JP3231189U - 自動車用非常停止システム - Google Patents
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Abstract
【課題】誤操作を防止し、非常停止システムの信頼性及び自動車の安全性をより高めるとともに、操作の容易性及び確実性、更にはシステムの有効性を高める自動車用非常停止システムを提供する。【解決手段】自動車用非常停止システム1は、少なくとも助手席に着座した同乗者が操作可能なフロントシート(助手席、運転席)側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa、5qb及び/又はフロントシート以外の他のシート(非フロントシート)に着座した同乗者が操作可能な非フロントシート側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qr、5prと、非常停止スイッチ5qa、5qb、5qr、5prの少なくとも一つが操作されたなら少なくとも自動車の速度を低下させる及び/又は停止させる走行規制手段6と、非常停止スイッチ5qa、5qb、5qr、5prの誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段とを備える。【選択図】図1
Description
本考案は、自動車を非常停止させるための少なくとも運転者以外の同乗者が操作可能な非常停止スイッチを備える自動車用非常停止システムに関する。
従来、運転者以外の同乗者による非常停止スイッチが操作されたならブレーキ等を作動させて自動車を非常停止させる自動車用非常停止システムは各種提案されており、この種の非常停止システムとしては、例えば、特許文献1で開示される自動車非常停止装置及び特許文献2で開示される自動車の非常用制御制止装置が知られている。
特許文献1の自動車非常停止装置は、自動車に非常停止装置を装着することで、事故の減少を図ることを目的としたものであり、具体的には、自動車運転席ダッシュボードなどに運転者、同乗者共に、非常時の時に即、手が行く場所にレバー又はボタンを設置し、非常時にレバー又はボタンを押すことにより即、ブレーキが作動、クラッチを切る(又はエンジン停止)、ブレーキランプ、ハザードランプが点灯する装置を、電気、空気圧,油圧、手動力、などで作動する装置を設置するものである。
また、特許文献2の自動車の非常用制御制止装置は、自動車を運転中に運転者が不慮の病(脳卒中等)や居眠り等を起こし、危険な運転状態に入った場合、現状の自動車には非常用のブレーキは常設されていない課題の解決を目的としたものであり、具体的には、自動車に制御制止用の第一IT基盤、第二IT基盤、第三IT基盤間と第四IT基盤間に円形凸型の非常用ブレーキボタン(スイチ)で結線されID組込みしたことで、運転者が不慮の事態になった時でも同乗者が運転者に代わり自動車を安全に停止させることができるようにしたものである。
しかし、上述した特許文献1及び2の技術をはじめ、従来の自動車用非常停止システムは、次のような問題点があった。
第一に、レバー又はボタンの操作に基づくため、自動車の走行中に、子供等のいたずらや何かの物体が誤って当たる等により、レバー又はボタンが誤操作された場合、自動車が非常停止してしまう。この場合、運転者が正常な状態であるにも拘わらず、踏み切り内,交差点内,後続車との車間距離が短い場合等、本来停止してはいけない場所で停止することになり、かえって危険を招いてしまう。このように、この種の非常停止システムにおいては、誤操作(誤動作)対策が重要な課題となるが、従来の技術では、これらの対策が何ら考慮されておらず、システムの信頼性、更には自動車の安全性を確保する観点からは、いわば片手落ちで不十分となる。
第二に、この種の非常停止システムでは、車室内におけるレバー又はボタンの配設場所が重要となる。配設場所が適切でない場合、例えば、初めて乗車した人やシステムに対する認識が低い人は、非常時における迅速な操作ができないのみならず、実際の操作につながらない虞れもある。従来の技術では、これらの課題に対しても何ら考慮がされていないため、システムの有効性及び確実性の観点からも更なる改善の余地があった。
本考案は、このような背景技術に存在する課題を解決した自動車用非常停止システムの提供を目的とするものである。
