JP3231177U - カウル取付金具 - Google Patents

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俊之 坂本
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Abstract

【課題】自動二輪車へのフロントカウルの取り付け、特に社外品のフロントカウルの取り付けであっても微妙な位置調整を一人で簡単に行うことができ、取り付け時間も短縮できるカウル取付金具を提供する。【解決手段】カウル取付金具10は、フロントカウル12を支持するカウル支持部材46、カウル支持部材46を自動二輪車のヘッドパイプ16に固定する固定部材50、カウル支持部材46と固定部材50との間に介在され、自動二輪車に対するフロントカウル12の高さ方向位置を無段階調整するカウル高さ調整手段52、カウル支持部材46と固定部材50との間に介在され、自動二輪車に対するフロントカウル12の前後方向位置を無段階調整するカウル前後調整手段54と、を備える。【選択図】図2

Description

本考案はカウル取付金具に係り、特に自動二輪車の車体前方を覆うフロントカウルを自動二輪車に取り付けるためのカウル取付金具に関する。
従来から、自動二輪車のハンドルの前方側に車体前方を覆うフロントカウル(フロントフェアリングとも言う)を取り付けた構造が知られている。このフロントカウルは単に車体の空気抵抗を減らしたり、ライダーを風圧や雨などから守ったりする役割以外に、自動二輪車の外観を決める上で大きな役割を担う。
純正品のフロントカウルが取り付けられたカウル付きの自動二輪車も販売されているが、フロントカウルを有しない自動二輪車に社外品のフロントカウルを取り付けることも一般的に行われている。
フロントカウルを自動二輪車に取り付ける場合には、ハンドル等の自動二輪車の各部材との間に一定の隙間ができるように微妙な位置調整をしながら取り付ける必要がある。更には、自動二輪車の走行の際にフロントカウルにバランス良く風圧がかかるように、走行方向に対してフロントカウルの偏りがないように微妙な位置調整を必要とする。
特許文献1には、自動二輪車に純正品のフロントフェアリング即ちフロントカウルを取り付けるための取付金具(フェアリングステー)が開示されている。この取付金具は、フロントカウルに中空状のフェアリングステーの前端取付部がビス等で固定されると共に、フェアリングステーの後部が自動二輪車のヘッドパイプのブラケットにピンにて固着されるようになっている。このように、純正品のカウルの場合には、付属品の取付金具を用いることで、ハンドル等の自動二輪車の各部材との間に一定の隙間ができるように位置決めされる。
公開実用昭和60-66594号公報
しかしながら、フロントカウルを元々有しない自動二輪車に社外品のフロントカウルを取り付ける場合、あるいは純正品のフロントカウルであってもカストマイズによってハンドル等の各部材が改造されている場合には、各部材との間に一定の隙間ができ且つバランス良く風圧がかかるように微妙な位置調整をしながら、フロントカウルを所望の位置に取り付けることは簡単ではない。
社外品のフロントカウルにも付属品として複数の部品からなる取付金具(ステーとも言う)は付いているが、各種の自動二輪車や改造した自動二輪車に対応できるようには製作されていない。このため、付属の取付金具を改造したり取付金具を自己製作したりして取り付けることが多い。また、フロントカウルの取り付け位置に合わせて取付金具の複数の部品を溶接によって接続や固定していく場合、フロントカウル取り付け終了後に取り付け位置に誤差が判明すると、再びやり直さなくてはならない。この結果、フロントカウルの取り付け時間に長時間を要したり取り付け位置の調整に2人以上を有したりすることが通常であり、取り付け効率が非常に悪いという問題がある。
本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであり、自動二輪車へのフロントカウルの取り付け、特に社外品のフロントカウルの取り付けであっても微妙な位置調整を一人で簡単に行うことができ、しかもフロントカウルの取り付け時間を飛躍的に短縮することができるカウル取付金具を提供することを目的とする。
本考案の考案者は、フロントカウル、特に社外品のフロントカウルを自動二輪車に取り付けるためには、自動二輪車の各部材との位置関係や走行方向に対する風圧のバランス等から微妙な位置調整が必要であるにも係わらず、それに対応したカウル取付金具がないとの知見に基づいても本考案を考案した。
前記目的を達成するために、本考案のカウル取付金具は、自動二輪車の車体前方を覆うフロントカウルを自動二輪車に取り付けるカウル取付金具において、フロントカウルを支持するカウル支持部材と、カウル支持部材を自動二輪車のヘッドパイプに固定する固定部材と、カウル支持部材と固定部材との間に介在され、自動二輪車に対するフロントカウルの高さ方向位置を無段階調整するカウル高さ調整手段と、カウル支持部材と固定部材との間に介在され、自動二輪車に対するフロントカウルの前後方向位置を無段階調整するカウル前後調整手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明のカウル取付金具によれば、フロントカウルを支持するカウル支持部材と、カウル支持部材を自動二輪車のヘッドパイプに固定する固定部材との間に、自動二輪車に対するカウルの高さ位置を無段階調整するカウル高さ調整手段と、自動二輪車に対するカウルの前後方向の位置を無段階調整するカウル前後調整手段と、を備えるようにした。
これにより、フロントカウルをカウル支持部材に支持し、固定部材を自動二輪車のヘッドパイプに固定したら、フロントカウルとハンドル等の自動二輪車の各部材との間に一定の隙間ができるように及び走行方向に対する風圧のバランスが良いように、カウル高さ調整手段とカウル前後調整手段とを自動二輪車の高さ方向と前後方向とに無段階調整する。
