JP3226487B2 - 果汁入り飲料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、低果汁含有率の果
汁入り飲料の色調を改善する方法、並びに当該色調が改
善された果汁入り飲料に関する。

【０００２】

【従来の技術】果汁含有量が少ない果汁入り飲料は、当
該果汁の味も色調も薄くなってしまうため、それらを何
らかの形で補填する必要がある。特に、果汁１０ｗｔ％
程度のオレンジ飲料では、オレンジ色に見えないぐらい
にまで色が落ちてしまい、外観の点で見劣りしてしまう
場合もある。

【０００３】これを克服するためにカロチン色素のよう
な着色料を用いた場合には、自然の色調を再現すること
が困難であり、場合によっては人工的な色調が食欲をそ
ぐような事態も生ずる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
課題を解決するためになされたものであり、その目的
は、低果汁含有率の果汁入り飲料の色調を改善する適切
な手法を提供し、高果汁含有率の果汁入り飲料と比較し
ても見劣りがしないような低果汁含有率果汁入り飲料を
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するために、本発明者が鋭意研究を重ねた結果、未熟な
ブラッドオレンジの果汁を混入することによりオレンジ
果汁飲料の色調が著しく改善され、高含有率のオレンジ
果汁を含むオレンジ果汁飲料と比較しても見劣りのしな
いものが低果汁含有率の場合にも得られることを突き止
め、本発明を完成するに至った。

【０００６】ここで、成熟したブラッドオレンジ果汁は
食用にもなり、それが果汁飲料に添加されることもある
が、未熟なブラッドオレンジの果実もしくはその果汁
は、通常は食材と認識されていない。そして、本発明
は、通常は食材と認識されていないものを敢えて使用し
たところにその意義がある。

【０００７】本発明は、脱苦味処理を施された未熟な果
実の果汁を所定量添加することにより果汁飲料の色調を
改善する方法を提供する。

【０００８】また、本発明は、未熟な果実から果汁を搾
汁する工程と、この搾汁された果汁に脱苦味処理を施す
工程と、この脱苦味処理を施された果汁を所定量混合す
る工程と、を含むことを特徴とする果汁飲料の製造方法
を提供する。

【０００９】更にまた、本発明は、脱苦味処理を施され
た未熟な果実の果汁を所定量含むことを特徴とする果汁
入り飲料を提供する。

【００１０】更にまた、本発明は、未熟なブラッドオレ
ンジ果汁を少なくとも１０ｗｔ％（重量パーセント：重
量計（ＦＸ−３０００：（株）エー・アンド・デイ）に
より定量）混合することにより果汁飲料の色調を濃厚化
する方法を提供する。

【００１１】更にまた、本発明は、未熟なブラッドオレ
ンジの果汁を１０ｗｔ％以上混合する工程を含むことを
特徴とするオレンジ果汁飲料の製造方法を提供する。

【００１２】更にまた、本発明は、脱苦味処理を施され
た未熟なブラッドオレンジの果汁を少なくとも１０ｗｔ
％含むことを特徴とする果汁入り飲料を提供する。

【００１３】更にまた、本発明は、脱苦味処理を施され
た未熟なブラッドオレンジの果汁を１０ｗｔ％から３０
ｗｔ％含むことを特徴とする低果汁含有率の果汁入り飲
料を提供する。

【００１４】更にまた、本発明は、脱苦味処理を施され
た未熟なブラッドオレンジの果汁を１０ｗｔ％から２０
ｗｔ％含むことを特徴とする低果汁含有率の果汁入り飲
料を提供する。

【００１５】更にまた、本発明は、使用されるブラッド
オレンジの品種が、タロッコ、モロ、サンギネリ、サン
ギネロ、ドブレヒナ、ワシントンサンギネ、及びマルチ
ーズブラッドからなる群から選ばれる１以上のものであ
ることを特徴とする上記記載の果汁入り飲料を提供す
る。

【００１６】更にまた、本発明は、使用されるブラッド
オレンジの品種が、タロッコであることを特徴とする上
記記載の果汁入り飲料を提供する。

【００１７】更にまた、本発明は、本発明で提供される
上記果汁入り飲料が所定の容器に充填された果汁入り飲
料製品を提供する。

【００１８】［用語の定義］本明細書において、「未
熟」とは、食に適する１〜２か月前（言い換えれば、青
果として店頭に並ぶ１〜２か月前）の状態である。ま
た、ブラッドオレンジが食に適する状態となると、果肉
に赤みが出るようになるが、本発明では、この「果肉に
赤みが出る」状態よりも早い時期のものを用いる。

【００１９】「果汁入り」とは、何らかの形態で果汁を
含む場合をいい、「飲料」は炭酸を含む場合も含まない
場合も含有する広い概念である。従って「オレンジ果汁
入り飲料」とは、何らかの形態でオレンジ果汁（オレン
ジの種類は問わない）を含む炭酸もしくは無炭酸の飲料
を意味することになる。

【００２０】「色調を改善する」というのは、例えばオ
レンジ果汁入り飲料であれば、オレンジ色を鮮やかにし
て食欲を増進させるような場合をいう。

【００２１】「充填」は、フル充填の場合だけでなく、
一部充填の場合も含む。

【００２２】「低果汁含有率の果汁入り飲料」というの
は、約３０ｗｔ％程度以下の果汁が含有されている果汁
入り飲料のことをいう。

【００２３】

【発明を実施するための形態】果汁入り飲料を製造する
にあたって脱苦味処理を施すのは、未熟なブラッドオレ
ンジの果汁が強い苦みを有するため、これを除去して果
汁飲料の原料として適する食材とするためである。この
脱苦味処理は、通常よく知られた脱苦味処理、例えばカ
ラム吸着法を採用することができる。

