JP3235163B2 - 液晶表示素子及び液晶表示素子を備えた液晶プロジェクター - Google Patents
液晶表示素子及び液晶表示素子を備えた液晶プロジェクターInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子及び液晶表
示素子を備えた液晶プロジェクターに関する。
示素子を備えた液晶プロジェクターに関する。
【0002】
【従来の技術】高分子・液晶複合膜(以下PDLCと呼
ぶ)は、高分子樹脂の3次元網目構造の中に低分子液晶
を保持した特殊な膜である。PDLCは電圧印加の有無
に伴って光散乱状態(電圧無印加)と光透過状態(電圧
印加)の2つの状態をとるため、この光透過率の変化を
利用した調光ガラスやディスプレイの実用化が検討され
ている。また、PDLCと高輝度光源を用いて大画面投
影が可能な液晶プロジェクターの開発が進められてい
る。
ぶ)は、高分子樹脂の3次元網目構造の中に低分子液晶
を保持した特殊な膜である。PDLCは電圧印加の有無
に伴って光散乱状態(電圧無印加)と光透過状態(電圧
印加)の2つの状態をとるため、この光透過率の変化を
利用した調光ガラスやディスプレイの実用化が検討され
ている。また、PDLCと高輝度光源を用いて大画面投
影が可能な液晶プロジェクターの開発が進められてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光散乱はPDLC中の
高分子樹脂と分散液晶間における屈折率の不一致によっ
て生じる。しかし、散乱光の分布は基板に垂直な方向に
強い指向性を有する状態(つまり、光の入射側からみて
前方散乱が非常に強い)をとるため、光遮断状態に相当
する電圧無印加状態においてもかなり多くの光が液晶表
示素子を透過する。従って、このPDLCを利用した液
晶表示素子では表示画像のコントラスト比が低いという
問題点があった。
高分子樹脂と分散液晶間における屈折率の不一致によっ
て生じる。しかし、散乱光の分布は基板に垂直な方向に
強い指向性を有する状態(つまり、光の入射側からみて
前方散乱が非常に強い)をとるため、光遮断状態に相当
する電圧無印加状態においてもかなり多くの光が液晶表
示素子を透過する。従って、このPDLCを利用した液
晶表示素子では表示画像のコントラスト比が低いという
問題点があった。
【0004】そこで、本発明は以上のような問題点を解
決するもので、その目的とするところは、光遮断状態に
おける光散乱能を向上させコントラスト比の高い液晶表
示素子を提供することにある。
決するもので、その目的とするところは、光遮断状態に
おける光散乱能を向上させコントラスト比の高い液晶表
示素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の液晶表示素子は、一対の基板と、前記一対
の基板間に配置された高分子・液晶複合層と、を有する
液晶表示素子において、前記一対の基板のうち、第1の
基板は光入射側に配置され、第2の基板は光出射側に配
置され、前記第1の基板と前記高分子・液晶複合層との
間には、凹凸パターンからなる回折格子が形成され、前
記回折格子の凹パターン部分には、前記高分子・液晶複
合層とは別に、外部からの電圧印加に応じて屈折率変化
を生ずる電気光学物質層が形成されてなることを特徴と
する。
に、本発明の液晶表示素子は、一対の基板と、前記一対
の基板間に配置された高分子・液晶複合層と、を有する
液晶表示素子において、前記一対の基板のうち、第1の
基板は光入射側に配置され、第2の基板は光出射側に配
置され、前記第1の基板と前記高分子・液晶複合層との
間には、凹凸パターンからなる回折格子が形成され、前
記回折格子の凹パターン部分には、前記高分子・液晶複
合層とは別に、外部からの電圧印加に応じて屈折率変化
を生ずる電気光学物質層が形成されてなることを特徴と
する。
【0006】また、本発明の液晶表示素子は、上記の液
晶表示素子において、前記第1の基板と前記高分子・液
晶複合層との間に、第3の基板が設けられてなることを
特徴とする。
晶表示素子において、前記第1の基板と前記高分子・液
晶複合層との間に、第3の基板が設けられてなることを
特徴とする。