本考案は、上述した課題を解決するため、自動車Cを非常停止させるための少なくとも運転者以外の同乗者が操作可能な非常停止スイッチを備える自動車用非常停止システム1を構成するに際して、少なくとも助手席2qに着座した同乗者が操作可能なフロントシート(助手席,運転席)2q…側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa,5qb…及び/又はフロントシート2q,2p以外の他のシート(非フロントシート3q,3p)に着座した同乗者が操作可能な非フロントシート3q,3p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qr,5pr…と、非常停止スイッチ5qa,5qb…,5qr,5pr…の少なくとも一つが操作されたなら少なくとも自動車Cの速度を低下させる及び/又は停止させる走行規制手段6と、非常停止スイッチ5qa,5qb…,5qr,5pr…の誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段7a,7b…とを備えてなることを特徴とする。
この場合、考案の好適な態様により、非フロントシート3q,3p側における非常停止スイッチ5qr,5pr…は、当該非フロントシート3q,3pの前方におけるシート2q,2pの背凭部2qr,2prの背面2qrf,2prf,当該非フロントシート3q,3pに臨むドア15q,15pのアームレスト又はその近傍,から選択した一又は双方に配設することができる。一方、誤操作防止手段7a,7b…を構成するに際しては、非常停止スイッチ5qa…を収容凹部20…に収容し、かつこの収容凹部20…の開口に、押操作により外れるスイッチカバー21を設けて構成するとともに、非常停止スイッチ5qa…を、押ボタン22の変位により切換わるスイッチ部品23により構成し、かつ当該押ボタン22の変位ストロークLmを所定の長さに設定して構成することができる。
このような構成を有する本考案に係る自動車用非常停止システム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 自動車Cに、少なくとも運転者以外の同乗者が操作可能な非常停止スイッチ5qa…を設けることによる基本的な機能及び効果を確保できることに加え、非常停止スイッチ5qa…の誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段7a…の機能により、誤操作防止効果を有効に確保できるため、非常停止システム1の信頼性及び自動車Cの安全性をより高めることができる。特に、自動車Cの走行中における子供等のいたずらや何かの物体が誤って当たる等の事態が生じた場合であっても、非常停止スイッチ5qa…の誤操作、更には誤動作を防止することができるため、自動車Cが無用に停止してしまう不具合を回避することができる。
(2) 非常停止スイッチ5qa…として、少なくとも助手席2qに着座した同乗者が操作可能なフロントシート(助手席,運転席)2q,2p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa,5qb…及び/又はフロントシート2q,2p以外の他のシート(非フロントシート3q,3p)に着座した同乗者が操作可能な非フロントシート3q,3p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qr,5pr…を設けたため、同乗者の誰でも操作が可能となり、非常時における迅速なスイッチ操作を確保できるとともに、実際の操作につながらないなどの不具合を回避することができるなど、操作の容易性及び確実性、更にはシステムの有効性を高めることができる。
(3) 好適な態様により、非フロントシート3q,3p側における非常停止スイッチ5qr,5pr…を配設するに際し、当該非フロントシート3q,3pの前方におけるシート2q,2pの背凭部2qr,2prの背面2qrf,2prf,当該非フロントシート3q,3pに臨むドア15q,15pのアームレスト又はその近傍,から選択した一又は双方に配設すれば、後席等の非フロントシート3q,3pの同乗者も操作が可能になるため、非常事態をいち早く気付いた同乗者がスイッチ操作が可能となり、システムの実効性及び更なる安全性の向上に寄与できる。