このように、カウル取付金具を使用してフロントカウルを自動二輪車のヘッドパイプに固定した後、カウル取付金具の高さ調整手段とカウル前後調整手段とを調整するだけで、自動二輪車の各部材との間に一定の隙間ができ且つバランス良く風圧がかかるように微妙な位置調整をしながら、フロントカウルを自動二輪車に取り付けることができる。したがって、自動二輪車へのフロントカウルの取り付けを一人で簡単に行うことができ、フロントカウルの取り付け時間を飛躍的に短縮することができる。特に、社外品のフロントカウルを自動二輪車に取り付けるカウル取付金具として有効である。
本考案のカウル取付金具の態様において、カウル高さ調整手段は、固定部材に形成されたスライド溝にスライド自在に嵌合され、自動二輪車の高さ方向にスライド可能なスライド板を有する高さスライド部材と、スライド板を所望のスライド位置で動かないようにロックする高さロック手段と、を有し、高さロック手段は、固定部材のスライド溝の両側面にスライド溝のスライド方向に沿って形成された対向する一対の長孔と、スライド板に形成された少なくとも1つの第1のボルト孔と、一対の長孔と第1のボルト孔とに通す少なくとも1本の第1のボルト部材と、第1のボルト部材に螺合する第1のナット部材とで構成され、スライド板の所望のスライド位置で第1のボルト部材と第1のナット部材とでスライド溝とスライド板とを締め付ける。
本考案の態様によれば、無段階調整のカウル高さ調整手段の構成として、固定部材のスライド溝に高さスライド部材のスライド板をスライド自在に嵌合すると共に、スライド溝の両側面にスライド溝のスライド方向に沿って形成された対向する一対の長孔を形成すると共にスライド板に形成された少なくとも1つの第1のボルト孔を形成し、第1のボルト部材を通す。そして、スライド板の所望のスライド位置で第1のボルト部材と第1のナット部材とでスライド溝とスライド板とを締め付けてスライド板が動かないようにロックする。
これにより、無段階調整のカウル高さ調整手段を簡単な構成で実現できる。また、ボルト締めで無段階調整するので、仮にカウル取付金具を用いてフロントカウルを自動二輪車に取り付けた後で、取り付け高さ位置に誤差が判明しても、簡単に再調整することができる。
本考案のカウル取付金具の態様において、カウル前後調整手段は、高さスライド部材のスライド板から自動二輪車の前方に延設された筒状部材と、カウル支持部材に設けられ、筒状部材にスライド自在に嵌合されて自動二輪車の前後方向にスライド可能な入れ子構造のスライド筒と、スライド筒を所望のスライド位置で動かないようにロックする前後ロック手段と、を有し、前後ロック手段は、筒状部材の対向する面に前記スライド筒のスライド方向に形成された対向する一対の長孔と、スライド筒に形成された少なくとも1つの貫通する第2のボルト孔と、一対の長孔と第2のボルト孔とに通す少なくとも1本の第2のボルト部材と、第2のボルト部材に螺合する第2のナット部材とで構成され、スライド筒の所望のスライド位置で第2のボルト部材と第2のナット部材とで筒状部材と前記スライド筒とを締め付ける。
本考案の態様によれば、無段階調整のカウル前後調整手段の構成として、高さスライド部材のスライド板に形成された筒状部材に、カウル支持部材に形成されたスライド筒をスライド自在な入れ子構造とし、筒状部材の長さ方向に対向して形成された一対の長孔と、スライド筒に形成された少なくとも1つの貫通する第2のボルト孔とを形成して第2のボルト部材を通す。そして、スライド筒の所望のスライド位置で第2のボルト部材と第2のナット部材とで筒状部材とスライド筒とを締め付けてスライド筒が動かないようにロックする。
これにより、無段階調整のカウル前後調整手段を簡単な構成で実現できる。また、ボルト締めで無段階調整するので、仮にカウル取付金具を用いてフロントカウルを自動二輪車に取り付けた後で、取り付け前後位置に誤差が判明しても、簡単に再調整することができる。
本考案のカウル取付金具の態様において、カウル支持部材と固定部材との間に介在され、自動二輪車に対するフロントカウルの上下角度を無段階調整するカウル角度調整手段を更に有することが好ましい。自動二輪車の車体形状によっては、自動二輪車に対するカウルの高さ位置と前後位置の調整だけではハンドル等の自動二輪車の各部材との隙間調整が難しい場合があるが、カウル角度調整手段を設けることで対応することができる。ここで、上下角度とは、フロントカウルを水平方向に対してカウル先端側が上向き又は下向きになるように角度を付けることを言う。
本考案のカウル取付金具の態様において、カウル角度調整手段は、高さスライド部材のスライド板と筒状部材との間に介在され、筒状部材をスライド板に対して縦向きに揺動自在なヒンジ構造と、筒状部材を所望の揺動角度で動かないようにロックする角度ロック手段と、を有し、角度ロック手段は、ヒンジ構造の揺動軸としての第3のボルト部材と、第3のボルト部材に螺合する第3のナット部材とで構成され、筒状部材の所望の上下角度で第3のボルト部材と第3のナット部材とでヒンジ構造を締め付ける。
本考案の態様によれば、無段階調整のカウル角度調整手段の構成として、高さスライド部材の筒状部材をスライド板に対して縦向きに揺動自在なヒンジ構造とし、ヒンジ構造の揺動軸としての第3のボルト部材を使用した。そして、筒状部材の所望の上下角度で第3のボルト部材と第3のナット部材とでヒンジ構造を締め付けてヒンジ構造が動かないようにロックする。これにより、無段階調整のカウル角度調整手段を簡単な構成で実現できる。また、ボルト締めで無段階調整するので、仮にカウル取付金具を用いてフロントカウルを自動二輪車に取り付けた後で、取り付け角度に誤差が判明しても、簡単に再調整することができる。
本考案のカウル取付金具の態様において、カウル支持部材は、T字棒の形状に形成され、T字棒の縦棒部分にスライド筒が形成されると共にT字棒の横棒部分に自動二輪車のヘッドライト取付部が形成された支持部材本体と、支持部材本体の横棒部分の両端から自動二輪車の後方に向いて延設された可撓性の一対の支持アームと、一対の支持アームの端部に形成され、フロントカウルに連結する連結部と、を備える。
