JP3230361B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP3230361B2
JP3230361B2 JP01236494A JP1236494A JP3230361B2 JP 3230361 B2 JP3230361 B2 JP 3230361B2 JP 01236494 A JP01236494 A JP 01236494A JP 1236494 A JP1236494 A JP 1236494A JP 3230361 B2 JP3230361 B2 JP 3230361B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の空燃比制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の内燃機関の空燃比制御装置として
は、例えば特開昭61−87935号がある。これは、
理論空燃比による運転(以下ストイキ運転という)と希
薄空燃比による運転(以下リーン運転という)とが可能
な内燃機関の空燃比制御装置において、ストイキ運転時
に空燃比のフィードバック制御と共にいわゆる空燃比の
学習制御を行うことで、製品毎のばらつきや経時変化に
よる空燃比の制御誤差を修正し、その学習結果に基づい
てリーン運転時の空燃比をオープン制御することを特徴
としている。
【0003】従って、リーン運転時には空燃比フィード
バック制御を行わず、構成が複雑で高価な広域空燃比セ
ンサを用いる必要がないため、通常のO2 センサにより
リーン空燃比制御が可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料タンクに
て発生した蒸発燃料を吸着剤に吸着させる一方、所定の
運転条件で吸着剤から蒸発燃料を脱離させ、この脱離し
た蒸発燃料を含むパージガスを吸入空気中へ導入する蒸
発燃料処理装置(キャニスタ)を備える場合、キャニス
タからのパージガスによって一時的に空燃比が大きくリ
ッチ化している時に学習し、その学習結果を用いてリー
ン運転を行うと、パージガスの燃料濃度が時間を経て薄
くなってくることに伴って、空燃比が目標空燃比よりも
リーン化してくる(図19参照)。すると、リーン運転時
の空燃比はオープン制御なので、目標空燃比よりリーン
化しても補正できず、リーン化によりエンジン安定度が
悪化する(図20参照)という問題点があった。
【0005】一方、空燃比の学習制御装置において、キ
ャニスタからのパージガスによる影響を低減することを
目的とした従来例としては、例えば特開昭63−131
843号がある。これは、混合気の空燃比が製品毎のば
らつきや経時変化により目標値から外れた場合に、これ
を修正するいわゆる空燃比の学習制御装置において、キ
ャニスタからのパージガスの導入・非導入の切換時に大
きな空燃比変動が生じることを抑制するようになされた
もので、パージガスの導入・非導入に対応して2通りの
学習値を使い分けることを特徴としている。
【0006】これを前記のリーン運転時の空燃比制御へ
適用することを考えると、先に説明したリーン化を防ぐ
ためには、リーン運転時にはパージガス非導入時に学習
した学習値を用いる必要があるしかし、パージが進行し
てパージガスの燃料濃度が充分に薄くなると、空燃比は
パージガス非導入中よりリーン化するため、このままで
はやはり目標空燃比よりもリーン化し、エンジン安定度
が悪化するという問題点は解決できない。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、ストイキ運転とリーン運転とが可能な内燃機関にお
いて、蒸発燃料処理装置からのパージガスにより影響さ
れることなく、リーン運転時にオープン制御により空燃
比を最適に制御することのできる内燃機関の空燃比制御
装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、図
1に示すように、燃料タンクにて発生した蒸発燃料を吸
着剤に吸着させ、所定の運転条件で吸着剤から蒸発燃料
