JP3234874B2 - 転倒ゲート装置 - Google Patents

転倒ゲート装置

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JP3234874B2 JP31733198A JP31733198A JP3234874B2 JP 3234874 B2 JP3234874 B2 JP 3234874B2 JP 31733198 A JP31733198 A JP 31733198A JP 31733198 A JP31733198 A JP 31733198A JP 3234874 B2 JP3234874 B2 JP 3234874B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川の取水堰に設
けられる転倒ゲートに関し、特に転倒ゲート本体とは別
体に設けた転倒板により河川の増水を感知して、転倒ゲ
ート本体を倒伏させるようにした転倒ゲート装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、河川から農業用水を取水する方法
として、頭首工によるものがある。これは取水位を確保
するために、河川に取水堰を設け、堰上げた水を取水口
より用水路を経由して取水する方法である。この頭首工
の設備は、取水口、取水堰及び沈砂池、放水路等の附帯
施設、操作設備、受配電設備等の管理施設により構成さ
れるのが一般的である。頭首工の規模は、河川の大き
さ、形状、水量はもとより、取水量や取水方法によって
も異なり、特に中小規模の頭首工では前記の設備を全部
備えているとは限らない。中には単に取水堰に取水口や
用水路を取り付けただけの簡易なものもある。
【0003】頭首工は、利水上の点からは河川から農業
用水を確保し、治水上の点からは洪水時に河川の流水を
安全に流下できるように取水堰の放水路にゲートを設
け、これを開閉することにより水量の調節を行うことが
できるようにされている。したがって、ゲートの開閉を
必要な時期に的確に行うことが、頭首工の機能を大きく
左右する。このようなゲート装置としては、扉体を上下
に開閉する方式のものや、回転させる方式のものがあ
り、人力あるいは電力を動力として開閉するようにされ
ている。
【0004】とくに、山間部には、台風や洪水時に土石
流が発生しやすい水深の浅い河川がある。このような河
川における比較的小規模な頭首工では、その上流で土石
流のような自然災害が発生すると、砂礫や流木が流水と
一緒に取水堰に一気に流れ込み、取水堰全体にわたって
その天端まで堆積してしまい、その結果、流水は取水堰
を越えて流れるので貯水不能となり、また、取水堰の上
流に設けた取水口もそれに続く用水路も同様に埋塞して
しまい貯水不能になるという問題があった。
【0005】このため、土石流が発生して砂礫が流水と
一緒に取水堰に流れ込み、流水が取水堰の天端を越流し
始める時機に合わせてゲートを倒伏させ、取水堰内に堆
積した砂礫等を激しく流下する水と一緒に放水路から排
出させれば取水堰の埋塞を防止することができる。すな
わち、ゲート装置は、ゲートを適切な時機にかつ確実に
倒伏させることが重要な機能となっており、この倒伏の
時機を逸すると、頭首工としての機能を回復するため
に、砂礫等の除去に多大な費用と時間を要するばかりで
なく、除去作業期間中は河川の汚濁原因となる。
【0006】ところが、小規模な頭首工にあっては、ゲ
ートを手動で開閉することが多く、倒伏させるべき時機
が深夜であったり暴風雨や洪水の最中である場合、時機
を逸するという不都合な事態が発生している。そこで、
このような事態を防止するため、河川の増水によるゲー
トの倒伏の時機を感知して自動的にゲートの倒伏を行う
装置が種々開発されている。例えば、河川等の水位の変
化に伴うフロートの浮き沈みを利用して倒伏時機を検知
するようにしたものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フロー
