JP3226164U - エレベーター用金属パネル及びエレベーター用金属パネルの修復剤 - Google Patents

エレベーター用金属パネル及びエレベーター用金属パネルの修復剤 Download PDF

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Abstract

【課題】意匠金属基材の表面に、アルカリ雰囲気における高い機械的耐久性と、長期持続性の防汚性を有するエレベーター用金属パネルを提供する。【解決手段】意匠金属基材5の表面5aに、パーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層6を有するエレベーター用金属パネルであって、材料はパーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物を含む材料であり、意匠金属基材は表面を粗面化及び/又は着色したものであり、保護層はアルカリ雰囲気において機械的に清掃しうる。【選択図】図3

Description

本考案は、エレベーター用金属パネル及びエレベーター用金属パネルの修復剤に関する。
従来、金属表面の油、汚れ、指紋の付着しにくい、または、視認しにくくすることを目的に、表面に防汚層を付与する方法が知られている。
例えば、一般的な金属表面にポリフルオロエーテル基を含有する化合物を含む保護層を形成することで良好な指紋付着防止性を付与することができる(特許文献1)。
さらに近年では、金属表面が有する輝き、質感、感触をさらに高めるため、表面を磨き上げた鏡面金属のほか、エッチングや研磨等の粗面化、及び/又はスパッタによる着色を施した高級感に優れる意匠金属が広く使用されている。
具体的には、例えば、建材、キッチン機器、TV・IT機器、オーディオ機器、車載用金属材、金属製高級棚、冷蔵庫、屋内の内装用金属パネル、エレベーター用金属パネルなどが挙げられ、目に触れ、触る機会の多くある身の回りの金属部材に適用される。
しかしながら、これらの意匠金属は、油、汚れ、指紋等が付着しやすく、また目立つために意匠性を損なうという課題があった。
特にエレベーターのドア・操作パネルなどのエレベーター用金属パネルは、触る機会が多いため、汚れや指紋等が付着しやすく、落としにくいという課題があった。
そこで、金属表面の油、汚れ、指紋の付着しにくい、または、視認しにくくすることを目的に、意匠金属表面に汚れを防止する保護層を付与する方法が知られている。
例えば、シリコーン化合物とポリフルオロカーボン鎖を含有する化合物からなり、さらに表面粗さが0.2μm以上である層を形成することにより指紋が視認しにくい意匠金属表面とすることができる(特許文献2)。
しかし、指紋付着防止等の防汚効果のある保護層を付与した金属表面は、油、汚れ、指紋等の付着性あるいは視認性を改善するためのものであり、これらの汚れが全く付着しないわけではない。
そのため、金属表面の汚れを清掃する必要があり、最近ではより簡便に清掃するために、アルカリ電解イオン水などのアルカリ水で清掃する場合が多い。しかし、清掃時のアルカリ雰囲気において、アルカリ水を同時に使用して清掃する、あるいは洗剤や水で清掃した後にアルカリ水で清掃する場合や、さらにアルカリ水の清掃に加えて擦るなどの機械的な清掃時に、保護層が変質したり、あるいは徐々に剥離して、短期間で保護効果が消滅してしまう場合がある。
そこで、アルカリ耐性を有する保護層を金属表面に付与する方法が知られている。
例えば、基材上にダイヤモンドライクカーボン層とダイヤモンドライクカーボン層上に−Si−O−Si−結合を含まないパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む表面処理層を形成することにより耐アルカリ性のある防汚性の金属表面とすることができる(特許文献3)。
また、特許文献3に示すパーフルオロポリエーテル基含有化合物は、−Si−O−Si−結合がアルカリ環境下で容易に加水分解のために切断されるため耐久性が低下することが知られており、その具体例としてSi元素を1つ含む文献が開示されている(特許文献4)。
特公平04−38786号公報 特開2007−69535号公報 特開2016−52779号公報 特表2008−534696号公報
しかし、上記のアルカリ耐性を有する保護層を金属表面に付与する方法は、あらかじめ、基材上にプラズマ存在下での気相反応によってダイヤモンドライクカーボン層を形成する必要があるため、大型のエレベーター用金属パネルには適用が困難である。
また、意匠金属の場合、保護層の膜厚が1μm以上の膜厚があるために、触感や色合いが要求される用途では、それらの意匠性が低下するため適用できない場合がある。
そこで、本考案者らは、上記課題について鋭意検討したところ、従来技術に対して、透明、付着防止、指紋防止、防汚に加え、あらたに化学的及び機械的に強固とできることを見出した。
