JP3235502U - 移乗機 - Google Patents

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Abstract

【課題】要介護者が、自己の残存能力を活用して、なるべく自力で起立及び着座できる移乗機を提供する。【解決手段】ベッド等に腰掛けた要介護者は、ベース部10の足置板13の上に足裏を置き、要介護者の胸部を胸当41に当てる。要介護者が上板20の板前縁に指を掛けて上半身を前側に引き寄せると、胸当41は前側に上昇する。これにより、要介護者の胸部も前側に上昇し、要介護者が立ち上がることができる。【選択図】図6

Description

本考案は、移乗機に関し、移乗動作の際に要介護者が、できる限り自力で起立(立ち上がり動作)や着座(座り動作)できるように工夫したものである。
まず初めに、本明細書において使用する用語について説明をする。
「介護」とは、身体または精神の障害があるため日常生活を営むのに支障がある者に対して、移動・入浴・排泄・食事・更衣・洗面などの日常生活を行う上で必要となる各種の援助を行うことである。
「要介護者」とは、身体または精神の障害があるため、移動・入浴・排泄・食事・更衣・洗面などの日常生活での基本的な動作の全部または一部において、継続して介護を要する人である。
「介護者」とは、要介護者に対して介護を行う人である。
「差尺」とは、一般的には、机やテーブルの天板までの高さと、椅子の座面までの高さとの寸法差をいう。これに合せて、本明細書では、本考案に係る移乗機の上板までの高さと、例えばベッドの上面までの高さとの寸法差をいう。
「移乗動作」とは、例えば、ベッドから車椅子に乗り移ったり、車椅子から洋式トイレの便座に乗り移ったりする動作のことなどである。
「支持基底面(BOS:base of support)」とは、「人や物が支えられている底面で、接点の外縁を結んだ範囲」のことをいう。例えば、図1(a)のように、人間が立位姿勢になっているときには、支持基底面は、図1(b)に示すように、足裏の外縁を結んだ図中においてドットを付した範囲である。
次に、「支持基底面」と「人間の重心」との関係を最適に利用して、人間が、座った状態から最も負担無く立ち上がることができる、支持基底面理論について説明する。この支持基底面理論は、リハビリテーションの世界や人間工学の世界で知られている理論である。
図2に示すように、人間がベッドBの端に腰掛けつつ足を床Fに下ろした腰掛け姿勢になったときに、床Fのうち足が接している支持基底面と、人間の重心Gの重心線GLと床Fとが交差する位置Pとが、離れている状態では、立ち上がるのに大きな力を要する。つまり、支持基底面と人間の重心G(重心線GL)とがずれている腰掛け姿勢から立ち上がろうとすると、立ち上がるのに大きな力が必要になったり、立ち上がることができなくなったりする。
一方、図3に示すように、人間がベッドBの端に腰掛けつつ足を床Fに下ろした腰掛け姿勢になったときに、足をベッドBに近づけて上半身を前傾させると、支持基底面の面内に位置Pが入る。このように、支持基底面の上方に人間の重心G(重心線GL)が位置した腰掛け姿勢になると、立ち上がりに要する力は小さくてすむ。したがって、介護者が要介護者を、座った状態から立ち上がらせる介護をする場合には、要介護者の姿勢をなるべく図3に示すような姿勢にしてから要介護者を立ち上がらせると、介護に要する労力が少なくなる。
ここで、本考案を案出するに至った社会的な背景について説明する。日本では、総人口に占める高齢者の割合が多い超高齢者社会になってきており、福祉社会を支える専任の介護職の人材が大幅に不足している。このことが、介護環境の社会的課題となっている。厚生労働省によると、2025年には37.7万人、2030年には50万人、介護人材が不足すると発表されている。その対策として、介護ロボットの開発を勧めたり、介護者として外国人を受け入れたりすることが行われている。
介護施設や在宅介護などの介護現場において介護をしている介護者は、腰痛に悩まされることが多く、また各種の介護業務のため極めて多忙である。このような介護現場の厳しい現状があるため、介護職に応募する人が少ないことも影響して、介護現場では、すでに人材不足が社会問題化している。従来では高齢者を多くの若者(仕事をしている現役世代の人)が支える実態であったが、近年では高齢者の割合が急速に高まり、騎馬戦型の(三人の若者で一人の高齢者を支える)社会から、おんぶ型の(一人の若者で一人の高齢者を支える)社会になると言われている。このような観点からも、介護環境の改善が急務となっている。
介護施設においては、要介護者はベッドの上での生活が中心となっている。このため、自立歩行が困難な要介護者が、トイレや浴室や食堂やリハビリ訓練室等に移動する場合には、要介護者は、介護者の補助を受けて、ベッドから車椅子に移乗し、車椅子に乗った状態でトイレや食堂等に移動している。介護者は、要介護者をベッドから車椅子に移乗させたり、車椅子からトイレの便座に移乗させたりする等の移乗介護のみならず、要介護者が乗っている車椅子の移動搬送や、衣類着脱や、排泄処理や、食事補助など多数の業務をこなさなければならない。しかも、例えば、要介護者が尿や便の排泄のためにトイレを使用する回数や、要介護者が食堂に移動する回数は、1日に複数回あるため、要介護者を移乗介護しなければならない頻度は高い。