【００２４】「ブラッドオレンジ」の品種としては、例
えばタロッコ、モロ、サンギネリ、サンギネロ、ドブレ
ヒナ、ワシントンサンギネ、マルチーズブラッドなどが
あるが、本発明において使用できるブラッドオレンジの
品種はこれに限られない。なお、ブラッドオレンジの品
種の中ではタロッコが好ましい。また、本発明において
「ブラッドオレンジ」は、単独品種それのみでも、複数
品種の混合体である場合でも使用することができる。

【００２５】色調を改善するという本発明の目的を達成
するためには、ブラッドオレンジ果汁の含有量は１０ｗ
ｔ％以上である必要がある。ここで、単に「１０ｗｔ％
以上」と言った場合には、果汁１００ｗｔ％の場合も含
まれるが、「所定量添加」もしくは「所定量混合」と言
った場合には、１００ｗｔ％でない量の添加もしくは混
合を意味する。従って、「所定量添加」もしくは「所定
量混合」と言った場合には、添加もしくは混合の結果か
ら見て、色調を改善するのに好ましい１００ｗｔ％未満
の量を意味し、低果汁含有率の果汁入り飲料という観点
からすれば、好ましくは約３０ｗｔ％程度以下の果汁を
添加もしくは混合することを意味する。

【００２６】

【実施例】タロッコから果汁を搾汁し、搾汁された果汁
について脱苦味処理を行った。脱苦味処理は、イオン交
換樹脂を充填したカラムに連続的に果汁を通すことによ
りリモニンを除去する装置によって行った。

【００２７】このようにして得られた脱苦味処理後のタ
ロッコ果汁１０ｗｔ％、果糖ぶどう糖液糖１２ｗｔ％、
及び砂糖１ｗｔ％に香料を適量添加し、処理水で定容
し、オレンジ果汁入り飲料を製造した（実施例）。この
ときに、着色料は一切用いなかった。

【００２８】この比較例として、バレンシアオレンジ果
汁を使用した１００ｗｔ％オレンジ果汁及び３０ｗｔ％
オレンジ果汁入り飲料を、それぞれ比較例１及び比較例
２として用意した。

【００２９】これらの実施例、比較例１及び比較例２に
ついて、明度（Ｌ）、赤色度（ａ）、及び黄色度（ｂ）
について対比を行った。測定は色差計（ＮＤＪ−シグマ
９０：日本電色工業（株））により行った。その結果を
下表に示す。

【００３０】

【表１】 明度（Ｌ） 赤色度（ａ） 黄色度（ｂ） 実施例 79.17 -13.07 43.25 比較例１ 77.71 -8.05 42.60 比較例２ 77.82 -20.32 41.26

【００３１】ここで、明度（Ｌ）、赤色度（ａ）及び黄
色度（ｂ）は、それぞれ値が大きいほど明るいこと、赤
いこと、及び黄色いこと示している。

【００３２】この結果から明らかなように、実施例に係
るオレンジ果汁入り飲料は、外観の点で１００ｗｔ％オ
レンジ果汁に劣っておらず、低果汁含有率のオレンジ果
汁入り飲料において色調が改善されていることが分か
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A23L 2/00 - 2/40

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 脱苦味処理を施された未熟なブラッドオ
   レンジ果実の果汁を所定量添加することによりオレンジ
   果汁入り飲料の色調を改善する方法。
2. 【請求項２】 未熟なブラッドオレンジ果汁を少なくと
   も１０ｗｔ％混合することによりオレンジ果汁入り飲料
   の色調を濃厚化する方法。
3. 【請求項３】 使用されるブラッドオレンジの品種が、
   タロッコ、モロ、サンギネリ、サンギネロ、ドブレヒ
   ナ、ワシントンサンギネ、及びマルチーズブラッドから
   なる群から選ばれる１以上のものであることを特徴とす
   る請求項１又は２に記載の方法。
4. 【請求項４】 未熟なブラッドオレンジ果実から果汁を
   搾汁することにより製造されたオレンジ果汁入り飲料の
   色調の濃厚化用果汁。
5. 【請求項５】 未熟なブラッドオレンジ果汁を１０ｗｔ
   ％以上混合する工程を含むことを特徴とするオレンジ果
   汁入り飲料の製造方法。
6. 【請求項６】 脱苦味処理を施された未熟なブラッドオ
   レンジの果汁を少なくとも10wt%含むことを特徴とする
   オレンジ果汁入り飲料。
7. 【請求項７】 脱苦味処理を施された未熟なブラッドオ
   レンジの果汁を10wt%から３０ｗｔ％含むことを特徴と
   する低果汁含有率のオレンジ果汁入り飲料。
8. 【請求項８】 脱苦味処理を施された未熟なブラッドオ
   レンジの果汁を10wt%から２０ｗｔ％含むことを特徴と
   する低果汁含有率のオレンジ果汁入り飲料。
9. 【請求項９】 使用されるブラッドオレンジの品種が、
   タロッコ、モロ、サンギネリ、サンギネロ、ドブレヒ
   ナ、ワシントンサンギネ、及びマルチーズブラッドから
   なる群から選ばれる１以上のものであることを特徴とす
   る請求項６〜８のいずれかに記載のオレンジ果汁入り飲
   料。
10. 【請求項１０】 使用されるブラッドオレンジの品種
    が、タロッコであることを特徴とする請求項９記載のオ
    レンジ果汁入り飲料。
11. 【請求項１１】 請求項６〜１０のいずれかに記載のオ
    レンジ果汁入り飲料が所定の容器に充填されたオレンジ
    果汁入り飲料製品。