(4) 好適な態様により、誤操作防止手段7aを構成するに際し、非常停止スイッチ5qa(5qb…)を収容凹部20に収容し、かつこの収容凹部20の開口に、押操作により外れるスイッチカバー21を設けて構成するとともに、非常停止スイッチ5qa(5qb…)を、押ボタン22の変位により切換わるスイッチ部品23により構成し、かつ当該押ボタン22の変位ストロークLmを所定の長さに設定して構成すれば、無用な突起部分を生じることなく、比較的簡単な構成により誤操作防止を図ることができるとともに、簡単に操作されてしまう不具合を回避できる。しかも、少なくとも二重の誤操作防止機能を設けることができるため、より有効性の高い誤操作防止を実現することができる。
次に、本考案に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る自動車用非常停止システム1の全体のシステム構成について、図1−図8を参照して説明する。
図1中、17は、コンピュータ処理機能を備える車載コンピュータ(ECU)であり、各種演算処理及び各種制御処理を実行するCPUやメモリ等の各種ハードウェアを内蔵するとともに、内蔵するメモリには、各種処理を実行する処理プログラム(ソフトウェア)を格納する。特に、処理プログラムには、本実施形態に係る自動車用非常停止システム1を機能させるための制御プログラムが含まれる。
そして、この車載コンピュータ17には、変速機構のシフト状態を検出するレンジセンサ31、自動車Cの速度状態を検出する車速センサ32、アクセルペダルの位置状態を検出するアクセルペダルセンサ33、操舵角度の状態を検出する舵角センサ34をそれぞれ接続する。各センサ31,32,33,34の検出信号は車載コンピュータ17に付与される。さらに、車載コンピュータ17には、前方障害物センサ35及び後方障害物センサ36をそれぞれ接続する。各センサ35,36の検出信号は車載コンピュータ17に付与される。なお、前方障害物センサ35及び後方障害物センサ36はそれぞれセンサユニットとして構成し、各センサ35,36には、一又は二以上のセンサが含まれる。
また、車載コンピュータ17は、自動ブレーキシステム18に接続する。この自動ブレーキシステム18は、車載コンピュータ17から制御指令が付与され、この制御指令に基づき、回生ブレーキ19を機能させるコントロール信号、エンジンブレーキ20を機能させるコントロール信号、ブレーキアクチュエータ16を駆動する油圧回路41に対するコントロール信号をそれぞれ出力する。その他、図1中、42は車載コンピュータ17に接続したイグニッションキー、43は車載コンピュータ17に接続した警報ブザーをそれぞれ示す。以上の構成は、いわば一般的な自動車における制御系Mcの基本構成となる。この自動車には、ハイブリッド自動車や電気自動車等の各種自動車が含まれる。
そして、これらの基本構成は、本実施形態に係る非常停止システム1の走行規制手段6として使用される。即ち、車載コンピュータ17及びこの車載コンピュータ17に接続した自動ブレーキシステム18に基づくブレーキの作動、自動ブレーキシステム18に接続した回生ブレーキ19の作動、エンジンブレーキ20の作動、油圧回路41により駆動されるブレーキアクチュエータ16によるブレーキの作動は、後述する非常停止スイッチ5qa,5qb…,5qr,5pr…の少なくとも一つが操作されたなら少なくとも自動車Cの速度を低下させる及び/又は停止させる走行規制手段6を構成する。
このように、走行規制手段6に、ブレーキ用アクチュエータ16によるブレーキの作動,車載コンピュータ17により制御される自動ブレーキシステム18に基づくブレーキの作動,回生ブレーキ19の作動,エンジンブレーキ20の作動の、一又は二以上を含ませれば、自動車Cに搭載される各種走行規制手段を選択的に利用し、又は複合的に作動させることにより、減速動作及び停止動作に基づく走行規制の更なる確実性及び信頼性の向上に寄与できる利点がある。