一方、要介護者といっても、必ずしも身体機能の全てを喪失しているわけではなく、その多くの者は、ある程度、身体機能として残存能力を保有している。このような残存能力を有している要介護者が、自身の生活行動を介護者にあまりに多く頼ってしまうと、筋肉が弱り廃用症候群に陥ってしまうという問題もある。一例として挙げると、ある程度の歩行ができる者が、歩くことを止めて車椅子により移動する生活を2週間続けると、下肢の筋肉が20%減少してしまい、歩行が困難になったり、更には、寝たきり状態になったりすることがある。このように筋力が低下すると、移動・入浴・排泄・食事・更衣・洗面などの日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)に支障が生じ、より多くの介護が必要になってしまう。例えば、寝たきり状態になると、手の筋肉も衰え、自分で食事もできなくなり、要介護者に対して行わなければならない介護がより多くなってしまう。
ところが介護施設では、介護者の負担は大きくなるものの、介護の効率などの観点から、補助すれば歩行ができる要介護者であっても、車椅子で移動させることが多い。残存能力を有している要介護者は、身体機能を維持するため、できうる限り自分の筋肉を使うことが理想ではあるが、現実はそのような理想から遠く離れている。
次に、要介護者をベッドから車椅子に移乗する従来の態様について述べるが、従来では移乗動作の際に、残存能力を有する要介護者が、自身の筋肉を積極的に使う場面はほとんど無い。
ここで、身体機能としてある程度の残存能力を有している要介護者を、人力により、ベッドから車椅子に移乗させる、一般的な従来の介護動作について簡単に説明する。
(1) まず、車椅子をベッドの近くに設置する。
(2) 図4に示すように、要介護者Nを、ベッドの端に座った腰掛け姿勢にする。
(3) 図4に示すように、腰掛け姿勢のまま要介護者Nを介護者Hに抱きつかせる。介護者Hは、要介護者Nを抱き上げ、更に、抱き上げた要介護者Nと一緒に回転して、要介護者Nの臀部を車椅子に向ける。
(4) 図5に示すように、介護者Hが要介護者Nを抱きかかえつつ、要介護者Nをゆっくりと下方に下ろしていって車椅子の座面に座らせる。
次に、身体機能としてある程度の残存能力を有している要介護者を、人力により、車椅子から便座に移乗させて排泄を行わせる、一般的な従来の介護動作について簡単に説明する。このような、いわゆる「トイレ介護」は、要介護者の残存能力の程度によっては、安全を確保するため2人の介護者(第1の介護者と、第2の介護者)によって行う必要がある。
(1) 第1の介護者は、車椅子に座っている要介護者を抱き上げ、抱き上げた要介護者を車椅子から便座に移乗させる。このとき、要介護者は、下半身に下衣(ズボンやオムツやパンツなど)をつけたまま、まず便座に座る。
(2) 第1の介護者が要介護者を抱き上げて、要介護者を便座から立ち上がらせる。更に、第1の介護者が要介護者の脇の下を抱え、要介護者を立位姿勢にする。このとき、要介護者は、トイレの壁に設置されている手摺りを掴み体幹を保持する。要介護者の上半身を前傾させ、第1の介護者が要介護者の下衣を取る。なお、要介護者の残存能力が少ない場合、または認知症の程度が進んでいる場合には、要介護者が手摺りから手を離して転倒などする恐れがあるので、このような場合には、第1の介護者により要介護者の立位姿勢を確保しつつ、第2の介護者が要介護者の下衣を取る。
(3) 次に、第1の介護者が要介護者を抱きかかえつつ要介護者を下方に下ろしていって、下衣を外した要介護者を、便座に座らせる。
(4) 排泄を行わせる。
(5) 排泄後に、第1の介護者が、要介護者を抱きかかえつつ立ち上がらせて要介護者の立位姿勢を確保し、更に、要介護者の上半身を前傾させる。そして、第2の介護者が、排泄後処置(下半身の清拭など)を行い、手摺りを掴んで立位姿勢になっている要介護者に下衣を着ける。
(6) その後、第1の介護者が要介護者を抱きかかえつつ車椅子に乗せる。
上述したように、介護者の人力により要介護者を移乗動作させることの他に、動力機構(駆動部)を備えた移乗機を利用して、要介護者を移乗させることも行われている。例えば、特許文献1(特開2021−10833号公報)に示されている介助装置(移乗機)では、基台、昇降部、揺動部、保持部材などを備えている。
基台は、車輪と、要介護者の足を載せる足載置台と、要介護者の膝を支持する下腿当て部などを有している。
昇降部は、昇降移動可能な昇降部材と、昇降部材を昇降駆動する昇降駆動部などを有している。
揺動部は、一端(基端)が昇降部材に揺動可能に支持された揺動アーム部材と、揺動アーム部材を前後方向に揺動駆動する揺動駆動部などを有している。
保持部材は、揺動アーム部材の他端(先端)に備えられている。この保持部材は、要介護者の胸を支持する胴体受部と、要介護者の両脇を下方から支持する一対の脇受部などを有している。
特許文献1に示されている介助装置(移乗機)を利用して、要介護者を移乗させるには、例えば、次のような手順により行う。
(1) 移乗機をベッドの隣に設置する。
(2) 要介護者を、ベッドの端に座った腰掛け姿勢にする。
(3) 要介護者の足を、基台の足載置台の上に載せる。また、要介護者の両脇の下方から保持部材の脇受部を挿入して要介護者の両脇を下方から支える。また、要介護者の胸に保持部材の胴体受部を接触させる。更に、要介護者の膝を、基台の下腿当て部に接触させる。このようにしたときには、要介護者の姿勢は、図2に示すのとほぼ同様な姿勢になる。つまり、支持基底面と人間の重心G(重心線GL)とがずれている腰掛け姿勢になる。
