金属棒それぞれは垂直上の浮き板31に貫通する。このため、分離器33は容易に上下に摺動することができる。つまり、廃固形分分離器33aが、浮き板31の廃固形分除去器32のさらに下部に(その上下動に従って浮き板31に離接するように)離隔して懸垂する構造である。本実施の形態においては、図3(c)に示すように、分離器33は30mmの範囲内で上下に摺動することができる。なお、油脂分離部3に関しては同出願人の有する特許第5452814号に示すものを用いても良い。
分離油タンク4は、油脂分離部3において分離された分離油を貯めるためのタンクである。なお、分離油タンク4と図1に示す分離油吸入管34とに分離油の粘度を下げるためのヒーティング手段を有しても良い。また、油脂分離部3と分離油タンク4と遠心分離部5とを繋ぐ配管部に、分離油の粘度を下げるためのヒーティング手段を備えてもよい。すなわち、各部間を繋ぐ配管部に分離油の粘度を下げるためのヒーティング手段を設けても良い。
ポンプ6は、分離油タンク4と遠心分離部5との間に配置され、分離油を分離油タンク4へ移送するとともに、分離油タンク4中の分離油を所定圧力(例えば供給は50L/minのとき0.5MPa以上)にて遠心分離部5の流入口51に供給するための縦型ポンプである。
遠心分離部5は、分離油タンク内の油分から不純物を分離して高清浄油を分離・回収するための装置である。具体的には、遠心分離部5は、図4に示すように、油脂分離部3で分離された後の分離油が流入口51から流入し、この夾雑物を含む分離油が所定流速で流入されることで渦巻きが生じ、遠心状態で夾雑物を外側へ移動させ、外側では渦巻きが減速して分離された夾雑物が沈降する。夾雑物を分離した油分は、流出口52より流出される。また、遠心分離部5には、下部に沈殿部5Bが設けられ、この沈殿部5Bに排出バルブ53を備え、排出バルブ53を開いて沈殿した夾雑物を排出する。
図4において遠心分離部5は、軸芯に流出口52を有し、この軸芯から偏位した位置に流入口51を有し、流入口51から分離油を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態でこの分離油に含まれる夾雑物を外側へ移動させて流出口52から夾雑物を分離した高清浄油を排出し、当該渦巻きを減速させて分離された夾雑物を沈降させる分離部5Aと、この分離部5Aで分離されて沈殿する夾雑物を沈殿させる沈殿部5Bとを有する。なお、この遠心分離部5の構造は、この実施の形態に限定されず、一般的な遠心分離装置の構造でもよい。また、ポンプ6と遠心分離部5を繋ぐ配管部および遠心分離部5に分離油の粘度を下げるためのヒーティング手段を有しても良い。
次に、本実施の形態に係る高清浄油分離回収装置1を用いて、廃固形分、廃油夾雑物、廃水などを含有する廃油から粒子径が2~5μm程度となる高清浄油を分離・回収する方法について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
最初に、廃油及び廃固形分含有廃水から回収した廃固形分、廃油夾雑物、廃水を含有するラードや牛脂などが主成分の廃油を廃油タンク2に貯留する(S61)。そして、廃油を収容してある廃油タンク2を約70℃に保って、廃油タンク2内のラードを完全に溶解させ、廃油層、廃固形分・廃油夾雑物層、廃水層に分離させて、この中に油脂分離部3を投入する。このように約70度でヒーティングすることで油分の粘度を下げ、サラサラ状態(粘度の低い状態)を維持する。
次に、ポンプ6を作動して、油脂分離部3において夾雑物を取り除いた分離油を回収する(S62)。具体的には、油脂分離部3は、パンチングメタルの廃固形分分離器33aが廃油層中で下降して浮き板31の真下に離隔して懸垂された状態となる。分離タンク4に呼び水作用のための分離油を充填後、分離タンク4から出る分離油吸入管34を廃固形分除去器32内の吸出口に接続し、ポンプ6を作動させ、分離器33と浮き板31との間の廃油が廃固形分除去器32によって廃油層中のゴミや浮遊物などの廃固形分が排除されつつ吸出口から分離油吸入管34を通り、次いで分離油タンク4に移送される。
