JP3225066B2 - アルミニウム合金製部材の表面改質方法 - Google Patents

アルミニウム合金製部材の表面改質方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金製部
材の表面部に対するショットピーニング処理と共に該表
面部に所望の性状を付与する表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、例えば、車両の軽量化又は小型化
が進み、特にアルミニウム合金製部材が強度部材として
多用されている。
【0003】こうした中で、アルミニウム合金製部材の
耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性の向上について種々の
検討が行われ、材料の合金成分又は熱処理の改善と共に
アルミニウム合金製部材に適応した表面処理技術が提案
されている。
【0004】因みに、一般の表面処理技術は金属部材の
表面に強化層を形成するか又は強化部材を接合するもの
で、いずれも金属部材の表面に表層部を形成するもので
ある。しかし、低融点のアルミニウム合金製部材では加
熱による損傷、溶融による特性の変化または形成される
表層部の密着性に難点があり、その適用は好ましくない
とされている。
【0005】したがって、アルミニウム合金製部材の表
面処理は塑性加工によってその表面部に残留(圧縮)応
力を生成させることが行われ、中でもショットピーニン
グ処理によって残留(圧縮)応力を発生させることはき
わめて有効な方法として注目されている。
【0006】アルミニウム合金製部材の表面部に対する
応力を発生させるためのショットピーニング処理は、こ
の処理により発生する残留応力に基づく疲労強度が向上
するように、ショット材の材質、粒径又はアークハイト
量等のショットピーニング処理の条件が種々調整され実
用化されている。
【0007】特に、ショット材はショット時にアルミニ
ウム合金製部材の表面を傷つけ或いは表面部に食い込む
等のことがないように、ショット材の砕片又は微粉はシ
ョット材中から取除かれショット材の粒径は所定値以上
を維持するように管理されている。
【0008】また、特開平1−208415号公報に
は、アルミニウム合金鋳物の所望部位表面を急速溶融・
急速再凝固させ、再凝固層表面にショットピーニング等
の塑性加工を施す技術が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ニウム合金製部材のように強度が低く脆性が大きい材料
では、高圧縮の残留応力を得るため単にアークハイト量
の大きいショットピーニング処理を施すだけではアルミ
ニウム合金製部材の表面部の性状劣化等を誘発すること
になる等の難点があり、ショットピーニング処理だけで
は所期の耐摩耗性及び疲労強度が得られないという問題
点があった。
【0010】また、特開平1−208415号公報に記
載されている技術では、アルミニウム合金製部材は熱伝
導性が良いため急速溶融、急速再凝固して生ずる再凝固
層の厚さを均斉させる制御が複雑となり、加えて再凝固
層に施されるショットピーニングであっても前述したよ
うな状況が回避できないという問題点があった。
【0011】上記に鑑みて、本発明は、アルミニウム合
金製部材の表面部に対するショットピーニング処理中に
耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性を向上させる材料をア
ルミニウム合金製部材の表面部に移行させることによ
り、耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性を向上させるアル
ミニウム合金製部材の表面改質方法の提供を目的とする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述したような目的を達
成するため、請求項1の発明は、アルミニウム合金製部
材にショットピーニング処理を行うときにショット材の
ショットにより微粒子をアルミニウム合金製部材の表面
に埋込ませることにより、ショットピーニング処理によ