このように、一対の支持アームを可撓性にすることで、フロントカウルの内側面をカウルの形状に倣って支持することができ、その状態で支持アームの連結部とフロントカウルとを連結することで、カウル取付金具にフロントカウルをしっかりと支持することができる。また、自動二輪車の車体前方を覆うフロントカウルを取り付けることで、元々のヘッドライト位置を変える必要があるが、カウル取付金具にヘッドライト取付部を形成することで、ヘッドライトを容易に取り付けることができる。
本考案のカウル取付金具によれば、自動二輪車へのフロントカウルの取り付け、特に社外品のフロントカウルの取り付けであっても微妙な位置調整を一人で簡単に行うことができ、しかもフロントカウルの取り付け時間を飛躍的に短縮することができる。
本考案の第1の実施の形態のカウル取付金具の全体構成図 本考案の第1の実施の形態のカウル取付金具の分解図 フロントカウルを取り付ける自動二輪車の一例を示した側面図 フロントカウルの一例としてロケットカウルの斜視図 本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具の全体構成を説明する分解図 本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具のカウル角度調整手段の説明図 本考案のカウル取付金具における高さロック手段の変形例 本考案のカウル取付金具における前後ロック手段の変形例
以下添付図面にしたがって、本考案にかかるカウル取付金具の好ましい実施の形態について詳述する。本考案のカウル取付金具は、自動二輪車の車体前方を覆うフロントカウルを自動二輪車に取り付けるためのものであり、図1は本考案の第1の実施の形態のカウル取付金具の全体構成図である。図2はカウル取付金具の分解図であり、カウル取付金具の構成部材及び構成部材とフロントカウルとの関係や構成部材と自動二輪車との関係が分かり易いように分解図としている。また、図2では、カウル取付金具10に支持するフロントカウル12をカウル取付金具10が隠れないように想像線で示し、カウル取付金具10を固定する自動二輪車14のヘッドパイプ16は実線で示した。
図3は本考案のカウル取付金具10を用いてフロントカウル12を取り付ける自動二輪車14の一例を示した側面図であり、図4は自動二輪車14の車体前方を覆うフロントカウル12の一例としてハーフタイプのロケットカウルを示す斜視図である。なお、本考案のカウル取付金具10を説明する前に先ず、自動二輪車14とフロントカウル12について簡単に説明する。
(自動二輪車)
図3に示す自動二輪車14は、オフロード・バイクの一例であり、主として、車体フレーム18と、車体フレーム18の前部に設けられるヘッドパイプ16と、ヘッドパイプ16に回転可能に設けられたフロントフォーク20と、フロントフォーク20の上端部に軸支されたハンドル22と、フロントフォーク20の下端部に設けられた前輪24と、前輪24を覆うフロントフェンダ26と、車体フレーム18に取り付けられた燃料タンク28と、燃料タンク28の後方に設けられたシート30と、シート30の下方に設けられたエンジン32A及び変速機32Bからなるパワーユニット系32と、エンジン32Aに繋がる排気管34と、エンジン32Aの上方に設けられたラジエータシュラウド36と、パワーユニット系32の後方に設けられたスイングアーム38を介して設けられた後輪40と、後輪40の上方に設けられたリアフェンダ42と、で構成され、自動二輪車のサイド部分にはサイドカバー44が取り付けられている。なお、自動二輪車のヘッドライトはフロントカウル12の取り付けのために取り外した状態になっている。
(フロントカウル)
図4に示すフロントカウル12は、図3で示した自動二輪車14の燃料タンク28下部の辺りから車体前方に向かってロケットのように丸みを帯びた流線形に形成される。また、フロントカウル12の両側部は自動二輪車14のハンドル22の操作の邪魔にならないようにU字を横にした形状の切り欠き部12Aが形成されている。そして、フロントカウル12の両側部における切り欠き部12Aの上側には自動二輪車14の車体後方に向かって腕状に延設された一対のアーム部12Bが形成され、両側部の下側には車体後方に向かって延設された一対の側板部12Cが形成されている。
そして、一対のアーム部12Bの端部にカウル取付金具10におけるカウル支持部材46(図2参照)の一対の支持アーム48(図2参照)に連結する3つの連結孔12Dが形成される。更に、フロントカウル12の先端部には自動二輪車14のヘッドライト(図示せず)を配置するための開口部12Eが形成されている。
なお、フロントカウル等のカウルは、一般的にABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの3成分からなる熱可塑性樹脂)、FRP樹脂(繊維強化樹脂)、カーボン樹脂等の材質で形成されている。
このように、自動二輪車14の車体前方を覆うフロントカウル12を自動二輪車14に取り付けることにより、車体の空気抵抗を減らしたり、ライダーを風圧や雨などから守ったりする。また、自動二輪車14の外観の見栄えよくすることができる。そして、フロントカウル12は、本考案のカウル取付金具を用いて、自動二輪車14のヘッドパイプ16に取り付けられる。次に、図1及び図2により、本考案のカウル取付金具10について詳しく説明する。
[本考案の第1の実施の形態のカウル取付金具]
本考案の第1の実施の形態のカウル取付金具10は、主として、フロントカウル12を支持するカウル支持部材46と、カウル支持部材46を自動二輪車14のヘッドパイプ16に固定する固定部材50と、カウル支持部材46と固定部材50との間に介在され、自動二輪車14に対するフロントカウル12の高さ方向位置を無段階調整するカウル高さ調整手段52と、カウル支持部材46と固定部材50との間に介在され、自動二輪車14に対するフロントカウル12の前後方向位置を無段階調整するカウル前後調整手段54と、を備えて構成される。
なお、以下のカウル取付金具10の各部材の説明において、カウル取付金具10を自動二輪車14のヘッドパイプ16に取り付けた状態において、各部材のヘッドパイプ16の側の面を裏面とし、ヘッドパイプ16とは反対側の面を表面と称することにする。