【0007】また、本発明の液晶表示素子は、光源と、
上記いずれかの液晶表示素子と、投写レンズとを有する
ことを特徴とする。
上記いずれかの液晶表示素子と、投写レンズとを有する
ことを特徴とする。
【0008】
【作用】先ず、回折格子の機能に付いて概説する。回折
格子の一例として、形態変調型の回折格子の断面構造を
図5に示す。光学的に透明且つ均質な物質からなる矩形
状の構造体53が、透明な平板52上に形成されている。こ
の構造体の存在により、通過する光に位相差が発生し光
は回折する。つまり、回折格子では、光の回折現象を利
用して回折格子を通過する光の向きを変えることが可能
であり、そのためには、局部的に光路長が異なる領域
(ここでは凹凸部分)を形成する必要がある。
格子の一例として、形態変調型の回折格子の断面構造を
図5に示す。光学的に透明且つ均質な物質からなる矩形
状の構造体53が、透明な平板52上に形成されている。こ
の構造体の存在により、通過する光に位相差が発生し光
は回折する。つまり、回折格子では、光の回折現象を利
用して回折格子を通過する光の向きを変えることが可能
であり、そのためには、局部的に光路長が異なる領域
(ここでは凹凸部分)を形成する必要がある。
【0009】矩形状の構造体は光学的に透明且つ均質な
物質で形成されていることと述べたが、光の入射する方
向に沿って透明且つ均質であればよく、例えば、高分子
液晶の様に光学的には等方体でなくても、配向のさせ方
によっては(光の入射する方向に沿って配向させること
により、その方向では等方体と見なせるため)十分使用
可能である。
物質で形成されていることと述べたが、光の入射する方
向に沿って透明且つ均質であればよく、例えば、高分子
液晶の様に光学的には等方体でなくても、配向のさせ方
によっては(光の入射する方向に沿って配向させること
により、その方向では等方体と見なせるため)十分使用
可能である。
【0010】ここで、回折格子としては形態変調型のも
のを例として示したが、同じ形態変調型と分類される中
にも、構造体の形状の違いから、ブレーズ型、半円型、
サインカーブ型等の多種の形態変調型回折格子が存在
し、更に、形態変調型以外では、周期的な透過率分布が
形成されて成る振幅変調型、同様に屈折率分布が形成さ
れて成る屈折率変調型等が存在し、その何れもが使用可
能である。但し、回折格子の種類に応じて、後述する隣
接する液晶層の機構及び作用を変更する必要がある。
のを例として示したが、同じ形態変調型と分類される中
にも、構造体の形状の違いから、ブレーズ型、半円型、
サインカーブ型等の多種の形態変調型回折格子が存在
し、更に、形態変調型以外では、周期的な透過率分布が
形成されて成る振幅変調型、同様に屈折率分布が形成さ
れて成る屈折率変調型等が存在し、その何れもが使用可
能である。但し、回折格子の種類に応じて、後述する隣
接する液晶層の機構及び作用を変更する必要がある。
【0011】次に、本発明の液晶表示素子の作用を図3
を用いて説明する。図3は本発明の液晶表示素子の作用
を説明するための断面略図である。第1の電極基板31及
び第3の電極基板32間に回折格子35と液晶層が挟持さ
れ、第3の電極基板32及び第2の電極基板33間にPDL
C34が挟持されている。
を用いて説明する。図3は本発明の液晶表示素子の作用
を説明するための断面略図である。第1の電極基板31及
び第3の電極基板32間に回折格子35と液晶層が挟持さ
れ、第3の電極基板32及び第2の電極基板33間にPDL
C34が挟持されている。
【0012】液晶分子は等方体ではないため、分子の配
向の仕方(列び方)により、見掛けの屈折率が変化す
る。この性質に着目して、回折格子と組み合わして形成
される液晶層は、外部からの電圧印加に応じて液晶分子
の配向の仕方を変化させることにより、回折格子との間
の屈折率差を調節し、回折格子の機能を発現させるか否
か(あるいは発現の程度)を調整するために用いられ
る。従って、本発明では液晶層と明言したが、必ずしも
液晶層である必要はなく、外部からの電圧印加に応じて
屈折率変化を生ずる物質(一般的には、電気光学効果を
発現する物質)等も十分使用可能である。
向の仕方(列び方)により、見掛けの屈折率が変化す