一方、本実施形態に係る自動車用非常停止システム1は、上述した制御系Mcに追加して構成する。即ち、本実施形態に係る非常停止システム1は、少なくとも助手席2qに着座した同乗者が操作可能なフロントシート(助手席,運転席)2q,2p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa,5qb…を備えるとともに、フロントシート2q,2p以外の他のシート(非フロントシート3q,3p)に着座した同乗者が操作可能な非フロントシート3q,3p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qr,5pr…を備える。例示の場合、図1及び図2に示すように、フロントシート2q,2p側には、二つの非常停止スイッチ5qa,5qb、即ち、助手席第一スイッチ5qaと助手席第二スイッチ5qbを備えるとともに、非フロントシート3q,3p側には、二つの非常停止スイッチ5qr,5pr、即ち、後席左スイッチ5qrと後席右スイッチ5prを備える。
各非常停止スイッチ5qa,5qb,5qr,5prは、図1に示すように、OR回路51を介してON/OFF切換回路52を介して車載コンピュータ17に接続するとともに、このON/OFF切換回路52には、車載コンピュータ17から切換信号が付与される。これにより、非常停止システム1を機能させるに必要な条件が満たされたときのみ、ON/OFF切換回路52をONに切換え、OR回路51の出力信号(各検出信号)を車載コンピュータ17に付与する。
次に、各非常停止スイッチ5qa,5qb,5qr,5prの構成について説明する。各非常停止スイッチ5qa,5qb,5qr,5prは、基本的に、同一構造により構成することができる。図3−図6に、フロントシート2q…側、即ち、ダッシュボード11に配設した非常停止スイッチ5qaを示す。したがって、他の非常停止スイッチ5qb,5qr,5prの基本的構造も、この非常停止スイッチ5qaと同様に構成することができる。また、この非常停止スイッチ5qaには、この非常停止スイッチ5qaの誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段7a,7bが付属する。
以下、非常停止スイッチ5qaの構成について具体的に説明する。まず、非常停止スイッチ5qaを配設するに際しては、図3及び図4に示すように、非常停止スイッチ5qaの配設部位に、この非常停止スイッチ5qaを収容する矩形筒形のスイッチケース61を設ける。例示は、ダッシュボード11のパネル11pに一体形成したものであり、スイッチケース61の前端は開放し、後端は底板部61dにより閉塞する。したがって、スイッチケース61は、非常停止スイッチ5qaを収容する収容凹部20として構成される。
そして、スイッチケース61の開放部位(収容凹部20の開口)には、図4及び図5に示すスイッチカバー21を付設する。スイッチカバー21は、スイッチケース61の開放部位に固定する保持フレーム21fと、この保持フレーム21fに保持されるカバー本体21mからなり、いずれもプラスチック等の透明素材により形成する。例示のカバー本体21mは、図5に示すように、正面視を矩形板状に形成するとともに、四個所に係止片部21s,21s…を突出形成し、各係止片部21s…の先端を、保持フレーム21fの内縁部に対応して形成した凹溝部21r,21r…に係止させるようにした。これにより、カバー本体21mは、同乗者の操作行為(押操作)により容易に外すことが可能となる。したがって、このスイッチカバー21は、第一の誤操作防止手段7aとして機能する。このように、非常停止スイッチ5qaを収容凹部20に収容するとともに、この収容凹部20の開口に、押操作により外れるスイッチカバー21を設けて構成すれば、無用な突起部分を生じることなく、比較的簡単な構成により誤操作防止を図れる利点がある。
また、スイッチケース61の底板部61dの内面には、ガイド筒62を固定するとともに、このガイド筒62の内部における底板部61d側には、スイッチ部品23を固定する。例示のスイッチ部品23は、オルタネイト動作を行うスイッチ機能を備えており、スイッチ部品23のノブ23kを押すとOFF(又はON)し、その状態を維持するとともに、再度、ノブ23kを押すとON(又はOFF)に切換わる。そして、ガイド筒62の前端に有する前板部61fの中央には円孔部61fhを形成し、この円孔部61fhに押ボタン22を挿通させる。この押ボタン22は、先端に設けた円盤状のボタン部22m,このボタン部22mの裏面中央から直角方向に突出した軸部22c,及びこの軸部22cの後端に一体に設けた大径のストッパ部22sを備える。この場合、軸部22cの外径は、円孔部61fhに内径にほぼ一致するため、円孔部61fhによりスライド自在にガイドされるとともに、ストッパ部22sの外径は、ガイド筒62の内径にほぼ一致するため、ガイド筒62によりスライド自在にガイドされる。なお、ガイド筒62に収容した押ボタン22におけるストッパ部22sと上述したスイッチ部品23間にはコイルスプリング63を短縮状態で介在させる。