を脱離させて吸入空気中へ導入する蒸発燃料処理装置A
を備えると共に、ストイキ運転とリーン運転とが可能な
内燃機関の空燃比制御装置において、下記のB〜の手
段を設ける構成とする。
【0009】B)ストイキ運転時に、空燃比を検出し理
論空燃比と比較して燃料供給量に対する空燃比フィード
バック補正係数を設定しこれにより燃料供給量を補正す
るストイキ運転時空燃比フィードバック制御手段 C)燃料供給量補正用の機関運転状態のエリア別の学習
値をベース学習値と通常学習値との2種記憶する学習値
記憶手段 D)空燃比フィードバック制御中の空燃比フィードバッ
ク補正係数に基づいて前記学習値記憶手段における機関
運転状態のエリア別の学習値を更新する学習値更新手段 E)この学習値更新手段にて更新する学習値として、前
記蒸発燃料処理装置による吸入空気中への蒸発燃料の導
入の有無に応じ、非導入時にベース学習値、導入時に通
常学習値をそれぞれ選択する更新時学習値選択手段 F)リーン運転時に、前記学習値記憶手段における機関
運転状態のエリア別の学習値により燃料供給量を補正し
てオープン制御を行わせるリーン運転時オープン制御手
段 G)ベース学習値の更新及び通常学習値の更新の収束か
らリーン運転を許可するリーン運転許可手段 H)前記 リーン運転時オープン制御手段にて燃料供給量
の補正に用いる学習値として、ベース学習値と通常学習
値とのうち、よりリッチな空燃比になる方の学習値を選
択するリーン運転時学習値選択手段
【0010】また、前記リーン運転許可手段Gを、ベー
ス学習値の更新の収束からリーン運転を許可するものと
し、 前記リーン運転時学習値選択手段Hを、前記リーン
運転時オープン制御手段にて燃料供給量の補正に用いる
学習値として、通常学習値の更新の収束の有無に応じ、
通常学習値の更新の収束領域ではベース学習値と通常学
習値とのうち、よりリッチな空燃比になる方の学習値
選択し、通常学習値の更新の未収束領域ではベース学習
値を選択するものとすることができる。
【0011】前記リーン運転許可手段は、前記蒸発燃
料処理装置による吸入空気中への累積導入量が所定値以
上となったときのみ、リーン運転を許可するものである
とよい。
【0012】
【作用】上記の構成においては、学習値をベース学習値
と通常学習値との2種設けて、パージガスの非導入時に
ベース学習、パージガスの導入時に通常学習を行い、リ
ーン運転時には、いずれか一方の学習値を適宜用いて、
空燃比をオープン制御することとしたため、ストイキ運
転時の学習中にパージガスによって一時的に大きくリッ
チ化することがあっても、このことによる誤学習が原因
でリーン運転中にオーバーリーンでエンジン安定度が悪
化することを防止できる。
【0013】また、ベース学習及び通常学習の収束から
リーン運転を許可することで、リーン運転に移行した直
後から、空燃比の制御精度を高く保つことができる。ま
た、ベース学習の収束後に直ちにリーン運転を許可する
ことで、始動後のより早い時期にリーン運転へ移行する
ことができる。また、パージガスの累積導入量が所定値
以上となったときのみ、リーン運転を許可するようにす
れば、パージガス濃度が非常に濃いままリーン運転に移
行してノッキングを生じるのを防止することができる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図2はシ
ステム構成を示している。機関1の吸気通路2のスロッ
トル弁3下流(吸気マニホールド)に各気筒毎に燃料噴
射弁4が設けられている。燃料噴射弁4は、後述するコ
ントロールユニット12から機関回転に同期して所定のタ
イミングで出力される駆動パルス信号により開弁し、所
定圧力に調圧された燃料を噴射するようになっている。
【0015】また、燃料タンク5から発生する蒸発燃料
を処理すべく、蒸発燃料処理装置としてのキャニスタ6
が設けられている。キャニスタ6は、密閉容器内に活性
炭などの吸着剤7を充填したもので、燃料タンク5から
の蒸発燃料導入管8が接続されている。従って、機関1
の停止中に燃料タンク5にて発生した蒸発燃料は、蒸発