そこで、本考案は、指紋付着防止性能などの長期持続性の防汚性能を有し、アルカリ雰囲気と機械的耐久性の高いエレベーター用金属パネルを提供することを目的とする。
[請求項1]
上記課題を解決するために、本考案の観点によれば、意匠金属基材と、当該意匠金属基材の表面にパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層とを有するエレベーター用金属パネルが提供される。
[請求項2]
前記の材料は、パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物を含む材料であるエレベーター用金属パネルであることが好ましい。
[請求項3]
さらに、前記の意匠金属基材は前記表面を粗面化及び/又は着色したエレベーター用金属パネルであることが好ましい。
[請求項4]
前記の保護層は、アルカリ雰囲気において機械的に清掃しうるエレベーター用金属パネルであることが好ましい。
[請求項5]
さらに、エレベーター用金属パネル保護層を修復するために用いられる修復剤であって、前記修復剤はパーフルオロポリエーテル化合物を含むエレベーター用金属パネル用の修復剤であることが好ましい。
以上説明したように本考案によれば、アルカリ雰囲気における高い機械的耐久性を付与することができるため、意匠金属基材の表面に長期の高い防汚効果のある保護層を有するエレベーター用金属パネルを提供することができる。
本考案の意匠金属基材と意匠金属基材の表面にパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層を有するエレベーター用金属パネルを用いたエレベーター構造を示す全体図である。 意匠金属基材とその表面に保護層を有するエレベーターの通路側及びエレベーター内部のボタン操作用のエレベーター用金属パネル図である。 意匠金属基材とその表面に保護層を有するエレベーター用金属パネル図及びその断面図である。
本考案の意匠金属基材と意匠金属基材の表面にパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層を有するエレベーター用金属パネル及びエレベーターの構造を図1から図3に説明する。
図1はエレベーター構造を示す全体図である。1は意匠金属基材のエレベーター用金属パネルで囲われたエレベーター本体、2はエレベーター本体の内側の意匠金属基材表面に6のパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層を有するエレベーター用金属パネル、3は前記の保護層を有するエレベーター内部のボタン操作用のエレベーター用金属パネル、4は前記の保護層を有する通路側のエレベーターボタン操作用のエレベーター用金属パネルである。
図2は意匠金属基材とその表面に保護層を有するエレベーターの通路側及びエレベーター内部のボタン操作用のエレベーター用金属パネル図である。図2(a)は、3のエレベーター内部のボタン操作用のエレベーター用金属パネルの詳細を示す。3aの操作ボタン周辺には意匠金属基材表面に6の保護層を有するエレベーター用金属パネルが使用される。図2(b)は、4の通路側のエレベーターボタン操作用のエレベーター用金属パネルの詳細を示す。4aの操作ボタン周辺には意匠金属基材表面に6の保護層を有するエレベーター用金属パネルが使用される。
図3は意匠金属基材とその表面に保護層を有するエレベーター用金属パネル図及びその断面図である。図3(a)は、意匠金属基材の構成を示す。5は意匠金属基材であり、5aはエレベーター本体の内側面、及び操作パネル側に面して設置される意匠金属基材の表面である。5bは保護層を有する意匠金属基材を切断した断面方向線である。図3(b)は、意匠金属基材の表面のみに6のパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層が形成される。意匠金属基材をすきまなく接続し施工する場合に用いられる。図3(c)は、意匠金属基材の表面及び側面を含むように6のパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層が形成される。これは、景観上の観点から、意匠金属基材間に隙間をあけて施工する場合があり、側面部が露出してアルカリ雰囲気にさらされる際に用いられる。
さらに、本考案の表面をアルカリ雰囲気において、機械的に清掃しうる金属の表面が、パーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層を有するエレベーター用金属パネルについて詳細に説明する。尚、これ以降、「表面処理」とは、パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料からなる保護層を有する表面をいう。
[表面処理された金属]