ト方式による装置には、次のような欠点がある。 (1)装置の構成が複雑であり、とくに精密な機構の場
合、機械部分の発錆や潤滑油の固着によって作動不能に
なることがある。 (2)フロートを収納している容器内に河川の浮遊物が
侵入したり砂礫が堆積して、作動不能になることがあ
る。 (3)フロートの動きが徐々に変化する場合は、フロー
トからゲートの開閉手段への信号伝達力が弱くなり、応
答性が低下して作動不能になることがある。 (4)フロートを収納している容器に水を取り入れる手
段として導水路を設けることがある。この場合、土石流
が発生すると、導水路に砂礫や流木が流れ込んで埋塞し
てしまい増水を感知できなくなる。本発明は、上記のよ
うな従来の問題点を解決するものであり、河川が増水し
て取水堰の天端を越流するような状況になると、これを
水圧信号として即時に感知して、ゲートの倒伏を迅速か
つ確実に行うことができる転倒ゲート装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため本発明では、取
水堰の放水路に転倒ゲート本体を起伏可能に設置した転
倒ゲート装置において、前記転倒ゲート本体とは別体に
起立及び倒伏可能に設けられ設定水圧を受けて倒伏する
転倒板と、該転倒板に離脱可能に設けられたロープ係止
手段と、該ロープ係止手段と前記転倒ゲート本体との間
に連結された保持ロープと、一端が前記転倒ゲート本体
に連結され他多が前記取水堰の川岸側に延在する起伏ロ
ープとを備え、前記ロープ係止手段を、前記転倒板の倒
伏動作に伴い該転倒板から離脱するようにしたことを特
徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の基本的な構成は、取水堰
の放水路である一部区間の切欠き部に転倒ゲート本体が
設けられ、転倒ゲート本体の扉体に取り付けられた支軸
を中心として、扉体を回転させて開閉する定軸回転式の
転倒ゲート装置を採用する。すなわち、本発明の転倒ゲ
ート本体は、取水堰の一部を切欠いた切欠き溝部又は凹
部水路に起伏可能に設け、転倒ゲート本体の上部側に
は、転倒ゲート本体を起伏させるための起伏ロープと、
転倒ゲート本体を起立状態に保持する保持ロープとを連
結する。そして、起伏ロープの端末はウインチ等で引っ
張ることができるように川岸側に延在させる。また、保
持ロープの端末はロープ係止手段に連結する。このロー
プ係止手段は、転倒板に形成した収納保持部(本実施例
ではケース9)に固定及び離脱可能に設け、転倒板の倒
伏動作により、ロープ係止手段の固定が解除されるよう
にする。
【0010】上記転倒板にロープ係止手段を固定セット
した後、転倒ゲート本体に連結した起伏ロープの端末は
予め解放状態にしておく。この設定状態で、例えば、河
川の増水により高い水圧を受けて転倒板が倒伏動作を開
始したとする。すると、転倒板が所定の角度傾いたと
き、ロープ係止手段は転倒板から離脱する。ロープ係止
手段が転倒板から離脱すると、保持ロープの張力、つま
り転倒ゲート本体を起立した状態に保持しておく保持力
がなくなるため、転倒ゲート本体は水圧により倒伏する
ようになり放水路が開放される。尚、倒伏した転倒ゲー
ト本体は、起伏ロープの端末をウインチ等で引っ張るこ
とにより起立状態に戻すことができる。このように、本
発明の装置は、転倒ゲート本体の起立状態を保持する保
持ロープをロープ係止手段に連結し、ロープ係止手段を
転倒板に離脱可能に結合したものである。転倒板の起立
状態でロープ係止手段を結合セットし、取水堰を越流す
る水圧で転倒板が倒伏動作するときに、ロープ係止手段
を離脱させて保持ロープの張力を緩ませ、これにより転
倒ゲート本体が確実に開かれる。
【0011】
【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。本実施例の概略の構成は、図1に示すように、
河川の水を堰止めるコンクリート製の取水堰1と、取水
堰1の天端面に設けられた転倒板2と、取水堰1に設け