燃料導入管8を通って、キャニスタ6に導かれ、ここに
吸着される。
【0016】キャニスタ6にはまた、新気導入口9が形
成されると共に、パージ通路10が導出されている。パー
ジ通路10はパージ制御弁11を介して吸気通路2のスロッ
トル弁3下流(吸気マニホールド)に接続されている。
パージ制御弁11は、後述するコントロールユニット12か
ら機関1の運転中に所定の条件で出力される信号により
開弁するようになっている。従って、機関1が始動さ
れ、その後の運転中に、パージ許可条件が成立すると、
パージ制御弁11が開き、機関1の吸入負圧がキャニスタ
6に作用する結果、新気導入口9から導入される空気に
よってキャニスタ6の吸着剤7に吸着されていた蒸発燃
料が脱離され、この脱離した蒸発燃料を含むパージガス
がパージ通路10を通って吸気通路2のスロットル弁3下
流に吸入され、この後、機関1のシリンダ内で燃焼処理
される。
【0017】燃料噴射弁4及びパージ制御弁11の作動を
制御するコントロールユニット12は、マイクロコンピュ
ータを内蔵し、各種のセンサからの信号を基に演算処理
を行うようになっている。前記各種のセンサとしては、
吸気通路2のスロットル弁3上流にて吸入空気流量Qa
を検出するエアフローメータ13、クランク角度と共に機
関回転数Neを検出可能なクランク角センサ14、スロッ
トル弁3の開度TVOを検出するスロットルセンサ15
(スロットル弁3の全閉位置でONとなるアイドルスイ
ッチを含む)、機関1の冷却水温Twを検出する水温セ
ンサ16、機関1の排気通路17に取付けられ機関1に供給
される混合気のリッチ・リーンに応じて出力電圧が急変
する特性を有するO2 センサ18などが用いられる。
【0018】コントロールユニット12内のマイクロコン
ピュータによる演算処理内容について、図3〜図10(第
1の実施例)により説明する。図3は燃料噴射量演算ル
ーチンを示している。S101 では、エアフローメータ13
からの信号に基づいて吸入空気流量Qaを検出すると共
に、クランク角センサ14からの信号に基づいて機関回転
数Neを検出する。
【0019】S102 では、吸入空気流量Qと機関回転数
Nとから、次式に従って、理論空燃比(ストイキ)に対
応する基本燃料噴射量Tpを演算する。 Tp=K×Qa/Ne (但し、Kは定数) S103 では、後述する図7のルーチン(リーン運転許可
手段)によってリーン運転が許可されているか否かを判
定する。
【0020】リーン運転が許可されていない場合は、ス
トイキ運転のため、S104 〜S106を実行する。S104
〜S106 がストイキ運転時空燃比フィードバック制御手
段に相当する。S104 では、空燃比フィードバック制御
(λコン)を行うため、O2 センサ18からの信号に基づ
き周知の比例積分制御により空燃比フィードバック補正
係数αを設定する(図13参照)。すなわち、O2 センサ
からの信号に基づいてリッチ・リーンを判定し、リッチ
→リーンの反転時には空燃比フィードバック補正係数α
を所定の比例分P増大させ、引き続くリーン時には空燃
比フィードバック補正係数αを所定の積分分Iずつ増大
させる(但しI<<P)。そして、リーン→リッチの反転
時には空燃比フィードバック補正係数αを所定の比例分
P減少させ、引き続くリッチ時には空燃比フィードバッ
ク補正係数αを所定の積分分Iずつ減少させる。
【0021】次のS105 では、後述する図4〜図5のル
ーチンによりベース学習マップ又は通常学習マップから
検索され必要に応じ更新される機関運転状態(Ne,T
p)のエリア別の学習値LALPHAを参照する。次の
S106 では、基本燃料噴射量Tpと空燃比フィードバッ
ク補正係数αと学習値LALPHAとから、次式に従っ
て、ストイキ運転のための燃料噴射量Tiを演算する。
【0022】Ti=Tp×α×LALPHA 一方、リーン運転が許可されている場合は、リーン運転
のため、S107 〜S109 を実行する。S107 〜S109 が
リーン運転時オープン制御手段に相当する。S107 で
は、空燃比フィードバック制御を停止して、オープン制
御を行うため、空燃比フィードバック補正係数αを現在