る。この性質に着目して、回折格子と組み合わして形成
される液晶層は、外部からの電圧印加に応じて液晶分子
の配向の仕方を変化させることにより、回折格子との間
の屈折率差を調節し、回折格子の機能を発現させるか否
か(あるいは発現の程度)を調整するために用いられ
る。従って、本発明では液晶層と明言したが、必ずしも
液晶層である必要はなく、外部からの電圧印加に応じて
屈折率変化を生ずる物質(一般的には、電気光学効果を
発現する物質)等も十分使用可能である。
【0013】図3(a)は電圧印加状態を示しており、
この状態では印加された電界方向30に沿って、PDLC
中の液晶分子37は一方向に配列し、PDLCを構成する
高分子樹脂との間で屈折率が等しい状態となることか
ら、PDLCでは光の散乱は生じず透明状態となる。同
様に、回折格子部分にある液晶分子36も一方向に配列
し、回折格子を形成する透明樹脂との間で屈折率が等し
い状態となる。つまり、光学的には回折格子の凹凸形状
が存在しない状態と等価となり、回折格子は回折格子と
しての作用を発揮せず、回折格子に入射した光は何等光
路を曲げられることなく、PDLCへと通過する。従っ
て、液晶表示素子全体では透明状態をとる。次に、図3
(b)は電圧が印加されない状態を示しており、この状
態ではPDLC中の液晶分子37は無秩序な方向に配向し
ているため、PDLCを構成する高分子樹脂との間で屈
折率差を生じ、PDLCでは光の散乱を生じて不透明状
態となる。同様に、回折格子部分においても、液晶分子
36の配列が変化することから、回折格子を形成する透明
樹脂との間で屈折率差を生じ、回折格子を通過する光は
その光路を曲げられる。従って、液晶表示素子全体で
は、まず回折格子により入射した光の光路が曲げられ、
次にPDLCによる散乱作用により不透明状態をとる。
この状態では印加された電界方向30に沿って、PDLC
中の液晶分子37は一方向に配列し、PDLCを構成する
高分子樹脂との間で屈折率が等しい状態となることか
ら、PDLCでは光の散乱は生じず透明状態となる。同
様に、回折格子部分にある液晶分子36も一方向に配列
し、回折格子を形成する透明樹脂との間で屈折率が等し
い状態となる。つまり、光学的には回折格子の凹凸形状
が存在しない状態と等価となり、回折格子は回折格子と
しての作用を発揮せず、回折格子に入射した光は何等光
路を曲げられることなく、PDLCへと通過する。従っ
て、液晶表示素子全体では透明状態をとる。次に、図3
(b)は電圧が印加されない状態を示しており、この状
態ではPDLC中の液晶分子37は無秩序な方向に配向し
ているため、PDLCを構成する高分子樹脂との間で屈
折率差を生じ、PDLCでは光の散乱を生じて不透明状
態となる。同様に、回折格子部分においても、液晶分子
36の配列が変化することから、回折格子を形成する透明
樹脂との間で屈折率差を生じ、回折格子を通過する光は
その光路を曲げられる。従って、液晶表示素子全体で
は、まず回折格子により入射した光の光路が曲げられ、
次にPDLCによる散乱作用により不透明状態をとる。
【0014】回折格子による光路変化とそれによる前方
散乱強度の指向性の変化を図6を用いて概念的に説明す
る。先に、PDLCを用いた(従来の回折格子及び液晶
層を伴っていない)液晶表示素子では、光の散乱状態に
おいても散乱光の分布が強い指向性(入射方向から見て
前方散乱強度が大きいこと)を有することを述べたが、
図6(a)がこの状態を示している。最強散乱光の存在
する方向64は、入射方向の延長方向62であることが分か
る。一方、回折格子(及び液晶層)66により入射光の光
路が曲げられると、図6(b)に示すように、最強散乱
光の存在する方向64は入射方向の延長方向62にはなく、
延長方向とやや角度を成した方向にある。従って、散乱
状態では入射方向から見て前方散乱の強度が減少するこ
とになる。つまり、光遮断状態(電圧無印加状態)にお
ける前方透過光量が減少し、液晶表示素子のコントラス
ト比が向上することになる。また、本発明の液晶表示素
子を用いて投写型の光学系を構成する場合には、回折格
子による光路の変化度合67を集光レンズの集光角以上に
設定すれば、光遮断状態において集光レンズにより集光