た流下方向に向かって傾斜を付けた放水路である凹部水
路(切欠き部)3に設けられた転倒ゲート本体4と、転
倒ゲート本体4を起伏させる起伏ロープ6と、転倒ゲー
ト本体4を起立状態に保持する保持ロープ7とからなっ
ている。保持ロープ7の端末はボックス8に連結され、
ボックス8は転倒板2に固着されたケース9に摺動可能
に収納されている。尚、矢印Wは取水堰1の上流側から
下流側に向かって流れる水流の方向を示している。
【0012】転倒ゲート本体4は、河川の水流から圧力
を受ける扉体10を有し、扉体10の下端部は、蝶板1
1、12により凹部水路3底面に起伏可能に取り付けら
れている。凹部水路3の閉鎖、開放は転倒ゲート本体4
の起立方向、倒伏方向への回転動作により行われる。扉
体10の後面側(図1の手前側)と凹部水路3の間に
は、倒伏時の衝撃を緩和するためにショックアブソーバ
13が装着されている。このショックアブソーバ13に
より、扉体10は大きな水圧を受けても瞬時に倒伏する
ことはなく、扉体10の損傷を防止することができるよ
うにされている。
【0013】扉体10の上面端部には、転倒ゲート本体
4を起立状態に保持する保持ロープ7の一端が連結され
ている。起伏ロープ6の他端側は、案内シーブ14、1
5、16、17を経て取水堰1の川岸側に延び、川岸側
のチェーンブロック又はウインチ(図示せず)等に連結
可能とされている。したがって、倒伏状態の転倒ゲート
本体4を起立させるには、起伏ロープ6をウインチ等に
より川岸の方向Fに引っ張り、転倒ゲート本体4を起立
状態まで回動させればよい。また、保持ロープ7の他端
側は案内シーブ18を経て転倒板2側に延び、ボックス
8に止着されている。尚、5は取水堰1の手前側天端面
の一部を示す。
【0014】図1及び図2において、19は複数のアン
カーボルト20により取水堰1の天端面に固定されたベ
ースプレートで、ベースプレート19のケース9に応じ
た箇所には支柱21が立設されている。ベースプレート
19の支柱21よりも下流側位置には、転倒板2が一対
の蝶番22により起伏可能に取り付けられている。転倒
板2を倒伏、起立させるには、これを下流側、上流側の
方向に回動させればよい。転倒板2の後面側(図1の手
前側)にはゴム製の緩衝材23が固着され、転倒板2の
倒伏時にベースプレート19から受ける衝撃の緩和が図
られている。転倒板2の下端には前記ケース9が固着さ
れ、ケース9は支柱21側に延出している。ケース9の
形状は支柱21側を開口部とする断面コ字状で、ケース
9の下面部には支柱21に係合するU字状係合溝24が
形成されている。
【0015】ケース9内には直方体型のボックス8が装
着され、転倒板2が起立姿勢から約90度倒伏すると、
両部材8、9が倒伏方向に約90度の範囲で回動するよ
うになっている。ボックス8の具体的構造は、図3に示
すように、四角筒状の枠体25よりなり、上下面の広い
中央領域は中空部とされている。ボックス8の内部に
は、一対の支持軸26が水流方向Wと同方向に対向配置
され、一対の支持軸26の間にはローラ27が回転自在
に軸支され、かつ支持軸26の両端には抜け止め防止用
のストッパ28が固定されている。また、ボックス8の
転倒ゲート本体4側の外側面には、通し穴29を有する
アイプレート30が設けられ、通し穴29には保持ロー
プ7の他端部が連結されている。そして、ローラ27と
アイプレート30側との間には支柱21の直径よりも十
分大きい所要寸法の隙間Sが設けられている。
【0016】ボックス8のケース9への装着は、転倒板
2を起立させて行うが、前記支柱21は、その周側面を
ローラ27面に係合させて装着する。この場合、ボック
ス8はケース9に対して、支持軸26と直交する方向に
摺動可能とされている。したがって、転倒板2の倒伏
時、保持ロープ7によりボックス8が引っ張られると、
ボックス8はケース9から抜け出るようになる。その
際、ボックス8が倒伏方向に回動しながら摺動しても、
上記隙間Sを設けているために枠体25が支柱21と接