(4) 上記(3)の状態になったら、昇降部の昇降駆動部により昇降部材を上昇させつつ、揺動部の揺動駆動部により揺動アーム部材を前方に揺動(回動)させていく。このような動作により、要介護者は、図2に示すのとほぼ同様な姿勢から、上方に引き上げられつつ前方に移動していき、しだいに腰掛け姿勢から立位姿勢になっていく。このようにして腰掛け姿勢から立位姿勢に変化していく際には、要介護者の膝が下腿当て部に強く当たり、この膝の角度(上腿と下腿との角度)が開いて行くような状態で、腰掛け姿勢から立位姿勢に変化していく。つまり、要介護者の膝に大きな反力が作用した状態で膝の角度が開いていき、要介護者は上方に引き上げられつつ前方に移動していって、腰掛け姿勢から立位姿勢に変化していく。要介護者が立位姿勢になったら、昇降部材の上昇及び揺動アーム部材の揺動(回動)を停止する。
(5) 移乗機の基台の足載置台の上に要介護者を立たせて乗せたまま、移乗機を、例えば、トイレまで移動させていく。
(6) 要介護者を乗せた移乗機をトイレの隣に移動する。
(7) 上記(4)の動作とほぼ逆の動作をして、要介護者を便器に座らせる。
なお、特許文献1の技術では、駆動部を用いて要介護者を引き上げているが、テコの原理などを利用して、人力により要介護者を引き上げて腰掛け姿勢から立位姿勢にしている技術もある。しかし、そのような人力を用いた技術であっても、要介護者は、図2に示すのとほぼ同様な腰掛け姿勢から、上方に引き上げられつつ前方に移動していき、しだいに腰掛け姿勢から立位姿勢になっていく。
特開2021−10833号公報 特開2004−223151号公報 特開2014−14573号公報
ところで、人力で移乗動作させる場合には、介護者に身体的・肉体的な大きな負担が掛かり、腰痛などを引き起こすことが多くあった。また、要介護者にも、身体的・肉体的な負担が掛かり、苦痛を伴うことがあった。一方、このような負担を軽減するため、そして介護者が不足していることも相俟って、例えば、要介護者にオムツをやむなく使用してでも、トイレ業務(介護者が要介護者を介護しつつトイレに連れていく等の業務)の回数を減らすことが行われることもある。要介護者としては、排泄はトイレで行ないたいという思いがあるにもかかわらず、オムツを使用すると、人間としての尊厳を保持できないという、精神的な苦悩も味わってしまう。
モータなどを含む動力機構(駆動部)を備えた移乗機を利用して移乗動作を行う場合には、移乗機が大型化してしまい、狭い場所での使用ができないという問題がある。また、高価格になるという問題もある。また、要介護者の身体に残存能力があるにもかかわらず、機械力により要介護者を立ち上がらせるため、要介護者の身体能力を発揮する機会が減り、要介護者の身体機能の維持や自立心の保持ができなくなる恐れがある。
更に前述したように、動力機構(駆動部)を備えた移乗機においては、図2に示すのとほぼ同様な腰掛け姿勢(支持基底面と人間の重心G(重心線GL)とがずれた腰掛け姿勢)から立位姿勢にしていくため、換言すると、立ち上がるのに不利な腰掛け姿勢から立位姿勢にしていくため、大きな駆動力が必要であり、また、要介護者にも肉体的に大きな負担が掛かる。特に、図2に示すのとほぼ同様な腰掛け姿勢から立ち上げ動作をする初期状態では、支持基底面と人間(要介護者)の重心G(重心線GL)とが大きくずれているため、要介護者に大きな機械的な力が作用してしまい、要介護者の膝や脇などに大きな肉体的な負担が掛かり苦痛になることもある。
本考案は、上述した従来の問題に鑑み、身体機能としてある程度の残存能力を有している要介護者が、移乗の際に、腰掛け姿勢から自力で立ち上がることができるように補助すると共に、立位姿勢から自力で座り動作ができるよるに補助する、移乗機を提供するものである。
しかも、要介護者の腰掛け姿勢を、立ち上がるのに理想的な図3に示す姿勢にしてから、要介護者を立ち上がらせることができる、移乗機を提供するものである。
なお、要介護者といっても、その身体機能の状態や、障害の程度は様々である。本考案の移乗機を利用することができる要介護者としては、例えば、次のような動作をゆっくりであってでも行うことができる身体機能を有している人、または、介護者から簡単な支援を受けることにより行動できる人を対象としている。
(a) 肘、膝及び股関節の曲げ伸ばし動作ができる。
(b) 足底を床面に着けることができる。
(c) 例えば、ベッドの端に腰掛けつつ足を床に下ろした腰掛け姿勢になっているときに、自分の脚力だけでは立ち上がることはできないが、ある程度の補助があれば立ち上がることができる。
(d) 上記(c)の腰掛け姿勢や、椅子などに腰掛けた腰掛け姿勢等において、上半身を前傾させることができる。
(e) 手指の開閉動作ができ、手により棒などを把持したり、手指を曲げて板の端に手指を掛けたりすることができる。
(f) 上記(e)のように、手により棒を把持したり、手指を曲げて板の端に手指を掛けたりしているときに、上半身を前傾しつつ腕の力により肘を曲げていくことにより、自分の上半身を棒や板の方に向かって引き寄せることができる。
(g) 立ち上がって立位になったときに、ある程度、立位姿勢を保持できる。
上記課題を解決する本考案に係る移乗機は、キャスターと、人間の足裏を載せることができる足置板とを有するベース部と、
足裏を足置板の上に載せつつ腰掛け姿勢になっている人間が腕を前方に伸ばした際に、前腕を板上面に載せることができ且つ手指を板前縁に掛けることができる位置に配置された上板と、
下端部がベース部に固定されて上方に立ち上がっている一対の操作支柱と、
足裏を足置板の上に載せつつ腰掛け姿勢や立位姿勢になる人間の胸部に接触して胸部を保持する胸当と、胸当を昇降回動移動させる昇降回動機構とを備えた持上げ機構と、を備えており、
上板は、後方から前方に向かうに従い次第に高さが低くなるように傾斜しており、