本考案にかかる意匠金属基材のエレベーター用金属パネルは、エレベーターのドア・操作パネル等に使用されるものである。金属の材質としては、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム及びアルミニウム合金、銅及び銅合金等が挙げられる。例えば、ステンレス鋼は本考案の表面処理されたエレベーター用金属パネルの典型的な金属であり、耐食性、加工性に優れているため、主に使用されている。
本考案における意匠金属の表面は、表面の平均粗さ(Ra)が0.2μm未満の平滑な平面又は曲面であってもよい。さらに、平面又は曲面へのブラスト処理等の研磨により粗面化された凹凸を有する意匠金属表面であってもよい。
さらに、上述した金属の表面が、スパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)等の方法で、チタンやクロム等の金属薄膜、あるいはチタンやクロム等の酸化膜を形成した着色された意匠金属表面であってもよい。
表面処理層は、意匠金属表面の少なくとも一部に形成されていればよく、具体的には、少なくとも防汚性が必要とされる部分に形成されていればよい。
本考案の表面処理された意匠金属のエレベーター用金属パネルは、表面処理がされない場合と比べて顕著に改善された防汚性が長期に渡って持続される。本明細書において、「アルカリ雰囲気」とは、アルカリ電解イオン水などのアルカリ性水溶液が直接金属表面に触れる、またその環境下で使用すること指し、さらに金属表面の清掃において、清掃と同時に使用する、または、他の溶液などで洗浄した後に当該アルカリ水を使用することを示す。
さらに、アルカリ電解イオン水などのアルカリ性水溶液とは、PH8〜PH12のアルカリ性水溶液が使用される。
また、「機械的」とは、洗浄する方法において、布で擦る、拭くなどの外部からの力学的な作用のあることを示す。
[パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料]
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料は、反応性基を有するため意匠金属表面に接して強固な被膜を形成し、良好な密着性を有する。このことから、金属の材質の制約なく、意匠金属表面の上に強く保持される。さらに、良好な滑り性も付与できるため、良好な防汚性とアルカリ雰囲気に対する長期安定性及び機械的耐久性を実現できるという効果が得られる。
さらに、粗面化された表面及び/又は着色された意匠金属表面に対しても上述した効果が発現できる。加えて、意匠性を損なわない薄膜で防汚性と機械的耐久性を同時に満足することができる。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料は、パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物溶液として、この溶液を塗布し乾燥することによって被膜を形成できる。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物溶液は、一般的な塗布方法によって金属表面にコーティングできる。具体的には、例えば、筆塗り、スプレー塗布、浸漬塗布、回転塗布、スリット塗布、ディスペンス塗布などが採用できる。
また、意匠金属表面の乾燥したコーティング層被膜を、さらに強固に密着させることができる。具体的には、例えば、金属表面とコーティング層の間に、有機成分、無機成分、及び金属成分、あるいはこれらの混合成分からなる塗布膜、蒸着膜、スパッタ膜、CVD膜などの接着層を加えることができる。
さらに、加熱炉や赤外線などによる加熱、あるいは紫外線照射、超音波照射などによる外部からのエネルギーを加えてもよい。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物とは、パーフルオロポリエーテル主鎖に、−(OCFCF2CF−の単位構造を有し、さらに2つ以上のシラン元素を含むポリマーであり、防汚性効果のための必須成分である。
例えば、具体的には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランアクリレート化合物などが好適である。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物の質量平均分子量は、好ましくは5000以上50,000以下であり、より好ましくは10,000以上25,000以下である。該質量平均分子量が前記範囲の下限値未満の場合、被膜の防汚性が低下する場合がある。また、質量平均分子量が前記範囲の上限値よりも大きい場合、塗布溶液から析出してしまい性能が低下してしまう場合がある。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物は、フッ素系溶剤で希釈した溶液を用いることが好ましい。