される光量は非常に少ないものとなり、画像表示時に良
好なコントラスト比を達成できる。
散乱強度の指向性の変化を図6を用いて概念的に説明す
る。先に、PDLCを用いた(従来の回折格子及び液晶
層を伴っていない)液晶表示素子では、光の散乱状態に
おいても散乱光の分布が強い指向性(入射方向から見て
前方散乱強度が大きいこと)を有することを述べたが、
図6(a)がこの状態を示している。最強散乱光の存在
する方向64は、入射方向の延長方向62であることが分か
る。一方、回折格子(及び液晶層)66により入射光の光
路が曲げられると、図6(b)に示すように、最強散乱
光の存在する方向64は入射方向の延長方向62にはなく、
延長方向とやや角度を成した方向にある。従って、散乱
状態では入射方向から見て前方散乱の強度が減少するこ
とになる。つまり、光遮断状態(電圧無印加状態)にお
ける前方透過光量が減少し、液晶表示素子のコントラス
ト比が向上することになる。また、本発明の液晶表示素
子を用いて投写型の光学系を構成する場合には、回折格
子による光路の変化度合67を集光レンズの集光角以上に
設定すれば、光遮断状態において集光レンズにより集光
される光量は非常に少ないものとなり、画像表示時に良
好なコントラスト比を達成できる。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
る。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0016】(実施例1)本発明の液晶表示素子の断面
図を図1に示す。概略的には、2枚の電極基板31,33
(透明なガラス基板上に透明導電膜が形成されている)
の間に回折格子35と液晶層11及びPDLC34が挟持され
た構造となっている。
図を図1に示す。概略的には、2枚の電極基板31,33
(透明なガラス基板上に透明導電膜が形成されている)
の間に回折格子35と液晶層11及びPDLC34が挟持され
た構造となっている。
【0017】PDLCは正の誘電率異方性を有するネマ
チック液晶とPMMA樹脂により形成されており、電圧
印加により電界方向に液晶分子が配列する特性を有して
いる。
チック液晶とPMMA樹脂により形成されており、電圧
印加により電界方向に液晶分子が配列する特性を有して
いる。
【0018】回折格子は図5に示すように光学的に均質
且つ透明な矩形状の構造体が、電極基板であるガラス基
板上に規則的に配列して成るもので、構造体は屈折率が
1.66であるノボラック系の樹脂で形成されている。
液晶層は正の誘電率異方性を有するネマチック液晶(n
‖=1.66、n⊥=1.50)から成っており、矩形
状の構造体が存在しない、即ち、凹部分にのみ形成され
ている。勿論、矩形状構造体の凹部分に加えて、凸部分
上にも液晶層を形成しても良いが、その場合には、矩形
状構造体の凹部分に対応する位置にのみ、電極を形成す
る必要がある。つまり、この構造では電極をパターニン
グする工程が新たに必要となるため、矩形状構造体の凹
部分にのみ液晶層を形成する構造とした方が、素子の製
法上有利である。
且つ透明な矩形状の構造体が、電極基板であるガラス基
板上に規則的に配列して成るもので、構造体は屈折率が
1.66であるノボラック系の樹脂で形成されている。
液晶層は正の誘電率異方性を有するネマチック液晶(n
‖=1.66、n⊥=1.50)から成っており、矩形
状の構造体が存在しない、即ち、凹部分にのみ形成され
ている。勿論、矩形状構造体の凹部分に加えて、凸部分
上にも液晶層を形成しても良いが、その場合には、矩形
状構造体の凹部分に対応する位置にのみ、電極を形成す
る必要がある。つまり、この構造では電極をパターニン
グする工程が新たに必要となるため、矩形状構造体の凹
部分にのみ液晶層を形成する構造とした方が、素子の製
法上有利である。
【0019】この液晶層において、電圧印加時には液晶
分子はホメオトロピック配向状態を、電圧無印加時には
略ホモジニアス配向状態をとるように、PDLCの液晶
層と接する側の界面及び電極基板(矩形状の構造体が存
在しない部分のみ)は配向処理が施されている。この2
枚の電極基板に交流電圧を印加することにより、PDL