なお、廃油タンク2内の廃油層の廃油がほぼ排出(移送)されると、油脂分離部3の分離器33が廃油タンク2内の廃油夾雑物層に接触し、分離器33のパンチングメタルの隙間に廃油が充満しているため、廃油と異質の廃油夾雑物や水は(常圧では)濾過材中に浸入することができない。このため、廃油夾雑物層と廃水層の圧力により分離器33は廃油夾雑物層のあたりで止まってしまってそれ以上沈むことができず、ついには分離器33は次第に押し上げられて浮き板31に接触することになり、分離器33内かつ浮き板31と吸出口の下端との間の廃油は、ポンプ6により分離油吸入管34から吸引されてそこに空間を生じ、これ以上廃油を吸い込むことができなくなり、この廃油タンク2からの廃油の移送は終了する。
そして、ポンプ6の作動により、夾雑物が取り除かれた分離油が分離油タンク4に移送されて(S63)、この分離油タンク4を経由し、遠心分離部5の流入口51に流し込まれて流出口52から高清浄油が分離・回収される(S64)。一方、遠心分離によって夾雑物は沈殿部5Bで流出口52側の流れ込まないように下方向に沈降させる。この高沈降作用により、分離部5Aで高精度に分離された夾雑物を逃がさずに下方向に高精度分離を維持する。なお、高精度に分離され、沈降してきた夾雑物を沈降させて排出バルブ53を開くことで夾雑物を回収できる。
<高清浄油の分析結果>
次に、本実施の形態に係る高清浄油分離回収装置1を用いて分離・回収された油分の分析結果に関して、図7を参照しながら説明する。なお、この分析テストにおいては、遠心分離部5に株式会社industria社製のフィルスターKXW-30を用いて、ポンプ6から遠心分離部5の流入口51に流し込まれる流量は約15L/min、分離・回収される液体(例えばSMO(Straight Mixed Oil:カーボンオフ燃料))は発電用燃料、廃油中の固形物を異物(黒色油脂)とし、遠心分離後の採取液を分析した。
次に、本実施の形態に係る高清浄油分離回収装置1を用いて分離・回収された油分の分析結果に関して、図7を参照しながら説明する。なお、この分析テストにおいては、遠心分離部5に株式会社industria社製のフィルスターKXW-30を用いて、ポンプ6から遠心分離部5の流入口51に流し込まれる流量は約15L/min、分離・回収される液体(例えばSMO(Straight Mixed Oil:カーボンオフ燃料))は発電用燃料、廃油中の固形物を異物(黒色油脂)とし、遠心分離後の採取液を分析した。
分析テストの手順としては、(1)廃油タンク2に飲食店現場から回収した廃水油脂を約200L貯留し70℃で加温、(2)廃油の分離を確認後、前記実施例の通り、高清浄油分離回収装置1をセットし作動、(3)油脂分離部3および分離油タンク4を経由した分離油を、遠心分離部5であるフィルスター下部のドレンバルブを閉めて(又はドレンカップを接続し)、フィルスターに送流、(4)フィルスター上部からの排出液を処理液として採取した。ポンプ停止後、(5)事前に採取した分離油(原液)と前記(4)の排出液(処理液)の固形物をそれぞれ濾別、加熱乾燥後に秤量して、各秤量値より異物除去率と液中に含まれる粒子径を測定した。
その結果、図7(a)に示すように、原液の固形物は1.170g/Lであったが処理液の固形分は0.363g/Lであった。すなわち、高清浄油分離回収装置1における分離・回収後の油分の分離除去率は約69%と算出され、原液を濾過させた濾紙とワンパス(一回本装置を通過させた)した高清浄液を濾過させた濾紙とを確認すると明らかにワンパスにおいて異物(黒色油脂)の量が減少した。
