JP3227020U - 堤防補強装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】決壊のおそれのある堤防の部分補強を堤防の自然環境を損なうことなく行うことができ、耐用年数の長い堤防補強装置を堤供する。【解決手段】堤防24の中央に所定の距離にわたって、穴26を断面U字状に深掘し、穴26の底部にコンクリートを敷いて基礎層32を形成し、該基礎層32の上に補強体2を配置する。該補強体2の底部の水平部2d、2eを杭34で基礎層32に固定し、該固定後に穴26を土で埋める。補強体2は鉄筋コンクリートで構成され、該補強体2に堤防の穴26の深さ方向に延びる高さと所定の厚さを有してボード2b、2cを設ける。ボード2b、2cの底部には、川の方向に延びる第1の水平部2dと市街の方向に延びる第2の水平部2eを設ける。【選択図】図1

Description

本考案は、越水・浸透・洗掘・侵食等による堤防決壊を防止するための堤防決壊防止工法に用いられる堤防補強装置に関する。
従来から、地震時や洪水時等の盛土を崩壊させようとする外力に対して、盛土を補強するものとして、特許文献1に開示される盛土の補強構造が堤案されている。また、堤防の表法面と裏法面にコンクリートの堤防壁を配置することが行われている。
特許文献1に開示された盛土の補強構造は、堤外側と堤内側とを隔てた堤防に設けられる堤防補強構造であって、地盤内から堤防内部の下側まで埋め込まれる下部矢板と、前記下部矢板の上方で堤防内部の上側に埋め込まれる上部矢板とを備え、前記上部矢板は、前記下部矢板の上端部に前記上部矢板の下端部がヒンジ部材で連結されて、前記ヒンジ部材を回転軸として堤内側に回転するものとなるように、前記上部矢板の上端部を堤外側に向けて傾斜させて設けられるようにしたものである。
特開2016−98590号公報
特許文献1に開示された補強材の矢板は鋼板により構成されるため、地中で錆が生じ補強材の耐用年数に問題があった。
また、堤防の法面をコンクリートで被覆する構造は、コンクリートによる法面被覆が河川堤防の風景を損ない自然環境を破壊するとともに、コンクリート面積が大きくなって工事が容易でなくコスト高となるという問題があった。
本考案は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本考案は、堤防の決壊を防止するために堤防の中央近傍に掘削した穴26に埋めて用いられる堤防補強装置であって、所定の高さのボード2b,2c,3a,38aと、該ボード2b,2c,3a,38aの底部に該ボード2b,2c,3a,38aの一方の面に対して直角方向に突出する第1の水平部2d,3b,38bと、前記ボード2b,2c,3a,38aの他方の面に対して直角方向に突出する第2の水平部2e,3c,38cとを備えた補強体2,38と、該補強体2,38を地面に固定するための固定手段と、前記補強体2,38の水平部2d,3b,38b,2e,3c,38cを前記穴26の底部で支持するコンクリート面から成る基礎層32とから成り、前記補強体2,38を鉄筋コンクリートで構成したことを特徴とする。
また本考案前記補強体を、複数の補強体2により構成し、各補強体2を一列状に連結可能とする連結手段を設けたことを特徴とする。
また本考案は、前記連結手段を、前記ボード2cの一方の側部に設けた軸部14と、前記ボード2cの他方の側部に設けた嵌合保持部18とで構成したことを特徴とする。
また本考案は、前記連結手段を、前記ボード3aの両側に設けた係合部5,5と、両側に係合部9が設けられた長尺状杭体7の係合用柱状部7aとで構成し、前記ボード3a側の係合部5,5と前記係合用柱状部7a側の係合部9とを係合可能とし、互いに係合する前記係合部5,9の一方側を凸条5a、他方側を凹溝9aとしたことを特徴とする。
また本考案は、前記固定手段を、前記水平部2d,2e,38b,38cに設けた杭孔4と、該杭孔4を介して前記水平部2d,2e,38b,38cを地面に固定するための杭34とで構成したことを特徴とする。
また本考案は、前記補強体2を、複数の補強体2により構成し、各補強体2を一列状に連結可能とする連結手段を設け、該連結手段を、ボード3の両側に設けた係合部5,5と、両側に係合部9が設けられた長尺状杭体7の係合用柱状部7aとで構成し、前記ボード3側の係合部5と前記係合用柱状部7a側の係合部9とを係合可能とし、前記長尺状杭体7に杭部7bを設け、該杭部7bを前記補強体2を地面に固定するための固定手段としたことをことを特徴とするものである。