C及び液晶層に同時に電圧印加を行っている。尚、構造
的には、図4に示すように、PDLCと液晶層の間に第
3の電極基板32を配置することも十分可能であり、特
に、PDLCと液晶層で特性(例えば、印加電圧に対す
る透明性等)が異なる場合には、第3の電極基板を用い
た構成の方が有効である。
分子はホメオトロピック配向状態を、電圧無印加時には
略ホモジニアス配向状態をとるように、PDLCの液晶
層と接する側の界面及び電極基板(矩形状の構造体が存
在しない部分のみ)は配向処理が施されている。この2
枚の電極基板に交流電圧を印加することにより、PDL
C及び液晶層に同時に電圧印加を行っている。尚、構造
的には、図4に示すように、PDLCと液晶層の間に第
3の電極基板32を配置することも十分可能であり、特
に、PDLCと液晶層で特性(例えば、印加電圧に対す
る透明性等)が異なる場合には、第3の電極基板を用い
た構成の方が有効である。
【0020】この液晶表示素子において、電圧印加状態
では、液晶層中の液晶分子は図3(a)に示すようにホ
メオトロピック配列を成し、また、PDLC中の分散液
晶も電圧印加方向(電界方向)に沿って配列する。従っ
て、回折格子は回折現象を示さず、回折格子に入射した
光は何等その光路を曲げられることなく直進し、また、
PDLCにおいても何等の散乱作用を受けることなく、
光は直進する。つまり、液晶表示素子に入射した光は、
何等の光路変化を受けることなく、そのまま液晶表示素
子を透過する。
では、液晶層中の液晶分子は図3(a)に示すようにホ
メオトロピック配列を成し、また、PDLC中の分散液
晶も電圧印加方向(電界方向)に沿って配列する。従っ
て、回折格子は回折現象を示さず、回折格子に入射した
光は何等その光路を曲げられることなく直進し、また、
PDLCにおいても何等の散乱作用を受けることなく、
光は直進する。つまり、液晶表示素子に入射した光は、
何等の光路変化を受けることなく、そのまま液晶表示素
子を透過する。
【0021】他方、電圧無印加状態では、液晶層中の液
晶分子は電極基板表面に平行(液晶分子の長軸が電極基
板表面と平行な状態となる)に配列することから、回折
格子を形成する矩形状の構造体の屈折率(n=1.6
6)と液晶分子の屈折率(光が透過する方向の屈折率。
この場合はn⊥=1.50)に差を生じ、回折格子では
回折現象により入射した光の光路が曲げられる(光路変
化の大きさは約5度であった)。更に、PDLC中の分
散液晶はランダムな配向状態をとることから、この部分
において大きな光の散乱作用を受ける。従って、液晶表
示素子を通過する光は、光散乱状態をとるとともに、そ
の散乱状態における配光分布は入射光線の延長方向では
なく、その方向とはやや角度を成した他の方向に強い指
向性を有するものとなる。
晶分子は電極基板表面に平行(液晶分子の長軸が電極基
板表面と平行な状態となる)に配列することから、回折
格子を形成する矩形状の構造体の屈折率(n=1.6
6)と液晶分子の屈折率(光が透過する方向の屈折率。
この場合はn⊥=1.50)に差を生じ、回折格子では
回折現象により入射した光の光路が曲げられる(光路変
化の大きさは約5度であった)。更に、PDLC中の分
散液晶はランダムな配向状態をとることから、この部分
において大きな光の散乱作用を受ける。従って、液晶表
示素子を通過する光は、光散乱状態をとるとともに、そ
の散乱状態における配光分布は入射光線の延長方向では
なく、その方向とはやや角度を成した他の方向に強い指
向性を有するものとなる。
【0022】この様に、電圧印加の有無によって、液晶
表示素子を特定の方向(通常は入射光の延長方向)に通
過する光量を変化させ、透過光量の多少により画像情報
を表示することが出来ることになる。
表示素子を特定の方向(通常は入射光の延長方向)に通
過する光量を変化させ、透過光量の多少により画像情報
を表示することが出来ることになる。
【0023】次に、注目される液晶表示素子のコントラ
スト比に付いて調べた。平行性のよい光束をこの液晶表
示素子に入射し、液晶表示素子からの出射光の強度を測
定しコントラスト比を求めた。光強度を測定するセンサ
ー前面に、入射角を規制する絞り(集光角は±3度以内
