JP3227635U - 伸縮性紐状編地 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な製造手段により、丸みのある形態で、柔軟性と伸縮性を有した紐状編地を提供する。
【解決手段】伸縮性紐状編地はシングル針床で編成された複数のループ列からなる細幅編地であって、編成糸に少なくとも弾性糸を含み、幅方向にカールして紐状をなしている。編構造は、弾性糸によるニードルループ6、非弾性糸によるニードルループ7、そしてそれぞれのシンカーループ4、5を含み、幅方向の端部がカールする現象自体は片側針床で編成された編物において通常みられる現象であって、隣接するループ間にかけ橋をするシンカーループ4、5のニードルループ6、7近傍で屈曲している箇所が、編糸自身の剛性により真っすぐに戻ろうとする力により、シンカーループ4、5面側へ戻ろうとする力が作用するためにフリーな状態の端部がシンカーループ4、5面側に反り曲がるものである。
【選択図】図2

Description

本考案は、シングル針床により編成された細幅編地に関するものである。
シングル針床で編まれた編地は、表裏がニードルループ面とシンカーループ面の異なる面を有しているため、編地の幅方向の端部はシンカーループは編糸自身の剛性により真っすぐな状態に戻ろうとする力が作用してシンカーループ面側にカールする傾向にあり、また長さ方向の端部においてはニードルループが前記同様に真っすぐ戻ろうとする力が作用してニードルループ面側にカールし易い性質がある。
そのようなカールする性質を利用して、<特許文献1>には3〜20mm幅のカールし易いシングルトリコット編地を編成し、10〜50%伸長させて幅方向にカールさせた紐状物の製法が提案されている。
しかしながら、同紐状の編地は編目同士が長さ方向に連なって構成されているだけであるから、編地の伸長率はループの形状変化程度しか得られず、また積極的にカールさせるために編地を伸長させているために保有する伸長率も減少するので伸縮性を必要とする用途に向かない問題がある。
また、伸縮性を有する紐状物として、<特許文献2>には、ダブルラッセル編機により複合繊維からなる弾性糸を用いた伸縮性ラッセルによる紐状が提案されており、弾性糸を用いているので高い伸縮性を発揮することが可能であるが、ダブルラッセル編機より表裏にループが存在して非常に形態的に安定したリボン状の細幅編地であるために、丸みがあって、人体と直接接した際の心地良さに欠けているのが問題であった。
特開58−220858号公報 特開2005−22669号公報
本考案は、簡単な製造手段により、丸みのある形態で、柔軟性と伸縮性を有した紐状編地を提供することにある。
本考案者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
即ち、本考案は、シングル針床で編成された複数のループ列からなる細幅編地であって、編成糸に少なくとも弾性糸を含み、幅方向にカールして紐状を成している伸縮性紐状編地を完成させた。
また、本考案は、トリコット編機、またはラッセル編機により編成された経編地という技術的手段を採用することができる。
更にまた、本考案は、横編機の片側針床のみで編成された横編地という技術的手段を採用することができる。
更にまた、紐状編地の伸張率が100〜250%の範囲であるという技術的手段を採用することができる。
更にまた、紐状編地のループ列が5〜40ウェール数のテープ状で編まれたものであるという技術的手段を採用することができる。
更にまた、前記弾性糸がポリウレタン繊維、又はポリウレタン繊維に非弾性糸を巻き付けたカバーリング弾性糸であるという技術的手段を採用することができる。
更にまた、前記紐状編地は非弾性糸と弾性糸との二重ループで編成され、編地表面が非弾性糸によるパイル状を成しているという技術的手段を採用することができる。
本考案にあっては、シングル針床編機で編成された複数のループ列からなる細幅編地であって、編成糸に少なくとも弾性糸を含み、幅方向にカールして紐状を成したものであるから、略円形の断面形状が僅かな外力で変形し易く、また伸縮性も有しているので、人体や物への接触部の圧力差により接触面積が変化し、応力が分散され易いために人体への不快感や、物への締め付けによる損傷を減少させることが出来る。
また、本考案の伸縮性紐状編地で結び目を形成した際、弾性糸を用いて高い伸縮性と断面変化量が大きいことから、強固に締めなくとも解けにくいという効果がある。
また、非弾性糸と弾性糸との二重ループとして、非弾性糸を編地表面側に現れるよう編成することで、弾性糸の収縮力により非弾性糸が編地表面でパイル状となるので、柔らかな外観と表面タッチが得られる。
また、弾性糸をポリウレタン繊維に非弾性糸を巻き付けたカバーリング弾性糸とすることにより、弾性糸の伸長率を制御することが出来るので編成時の張力管理が容易となると同時に、編地製品において染色性や紫外線に難色のあるポリウレタン繊維を非弾性糸の被覆糸で隠蔽出来る効果がある。
また、本考案の伸縮性紐状編地は、通常一般の経編機や横編機で簡単に生産することが出来、特に経編機においては、多数本を同時に生産できることから高い生産性が得られる。
本考案の実施形態の外観概略図である。 本考案の実施形態の経編の編構造を表す概略図である。 本考案の実施形態の横編み編構造を表す概略図である。
本考案を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次の通りである。
本考案の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。図1は本考案の伸縮性紐状編地1の外観概略図で、符号2、3は細幅で編成された編地の幅方向の両端部を示し、後述する原理により、幅方向の端部2、3が共に内側にカールして筒状物になり、該筒状物が2つ並ぶことにより外観が略円形断面形態を成している。なお、図1では筒状物が二つに並ぶ形状であるが、一つに丸まった形状であっても構わない。