また、図7(b)に示すように、粒子径(μm)は原液では79.4798μmであったところ、高清浄油分離回収装置1における分離・回収後の油分の粒子径(μm)は5.1090μmであった。これは処理液において 「約5μm以下のゴミしか入っていない液体」という意味を示す。粒度分布表・メジアン粒子径はHORIBA社製LA-350での測定結果である。なお、本実施の形態における説明での粒子径は、分布の中央値に対応する粒子径であるメジアン径を意味するものである。この粒度分布からも、原液中には比較的大きい異物が測定されたが、高清浄油分離回収装置1でのワンパス処理液中にはほとんど存在しないことが確認された。
<処理速度に関して>
次に、高清浄油分離回収装置1における分離・回収の処理速度に関して説明する。従来では、夾雑物や水を大量に含む廃油から、油を分離し、さらにそれを2~5μmまで清浄化する場合であって、通常の「超極細目のふるい」で濾過した場合、目詰まりを起こすため、分離・回収に非常に長時間要する。一方、本実施の形態に係る高清浄油分離回収装置1を用いると、例えば、100Lの高清浄油を作るには(過程1)分離→5μmレベルの清浄では3.5分、(過程2)過程1を基にした2μmレベルの清浄(仕上げ)では5.0分程度で完了する。すなわち、分離油から2μm程度の高清浄油100Lを作る所要時間は僅か8.5分程度となる。従って、単純計算で、1,000Lで粒子径2μm程度の高清浄油を作る場合は、装置台数10台にすれば、100L作るのと同じように8.5分、装置台数5台にすれば17分程度のみとなり、このことは従来のフィルターを介した濾過による方法と比較することができないほど飛躍的に処理速度が速くなることを意味する。
次に、高清浄油分離回収装置1における分離・回収の処理速度に関して説明する。従来では、夾雑物や水を大量に含む廃油から、油を分離し、さらにそれを2~5μmまで清浄化する場合であって、通常の「超極細目のふるい」で濾過した場合、目詰まりを起こすため、分離・回収に非常に長時間要する。一方、本実施の形態に係る高清浄油分離回収装置1を用いると、例えば、100Lの高清浄油を作るには(過程1)分離→5μmレベルの清浄では3.5分、(過程2)過程1を基にした2μmレベルの清浄(仕上げ)では5.0分程度で完了する。すなわち、分離油から2μm程度の高清浄油100Lを作る所要時間は僅か8.5分程度となる。従って、単純計算で、1,000Lで粒子径2μm程度の高清浄油を作る場合は、装置台数10台にすれば、100L作るのと同じように8.5分、装置台数5台にすれば17分程度のみとなり、このことは従来のフィルターを介した濾過による方法と比較することができないほど飛躍的に処理速度が速くなることを意味する。
以上の説明のように、本考案は廃油から高清浄油を分離・回収する装置1であって、廃油を貯める廃油タンク2と、廃油タンク2内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を選択的に分離・除去するための油脂分離部3と、油脂分離部3において分離された分離油を貯める分離油タンク4と、分離油タンク4内の分離油から夾雑物を取り除いて高清浄油を分離・回収する遠心分離部5と、分離油タンク4と遠心分離部5との間に配置されて、油脂分離部3から分離油を吸引して分離油タンク4に移送し、さらに所定圧力にて分離油タンク4中の分離油を遠心分離部5の流入口に供給するためのポンプ6と、を備える。
また、本考案に係る廃油から高清浄油を分離・回収する方法は、廃油を貯める廃油タンク2を用いて廃油を貯留する第一貯留ステップと、第一貯留ステップにおける廃油タンク2内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を、油脂分離部3を用いて選択的に分離・除去するための油脂分離ステップと、油脂分離ステップにおいて分離された分離油を分離油タンク4に一時的に貯める第二貯留ステップと、遠心分離部5を用いて分離油から夾雑物を取り除いて高清浄油を分離・回収する遠心分離ステップと、前記油脂分離部から分離油を吸引して分離油タンクに移送し、さらに所定圧力にて前記分離油タンク中の分離油を前記遠心分離部の流入口に供給するためのポンプを用いて加圧する加圧ステップと、を含む。この構成により、本考案では、夾雑物や水を大量に含む廃油から、油分の粒子径が2~5μm程度となる高清浄油を低コストで簡易に、且つ従来に比較して飛躍的に短い処理時間で分離・回収できる。