(カウル支持部材)
図1及び図2に示すように、カウル支持部材46の支持部材本体46AはT字棒の形状に形成され、支持部材本体46Aの横棒部分の両端部から自動二輪車14の後方に向いて一対の可撓性の支持アーム48が延設される。また、支持アーム48の端部にフロントカウル12のアーム部12Bに形成された3つの連結孔12Dに対応する3つのネジ孔56A(雌ネジが刻設されている)が形成された連結部56が設けられる。そして、ネジ孔56Aにネジ56Bが螺合される。
また、カウル支持部材46の横棒部分には、自動二輪車14のヘッドライトを取り付けるランプ取付部58が設けられている。本実施の形態では、横棒部分に2個のヘッドライトを並設する2連式のランプ取付部58で示している。
なお、可撓性の支持アーム48の曲げ強度としては、人の力で強く曲げないと曲がらない強度であって、少なくともフロントカウル12の重さでは曲がらない強度であることが必要である。
T字棒の形状に形成された支持部材本体46Aの縦棒部分は、カウル前後調整手段54の構成要素であるスライド筒82を形成し、スライド筒82についてはカウル前後調整手段54の説明部分で詳しく説明する。
(固定部材)
固定部材50は、カウル支持部材46をカウル高さ調整手段52及びカウル前後調整手段54を介して自動二輪車14のヘッドパイプ16に確実に固定できればどのようなものでもよいが、例えば固定部材本体60と、Uボルト用ナット部材62Aを有する2本のUボルト部材62とで構成することが好ましい。
固定部材本体60は、矩形板状に形成され、表面にカウル高さ調整手段52の構成要素であるスライド溝64が形成される。また、固定部材本体60の裏面には、横断面形状が円弧状に形成された縦向きの窪み66が形成される。更に、固定部材本体60の4隅には、2本のUボルト部材62のUボルト用ボルト孔(図示せず)が形成される。
Uボルト部材62はU字形状をしたボルトであって、U字形状の円弧部分はヘッドパイプ16の直径と略同等の円弧径に形成される。また、Uボルト部材62の両端部にはUボルト用ナット部材62Aに螺合する雄ネジが刻設されている。
そして、図2に示すように、固定部材本体60の裏面の窪み66をヘッドパイプ16に当接させた状態で、ヘッドパイプ16を介して1本のUボルト部材62を固定部材本体60の上側の2つのUボルト用ボルト孔に通してUボルト用ナット部材62Aで締め付け、もう1本のUボルト部材62を固定部材本体60の下側の2つのUボルト用ボルト孔に通してUボルト用ナット部材62Aで締め付ける。
これにより、カウル取付金具10の固定部材50を自動二輪車14のヘッドパイプ16に固定することができる。この場合、固定部材本体60の裏面に窪み66を形成したので、固定部材本体60とヘッドパイプ16との接触面が大きくなり、ヘッドパイプ16に対して固定部材本体60が動かないように確実に固定できる。なお、図示しなかったが、固定部材本体60の窪み66に滑り防止性を有するゴムシートを貼り付けることで、ヘッドパイプ16に対して固定部材本体60が一層動かないようにできる。
(カウル高さ調整手段)
カウル高さ調整手段52は、自動二輪車14に対するフロントカウル12の高さ方向位置を無段階調整できる構成であればどのようなものでもよいが、固定部材50に形成されたスライド溝64にスライド自在に嵌合され、自動二輪車14の高さ方向にスライド可能なスライド板68を有する高さスライド部材70と、スライド板68を所望のスライド位置で動かないようにロックする高さロック手段72と、で構成することが好ましい。
固定部材50の固定部材本体60に形成されたスライド溝64は、固定部材本体60の表面から凸状に設けられた溝として形成される。即ち、スライド溝64は、表面64A、両側面64B、64B、裏面64C(固定部材本体60の表面に相当)との4つの面で囲まれた断面四角形状に形成される。スライド溝64の表面64Aには、スライド溝64に沿ってスライド溝64の幅よりも狭く且つスライド溝64の上端から下端までの開口部64Dが形成されている。スライド溝64の形状としては断面四角形状に限定するものではなく、例えば固定部材本体60の表面から凸状に設けられた蟻溝形状にすることもできる。
高さスライド部材70は、スライド溝64にスライド自在に嵌合する矩形状のスライド板68と、スライド板68の表面中央部から自動二輪車14の前方に延設された四角筒形状の筒状部材74とで構成される。筒状部材74の横幅は、スライド溝64の開口部64Dの幅よりも僅かに小さくなるように形成される。また、筒状部材74はスライド板68から水平方向に延設されてもよいが、斜め上方に延設されることが好ましい。なお、高さスライド部材70の筒状部材74は、後記するカウル前後調整手段54の構成要素として使用される。
そして、高さスライド部材70の筒状部材74を固定部材50のスライド溝64の開口部64Dに向けた状態で、スライド板68をスライド溝64の上端開口又は下端開口からスライド溝64に挿入する。これにより、高さスライド部材70のスライド板68が固定部材50のスライド溝64にスライド自在に支持される。
高さロック手段72は、固定部材50のスライド溝64の両側面64Bにスライド溝64に沿って形成された対向する一対の長孔73と、スライド板68に形成された少なくとも1つの貫通する第1のボルト孔76と、一対の長孔73と少なくとも1つの第1のボルト孔76に通すワッシャ78Aを有する1本の第1のボルト部材78と、第1のボルト部材78に螺合する第1のナット部材80とで構成される。なお、本実施の形態では、2つの第1のボルト孔76と2本の第1のボルト部材78で示した。
そして、固定部材50のスライド溝64に高さスライド部材70のスライド板68をスライド自在に嵌合した状態で、スライド溝64の両側面64Bに形成された対向する一対の長孔73と、スライド板68に形成された第1のボルト孔76とに第1のボルト部材78を通して、スライド板68の所望のスライド位置で第1のボルト部材78と第1のナット部材80とでスライド溝64とスライド板68とを締め付けてロックする。