本考案は、堤防補強体の下部に川側と陸側の両方に延びる水平部が形成され、これに土の荷重がかかるので、土石流で陸側の土が流されても、補強体は水平部上の土の荷重と、基礎層との連結により垂直に保たれるため、堤防の決壊を防止することができる。
また、堤防補強体は鉄筋コンクリート製なので、地中に埋めても錆びることなく、長期間の耐用年数が得られる。
また、堤防補強体は穴の中に埋められるので、河川堤防の表面の風景を損なわず、周囲の自然環境を破壊することがない。また構造が簡単なので、堤防の補強工事を容易に行うことができる。
本考案の断面説明図である。 本考案に係る堤防補強体の外観説明図である。 本考案の平面説明図である。 本考案の他の実施形態を示す断面説明図である。 本考案の他の実施形態を示す平面説明図である。 本考案の他の実施形態を示す断面説明図である。 本考案の他の実施形態を示す堤防補強体の外観説明図である。 長尺状杭体の外観説明図である。 本考案の他の実施形態を示す平面説明図である。 本考案の他の実施形態を示す平面説明図である。 本考案の他の実施形態を示す断面説明図である。
以下に本考案の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
まず、あらかじめ工場において、鉄筋コンクリート製の堤防補強体2を多数制作し、工場に保管しておく。工場に保管する補強体2は、補強体基部2aと、これに取り付けられる矩形のボード2bとで構成される。補強体基部2aは、矩形の垂直ボード2cと、該垂直ボード2cに対して左右直角方向に突出して、一体的に形成された水平部2d、2eとから成り、該補強体基部2aは、全体の形状が逆T字状に構成されている。
本実施形態では、ボード2b、垂直ボード2c、水平部2d、2eの各厚さaは20cm〜30cmに設定されている。ボード2bの矩形の寸法は、縦cが6m〜10m、横が4〜5mに設定されている。垂直ボード2cの矩形の寸法は、縦bが3m〜5m、横が4m〜5mに設定されている。水平部2d、2eの垂直ボード2cに対して直角方向の横幅dは、3m〜5m、この横幅に対して直角方向の幅は、垂直ボード2cの横幅と同一の4m〜5mに設定されている。
各水平部2d、2eには、厚み方向に貫通する杭打ち用の孔4が形成されている。また、一方の水平部2dの表面には、垂直ボード2cに沿って凸条6が設けられ、該凸条6により、板部材保持用の嵌合凹部8が形成されている。各補強体2の両側部には、互いに一列方向に連結するための連結部10が設けられている。一方の連結部10は、帯板部12とこれに一体的に形成された丸棒状の軸部14とから構成され、他方の連結部10は、帯板部12を受け入れる嵌合受け部16と、軸部14を受け入れる嵌合保持部18とから構成されている。なお、連結部10は種々の構造を用いることが可能であり、図示する構造に特に限定されるものではない。
ボード2bの両側には、他の補強体2と接合するための段差20,22が形成されている。図1中、符号23はボード2bに形成されたフックである。上記補強体2は、各種の寸法及び直列結合用、屈折結合用のものが多数用意されている。
次に、補強体2を用いて堤防の補強工事を行う作業について説明する。
まず、補強すべき堤防24の中央部近傍に所定の深さの穴26を、堤防の長手方向に沿って、所定の長さに亘って掘削する。次に、穴26の底部に、砂利や瓦礫などの基礎材28を敷き詰め、その上にコンクリート30を流し込んで基礎層32を形成する。一方あらかじめ、基礎層32の長さに応じて複数の補強体2を互いに連結しておく。補強体2の連結は、一方の補強体2の側部の軸部14と帯板部12を、他方の補強体2側部の嵌合保持部18と受け部16に上から挿入することで行う。
連結された複数の補強体2の基部2aの各々の一方の垂直面には、ボード2bが当接配置され、該ボード2bのフック23が垂直ボード2cに係合される。ボード2bの各下端縁は、補強体2の嵌合凹部8に密嵌する。