図2はカール現象を説明するための本考案の経編によるダブルデンビー組織の編構造を示す概略図で、(ロ)はシンカーループ面を上面とした編構造図、(イ)は(ロ)の編構造を矢印b側から見た際の概略図であって、符号6は弾性糸によるニードルループ、符号7は非弾性糸によるニードルループ、そして符号4、5はそれぞれのシンカーループを示すものである。
幅方向の端部がカールする現象自体は片側針床で編成された編物において通常みられる現象であって、そのカールする原理は隣接するループ間にかけ橋をするシンカーループ4、5のニードルループ6、7近傍で屈曲している箇所が、編糸自身の剛性により真っすぐに戻ろうとする力により、シンカーループ4、5面側へ戻ろうする力が作用するためにフリーな状態の端部(図では左側)が矢印aの方向(シーカーループ4、5面側)に反り曲がるものである。
また、図3は横編機により、弾性糸と非弾性糸を添え糸編した平編構造を示し、前記経編と同様に図(ハ)は図(ニ)の矢印bの方向から見た概略図であって、経編地と同様に弾性糸のシンカーループ14、および非弾性糸のシンカーループ15の屈曲が真っすぐに戻ろうとする力が作用し、矢印aの方向に反り曲がるものである。
カールする程度は、使用する糸の剛性、糸繊度や編組織,編密度などの編成条件によって異なるが、剛性の高い編糸使用や比較的ルーズな編物ほどカールし易い傾向にあり、通常一般の編物においては、後工程で支障をきたすためにヒートセットや樹脂加工などでカール現象を防いでいる。
一方、本考案の伸縮性紐状編地1は、通常一般の編地では問題視されているカール現象を逆手にとって、細幅のテープ状に編成した編地を積極的にカールさせ、縫製加工などをすることなくそのまま紐状として製品化するものである。
カールさせた伸縮性紐状編地1の断面形状は略円形状に緩く丸まっており、僅かな外力で変形し易いので、人体や物への接触部の圧力によって接触面積が変化し、圧力が分散され易いために人体への不快感を与えないし、物への損傷を防ぐ効果がある。
一般的な編成条件ではカールする力が不十分であるために、紐として繰り返しの負荷を受けることで元の扁平状に戻り易いという問題を抱えていたことから、確実にカールし、しかも形態保持性を備えた条件を誠意検討した結果、本考案では編成糸に弾性糸を含ませることにより、編糸の剛性利用以外に編地のシンカーループに引っ張り力が付加し、カール現象が一層強調され、安定した紐状形態を成すことを見出したものである。
本考案の伸縮性紐状編地は、シングル針床で編成された編地であって、例えばトリコット編機やラッセル編機の経編機、横編機などの片側針床を用い、編針5〜40本を使用して細幅の編物を編成することで得られ、特に、経編の場合は編機の幅方向に複数本同時に編成させることが出来るので、高い生産性を発揮させることが出来る。
図2では、ダブルデンビー組織を例示したが、本考案においては同組織に限定されることなく、ハーフ組織や逆ハーフ組織、あるいはダブルコード組織などカールし易い組織であれば良く、また横編地においても平編に限定されることなく、タック組織や、ウエルト組織、あるいは針抜きなどを採用することが出来る。
本考案で用いる非弾性糸の糸種としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維などの合成繊維フィラメント糸、およびそれらの捲縮加工糸や紡績糸、あるいはコットン、ウールなどの天然繊維の紡績糸や、それらと合成繊維との混紡糸などがあげられ、なかでも糸繊度が30〜500dtexのポリエステル繊維やナイロン繊維の捲縮加工糸であると耐久性や柔軟性を有しているので好ましい。
また、用いる弾性糸としては、ポリウレタン弾性糸、ポリエステルエーテル弾性糸 、ポポリアミド系弾性糸などがあげられ、なかでも繊度が20〜80dtexのポリウレタン弾性糸であれば入手が容易であることから好ましく、またそのまま使用することも出来るが、ポリウレタン弾性糸を芯にして、その周りをポリエステル繊維糸などで被覆したカバーリング糸に加工して使用することで、弾性糸の最大伸長率の制御や、解舒性が改善できるので、編成工程が安定すると同時に、ポリウレタン繊維の難染色性や耐候性問題が他の繊維で被覆されることにより解決することが出来る。
弾性糸をカバーリングすることで外観面での問題点が改善できることから、本考案の伸縮性紐状編地をカバーリング糸のみで編成することも出来る。
1:本考案の伸縮性紐状編地の外観概略図
2、3:編地端部
4、14:普通糸のシンカーループ
5、15:弾性糸のシンカーループ
6、16:普通糸のニードルループ
7、17:弾性糸のニードルループ

Claims (7)

  1. シングル針床で編成された複数のループ列からなる細幅編地であって、編成糸に少なくとも弾性糸を含み、幅方向にカールして紐状を成していること特徴とする伸縮性紐状編地。
  2. 前記細幅編地がトリコット編機、またはラッセル編機により編成された経編地であることを特徴とする請求項1記載の伸縮性紐状編地。
  3. 前記細幅編地が横編機の片側針床のみで編成された横編地であることを特徴とする請求項1記載の伸縮性紐状編地。
  4. 前記紐状編地の伸張率が100〜250%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の伸縮性紐状編地。
  5. 前記紐状編地は、ループ列が5〜40ウェール数のテープ状で編まれたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の伸縮性紐状編地。
  6. 前記弾性糸がポリウレタン繊維、又はポリウレタン繊維に非弾性糸を巻き付けたカバーリング弾性糸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の伸縮性紐状編地。
  7. 前記紐状編地は非弾性糸と弾性糸との二重ループで編成され、編地表面が非弾性糸によるパイル状を成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の伸縮性紐状編地。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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