る残留応力の発生に加えて、上記ショットにより埋込ま
れる微粒子によりアルミニウム合金製部材の表面改質を
より効果的に行おうとするものである。
【0013】具体的に請求項1の発明の講じた解決手段
は、アルミニウム合金製部材の表面部にショットピーニ
ング処理を施すアルミニウム合金製部材の表面改質方法
であって、粒径が0.5〜4.0mmのショット材がア
ルミニウム合金製部材の表面部をショットする時にショ
ット材中に粒径が1〜10μmの微粒子が2〜30wt
伴われる状態でショットピーニング処理を行うことに
より、上記微粒子をアルミニウム合金製部材の表面部に
分散状態で埋込ませる構成とするものである。
【0014】また請求項2の発明は、ショット材のショ
ットによりアルミニウム合金製部材の表面部に埋込まれ
る微粒子の相対量又は粒径等の選択を容易とするための
ものであって、具体的には、請求項1の構成に、微粒子
はショット材に混入されショット材の一部を構成すると
いう構成を付加するものである。
【0015】また、請求項3の発明は、ショットにより
アルミニウム合金製部材の表面部に埋込まれる微粒子
が、アルミニウム合金製部材中に分散する状態にとどま
ることなく、アルミニウム合金製部材中に拡散させられ
ることにより優れた表面改質を達成するためのものであ
って、具体的には、請求項1の構成に、微粒子としてア
ルミニウムと金属間化合物を生成するものを用い、且つ
アルミニウム合金製部材の表面部に埋込まれた微粒子を
アルミニウム合金製部材の表面部に拡散させるための加
熱処理をショットピーニング処理後に行う構成を付加す
るものである。
【0016】また、請求項4の発明は、ショットにより
アルミニウム合金製部材の表面部に埋込まれる微粒子が
アルミニウム合金製部材中に拡散するための加熱を工数
及び熱採算が有利となる方法で行うためのものであっ
て、具体的には、請求項3の構成に、加熱処理はショッ
トピーニング処理後に行われる溶体化処理における加熱
処理により得られる構成を付加するものである。
【0017】
【作用】請求項1の発明の構成により、アルミニウム合
金製部材へのショットピーニング処理に際しアルミニウ
ム合金製部材表面部をショット材がショットする時に、
ショット材中に微粒子が伴われることにより上記微粒子
がアルミニウム合金製部材表面部に埋込まれ分散するた
め、ショットピーニング処理による残留応力の発生に加
えて上記ショットにより埋込まれる微粒子に個有の特性
により、耐摩耗性、耐食性等が向上し、アルミニウム合
金製部材の強度信頼性が増大する。
【0018】請求項2の発明の構成により、上記微粒子
はショット材に混入されショット材の一部を形成するか
ら、ショット材中に含有するされる微粒子量等は所望値
に設定することが容易となる。
【0019】請求項3の発明の構成により、アルミニウ
ム合金製部材の表面部に埋込まれ分散する微粒子が加熱
によりアルミニウムと金属間化合物を生成し、アルミニ
ウム合金製部材の表面部に拡散するため、微粒子成分は
アルミニウム合金製部材の表面部に合金組織として均一
に分布することが可能となる。
【0020】請求項4の発明により、アルミニウム合金
製部材の表面部に埋込まれ分散する微粒子がアルミニウ
ム合金製部材の表面部に拡散される加熱はショットピー
ニング処理後の溶体化処理における加熱処理時の熱によ
り行われるため、微粒子の拡散は併用工程で行うことが
できる。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。
【0022】本発明者らは、アルミニウム合金製部材の
表面改質方法におけるショットピーニング処理の種々の
態様と該部材の表面部に発生する残留(圧縮)応力の状
態につき多くの実験を重ねるうち、本来予め設定された
とおり分級整粒されてショットされるべきショット材中
に、欠損粒子又は微粒子が混在しているときは、これら
の欠損粒子又は微粒子はショット材のショット時にアル
ミニウム合金製部材の表面部に埋込まれ分散することを
確認した。
【0023】同時にアルミニウム合金製部材の表面にシ
ョット材と同程度の硬度を有する微粒子が付着した状態
のままでショットピーニング処理を施すと、上記微粒子