とした)を取り付けて測定したところ、282:1とい
う高いコントラスト比を得た。一方、比較のために回折
格子と液晶層を形成していない従来の同種の液晶表示素
子を用いて測定したところ、コントラスト比は78:1
であった。
スト比に付いて調べた。平行性のよい光束をこの液晶表
示素子に入射し、液晶表示素子からの出射光の強度を測
定しコントラスト比を求めた。光強度を測定するセンサ
ー前面に、入射角を規制する絞り(集光角は±3度以内
とした)を取り付けて測定したところ、282:1とい
う高いコントラスト比を得た。一方、比較のために回折
格子と液晶層を形成していない従来の同種の液晶表示素
子を用いて測定したところ、コントラスト比は78:1
であった。
【0024】両結果の比較から、本発明の液晶表示素子
のコントラスト比が従来の同種の液晶表示素子と比べて
非常に優れていることが確認された。
のコントラスト比が従来の同種の液晶表示素子と比べて
非常に優れていることが確認された。
【0025】(実施例2)この液晶表示素子を用いて投
写光学系(シュリーレン光学系)から成る液晶プロジェ
クターを試作した。光学部分の概略構成を図2に示す。
ここで、21はメタルハライドランプから成る光源、22は
本発明の液晶表示素子、23は集光レンズ、24は絞り、25
は投写レンズ、26はスクリーンである。画像表示時に
は、液晶表示素子を透過した平行光27は集光レンズで集
光され絞りを通って投写レンズでスクリーンへと導かれ
る。一方、画像非表示時には、液晶表示素子で生じた散
乱光28は絞りで除去されスクリーンには達しない。上記
2つの状態を、液晶表示素子への電圧印加の有無により
制御することによって、画像情報を拡大投影することが
可能となる。
写光学系(シュリーレン光学系)から成る液晶プロジェ
クターを試作した。光学部分の概略構成を図2に示す。
ここで、21はメタルハライドランプから成る光源、22は
本発明の液晶表示素子、23は集光レンズ、24は絞り、25
は投写レンズ、26はスクリーンである。画像表示時に
は、液晶表示素子を透過した平行光27は集光レンズで集
光され絞りを通って投写レンズでスクリーンへと導かれ
る。一方、画像非表示時には、液晶表示素子で生じた散
乱光28は絞りで除去されスクリーンには達しない。上記
2つの状態を、液晶表示素子への電圧印加の有無により
制御することによって、画像情報を拡大投影することが
可能となる。
【0026】集光レンズ23と絞り24は液晶表示素子で生
じた散乱光28が投写レンズ25に到達しない様にするため
のものであるが、散乱光の強度分布が光の入射方向の延
長方向に大きいため、多くの散乱光が投写レンズまで到
達し、コントラスト比の低下を招いているのが実状であ
る。従って、コントラスト比を向上させるためには、集
光レンズの集光角を非常に小さくする(同時に絞りの径
を小さくする)必要があるが、しかし、同時に投写画面
は非常に暗くなるという悪影響を生じる。
じた散乱光28が投写レンズ25に到達しない様にするため
のものであるが、散乱光の強度分布が光の入射方向の延
長方向に大きいため、多くの散乱光が投写レンズまで到
達し、コントラスト比の低下を招いているのが実状であ
る。従って、コントラスト比を向上させるためには、集
光レンズの集光角を非常に小さくする(同時に絞りの径
を小さくする)必要があるが、しかし、同時に投写画面
は非常に暗くなるという悪影響を生じる。
【0027】本発明の液晶表示素子では回折格子を応用
して、画像非表示時に相当する場合には、予め光束の光
路を入射方向の延長方向とは異なる方向に曲げPDLC
に入射させるため、集光レンズの集光角をそれほど小さ
くしなくても(同時に絞りの径をそれほど小さくしなく
ても)、絞りにおいて不用な散乱光の大部分を遮断する
ことが可能であり、コントラスト比の向上を達成でき
る。但し、回折格子による角度変化の大きさが集光レン
ズの集光角よりも大きいことが理想条件となる。逆に、
コントラスト比を従来の同種の液晶プロジェクターと同
等とした場合には、従来の機種と比較してより明るい投
写画像を得られることになる。
して、画像非表示時に相当する場合には、予め光束の光
路を入射方向の延長方向とは異なる方向に曲げPDLC