押ボタン22を構成するに際しては、ボタン部22mの前面に湾曲面22msを形成し、操作時の指先が安定に保持されるように考慮するとともに、黄色系又は赤色系のカラーにより着色し、“非常ボタン”であることを分かり易くすることが望ましい。また、図3及び図5に示すように、ダッシュボード11のパネル11pの面上であって、スイッチカバー21に対する上側の位置には、「非常停止ボタン」等の文字を表示した表示部65を設けるとともに、必要により、「非常時には赤いボタンを押し込んでください」等の説明文を表示することができる。
さらに、押ボタン22を形成するに際しては、押ボタン22の変位ストロークLmが所定の長さになるように設定する。変位ストロークLmは、必要な操作ストロークであり、図4に示す無操作位置Xnから、図6に示すように、手の指Fhをスイッチケース61に挿入し、ボタン部22mを押し込むことにより、スイッチ部品23のノブ23kを切換える切換位置Xcまでのストロークとなる。したがって、変位ストロークLmを選定するに際しては、ボタン部22mを外部から容易かつ確実に視認できる無操作位置Xnを選定するとともに、手の指Fhを、ある程度、スイッチケース61の奥まで挿入して切換えることができる切換位置Xcを選定した際のストローク長が望ましい。したがって、この変位ストロークLmの設定は、第二の誤操作防止手段7bとして機能する。このように、非常停止スイッチ5qaを、押ボタン22の変位により切換わるスイッチ部品23により構成し、かつ当該押ボタン22の変位ストロークLmを所定の長さに設定して構成すれば、簡単に操作されてしまう不具合を回避できるとともに、特に、上述した誤操作防止手段7aと組合わせることにより、少なくとも二重の誤操作防止機能を設けることができるため、より有効性の高い誤操作防止を実現することができる利点がある。
以上、助手席2qに着座した同乗者が操作可能な非常停止スイッチ5qa、即ち、当該同乗者の前方におけるダッシュボード11のパネル11pに配設した非常停止スイッチ5qaの構成について具体的に説明したが、同様に構成可能な他の非常停止スイッチ5qb,5qr,5pr…も自動車Cにおける車室内の各部位に設けることができる。
図2には、一例としてセダンタイプの自動車Cを示す。セダンタイプの自動車Cを想定した場合、図2に示すように、フロントシート(助手席)2q側には、上述したダッシュボード11のパネル11pに配設した非常停止スイッチ(助手席第一スイッチ)5qa、助手席2q側のフロントドア12qにおけるアームレスト13q(又はその近傍)に配設した非常停止スイッチ(助手席第二スイッチ)5qbを設けることができる。図3に、ダッシュボード11のパネル11pに配設した非常停止スイッチ5qaの一例を示すとともに、図8に、助手席2q側のフロントドア12qにおけるアームレスト13qの近傍に配設した非常停止スイッチ5qbの一例を示す。さらに、図示を省略したが、センターコンソール14の側面やその近傍に設けることも可能である。
このように、フロントシート2q,2p側における非常停止スイッチ5qa,5qb…を配設するに際し、助手席2qの前方に位置するダッシュボード11,助手席2q側に位置するフロントドア12qのアームレスト13q又はその近傍,センターコンソール14又はその近傍,から選択した一又は二以上に配設すれば、助手席2qの同乗者は、最も操作しやすい位置の非常停止スイッチ5qa,5qb…を操作することができるため、操作の容易性及び確実性の更なる向上に寄与できる利点がある。