はアルミニウム合金製部材の表面部に埋込まれ分散する
ことも確認した。
【0024】そこで、従来の技術では排されるべきであ
る上記埋込まれ分散する微粒子に、アルミニウム合金製
部材の表面部の性状改善に貢献する耐摩耗性を向上させ
るための硬度、又は耐食性を向上させるための安定性を
保持させれば、このような微粒子の存在によりアルミニ
ウム合金製部材の表面改質が効果的に達成できることに
想到して本発明を完成した。
【0025】先ず、アルミニウム合金製部材に対するシ
ョットピーニング処理に際し、ショット材がアルミニウ
ム合金製部材の表面部をショットする時にショット材の
ショットにより該部材の表面部に埋込まれ分散される微
粒子の材質別分散量と、それらの分散により得られる硬
度との関係を調べ図1に示す。
【0026】微粒子は、1:硬鋼材、2:Si3 N4 及
び3:Zr O2 よりなる材質で各粒径1〜20μmの微
粒子を、それぞれ同材質のショット材(粒径0.5〜4
mm)に2〜70wt%の混合比で混合し、アルミニウム合
金製部材に対しショットピーニング処理を施す。
【0027】アルミニウム合金製部材は鋳造物であるA
C4Cを用い、ショットピーニング処理のアークハイト
量を0.05〜0.4mmの範囲としたものである。
【0028】図1において、実線1は微粒子が硬鋼材の
とき、一点鎖線2は微粒子がSi3N4 のとき、破線3
は微粒子がZr O2 のときをそれぞれ示す。
【0029】図1に示されるグラフによれば、各材質の
微粒子共分散量の増加に従ってアルミニウム合金製部材
の硬度は向上することがわかる。
【0030】また、アルミニウム合金製部材としてAC
4Cを用い、硬鋼球のショット材に粒径1μmの硬鋼微
粒子を適宜混合し、アルミニウム合金製部材に対する微
粒子の分散量が1〜20wt%の範囲で変化するような種
々のアークハイト量でショットピーニング処理を施し、
アルミニウム合金製部材の表面部に分散される微粒子の
分散量と疲労強度の向上率との関係を調べ図2に示す。
【0031】図2に示されるグラフによれば、微粒子の
分散量1.25〜10wt%が疲労強度を向上させる良好
な範囲であることとがわかる。分散量が10wt%を超す
と疲労強度の向上率が急激に低下するのは、埋込まれ分
散される微粒子量に対し分散媒となるアルミニウム合金
製部材のマトリックス重量が相対的に低くなってクラッ
クの発生により引張強度が低下するものと推定される。
【0032】また、アルミニウム合金製部材としてAC
4Cを用い、粒径0.5〜4.0mmの硬鋼球ショット材
中に微粒子を10wt%混入させると共にその粒径を変化
させてショットピーニング処理を施し、微粒子の粒径と
アルミニウム合金製部材の疲労強度の向上率との関係を
調べ図3に示す。
【0033】図3に示されるグラフによれば、ショット
材中に所定量混入される微粒子の粒径は1〜10μmが
疲労強度を向上させる良好な範囲であることがわかる。
粒径が1μmに満たない微粒子はその質量が小さくアル
ミニウム合金製部材に埋込まれるエネルギが不足し、粒
径が10μmを超えるとアルミニウム合金製部材に埋込
まれるときにその表面部の組織を裂断する傾向を示し引
張強度が低下するものと推定される。
【0034】また、アルミニウム合金製部材の表面部に
ショットピーニング処理を施すと共にその表面部に微粒
子を埋込み分散させるときの、ショット材中に混入され
る微粒子の混合比と上記アルミニウム合金製の疲労強度
の向上率との関係を調べ図4に示す。
【0035】アルミニウム合金製部材としてAC4Cの
鋳造品を焼き入れ及び焼き戻したものを用い、これにア
ークハイト量0.3mmにてショットピーニング処理を施
すときのショット材である粒径0.5〜4.0mmの硬鋼
球と微粒子である粒径1〜10μmの硬鋼微粒子との混
合比を変化させる。
【0036】図4に示されるグラフによれば、アルミニ
ウム合金製部材の疲労強度の向上率が80%を超える良
好な状態は、ショット材中の微粒子の混合比が2〜30
wt%の範囲において得られることがわかる。
【0037】また、アルミニウム合金製部材の表面部に
ショットピーニング処理を施すときに上記表面部に埋込