昇降回動機構は、人間の胸部から胸当に対して前上方に向かう力が付与されると当該付与力により胸当を前方に移動させつつ上方に上昇させ、人間の胸部から胸当に対して後下方に向かう力が付与されると当該付与力により胸当を後方に移動させつつ下方に下降させる構造を有する。
また、本考案に係る移乗機において、昇降回動機構は、
ベース部の上方位置において高さ位置が調整可能に取り付けられた固定棒と、
固定棒に固定されて前後方向に延びるローラレールと、
ローラレールに固定されて上下方向に延びるスライドレールと、このスライドレールに係合しつつ上下方向にスライド移動するスライダーとを有するスライド機構と、
スライダーに連結されていると共に、軸受を備えている昇降板と、
上端側には胸当が取り付けられていると共に、下端側にはローラレールに沿い回転移動するローラが取り付けられ、上端側と下端側の間の位置が軸受により回転自在に支持されて前後方向に沿い回動するアームと、を備えていることを特徴とする。
また、本考案に係る移乗機は、上板の板前縁の両側位置において上方に立ち上がっており、人間の手で把持することができる握り棒を更に備えている。
また、本考案に係る移乗機は、ベース部に配置されており、足置板の上に載せられた人間の足の指先が当接することにより、足置板の上に載せられた人間の足の位置を規定する足位置規定板を更に備えている。
本考案に係る移乗機によれば、要介護者は、移乗動作の際に自身の残存能力を発揮して、できる限り自力でスムーズに起立や着座ができる。これにより、介護者の介護負担も大幅に軽減できる。
支持規定面を説明するための説明図。 人間がベッドの端に腰掛けた腰掛け姿勢の一例を示す説明図。 人間がベッドの端に腰掛けた腰掛け姿勢の一例を示す説明図。 介護者が要介護者をベッドから車椅子に移乗させる介護動作を示す説明図。 介護者が要介護者をベッドから車椅子に移乗させる介護動作を示す説明図。 本考案の実施形態に係る移乗機を示す斜視図。 本考案の実施形態に係る移乗機を示す側面図。 本考案の実施形態に係る移乗機を示す背面図。 本考案の実施形態に係る移乗機を示す側面図。 本考案の実施形態に係る移乗機を示す背面図。 本考案の実施形態に係る移乗機に組み込んでいるベース部のフレーム構造を示す平面図。 本考案の実施形態に係る移乗機に組み込んでいる持上げ機構を示す背面図。 本考案の実施形態に係る移乗機に組み込んでいる持上げ機構を示す側面図。 本考案の実施形態に係る移乗機に組み込んでいる持上げ機構を示す側面図。 本考案の実施形態に係る移乗機に組み込んでいる持上げ機構のローラレールを示す端面図。 図13のA−A断面を示す断面図。 本考案の実施形態に係る移乗機の使用動作状態を示す説明図。 本考案の実施形態に係る移乗機の使用動作状態を示す説明図。 本考案の実施形態に係る移乗機の使用動作状態を示す説明図。 本考案の実施形態に係る移乗機の使用動作状態を示す説明図。
以下、本考案の実施形態に係る移乗機を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書では、図17〜図20に示される要介護者Nを基準にして、図6に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向を定める。また、図7〜図10においては、理解を容易にするため、構成の一部を破断ないし省略している。
[全体構成]
まず、本考案に係る移乗機1の全体構成を、図6を参照して概略的に説明する。なお、各部の詳細については、図6〜図16を参照して各部ごとに後述する。
移乗機1は、ベース部10と、上板20と、一対の操作支柱30R,30Lと、持上げ機構40等を備えている。
ベース部10は、要介護者N等の人間を載せて、床面上を走行するものである。上板20は、ベース部10の上方位置に配置されている。この上板20は、後方から前方に向かうに従い次第に高さが低くなるように傾斜している。一対の操作支柱30R,30Lは、その下端部がベース部10に固定されて上方に立ち上がっている。
持上げ機構40は、胸当41と、この胸当41を昇降回動移動させる昇降回動機構400を備えている。この昇降回動機構400は、図7に示すように後方位置に下降した状態になっている胸当41に対して、前上方に向かう力が付与されると、この付与力を利用して、胸当41を前方に移動させつつ上方に上昇させる構造となっている。また、昇降回動機構400は、図9に示すように前方位置に上昇した状態になっている胸当41に対して、後下方に向かう力が付与されると、この付与力を利用して、胸当41を後ろに移動させつつ下方に下降させる構造になっている。
[ベース部の構造]
ベース部10は、図11に示すような、ほぼH型のフレーム構造10Fを有している。このフレーム構造10Fは、中空の四角パイプ棒である、右縦材11R、左縦材11L及び横材11Sを連結して構成されている。つまり、横材11Sの右端が右縦材11Rの前後方向のほぼ中央位置に溶接され、横材11Sの左端が左縦材11Lの前後方向のほぼ中央位置に溶接されている。しかも、右縦材11Rと左縦材11Lとの間隔は、後側から前側に向かうに従い次第に広がる形状に形成されている。
なお、本実施形態のフレーム構造10Fでは、図11に示すように、右縦材11Rと左縦材11Lとの間隔が、後側から前側に向かうに従い次第に広がる構造になっているが、フレーム構造10Fとして、右縦材11Rと左縦材11Lとが平行で、右縦材11Rと左縦材11Lとの間隔が、後側から前側の全ての位置において等しくなるような構造を採用してもよい。