触することはない。尚、保持ロープ7の長さは、転倒ゲ
ート本体4が所定の姿勢まで起立して、仮に位置決め固
定されるように設定する。これにより、ボックス8の長
手方向の長さは、支柱21にケース9を係合可能な長さ
に設定される。したがって、保持ロープ7の緊張を緩め
れば、ボックス8の移動が自由になるので、ボックス8
のアイプレート30とローラ27との間に支柱21を容
易に位置決めすることができる。
【0017】転倒板2の倒伏時機設定のために、本実施
例では以下の機構が付加されている。すなわち、図4及
び図5に示すように、転倒板2の上流側とベースプレー
ト19側の双方には、一対のブラケット31、32が取
り付けられ、これらの相対応する箇所にはピン穴33、
34が設けられている。ピン穴33、34には、両端に
通し穴35、36を有する鉛製のピン37が差し込ま
れ、通し穴35、36には、1本のピン抜け防止用のワ
イヤ38が挿通され、ワイヤ38両端の環部は、鍵39
をかけて連結されている。
【0018】ところで、砂礫や流木の多い河川では、転
倒板2の周囲に砂礫や流木が引っ掛かり易いが、これに
よる転倒板2の作動への悪影響を防止する手段が望まれ
る。すなわち、例えば本例では、図6に示すように、ケ
ース9とボックス8前面側(図6の左側)箇所には、ベ
ースプレート19に沿って前記両部材9、8を保護する
短尺の屈曲板状ガード部材40が取り付けられ、また、
上記ロープ6、7と各案内シーブ(図示せず)との設置
箇所には、転倒ゲート本体4が倒伏するのに要するボッ
クス8の移動距離Lを除いて、複数のアンカーボルト4
1により長尺の断面L形ガード部材42が取り付けられ
る。
【0019】次に、本実施例の作用を説明する。図7に
示すように、ケース9が支柱21から外れた状態のとき
に、ケース9の内部にボックス8を装着するには、起伏
ロープ6の他端側を引っ張ることにより、ボックス8の
ローラ27とアイプレート30の間に支柱21が挿入さ
れるように位置決めした上で、転倒板2を起立方向に回
動させていけばよい。ボックス8をケース9に装着セッ
トした状態において、起伏ロープ6の他端側を緩める
と、転倒ゲート本体4は起立方向への緊張力から解放さ
れて、自重と水圧により倒伏位置に復帰しようとする。
すると、保持ロープ7の緊張力によって、ボックス8が
保持ロープ側に引っ張られて若干移動し、保持ロープ7
の張力が支柱21に対して、ローラ27と直交する水平
方向に働くようになる。そのため、ローラ27は回転す
ることなく、支柱21の側面に強く圧着して位置固定さ
れる。このとき転倒板2は起立状態であり、前記ローラ
27の圧着力により位置固定されているので、圧着力に
見合う以上の倒伏力が転倒板2に作用しない限り転倒板
2は倒伏動作を開始しない。
【0020】図8に示すように、河川の増水により取水
堰1の天端を越流するようになり、水流による水圧が転
倒板2に作用すると、転倒板2は蝶番22を支点として
倒伏方向に回動しようとする。さらに、河川が増水して
水圧が高まり、転倒板2の倒伏方向への回動力がローラ
27の圧着力を上回ると、転倒板2は倒伏を開始するよ
うになる。すると、ケース9内のボックス8も、転倒板
2の倒伏と同方向、つまり上方向側に回転するようにな
る。このため、支柱21に圧着していたローラ27が回
転を開始し、やがてローラ27は支柱21との係合を解
除し、図7に示すように、ケース9からボックス8が保
持ロープ7側に抜け出す。このボックス8の抜け出しに
より、保持ロープ7緊張状態も解除される。このとき、
転倒ゲート本体4に連結された起伏ロープ6の他端は、
既にボックス8のセット後に解放されている。したがっ
て、保持ロープ7が解放されると、転倒ゲート本体4は
自重による回転モーメントと水圧の作用により倒伏を開
始する。その際、ショックアブソーバ13により、転倒
ゲート本体4の急激な倒伏動作が防止される。このた
め、保持ロープ7等が解放されて大きく弾性変形するよ
うなこともなく、近くの人間をはねる等の危険を及ぼす
おそれがない。