に入射させるため、集光レンズの集光角をそれほど小さ
くしなくても(同時に絞りの径をそれほど小さくしなく
ても)、絞りにおいて不用な散乱光の大部分を遮断する
ことが可能であり、コントラスト比の向上を達成でき
る。但し、回折格子による角度変化の大きさが集光レン
ズの集光角よりも大きいことが理想条件となる。逆に、
コントラスト比を従来の同種の液晶プロジェクターと同
等とした場合には、従来の機種と比較してより明るい投
写画像を得られることになる。
【0028】回折格子による光路変化の大きさを5度と
し、集光レンズの集光角を4度として、この液晶プロジ
ェクターによりスクリーン上でのコントラスト比を測定
したところ、143:1と高い値を得た。液晶表示素子
単体で測定した場合に比べてコントラスト比が低下した
のは、光源からの出射光束の平行性に差を生じていたた
めである。ここで、実施例1で比較のために作製した、
回折格子等を形成していない従来の同種の液晶表示素子
を本液晶プロジェクターに組み入れて、同様のコントラ
スト測定を実施したところ、その値は36:1と低い値
であった。この比較からも、本発明の液晶表示素子を用
いて構成した液晶プロジェクターは、優れたコントラス
ト特性を示すことが確認できた。
し、集光レンズの集光角を4度として、この液晶プロジ
ェクターによりスクリーン上でのコントラスト比を測定
したところ、143:1と高い値を得た。液晶表示素子
単体で測定した場合に比べてコントラスト比が低下した
のは、光源からの出射光束の平行性に差を生じていたた
めである。ここで、実施例1で比較のために作製した、
回折格子等を形成していない従来の同種の液晶表示素子
を本液晶プロジェクターに組み入れて、同様のコントラ
スト測定を実施したところ、その値は36:1と低い値
であった。この比較からも、本発明の液晶表示素子を用
いて構成した液晶プロジェクターは、優れたコントラス
ト特性を示すことが確認できた。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように本発明の液晶表示素子
では、PDLCの前面(光の入射側)に回折格子と液晶
層を構成し、電圧印加の有無に応じて液晶層の状態を変
化させ回折格子としての機能を発現させることにより、
PDLCへ入射する光束の光路を変化させ、その結果、
前方への散乱光を減少させてコントラストの高い画像表
示を提供することが出来る。また、本発明の液晶表示素
子を用いれば、コントラスト特性に優れた液晶プロジェ
クターを実現することが可能となる。
では、PDLCの前面(光の入射側)に回折格子と液晶
層を構成し、電圧印加の有無に応じて液晶層の状態を変
化させ回折格子としての機能を発現させることにより、
PDLCへ入射する光束の光路を変化させ、その結果、
前方への散乱光を減少させてコントラストの高い画像表
示を提供することが出来る。また、本発明の液晶表示素
子を用いれば、コントラスト特性に優れた液晶プロジェ
クターを実現することが可能となる。
【図1】 実施例1で作製した本発明の液晶表示素子の
構成断面図。
構成断面図。
【図2】 実施例2で作製した本発明の液晶表示素子を
組み込んだ投写型の液晶プロジェクターの光学系部分の
概略図。
組み込んだ投写型の液晶プロジェクターの光学系部分の
概略図。
【図3】 本発明の液晶表示素子の機能を説明するため
の図であり、(a)は電圧印加状態を示す図、(b)は
電圧無印加状態を示す図。
の図であり、(a)は電圧印加状態を示す図、(b)は
電圧無印加状態を示す図。
【図4】 実施例1で提案した第3の電極基板を用いた
場合の本発明の液晶表示素子の構成断面図。
場合の本発明の液晶表示素子の構成断面図。
【図5】 実施例1で作製した本発明の液晶表示素子に
組み込まれている回折格子の断面略図。
組み込まれている回折格子の断面略図。
【図6】 回折格子による光路変化と、それによる散乱
光の分布状態を示す図であり、(a)は回折格子を備え
ない従来の液晶表示素子の場合を示す図、(b)は回折
格子を備えた本発明の液晶表示素子の場合を示す図。
光の分布状態を示す図であり、(a)は回折格子を備え
ない従来の液晶表示素子の場合を示す図、(b)は回折