図6〜図10に示すように、右縦材11Rの前端部及び後端部、並びに、左縦材11Lの前端部及び後ろ端部には、それぞれ旋回キャスター12が取り付けられている。フレーム構造10Fのうち、横材11Sよりも後ろ側位置には、足置板13が配置されている。この足置板13は、右縦材11R及び左縦材11Lに固定設置されている。この足置板13の前縁位置と横材11Sの配置位置との間に、左右方向に延びる足位置規定板14が配置されている。
[操作支柱の構造]
操作支柱30Rの下端は、右縦材11Rのうち横材11Sが溶接されている位置よりも前側の位置において、右縦材11Rに溶接されている(図11参照)。操作支柱30Lの下端は、左縦材11Lのうち横材11Sが溶接されている位置よりも前側の位置において、左縦材11Lに溶接されている(図11参照)。操作支柱30R,30Lの上端部は、操作ハンドル31R,31Lになっている。操作支柱30R,30Lは、連結棒32を介して連結されている。すなわち、連結棒32の右端が、操作支柱30Rの上下方向のほぼ中央位置に溶接され、連結棒32の左端が、操作支柱30Lの上下方向のほぼ中央位置に溶接されている(図8,図10参照)。
[上板の構造]
上板20は、一対の板支持棒21R,21Lにより、板下面20b側から支持されている。つまり板支持棒21R,21Lは左右方向に離間して配置されており、その下端が、連結棒32に溶接され、その上端が、傾斜している上板20の下側の傾斜面である板下面20bに接続されている(図8,図10参照)。板支持棒21R,21Lの上端と、上板20の板下面20bとの接続手法は各種の手法を採用することができる。本実施形態では、板下面20bに金属板(図示省略)を固着し、この金属板と板支持棒21R,21Lの上端とを溶接する接続手法を採用している。もちろん、他の接続手法を採用しても良い。
上板20は、本実施形態では、木製の板材により形成している。上板20は、ほぼ四角板形状ではあるが、持上げ機構40が配置される位置には、矩形状の切込み部20dが形成されている。また、前述したように、上板20は、後方から前方に向かうに従い次第に高さが低くなるように傾斜している。この傾斜角度は、本実施形態では5°にしているが、この傾斜角度は、3°〜10°のうちの任意の角度にしてもよい。
上板20の配置位置は、前述したように、ベース部10の上方位置であるが、より詳細に説明すると、次の通りである。即ち、図17及び図18に示すように、要介護者NがベッドBの端に腰掛けつつ足を下方に下ろしてベース部10の足載板13の上に足裏を載せた腰掛け姿勢になっているときに、要介護者Nが腕を前方に伸ばした際に、前腕を上板20の板上面20aに載せることができ、且つ、手指を上板20の板前縁20cに掛けることができる位置に、上板20が配置されている。また、上板20の高さとベッドBの高さの寸法差である差尺は、日本人の平均的な体格と、ベッドBの平均的な高さを考慮して決めている。
上板20の板前縁20c側には、門型の把持部50が配置されている。把持部50は、例えば中空の丸パイプ棒を曲げ加工して形成したものである。この把持部50は、板前縁20cの両側位置に配置されてそれぞれ上方に立ち上がった握り棒50R,50Lと、握り棒50R,50Lの上端をつなぐ掴まり棒50Sを有している(図7〜図10参照)。握り棒50R,50Lの下端は、ボルト・ナット部材(図示省略)などにより、上板20に固定されている。
[持上げ機構の構造]
持上げ機構40は、取付棒60の上部に着脱自在に取り付けられている(図6〜図10参照)。取付棒60は中空の四角パイプ棒であり、その下端は、ベース部10の横材11Sの左右方向中央位置に溶接されている(図11参照)。
ここで、図12〜図16を参照して、持上げ機構40の構成について、より詳細に説明する。なお、図12〜図14は、持上げ機構40を取付棒60から取り外した状態で示している。
持上げ機構40の固定棒401(図13、図14)は、中空の四角パイプ棒であり、その下端部が、取付棒60(図6〜図10参照)の上端部の内部に挿入された状態で、取付棒60に取り付けられている。しかも、固定棒401の上下方向の複数箇所にはピン穴(図示省略)が形成されており、取付棒60の上端部にも1つのピン穴(図示省略が)形成されている。固定棒401の任意のピン穴と取付棒60のピン穴にピンを通すことにより、固定棒401を取付棒60に取り付けている。そして、固定棒401の複数のピン穴のうちピンを通すものを異ならせることで、固定棒401の高さ位置、ひいては、持上げ機構40の高さ位置が調整可能になっている。
固定棒401の上端には、前後方向に延びるローラレール402が固定されている。ローラレール402は、図15に示すように、その端面形状は凹型になっている。このローラレール402の後端には、スライド機構403のスライドレール403aが固定されている。スライドレール403aは上下方向に延びている。スライド機構403のスライダー403bはスライドレール403aに係合しつつ上下方向にスムーズにスライド移動することができる。スライド機構403としては、例えば市販されている「ベアリングタイプのリニアレール」等を採用することができる。
昇降板404は、昇降棒405を介して、昇降機構403のスライダー403bに連結されている。即ち、昇降棒405の上端が昇降板404の下面に接続され、昇降棒405の下端部が昇降機構403のスライダー403bに固定されている。このため、昇降板404は、スライダー403b及び昇降棒405と共に、固定棒401、ローラレール402及びスライド機構403のスライドレール403aに対して、昇降移動することができる。つまり、昇降板404、スライダー403b及び昇降棒405は、ベース部10に対して昇降移動することができる。更に、昇降板404の上面には軸受406が備えられている。