これにより、高さスライド部材70を自動二輪車14の高さ方向に無段階調整することができるので、簡単な構成でカウル高さ調整手段52を構築することができる。なお、カウル高さ調整手段52による高さ方向の調整可能距離としては、自動二輪車14に対するフロントカウル12の高さ方向の調整距離を満足すればよく、例えば20cm程度あればよい。
(カウル前後調整手段)
カウル前後調整手段54は、自動二輪車14に対するフロントカウル12の前後位置を無段階調整できる構成であればどのようなものでもよいが、例えば高さスライド部材70に形成された筒状部材74と、カウル支持部材46に形成され、筒状部材74にスライド自在に支持されたスライド筒82と、スライド筒82を所望のスライド位置で動かないようにロックする前後ロック手段84と、で構成することが好ましい。
筒状部材74は、四角筒状に形成され、スライド板68から自動二輪車14の前方に延設される。また、スライド筒82は、四角筒状に形成され、カウル支持部材46のT字棒形状の支持部材本体46Aの縦棒部分に形成される。そして、筒状部材74とスライド筒82とは入れ子構造に形成され、スライド筒82が筒状部材74にスライド自在に嵌合する。筒状部材74に対してスライド筒82がスライドすることによって、カウル支持部材46が自動二輪車の前後方向にスライドする。
また、前後ロック手段84は、筒状部材74の対向する上面と下面とに、スライド筒82がスライドする方向に対向して形成された一対の長孔86と、スライド筒82に形成された少なくとも1つの貫通する第2のボルト孔88と、一対の長孔86と少なくとも1つの第2のボルト孔88とに通す少なくともワッシャ90Aを有する1本の第2のボルト部材90と、第2のボルト部材90に螺合する第2のナット部材92とで構成される。
なお、図1及び図2では、筒状部材74の上面と下面とに対向する一対の長孔86を形成したが、筒状部材74の両側面に対向する一対の長孔86を形成してもよい。筒状部材74の両側面に対向する一対の長孔86を形成する場合には、スライド筒82の第2のボルト孔88はスライド筒82の両側面を貫通するように形成する。また、図2では、スライド筒82の第2のボルト孔88をスライド筒82の長さ方向の2箇所に形成した例で示している。
そして、図1に示すように、カウル支持部材46のスライド筒82を、高さスライド部材70の筒状部材74に挿入した状態で、筒状部材74に形成された対向する一対の長孔86と、スライド筒82に形成された第2のボルト孔88とに第2のボルト部材90を通して、スライド筒82の所望のスライド位置で第2のボルト部材90と第2のナット部材92とで筒状部材74とスライド筒82とを締め付けることで、スライド筒82が動かないようにロックする。
これにより、カウル支持部材46を自動二輪車14の前後方向に無段階調整することができるので、簡単な構成でカウル前後調整手段54を構築することができる。なお、カウル前後調整手段54による前後方向の無段階調整可能距離としては、自動二輪車14に対するフロントカウル12の前後方向の調整距離を満足すればよく、例えば20cm程度あればよい。
なお、本実施の形態では、カウル支持部材46の側にカウル前後調整手段54を配置し、固定部材50の側にカウル高さ調整手段52を配置した。しかし、図示しないが、カウル支持部材46の側にカウル高さ調整手段52を配置し、固定部材50の側にカウル前後調整手段54を配置するようにカウル取付金具10を構成する場合も本考案に含まれる。
(フロントカウルの取付け方法)
次に、図1〜図4を用いて、本考案のカウル取付金具10を使用して、フロントカウル12を自動二輪車14に取り付ける取付け方法を説明する。
先ず、カウル取付金具10のカウル支持部材46、固定部材50、カウル高さ調整手段52、及びカウル前後調整手段54の各部材及び各手段を組み立てる組立作業と、カウル取付金具10にフロントカウル12を支持すると共にカウル取付金具10を自動二輪車14のヘッドパイプ16に固定する固定作業との取付け準備作業を行う。
図2に示すように、カウル取付金具10のカウル支持部材46の一対の支持アーム48を、フロントカウル12の内側面に当接させた状態で、支持アーム48の連結部56のネジ孔56Aとフロントカウル12のアーム部12Bの3つの連結孔12D(図4参照)とを一致させてネジ56Bによりネジ止めする。これにより、カウル支持部材46にフロントカウル12を支持することができる。
カウル支持部材46によるフロントカウル12の支持において、支持アーム48を可撓性としたことによって、フロントカウル12の内側面の流線形に倣って支持アーム48を流線形に曲げ成形することができる。これにより、支持アーム48全体でフロントカウル12を支持することができるだけでなく、支持アーム48がフロントカウル12の補強部材(リブ)としての役目をするので、フロントカウルの強度を大きくすることができる。
カウル支持部材46にフロントカウル12を支持した状態において、T字棒の形状に形成された支持部材本体46Aの横棒部分がフロントカウル12の先端部に形成された開口部12Eを臨む位置に配置される。
次に、図2に示すように、自動二輪車14のヘッドパイプ16にカウル取付金具10の固定部材50の固定部材本体60を、2本のUボルト部材62とUボルト用ナット部材62Aとで固定する。この場合、固定部材50が自動二輪車14の前方正面を向いて正しく固定されるようにする。なお、カウル支持部材46へのフロントカウル12の支持と、ヘッドパイプ16への固定部材50の固定は何れを先に行ってもよい。
次に、カウル支持部材46と固定部材50との間に、カウル高さ調整手段52を介在させる。即ち、固定部材50のスライド溝64の上端開口又は下端開口から高さスライド部材70のスライド板68を挿入して、図1に示すようにスライド板68をスライド溝64にスライド自在に嵌合させる。
そして、スライド溝64の対向する一対の長孔73と、スライド板68の2つの第1のボルト孔76とにそれぞれ第1のボルト部材78を通し、第1のナット部材80を螺合する。これにより、カウル支持部材46と固定部材50との間に、カウル高さ調整手段52を介在させることができる。