格子を備えた本発明の液晶表示素子の場合を示す図。
11 液晶層 21 光源 22 液晶表示素子 23 集光レンズ 24 絞り 25 投写レンズ 26 スクリーン 27 平行光 28 散乱光 30 電界方向 31 第1の電極基板 32 第3の電極基板 33 第2の電極基板 34 PDLC 35 回折格子 36 (液晶層中の)液晶分子 37 (PDLC中の)液晶分子 38 入射光 39 出射光 51 回折格子 52 透明基板 53 矩形状構造体 61 入射光 62 入射方向の延長方向 63 散乱光強度分布 64 最強散乱光の方向 65 従来の液晶表示素子 66 本発明の液晶表示素子 67 光路変化度合
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 505 G02F 1/1334 G02F 1/1333 G02F 1/1335 G02F 1/1347 G09F 9/00 - 9/46
Claims (3)
- 【請求項1】 一対の基板と、前記一対の基板間に配置
された高分子・液晶複合層と、を有する液晶表示素子に
おいて、 前記一対の基板のうち、第1の基板は光入射側に配置さ
れ、第2の基板は光出射側に配置され、 前記第1の 基板と前記高分子・液晶複合層との間には、
凹凸パターンからなる回折格子が形成され、 前記回折格子の凹パターン部分には、前記高分子・液晶
複合層とは別に、外部からの電圧印加に応じて屈折率変
化を生ずる電気光学物質層が 形成されてなることを特徴
とする液晶表示素子。 - 【請求項2】 前記第1の基板と前記高分子・液晶複合
層との間に、第3の基板が設けられてなることを特徴と
する請求項1に記載の液晶表示素子。 - 【請求項3】 光源と、請求項1または2記載の液晶表
示素子と、投写レンズとを有することを特徴とする液晶
プロジェクター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03523392A JP3235163B2 (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | 液晶表示素子及び液晶表示素子を備えた液晶プロジェクター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03523392A JP3235163B2 (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | 液晶表示素子及び液晶表示素子を備えた液晶プロジェクター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05232429A JPH05232429A (ja) | 1993-09-10 |
JP3235163B2 true JP3235163B2 (ja) | 2001-12-04 |
Family
ID=12436126
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03523392A Expired - Fee Related JP3235163B2 (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | 液晶表示素子及び液晶表示素子を備えた液晶プロジェクター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3235163B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3447895B2 (ja) * | 1996-02-09 | 2003-09-16 | 株式会社東芝 | 投射型表示装置におけるパラメータの設定方法 |
-
1992
- 1992-02-21 JP JP03523392A patent/JP3235163B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05232429A (ja) | 1993-09-10 |
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