また、リアシート(非フロントシート3q,3p)側には、左側の非フロントシート3qの前方におけるフロントシート(助手席)2qの背凭部2qrの背面2qrfに、非常停止スイッチ(後席左スイッチ)5qrを配設することができるとともに、右側の非フロントシート3pの前方におけるフロントシート(運転席)2pの背凭部2prの背面2prfに、非常停止スイッチ(後席右スイッチ)5prを配設することができる。図8に、非フロントシート3q,3pの前方におけるフロントシート2q,2pの背凭部2qr,2prの背面2qrf,2prfにそれぞれ配置した各非常停止スイッチ5qr,5prの一例を示す。さらに、図示を省略したが、図8に示したフロントドア12qに設ける場合と同様に、各非フロントシート3p,3qに臨むドア(後部ドア)15p,15qのアームレスト又はその近傍に設けることもできる。
このように、非フロントシート3q,3p側における非常停止スイッチ5qr,5pr…を配設するに際し、当該非フロントシート3q,3pの前方におけるシート2q,2pの背凭部2qr,2prの背面2qrf,2prf,当該非フロントシート3q,3pに臨むドア15q,15pのアームレスト又はその近傍,から選択した一又は双方に配設すれば、後席等の非フロントシート3q,3pの同乗者も操作が可能になるため、非常事態をいち早く気付いた同乗者がスイッチ操作が可能となり、システムの実効性及び更なる安全性の向上に寄与できる。
次に、本実施形態に係る非常停止システム1の使用方法を含む各部の機能について、各図を参照しつつ図9に示すフローチャートに従って説明する。
今、運転者及び複数の同乗者が、自動車Cに乗車して走行する場合を想定する。まず、運転者は、イグニッションキー42をONにする(ステップS1)。これにより、エンジンが作動するとともに、運転者の運転操作により自動車Cは走行を開始する(ステップS2)。車載コンピュータ17は、車速センサ32からの検出信号に基づく車速を監視し、設定した車速に達したならON/OFF切換回路52をONに切換える(ステップS3,S4)。これにより、OR回路51の出力信号(入力信号)が車載コンピュータ17に付与可能になる。
そして、車載コンピュータ17は、非常停止スイッチ5qa,5qb,5qr,5prの状態を監視するとともに、障害物センサ35,36の状態を監視する(ステップS5,S6)。これにより、自動車Cが走行中、障害物センサ35,36により障害物を検知したなら、車載コンピュータ17から自動ブレーキシステム18に指令信号が付与され、自動ブレーキシステム18による緊急ブレーキ処理が行われる(ステップS7,S8)。これらは通常の自動ブレーキシステムに基づく処理となる。緊急ブレーキ処理により自動車Cが停止し、この後、アクセルペダルを踏むなどの所定の解除操作を行えば、緊急ブレーキ処理は終了する(ステップS9,S10,S2…)。
一方、自動車Cの走行中、運転者にアクシデントが発生し、運転不能になった場合を想定する。この場合、いち早く助手席2qの同乗者が気付いたとすれば、同乗者は、手前にある非常停止スイッチ5qaを操作すればよい。即ち、図6に示すように、手の指Fhによりカバー本体21mを押せば、係止片部21s,21s…は凹溝部21r,21r…から容易に外れるため、指Fhの先端により押ボタン22を押し込むことができるとともに、この押ボタン22は、変位ストロークLmに基づくストローク長だけ押し込むことができる(ステップS11)。変位ストロークLmにわたって押ボタン22が変位すれば、押ボタン22によりスイッチ部品23のノブ23kも押し込まれ、非常停止スイッチ5qaはON(又はOFF)に切換わる(ステップS12)。この場合、いずれの非常停止スイッチ5qa,5qb,5qr,5prも押されていない状態であれば、例えば、OR回路51の入力信号は全て「0」となり出力信号も「0」となるが、いずれかの非常停止スイッチ5qaが切換わることにより出力信号は「1」となる。
この結果、車載コンピュータ17から自動ブレーキシステム18に指令信号が付与され、所定の緊急ブレーキ処理、即ち、走行規制手段6による自動車Cの速度を低下させる及び/又は停止させる処理が行われる(ステップS13)。具体的には、ブレーキアクチュエータ16によるブレーキの作動,車載コンピュータ17により制御される自動ブレーキシステム18に基づくブレーキの作動,回生ブレーキ19の作動,エンジンブレーキ20の作動による自動車Cの速度を低下させる処理及び/又は停止させる処理が行われる。
