JP3236293U - メタルマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】溶射によりワークの表面に被膜を形成する際に、簡便にマスキングを行うことができ、ワークに堆積された被膜にダメージを与えないメタルマスクを提供する。【解決手段】メタルマスク100は、ワークの表面に接する第1面S11と第1面の反対側の第2面S12と第1面と前記第2面との間の第3面S13とを有する本体部102と、本体部から連続し、第1面より外側に突出する庇部104とを有し、庇部がワークの表面から離れて配置されている。メタルマスクの本体部に係る第3面(側面)は、庇部を形成するように設けられた段差部106を有している。また、本体部に係る第3面(側面)は、第1面側から第2面側に向けて広がる傾斜面を有し、庇部が傾斜面の上方に配置される構造を有していてもよい。【選択図】図1

Description

本開示は、ワークに溶射を行う際に用いることのできるメタルマスクの構造に関する。
高い耐電圧と耐熱性を備えるために、金属製のワーク(「基材」、「部品」とも呼ばれる)にセラミックの絶縁膜を溶射する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-013874号公報
溶射による被膜の形成は、熱源を用いて金属やセラミックスなどの材料を溶融させ、その溶融粒子をワークへ噴射することで被膜を形成するため、被膜を堆積する箇所と、被膜を堆積しない箇所とを精密に作り分けるのが困難である。そのため、ワークに被膜を堆積させたくない箇所に対しては、あらかじめマスキングをしておく必要がある。
例えば、ワークの表面の一部分に溶射被膜を堆積させないようにする場合、マスキングテープなどのマスキング部材を設けることが行われている。しかし、溶射処理により堆積される被膜はワークの表面のみでなくマスキング部材の上にまで連続的に堆積されるので、マスキング部材を外すとき被膜にクラックが入り、また、マスクとの境界部分で剥離することが問題となる。
このような問題に鑑み、本開示は、溶射によりワークの表面に被膜を形成する際に、簡便にマスキングを行うことができ、ワークに堆積された被膜にダメージを与えない治具を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態に係るメタルマスクは、ワークの表面に接する第1面と第1面の反対側の第2面と第1面と前記第2面との間の第3面とを有する本体部と、本体部から連続し、第1面より外側に突出する庇部とを有し、庇部がワークの表面から離れて配置されている。
本開示の一実施形態において、メタルマスクの本体部に係る第3面(側面)は、庇部を形成するように設けられた段差部を有していてもよい。また、本体部に係る第3面(側面)は、第1面側から第2面側に向けて広がる傾斜面を有し、庇部が傾斜面の上方に配置される構造を有していてもよい。
本開示の一実施形態に係るメタルマスクは、本体部及び庇部が金属製、本体部及び庇部が樹脂製、又は本体部及び庇部が金属製で表面が樹脂で覆われていてもよい。
本開示の一実施形態によれば、メタルマスクに、ワークの表面から離れて配置され、直接的に接触しない庇部を設けることで、メタルマスクをワークから取り外す際に溶射によって形成された被膜にダメージを与えないようにすることができる。
本開示の一実施形態に係るメタルマスクの構造を説明する図であり、(A)は平面図を示し、(B)は断面図を示す。 本開示の一実施形態に係るメタルマスクがワークに取り付けられた状態を説明する図であり、(A)は断面図を示し、(B)は(A)に示す領域X1の拡大図を示す。 本開示の一実施形態に係るメタルマスクの構造を示し、(A)乃至(F)は本体部と庇部の断面構造を示す。
以下、本開示の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本開示は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面を参照して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図1は、本開示の一実施形態に係るメタルマスク100の構造を示す。図1において、(A)はメタルマスク100の平面図を示し、(B)は平面図に示すA-B間に対応する断面図を示す。図1(A)及び(B)に示すメタルマスク100は、溶射によってワークの表面に被膜を形成するとき、被膜を形成しない部分を覆い、被膜が形成されないようにする溶射処理に用いられる治具である。