値又は基準値(1.0 )にクランプする。
【0023】次のS108 では、後述する図9のルーチン
(リーン運転時学習値選択手段)に従って、ベース学習
マップから検索した機関運転状態のエリア別の学習値
と、通常学習マップから検索した機関運転状態のエリア
別の学習値とから、補正用の学習値LALPHAを選択
する。次のS109 では、基本燃料噴射量Tpと空燃比フ
ィードバック補正係数α(クランプ値)と学習値LAL
PHAとから、次式に従って、リーン運転の目標リーン
空燃比(この例では22)を得るための燃料噴射量Tiを
演算する。
【0024】 Ti=(14.7/22)×Tp×α×LALPHA 燃料噴射量Tiが演算されると、このTiに相応するパ
ルス幅の駆動パルス信号が機関回転に同期した所定のタ
イミングで燃料噴射弁4に出力され、燃料噴射が行われ
る。図4〜図5は学習ルーチンを示している。
【0025】ここで特徴的なことは、燃料噴射量補正用
の機関運転状態のエリア別の学習値をベース学習値(パ
ージガス非導入時対応学習値)と通常学習値(パージガ
ス導入時対応学習値)との2種記憶することとして、学
習値記憶手段として、ベース学習マップと通常学習マッ
プとを有しており、ストイキ運転時に空燃比学習制御を
行い、学習値の更新を行うに先立って、学習マップの選
択を行う点である。従って、これが更新時学習値選択手
段に相当する。
【0026】S201 では、始動後初期化したか否かを判
定し、NOの場合のみS202 へ進んで、ベース学習収束
フラグFBSLTD、通常学習収束フラグFLRNT
D、ベース学習カウンタCBSLTD、通常学習カウン
タCLRNTDをそれぞれ0にリセットする。すなわ
ち、始動直後に1度だけこれらの初期化を行う。S203
では、ベース学習収束フラグFBSLTDの値に基づ
き、ベース学習(パージガス非導入時対応学習)が収束
した(FBSLTD=1)か否かを判定する。
【0027】FBSLTD=0(ベース学習未収束)の
場合は、ベース学習を行うため、S204 へ進んで、学習
マップ、学習マップの格子(Ne格子、Tp格子)、学
習収束カウンタ及び学習領域指定フラグをベース学習用
のものにセットする。すなわち、ベース学習マップ:T
BSLM、ベース学習マップNe格子:TBSLN、ベ
ース学習マップTp格子:TBSLP、ベース学習収束
カウンタ:CBSLTD、ベース学習領域指定フラグ:
FBLMADの選択を行う。
【0028】尚、学習マップは、図14に示すように、機
関回転数Neと基本燃料噴射量Tpとによる機関運転状
態のエリア(0〜F)毎に、学習値と学習収束カウンタ
とを割り当ててある。また、学習領域指定フラグは、図
15に示すように、機関運転状態のエリア(0〜F)に対
応して設けられ、各エリアの学習カウンタの中で学習収
束判定に使用するものについて、1にセットされてい
る。
【0029】次のS205 では、選択されたベース学習マ
ップから現在の機関運転状態(Ne,Tp)のエリアに
対応する学習値LALPHAの検索を行う。次のS206
では、後述する図6の学習値更新ルーチン(学習値更新
手段)に従って、学習値LALPHAの更新を行う。こ
こで、図6の学習値更新ルーチンについて説明する。こ
れが学習値更新手段に相当する。
【0030】S301 では、学習値更新条件(すなわち、
空燃比フィードバック制御中で、水温Twが所定値以上
など)が成立しているか否かを判定し、YESの場合の
みS302 〜305 を実行する。S302 では、空燃比フィー
ドバック補正係数αの平均値Mαを次式により算出す
る。
【0031】Mα=(α1 +α2 )/2 尚、α1 は最新にリーンからリッチに反転したときの直
前の空燃比フィードバック補正係数、α2 は最新にリッ
チからリーンに反転したときの直前の空燃比フィードバ
ック補正係数である(図13参照)。S303 では、空燃比
フィードバック補正係数αの平均値Mαの基準値(1.0
)からの偏差に基づき、次式に従って、学習値LAL
PHAを更新する。
【0032】LALPHA=LALPHA+(Mα−1.