次に、カウル支持部材46と固定部材50との間に、カウル前後調整手段54を介在させる。即ち、高さスライド部材70の筒状部材74に、フロントカウル12を支持したカウル支持部材46のスライド筒82を挿入して、図1に示すようにスライド筒82を筒状部材74にスライド自在に嵌合させる。
そして、筒状部材74の対向する一対の長孔86と、スライド筒82の第2のボルト孔88とに第2のボルト部材90を通し、第2のナット部材92を螺合する。これにより、カウル支持部材46と固定部材50との間に、カウル前後調整手段54を介在させることができる。
なお、上記説明では、カウル取付金具10を組み立てる途中で、フロントカウル12をカウル取付金具10に支持し、固定部材50をヘッドパイプ16に固定した。しかし、カウル取付金具10を組み立てた後でフロントカウル12をカウル取付金具10に支持し、固定部材50をヘッドパイプ16に固定してもよいことは勿論である。
この結果、フロントカウル12のヘッドパイプ16への取付け準備作業が終了するので、次にフロントカウル12が自動二輪車14のハンドル22等の自動二輪車14の各部材と一定の隙間が形成され、且つ自動二輪車14の走行方向に対してバランス良くなるようにフロントカウル12の位置調整を行う。
フロントカウル12の位置調整ステップとしては、先ず、カウル高さ調整手段52で自動二輪車14に対するフロントカウル12の高さ方向位置をおおざっぱに粗調整する。即ち、図1に示すように、固定部材50のスライド溝64に対してカウル高さ調整手段52の高さスライド部材70を自動二輪車14の高さ方向(図1の矢印A−B方向)にスライドさせ、フロントカウル12とハンドル22等の自動二輪車14の各部材との間に略一定の高さ方向の隙間ができるようにする。この状態で第1のボルト部材78と第1のナット部材80とでスライド溝64とスライド板68とを緩く締めつけて仮締めしておく。
次に、カウル前後調整手段54で自動二輪車14に対するフロントカウル12の前後方向位置をおおざっぱに粗調整する。即ち、高さスライド部材70の筒状部材74に対してスライド筒82を自動二輪車14の前後方向(図1の矢印C−D方向)にスライドさせ、フロントカウル12とハンドル22等の自動二輪車14の各部材との間に略一定の高さ方向の隙間ができるようにする。この状態で第2のボルト部材90と第2のナット部材92とで筒状部材74とスライド筒82とを緩く締めつけて仮締めしておく。ここで、仮締めとは、位置調整する作業者が強い力でスライド板68又はスライド筒82を動かすとスライドする程度を言う。
次に、フロントカウル12と自動二輪車14の各部材との位置関係や、自動二輪車14の走行方向に対するフロントカウル12のバランス等を見ながら、カウル高さ調整手段52とカウル前後調整手段54との両方を微調整する。
即ち、スライド溝64に対するスライド板68のスライド位置と、筒状部材74に対するスライド筒82のスライド位置とを微調整する。そして、所望する一定のスライド位置で第1のボルト部材78と第1のナット部材80とでスライド溝64とスライド板68とを強く締めつけて本締めすると共に、第2のボルト部材90と第2のナット部材92とで筒状部材74とスライド筒82とを強く締め付けて本締めする。
このように、カウル取付金具10を使用してフロントカウル12を自動二輪車14のヘッドパイプ16に固定した後、カウル取付金具10のカウル高さ調整手段52とカウル前後調整手段54とを調整するだけで、自動二輪車14の各部材との間に一定の隙間ができ且つバランス良く風圧がかかるように微妙な位置調整をしながら、フロントカウル12を自動二輪車14に取り付けることができる。
これにより、自動二輪車14へのフロントカウル12の取り付け、特に社外品のフロントカウル12の取り付けであっても微妙な位置調整を一人で簡単に行うことができ、しかもフロントカウル12の取り付け時間を飛躍的に短縮することができる。
また、カウル高さ調整手段52及びカウル前後調整手段54は、スライドする2つの部材をボルト締めで無段階調整するので、自動二輪車14に対するフロントカウル12の高さ位置や前後位置を微妙に位置調整することができる。
更に、カウル高さ調整手段52及びカウル前後調整手段54は、スライドする2つの部材をボルト締めで無段階調整するので、仮にカウル取付金具10を用いてフロントカウル12を自動二輪車14に取り付けた後で、取り付け高さ位置や取り付け前後位置に誤差が判明しても、簡単に再調整することができる。
[本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具]
図5は、本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具100の全体構成を説明する分解図であり、図6は本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具100に設けられた無段階調整のカウル角度調整手段94の説明図である。
図5に示すように、本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具100は、上記した第1の実施の形態のカウル取付金具10に、更にカウル角度調整手段94を設けたものである。その他の構成は、第1の実施の形態のカウル取付金具10と同様なので、説明は省略し、カウル角度調整手段94について以下に説明する。
図6に示すように、カウル角度調整手段94は、高さスライド部材70のスライド板68と筒状部材74との間に介在され、筒状部材74をスライド板68に対して縦向きに揺動自在なヒンジ構造96と、筒状部材74を所望の揺動角度で動かないようにロックする角度ロック手段98と、を有する。
ヒンジ構造96は、スライド板68の表面中央部から突設した第1の円筒リング96Aと、第1の円筒リング96Aの両側に隣接して配設され、筒状部材74の基端側両端部に設けられた一対の第2の円筒リング96Bと、第1の円筒リング96Aと一対の第2の円筒リング96Bとの中心孔を貫通する揺動軸としての第3のボルト部材96Cと、で構成される。