ませ分散させる微粒子を、加熱によりアルミニウム合金
製部材中に拡散させるときの加熱時間と拡散率との関係
を調べ図5に示す。
【0038】アルミニウム合金製部材としてAC4Cの
鋳造品を焼き入れ及び焼き戻ししたものを用い、粒径
0.5〜4.0mmの硬鋼球に粒径1〜10μmの硬鋼微
粒子を10wt%混合したショット材をアークハイト量
0.3mmでショットピーニング処理する。得られた部材
を加熱し500℃の温度に保持する。
【0039】図5に示されるグラフによれば、微粒子が
埋込まれ分散されているアルミニウム合金製部材が50
0℃に保持されている時間の経過と共に拡散率は向上
し、30分の加熱時間で拡散率は100%に達し、アル
ミニウム合金製部材の表面部に埋込まれ分散される微粒
子は、その材質の選択により500℃の加熱状態でアル
ミニウムと金属間化合物を生成し、30分程度の時間経
過と共にその100%がアルミニウム合金製部材の表面
部に拡散することがわかる。
【0040】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1 アルミニウム合金製部材としてAC4Cの鋳造品に焼き
入れ及び焼き戻し処理を施した強度部材を用いて、上記
強度部材の主として耐摩耗性及び耐食性を向上させるた
めショットピーニング処理のショット材に粒径1〜10
μmの硬鋼微粒子を10wt%混入し、残部のショット材
は粒径0.5〜4.0mmの硬鋼球とし、アークハイト量
0.2mmにてショットピーニング処理を施す。
【0041】このように硬鋼微粒子が混合されたショッ
ト材によりショットピ−ニング処理が行われることによ
り、図6のX線回析による組成分析チャートに示される
ように硬鋼微粒子はアルミニウム合金製部材の表面部に
埋込まれ分散している。
【0042】すなわち、図6に示される組成分析チャー
トは、X線種がCuKαでX線強度が40kv、160
mAのX線照射による回析角(面間隔)ごとの発現ピー
クにより組成成分を検出したものである。
【0043】図6に示されるチャート中、はAl、
はSi、はFeの存在をそれぞれ示しており、ショッ
トピーニング処理によりアルミニムウ合金製の強度部材
の表面部に埋込まれた硬鋼微粒子は該表面部に均一に分
散していることが明らかである。
【0044】実施例2 アルミニウム合金製部材としてAC4Cの鋳造品よりな
る強度部材を用いて、この強度部材に対し上記実施例1
と同様硬鋼微粒子をショット材に混入したショットピー
ニング処理を施す。
【0045】しかる後、この強度部材に対し530℃の
温度で4時間保持し水冷により室温まで冷却する焼き入
れと180℃の温度で6時間保持し室温まで冷却する焼
き戻しとを含む溶体化処理を行う。
【0046】前述したような知見によれば、アルミニウ
ム合金製部材中に分散する硬鋼微粒子は、500℃の加
熱温度下で30分保持されることにより100%拡散さ
れる故、上記焼き入れ中に530℃の温度で4時間保持
する条件により分散硬鋼微粒子中の鉄成分はアルミニウ
ムと金属間化合物を生成し全量が拡散する。
【0047】このような硬鋼微粒子が混合されたショッ
ト材によりショットピーニング処理が行われた後の加熱
により、図7のX線回析による組成分析チャートに示さ
れるように硬鋼微粒子はアルミニウム合金製部材の表面
部に拡散している。
【0048】すなわち、図7に示される組成分析チャー
トは、上記実施例1と同様のX線照射により組成成分を
検出したものである。
【0049】図7に示されるチャート中、はAl、
はSi、はFe3 Alの存在をそれぞれ示しており、
ショットピーニング処理によりアルミニウム合金製の強
度部材の表面部にに埋込まれその後加熱された硬鋼微粒
子は該表面部に均一に拡散していることとが明らかであ
る。
【0050】この実施例2における拡散状態は、図8〜
10の金属組織の拡大放射線写真に示されるように均質
に行われている。
【0051】すなわち、図8に示される走査電子線像に
よると、図上左半分から右側にわたりグレーの色調が現
われているのが上記アルミニウム合金製の強度部材の表
面部であり、グレーの色調の端部が表面である。上記表