0 )×GAIN GAINは所定値で、0<GAIN<1である。S304
では、更新後のLALPHAを選択中の学習マップの所
定位置に格納する。S305 では、更新したエリアに対応
する選択中の学習収束カウンタ(CBSLTDi又はC
LRNTDi)をカウントアップして、学習値更新ルー
チンを終了する。
【0033】図4〜図5のルーチンに戻って、S207 で
は、例えば図15に示すようなベース学習領域指定フラグ
FBLMADによって指定された全ての領域(図16(a)
参照)において、学習収束カウンタCBSLTDiが所
定値以上であるか否かを判定し、YESであれば、ベー
ス学習は収束したと判断し、S208 でベース学習収束フ
ラグFBSLTD=1として、本ルーチンを終了する。
【0034】尚、ベース学習を早く収束させるために
は、図16(b) のように全運転領域を少ない数(1つでも
可)の学習領域でカバーするようにベース学習マップの
格子を設定し、その領域だけを学習領域として指定す
る。オーバーリーンを防止するガード値としてベース学
習値を使用し精度を必要としない場合はこのようにする
ことでリーン運転に早く移行できる。
【0035】S203 での判定でFBSLTD=1(ベー
ス学習収束)であれば、通常学習(バージガス導入時対
応学習)を行うため、S209 へ進む。S209 では、学習
マップ、学習マップの格子(Ne格子、Tp格子)、学
習収束カウンタ及び学習領域指定フラグを通常学習用の
ものにセットする。すなわち、通常学習マップ:TLR
NM、通常学習マップNe格子:TLRNN、通常学習
マップTp格子:TLRNP、通常学習収束カウンタ:
CLRNTD、通常学習領域指定フラグ:FLRMAD
の選択を行う。
【0036】次のS210 では、選択された通常学習マッ
プから現在の機関運転状態(Ne,Tp)のエリアに対
応する学習値LALPHAの検索を行う。次のS211 で
は、前述の図6の学習値更新ルーチンに従って、学習値
LALPHAの更新を行う。次のS212 では、通常学習
領域指定フラグFLRMADによって指定された全ての
領域(図16(a) 参照)において、学習収束カウンタCL
RNTDiが所定値以上であるか否かを判定し、YES
であれば、通常学習は収束したと判断し、S213 で通常
学習収束フラグFLRNTD=1として、本ルーチンを
終了する。
【0037】通常学習指定領域として、例えば図16(a)
に示すように指定すると、リーン運転時の空燃比精度が
高くなるが、図16(b) に示すように平地定常走行領域の
みを指定すると、パージ開始、リーン運転開始を早める
ことができる。図7はリーン運転許可判定ルーチンを示
している。これがリーン運転許可手段に相当する。
【0038】S401 では、機関回転数Ne、基本燃料噴
射量Tp及び水温Tw等に基づいて予め定めたリーン運
転条件か否かを判定し、YESの場合にS402 へ進む。
S402 では、ベース学習収束フラグFBSLTD=1か
否かを判定し、YESの場合にS403 へ進む。S403 で
は、通常学習収束フラグFLRNTD=1か否かを判定
し、YESの場合にステップ404 へ進む。
【0039】S404 では、図8の累積パージ量算出ルー
チンにより算出される始動後の累積パージ量PRGQが
所定値以上か否かを判定し、YESの場合にS405 へ進
む。S405 では、リーン運転を許可する(リーン運転許
可フラグセット)。S401 〜404 での判定のいずれかで
NOの場合は、S406 へ進んでリーン運転を不許可とす
る(リーン運転許可フラグリセット)。
【0040】始動後の累積パージ量PRGQが所定値以
上のときのみリーン運転を許可するのは、パージガス濃
度が非常に濃いままリーン運転に移行してノッキングを
生じないようにするためである。ここで、図8の累積パ
ージ量算出ルーチンについて説明する。このルーチンは
0.1sec 毎に実行される。
【0041】S501 では、スロットル開度TVO及び機
関回転数Neを検出する。S502 では、次式によって、
スロットル開口面積ATVOを算出する。ATHはスロ
ットル径である。 ATVO=ATH×(1− cosTVO) S503 では、マップを参照し、機関回転数Neとスロッ
トル開口面積ATVOとから吸入負圧Boostを算出す
る。
【0042】S504 では、マップを参照し、吸入負圧B
oostから 0.1sec 当りのパージ量ΔPRGQ(cc)を算
出する。S505 では、次式のごとく、 0.1sec 当りのパ
ージ量ΔPRGQを積算することにより、累積パージ量
PRGQを求める。 PRGQ=PRGQ+ΔPRGQ 尚、累積パージ量PRGQは始動毎にクリアされる。
【0043】図9はリーン運転時学習値選択ルーチンを
示しており、図3の燃料噴射量演算ルーチンのS108 に
て実行される。これがリーン運転時学習値選択手段に相