また、本考案では、夾雑物と水を大量に含む廃油から、固化しやすい油分を効率的に分離し、かつ粒子径が2~5μmとなる清浄レベルにまで清浄化できる。一方、従来の「ふるい」の濾過限界は3μmであり且つ非常に長い処理時間を要する。ここで、2~5μmまで濾過された高清浄油は、高清浄油を必要とする発電機、例えば、ガスタービン発電機(主に燃料は、軽油、A重油、灯油、LPG)やコモンレール式のディーゼル発電機などで再生エネルギーを作るバイオ燃料として利用できるレベルとなる。また、本考案に係る装置及び方法によって得られる高清浄油は「清浄レベルが高い」「化石燃料に比べ硫黄分などの環境負荷要因が低い」「カーボンニュートラル燃料である」「処理速度が従来に比較して飛躍的に早い」という従来の方法や装置にはない特別な効果を奏する。
なお、本考案は、上記実施の形態の構成に限られず、考案の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態において一度本考案の装置で処理して回収された高清浄油を、再度「高圧力ポンプ+フィルスター」でさらに複数回(例えば3回転程度)循環濾過すれば、更なる高度清浄化を実現できる。
1 廃油から高清浄油を分離・回収する装置
2 廃油タンク
3 油脂分離部
4 分離油タンク
5 遠心分離部
5A 分離部
5B 沈殿部
6 ポンプ
31 浮き板
32 廃固形分除去器
33 分離器
51 流入口
52 流出口
K キャスター(移動型架台)
2 廃油タンク
3 油脂分離部
4 分離油タンク
5 遠心分離部
5A 分離部
5B 沈殿部
6 ポンプ
31 浮き板
32 廃固形分除去器
33 分離器
51 流入口
52 流出口
K キャスター(移動型架台)
Claims (5)
- 廃油から高清浄油を分離・回収する装置であって、
前記廃油を貯める廃油タンクと、
前記廃油タンク内の廃油に含まれている廃固形分、廃油夾雑物、廃水分を選択的に分離・除去するための油脂分離部と、
前記油脂分離部において分離された分離油を貯める分離油タンクと、
前記分離油タンク内の分離油から夾雑物を取り除いて高清浄油を分離・回収する遠心分離部と、
前記分離油タンクと前記遠心分離部との間に配置され、前記油脂分離部から分離油を吸引して分離油タンクに移送し、さらに所定圧力にて前記分離油タンク中の分離油を前記遠心分離部の流入口に供給するためのポンプと、を備えることを特徴とする廃油から高清浄油を分離・回収する装置。 - 前記分離油タンク、前記ポンプ及び前記遠心分離部は一体化される、ことを特徴とする請求項1記載の高清浄油を分離・回収する装置。
- 前記分離油タンク、及び前記油脂分離部と前記分離油タンクと前記遠心分離部とを繋ぐ配管部に、分離油の粘度を下げるためのヒーティング手段を備える、ことを特徴とする請求項1又は2記載の高清浄油を分離・回収する装置。
- 前記油脂分離部は、
発泡スチロール板である浮き板と、
前記浮き板のほぼ中央部に設けた貫通孔に、分離油吸入管の先端を収容可能な廃固形分除去器を収容・配置し、且つ前記浮き板に離接するようにその下部を上下動可能な分離器と、を備えることを特徴とする請求項1記載の高清浄油を分離・回収する装置。 - 前記遠心分離部から回収される前記高清浄油の粒子径は2~5μmの範囲となる、ことを特徴とする請求項1記載の高清浄油を分離・回収する装置。
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2022
- 2022-05-11 JP JP2022001508U patent/JP3238194U/ja active Active
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