前記ボード2bは、準備した多数のボード2bの中から、穴26の深さに応じて、適宜の縦幅のボード2bを選択する。また、穴26の曲がりに応じて屈折連結用の補強体2を選択する。図3中、補強体2(k)は、屈折連結用の補強体を示している。
所定の数の補強体基部2aを一列方向に連結し、且つ補強体基部2aにボード2bを接合した後、この補強体2を水平部2dを川側に向けて穴26に挿入し水平部2d、2eを基礎層32のコンクリート30に固着させる。穴26に設置した状態の補強体2に、さらに補強体2を結合する場合は、追加する補強体2の軸部14と帯板部12を、穴26に設置されている補強体2の嵌合受け部16と嵌合保持部18に挿入して、穴26内の補強体2に追加用の補強体2を連結する。
隣接する補強体2,2の両側部は対応する段差20,22が交叉して当接し、補強体2,2の隣接部に隙間が生じないようにする。堤防24の穴に補強体2の複数結合体を設置した後、孔4に杭34を打ち込んで、補強体2を基礎層32に強固に固定する。 次に、穴26を、土で埋めることで工事は完了する。
次に図4,5を参照して堤防補強工事及びこれに用いられる堤防補強体の他の実施形態について説明する。
第1工程:
堤防24の補強する箇所の中央部近傍に、所定の長さに亘って、所定の深さの穴26を断面U字状に掘削する。
第2工程:
次に、穴26の底部に基礎層32を形成する。
第3工程:
次に、基礎層32の上に鉄筋を組み、型枠36を取付け、コンクリートを流し込み堤防補強体38を形成する。補強体38は、穴26の深さ方向に延びる所定の高さcと所定の横幅と厚さを有する矩形状のボード38aと、該ボード38aの底部に、一体的な水平部とから構成される。
水平部は、川の方向に延びる、所定の横幅と縦幅の矩形から成り、所定の厚さを有する水平部38bと、市街の方向に延びる前記水平部38bと同形状の水平部38cとから構成される。ボード38aの高さcは堤防24の天端と略同一の高さに設定する。本実施形態では、ボード38aと水平部38b、38cの厚さa,gは20cm〜30cm、水平部の図4中、左右方向の横幅dは3m〜5mとなっている。
第4工程:
補強体38が固まってから、型枠36を外し、杭孔4に杭34を打ち込んで、水平部38b、38cを基礎層32に固定する。
第5工程:
次に、穴26を土で埋める。
上記した構成において、河川の水かさが増して堤防を越え、あふれた土石流が堤防24の裏法面24aを削り、土石流で市街側の土が流されても、補強体38は、基礎層32の支持力と水平部38bの上の土の荷重とによって、倒れることがなく、ボード38aが垂直状態を保持し、堤防24の決壊を防止することができる。
次に本考案の他の実施形態を図6乃至図11を参照して説明する。
まず、鉄筋コンクリート製の堤防補強体2を鉄筋と型枠を用いて制作する。補強体2は、図7に示すように、四角形状のボード3aと、該ボード3aの底部に該ボード3aの表面と裏面に対して直角方向に帯板状に突出する水平部3b、3cとからなり、全体が逆T字状に構成されている。ボード3aの両側部の中央には、長手方向に全長に沿って凸条からなる係合部5が形成されている。
本実施形態では、補強体2の厚さは20〜30cmに設定され、矩形部の寸法は縦6〜10m、横4〜5mに設定されている。水平部2b、2cの突出方向の幅は、10〜15cmに設定されている。長尺状杭体7は、鉄筋コンクリートで全体が柱状に構成され、両側部に全長に亘って凹溝からなる係合部9が形成されている。長尺状杭体7の、堤防補強体2と係合する上半部は係合用柱状部7aを形成し、他の下半部は杭として用いる杭部7bを構成する。
なお、長尺状杭体7は、鋼材を用いて作成してもよい。上記堤防補強体2及び長尺状杭体7は、各種の寸法及び直列結合用、屈折結合用のものが工場又は、現場で制作され、堤防補強工事用に多数用意される。
次に、補強体2と長尺状杭体7を用いて堤防の補強工事を行う作業について説明する。
まず、補強すべき堤防24の中央部近傍に所定の深さの穴26を、堤防の長手方向に沿って所定の長さに亘って断面U字状に堀削する。
次に、複数の長尺状杭体6を穴26に等間隔で配置し、各長尺状杭体6の杭部6bを穴26の底の地中に深く埋め込み又は打ち込む。
次に、穴26の底部に砂利や瓦礫などの基礎材を敷き詰め、その上にコンクリートを流し込んで基礎層32を形成する。