当する。S601 では、ベース学習マップを参照し、現在
の機関運転状態(Ne,Tp)のエリアに対応する学習
値LALPHAの検索を行い、これをベース学習値BS
とする。
【0044】S602 では、通常学習マップを参照し、現
在の機関運転状態(Ne,Tp)のエリアに対応する学
習値LALPHAの検索を行い、これを通常学習値LR
とする。S603 では、ベース学習値BSと通常学習値L
Rとを比較し、ベース学習値BSの方が所定値SL以上
大きい(BS−SL≧LR)か否かを判定する。
【0045】YESの場合、すなわち、ベース学習値B
Sの方が大きい場合は、S604 へ進んで、ベース学習値
BSを補正用の学習値LALPHAとする。NOの場
合、すなわち、通常学習値LRの方が大きい場合は、S
605 へ進んで、通常学習値LRを補正用の学習値LAL
PHAとする。このようにベース学習値BSと通常学習
値LRとを比較し、大きい方、すなわち、よりリッチな
空燃比になる方を、補正用の学習値LALPHAとして
採用する。但し、ベース学習領域を、前述のように全運
転領域に対して1つの学習値でカバーするように設定し
たときは、通常学習値LRが採用される機会を多くする
ことで、空燃比制御の精度を確保するのがよく、そのた
め、S603 において、ベース学習値BSと通常学習値L
Rとを比較する際に、余裕代としてSLを設定してあ
る。
【0046】図10はキャニスタパージ制御ルーチンを示
している。S701 では、水温、λコン、燃料カットなど
に基づき、所定のキャニスタパージ条件か否かを判定
し、YESの場合にS702 へ進む。S702 では、ベース
学習が収束している(ベース学習収束フラグFBSLT
D=1)か否かを判定し、YESの場合にS703 へ進
む。
【0047】S703 では、アイドルスイッチがOFF
(非アイドル運転時)か否かを判定し、YESの場合に
S704 へ進む。S704 では、キャニスタパージを実行す
べく、パージ制御弁11をONにして開弁させる。これに
より、機関1の吸入負圧がキャニスタ6に作用する結
果、新気導入口9から導入される空気によってキャニス
タ6の吸着剤7に吸着されていた蒸発燃料が脱離され、
この脱離した蒸発燃料を含むパージガスがパージ通路10
を通って吸気通路2のスロットル弁3下流に吸入され、
この後、機関1のシリンダ内で燃焼処理される。
【0048】S701 〜S703 での判定のいずれかでNO
の場合は、キャニスタパージを停止すべく、パージ制御
弁11をOFFにして閉弁させる。次に作用を説明する。
始動後、学習を開始するまでは、学習値は 1.0に固定さ
れている。図17及び図18の例では、学習制御無しのベー
ス空燃比はややリーン側にある。学習が開始されると、
先ず、ベース学習を行う。これにより空燃比はストイキ
に補正される。
【0049】ベース学習が収束した時点で、通常学習に
切り替わり、同時にキャニスタパージを開始する。パー
ジ開始直後の非常に濃いガスによって一時的に空燃比は
リッチ化するが、学習が進行するのに伴いストイキに補
正される。通常学習が収束した時点からリーン運転が可
能になるが、このときに参照される学習値はt0 (図17
参照)以前ではベース学習値BS、t0 以降は通常学習
値LRとなる。これにより、例えば、パージガスによっ
てリッチ化している最中に学習し、通常学習値LRがベ
ースの要求値より小さくなったときにリーン運転に移行
しても、学習値としてはベース学習値BSを用いるため
に、リーン運転で空燃比をオープン制御しているときに
パージガス濃度が濃くなってオーバーリーンを生じるこ
とがなくなる。
【0050】次に第2の実施例について説明する。図11
には、図7に代えて、第2の実施例におけるリーン運転
許可判定ルーチンを示す。S411 では、機関回転数N
e、基本燃料噴射量Tp及び水温Tw等に基づいて予め
定めたリーン運転条件か否かを判定し、YESの場合に
S412 へ進む。
【0051】S412 では、ベース学習収束フラグFBS
LTD=1か否かを判定し、YESの場合にS413 へ進
む。S413 では、リーン運転を許可する(リーン運転許
可フラグセット)。S411 〜412 での判定のいずれかで
NOの場合は、S414 へ進んでリーン運転を不許可とす
る(リーン運転許可フラグリセット)。
【0052】従って、これは、第1の実施例にあった通
常学習の収束の確認と、累積パージ量の確認とを省いた
もので、これによりリーン運転へより早い時期に移行す
ることが可能となる。図12は、図9に代わる、第2の実
施例におけるリーン運転時学習値選択ルーチンを示す。
【0053】第2の実施例では、通常学習の収束を待た
ずにリーン運転に移行する。このため、リーン運転時の
空燃比精度を確保するため、学習値の選択を行う前に現
在の機関運転状態に対応する学習領域の通常学習値が収