アーム407は、上アーム407aと、中間アーム407bと、下アーム407cを接続することにより構成されている。即ち、上アーム407aの下端部と中間アーム407bの前端部とが接続され、上アーム407aと中間アーム407bは直交する状態で接続されている。また、中間アーム407bの長手方向のほぼ中間位置に下アーム407cの上端部が接続されている。更に、下アーム407cの下端側にはローラ408が取り付けられている。ローラ408は、ローラレール402の上面において回転してローラレール402に沿い移動することができる。
アーム407の中間アーム407bは、その後端部が、軸受406により回動自在に支持されている。これにより、アーム407は、前後方向に沿い回動することができる。
アーム407の上アーム407aの上端側には、胸当41が取り付けられている。胸当41は、図17〜図20に示すように、腰掛け姿勢や立位姿勢になっている要介護者Nの胸部に接触して胸部を保持するものである。胸当41は、クッション材などを内蔵しておりクッション性を有しているため、要介護者Nの胸部が、胸当41に対して、押しつけられた状態で接触しても、要介護者Nは不快感を受けることはない。また、胸当41の形状は、要介護者Nの胸部を安定して保持できるように、胸部側の面が、胸部の形状に沿った湾曲面形状になっている。このように、胸当41がクッション性を有すると共に、胸部の形状に沿った湾曲面を有しているため、要介護者Nの胸部が、胸当41に押しつけられた状態で接触すると、要介護者Nの胸部ひいては上半身は、胸当41により安定して確実に保持される。
昇降板404の上面にはアームガイド409が備えられている。アームガイド409は、アーム407の左右に配置されたほぼ三角形状の板材を有している。このアームガイド409には、アームストッパ410とアームロック411が備えられている。アーム407が後側に回動していき中間アーム407bがアームストッパ410に当接することで、アーム407の後側への回動がストップされる(図14参照)。また、アーム407が前側に回動していき上アーム407aが鉛直状態になると、アームロック411が、上アーム407aと中間アーム407bとでなす角空間に入りこみ、アーム407の回動が停止(ロック)される(図12、図13参照)。上アーム407aが鉛直状態になっているときに、アームロック411を横方向に引き出してロック解除状態にすることにより、アーム407を後側に向かって回動することが可能になる。なお、アームロック407としては、ドアノブに内蔵されているラッチ部材などを採用することができる。
なお、上板20の板前縁20cや、把持部50の握り棒50R,50Lの周面及び掴まり棒50Sの周面に、柔らかいゴム材を取り付けるようにしてもよい。後述するように、上板20の板前縁20cには要介護者Nの手指が掛けられ、把持部50の握り棒50R,50Lの周面及び掴まり棒50Sの周面は、要介護者Nの手で把持されるため、このような部分にゴム材を取り付けることにより、要介護者Nの指や手を優しく保護することができる。
[持上げ機構の動作状態]
図7、図8及び図14に示すように、上アーム407aが横向きになり胸当41が下方位置にあるときに、胸当41に対して前上方に向かう力FU(図7)が付与されると、アーム407は、軸受406を回動中心として、図7及び図14の図示状態において、反時計回り方向に回動していく。このようにアーム407が、図7及び図14の図示状態において反時計回り方向に回動していくと、ローラ408はローラレール402に沿い回転して、ローラレール402の前側から後側に向かって移動していく。このようにローラ408がローラレール402の前側から後側に移動すると、固定部材(固定棒401、ローラレール402及びスライド機構403のスライドレール403a)に対して、昇降部材(スライド機構403のスライダー403b、昇降板404、昇降棒405、軸受406及びアーム407等)が、上方に移動して行く。このような昇降部材の上方移動と、アーム407の回動とが共働して、胸当41は前方に移動しつつ上方に上昇していく。
図9、図10、図12及び図13に示すように、上アーム407aが鉛直になり胸当41が上方位置にあるときに、アームロック411をロック解除状態にして、胸当41に対して後下方に向かう力BD(図9)が付与されると、アーム407は、軸受406を回動中心として、図9及び図13の図示状態において、時計回り方向に回動していく。このようにアーム407が、図9及び図13の図示状態において時計回り方向に回動していくと、ローラ408はローラレール402に沿い回転して、ローラレール402の後側から前側に向かって移動していく。このようにローラ408がローラレール402の後側から前側に移動すると、固定部材(固定棒401、ローラレール402及びスライド機構403のスライドレール403a)に向かって、昇降部材(スライド機構403のスライダー403b、昇降板404、昇降棒405、軸受406及びアーム407等)が、下方に移動して行く。このような昇降部材の下方移動と、アーム407の回動とが共働して、胸当41は後方に移動しつつ下方に下降していく。
なお、昇降部材が下方に移動していく際に、ローラ408は、ローラレール402の後側から前側に向かって移動していくが、本実施形態では、ローラ408がローラレール402の前端に達した後においても、昇降部材が下方に移動していく。このため、昇降部材の昇降板404の下面がスライドレール403aの上端に当接して昇降部材の下方移動が止まった状態では、図7に示すように、ローラ408はローラレール402の前端から上方に浮かんだ状態に位置する。