第1の円筒リング96Aと第2の円筒リング96Bの直径及び中心孔の直径は同じに形成され、第1の円筒リング96Aと第2の円筒リング96Bの中心孔に第3のボルト部材96Cが貫通している。これにより、筒状部材74はスライド板68に対して上下角度方向(図6の矢印E−F方向)に揺動可能である。
角度ロック手段98は、ヒンジ構造96の揺動軸と兼用される第3のボルト部材96Cと、第3のボルト部材96Cに螺合する第3のナット部材98Aとで構成され、スライド板68に対する筒状部材74の所望の上下角度で第3のボルト部材96Cと第3のナット部材98Aとでヒンジ構造96を締め付ける。この結果、第1の円筒リング96Aと第2の円筒リング96Bとの隣接面の摩擦抵抗が大きくなるので、スライド板68に対して筒状部材74が揺動しないようにロックされる。これにより、高さスライド部材70のスライド板68と筒状部材74との間に無段階調整のカウル角度調整手段94を介在させることができる。
このように、カウル取付金具100に無段階調整のカウル角度調整手段94を設けることにより、自動二輪車14に対するフロントカウル12の微妙な上下方向角度を無段階調整することができる。
また、第1の円筒リング96Aと第2の円筒リング96Bとの隣接部分には、円板状の滑り防止用のゴムシート102が挟持されることが好ましい。これにより、第3のボルト部材96Cと第3のナット部材98Aとでヒンジ構造96を締め付けたときに、ゴムシート102によって第1の円筒リング96Aと第2の円筒リング96Bとの摩擦抵抗が一層大きくなるので、筒状部材74が確実に動かないようにロックできる。
したがって、本考案の第2の実施の形態のカウル取付金具100は、本考案の第1の実施の形態のカウル取付金具に比べて、カウル角度調整手段94を設けることにより、自動二輪車14に対するフロントカウル12の取り付け位置を、よりきめ細かに調整することができる。
また、カウル角度調整手段94は、ヒンジ構造96をボルト締めで無段階調整するので、自動二輪車14に対するフロントカウル12の角度位置を微妙に角度調整することができる。更に、カウル角度調整手段94は、ヒンジ構造96をボルト締めで無段階調整するので、仮にカウル取付金具10を用いてフロントカウル12を自動二輪車14に取り付けた後で、角度位置に誤差が判明しても、簡単に再調整することができる。
[カウル高さ調整手段及びカウル前後調整手段の変形例]
上記した第1及び第2の実施の形態のカウル取付金具10,100において、カウル高さ調整手段52の高さロック手段72及びカウル前後調整手段54の前後ロック手段84は、上記したようにスライド自在な2つの部材(スライド溝64とスライド板68又は筒状部材74とスライド筒82)に第1のボルト部材78又は第2のボルト部材90を通して第1のナット部材80又は第2のナット部材92で締め付けて2つの部材を密着させる。これにより、2つの部材の接触抵抗を大きくして動かないようにロックすることで無段階調整する方式である。
したがって、2つの部材の剛性が大きい場合や厚みが厚い場合等により、締め付け時に2つの部材同士が密着しにくいために摩擦抵抗が大きくなりにくい場合には、次に説明する高さロック手段72及び前後ロック手段84を採用することが好ましい。
図7は、カウル高さ調整手段52の高さロック手段72の変形例である。図1及び図2における高さロック手段72では、高さスライド部材70のスライド板68に貫通孔として第1のボルト孔76を形成したが、変形例の図7では、スライド板68の両側面に雌ネジが刻設されたネジ穴106(貫通孔ではない)を形成し、このネジ穴106にワッシャ108Aを有するネジ108を螺合させるようにした。なお、本実施の形態では、スライド板68の両側面に、それぞれ2個のネジ穴106を形成した。
即ち、スライド溝64にスライド板68をスライド自在に嵌合した状態で、スライド溝64の両側面64Bに形成された一対の長孔73から、それぞれネジ108を通してスライド板68の両側面に形成されたネジ穴106にねじ込む。これにより、図7の高さロック手段72の変形例は、図1及び図2の高さロック手段72のように、第1のボルト部材78と第1のナット部材80とでスライド溝64とスライド板68との全体を締め付けるのではなく、ネジ108とスライド板68のネジ穴106とでスライド溝64の両側面64Bをそれぞれ締め付けることができる。
したがって、図7で示した高さロック手段72の変形例は、スライド溝64の剛性が高い場合や厚みが厚い場合であっても、スライド溝64に対してスライド板68が動かないように確実にロックできる。
図8は、カウル前後調整手段54の前後ロック手段84の変形例である。図1及び図2における前後ロック手段84では、カウル支持部材46のスライド筒82の上面と下面とに貫通孔として第2のボルト孔88を形成したが、変形例の図8では、第2のボルト孔88の内側面に第4のナット部材110を溶接等により固着させる。そして、スライド筒82の第2のボルト孔88の内側面に固着された第4のナット部材110に、ワッシャ112Aを有する第4のボルト部材112を螺合させるようにした。
即ち、高さスライド部材70の筒状部材74に、カウル支持部材46のスライド筒82をスライド自在に嵌合した状態で、筒状部材74の上下面に形成された一対の長孔86から、それぞれ第4のボルト部材112を通してスライド筒82の上面と下面との第2のボルト孔88の内面に固着された第4のナット部材110にねじ込む。
これにより、図8の前後ロック手段84の変形例は、図1及び図2の前後ロック手段84のように、第2のボルト部材90と第2のナット部材92とで筒状部材74とスライド筒82との全体を締め付けるのではなく、第4のボルト部材112とスライド筒82の第4のナット部材110とで筒状部材74の上面と下面とをそれぞれ締め付けることができる。したがって、図8で示した前後ロック手段84の変形例は、筒状部材74やスライド筒82の剛性が高い場合や厚みが厚い場合であっても、筒状部材74に対してスライド筒82が動かないように確実にロックできる。なお、上記の変形例では、スライド筒82の第2のボルト孔88の内側面に第4のナット部材110を固着したが、第2のボルト孔88に雌ネジを刻設してもよい。