メタルマスク100は平板状(又は円盤状)の外観を有し、ワークに接する第1面S11と、第1面S11とは反対側の第2面S12と、第1面S11及び第2面S12との間の第3面S13を有する。メタルマスク100の第1面S11は底面に相当し、第2面S12は上面に相当し、第3面S13は側面に相当する。
このようなメタルマスク100を構成要素に分けると、主として第1面S11及び第2面S12、並びに第3面S13(側面)を形成する本体部102と、本体部102の上部に配置され幅方向に突出する庇部104とに分けることができる。本体部102は第1面S11がワークに直接接触する部分となる。本体部102の上方に配置される庇部104は、本体部102の側面から突出するように設けられる。
図1(B)に示すように、メタルマスク100を断面視すると、第3面S13(側面)には段差部106が設けられ、段差部106によって庇部104が形成されているとみなすこともできる。図1(B)は1段の段差形状を示すが、段差部106は複数の段差によって形成されていてもよい。
このような外観を有するメタルマスク100は、一体成形品として提供される。また、メタルマスク100は、本体部102と庇部104を形成する分部が別部品で提供され、両者が一体化するように組み立てられた構造を有していてもよい。
メタルマスク100を構成する本体部102と庇部104は、それぞれ異なる機能を有する。本体部102はワークに直接接する部分であり、また、溶射時に被膜が形成されないようにワークを面で覆う主要な部分である。メタルマスク100がワークに安定して取り付けることができるように、本体部102の第1面S11は略全面がワークに当接することのできる形状を有する。例えば、ワークの被マスキング面が平面である場合、本体部102の第1面S11も平面形状を有する。また、ワークの被マスキング面に段差部が含まれる場合、本体部102の第1面S11に、被マスキング面の段差部に嵌合するよう形成された段差構造を有する。
庇部104は、本体部102の側面に直接被膜が形成されないように、被膜の堆積範囲を調整する機能を有する。したがって、庇部104は、本体部102の全周に亘って設けられていることが好ましい。また、庇部104は、作業者がメタルマスク100をワークに取り付け、又は取り外し、若しくは手に持って運ぶとき、取っ手としての機能を有する。メタルマスク100に庇部104が設けられることで、メタルマスク100の着脱が容易となり、ワークの表面及び堆積された被膜を直接触らないようにすることができる。
図1(A)及び(B)は、メタルマスク100を構成する本体部102と庇部104が異なる外径を有することを示す。具体的に、本体部102の外径D1に対し庇部104の外径D2の方が大きくなっている。このような寸法関係により、メタルマスク100は庇部104が本体部102から突出する形状を有する。庇部104が本体部102から突出する長さP1は、全周に亘って一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
本体部102の外径D1及び庇部104の外径D2は、マスキングの対象物であるワークの大きさに適合するように適宜設定される。本体部102に対して庇部104は外側に突出するように設けられるので、外径D1と外径D2は、D1<D2の関係を有する。一方、本体部102の高さH1及び庇部104が突出する長さP1は、堆積する被膜の厚さ、ワークの形状及び被膜を形成する領域、溶射の条件などを考慮して適宜調整される。
溶射時に噴霧される溶融又は軟化した材料は、理想的にはメタルマスク100の表面に対し略垂直の方向から噴霧される。メタルマスク100がワークに取り付けられると、庇部104の下は陰となり溶融又は軟化した材料が噴霧されても被膜が堆積しないように作用するが、噴霧された溶射材料の回り込みがあることにより、庇部104の陰となる部分にもある程度の厚さで被膜が形成される。庇部104が突出する長さP1が十分長いとき、すなわち、噴霧された溶射材料が庇部104のしたに回り込む距離より庇部104の突出する長さP1が長いとき、本体部102の側面に被膜が堆積しないようにすることができる。別言すれば、溶射処理によって、庇部104の下方にどの程度の厚さで被膜を形成するかは、庇部104が突出する長さP1と本体部102の高さH1とにより調整することができる。例えば、庇部104の長さP1を一定として、本体部102の高さH1を変更した場合、高さH1を大きくすると溶射材料の回り込む深さを長くすることができ、高さH1を小さくすると溶射材料が回り込む深さを相対的に短くすることができる。また、本体部102の高さH1は、溶射処理で堆積される被膜で埋め込まれないように、被膜の膜厚より大きくする必要がある。具体的に、本体部102の高さは堆積する被膜の膜厚に対し0.5mm~1.0mm程度厚くすることが好ましい。また、庇部104が突出する長さP1は、溶射材料の回り込みを考慮して、0.5mm~10mm、好ましくは1mm~3mm程度にすることが好ましい。