[使用動作の説明]
次に、図17〜図20を参照して、要介護者Nが、移乗機1を利用することにより、ベッドBの端に腰掛けている状態から自力で起立(立ち上がり動作)する動作手順を説明する。なお、図17〜図20では、要介護者Nを二点鎖線で示している。
図17に示すように、介護者により、移乗機1の後側がベッドB側になる状態にして、移乗機1をベッドBの横に設置する。また、上アーム407aを横向きにして胸当41を下方位置にセットする。
図17に示すように、要介護者Nは、ベッドBの端に腰掛けつつ足を下方に下ろし足裏を足置板13に載せる。また要介護者Nは、足指の先端が足位置規定板14に接するように足の位置を調整する。このように足指先が足位置規定板14に接した状態で足裏を足置板13に載せた状態にすることにより、使用動作時における支持規定面が適切に設定される。更に、要介護者Nが上半身をやや前傾させることにより、要介護者Nの胸部が胸当41に接触し、胸部が胸当41で保持される。
図18に示すように、要介護者Nは腕を前方に伸ばして前腕を上板20の板上面20aに載せ、手指を曲げて手指を板前縁20cに掛ける。この状態から要介護者Nが上半身を前傾させると、支持規定面の上方に要介護者Nの重心が位置する。これにより、図3に示すのと同様な姿勢、即ち、立ち上がる際に要する力が少なくて済む姿勢になる。
要介護者Nが前腕を前方に伸ばした状態で腕の力により上半身を上板20側に引き寄せると同時に、頭部を支持規定面よりも前方に出すようにする。そうすると、図19に示すように、極めて小さい力だけで自然に要介護者Nの臀部がベッドBの上面から離れて上方に浮き上がる。このとき、胸当41には要介護者Nの胸から前上方に向かう力が付与されてアーム407が反時計回り方向に回動し、胸当41が前方に移動しつつ上方に上昇する。このため胸が胸当41により保持された要介護者Nの上半身は、前方に移動しつつ上方に上昇する。このとき、要介護者Nの胸部が、胸当41に押しつけられた状態で胸当41に接触するため、要介護者Nの胸部ひいては上半身は、胸当41により安定して確実に保持される。
胸部が胸当41に保持されている要介護者Nが、腕の力により上半身を上板20の板前縁20c側に引き寄せつつ、下肢の力により膝を伸ばすようにすると、肘を回転中心として上腕や肩が前側に進み、これに伴いアーム407が更に反時計回り方向に回動し、胸当41が更に前方に移動しつつ上方に上昇する。これにより、要介護者Nの上半身も更に前方に移動しつつ上方に上昇する。このようにして、図20に示すように、要介護者Nは、上半身が前傾しつつ、ベース部10の足置板13の上に立った立位姿勢になる。図20に示すように、要介護者Nが、上半身を前傾しつつ足置板13の上に立った立位姿勢になったときにおいても、要介護者Nの胸部が、胸当41に押しつけられた状態で胸当41に接触するため、要介護者Nの胸部ひいては上半身は、胸当41により安定して確実に保持される。この結果、図20に示すように、上半身を前傾しつつ足置板13の上に立った要介護者Nの立位姿勢は、安定して確実に保持される。
このように前傾しつつ立位姿勢になった要介護者Nは、把持部50の掴まり棒50Sを手で把持したり、前傾した上半身を鉛直状態に伸ばしたりしてもよい。
要介護者Nが足置板13の上で立位姿勢になったら、介護者は操作支柱30R,30Lの操作ハンドル31R,31Lを握り、要介護者Nが載った移乗機1を押していき必要な場所に移動させることができる
上記の例では、図18〜図20に示すように、要介護者Nは手指を板前縁20cに掛けているが、その代わりに、手で把持部50の握り棒50R,50Lを掴むようにしてもよい。また、図19に示すように要介護者Nが臀部を浮かせる際や、図20に示すように要介護者Nが立ち上がり姿勢になる際に、介護者が要介護者Nの臀部や背面を軽く持ち上げて、要介護者Nの動作を補助してもよい。
要介護者Nが載った移乗機1が、例えばトイレの便座の前にまで搬送され、移乗機1からトイレの便座に着座(座り動作)するには、上述した起立動作とほぼ逆の動作をすることにより、要介護者Nが自力で着座動作することができる。即ち、図17〜図20においてベッドBの代わりに便座がある状態において、要介護者が、図20に示す立位姿勢から、図19に示す途中姿勢をした後、図18に示す腰掛け姿勢を経て、図17に示す腰掛け姿勢になることができる。この着座動作の際にも、介護者が要介護者Nの背面を軽く支えて要介護者の動作を補助しても良い。
なお、移乗機1からトイレの便座に着座させる際には、最初に図20に示すような立位姿勢になっている要介護者Nの下衣を、介護者が取る。前述したように、図20の状態では、要介護者Nの胸ひいては上半身は胸当41により安定して確実に保持され、要介護者Nの立位姿勢は安定して確実に保持されている。このため、移乗機1を押して移動させてきた介護者が、移乗機1から離れて、介護者Nの下衣を取ることができる。
ちなみに、従来では、段落[0013]の「(2)」の項目に記載したように、第1の介護者が要介護者Nの脇の下を抱えて要介護者を立位姿勢にして、第2の介護者が介護者の下衣を取ることが必要になることもあった。つまり従来では二人の介護者が必要になることもあった。これに対して、本考案の移乗機1を用いた場合には、一人の介護者により、介護者の下衣を取ることができ、必要な要介護者の員数を削減することができる。
また排泄が終わった要介護者Nは、図17に示す腰掛け姿勢から図18及び図19に示す姿勢を経て、図20に示すような立位姿勢に戻る。このように、図20に示すような立位姿勢になっている要介護者Nに対して、介護者が排泄後処置(下半身清拭など)を行ない、下衣を着ける。