10、100…カウル取付金具、12…フロントカウル、12A…切り欠き部、12B…アーム部、12C…側板部、12D…連結孔、12E…開口部、14…自動二輪車、16…ヘッドパイプ、18…車体フレーム、20…フロントフォーク、22…ハンドル、24…前輪、26…フロントフェンダ、28…燃料タンク、30…シート、32A…エンジン、32B…変速機、32…パワーユニット系、34…排気管、36…ラジエータシュラウド、38…スイングアーム、40…後輪、42…リアフェンダ、44…サイドカバー、46…カウル支持部材、46A…支持部材本体、48…支持アーム、50…固定部材、52…カウル高さ調整手段、54…カウル前後調整手段、56…連結部、56A…ネジ孔、56B…ネジ、58…ランプ取付部、60…固定部材本体、62A…Uボルト用ナット部材、62…Uボルト部材、64…スライド溝、64A…表面、64B…側面、64C…裏面、64D…開口部、66…窪み、68…スライド板、70…高さスライド部材、72…高さロック手段、73…長孔、74…筒状部材、76…第1のボルト孔、78…第1のボルト部材、78A…ワッシャ、80…第1のナット部材、82…スライド筒、84…前後ロック手段、86…長孔、88…第2のボルト孔、90…第2のボルト部材、90A…ワッシャ、92…第2のナット部材、94…カウル角度調整手段、96…ヒンジ構造、96A…第1の円筒リング、96B…第2の円筒リング、96C…第3のボルト部材、98…角度ロック手段、98A…第3のナット部材、102…ゴムシート、110…第4のナット部材、112…第4のボルト部材

Claims (6)

  1. 自動二輪車の車体前方を覆うフロントカウルを前記自動二輪車に取り付けるカウル取付金具において、
    前記フロントカウルを支持するカウル支持部材と、
    前記カウル支持部材を前記自動二輪車のヘッドパイプに固定する固定部材と、
    前記カウル支持部材と前記固定部材との間に介在され、前記自動二輪車に対する前記フロントカウルの高さ方向位置を無段階調整するカウル高さ調整手段と、
    前記カウル支持部材と前記固定部材との間に介在され、前記自動二輪車に対する前記フロントカウルの前後方向位置を無段階調整するカウル前後調整手段と、を備えたことを特徴とするカウル取付金具。
  2. 前記カウル高さ調整手段は、
    前記固定部材に形成されたスライド溝にスライド自在に嵌合され、前記自動二輪車の高さ方向にスライド可能なスライド板を有する高さスライド部材と、
    前記スライド板を所望のスライド位置で動かないようにロックする高さロック手段と、を有し、
    前記高さロック手段は、
    前記固定部材の前記スライド溝の両側面に前記スライド溝のスライド方向に沿って形成された対向する一対の長孔と、
    前記スライド板に形成された少なくとも1つの第1のボルト孔と、
    前記一対の長孔と前記第1のボルト孔とに通す少なくとも1本の第1のボルト部材と、
    前記第1のボルト部材に螺合する第1のナット部材とで構成され、
    前記スライド板の所望のスライド位置で前記第1のボルト部材と前記第1のナット部材とで前記スライド溝と前記スライド板とを締め付ける請求項1に記載のカウル取付金具。
  3. 前記カウル前後調整手段は、
    前記高さスライド部材の前記スライド板から前記自動二輪車の前方に延設された筒状部材と、
    前記カウル支持部材に設けられ、前記筒状部材にスライド自在に嵌合されて前記自動二輪車の前後方向にスライド可能な入れ子構造のスライド筒と、
    前記スライド筒を所望のスライド位置で動かないようにロックする前後ロック手段と、を有し、
    前記前後ロック手段は、
    前記筒状部材の対向する面に前記スライド筒のスライド方向に形成された対向する一対の長孔と、
    前記スライド筒に形成された少なくとも1つの貫通する第2のボルト孔と、
    前記一対の長孔と前記第2のボルト孔とに通す少なくとも1本の第2のボルト部材と、
    前記第2のボルト部材に螺合する第2のナット部材とで構成され、
    前記スライド筒の所望のスライド位置で前記第2のボルト部材と前記第2のナット部材とで前記筒状部材と前記スライド筒とを締め付ける請求項2に記載のカウル取付金具。
  4. 前記カウル支持部材と前記固定部材との間に介在され、前記自動二輪車に対する前記フロントカウルの上下角度を無段階調整するカウル角度調整手段を更に有する請求項3に記載のカウル取付金具。
  5. 前記カウル角度調整手段は、
    前記高さスライド部材の前記スライド板と前記筒状部材との間に介在され、前記筒状部材を前記スライド板に対して縦向きに揺動自在なヒンジ構造と、
    前記筒状部材を所望の揺動角度で動かないようにロックする角度ロック手段と、を有し、
    前記角度ロック手段は、
    前記ヒンジ構造の揺動軸としての第3のボルト部材と、
    前記第3のボルト部材に螺合する第3のナット部材とで構成され、
    前記筒状部材の所望の上下角度で前記第3のボルト部材と前記第3のナット部材とで前記ヒンジ構造を締め付ける請求項4に記載のカウル取付金具。
  6. 前記カウル支持部材は、
    T字棒の形状に形成され、前記T字棒の縦棒部分に前記スライド筒が形成されると共に前記T字棒の横棒部分に前記自動二輪車のヘッドライト取付部が形成された支持部材本体と、
    前記支持部材本体の前記横棒部分の両端から前記自動二輪車の後方に向いて延設された可撓性の一対の支持アームと、
    前記一対の支持アームの端部に形成され、前記フロントカウルに連結する連結部と、を備える請求項3から5の何れか1項に記載のカウル取付金具。
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