次に、対向する長尺状杭体7の間に堤防補強体2のボード3aを差し込み、凸条と凹溝を嵌合させ、係合部5,9を係合して長尺状杭体7に補強体2を連結する。このとき、補強体2の底部の水平部3b、3cを基礎層32のコンクリートに固着する。水平部3bは、川の方向に突出して配置され、水平部3cは市街地側に突出して配置される。長尺状杭体7と補強体2は、穴26の深さに応じ且つ穴26の曲がりに応じて図9に示すように直列連結用のものと、図10に示すように屈折連結用のものが選択される。穴26内の長尺状杭体7間への補強体2の連結配置が完了したところで穴26を土で埋め、その上に舗装道路17を設ける。
上記した構成において、河川の水嵩が増して堤防を越え、あふれた土石流が堤防24の裏法面24aを削り、土石流で市街地側の土が流されても、補強体2は長尺状杭体7の支持力によって倒れることがなく垂直状態を保持し、堤防24の決壊を防止することができる。長尺状杭体7は、地中深く打ち込まれるため、補強体2をしっかりと支持することができ、土の荷重を受ける補強体2の水平部3b、3cの幅を小さくしても補強体2に対して充分な支持力を得ることができる。そのため、補強体2を配置する穴26の幅を狭くすることができ、穴26の掘り出し残土量を少なくすることができる。
2 補強体
2a 補強体基部
2b ボード
2c 垂直ボード
2d 水平部
2e 水平部
3a ボード
3b 水平部
3c 水平部
4 孔
5 係合部
7 長尺状杭体
7a 係合用柱状部
7b 杭部
9 係合部
10 連結部
12 帯板部
14 軸部
16 嵌合受け部
17 舗装道路
18 嵌合保持部
20 段差
22 段差
23 フック
24 堤防
24a 裏法面
26 穴
28 基礎材
30 コンクリート
32 基礎層
34 杭
36 型枠
38 補強体
38a ボード
38b 水平部
38c 水平部

Claims (6)

  1. 堤防の決壊を防止するために堤防の中央近傍に掘削した穴26に埋めて用いられる堤防補強装置であって、所定の高さのボード2b,2c,3a,38aと、該ボード2b,2c,3a,38aの底部に該ボード2b,2c,3a,38aの一方の面に対して直角方向に突出する第1の水平部2d,3b,38bと、前記ボード2b,2c,3a,38aの他方の面に対して直角方向に突出する第2の水平部2e,3c,38cとを備えた補強体2,38と、該補強体2,38を地面に固定するための固定手段と、前記補強体2,38の水平部2d,3b,38b,2e,3c,38cを前記穴26の底部で支持するコンクリート面から成る基礎層32とから成り、前記補強体2,38を鉄筋コンクリートで構成したことを特徴とする堤防補強装置。
  2. 前記補強体を、複数の補強体2により構成し、各補強体2を一列状に連結可能とする連結手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の堤防補強装置。
  3. 前記連結手段を、前記ボード2cの一方の側部に設けた軸部14と、前記ボード2cの他方の側部に設けた嵌合保持部18とで構成したことを特徴とする請求項2に記載の堤防補強装置。
  4. 前記連結手段を、前記ボード3aの両側に設けた係合部5,5と、両側に係合部9が設けられた長尺状杭体7の係合用柱状部7aとで構成し、前記ボード3a側の係合部5,5と前記係合用柱状部7a側の係合部9とを係合可能とし、互いに係合する前記係合部5,9の一方側を凸条、他方側を凹溝としたことを特徴とする請求項1に記載の堤防補強装置。
  5. 前記固定手段を、前記水平部2d,2e,38b,38cに設けた杭孔4と、該杭孔4を介して前記水平部2d,2e,38b,38cを地面に固定するための杭34とで構成したことを特徴とする請求項1に記載の堤防補強装置。
  6. 前記補強体2を、複数の補強体2により構成し、各補強体2を一列状に連結可能とする連結手段を設け、該連結手段を、ボード3の両側に設けた係合部5,5と、両側に係合部9が設けられた長尺状杭体7の係合用柱状部7aとで構成し、前記ボード3側の係合部5と前記係合用柱状部7a側の係合部9とを係合可能とし、前記長尺状杭体7に杭部7bを設け、該杭部7bを前記補強体2を地面に固定するための固定手段としたことを特徴とする請求項1に記載の堤防補強装置。
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