ここで、庇部104が本体部102から突出する長さP1は、P1=1/2(D2-D1)の関係を有する。庇部104の外径D2の大きさは本体部102の外径D1に依存せずに変更できるので、庇部104が突出する長さP1は自由に調整することができる。また、図1(B)に示される構造から明らかなように、本体部102の高さH1も独立して設定することができる。
メタルマスク100は、さまざまな形状のワークに合わせて寸法及び形状を変更することができる。図1(A)及び(B)は、メタルマスク100が円盤状の形状を有しているので、ワークをマスキングする部分が円形である場合に適用することができる。ワークをマスキングする部分が矩形である場合には、それに合わせてメタルマスク100の平面視における形状を変更すればよい。
メタルマスク100は、さまざまな溶射材料に適用することができる。溶射材料としては、金属、合金、サーメット、セラミックスなどが例示される。溶射処理ではメタルマスク100が取り付けられた領域を含めてワークに溶射材料が噴霧される。溶射処理によってワークの表面に形成される被膜は強固に付着することが好ましいが、メタルマスク100の表面には溶射材料が付着しない(付着しにくい)か、付着しても簡単に除去できることが好ましい。また、メタルマスク100は溶射時の温度に耐えることのできる耐熱温度を有している必要がある。
このような条件を満たすため、メタルマスク100は、本体部102及び庇部104が金属製であるか、本体部102及び庇部104が樹脂材料で形成されているか、本体部102及び庇部104が金属製であり表面が樹脂材料でコーティングされていることが好ましい。樹脂材料としては、耐熱性及び溶射処理により形成される被膜の取り除き易さからフッ素樹脂であることが好ましく、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)であることが好ましい。
図2(A)及び(B)は、メタルマスク100がワーク200に取り付けられた状態を示す。図2において、(A)はメタルマスク100及びワーク200の断面図を示し、(B)は(A)に示す領域X1の拡大図を示す。図2(A)及び(B)に示すワーク200は、半導体製造装置において半導体基板やガラス基板を支持する基板ステージを示し、ワーク200の第2面S22にメタルマスク100が設置され、第1面S21、第3面S23、及び第2面S22の周縁部に溶射で形成された被膜300aが被覆される状態を点線で示す。
なお、図示されるワーク200の形状は一例であり、本開示に係るメタルマスク100が適用されるワークはこの形状に限定されない。ワーク200は、溶射により被膜が形成される領域にメタルマスク100が取り付けられるものであれば形状に特段の限定はない。
図2(A)に示すように、溶射によって被膜が形成されるワーク200の第2面S22に、メタルマスク100が設置される。メタルマスク100は図1(A)及び(B)に示す形状と同じ形状を有し、ワーク200の第2面S22の内側部分を覆い周縁部が露出するように配置される。ワーク200は回転機にセットされ、回転させながら溶射処理が行われる。メタルマスク100は、ワーク200の構造を利用して真空チャックによって固定されてもよいし、ネジなどの部品によって留められていてもよい。また、メタルマスク100は、ワーク200の上にセットされた状態で、上部から中心部を押さえる回転取付治具によってセットされてもよい。
図2(B)の拡大図に示すように、溶射処理が行われたときに形成される被膜300aは、点線で示すように、ワーク200の第3面S23から第2面S22の周縁部にかけて形成される。また、メタルマスク100の上面にも被膜300aが形成される。メタルマスク100はワーク200の第2面S22に接するように設けられ、本体部102から庇部104がワーク200の周縁部の方向にP1の長さで突出している。庇部104の下側は陰となるため溶射処理で噴霧される溶融又は軟化した溶射材料は直接的に堆積されないが、回り込み成分により庇部104の内側まで被膜300aが形成される。また、メタルマスク100の上面(第2面S12)にも被膜300bが堆積される。しかし、メタルマスク100の本体部102の高さH1によって庇部104がワーク200から浮いているため、ワーク200側の被膜300aとメタルマスク100側の被膜300bとは不連続になる。また、庇部104が長さP1で突出していることにより、被膜300aと被膜300bは不連続に形成される。