【0021】倒伏した転倒ゲート本体4を再び起立させ
るには、まず、ケース9内において、ローラ27が支柱
21に係合できる位置まで起伏ロープ6をウインチ等に
より川岸側に引き寄せて、ボックス8の位置を仮に固定
する。次に、図9に示す倒伏状態の転倒板2を起立起動
させて、ボックス8をケース9内に装着した後に、ウイ
ンチ等により起伏ロープ6の引っ張り力を緩める。する
と、転倒ゲート本体4の倒伏方向への力により保持ロー
プ7が緊張し、この緊張力によりボックス8のローラ2
7に支柱21の側面が圧着して、転倒板2が所定の起立
位置に固定される。転倒板2が固定されたら、起伏ロー
プ6の川岸側の端末を解放すればよい。このように、一
連の設定作業を終了することにより、転倒板2は起立状
態を保って、次回の増水時に備えることができると同時
に、転倒ゲート本体4は凹部水路3を閉鎖して、取水堰
1の貯水を開始する。
【0022】最後に、転倒板2の倒伏時期の設定につい
て補足説明する。図4において、いま河川の流水が上流
側から転倒板2の前面に当たると、上述したように、転
倒板2には、蝶番22を中心とする倒伏方向のモーメン
トが発生する。流水から受ける圧力が大きくなり、モー
メントの力がピン37のせん断力を上回ってピン37が
切断すると、転倒板2は倒伏方向に回動する。この場
合、転倒板2の倒伏開始時期は、ピン37のせん断力す
なわちピン37の大きさ(せん断強度)に依存する。し
たがって、ピン37の大きさを変えることにより、転倒
板2の倒伏開始時期を自由に変えることができ、誤動作
が防止され安全性が向上する。すなわち、大きさの異な
るピン37を用いることにより、小規模な洪水時には倒
伏しないように設定したり、流木の衝突や人が誤って触
れたりしても、転倒板2が容易に倒伏しないようにする
ことができる。
【0023】本発明は、上記実施例に限定されず、下記
のように構成してもよい。 (1)上記実施例では、転倒板2の流水に臨む受圧部
(扉体)を一枚としたが、図10に示すように、転倒板
2の主受圧部43の両端にボルト穴44を複数設けて、
補助受圧部45又は46をボルト・ナットで取り付ける
ことにより、転倒板2の水流に対する受圧面積を増加さ
せ、転倒板2の作動感度を調整変更できるようにしても
よい。 (2)転倒ゲート本体4の扉体10は、コンクリート製
の取水堰1に蝶番11、12を配置して取り付けたが、
転倒ゲート本体4側の水密用ゴム板とコンクリートの仕
上がり面が正確でないと水密性の確保が困難となり、転
倒ゲート本体4側の取り付けや土木工事に多くの時間を
要する。そこでこれを解決するために、一体型の枠体を
用意して取り付けてもよい。すなわち、図11に示すよ
うに、凹部水路3に嵌合可能な、流下方向に傾斜を設け
た底板を有する立体形状の枠体47に蝶番11、12を
取り付け、この蝶番11、12に側面水密ゴム48、4
9及び底面水密ゴム50を備えた転倒ゲート本体4を取
り付けると共に、後面側にショックアブソーバ13を取
り付けた、所謂一体型の枠体47を用意することにより
(図示しないロープ用案内シーブ、角落とし用の溝も取
り付け可能である。)取水堰1の土木工事と並行して据
付工事を行ってもよい。このようにすると、転倒ゲート
本体4の水密性を高めることができるだけでなく、設置
工事時間を大幅に短縮できる。尚、図12に上下に嵌合
段部51、52を有する一体型の枠体47の構造例を示
す。また、上記実施例では、転倒板2の設置場所を取水
堰1の天端面としたが、転倒板2は取水堰1の上流若し
くは下流側の適当箇所に独立に設置してもよく、あるい
は取水堰1の天端面の一部を切り欠いてこの切り欠き部
に設置してもよい。その他、当然ながら本方式は、取水
堰1の一部若しくは全体が起伏する方式の転倒ゲート装
置であればすべて適用することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、以
下の優れた効果がある。 (1)複雑な回転機構が不要となり、構造が簡略化する