束しているか否かを判定し、収束していれば第1の実施
例と同様の学習値選択を行うが、収束していないときは
ベース学習値を参照する。
【0054】従って、以下の流れとなる。S611 では、
通常学習収束カウンタCLRNTDiの値を検索し、次
のS612で、通常学習収束カウンタCLRNTDi≧所
定値か否かを判定する。通常学習収束カウンタCLRN
TDi≧所定値の場合は、S613 〜S617 を実行する。
【0055】S613 では、ベース学習マップを参照し、
現在の機関運転状態(Ne,Tp)のエリアに対応する
学習値LALPHAの検索を行い、これをベース学習値
BSとする。S614 では、通常学習マップを参照し、現
在の機関運転状態(Ne,Tp)のエリアに対応する学
習値LALPHAの検索を行い、これを通常学習値LR
とする。
【0056】S615 では、ベース学習値BSと通常学習
値LRとを比較し、ベース学習値BSの方が所定値SL
以上大きい(BS−SL≧LR)か否かを判定する。Y
ESの場合、すなわち、ベース学習値BSの方が大きい
場合は、S616 へ進んで、ベース学習値BSを補正用の
学習値LALPHAとする。NOの場合、すなわち、通
常学習値LRの方が大きい場合は、S617 へ進んで、通
常学習値LRを補正用の学習値LALPHAとする。
【0057】一方、通常学習収束カウンタCLRNTD
i<所定値の場合は、S618 〜S619 を実行する。S61
8 では、ベース学習マップを参照し、現在の機関運転状
態(Ne,Tp)のエリアに対応する学習値LALPH
Aの検索を行い、これをベース学習値BSとする。
【0058】S619 では、ベース学習値BSを補正用の
学習値LALPHAとする。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、学
習値をベース学習値と通常学習値との2種設けて、パー
ジガスの非導入時にベース学習、パージガスの導入時に
通常学習を行い、リーン運転時には、いずれか一方の学
習値を適宜用いて、空燃比をオープン制御することとし
たため、ストイキ運転時の学習中にパージガスによって
一時的に大きくリッチ化することがあっても、このこと
による誤学習が原因でリーン運転中にオーバーリーンで
エンジン安定度が悪化することを防止できるという効果
が得られる。
【0060】また、ベース学習及び通常学習の収束から
リーン運転を許可することで、リーン運転に移行した直
後から、空燃比の制御精度を高く保つことができるとい
う効果が得られる。また、ベース学習の収束後に直ちに
リーン運転を許可することで、始動後のより早い時期に
リーン運転へ移行することができるという効果が得られ
る。
【0061】更に、パージガスの累積導入量を加味し
て、リーン運転を許可するようにすれば、パージガス濃
度が非常に濃いままリーン運転に移行してノッキングを
生じるのを防止することができるという効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を示す機能ブロック図
【図2】 本発明の実施例を示すシステム図
【図3】 燃料噴射量演算ルーチンのフローチャート
【図4】 学習ルーチン(その1)のフローチャート
【図5】 学習ルーチン(その2)のフローチャート
【図6】 学習値更新ルーチンのフローチャート
【図7】 リーン運転許可判定ルーチンのフローチャー
【図8】 累積パージ量算出ルーチンのフローチャート
【図9】 リーン運転時学習値選択ルーチンのフローチ
ャート
【図10】 キャニスタパージルーチンのフローチャート
【図11】 第2の実施例のリーン運転許可判定ルーチン
のフローチャート
【図12】 第2の実施例のリーン運転時学習値選択ルー
チンのフローチャート
【図13】 空燃比フィードバック補正係数の設定の様子
を示す図
【図14】 学習マップについて示す図
【図15】 学習領域指定フラグについて示す図
【図16】 指定領域の例について示す図
【図17】 リーン運転時の参照学習値と空燃比とについ
て示す図
【図18】 学習値の変化とリーン運転許可判定とについ
て示す図
【図19】 従来の問題点としてパージガス濃度と学習値
及び空燃比の変化とについて示す図
【図20】 空燃比とエンジン安定度との関係を示す図
【符号の説明】
1 機関 4 燃料噴射弁 5 燃料タンク 6 キャニスタ 11 パージ制御弁 13 エアフローメータ 14 クランク角センサ 18 O2 センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 45/00 340 F02D 45/00 340F F02M 25/08 301 F02M 25/08 301J (56)参考文献 特開 昭61−87935(JP,A) 特開 昭63−131843(JP,A) 特開 昭61−112755(JP,A) 特開 昭62−288342(JP,A) 特開 平2−67440(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/00 - 41/40 F02D 43/00 - 45/00 F02D 29/00 - 29/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料タンクにて発生した蒸発燃料を吸着剤