具体的には、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロモノエーテル、ハイドフルオロオレフィン、パーフルオロモノエーテル、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロアルカン、パーフルオロポリエーテル、フッ素原子含有アルケン、フッ素原子含有芳香族溶媒、フッ素原子含有ケトン、フッ素原子含有エステルなどを用いることができる。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料の保護層の厚みは、例えば、好ましくは0.01μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0.01μm以上0.1μm以下である。厚みが0.01μm未満の場合、被膜の防汚性が低下してする場合がある。また、厚みが1.0μmを超える場合、金属の意匠性を損なう場合がある。
パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料の保護層の存在は、n−ヘキサデカンの接触角の測定により確認できる。具体的には、表面処理された金属の表面にn−ヘキサデカンを滴下して接触角を測定し、その接触角が50°を超えているか否かで確認できる。
例えば金属の材質に対するn−ヘキサデカンの接触角は、SUS304、鉄、超硬刃、アルミニウム等で20°以下でn−ヘキサデカンが濡れ広がるのに対して、パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物からなる材料の保護層に対するn−ヘキサデカンの接触角の例は、50°以上である。従って、上記のような接触角が観測されることにより、パーフルオロポリエーテル主鎖を含む化合物からなる材料の保護層の存在が確認される。
パーフルオロポリエーテル化合物を含む材料をフッ素系溶剤で希釈した溶液は、エレベーター用金属パネル保護層を修復するために用いられる修復剤としても使用される。
具体的には、パーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層を有するエレベーター用金属パネルを作成し、その後の長期に渡る使用で防汚性が低下した場合に、パーフルオロポリエーテル化合物を含む材料をフッ素系溶剤で希釈した溶液を塗布することで、容易に表面の保護層を修復することができる。
さらには、上述の防汚性金属を使用中に、経時的な防汚性の低下を防止するため、定期的あるいは不定期に当該溶液を塗布し、防汚性を維持させることもできる。
加えて、当該溶液は、金属表面の洗浄性も有するため、使用の際に汚れた一般的な金属や意匠金属表面の清掃及び洗浄を兼ねた修復剤して使用することもできる。
パーフルオロポリエーテル化合物を含む材料をフッ素系溶剤で希釈した溶液を修復剤として使用する場合の濃度は、例えば、好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.2質量%以下である。濃度が0.005質量%未満の場合、被膜の防汚性を修復できない場合がある。また、濃度が0.2質量%を超える場合、塗布ムラ等が生じ金属の意匠性を損なう場合がある。
上記において説明した、本考案のエレベーター用金属パネルであれば、アルカリ雰囲気における高い機械的耐久性の効果によって、防汚性が長期に渡り持続し、防汚性を満足することができる。
以下、実施例および比較例に基づき、本考案を更に具体的に説明する。ただし、本考案は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[表面処理した金属の製造]
粗面化及び/又は着色していない意匠金属基材として、表面の平均粗さ(Ra)が0.1μmの片側を鏡面仕上げしたSUS304(長さ150mm、幅70mm、0.7mm厚)の表面に、パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物溶液(溶媒:1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)を塗布、乾燥して被膜を形成した。
バフ研磨したSUS304(長さ150mm、幅70mm、0.7mm厚)の意匠金属基材表面に、パーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物溶液(溶媒:1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)を塗布、乾燥して被膜を形成した。
(比較例1)