庇部104の下に形成される被膜300aは、庇部104の端部と重なる部分から庇部300の下側の領域にまで広がって形成されるが、被膜300aが本体部102に達しないように庇部104の長さが設定されていることが好ましい。庇部104の下に堆積される被膜300aは一定の膜厚を有していてもよいが、図2(A)及び(B)に模式的に示すように、庇部104の端部と重なる領域から内側に向かうに従い徐々に膜厚が薄くなることが好ましい。被膜300aの膜厚が端部において徐々に薄くなることで、マスキングの境界部分で剥離することを防止することができる。
溶射処理により形成される被膜300aの膜厚は100μm~1500μm程度である。ワーク200の表面に取り付けられるメタルマスク100は、被膜300(300a、300b)により埋め込まれてしまうと取り外しが困難になるので、被膜300の膜厚より十分に厚いことが好ましい。
メタルマスク100の庇部104の形状は、図1(A)及び(B)に示される形状に限定されない。例えば、図3(A)に示すように、メタルマスク100の第3面S13(本体部102の側面)が第1面S11側から第2面S12側にかけて広がる傾斜面(テーパー形状)を有していてもよい。本体部102の傾斜面が不連続に庇部104と接続されることで段差部106が形成され、庇部104が突出する構造を形成することができる。本体部102が傾斜面を有することで、庇部104の形状を安定化することができ、変形を防ぐことができる。また、図3(B)に示すように、本体部102の傾斜面は曲面で形成されていてもよい。
さらに、図3(C)に示すように、本体部102の第3面S13の傾斜面が第1面S11から第2面S12にかけて連続するように形成されていてもよい。第1面S11の端部に対して第2面S12の端部が外側に突出することで庇部104が形成されてもよい。図3(D)に示すように、傾斜面は曲面形状を有してしてもよい。
図3(E)及び(F)は、図3(A)及び(B)と同様の形状を有するが、庇部104の側面が、内側に傾くようなテーパー形状を有している点で相違する。庇部104の端部がこのようなテーパー形状を有することで、溶射処理のときにメタルマスク100の強度を保ちつつ、庇部104の側面に溶射された被膜が堆積することを防ぐことができる。溶射処理ではメタルマスク100の上方からのみでなく、ワーク200の側方からも溶射ガンが向けられて溶射が行われる。このような場合において、メタルマスク100の庇部104がテーパー形状を有していることにより、側面に被膜が堆積するのを防ぐことができ、また側面への堆積があったとしてもその量を減らすことができる。
図3(A)乃至(F)に示す形状のメタルマスク100は、本体部102に傾斜部を有し、この傾斜部の上方に庇部104を有することで、ワーク200に堆積される被膜300bとメタルマスク100の上に堆積される被膜300aを不連続にすることができる。
以上説明したように、本開示に係るメタルマスク100は庇部104を有することで、溶射処理によってワーク200に堆積される被膜300aとメタルマスク100に堆積される被膜300bとを不連続にすることができるので、溶射処理の後でメタルマスク100を取り外す際に被膜300aにダメージを与えないようにすることができる。そのため、ワーク200に形成された被膜300aにクラックが入ったり、メタルマスク100との境界部で剥離が生じたりすることを防止することができる。これにより、溶射処理が施されるワーク200の品質向上を図ることができる。
100:メタルマスク、102:本体部、104:庇部、106:段差部、200:ワーク、300:被膜、

Claims (4)

  1. ワーク(200)の表面に接する第1面(S11)と、前記第1面の反対側の第2面(S12)と、前記第1面と前記第2面との間の第3面(S13)と、を有する本体部(102)と、
    前記本体部から連続し、前記第1面より外側に突出する庇部(104)と、を有し、
    前記庇部が前記ワークの表面から離れて配置されている、
    ことを特徴とするメタルマスク。
  2. 前記第3面が、前記庇部を形成するように設けられた段差部(106)を含む、請求項1に記載のメタルマスク。
  3. 前記第3面が、前記第1面側から前記第2面側に向けて広がる傾斜面を含み、前記庇部が前記傾斜面の上方に配置される、請求項1に記載のメタルマスク。
  4. 前記本体部及び前記庇部が金属製、前記本体部及び前記庇部が樹脂製、又は前記本体部及び前記庇部が金属製であり表面が樹脂で覆われている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のメタルマスク。
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