なお、このような間接的手段を介して停止(速度を低下)させる場合のみならず、非常停止スイッチ5qaが切換わることに基づき、内燃機関等の場合には、燃料の供給チューブ等の供給回路を遮断したり、点火プラグに接続した電気回路を遮断するなどの直接的手段、また、電気自動車等の場合には、走行駆動モータに接続した電力供給ラインを遮断するなどの直接的手段により停止(又は速度を低下)させてもよい。さらに、これらの作動処理は、単一の作動処理であってもよいし、二以上の作動処理を組み合わる方式であってもよい。
一方、緊急ブレーキ処理中は、車載コンピュータ17はアクセルペダルセンサ33からの検出信号に基づき、アクセルペダルが踏み込まれた否かを監視する。非常停止スイッチ5qaが操作された場合、実際のアクシデントの発生に基づいた操作ではなく、誤操作された場合も想定される。即ち、運転者が正常な状態で運転走行しているにも拘わらず、突然、減速が生じた場合、運転者が直ちにアクセルペダルを踏み込む操作を行なうことが想定される。したがって、この場合には、緊急ブレーキ処理を直ちに解除する処理を実行することができる(ステップS14,15)。したがって、この解除処理は、第三の誤操作防止手段として機能させることができる。
具体的には、非常停止スイッチ5qa…がONした後に、アクセルペダルセンサ33がアクセルペダルの踏み込みがあったことの検出を条件に、緊急ブレーキ処理の解除処理を行う。なお、緊急ブレーキ処理がそのまま継続した場合、最終的に自動車Cは停車状態になるため、停車したなら、同乗者は、シフトレバーをパーキング位置にするなど、必要な処置を行えばよい(ステップS14,S16,S2…)。また、押ボタン22は、一旦、押し込むことにより、図6に示す切換位置Xcで停止した状態になるため、解除ストロークLrだけ、更に押し込むことにより、図4に示す無操作位置Xnに復帰させることができる。
よって、このような本実施形態に係る非常停止システム1によれば、基本構成として、少なくとも助手席2qに着座した同乗者が操作可能なフロントシート(助手席,運転席)2q…側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa,5qb…及び/又はフロントシート2q,2p以外の他のシート(非フロントシート3q,3p)に着座した同乗者が操作可能な非フロントシート3q,3p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qr,5pr…と、非常停止スイッチ5qa,5qb…,5qr,5pr…の少なくとも一つが操作されたなら少なくとも自動車Cの速度を低下させる及び/又は停止させる走行規制手段6と、非常停止スイッチ5qa,5qb…,5qr,5pr…の誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段7a,7b…とを備えて構成したため、自動車Cに、少なくとも運転者以外の同乗者が操作可能な非常停止スイッチ5qa…を設けることによる基本的な機能及び効果を確保できることに加え、非常停止スイッチ5qa…の誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段7a…の機能により、誤操作防止効果を有効に確保できるため、非常停止システム1の信頼性及び自動車Cの安全性をより高めることができる。特に、自動車Cの走行中における子供等のいたずらや何かの物体が誤って当たる等の事態が生じた場合であっても、非常停止スイッチ5qa…の誤操作、更には誤動作を防止することができるため、自動車Cが無用に停止してしまう不具合を回避することができる。
しかも、非常停止スイッチ5qa…として、少なくとも助手席2qに着座した同乗者が操作可能なフロントシート(助手席,運転席)2q,2p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa,5qb…及び/又はフロントシート2q,2p以外の他のシート(非フロントシート3q,3p)に着座した同乗者が操作可能な非フロントシート3q,3p側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qr,5pr…を設けたため、同乗者の誰でも操作が可能となり、非常時における迅速なスイッチ操作を確保できるとともに、実際の操作につながらないなどの不具合を回避することができるなど、操作の容易性及び確実性、更にはシステムの有効性を高めることができる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本考案は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本考案の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、助手席2qに着座した同乗者が操作可能な少なくとも一以上の非常停止スイッチ5qa,5qbとして、助手席2qの前方に位置するダッシュボード11のパネル11p,助手席2q側に位置するフロントドア12qのアームレスト13qの近傍,センターコンソール14又はその近傍の位置に配設する場合を示したが、アームレスト13q自体に設けるなど、例示以外の他の部位に配設する場合を排除するものではない。特に、二つの非常停止スイッチ5qa,5qbを並べて配設し、二つの指で同時に操作することにより切換が有効となるようにすれば、誤操作防止手段として機能させることができる。図1に仮想線で示すAND回路53は、この場合の回路構成を示している。さらに、実施形態では、自動車Cとして、セダンタイプの自動車を示したが、その他、ワンボックスカータイプのように三列シートを備える自動車であっても同様に適用することが可能である。したがって、本考案における他のシート3p,3qは例示のような二列目となる後席に限定するものではなく、二列目以降の全てのシートを含む概念である。
本考案に係る非常停止システムは、少なくとも運転者以外の同乗者が非常停止スイッチを操作して各種の自動車を非常停止させるシステムとして利用できる。
1:自動車用非常停止システム,2q:助手席(フロントシート),2p:フロントシート(運転席),2pr:背凭部,2qr:背凭部,2prf:背凭部の背面,2qrf:背凭部の背面,3p:非フロントシート(フロントシート以外の他のシート),3q:非フロントシート(フロントシート以外の他のシート),5qa:非常停止スイッチ,5qb:非常停止スイッチ,5qr:非常停止スイッチ,5pr:非常停止スイッチ,6:走行規制手段,7a:誤操作防止手段,7b…:誤操作防止手段,11:ダッシュボード,12q:フロントドア,13q:アームレスト,14:センターコンソール,15p:他のシートに臨むドア,15q:他のシートに臨むドア,16:ブレーキ用アクチュエータ,17:車載コンピュータ,18:自動ブレーキシステム,19:回生ブレーキ,20:エンジンブレーキ,21:スイッチカバー,22:押ボタン,23:スイッチ部品,C:自動車,Lm:変位ストローク
Claims (3)
- 自動車を非常停止させるための少なくとも運転者以外の同乗者が操作可能な非常停止スイッチを備える自動車用非常停止システムにおいて、少なくとも助手席に着座した同乗者が操作可能なフロントシート側における少なくとも一以上の非常停止スイッチ及び/又は前記フロントシート以外の他のシート(非フロントシート)に着座した同乗者が操作可能な前記非フロントシート側における少なくとも一以上の非常停止スイッチと、前記非常停止スイッチの少なくとも一つが操作されたなら少なくとも自動車の速度を低下させる及び/又は停止させる走行規制手段と、前記非常停止スイッチの誤操作を防止する少なくとも一以上の誤操作防止手段とを備えてなることを特徴とする自動車用非常停止システム。
- 前記非フロントシート側における非常停止スイッチは、当該非フロントシートの前方におけるシートの背凭部の背面,当該非フロントシートに臨むドアのアームレスト又はその近傍,から選択した一又は双方に配設することを特徴とする請求項1記載の自動車用非常停止システム。
- 前記誤操作防止手段は、前記非常停止スイッチを収容凹部に収容し、かつこの収容凹部の開口に、押操作により外れるスイッチカバーを設けて構成するとともに、前記非常停止スイッチを、押ボタンの変位により切換わるスイッチ部品により構成し、かつ当該押ボタンの変位ストロークを所定の長さに設定してなることを特徴とする請求項1記載の自動車用非常停止システム。
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