面部中に白色の班状で現われているのが鉄成分であって
該表面部に拡散されていることが明らかである。
【0052】図9に示される鉄の特性X線像によると、
上記図8に示される強度部材の表面に相当する部分から
図上中央線部にわたり白点の密集状態で現われているの
が鉄であり、硬鋼成分はアルミニウム合金製の強度部材
の表面部に均一に拡散されていることが明らかである。
【0053】図10に示されるアルミニウムの特性X線
像によると、上記図8に示される強度部材の表面に相当
する部分から図上右側にわたり微細な白点が一様に密集
する状態で現われているのがアルミニウムであり、アル
ミニウム合金が均質に組織層を形成しており、アルミニ
ウムと鉄とが金属間化合物(Fe3 Al)を生成し十分な
拡散が行われていることが明らかである。
【0054】次にアルミニウム合金製部材の表面部にシ
ョットピーニング処理が施されていると共に硬鋼微粒子
が埋込まれ分散された表面改質品について、耐食テスト
を行った。本案として示されるテストピースは上記実施
例1の方法に準じた方法で得られたものである。
【0055】具体例1のものはアルミニウム合金製部材
中の硬鋼材の分散量が1.8wt%、具体例2のものは同
じく2.5wt%、具体例3のものは同じく5wt%のもの
である。従来として示されるテストピースは焼き入れ及
び焼き戻しよりなるいわゆるT−6処理のみのものと前
述したような被膜形成であるアルマイト処理のものであ
る。
【0056】これらの各テストピースを、排気ガスの冷
却により凝縮しアルカリ成分及び酸成分を含む凝縮水相
当の試験液中に60〜80℃の温度にて300時間浸漬
して耐食性を測定し、腐食レベルにより評価しその結果
を図11に示す。
【0057】腐食レベルは、1:顕著な腐食、孔食(凹
凸が大)、2:腐食、3:部分的に腐食、4:変色する
程度、5:変化なし、の5段階評価となっている。
【0058】図11に示される結果によると、本発明の
硬鋼材を埋め込ませ分散させたアルミニウム合金製部材
はいずれの具体例も優れた耐食性を示している。尚、硬
鋼材を分散させた後さらに拡散したものも上記評価と同
様に優れた耐食性を示す。
【0059】また、上記実施例2の変形として、ショッ
ト材及びアルミニウム合金製部材の少くとも一方を加熱
してショットピーニング処理を行うことによって上記部
材の表面部に微粒子を埋込ませると共に金属間化合物を
生成させることも該表面部に微粒子を拡散させるのに有
効な方法である。
【0060】また、ショットピーニング処理によりアル
ミニウム合金製部材の表面部に埋込まれる微粒子は、上
記ショットピーニング処理のショット材に混入されるも
のである他に、アルミニウム合金製部材の表面に予め付
着されるもの又は箔状体に形成されアルミニウム合金製
部材面に貼着されるものであっても同効を奏することが
できる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係るアルミニウム合金製部材の表面改質方法によると、
アルミニウム合金製部材に対するショットピーニング処
理時に微粒子が該部材の表面部に埋込まれるため、ショ
ットピーニング処理による残留応力の発生に加えて埋込
まれる微粒子に個有の特性に基づいて耐摩耗性、耐食性
等の強度信頼性が向上するので、簡便且つ容易な方法で
アルミニウム合金製部材の表面改質が達成され、さらに
埋込まれる微粒子がアルミニウム合金製部材の表面部に
分散又は拡散して分布することにより高い寸法精度を保
つことができる。
【0062】また、請求項2の発明によると、微粒子は
ショット材に混入されているため、ショット材中に含有
される微粒子の混合比等は所望値に設定容易となるの
で、微粒子量の材質及び粒径等を表面改質の目的に併せ
て選択することが容易となる。
【0063】また、請求項3の発明によると、アルミニ
ウム合金製部材の表面部に分散される微粒子が加熱によ
り拡散するため、微粒子成分はアルミニウム合金製部材
の表面部に合金組織として均一に分布するので、耐摩耗
性、耐食性等の強度信頼性をより向上することが可能と
なる。
【0064】また、請求項4の発明によると、アルミニ
ウム合金製部材中に分散する微粒子を拡散するための加