ちなみに、従来では、段落[0013]の「(5)」の項目に記載したように、第1の介護者が要介護者Nを抱いて要介護者を立位姿勢にして、第2の介護者が介護者の排泄後処置(下半身清拭など)を行ない、下衣を着けていた。つまり従来では排泄後の作業において二人の介護者が必要になっていた。これに対して、本考案の移乗機1を用いた場合には、排泄後の作業においても、一人の介護者により、介護者の排泄後処置(下半身清拭など)を行ない、下衣を着けることができ、必要な要介護者の員数を削減することができる。
上述したように移乗機1を使用することにより、要介護者Nは自身の残存能力を発揮して起立や着座ができるようになり、自身の身体機能を維持することができる。しかも、要介護者Nが起立や着座をする動作は、要介護者Nに対して過剰な肉体的負荷を与えることなくスムーズに行うことができる。
また、要介護者Nが自力で起立や着座をすることができるため、介護者が要介護者Nを抱きかかえる必要がなくなり、介護者が腰痛になることを回避できる。このように介護負担が大幅に軽減することにより、「過酷な介護現場」という状況を解消する一助になり、より多くの人が介護の仕事に就くことを促進して、介護現場の人材不足を解消することができる。
なお、移乗機1のベース部10の前側に板を張り、この前側の板の上に、介護に必要な各種の品を載せることも可能である。例えば、要介護者Nのための着替え衣類や、ティッシュ等を載せて、要介護者Nと共に移動させていくことができる。
[収納時の説明]
複数の移乗機1を収納する際には、次のようにすれば、収納面積を小さくすることができる。図11に示すように、右縦材11Rと左縦材11Lとの間隔が、後側から前側に向かうに従い次第に広がる構造にしている場合には、移乗機1のベース部10の左右幅は、後側が狭く前側は広くなっている。このような構造を採用している場合には、この前後での左右幅の差を利用して、例えば、1台目の移乗機1の前側に、2台目の移乗機1の後側を挿入して、1台目の前側に2台目の後側を嵌入し、2台目の移乗機の前側に、3台目の移乗機の後側を挿入して、2台目の前側に3台目の後側を嵌入することにより、収納面積を小さくすることができる。
1 移乗機
10 ベース部
10F フレーム構造
11R 右縦材
11L 左縦材
11S 横材
12 旋回キャスター
13 足置板
14 足位置規定板
20 上板
20a 板上面
20b 板下面
20c 板前縁
20d 切込み部
21R,21L 板支持棒
30R,30L 操作支柱
31R,31L 操作ハンドル
32 連結棒
40 持上げ機構
41 胸当
400 昇降回動機構
401 固定棒
402 ローラレール
403 スライド機構
403a スライドレール
403b スライダー
404 昇降板
405 昇降棒
406 軸受
407 アーム
407a 上アーム
407b 中間アーム
407c 下アーム
408 ローラ
409 アームガイド
410 アームストッパ
411 アームロック
50 把持部
50R,50L 握り棒
50S 掴まり棒
60 取付棒

Claims (4)

  1. キャスターと、人間の足裏を載せることができる足置板とを有するベース部と、
    足裏を前記足置板の上に載せつつ腰掛け姿勢になっている人間が腕を前方に伸ばした際に、前腕を板上面に載せることができ且つ手指を板前縁に掛けることができる位置に配置された上板と、
    下端部が前記ベース部に固定されて上方に立ち上がっている一対の操作支柱と、
    足裏を前記足置板の上に載せつつ腰掛け姿勢や立位姿勢になる人間の胸部に接触して前記胸部を保持する胸当と、前記胸当を昇降回動移動させる昇降回動機構とを備えた持上げ機構と、を備えており、
    前記上板は、後方から前方に向かうに従い次第に高さが低くなるように傾斜しており、
    前記昇降回動機構は、人間の胸部から前記胸当に対して前上方に向かう力が付与されると当該付与力により前記胸当を前方に移動させつつ上方に上昇させ、人間の胸部から前記胸当に対して後下方に向かう力が付与されると当該付与力により前記胸当を後方に移動させつつ下方に下降させる構造を有する
    移乗機。
  2. 前記昇降回動機構は、
    前記ベース部の上方位置において高さ位置が調整可能に取り付けられた固定棒と、
    前記固定棒に固定されて前後方向に延びるローラレールと、
    前記ローラレールに固定されて上下方向に延びるスライドレールと、このスライドレールに係合しつつ上下方向にスライド移動するスライダーとを有するスライド機構と、
    前記スライダーに連結されていると共に、軸受を備えている昇降板と、
    上端側には前記胸当が取り付けられていると共に、下端側には前記ローラレールに沿い回転移動するローラが取り付けられ、上端側と下端側の間の位置が前記軸受により回転自在に支持されて前後方向に沿い回動するアームと、
    を備えていることを特徴とする請求項1の移乗機。
  3. 前記移乗機は、
    前記上板の板前縁の両側位置において上方に立ち上がっており、人間の手で把持することができる握り棒を更に備えている請求項1または請求項2の移乗機。
  4. 前記移乗機は、
    前記ベース部に配置されており、前記足置板の上に載せられた人間の足の指先が当接することにより、前記足置板の上に載せられた人間の足の位置を規定する足位置規定板を更に備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項の移乗機。
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