    に吸着させ、所定の運転条件で吸着剤から蒸発燃料を脱
    離させて吸入空気中へ導入する蒸発燃料処理装置を備え
    ると共に、理論空燃比による運転と希薄空燃比による運
    転とが可能な内燃機関の空燃比制御装置において、 理論空燃比による運転時に、空燃比を検出し理論空燃比
    と比較して燃料供給量に対する空燃比フィードバック補
    正係数を設定しこれにより燃料供給量を補正するストイ
    キ運転時空燃比フィードバック制御手段と、 燃料供給量補正用の機関運転状態のエリア別の学習値を
    ベース学習値と通常学習値との2種記憶する学習値記憶
    手段と、 空燃比フィードバック制御中の空燃比フィードバック補
    正係数に基づいて前記学習値記憶手段における機関運転
    状態のエリア別の学習値を更新する学習値更新手段と、 この学習値更新手段にて更新する学習値として、前記蒸
    発燃料処理装置による吸入空気中への蒸発燃料の導入の
    有無に応じ、非導入時にベース学習値、導入時に通常学
    習値をそれぞれ選択する更新時学習値選択手段と、 希薄空燃比による運転時に、前記学習値記憶手段におけ
    る機関運転状態のエリア別の学習値により燃料供給量を
    補正してオープン制御を行わせるリーン運転時オープン
    制御手段と、ベース学習値の更新及び通常学習値の更新の収束から希
    薄空燃比による運転を許可するリーン運転許可手段と、 前記 リーン運転時オープン制御手段にて燃料供給量の補
    正に用いる学習値として、ベース学習値と通常学習値と
    のうち、よりリッチな空燃比になる方の学習値を選択す
    リーン運転時学習値選択手段と、 を設けたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】燃料タンクにて発生した蒸発燃料を吸着剤
    に吸着させ、所定の運転条件で吸着剤から蒸発燃料を脱
    離させて吸入空気中へ導入する蒸発燃料処理装置を備え
    ると共に、理論空燃比による運転と希薄空燃比による運
    転とが可能な内燃機関の空燃比制御装置において、 理論空燃比による運転時に、空燃比を検出し理論空燃比
    と比較して燃料供給量に対する空燃比フィードバック補
    正係数を設定しこれにより燃料供給量を補正するストイ
    キ運転時空燃比フィードバック制御手段と、 燃料供給量補正用の機関運転状態のエリア別の学習値を
    ベース学習値と通常学習値との2種記憶する学習値記憶
    手段と、 空燃比フィードバック制御中の空燃比フィードバック補
    正係数に基づいて前記学習値記憶手段における機関運転
    状態のエリア別の学習値を更新する学習値更新手段と、 この学習値更新手段にて更新する学習値として、前記蒸
    発燃料処理装置による吸入空気中への蒸発燃料の導入の
    有無に応じ、非導入時にベース学習値、導入時に通常学
    習値をそれぞれ選択する更新時学習値選択手段と、 希薄空燃比による運転時に、前記学習値記憶手段におけ
    る機関運転状態のエリア別の学習値により燃料供給量を
    補正してオープン制御を行わせるリーン運転時オープン
    制御手段と、ベース学習値の更新の収束から希薄空燃比による運転を
    許可するリーン運転許可手段と、 前記 リーン運転時オープン制御手段にて燃料供給量の補
    正に用いる学習値として、通常学習値の更新の収束の有
    無に応じ、通常学習値の更新の収束領域ではベース学習
    値と通常学習値とのうち、よりリッチな空燃比になる方
    の学習値を選択し、通常学習値の更新の未収束領域では
    ベース学習値を選択するリーン運転時学習値選択手段
    と、 を設けたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】前記リーン運転許可手段は、前記蒸発燃料
    処理装置による吸入空気中への累積導入量が所定値以上
    となったときのみ、希薄空燃比による運転を許可するも
    のであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    内燃機関の空燃比制御装置。
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