ばかりでなく、河川の増水時の水圧を転倒板により直接
感知して転倒ゲート本体を自動的に作動させることがで
き、応答性が向上して転倒ゲート本体の倒伏動作がより
確実に行われるようになる。したがって、利水面からは
取水時に農業用水を確実に確保でき、かつ治水面からは
洪水時に流水を円滑に流下することができる。 (2)公知の感知装置及びゲート開閉装置と比較して、
本発明では転倒ゲート本体の開閉方法と構造が単純であ
るので、施工が容易になり工期の短縮化が図られ、堅牢
な転倒ゲート装置を安価に提供することができる。 (3)越流時の水圧信号を保持ロープより転倒ゲート本
体に伝えて、転倒ゲート本体が適時に倒伏するので、水
路の開放が可及的速やかに行われ、従来のように取水堰
内に砂礫等が堆積することがない。 (4)転倒板を起立させた後は、取水堰の貯水能力を速
やかに回復することができる。したがって、取水堰内に
おける砂礫の除去を必要とせず、河川の清掃作業及び清
浄処理コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転倒ゲート装置の全体外観を示す
斜視図である。
【図2】図1の転倒板のケース部分を示す要部斜視図で
ある。
【図3】ボックスの離脱時の状態を示す要部斜視図であ
る。
【図4】転倒板とベースプレートとの間のピン結合部分
を示す要部側面図である。
【図5】図4のV−V線矢視図である。
【図6】ガード部材の設置例を示す要部斜視図である。
【図7】ボックスの離脱移動後の状態を示す要部斜視図
である。
【図8】転倒板の起立状態を示す要部側面図である。
【図9】転倒板の倒伏状態を示す要部側面図である。
【図10】転倒板の本受圧部と補助受圧部を示す要部斜
視図である。
【図11】一体型枠体による転倒ゲート本体を示す一部
破断斜視図である。
【図12】一体型枠体の構成例を示す一部破断斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 取水堰 2 転倒板 3 凹部水路 4 転倒ゲート本体 5 取水堰の天端面 6 起伏ロープ 7 保持ロープ 8 ボックス 9 ケース 10 扉体 11 蝶番 12 蝶番 13 ショックアブソーバ 14 案内シーブ 15 案内シーブ 16 案内シーブ 17 案内シーブ 18 案内シーブ 19 ベースプレート 20 アンカーボルト 21 支柱 22 蝶番 23 緩衝材 24 U字状係合溝 25 枠体 26 支持軸 27 ローラ 28 ストッパ 29 通し穴 30 アイプレート 31 ブラケット 32 ブラケット 33 ピン穴 34 ピン穴 35 通し穴 36 通し穴 37 ピン 38 ピン抜け防止用のワイヤ 39 鍵 40 屈曲板状ガード部材 41 アンカーボルト 42 L型ガード部材 43 主受圧部 44 ボルト穴 45 補助受圧部 46 補助受圧部 47 枠体 48 側面水密ゴム 49 側面水密ゴム 50 底面水密ゴム 51 嵌合段部 52 嵌合段部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02B 7/44 E02B 7/20 105

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】取水堰の放水路に転倒ゲート本体を起伏可
    能に設置した転倒ゲート装置において、前記転倒ゲート
    本体とは別体に起立及び倒伏可能に設けられ設定水圧を
    受けて倒伏する転倒板と、該転倒板に離脱可能に設けら
    れたロープ係止手段と、該ロープ係止手段と前記転倒ゲ
    ート本体との間に連結された保持ロープと、一端が前記
    転倒ゲート本体に連結され他端が前記取水堰の川岸側に
    延在する起伏ロープとを備え、前記ロープ係止手段を、
    前記転倒板の倒伏動作に伴い該転倒板から離脱するよう
    にしたことを特徴とする転倒ゲート装置。
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