熱はショットピーニング後の焼き入れ及び焼き戻し処理
時の熱により行われるため、微粒子の拡散は併用工程で
達成できるので、工数的にも熱採算的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるアルミニウム合金製部
材中の微粒子の分散量と硬度との関係を示すグラフであ
る。
【図2】本発明の実施例におけるアルミニウム合金製部
材の微粒子分散量と疲労強度の向上率との関係を示すグ
ラフである。
【図3】本発明の実施例における微粒子の粒径とアルミ
ニウム合金製部材の疲労強度の向上率との関係を示すグ
ラフである。
【図4】本発明の実施例におけるショット材中の微粒子
混合比とアルミニウム合金製部材の疲労強度の向上率と
の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例における加熱時間と拡散率との
関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例のX線分析のチャートであ
る。
【図7】本発明の今一つの実施例のX線分析のチャート
である。
【図8】本発明の一実施例の金属組織を示す倍率300
0の顕微鏡写真である。
【図9】本発明の一実施例の金属組織を示す倍率300
0の顕微鏡写真である。
【図10】本発明の一実施例の金属組織を示す倍率30
00の顕微鏡写真である。
【図11】本発明の一実施例の耐食テストの結果を示す
棒グラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−5627(JP,A) 特開 平1−283388(JP,A) 特開 昭49−17311(JP,A) 特開 平4−176563(JP,A) 特開 平1−208415(JP,A) 特開 昭47−36290(JP,A) 特開 平1−193003(JP,A) 特開 平2−190404(JP,A) 特開 平4−21747(JP,A) 特開 平4−246265(JP,A) 特開 平4−292202(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/04 C23C 10/28 C23C 24/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金製部材の表面部にショ
    ットピーニング処理を施すアルミニウム合金製部材の表
    面改質方法であって、粒径が0.5〜4.0mmのショ
    ット材がアルミニウム合金製部材の表面部をショットす
    る時にショット材中に粒径が1〜10μmの微粒子が
    〜30wt%伴われる状態でショットピーニング処理を
    行うことにより、上記微粒子をアルミニウム合金製部材
    の表面部に分散状態で埋込ませることを特徴とするアル
    ミニウム合金製部材の表面改質方法。
  2. 【請求項2】 上記微粒子はショット材に混入されショ
    ット材の一部を構成するものであることを特徴とする請
    求項1に記載のアルミニウム合金製部材の表面改質方
    法。
  3. 【請求項3】 上記微粒子としてアルミニウムと金属間
    化合物を生成するものを用い、且つ、アミニウム合金製
    部材の表面部に埋込まれた微粒子をアルミニウム合金製
    部材の表面部に拡散させるための加熱処理をショットピ
    ーニング処理後に行うことを特徴とする請求項1に記載
    のアルミニウム合金製部材の表面改質方法。
  4. 【請求項4】 上記加熱処理はショットピーニング処理
    後に行われる溶体化処理における加熱処理であることを
    特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金製部材の
    表面改質方法。
JP27664391A 1991-09-26 1991-09-26 アルミニウム合金製部材の表面改質方法 Expired - Fee Related JP3225066B2 (ja)

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