粗面化及び/又は着色していない一般的な金属基材として、表面の平均粗さ(Ra)が0.5μmのSUS304(長さ150mm、幅70mm、0.7mm厚)の表面に、炭素数6のパーフルオロアルキルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体からなるパーフルオロアルキル化合物含む溶液(溶媒:1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)を塗布、乾燥して被膜を形成した。
(比較例2)
片側を鏡面仕上げした表面の平均粗さ(Ra)が0.1μmのSUS304(長さ150mm、幅70mm、0.7mm厚)の意匠金属基材表面に、炭素数6のパーフルオロアルキルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体からなるパーフルオロアルキル化合物含む溶液(溶媒:1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)を塗布、乾燥して被膜を形成した。
以上の金属につき、以下の特性評価を行った。
[特性評価]
(実施例1、2、比較例1、2)
(接触角)
塗布した金属表面のオイルのはじき性をn−ヘキサデカンの接触角で評価した。n−ヘキサデカンのはじき性は、1μLのn−ヘキサデカンを金属表面に滴下して、そのときの接触角を測定した。n−ヘキサデカンの接触角が50°以上の場合を○、50°未満の場合を×とした。
(油性マジック耐性)
金属表面に油性マジックで2mm程度の長さの波線を書き、市販のティッシュペーパーによるふき取り性を評価した。ふき取り性は、ふき取りにより油性マジックが消えた時を1回として数え、同じ個所を書いて消す操作を5回以上繰り返すことができた場合を○、2回以上の場合を△、1回も消すことが出来なかった場合を×とした。
(アルカリ電解イオン水に対する機械的耐久性の評価)
金属表面に市販のアルカリ電解イオン水(PH12)1ccを滴下し、その後、室温で1時間放置した。次に、市販のティッシュペーパーで100回擦り、機械的耐久性を評価した。耐久性は、表面状態の観察、並びに1μLのn−ヘキサデカンを金属表面に滴下したとき接触角を測定した。被膜に擦れなどの外観変化がない場合を○、多少傷がついた場合を△、擦り取られている場合を×とした。また、n−ヘキサデカンの接触角が50°以上の場合を○、50°未満の場合を×とした。
[評価結果]
実施例1、2については、いずれの評価においても、防汚性及びアルカリ電解イオン水に対する機械的耐久性ともに良好な結果を示した。特に、実施例2は、バフ研磨した意匠金属基材であり、凹凸の頂点部も含め接触角の低下と被膜の剥がれがないことから良好な機械的耐久性を示した。一方、比較例1、2は、いずれの評価においても実施例1〜2と比較して劣る結果となった。
[まとめ]
以上の結果より、本考案の表面処理された金属であれば、アルカリ雰囲気における高い機械的耐久性を付与することが可能であり、結果としてエレベーター用金属パネルの防汚性を向上させることができる。
以上、本考案の好適な実施形態について詳細に説明したが、本考案はかかる例に限定されない。本考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本考案の技術的範囲に属するものと了解される。
本考案は、アルカリ雰囲気における高い機械的耐久性と長期に渡る高い防汚性を付与することが可能なエレベーター用金属パネルを提供することが可能であることから、産業上有用である。
1 エレベーター本体
2 意匠金属基材表面に保護層を有するエレベーター用金属パネル
3 エレベーター内部のボタン操作用のエレベーター用金属パネル
3a 操作ボタン
4 通路側のエレベーターボタン操作用のエレベーター用金属パネル
4a 操作ボタン
5 意匠金属基材
5a 意匠金属基材の表面
5b 意匠金属基材の断面方向線
6 保護層

Claims (5)

  1. 意匠金属基材と、当該意匠金属基材の表面にパーフルオロポリエーテル化合物を含む材料からなる保護層とを有するエレベーター用金属パネル。
  2. 前記請求項1において、前記材料はパーフルオロポリエーテル主鎖と2つ以上のシラン元素を含む化合物を含む材料であることを特徴とするエレベーター用金属パネル。
  3. 前記請求項1及び2において、前記意匠金属基材は前記表面を粗面化及び/又は着色したものであることを特徴とするエレベーター用金属パネル。
  4. 前記請求項1から3のいずれかにおいて、前記保護層はアルカリ雰囲気において機械的に清掃しうることを特徴とするエレベーター用金属パネル。
  5. 前記請求項1から4のいずれかに記載のエレベーター用金属パネル保護層を修復するために用いられる修復剤であって、前記修復剤はパーフルオロポリエーテル化合物を含むことを特徴とするエレベーター用金属パネル用の修復剤。
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